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竹原BLOG:奈良民話祭り ― グリム童話・メルヘン・語りの文化 とっておきの話。 

夏の奈良民話祭り:8月5日(金)午後3時より奈良町物語館で4回公演!
奈良燈花会に行きがてら、ぜひ来てくださいね!

大柳生の太鼓踊りが昨夏で休止! 何とも残念!

2013年04月27日 | 日記
平成8年(1996年)に初めて大柳生に行き、
比較民話研究会と花園大学の学生さんたちと民話調査をした。
豊かな農村地帯だからこそ、「おふじ井戸」、「狐にだまされた話」など多くの民話をきくことができた。

そこには、氏神・夜支布山口神社のある森がある。



この神社は、平安時代の『延喜式神名帳』にも記載されたとても古い神社である。
夜支布山口神社から右手へ境内を進むと、階段上に朱の社殿が見える。



境内摂社立磐神社である。お社の奥に巨石が鎮座している。
昔の人は、この岩に神が降臨したと信じていたのだ。
この巨石は古代からある古い神社であることを証明している。

その神社の夏祭りが「太鼓踊り」である。
夜支布山口神社の分霊を祀る当屋の家の庭で奉納され、奈良県の無形民俗文化財に指定されている。



ところが、祭りの担い手である当屋の労力も大変で、若い人も少なくなり、
村全体で数年前から場所を夜支布山口神社の前広場に移して行われていた。
そして、昨年の夏、8月18日の祭りがついに最後の祭りとなった。
以下は、その時の映像である。





花餅をつけた御幣を背負い、胸に小鼓をつけた踊り手の氏子が、
太鼓や笛・鉦などの音に合わせて「踊子一般団扇の用意せられりや」と歌っては、
激しく跳躍乱舞する。

太鼓踊りは風流踊りの流れを汲むものである。
全国に見られる太鼓踊りは雨乞いに由来するものが多いとされるが、
大柳生の太鼓踊りは、出陣、凱旋の舞いとも考えられているそうだ。







こんな素敵な祭りが途絶えるとは、なんとしても残念である。

先日も、奈良新聞に地元の中学生が、その無念な思いを投書していた。

江戸時代から400年続くとされる県無形民俗文化財「太鼓踊り」
太鼓を打ちながら踊るため相当の体力が必要だが、少子高齢化で担い手の若者が不足し、継続を断念したのだが、
地元関係者を奈良市民が広くサポートして、「一日も早い復活を」を願いたいものである。

今回のブログは、季節外れの話題になりましたが、
夏以来ずっと心に残っていて、ぜひとも民話愛好家のみなさんにも
大柳生の太鼓踊りを再認識してほしかったのです。

民話絵本『子護り 奥山』、三宅町より発行される!

2013年04月20日 | 日記
奈良県の三宅町から民話絵本が刊行されました。
『子護り 奥山「伴堂」』です。



伴堂(ともんど)の村では女の子が育たなかったが、
夢のお告げで女神の「市杵嶋姫命(いちきしまひめのみこと)」を祭ったところ、
子どもが元気に育つようになったという話です。

4月18日 奈良新聞に紹介されていたので、早速、取り寄せて読んでみました。

地元の方の手作りで、とても親しみをもてました。

1500部制作し、町内の全園児と全児童、近隣の図書館に配布したそうです。
郷土に残る民話を次世代に語り継ぐ「ふるさと三宅創生事業」の一環。
平成23年3月に第1作を制作し、今回で5作目だそうです。
希望者には無料で進呈(1人1冊)してくださいます。(郵送料は着払いです)

問い合わせは、三宅町未来創造部企画課、電話0745(44)2001。

昨年は「雷のおちない神社(小柳)」、「雨たんもれ多度さん(但馬)」でした。

今回は、地域に伝わる民話の絵本のお知らせです。

花冷えというか、桜は散ったものの、まだ寒いですね!
みなさん、お元気で!

ナーミン(奈良の民話を語りつぐ会)の総会/グリム童話講演会:盛会のうちに終了!

2013年04月13日 | 日記
昨日は、ナーミン(奈良の民話を語りつぐ会)の総会があり、
今年度の活動計画を決定しました。

今年の主な活動は次の通りです。

1.奈良民話祭り
    8月8日(木)昼・夜 奈良町物語館
      9日(金)昼・夜  奈良町物語館

2.「ナーミンテラーズ」(ならの民話の語り手)のためのワークショップ
     4月16日(火)午後1時~2時 基本講義
     6月4日(火)18日(火)認定のためのお話会

3.奈良県下の子どもたちにお話を届ける活動(各種お話会への参加)
    ★ 絵本ギャラリーでのおはなし会
    ★ 春日公民館サマーシアターでのおはなし会    
    ★ 奈良市立北部図書館おはなし会 毎週水曜午後  ほか

4.おはなし勉強会
    毎月1回 第2火曜日 

5.一般向けの『子どもと家庭の奈良の民話』3分冊(ナーミン発行) 今春発行予定

6.ナーミンのホームページを近日中に開設


総会のあと、講演会もあり、50人を超える方が来てくださいました。
テーマはグリム童話とカルヴァン派と近代で、グリム童話「幸せハンス」と「貧乏人と金持ち」をめぐって
村上郁さんの語りのあと、私が講演しました。

グリム童話をヨーロッパの類話と比較してみると、グリム童話の特徴があざやかに浮かび上がります。
そこには、カルヴァン派の思想、モラルが埋め込まれていることが明らかになりました。


「幸せハンス」の話は本来、愚かな物々交換をする主人公を笑いとばす「笑い話」であった。
しかし、民衆はやはり最後には無一文では耐えられない。やはり賭けに勝って大金持ちになって満足したいのである。
それでこそ貧しい庶民は本当に笑えるのである。
ところがグリム童話は、アンデルセン系の民話の世界とは違って、賭けは許されないのである。
グリム兄弟の祖父はカルヴァン派の牧師であり、グリム兄弟は厳格なキリスト教の教えのもとで育てられた。
民間伝承を素材にグリム童話が編まれる際には、カルヴァン派が生み出した倫理思想というフィルターが掛けられた。
市場経済には賭けや暴利は許されないのである。

「三つの願い」の民間説話は、アラビアン・ナイトの「艶笑譚」から、ヨーロッパではソーセージをめぐる「愚かな夫婦の笑い話」として定着し、
それがグリム兄弟によって、「信仰深い夫婦の聖者伝風の教訓話」に仕立て上げられ、
『子どもと家庭のメルヒェン』として近代市民国家の子どもたちに受け入れられるようになったといえるわけある。

講演では、時間がなく、うまくまとめられませんでしたので、
このブログで結論部を再録しました。


では、ナーミンのみなさま、
今年も、語りの文化、子どもの好きなお話の文化を奈良から発信しましょう!

ブログをお読みのみなさま、
今年の「奈良なら民話まつり2013」に来てくださいね!
燈花会の期間中の8月8日、9日に 奈良町物語館で開催されます。


説話・伝承学会4月27日~28日静岡文化芸術大学・シンポ<来訪神の伝承>

2013年04月06日 | 日記
今日は学会のお知らせです。

説話・伝承学会が4月27日~28日に
浜松にある静岡文化芸術大学で開催されます。



27日(土)は講演会です。

インドネシア、バタック社会におけるヤシ酒をめぐる習俗 池上重弘氏
モノ・言葉。心意―俗信と民間説話           常光 徹氏
『宇治拾遺物語』の説話と伝承             廣田 収氏

いずれも面白いテーマですね。

28日(日)は、午前が、日本と外国の説話について二つの会場に分かれて
それぞれ各4名の研究発表があります。
上記のプログラムをご覧ください。

グリム童話については下記の発表がありますよ。

眠れる森のブリュンヒルドとしてのKHM50  横道 誠氏


それから、午後はシンポジウム<来訪神の伝承>です。
主としてアジアの来訪神について論じられますが、
ヨーロッパでも日本のナマハゲとよく似た祭りがあります。

とても興味深いシンポジウムですね。

よろしかったら、浜松まで出かけられませんか?

詳しくはポスターをご覧ください。


生駒・あすか野の桜・見事に咲きました!

2013年03月31日 | 日記
今年に桜は例年より1週間早く咲きましたね。

我が家のすぐ近くの散歩道、桜並木も本日、満開寸前、とてもきれいでした!

写真を5葉、お見せしましょう!


