どこ吹く風

旅のことを主に書く。

東尋坊

2007年03月11日 07時15分55秒 | 能登
 田舎の落ち着いた集落を幾つか過ぎて海が近づいて東尋坊に着いた。
バス停の直ぐ前にあるお茶屋さんで、「荷物を無料で預ります」という誘いの声に引かれて店内に入る。無料ならと荷物を預かって貰い、ついでにウドンでも食べようかとなって軽い昼食を取った。この無料預かりの言葉は効く。

 土産物屋がずら~っと並んでいる通りを抜けると切り立った岩が日本海の荒波を受けている所へ出た。日本海と荒波とは私のアタマの中では対句になっているのでそのように書いたが実際は真冬というのに雪のカケラも無く穏やかな海だった。

 遊覧船が出ているので乗った。海に切り立つ岸壁を上から覗き込むの迫力があるが、したから見上げるのもこれまた迫力がある。神社のある島ー橋で繋がっているがー島の裏側まで廻るとなだらかに斜面になっていた。そこに番小屋風の建物があり、船長兼ガイドが昔の密入国船の監視小屋で今では使っていないとのこと。
密入国者を見張っていても拉致をする不審船は見張れなかった事になる、不謹慎だがちょっと笑えた。

 その島は逆層になった柱状の岩が張り出して珍しい景観をしている場所もあった、剣岳の西にある東大谷の岩場を思い出した。三の窓から池ノ谷を下り東大谷側に出て駒草ルンゼを詰めて剣尾根に取っ付いた。尾根の縦走中に突破しようとした壁があり途中まで登ったが、あまりにも逆層で断念し、登り以上に難しい下りを強いられて冷や汗タラリで降りたことを思い出した。
(過去のメモを見ていないので地名に錯誤があるかも知れない。また逆層と書いたが見た目には順層です、引っぱれば抜け落ちそうな形状で列柱を成しているので逆層と書いた。)

 海から陸を眺めるのは久しぶりだ、雪がちらつく荒れた日本海なら遊覧船に乗っただろうか。波の花が舞うような頃だときっと止めただろう。
東尋坊が人の名前だとは知らなかった。
難所の代名詞みたいなところだが少し離れれば海水浴場もあり夏には賑わうようだ。

 行きと帰りにみた風景で雪囲いは珍しかった。雪とは丸っきり縁が無い我が故郷では想像だにしないのでとにかく珍しい。また庭木の雪吊りも珍しかった。テレビで見るのは兼六園の大規模なもの、バスから見えるのは個人の庭なのにリッパに吊るされている、中には雪釣りの先っぽ、棒の天辺に縄で作られた飾りがあるものもある。庭職人の遊び心なのか。

 駅から旅館までは近かったので歩いて行った。広い平原の中の温泉宿に着いた。久しぶりの温泉に胸は高鳴る。名の通った旅館なので楽しみだ。