トラブルシューター

私の修理・製作体験記(茨城・県西おもちゃ病院・JA7FJP/1)

オープンリールデッキ(RD-9600)修理

2016-03-26 17:16:34 | 家電修理

 大分前に、先輩から古くて珍しいOTTO製(SANYOのオーディオブランド名)オープンリールデッキ(RD-9600)の修理を、いつでも良いからと依頼され、預かった時に、動作確認したところ、操作が効かない・雑音が入るといった症状で重症の様だったので、そのまま中断していた。

先日、使いたいのだが、どんな様子かと問い合わせが有ったので、難しそうだと答えたが、調査を再開することにした。
 まずは、操作に対するコントロールを行っていると思われる基板の電解コンデンサと整流ダイオードを全て交換することにした。

これが功を奏した様でメカは正常に動作する様になった。
シンクロナスモーターを使用しており60Hzのラベルが貼られているのが気になる。
同じデッキで録音・再生する分には問題無いが、他のデッキとテープをやり取りした場合にはスピードが異なることになる。

すると、次の問題が現れた。
R-CHは正常だが、L-CHに不定期なカリカリ音が混ざり、音声レベルも少し小さい。
ボリュームを0に絞っても、TAPEからLINEに切り替えても雑音は変わらないのでスイッチか、それ以降に問題が有りそうだ。
基板を取り外すのは難しそうだが、幸い木製の底板がねじ止めされており、基板裏面が開放となるので、スイッチの入力信号をL/R接続し直して見るが、変わらないのでスイッチは問題無い。

オシロで信号を当たっていくと、初段のトランジスタで発生している。
半田を吸い取り、トランジスタを取り外す。
トランジスタは松下製2SC828A(hfeランクS)が使われており、手持ちの2SC1815に交換すると雑音が消えて、音声信号が正常に聞こえて来た。その後、ネットで検索すると2SC828の互換品は2SC1815で正解だった様だ。hfeランクSは260~520で、交換した2SC1815のランクGRは200~400だから、良さそうだ。
合わせる意味でR側も交換する。
2SC828(S)はとっくに製造中止になっているが、ヤフオクで出品されているので、気にする方は、これを使っても良いだろう。
今までの修理経験から、昔のトランジスタは劣化してくると、この様な雑音が発生する現象が多い。

ヘッドは消磁して、ゴム製のローラーやベルトは専用クリーナーで清浄することで、更に音質が向上した様だ。
あとは、発振器を接続して、レベル合わせをする予定だ.

【レベル確認で問題が】
録音の確認をしようとしたらL-CHのレベルが異常に小さい。
2SA666(R)と2SK34によるイコライザアンプになっている。
2SA666は無いので、特性が近い2SA1015-GRに交換するが、少しレベルが上がったかなといった程度なので2SK34を手持ち品に交換するが変わらない。
コンデンサの容量抜けが無いかと、10uFセラコンをパターン面から並列に当てていくと、レベルの大きく上がるところが有る。C13およびC113で外すと10uF/16Vが使用されている。
これを手持ちの10uF/50Vに交換するとレベルが正常になった。
電解コンをLCRメーターで測定してみた。
取り外し品 容量:6.8uF ESR:123Ω
手持ち新品 容量:9.4uF ESR:9.0Ω
ESRが極端に大きく劣化が進んでおり、これが不良の原因の様だ。
2SA666は元に戻すが、正常だったので、トランジスタは不良になっていなかった。

コメント
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