「朝米首脳会談、来年1月に開催」
米国の会談先延ばし戦略の狙いとは
登録:2018-10-23 04:51 修正:2018-10-23 07:28
非核化めぐり北朝鮮に譲歩求めるテコ
ビジラント・エース演習の延期などで対話シグナル送りながらも
強硬派は制裁と会談の先延ばしで北朝鮮を圧迫
朝米高官級会談が開催されれば、首脳会談の日程・議題が固まる見込み
ドナルド・トランプ米大統領が今月20日、ネバダ州エルコで中間選挙の遊説を終えて専用機に乗る前に、記者団の質問に答えている=エルコ/AP 聯合ニュース
「場所と時間を近く発表する」(9月24日)→「できるだけ早いうちに開かれるだろう」(10月7日)→「中間選挙以降に開かれるだろう」(10月9日)→「今後2カ月以内に開かれるだろう」(10月12日)→「来年1月1日以降になると思う」(10月19日)
2回目の朝米首脳会談の日程をめぐり、米国の「先延ばし」のシグナルが強まっている。9・19南北首脳会談後、すぐに開かれると見られていた朝米首脳会談が、1カ月以上も時間と場所を確定できず、とうとう来年1月に持ち越されるだろうという米国当局者の発言まで出た。
「中間選挙以降」という日程を提示したドナルド・トランプ米大統領は、もはや公然と「急がなくても良い」と言っている。ジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)ら強硬派が、会談日程を延期しようとする状況を追認しているようにも見える。朝米関係に詳しいある元外交官は「朝米首脳会談の日程が本質的に非核化の進展に連動していることを示している」とし、「米国が時間という要因によるレバレッジ効果を狙っている」と指摘した。
まず、首脳会談の議題調整と儀典・警護の準備に必要な時間を考慮すると、物理的にも年内開催が厳しい面もある。トランプ大統領と金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の11~12月の動線を会談日程に合わせるのも容易ではない。トランプ大統領は、11月11日に第一次世界大戦終戦100周年記念行事に出席するため、フランスを訪問する予定であり、11月30日~12月1日にはアルゼンチンで開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議にも出席する。金委員長もロシア訪問と中国の習近平国家主席の訪朝という重要な日程を検討中だ。
しかし、「来年開催説」が流れているのは、米国が「時間」をテコに北朝鮮の追加の非核化措置を圧迫しようとしているためとみられる。北韓大学院大学のヤン・ムジン教授は「トランプ政権が中間選挙を控え、対内的にはオバマ政権と違って北朝鮮に対話を乞わないというメッセージを強調する一方、北朝鮮に対しては進展した非核化措置を取るよう圧力をかけているものと見られる」としたうえで、「朝米が神経戦を繰り広げているように見えるが、首脳会談が来年に延期されるとは言い切れない」と話した。
国家安保戦略研究院のイ・スヒョン責任研究員も「北朝鮮に対する米国側のシグナルが混在している状況」だとし、「ビジラント・エース韓米合同軍事演習の猶予など対話のシグナルと共に、『制裁維持』の強調と『(会談の)先延ばし』で北朝鮮に対する圧迫を強めようとする強硬派の動きも現れている」と指摘した。
このような米国の態度は、それだけ朝米の駆け引きが複雑になったことを裏付けている。北朝鮮は9・19平壌南北首脳会談で、米国の相応の措置を前提に、寧辺(ヨンビョン)の核施設の廃棄を約束した。さらに、中国やロシアと連携し、段階的な対北朝鮮制裁の緩和を求めた。北朝鮮の標的が終戦宣言から北朝鮮制裁の解除に移った状況だ。文在寅(ムン・ジェイン)大統領も欧州歴訪で、北朝鮮が不可逆的な非核化を行った段階では、制裁緩和を検討する必要があるという立場を明らかにした。制裁緩和が北朝鮮の非核化を促せるという期待を公論化したものだが、米国は北朝鮮制裁を維持する時間が長いほど、非核化交渉でも有利になるという判断を固守している。
結局、2回目の朝米首脳会談の日程は、早ければ来週に予想される高官級会談で輪郭が固まるものとみえる。「10日後、北朝鮮との高官級会談を希望する」というマイク・ポンペイオ国務長官の19日の発言は、第2回朝米首脳会談を成功させようという米国の意志を再確認したものといえる。外交界では、北朝鮮の非核化と米国の相応措置の調整をめぐり、難航が続いているが、高官級会談の開催が交渉の前向きな流れを強化できると期待している。
ワシントン/ファン・ジュンボム特派員、ユ・ガンムン、パク・ミンヒ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)