えぬ日和

日々雑記。第二、第四土曜更新を守っているつもり。コラムを書き散らしています。

・未年のあのころ

2015年01月01日 | 雑記
紙を毎年貼り直していた障子戸――今ではすりガラスの格子戸に変えられてしまった――越しの物柔らかな光に照らされた和室で祖母に一声かけてから、こたつを出して画材を広げ一枚五十円のざらついた葉書へパステルを刷り込んでいた未年から二度目の未年を迎える。今とその時の間には十二年が横たわる。

かつて一つのクラスに人を固めていた学生生活では正月休みが過ぎれば必ずクラスの人々と顔を合わせるため、年賀状は書かなければ手渡しでも親しい人、特に一月一日にきっちり間に合わせて年賀状を送り届ける人へ渡さなければならないそれは幾分かの気まずさを含んだ義務だった。けれども年を重ねるにつれて年明けに必ず顔を合わせる他人の数は徐々に減り、新しく行く先でも去るところでも、誰かへ住所を尋ねることに何とはなしに気恥ずかしくまた後ろめたい心地がまつわるようになっていた。年越しを共に過ごす家族たち、祝いの言葉を贈る相手、着実に訪れる変化はある日突然に大きな変化として気づいてしまう。

せいぜいそれくらいは気づくことができる程度に鈍感でいたいと願いつつ、年初めの一文とさせていただきます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます次第。
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