桜とモクレン


桜並木を犬のお散歩


右手の桜はソメイヨシノとは違い、紅が濃くて小さな花びらです。


桜とモクレンの競演


青空に映える桜


今日のブログは、桜の写真ライブラリーでした。

いずれも、3月30日撮影。

いよいよ、新学期ですね!

講演会の案内:グリム童話とカルヴァン派と近代・4月12日(金)14:30~・奈良市はぐくみセンター

2013年03月24日 | 日記
今回は講演の案内です。


奈良の民話を語りつぐ会 講演会

講演と語り: グリム童話とカルヴァン派と近代

―「幸せハンス」(KHM83)と「貧乏人と金持ち」(KHM87)をめぐって―

◇ 日時:4月12日(金) 14:30~16:00

◇ 会場: 奈良市ボランテイアインフォーメーションセンター(JR奈良駅から南へ徒歩約5分)
     はぐくみセンター1 階 会議室1-1・2・5

◇ 講師:奈良教育大学名誉教授 竹原威滋


講演では、グリムの『幸せハンス』と『貧乏人と金持ち』を取り上げ、
実際に語り手の村上郁さんに語っていただきます。
そしてカルヴァン派のキリスト教徒であったグリム兄弟は自らのメルヒェンのどのような味付けをしたのか、
ジェイコブス、アンデルセン、ペロー、アラビアンナイトなどの物語と比較考察し、
グリム童話の魅力に迫りたいと思います。

実は、この講演会の前に 「奈良の民話を語りつぐ会」の2013年度の総会が午後1時半より
同じ会場でありますので、会員の方は、合わせてご参加くださいますように! 

もちろん、そのほかにも
絵本の読み聞かせや語りの実践をされている方、
孫や子に昔話を語ってみたいという方々、
しばしメルヘンの世界に浸ってみたい方々、
是非、いらしてください!

詳しくは、
講演案内パンフレットをご覧ください。

梅花女子大学と我が家の梅が満開!!

2013年03月18日 | 日記
前回のメールでは、「あべのハルカスと梅」をお見せしましたが、
今回も梅の写真を3葉、アップします。



この4月より客員教授として勤めることになった梅花女子大学の梅です。
さすが名の通り、この大学には今、たくさんの梅が咲いています。

もう一葉、お見せしましょう!



大学キャンバスの一角がミニ梅林になっているのです。

ところで、我が家にも梅が力強く咲きました。



もう、春ですね! 

ここで、梅の話について話題をひとつ!

今、NHKの大河ドラマ「八重の桜」が進行中ですね。
新島八重は、その姿を梅の花にたとえて詠まれているのをご存じですか?


  めずらしと  誰かみざらん  世の中の
     春にさきだつ  梅の初花


幕末会津の戦いの場で
また、新しい明治の世を迎えたあとも
常に時代の先を行き、闊歩した八重

この生き方こそ「春にさきだつ 梅の初花」だったのですね!

NHK番組「歴史秘話ヒストリア」 渡辺あゆみの語りより



私も、梅花の学生さんと時代に先立つ新しい児童文学の研究の地平をめざして
ともに歩んで行きたいと思います。

(追伸)
ホームページも春モードに更新しました。
ご覧ください:竹原・語りの文化研究所



ベストショット:あべのハルカスと満開の梅

2013年03月10日 | 日記

今日のブログは、ひさしぶりに写真ライブラリーです。

すっかり春めいて来ましたので、


ベストショット:あべのハルカスと満開の梅  三景

をお楽しみください。



お昼のあべのハルカス 60階建て 高さ:300メートル




夕方のあべのハルカス 「日本一高いビル」



夜のあべのハルカス  2013年6月より「あべのハルカス近鉄本店」開業予定


いかがでしたか?


また、ブログで来週お会いします!




たんぽぽの家主催「ヴァイオリンと‘震災’を語る夕べ」に行ってきました!

