【社説】
ソウル都心で2年連続で行われた時代遅れの「軍事パレード」
国軍の日である1日、ソウル都心の真ん中で大規模な軍事パレードが再び開かれた。今回の国軍の日の行事には5300人余りの兵力と340台余りの装備が参加した。「怪物ミサイル」として知られる弾頭重量8トンの超高威力地対地弾道ミサイル「玄武5」が初めて公開され、米軍超音速戦略爆撃機「B1B」も登場した。国軍の日の行事に米国の戦略資産が姿を現したのは極めて異例のことだ。北朝鮮の挑発を抑止し、韓国の国防力を誇示するための行事だが、むしろソウルが軍事的緊張の真ん中に位置する都市であることを浮き彫りにする愚を犯すのではないか懸念される。
大規模な軍事パレードそのものがすでに時代遅れの軍事政権の名残だ。1956年の第1回国軍の日を記念して始まった軍のパレードは、1968年以後4~5年ごとに開かれてきたが、2013年以後中断され、昨年10年ぶりに復活した。さらに、2年連続で開かれたのは、全斗煥(チョン・ドゥファン)軍事政権以来40年ぶりのことだ。軍事政権が好んだ権威主義的な軍事行事に、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は特別なこだわりを見せている。今回の国軍の日を臨時休日にまで指定した。国軍の日の行事には昨年の100億ウォン(約10億8千万円)に続き、今年は約80億ウォン(約8億7千万円)の予算を編成したが、国会予算政策処は予算の無駄遣いの恐れがあるとし、大規模な行事の開催周期を調整する必要があると指摘した。ただでさえ財政が悪化する状況で、交通統制で市民の不便まで招き、不要な行事を行う必要があったのか疑問だ。
時代遅れの軍事パレードにこだわるのは、北朝鮮の脅威に軍事的圧迫で対応するという強硬一辺倒の北朝鮮政策と無関係ではないだろう。尹大統領は昨年の国軍の日の記念式典で、「北朝鮮が核を使用した場合、韓米同盟の圧倒的な対応で北朝鮮政権を終わりにする」と述べたのに続き、今年も「北朝鮮が核兵器の使用を企てるなら、その日がまさに北朝鮮政権の終わりの日になるだろう」と語った。しかし、軍事的な圧力だけでは北朝鮮核問題を解決できないことは、この30年余りの歴史が証明している。国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長は9月26日、メディアとのインタビューで、「北朝鮮との対話の扉を閉ざしてきたことが、逆に状況を統制不能の状態に悪化させたのではないかと問いたい」と述べた。北朝鮮の脅威に対する軍事的対応は必須の課題だが、それがすべてではない。韓国は、朝鮮半島状況の安定的管理に向けた対話の模索にも着手しなければならない。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます