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竹原BLOG:奈良民話祭り ― グリム童話・メルヘン・語りの文化 とっておきの話。 

夏の奈良民話祭り:8月5日(金)午後3時より奈良町物語館で4回公演!
奈良燈花会に行きがてら、ぜひ来てくださいね!

ならまち民話地図のドイツ語ヴァージョンを公開!

2011年02月07日 | 日記
ならまち民話地図のドイツ語版がこのほどようやく完成しました。


監修:竹原威滋/飯島昭治、作画:マスダケイコ、協力:青木智史
翻訳:田原逸雄/ハイデルベルク大学日本学研究室学生グループ

奈良教育大学と姉妹大学:ハイデルベルク大学、およびドイツ語企画の田原さんの
協力により出来上がりました。

私のホームページにアップしました。下記のサイトをクリックしてください。

Wanderkarte der Volkssagen in der alten Stadt Naramachi

2ページ目にならまちの民話9話のテキストが載ってます。
ダウンロードして、ゆっくり読んでみてください。

英語で読みたい人は次のサイトをご覧あれ!

Naramachi Folktales Walking Map

もちろん、日本語でも読めますよ!

ならまち民話地図

さらに、動画版でも見てください。お話の現場の写真も見れますよ!

ならまち民話地図・動画版

近日中に中国語ヴァージョンもアップします。

お楽しみに!

ナーミンテラーが奈良市生涯学習センターで1月26日に奈良の民話を語りました!

2011年01月31日 | 日記
私ども「ナーミン・テラー」(奈良の民話の語り手)は
奈良の方々の要望に応えて、お話の「出前」の活動をしています。

今回は、1月26日(水)午前10時から奈良市生涯学習センターにて
「ナーミンおはなし会」を開催しました。

託児ボランティアを始めようとされている方達(講座受講中)が聞いて下さいました。
そのプログラムを掲げます。

ナーミンおはなし会

1 あいさつ
2 手あそび  (大西)
3 おはなし  おふじ井戸(粟田)
4 紙芝居   いうなの地蔵(粟田)
5 おはなし  広岡の腰痛地蔵(小西)
6 てあそび  (大西)
7 おはなし  じいにすいつこう(吉本)
8 紙芝居   帯解の龍(吉本)
9 おはなし  不審ケ辻の鬼(稲実)
10 おはなし  京の大仏と奈良の大仏(稲実)
11 紙芝居   良弁杉(小西)
12 子守唄   (大西)

十数人の方々がとても熱心に、そして楽しそうに聞いて下さいました。
回を重ねる毎に、おはなしが語り手の中にしっくり入ってきているように感じました。

また、施設長の小川嘉子さんからも次のような、ありがたい感想をいただきました。

「歴史の町 奈良には このように多くの民話伝説
 昔話が あるのだと再確認しました。
 子どもたちと地域の人にふれ話を聞いてみたいと思いました。
 その上、やさしいリズムで語りかけていただき私の心の琴線は大きくゆれ
 感動をし心を温かくしてくれました。
 どの子も育やかな成長を願い託児依頼される保護者の方にも
 伝えられるといいなあと思いました。」

これからも、機会があれば、地域の方々に
お話を届けたく思います。





グリミン第52回例会(2月6日)案内:野口ゼミの学生10人が発表します!

2011年01月24日 | 日記
昨日のブログでは野口芳子さんのテレビ番組を紹介しましたが、
今日は、野口芳子、池田香代子、竹原威滋が幹事を務める
グリミン(グリムと民間伝承研究会)の第52回例会の案内をします。

グリミンは、グリム童話を初めとしてドイツ語圏の伝承文学を
研究するグループです。
詳しくは、下記のサイトをご覧下さい。
グリムと民間伝承研究会

今回は野口芳子先生の下で卒論を仕上げた学生さんの
「卒論発表会」です。
グリム童話をさまざまな視点から考察した発表です。

日ごろ、民話を語っておられるナーミン(奈良の民話を語りつぐ会)の方々も
都合がつくようでしたら、是非いらしてください。
きっと、いい刺激をうけますよ!


それでは、以下の案内をご覧下さい:


★グリムと民間伝承研究会(グリミン)★第52回例会案内★ 
   
 今回は武庫川女子大学の野口ゼミの学生19人中10人に発表してもらうことになりました。
 関西大学の浜本ゼミ、関西学院大学、梅花女子大の院生たちも聴きにきてくださるそうです。
  是非、若い学生たちの斬新な発表を聞いて、励ましてあげてください。

●日時: 2011年2月6日(日)午前10時~午後5時(時間厳守)(お弁当をご持参ください)
●場所: 武庫川女子大学 鳴尾キャンパス E 506教室
●道順:
 阪神電鉄・梅田→(急行10分)→尼崎→(普通10分)→ 鳴尾→(徒歩7分)→大学
  案内地図は右記サイトをご覧下さい。  http://www.mukogawa-u.ac.jp/gakuin/access.htm

■10:00~12:40 発表・午前の部
10:00-10:10   開会挨拶:今年の卒論の紹介     指導教授 野口芳子
武庫川女子大学 野口ゼミ生
1.10:10-10:40 グリム童話における「楢」について     川島彩那   
2.10:40-11:10 グリム童話KHM53「白雪姫」について
―初めての英語訳‛Snow-drop’との比較―          東浦由佳
3.11:10-11:40 グリム童話における「薔薇」について    高谷佳乃
4.11:40-12:10 改変された日本の「赤ずきん」について   鈴木陽子

■12:10~13:00 昼食(出席者紹介)
日曜日ですので、大学食堂も休みです。買いに行く時間がないので、
★各自、弁当・お茶をご持参ください★

■13:00~15:00 発表・午後の部 I
5. 13:00-13:30 グリム童話における「鳩」について     新田真純
6.13:30-14:00 グリム童話「かえるの王様」の原文と
最初の英語訳との比較                     菊池美帆
7.14:00-14:30 グリム童話における「白」について     西田茉優
8.14:30-15:00 グリム童話における「鹿」について     岡井政子

■15:00~15:30 ティー・タイム休憩

■15:30~17:00 発表・午後の部 II
9. 15:00-15:30 グリム童話における「ロバ」について   中村 愛
10. 15:30-16:00 グリム童話における「医者」について   西 綾子
16:00-17:00 質疑応答

日曜日なので18:00 までに大学退出厳守です。
時間厳守で始めますので、9時50分には集合してください。

★世話人
池田香代子
野口 芳子
竹原 威滋

野口芳子がテレビ「スパモク」(1月27日)で『白雪姫』の恐い刑罰を読み解く!

2011年01月23日 | 日記
グリム童話研究の第一人者 :野口芳子さんが
1月27日(木)19時~21時TBS(関西地区MBS)テレビ
「教科書に載せたい」という番組に出演します。

この番組は、日本を代表する「知のカリスマ」である大学教授や文化人ら有識者に
「あなたの知っていることで、是非教科書に載せたいことは何ですか?」という
アンケートを実施!その結果を元に集まった選りすぐりの知識を次々と発表する番組です。

今回は、「本当は恐い新事実」が次々と明かされます。
野口さんは「白雪姫」の残酷さと中世の刑罰との関連について解明します!!

是非とも今週木曜日27日は早めに帰宅して、午後7時テレビを見よう!
MBS(関東地区TBS)テレビにチャンネルを合わそう!
(あるいは今すぐビデオに予約録画を!)

野口芳子さんは武庫川女子大学文学部教授で、
私たちの研究会「グリミン」(グリムと民間伝承研究会)の幹事でもあります。

野口芳子さんのプロフィールは下記サイトを見てください。

野口芳子の研究室

グリミンについては明日のブログに載せます。

お楽しみに!

ならまち民話現地探訪をしました!

2011年01月17日 | 日記
先週、木曜日(1月13日)に「なら・語り手入門講座」の方たちと
ならまち民話現地探訪を実施しました。
寒風の吹きすさぶ天候でしたが、総勢20名を超える方たちが
参加しました。


(猿沢池を背景に記念撮影)

途中で薄日も差し、2時間歩くうちに、体も温かくなりました。
コースは、近鉄奈良駅行基立像噴水前を出発、
東向き通 → 餅飯殿通 → 采女神社 → 不審ヶ辻 
→ 興福寺菩提院 → 春日大社大鳥居 → 影向の松
→ お旅所にて解散。

下記の民話地図で道順を確認してください。

ならまち民話地図

民話スポットで声に出して読んだ話は以下の通りです。

「東向き」の由来 → 「餅飯殿」の由来 → 采女神社の由来
→ 不審ヶ辻の鬼 → 十三鐘の石子詰め 


(民話地図を片手に持ち、民話の解説を聞く)

そのあと、おん祭りのお旅所なども見学しました。

今回は餅飯殿商店街の中ほどにある広場のビルの1階の片隅にある「理源大師堂」に
祀られている役の行者像と理源大師像をはっきり確認することができました。



詳しくは
4月21日ブログ
「餅飯殿商店街のど真ん中に理源大師がひっそり鎮座する!」
を見てくださいね。




毎日新聞にナーミン(奈良民話祭り)の活動が紹介されました!

