犀川の河川整備を考える会

犀川の辰巳ダム建設を契機に河川整備を考え、公共土木事業のあり方について問題提起をするブログ。

辰巳ダム>飽和雨量※ について簡単な検証をした

2017年08月09日 | 辰巳ダム

 平成29年8月8日、台風5号が襲来して犀川流域の山間部では累計で300mmを超える降雨があったので、飽和雨量について簡単な検証をしてみた。

 時間あたりに流域全体に降った雨の総量を「総降水量」とし、時間あたりの「ダム流入量」と比較をしてみた。地表が飽和すれば、時間のずれがあって、降った雨がその大きさで流出する、つまり、ダム湖に流入するはずである。

 地表面が降雨で飽和すると、それ以上の雨は100%流出するといわれている。
 石川県が検証洪水で求めた飽和雨量は、
 犀川ダム地点 → 平均102mm
 内川ダム地点 → 平均106mm
 である。犀川の洪水流出モデルの飽和雨量は100mmに設定している。

 上流に洪水調節施設のない、犀川ダム、内川ダムについて試算した。
 「総降水量」と「ダム流入量」(実際のダム流入量から基底流量を引き算しした量)を比較した。

 試算した表をグラフ化したものが、図:犀川ダム、図:内川ダムである。(注:後で掲載!)
 図:犀川ダムで、「総降水量」の折れ線に3カ所の山があり、流域平均の累加雨量は左から119mm、220mm、268mm付近(図では表示されていない)であるが、「ダム流入量」の折れ線に反映されていない。地表が飽和して100%流出するという仮定が正しければ、山ができるはずである。268mm付近を超えたところでも「ダム流入量」の折れ線の山は見られない。

 図:内川ダム図でも、「総降水量」の折れ線に3カ所の山があり、流域平均の累加雨量は左から203mm、245mm、292mm付近(図では表示されていない)である。「ダム流入量」の折れ線になだらかな山は見られるものの、地表が飽和した形跡は見られない。

 ところが、いずれのケース、累計雨量についても反映されていない。飽和したとすれば、その後で大きな降雨があれば、その降雨による水量と同等の出水量があるはずであるが、地表で貯留され抑制された出水量となっている。

 ちなみに今回の雨の前の降雨は、犀川ダムでは、8月1日に2mm、辰巳ダムは、7月30日に3mm、内川ダムは、8月1日に2mmである。

※ 飽和雨量とは: 地表面の湿潤状態を表す。飽和雨量が0mmということは地表面が完全に雨で飽和し、それ以上の雨はすべて地表を流れて川へ到達することを意味する。この数値が大きい値であれば、降雨を地表で受け止める能力が大きいことを表し、地表を流れて川へ到達する量は少なくなる。犀川では、100mmの数値が用いられている。
ちなみに、飽和雨量の大小で最大洪水流量が大きく異なる。辰巳ダム計画では、
100ミリ→1,741m3/秒
190ミリ→1,193m3/秒
 である。
コメント

辰巳ダム>台風5号が通過、犀川のダムの貢献度は

2017年08月08日 | 辰巳ダム
 平成29年台風5号は、犀川流域へ記録的な豪雨をもたらした。
 
 犀川ダム地点 334mm(7日16時から42時間,時間最大35mm)
 辰巳ダム地点 276mm(8日2時から31時間,時間最大36mm)
 内川ダム地点 341mm(7日23時から37時間,時間最大37mm)
 ほぼ、辰巳ダム計画の100年確率値に相当する降雨であった。

 各ダム地点での最大流入量と辰巳ダム計画で想定した最大流入量(括弧内)は、つぎのとおり。
 犀川ダム地点 8日12:30 187.83m3/秒(700m3/秒)
 辰巳ダム地点 8日22:40 172.58m3/秒(600m3/秒)
 内川ダム地点 8日12:10 137.58m3/秒(550m3/秒)

 いずれも想定した洪水の3割にも満たない。辰巳ダムの2年確率洪水量(おおむね2年に1回の洪水量)は、207m3/秒であるが、今回も到達できなかった(-_-;)。

 ちなみに、各ダム地点の最大放流量は、つぎのとおり。
 犀川ダム地点 8日22:30 132.31m3/秒
 辰巳ダム地点 9日3:10 128.16m3/秒
 内川ダム地点 8日22:20 117.71m3/秒