2013年03月02日 | 日記
昨夜は雨でしたが、思い切って、(前回のブログで紹介した)やまと郡山の「ヴァイオリンと‘震災’を語る夕べ」に行ってきました。

東日本大震災発生後、たんぽぽの家は文化を通じた復興支援プログラム「笑ってプロジェクト」を展開しておられ、
今回は、奈良県出身のヴァイオリニスト・金関環さんとピアニスト・宮川真由美さんによる素敵な音楽とともに、
宮城県・山元町から「やまもと民話の会」の庄司アイさんと武田良子さんを招き、震災の体験と山元町の民話の語りがありました。


音楽と語りのコラボレーション 左から音楽の金関、宮川両氏、語りの庄司、武田の両氏

音楽は、愛のあいさつ(エルガー)、G上のアリア(バッハ)、麗しのロスマリン(クライスラー)など
聞きなれた楽しいヴァイオリン曲でくつろいだ気分で楽しいひと時を過ごせました。

アンコール曲は、美空ひばりの「川の流れのように」のメロディーやモンティの「チャールダーシュ」も飛び出て、
金関さんの愉快なパーフォーマンスのお蔭で、文字通り「笑ってチャリティーコンサート」になりました。


第2部の語りは
音楽や文化を通して被災地に思いを寄せること、そして被災した人たちの生の声や体験を聴くことをとおしてこの震災を忘れない、
という思いを多くの人たちと共有したいとの主催者の思いが充分伝わって来ました。

庄司アイさんの語り「津波体験」は、自宅の2階に避難するなり津波に襲われ、
夫と孫娘と3人でノアの方舟のように家ごと漂流し、恐怖の夜を過ごし、
翌日昼に瓦礫の中から息子さんたちに救出された顛末をありありと再現して語られました。

庄司さんは、日ごろから地元の民話を聞いてこられました。
その中に「小鯨の話」、「船越し地蔵さまの話」があったそうですが、
これらの話は、大昔の先祖さまが伝えてくれた「大津波の話」だったのだと
再認識されたそうです。

「やまもと民話の会」の人たちは、この「巨大地震」を後世に語りついでいかなくてはとの使命感にあふれ、
自らの体験とともに、津波体験者から聞き書きをし、3冊の冊子を出し、
この度、小学館より合本で出版されることになりました。是非ご覧くださいね。
 
『巨大津波 語りつぐー小さな町を呑みこんだ』やまもと民話の会編 1,500円+税
小学館発行 2013/03/04発売予定
右記サイト参照:『巨大津波』

また、庄司さんと武田さんは、本日、ならどっとFM(78.4Mhz)
「ひるラジ!サタデー」に出演され、電波で「津波体験」を話されました。




ところで、「やまもと民話の会」の人たちは、地元のFM:災害臨時FM「りんごラジオ」において
で毎週火曜日 15:00~ 「ラジオいろいろ教室」に出演されていますので、聞いてくださいね!
地域外からも、ネットで、サイマルラジオ経由で聴けますよ!
右記サイト参照:災害臨時FM「りんごラジオ」


たんぽぽの会の素晴らしい企画「ヴァイオリンと‘震災’を語る夕べ」でいろんなことを学べました!
ありがとう!


ところで、
私たち「奈良の民話を語りつぐ会」も、心新たに、奈良の先祖の人々が今に語り継いできた民話を
大切にし、語り継いでいきたいと思います。

そこで、予告!

今年の奈良民話祭り:
    8月 8日(木)昼・夜 奈良町物語館
        9日(金)昼・夜 奈良町物語館

今から、予定に入れてくださいね!

「やまもと民話の会」を招き「ヴァイオリンと‘震災’を語る夕べ」★3月1日(金)やまと郡山城ホール!

2013年02月22日 | 日記
私たちは奈良の民話を未来に語り継ぐ活動をしておりますが、
東北地方には、被災体験を語り継ぐ活動をしているグループがあります。

「やまもと民話の会」は、庄司アイさんをはじめ、70代の女性が中心の7名の会です。
自分たちも家を流されたり、大切な人を亡くされたり、という壮絶な体験のなかで「語りつごう」を合い言葉に、
町の人々の消息を訪ね、証言をとり続けました。

このような証言集は世界に例を見ないものだそうです。
被災から5か月後に第1集『証言』を、
9か月後に第2集『声なき声に寄りそう』を、
1年後に第3集『鎮魂・復興へ』を刊行しました。、




メディア取材も相次ぎ、3冊あわせて発行15,000部までにもなりました。

それが、大手出版社の「小学館」から、3冊合本して全国で発売されることになりました。


 
『巨大津波 語りつぐー小さな町を呑みこんだ』
 
ISBN:978-4-09-388294-1 本体価格:1,500円+税 判型: Cコード:C0095

 やまもと民話の会 : 編集  小学館:発行  2013/03/04発売予定

下記サイト参照:
『巨大津波』


そして、なんと「やまもと民話の会」の庄司アイさんと武田良子さんが奈良に来て、
震災の語りをして下さいます。



やまもと民話の会/左:武田良子さん 右:庄司アイさん


東日本大震災復興支援プログラム「笑ってチャリティコンサート」
~ヴァイオリンと‘震災’を語る夕べ~

日時:2013年3月1日(金)18:30開演(開演18:00)