2011年01月10日 | 日記
本日の毎日新聞の奈良地域面に
私どもの活動:ナーミン(奈良民話祭り)が紹介されました!



民話:再生願い「語り部」活動…奈良
 奈良の民話を研究している竹原威滋・奈良教育大特任教授(66)が中心になり、
失われつつある語りの文化を取り戻そうと、民話の再生に取り組む動きが広がっている。
核家族化が進み、民話が受け継がれていく機会が激減している中、新たな形で民話の魅力が見直されている。

詳しくは下記のサイトをご覧ください。

毎日新聞記事:民話:再生願い「語り部」活動…奈良

ならまち民話地図


今後とも私どもの活動を見守ってくださいね。


2011. 1. 10.
  
       奈良の民話を語りつぐ会代表
       奈良教育大学「まほろば」プロジェクト代表  竹原威滋

年頭に贈ることば:東の賢者・西の聖者

2011年01月10日 | 日記
みなさま、明けましておめでとうございます。

ある方から頂いた年賀状の、次の言葉に目がとまりました。

「目標があるから、頑張れる。
 夢があるから、輝いていられる。」

私も目標と夢をもって、この一年を歩んでいこうと決意を新たにしました。

このように、お正月には凡人でも、心あらたな気持ちになります。

次に紹介する「年頭に贈ることば」は、
自分の心を見つめなおすキッカケになればと思い掲載しました。

なりよりも私のこころに向けて贈られたものです。

■真言ぼだい会発行『ぼだい』676号より

賢者は、間違った時「私が間違っていた」と言う。
愚者は、間違った時「私のせいではない」と言う。

賢者は、自分の実力はまだまだであると考え、謙虚である。
愚者は、自分の実力を過信し、人を見下し威張り散らす。

賢者は、愚者よりもよく働く。しかも時間は愚者より多い。
愚者は、いつでも忙しそうにしている。文句を言うのにも忙しい。

賢者は、問題を真正面からとらえ、そして真っ直ぐ通り抜ける。
愚者は、問題の周りをグルグル回り、しかも言ったり来たりする。

賢者は、自分より勝(すぐ)るものに敬意を払い、学び取ろうとする。
愚者は、自分より勝るものを不快に思い、アラ捜しをする。

賢者は、物事がうまく行った時「運が良かった」と言う。たとえ当然の実力であったとしても。
愚者は、物事がうまくいかなかった時「運が悪かった」と言う。しかし、運が原因ではない。


この東洋の賢者の言葉を読んで、思い当たる節があります。
やはり、私は愚者だな!


■ 聖フランチェスコの祈りより

私を平和の道具にしてください。

憎しみのあるところには愛を
争いのあるところには赦しを、分裂には一致を、
疑いには信仰を、絶望には希望を、闇には光を、   
悲しみには喜びをもたらす者にしてください。 
 
慰められるより慰める者に、理解されるより理解する者に
愛されるより愛する者にしてください。


この西洋の聖人の言葉は実行できないけれど、
これができれば、今すぐにでも平和がおとづれるのに。


東の賢者のことばも、西の聖者のことばも
年頭にあたり、じっくりかみしめておきたいものですね。


My Best Blog: マイ ドリーム 奈良民話祭り in 燈花会(再掲)

2011年01月03日 | 日記
年頭に当たり、私のブログで一番見られている記事を再掲します。
「マイ ドリーム 奈良民話祭り in 燈花会」(2010.4.7.)