 時間的に少し遅れて放流されるが、最大流入量と比べて幾分小さいだけである。下流で増水している時にダムが放流するので下流で被害が増大するといわれることがあるが、各ダムは、それぞれの都合で貯留、放流の判断をしているので、下流の状態を判断して調節しているわけではない。
例えば、犀川ダムは、貯水位が340mに達するとこれ以上、水位を上げないように放流している。
 
 ダムの洪水調節は、最大流量のピークをカットすることで下流への負担を軽減することである。最大流入量と最大放流量の差が50m3/秒程度ということは、犀川下流の市街地の洪水防御にほとんど貢献していないということである。
 記録的な豪雨にもかかわらず、辰巳ダムはほとんど貢献していない。ただ、3カ所のダムを合計すると、120m3/秒程度となるので幾分、役に立ったのかな~(-_-;)
コメント

辰巳ダム>辰巳ダム便り

2017年07月18日 | 辰巳ダム
to HOMEpage

 2017(平成29)年7月4日、梅雨前線が台風3号に刺激されて犀川で久しぶりに大きな出水があった。
 辰巳ダムでは、平成24年6月に供用開始して以来、4回目の洪水(辰巳ダム地点で80m3/秒以上)となり、平成25年7月29日の最大流量(17:59,Qpeak=190.19m3/秒)に次ぐ、2番目の大きさの出水(6:10,Qpeak=149.58m3/秒)となった。

 辰巳ダム地点の降水量は、時間最大雨量(正時)23mm、総降雨量87mm、
 犀川ダム地点の降水量は、時間最大雨量(正時)23mm、総降雨量122mmである。

 13日の昼に辰巳ダム現場を見てきた。(写真1-全景)

 平成26、27年にそれぞれ、93、88m3/秒の洪水が発生したが、流木の発生は少なかった。今回、発生した流木はかなり多い。(写真2-最上流の流木留めの閉塞状況、写真3-瀬領と鴛原の連絡通路地点の閉塞状況、写真4―堤体の穴の閉塞状況を上流から見る、写真5―低水放流設備の穴の入り口の閉塞状況)

 強い降雨や降雪の度に、峡谷の斜面の一部で崩壊があるが、今回も瀬領集落の少し上流の右岸で発生していた。(写真6-崩壊の様子)

 瀬領集落の背面の山を地すべり土塊と指摘する識者もいるが、山を切り開いて林道が造られつつあるようだ。(写真7-瀬領集落の背面の山の様子)

 湛水位は、8:50に、標高112.54m(水深15.54m)まで上昇した。上段の穴の底の高さが標高120mで、下段の鋼製のスクリーンの上端が標高110m付近である。右側の壁面に流木等が堆積しているのが見える。河道整正工の上端の高さは、標高110mであるので、2.5mほど水没した。
(写真8-ダム堤体を上流から望む)
(写真9-河道整正工右岸の流木等の堆積状況のその1)
(写真10-河道整正工右岸の流木等の堆積状況のその2)
(写真11-河道整正工左岸のヘドロ堆積)

 写真の中央に取入口のスクリーンが見える。(写真12-辰巳用水東岩取入口の様子)


写真4―堤体の穴の閉塞状況を上流から見る

(写真10-河道整正工右岸の流木等の堆積状況のその2)


コメント

辰巳ダム>辰巳ダムで洪水

2017年07月05日 | 辰巳ダム
 辰巳ダム地点で、洪水は80m3/秒と定義されている。

 今年、初めての洪水があった。
 石川県河川総合情報システムのダムデータ(10分間隔)によれば、
 平成29年7月4日6:10の最大流入量Qpeakは、149.58m3/秒であった。
 水位は、8:50に、112.54m(水深15.54m)まで上昇した。
 河道整正工の上端の高さは、110mであるので、5mほど水没したことになる。

 辰巳ダムが平成24年6月に供用開始して以来の毎年の最大流量は以下のとおり。
平成24年9月1日17:59  Qpeak= 26.52m3/秒
平成25年7月29日17:59  Qpeak=190.19
平成26年3月30日22:58  Qpeak= 92.82
平成27年4月3日18:00(正時)  Qpeak= 87.99
平成28年9月20日18:00(正時)  Qpeak= 64.89
平成29年7月4日6:10  Qpeak=149.58

