犀川の河川整備を考える会

犀川の辰巳ダム建設を契機に河川整備を考え、公共土木事業のあり方について問題提起をするブログ。

辰巳ダム裁判>七周年集会の講演会の案内について

2015年04月22日 | 辰巳ダム裁判
 八ッ場ダム訴訟で大活躍の関 良基拓殖大学准教授をお迎えして辰巳ダムの問題点を解説していただきます。
時間と場所は、平成27年4月25日(土)13時30分~15時30分、近江町交流ブラザ(近江町市場ビル4階)です。

 前回、3年前の平成24年7月8日に辰巳ダム裁判4周年集会では、「過大な想定洪水と基本高水」というテーマでご講演いただきました。講演の中で、過大な基本高水の決定に、貯留関数法の定数(飽和雨量)と係数の問題がかかわっているということで、森林保水力問題が中心でした。

 今回は基本高水をわかりやすく説明していただいた後、中規模洪水から構築したモデルを大規模洪水に当てはめると過大になるという点を中心にお話していただき、犀川の基本高水も正しいパラメータを導入すれば大幅に引き下がるだろうという点まで話していただくことになっています。

 ところで、基本高水を決定する方法は、簡潔に表現すると、つぎの3段階です。
 ①雨量記録から100年確率の雨量を求める
 ②流出計算法で雨量からピーク流量を算定する
 ③ピーク流量群の最大値を採用する
 辰巳ダム裁判では、①と③は俎上にあげていますが、②については力不足もあり、議論はしていません。これは、裁判にかかわらず、辰巳ダム問題点として残されているものです。

 ②の流出計算法とは、辰巳ダムでは「貯留関数法」のことです。この方法の問題点も明らかになり、基本高水問題の議論も進化しています。関先生ご自身も故宇沢先生編著『社会的共通資本としての川』に続き、『社会的共通資本としての森』、さらに『社会的共通資本としての水』を出されました。これらのことを受けつつ、今回は、辰巳ダム裁判7周年の機会に、「過大な基本高水」について再び教えていただきます。

 辰巳ダム裁判控訴審の控訴理由を一言でいえば、なぜ過大な基本高水が算定されるかです。治水ダムは過大な基本高水で造られています。辰巳ダム計画では、内川ダム時点で基本高水1600でしたが、1750としたために、ダムが必要となりました。

 もし、流出計算法(貯留関数法)の計算で150を過大に計算されているとしたら、この指摘だけでダムは不要ということになります。

 辰巳ダムは完成しましたが、辰巳ダム問題はそのまま残っています。石川県の治水、のみならず今後の日本の治水問題を考える上で、辰巳ダム裁判で蓄積した議論は、いわば「社会的共通資本」と言えるかもしれません。辰巳ダム裁判では、科学的合理性を隠れ蓑に、各段階で安全側をとり、これが積み重なり、実体とかけ離れた過大なものになっていることをデータで示しても、合理性がないとはいえない、行政の裁量判断に委ねられている、結局は大きい方が住民の安全のためにいいのではないかという裁判所の判示に対して、説得力がもうひとつだったかもしれません。しかし、犀川では現在の過去100年間の記録を集めても、犀川大橋地点で流すことができる流量を超えたことはありません。つまり、犀川ダムも内川ダムも辰巳ダムがなくても氾濫しないのです。1つくらいは治水ダムがあっても安心のためとも考えますが、3つもいらないのは当然でしょう。なにごとも行政まかせではなく、より安全で安心できる社会実現のために、県民、国民の一人一人として学んでいくことは大切なことだと考えます。
 是非、ご参加をお待ちしています。

中 登史紀
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