奈良の皆さまへ
民話を愛する皆さまへ

Our Dream - 私 た ち の 夢
We have a Dream.
私たちには夢があります。
それは、なら燈花会のほの明かりの中で民話を語ることです。


(なら燈花会の浅茅が原会場 2009年夏)

万葉集に次の歌があります。

                

   春日野の浅茅が上に 思うどち
         遊ぶ 今日の日 忘らえめやも(万葉集、巻 10-1880)

今から1300年前、万葉人は、春日野の浅茅が原で遊んでいたのだ。

   春日野の浅茅が原で、愛する人々が 遊んでいる。
         今日のこの日をどうして忘れることができようか。

いったい、万葉人は何をして遊んだのだろうか。
歌あそび、物語り、かくれんぼ
きっと、薄明かりの中で、妖怪話や伝説も語ったのではないだろうか。
私は昨夏、なら燈花会の浅茅が原会場を歩きながら、
そのようなことを空想していた。

いつの日か、奈良の民話を語りつぐ会の人たちと
なら燈花会の薄明かりの中で民話を語りたい。

ゆかた姿の若いカップルの前で、采女の恋の物語を語りたい。
腕白坊主の前で、元興寺の鬼の話を語りたい。

We have a Dream.
私たちには夢がある。
なら燈花会のほの明かりの中で民話を語りたい。
Yes,we can!

              

そして、平城遷都1300年の昨年から古事記誕生1300年の来年に向けて
私たちは2年目の歩みを始めます。


2011.1.3.      奈良の民話を語りつぐ会



私の年賀状:兎のように飛躍の年に!!

2011年01月01日 | 日記
奈良県民のみなさま!

ナーミン(奈良の民話を語りつぐ会)のみなさま!
奈良教育大、奈良大、梅花女子大、ハイデルベルク大の愛する学生のみなさま!
「なら・語りの入門講座」受講生のみなさま!
比較民話研究会のみなさま!
グリミン(グリムと民間伝承研究会)のみなさま!
【科研:超域する異界】のみなさま!

そして、このブログを開いてくださったあなたへ!


明けまして、おめでとうございます。

皆さまのご健勝とご多幸をお祈りいたします。
本年も、よろしくお願い申し上げます。

91歳の母とともに新年を迎えることができました。

定年後も、いくらかの大学でドイツ語や伝承文学の講義をするかたわら、
奈良の語りの文化の再生にとりくんでいます。

奈良の民話を語りつぐ会代表  竹原威滋


以下は私の年賀状です。


「もし、ふたりが死んでいなければ、まだ生きています。」 →グリム童話「いばら姫」の結末句だって!

2010年12月27日 | 日記
今年の「奈良民話祭り」も終わり、新年を迎えようとしています。
このブログも開設後9ヶ月になります。
今までは奈良の民話、奈良の伝承文化について綴ってきましたが、
今後はグリム童話など世界の語りの文化に話題を広げます。

そこで今日は何にしようかな?と思案していたら、
窓から我が家の庭に目を向けると、なんとこの寒さの中
バラが健気に咲いているではないか!
(背後には南天の赤い実もみえるでしょ。)



そこで思いついたのが、グリム童話「いばら姫」です。

グリム兄弟の兄ヤーコプは、25歳のとき、
当時22歳であったマリー・ハッセンプフルーク嬢から
「いばら姫」の話を聞き書きしている。

その聞き書き原話を訳して載せましょう。

ある王さまと王妃さまには子どもがひとりもいませんでした。
ある日のこと、王妃さまが水浴びしていると、
一匹のざりがにが水から陸(おか)に這い上がってきて、言いました
「あなたは、まもなく娘を得ることになるでしょう。」
すると、その通りになりました。

喜んだ王さまは盛大な祝宴を催しました。
この国には、十三人の妖精がいましたが、
王さまは金の皿を十二枚しか持っていなかったので、
十三番目の妖精は、招くことができませんでした。
妖精たちは、王女にあらゆる徳や美を授けました。

さて、祝宴が終わりに近づいたとき、十三番目の妖精が来て言いました
「お前たちは私を招かなかったね。そこで、予言しでおくが、お前たちの娘は、
十五歳になったら指につむをさし、それで死ぬでしょう。」

ほかの妖精たちはできるかぎり、これをやわらげようと思って言いました
「王女は、百年の眠りにおちるだけにしましょう。」

けれども、王さまは、国じゅうのつむをすべて処分するようにという命令を出し、
その通り行なわれました。

そして王女が十五歳になったある日のこと、両親は外へ出かけていましたが、
王女は城の中を歩きまわったあげく、ある古い塔にたどりつきました。
その塔には、狭い階段が通じており、やがて王女は小さな戸のところへ来ました。
その戸には黄色い鍵がささっており、王女がそれを回して小部屋に入ると、
そこでは、ひとりのおばあさんが亜麻を紡いでいました。