場所:やまと郡山城ホール小ホール(奈良県/近鉄郡山駅徒歩7分)

料金:一般3,000円 高校生以下:1,500円


詳しくは、下記サイトをご覧ください。


ヴァイオリンと‘震災’を語る夕べ

ナーミン会員のみなさま

被災地にエールを送りたい奈良のみなさま
是非、お出で下さい!

まさに語り継ぐべき現代の語りです!

追悼:比較民話学の第一人者 三原幸久先生

2013年02月16日 | 日記
三原幸久先生がお亡くなりになりました。

昔話学会の事務局の方より先日下記のような連絡がありました。

「三原先生が1月18日(金)に亡くなられました。
原因は肝臓癌ですが、痛みもなく、穏やかなお最期でした。」


日本昔話学会講演会 2010.10.10. キャンパス・プラザ京都にて


三原先生は、私にとって尊敬すべき、かけがいのない恩師です。

先生はスペイン語圏の口承文芸のフィールド・ワーカーであるばかりでなく、
日欧の民話の比較研究の第一人者でした。

1970年代から80年代には、三原先生と福田晃先生と私の三人で「国際説話研究会」を開催し、
各地の民話研究者のお話を聞き、勉強をさせていただきました。

また先生の編集された『ラテン世界の民間説話』では
私も「レト・ロマンの昔話」について寄稿させていただきました。

また私の著書『グリム童話と近代メルヘン』については、日本民話の会の会報に書評を寄せてくださいました。

先生の主な著訳書を挙げますと

スペイン民族の昔話 岩崎美術社 1969年
ラテンアメリカの昔話 岩崎美術社 1972年
因幡智頭の昔話 三弥井書店 1979年
ラテン世界の民間説話 世界思想社 1989年
スペイン民話集 岩波書店 1989年 などです。

そのほかにも多くの著訳書があります。
下記のサイトをご参照ください。
Amazon本。三原幸久

先生が活躍されていた主な所属学会は
日本イスパニア学会、説話伝承学会、日本民俗学会、日本昔話学会、日本民族学会 でした。


日本昔話学会講演会 2010.10.10. キャンパス・プラザ京都にて


私が最後にお会いしたのは、上記の学会の講演会でした。

「日本の昔話が外国昔話から受けた影響」と題して熱く話された声が今も耳に残っています。
その内容は、同学会編の『昔話―研究と資料』39号(2011.3.)に載っています。

三原先生は確か私より「ひと回り上の猿歳」なので、たぶん享年80歳であられたと思います。

心から、ご冥福をお祈りいたします。

大野寿子編『超域する異界』(勉誠出版)が刊行されました!

2013年02月09日 | 日記
私は東洋大学の客員研究員をしておりますが、
同大学の大野寿子先生を研究代表者とする2009~11年度の科研費による共同研究
「超域する「異界」―異文化研究・国語教育・エコロジー教育の架け橋として―」の成果発表の一つです。

まず、本を装丁を見てください。



すごく、奇抜な装丁です。

本体の表面には、「異界」を象徴する絵が描かれていて、書名は背面にあります。
写真の右手にあるのが表紙カバーです。ここには、以下のキャッチ・コピーが載っています。

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なぜ人間は異界を語るのか――

国境を超え時間的制約を逃れ、人間の日常および精神生活の裏、奥、外
に必要不可欠な空間領域として想像される「異界」― the other world ―。
その諸相を、グリム童話から日本の民話、ドイツ・中国・日本における
文学・音楽・絵画表象、言語学からコミュニケーション研究に至るまで、
空間、時間、学術分野の境界を超え、「超域」的に考察する。洋の東西を
問わず、古代から現代に至るまで、人間の精神文化のなかに表現やかたち
を変えながら偏在する「異なるもの」の多面的価値を浮き彫りにする。
-------------------------------------------- 

