今度は「攻撃教唆」、
あらゆる疑惑の温床となった韓国大統領室【社説】
大統領室関連の疑惑が後を絶たない。候補公認介入、告発教唆に続き、「ハン・ドンフン攻撃教唆」を通じた党大会への介入疑惑まで加わり、波紋が広がっている。どれ一つ取ってもこれまでに類例のない出来事が一度にあふれ出ている。そのうちたった一つでも事実だとすれば、民主主義を深刻に傷つける重大事案だ。
キム・デナム元大統領室市民社会首席室先任行政官(現SGIソウル保証常勤監査委員)は、7月の与党「国民の力」代表選の直前におこなったユーチューブチャンネル「ソウルの声」の記者との通話で、ハン・ドンフン候補(当時)を攻撃することを同記者に勧めたという。ソウルの声が先月30日に報道した。
キム元先任行政官はこの通話で、「(大統領夫人の)キム・ゴンヒ女史がハン・ドンフン候補のせいで死につつある。今回、うまく企画してソウルの声が(ハン候補を)たたけば、女史が喜ぶだろう」と述べた。その直後にソウルの声は、ハン候補が非常対策委員長時代に党費で自分の大統領選挙のための世論調査を実施したとして横領疑惑を提起した。親尹錫悦(ユン・ソクヨル)系のウォン・ヒリョン候補は、それをハン候補の攻撃に利用した。
以前にもキム元先任行政官は、保守団体「新しい民心・セミンヨン」に特定メディアを告発させのは自身だとソウルの声の記者に語ったことが報道されている。また同氏は、キム・ゴンヒ女史が今年4月の総選挙の過程で、親尹系の中心的な議員を通じてイ・ウォンモ元大統領室人事秘書官(現公職綱紀秘書官)の候補公認に介入した、とも語っている。
その直前には「ニューストマト」が、2022年6月の補欠選挙の際に尹錫悦大統領夫妻がキム・ヨンソン前議員の公認に介入したこと、今年4月の総選挙でキム女史がキム前議員の選挙区変更に関与したという疑惑を報道している。
大統領室と当事者たちは「一方的な失言」と述べるなど、疑惑を否定している。まだ事実関係がはっきりと確認されていない状態ではある。しかし、大統領室があらゆる疑惑の温床となっていっているこの状況は、決して偶然ではない。事実が確認されてもいないうちから、与党の周辺においてでさえ「来るべき時が来た」とささやかれているのはなぜなのか。このままでは、大統領は国民の心をつかむどころか、公職社会にすら影響力を失ってしまう。国政も政府与党関係も何一つまともに進まない状況になってしまっている。
にもかかわらず尹大統領は意に介すことなく、2日にキム・ゴンヒ特検法、C上等兵特検法、地域貨幣法に対して拒否権を行使した。尹大統領が任期の終わるまで大統領としての役割をきちんと果たすためには、キム女史問題をはじめとする各種疑惑の真相を徹底して明らかにし、それに相応する措置を取ることを、その出発点とする他はない。
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