王女はおばあさんをからかい、自分でも紡いでみようとしました。
すると、王女はつむに刺さり、すぐに深い眠りにおちてしまいました。

ちょうどその瞬聞に、王さまと廷臣たちが帰ってきたので、
お城の中のものはみんな、みんな、壁のはえまでが眠りはじめました。
そして、城全体のまわりには、いばらの垣根が生え広がり、
城のものは何も見えなくなりました。

それから、長い長い年月がたって、ひとりの王子がこの国にやってきましたが、
あるおじいさんがその王子に自分の祖父から聞いて覚えている話を語り聞かせました。
「これまで多くの人々がいばらを通り抜けて行こうと試みたけれど、
みんな、いばらにひっかかつてしまつた」というのです。

ところが、この王子がいばらの垣根に近づと、
いばらはみな花のようになって道をあけ、王子が通りすぎると、
また、いばらにもどりました。

さて、王子が城の中へ入ると、眠っている王女にキスをしました。
すると、みんなは眠りからさめました。そしてふたりは結婚しました。
もし、ふたりが死んでいなければ、まだ生きています。

皆さんはこの話は、よくご存知なので、すっと読めたでしょう。
でも最後の「もし、ふたりが死んでいなければ、まだ生きています。」は
なんだか、変ですよね。でもこれは、ドイツの口伝えの昔話で
よくでてくる結末句なのです。
まあ、日本の昔話の「お話、こっぷりこれでおしまい」にあたります。


春日若宮おん祭の神さんはシンデレラ姫のように夜中12時までに帰宅するってご存知?

2010年12月20日 | 日記
先週金曜日、つまり12月17日は、奈良の年に1度のお祭「春日若宮の875回目おん祭り」でした。
奈良のみなさま、今年もお渡り式を見られましたか?
下記の写真は今年の「お渡り式」の様子です。


第一番 日使(ひのつかい) 第二番 神子(みこ)


第七番 競馬(くらべうま)

おん祭りといえば、平安から江戸時代までのさまざまな時代衣装をつけた千人余りの
行列「お渡り式」を連想されますが、
おん祭りの一番の見どころは、
若宮をお迎えする「遷幸の儀」と若宮をお還しする「還幸の儀」にあります。

12月17日の午前0時になると、境内のすべての明かりが消される。
まず、神官が若宮の社殿の戸をトントンたたかれ、若宮の神さんが社殿からお出ましになる。
多数の神官が捧げ持つ榊に幾重にも囲まれ、白布で包まれた若宮の神さんは、
約1キロ離れたお旅所へ向かう。
ただひとつの松明(たいまつ)の明かりを頼りに進む。
その際、「おおー」という神官のミステリアスな声が闇に響き渡る。
磯笛にも似たその声を聞くと、
参拝に来た人々は、ほんとに神さんが臨在しておられるのだとの
実感を持ち、厳かな、恐れおおい気持ちになる。

この音を聞くと、古代日本人の神観念を今に伝えているのだと深い感動を覚える。
伊勢神宮の20年に一度の遷宮の遷御(とぎょ)にも同じような祭礼が行われているという。

若宮の神さんがお旅所に着き、黒木の仮殿にお入りになると、
神饌(お供え)が捧げられる「暁祭」がある。

夜が明け、そして午後になると、
お渡り行列が県庁前から近鉄奈良駅からJR奈良駅前を回り、
後は三条通りを東に向かう。
そしてお旅所に順次到着する。

午後2時半からは「お旅所祭」。
黒木の仮殿の前に芝舞台があり、午後3時半ころから午後11時ころまで、
神楽(かぐら)、東遊(あずまあそび)、細男(せいのう)、田楽、猿楽、舞楽など、
さまざまな芸能が奉納される。

若宮の神さんは芸能を通じて人々と楽しいひと時を過ごされ、
午後11時を過ぎると、もとの社殿へお帰りになる。
いわゆる「還幸の儀」である。
シンデレラ姫と同じで、夜中の12時を過ぎてはならない決まりになっている。

要するに、正味24時間だけ、若宮の神さんは山中の社殿を離れ、
人里に降りられ、五穀豊穣を祈り、村人たちと楽しい一日を過ごされるというわけである。

みなさん、是非とも、夜中の「遷幸の儀」か「還幸の儀」をみてください。
来年は12月17日は土曜日なので、じっくり見れますよ。
古代の日本人の神観念を今に伝える「厳粛なる原初的な祭礼」を体験してください!
冬の夜半は寒いので、厚手のコートと、はるカイロをお忘れなく!
寒いけど、見る価値はおおいにありますよ!