表紙カバーの裏面には下記の「目次」が載っています。

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序章 異界を超域する試み 大野寿子

第一章 西洋における伝統的な異界とその表現―ドイツ伝承文学・比較民話学・音楽学―
 民話における「異界」との交流を可能とする仕掛け 竹原威滋
 ドイツの民間伝承における異界と異人 溝井裕一
 『グリム童話』における「異界」―死者の化身と死者世界をめぐる一考察― 大野寿子
 グスタフ・マーラーにみる「異界」と越境の音楽表現 山本まり子

第二章 東洋における伝統的な異界とその表現―中国古典文学・日本近世文学・美術史―
 洞天の風景―神仙グロットの地誌― 山田利明
 黄表紙における異界表象―山東京伝『箱入娘面屋人魚』を例として― 松岡芳恵
 弥次喜多の旅は異界への旅か―『東海道中膝栗毛』の一つの読み方― 中山尚夫
 描かれた「異界」―江戸時代絵画と異界表現― 藤澤紫

第三章 近現代の日本における総合体としての異界とその表現
    ―日本語学と日本文学の一九―二一世紀―
 句から語へ―「魔ヲ使フ女」から「魔女」への移行を一例として― 木村一
 歴史と「異界」の交錯―中里介山「夢殿」論― 早川芳枝
 現代日本文学における「異界」の諸相
 ―村上春樹から現代ホラー小説、家族小説、戦争文学まで― 石田仁志

第四章 現代日本における異界思想とその超域―言説史・社会言語学・文化原理考想―
 「異界」の諸相―語誌の展開をめぐって― 池原陽斉
 「異なものとの交流」としての異文化コミュニケーション 渡辺学
 超域する「異界」とは何か?―Meta2の冒険― 高橋吉文

おわりに 大野寿子
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私は、第一章の最初に書かせていただきました。

梅花女子大の大学院の授業でグリム童話「いのちの水」のヨーロッパの類話を比較考察した
その苦労の成果でもあります。
(論文の末部の「追記」で一緒に調べて、作表してくれた大学院生に謝辞を述べてあります)

日本の類話は「なら梨取り」です。表2と図2だけでも見てください。
苦労して作図しました。



これは、ヨーロッパの民話における「異界」との交流を可能とする仕掛けを図式化したものです。

ヨーロッパ人は、異界に命の水を取りに行く話を語るとき、世界の果てに在る異界に何日もかけて旅をする。
途中で助言者に会い、魔法の運搬手段を手に入れ、人工的なお城、一時間だけ開くお城、魔法や呪いをかけられた城へ辿り着く。
その城にはライオン(竜、魔女)が番をしており、魔法の贈り物を用いて(外魂を壊すことにより)退治する。
ライオンがなぜか美しい王女の見張りをしている。一時間という時間制限の中で城の中庭の泉から命の水を手に入れる。

一度、本書を手にとって見ていただけると、ありがたいです。

「柳生民話地図」の英語版とドイツ語版ができました。ネットにアップ!

2013年02月02日 | 日記
■昨年春には、「柳生民話地図」日本語版を作成しました。



柳 生 民 話 地 図
YAGYU FOLKTALES WALKING MAP (c) 2012

発行: 奈良教育大学「地域と伝統文化」教育プログラムまほろばプロジェクト
監修: 奈良教育大学 竹原 威滋(特任教授)、青木 智史(特任講師)
作画: マスダケイコ 山崎彩乃
再話: 村上 郁

原話資料
(1) 進藤秀樹・竹原威滋・丸山顕徳編 『奈良市民間説話調査報告書』(奈良教育大学刊)
(2) 阿部奈南・進藤秀樹・垣崎仁志編「月ヶ瀬村の伝説と世間話」(『昔話―研究と資料29号』)
(3) 島田芳夫編『大和の伝説 覚え書』(稿本)
(4) 高田十郎編『大和の伝説 増補版』(大和史蹟研究会刊)

国立大学法人
奈 良 教 育 大 学
NARA UNIVERSITY OF EDUCATION


■今春は、英語版とドイツ語版を作成しました。



YAGYU FOLKTALE WALKING MAP (c) 2013

Published by the Graduate School of Nara University of Education,
Educational Program “Region and Traditional Culture”.