 辰巳ダム地点の2年確率ピーク流量(犀川ダム調節後)は、207m3/秒である。まだ、これを超える流量は発生していない。
 この6年間のデータをもとに近似曲線を引いて求めた2年確率値は、91.94m3/秒である。辰巳ダム計画で想定した数値とは、かなりの差がある。

 ちなみに、犀川大橋地点の2年確率流量455m3/秒(犀川ダムと内川ダムの調整後)であるが、1978(昭和53)年に下菊橋測水所で観測開始以来、40年目に入っているが、2008(平成20)年7月28日の時の433m3/秒が最大でまだ、一度も2年確率流量を超えていない。

 想定した数値と現実に観測された数値と乖離がでる理由は、以下のとおりである。
 最大洪水を想定する時に、流量のサンプルではなく、雨量のサンプルを集める。データの蓄積が多い、比較的正確に計測できるなどの理由からである。集められたサンプルに傾向と規則性があるものとして、確率(辰巳ダムでは100年に1回程度発生する頻度を想定)を与えて雨量を求める。この雨量から流出計算で最大流量を求める。計算の過程でさまざまな係数値を設定するが、ゆとりをみて安全サイドに設定する傾向があり、最終的に求められる数値は過大になりやすい。辰巳ダム計画では、犀川大橋地点の100年確率値が1750m3/秒となった。これに対応する10年確率値は922m3/秒、2年確率値は408m3/秒である。
 ただし、犀川ダム、内川ダムの調節後は、それぞれ1455m3/秒、925m3/秒、455m3/秒である。ダム調節で流量が大きいところは低減するが、小さいところでは逆にいくらか増大している。

 傾向と規則性があるものとしているので、100年確率値を大きくすると、これに引きずられて、頻度の低い確率の数値も引き上げられることになる。そのため、100年確率値を過大にすると、2年確率値も大きくなり、実際に発生して計測される流量と乖離がでる。
 公には話されないが、事情通によれば、だいたい10倍して考えると実態と当たっているという。つまり、それぞれ1000年確率、100年確率、20年確率だそうだ。
コメント

辰巳ダム>捏造された洪水、東岩取入口は残ったが(その54)

2017年05月28日 | 辰巳ダム
石川県議会で宇野邦夫議員が「カチ殺せ」発言

 提訴してすぐに事件が起きた。
 3日後の2008(平成20)年5月23日、石川県議会土木企業委員会で宇野邦夫議員の「カチ殺せ」発言である。元職員の下郷稔氏が辰巳ダム訴訟原告団の代表に就任したことについて、下郷氏と特定できる経歴などに触れて、「石川県からたたき出せ」、「カチ殺せ」などと過激な言葉で攻撃した。
 辰巳ダム建設促進の旗振りをしている宇野邦夫議員にとって建設の妨害と受けとり過激な発言になったようである。元県職員で石川県にお世話になりながら、辰巳ダムの事業主体である石川県と対立する辰巳ダム訴訟原告団の一員、それも共同代表の一人となったことが、道義的・倫理的に許すことができない、裏切りであるということのようだ。

 法規、道義の面から考える。
①元県職員に関係なく、個人がある公共事業を問題と考えた時に反対するのは違法ではない。違法どころか「思想および良心の自由はこれを侵してはならない。」(憲法第19条)である。
②良心に従って反対するのは道義的に正しいことだ。倫理的に問題となることもありえない。封建社会であればお上の意向に逆らうことがゆるされないということだろうが。
③品位を求められる公務員がこんな粗暴な議論を議会ですることは、違法ではないのか。懲罰規定があるので規律違反か。
④公式の場で下品すぎる言葉を黙って聞いている議員(公務員)は道義的に不適格である。
⑤これを批判しないマスコミはマスゴミのレベルである。

 思想、信条はいうにおよばず、言論の自由で、自由に意見を主張してたたかわせることで、最終的によりよい終着点にたどり着くことができると考えているのが、民主主義ではないのか。脅しともとれる過激な発言で言論を封じようとすることは許すことができない。

 2008(平成20)年5月27日、辰巳ダム訴訟原告団(下郷稔・碇山洋共同代表)は議会内で宇野氏に抗議した。宇野氏は過激な発言があったことを認め、議会事務局に議事録削除を求めたという。

◆2015.7.20 宇野邦夫と辰巳ダム

コメント