井氷鹿姫とは?「古事記神話」から「ふるさとのロマンチックな伝説」へ

2010年12月13日 | 日記
奈良の人々は「古事記」の物語をどう伝えてきたのでしょうか?

今日はその事例として「井氷鹿姫」を取り上げましょう!

記紀神話に、神武天皇が熊野から吉野に入り、井氷鹿/井光(いひか)という人物に出会っている。

「古事記」ではこう伝えている。

 尾のある人、井より出て来たりき。その井に光ありき。
 ここに「汝は誰ぞ」と問ひたまへば、
 「あは国つ神、名は井氷鹿(いひか)と謂ふ」と答へ曰しき。
 こは吉野首(よしののおびと)等の祖なり。

また、「日本書紀」ではこう伝えている。

 人有りて、井の中より出でたり。光りて尾有り。
 天皇問ひて曰く「汝は何人ぞ」。応えて曰く
 「臣は是れ国神なり。名を井光(いひか)と為す」。
 此れ即ち吉野首部(よしののおびと)が始祖なり。

記紀神話はよく似た話で、井光は穴の中から現われ、しっぽが生えていたと伝えています。
古事記では「井戸」が光っていたとするのに対して、日本書紀では、光っていたのは「井光の体」です。

なぜ、井戸が光っていたのでしょう?
その井戸は掘ったら、水銀が出てきたので、上から見ると、光っていたのでしょう。

さて、記紀神話、いわゆる文献では以上のように記載されているのですが、
土地の人々は、どのように語っているのでしょうか?

比較民話研究会の私どもが吉野山で1994年春に調査した話では
次のように語られていました。

井光の井戸

むかし、神武天皇が九州から東に向かって進んできて、吉野山を越えて行かはってんて。
そのとちゅう、山の中腹に大きな杉の木があって、根もとのとこに井戸があってん。
神武天皇がその井戸のとこを通りかかると、井戸の中からものすごい光がさして来てんて。
みながびっくりしてるとな、光の中からしっぽのある人が出てきて、神武天皇の前にひれふしたんやて。
神武天皇が、「お前は何ものか」て聞かはったら、その人は、
「私は、この吉野山に住む吉野首(おびと)というものです。
天皇の道案内をしてさしあげようと思って、お待ち申し上げておりました」いうねんて。
神武天皇は喜んで、吉野首に道案内してもろて、また東に向かって行ったいうことや。
その井戸は今もあって、近くに井光山(いびかりざん)いうお寺と、井光神社いうてちいちゃい祠があるねん。

原話:『奈良県吉野町民間説話報告書』
再話:村上郁

私どもの聞いた別の話ではこう語っています。

この井戸には井氷鹿姫が住んでいたのです。

その証拠に井光神社が奈良県吉野郡川上村井光にあり
祭神は「井氷鹿姫」だそうです。

庶民の伝える話はロマンチックですよね。


(挿絵:マスダ ケイコ)

杉の根元に井戸があり、そこを天皇が通りかかり、
井氷鹿姫が井戸の中から現れ、天皇に水を差し出し、言葉をかわしたというのですから。

万葉集以来、日本文学の恋の舞台の伝統的なシーンのひとつは
「木の生えた泉のほとりで男女が愛の言葉を交わす」
なんですからね!


英国のグリム:ジェイコブス と イソップ寓話

2010年12月06日 | 日記
奈良民話祭りが無事終わりましたので、
ここらで、ちょっと話題をお話の世界に戻しましょう!

グリム兄弟が当時のドイツでメルヘンを集めたように、
ジョーゼフ・ジェイコブズはイギリスで民話を集めました。

たとえば、「ジャックと豆の木」、「3匹の子豚」などは
誰でも知っていますよね。

これは、ジェイコブズの『イギリス民話集』に収められた
典型的なイギリスの民話です。

ジェイコブズも、グリム兄弟がやったように、
採集した話の内容を変えないで、
方言なども出来る限り生かして、再話をしています。

そうゆうわけで、ジェイコブズが
「イギリスのグリム」といわれるのも納得できるでしょう。

また、ジェイコブズは学者として、イソップの研究でも
功績を残していることを知りました。

それは、11月11日のブログで紹介した展示
「梅花女子大学・児童文学教育と研究28年の歩み」で
共同研究「イソップ」関連資料をみたからです。

その資料の中にジェイコブズ編『イソップ寓話』が
ありました。

The Fables of Aesop
Traced by Joseph Jacobs
Pictures by Richard Heighway.
Macmillan, 1894



表紙の絵は「キツネとカラス」の挿絵です。

それではその話を語りましょう!