Compiled under the supervision of Takeshige Takehara and Satoshi Aoki.
Graphic design by Keiko Masuda and Ayano Yamazaki

English Version:
Edited by Masaru Tongu,
Rewritten by Kaoru Murakami
Translated by Hisami Iwase

次の9話が英訳されています:

1. Yagyu Sekishusai and stone of a slash
2. Ofuji-ido Well
3. Jubei Cedar
4. Koshiita Jizo of Hirooka
5. Origin of place name of Myoga
6. Monkey’s liver
7. Jizo of Mima-toge Pass
8. Stone fight between two tengu
9. The story of Princess Sonou





Wanderkarte der Volkssagen in Yagyu (c) 2013

Herausgeber: Graduiertenkurs des Paedagogikprogramms
„Region und traditionelle Kultur“ der Paedagogischen Hochschule Nara
Leitung: Takeshige Takehara und Satoshi Aoki
Graphik: Keiko Masuda und Ayano Yamazaki

Deutsche Ausgabe:
Leitung: Iijima Shoji und Edda Binder-Iijima
Nacherzaehlt von Kaoru Murakami
Uebersetzt von einer Studentengruppe der Japanologie der Universitaet Heidelberg

次の9話が独訳されています:

1. Yagyu Sekishusai und Ittouseki
2. Der Brunnen Ofuji
3. Die Jubei-Zeder
4. Die von Kreuzschmerzen heilenden Jizou von Hirooka
5. Der Ursprung des Ortsnamens Myouga
6. Die Leber des Affen
7. Der Jizou von Mima-Pass
8. Die Steinschlacht der Tengu
9. Die Geschichte der Prinzessin Sonou



■いずれも、奈良教育大学のホームページにアップされています。


地域と伝統文化教育プログラム

柳生民話地図一覧

柳生民話地図英語版

柳生民話地図ドイツ語版

「柳生民話地図」の中国語版も近く完成予定です。


奈良のみなさま
ふるさとの民話を世界に発信してください!


奈良の教員のみなさま
世界遺産教育の教材にしてください!


奈良の観光で町おこし関係者のみなさま
外国人の観光客に印刷してご利用ください!


今日は、民話地図の案内でした。

2月になり、日差しが明るくなってきましたね!



★グリムと民間伝承研究会(グリミン)★第56回例会案内★武庫女大・野口ゼミの学生8名発表!

2013年01月26日 | 日記
今年も卒論発表の時期となりました。

今回は武庫川女子大学の野口ゼミの学生8名に発表してもらうことになりました。
関西学院大学、関西大学、梅花女子大の院生たちも聴きにきてくださるようです。
是非、若い学生たちの斬新な発表を聞いて、励ましてあげてください。

よろしかたら、どなたでも聞きに来てください!

いずれもグリム童話に関する興味深い発表ですよ!


★グリムと民間伝承研究会(グリミン)★第56回例会案内★


●日時: 2013年2月3日(日)午前10時~午後6時
     (時間厳守:早めにお出でください) 
     (昼休みが短いので、必ずお弁当をご持参ください)
●場所:
 武庫川女子大学 鳴尾キャンパス MM503教室(マルチメディア館 5階)
〒663-8558 西宮市池開町6-46 文学部 野口芳子研究室 0798-45-7948

●道順:
 阪神電鉄・梅田→(急行10分)→尼崎→(普通10分)→
 鳴尾→(徒歩7分)→大学
  案内地図は下記サイトをご覧下さい。
  中央キャンパス

●内容: 各自、発表15~20分、質疑など10分 計30分です。

★ 野 口 ゼ ミ 生 卒 論 合 評 会 ★
 ■10:00~12:30 発表・午前の部
 ■10:00-10:10 グリミンについての説明      グリミン世話人 竹原威滋
  10:10-10:30  開会挨拶:今年の卒論の紹介    指導教授 野口芳子

 武庫川女子大学 野口ゼミ生
 1.10:30-11:00 グリム童話における「竜」について  佐々木阿紀
 2.11:00-11:30 グリム童話における「キス」について 井上百合
 3.11:30-12:00 グリム童話における「卵」について  杉野礼香
 4.12:00-12:30 グリム童話における「巨人」について 稲田彩芳