         キツネ と カラス

 ある日のこと、カラスが一片のチーズを盗み、
ゆっくり食べるようにと、それをくわえて樹に飛んで行った。

 カラスがそれをくわえて樹に止まっていると、
ちようどキツネが通りかかり、仰向いてカラスを見た。

 キツネは思った
(あー、あのチーズの匂いがなんともたまらない。
あれを奪ってやろう、なあにそれは簡単さ!)

 キツネは樹に近寄って来て、カラスに言った。
「奥さん、なんてあなたは美しくていらっしゃるんでしよう!
こうも稀れな美貌をそなえていらっしゃろうとは、
今の今まで存知ませんでした。
羽色の艶々しさ、お姿の美しいように、
お声もきっと美しいのでしょうね。
そうなら、あなたは、鳥の女王ですよ!
一つ歌って聞かせて下さいませんか?」

 ところで、カラスの、「かあ! かあ!」という声が音楽的でないことは
世に知れ渡っていた。
 用心すべきであったのに、カラスは、キツネのお世辞があまり嬉しかつたので、
キツネに美しい声を聞かせてやろうとして、
口を開いた途端に、チーズが落ちて、
下で待ち構えていたキツネの口に入ってしまった。

 キツネはそれをひとロで食べてしまい、
それから、ちよっと立ち止まって言った。

「親愛なるカラスさん、あなたの声は十分に美しいですよ。
でも、おつむが足りないですね!」


 褒められていい気になりすぎると、痛い目をみることになるぞ!!

おしまい。




秋の奈良民話祭り・盛会!・多謝!

2010年12月02日 | 日記
秋の奈良民話祭は、11月27日・28日の2日間にわたり、
国際奈良学セミナーハウスで行われ、
延べ約200人の方が参加してくださり、
とても楽しい会になりました。


子どもたちも喜んで参加してくれました!


フィナーレ:笑顔の語り手たち!


上記の讀賣新聞の紹介記事を見て、来てくださった方もいましたよ!

毎日新聞にも取り上げていただきました!


詳しくは、下記のサイトをみてくださいね。

奈良民話祭り:50人、耳傾ける

来てくださったみなさま、ありがとう!

再来年は「古事記」誕生1300年です。
それに向けて来年も「民話祭り」を開催いたします!!

来年も民話祭りでまた会いましょう!

The Namin-Teller(奈良の民話・語り部)のみなさま、お疲れさまでした。

奈良の民話を語りつぐ会 代表 竹原威滋



奈良民話祭り今日もあるよ!

2010年11月28日 | 日記
昨日の奈良民話祭り、延べ百人近くきていただき、楽しい会になりました。
写真で綴る1日目の様子です。


会場:国際奈良学セミナー玄関に立つのぼり



子どもたちと「奈良の大仏さん」を歌いながら、遊戯。


紙芝居をじっと見るこどもたち

今日も午後1時半と3時に秋の民話祭り2日目が開催されます。

プログラムは以下の通りです。

★11月28日(日)のプログラム

☆1回目 13:30~14:30
 
挨拶
わらべ歌  奈良の大仏さん
語り    修二会をお水取りというわけ
紙芝居   良弁杉
わらべ歌  ちぃちゃんぱぁちゃん
語り    けちんぼ長者
語り    大安寺西塔と礎石
語り    カミナリのくれた怪力とフリガンズシのいわれ
わらべ歌  大さむ小さむ
語り    かぐや姫
語り    爺にすいつこう
わらべ歌  奈良の大仏さん
挨拶

☆2回目 15:00~16:00

挨拶
わらべ歌  奈良の大仏さん
語り    鬼子母神とザクロ
語り    采女神社のはなし
紙芝居   帯解の龍
紙芝居   いうなの地蔵
わらべ歌  ちぃちゃんぱぁちゃん
語り    不審ヶ辻の鬼
語り    おふじ井戸
わらべ歌  大さむ小さむ
語り    ほととぎすの声
語り    おに女房
わらべ歌  奈良の大仏さん
挨拶


是非、いらしてくださーい!