 ■12:30~13:30 昼食(出席者紹介)
  日曜日ですので、大学食堂も休みです。買いに行く時間がないので、
  ★各自、弁当・お茶をご持参ください★

 ■13:30~16:00 発表・午後の部 I
 武庫川女子大学 野口ゼミ生
 5. 13:30-14:00 KHM15「ヘンゼルとグレーテル」の初期の英語訳について 石野真以子
 6.14:00-14:30 グリム童話における「こびと」について 殿本恭子  
 7.14:30-15:00 グリム童話における「鏡」について   辻野菜緒子
 8.15:30-16:00 グリム童話における「涙」について   杉本鮎美

 ■16:00~16:20 ティー・タイム休憩
 
■16:20~17:50 午後の部 Ⅱ
★科研メンバーによる来年度日本独文学会秋季シンポジウム発表の打ち合わせ★

 日曜日なので、18:00 までに大学退出を厳守です。
時間厳守で始めますので、9時50分には集合してください。
よろしくお願いいたします。

★世話人
  池田香代子
野口 芳子
  竹原 威滋

■次回グリミン例会予告■

第57回グリミン例会 2013年5月26日(日)午後1時半~ 東京外国語大学
  2013年日本独文学会春季研究発表会(東京外国語大学 5月25日~26日)の2日目午後です。
  ●内容:クラバート伝説:ソルブ民族のアイデンティティ形象と、文学におけるメルヒェン及び伝説定義の視点から 
    伊藤 惟 (名古屋大学大学院 国際言語文化研究科 修士課程)
  ●科研メンバーによる来年度日本独文学会秋季シンポジウム発表の打ち合わせ

■学会情報■
★国際口承文芸学会 (ISFNR) 第16回大会 予告:
 2013年6月25日~30日 ビリニュス市(リトアニア共和国)
 ビリニュス大学 リトアニア民間文芸研究所
 総合テーマ:現代社会における口承文芸、その統一性と多様性
  ●参加予定の方は以下に注意!●
 学会発表申込は終わりましたが
 学会参加申込は:2013年4月1日までは早期割引あり。参加費:300ユーロ
   詳しくは大会案内サイト参照
   学会HPサイト参照



今日は、グリミンの案内でした!

寒くなってきましたね!  風邪に注意!
みなさま、睡眠をとって、温かくしてくださいね。

五条市念仏寺の「陀々堂の鬼走り」を見てきました!

2013年01月19日 | 日記
1月14日夜、奈良交通観光バスの企画する「陀々堂鬼走り」見学会に参加しました。

陀々堂鬼走りは、国の重要無形民俗文化財に指定の、五百年の伝統を誇る火の祭典です。
一度は見たいと思っていたので、思いきって行ってきました。


鬼走り保存会の前会長の方から祭りの意義についてお聞きしました。

鬼走りというのは、本来は悪鬼と疫病を払う「追儺、鬼追い」ともいわれる節分の行事であるが、
陀々堂の鬼はしり行事の鬼は、追い払われる対象となる悪い鬼ではなく、
阿弥陀如来に仕え災厄を除き、福をもたらす善い鬼とされています。

室町時代から500年以上も続いているそうです。
燃えさかるたいまつを振りかざした父鬼・母鬼・子鬼が堂内を豪快に走り回り、
住民の災厄を払い五穀豊穣を祈願します。


まずは、五條の柿の葉寿司で腹ごしらえをしました。


御すし屋のロビーに父鬼のレプリカがかかっていました。

観光バスなので、市内から5分ぐらいで念仏寺に着きました。


松明(たいまつ)が焚かれ、祭りの気分が高まりました。


午後9時、いよいよ棒打ちの音、法螺や太鼓の響く中、



燃え盛る松明(たいまつ)が堂内に入りました。


堂内では僧による読経の声も鳴り響いています。


ついに父鬼(赤鬼)の登場!
かがり火の中に浮かぶお面、とても神秘的に感じました。
善い鬼だけあって、恐くなく、やさしささえ感じました。


次は、母鬼(青鬼)の登場!


そして、子鬼(茶鬼)の登場!

3人の鬼は、堂内を3度めぐり、祭りは最高潮!


父鬼は口を開けていますが、子鬼はつむっています。



鬼走りが終わると、境内は暗く、現実にもどり、再び観光バスに乗り、近鉄奈良駅に着いたのは、午後11時半でした。


異界からくる鬼、人々に幸せをもたらす鬼に出会い、今年もパワーをもらい、
寒さ厳しい夜でしたが、心あたたまる一日でした。