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日本仕様のK70に出会う (2)外装編


そこは、都心から北へ1時間強走った自然に囲まれた小さな町。
国立公園や昔ながらの観光地が多いこの街にK70は生息していました。
まるで僕を出迎えるようにガレージの前で停車していたK70に、
思わず挨拶をしてしまいました。

その姿は大変凛々しく、くたびれた感は一切ありません。
マラソンブルーメタリックのボディーは何処を見ても輝いており、
ボディーも、サスペンションもしっかりとしています。
車検ステッカーを見ると、この車が長年公道を走っていないことが分かりますが、
ご自宅の前には大きな駐車場がありますので、ここで走行させているのでしょう。

「どうしてここに長年K70が存在しているのか」

そう思いながら僕はカメラで撮影を開始しました。

【1973年式 フォルクスワーゲン K70 日本仕様 ヤナセ正規輸入物】



とにかく美しいボディーの表面。
ビニールレザーのルーフは、80年代初頭に知り合いの業者さんに
よって施工されたそうだ。
本来ナンバーはバンパー前のセンターに装着されているが、この個体は
オーナーにより左下へオフセット装着されています。



純正のフロントVWエンブレム。
この時代まで、キャスト製が普通に使われていた。
エンブレム裏の塗装はノンオリジナル。



日本仕様専用設定のレアなライトハウジング。
レアで本国でも中古在庫は皆無だという。





バンパー下のフロント(左)ウインカー。
イタリアなどの一部の国では白色が使われている。
日本仕様はオレンジ色が標準。



フロント(左)サイドウインカー。
ヘラー製品で、フォルクスワーゲンタイプ3後期やタイプ4と
同じ物が装着されています。



フロント(右)フェンダーを撮影。
バンパー上、ライト近くにある窪みは、北米仕様の際に車幅灯を設置
する為の跡だと言われている。初期のNSUプロトタイプではハッキリとした
ラインが出ていたが、フォルクスワーゲンデザインに金型改修された際に、
薄っすらとしたラインに変えられたらしい。またフォルクスワーゲンでは
北米輸出は一切計画されず正規輸出もしなかったので幻のラインと言えるだろう。



バンパー下部には左右にエアーインテークが備わっている。
エンジン下部を冷やすもので、ラジエターには直接届かない。
「2.0」エンブレムは、現オーナーが洒落で装着したモノ。
ドイツのハーバートリヒター製品のようにも見える。(実際は1,605㏄)



日本では恐ろしく程度の良いボディー。
大きな腐りも無い。
フロントエンドの小さな反りは、チンスポイラーの役割も果たし、
160km/h巡行でも矢のように進み、横風に煽られない効果があります。



フェンダーモール、サイドラバー、サイドミラー、ルーフはノンオリジナル。
ホイールキャップはセドリック/ グロリアの物を流用。
しかし、基本となるパネルや部品は完全なVWオリジナルを保っている。



セドグロのホイールキャップの中身はVW純正。
K70専用が使われている。



フロント左フェンダー上にあるのが、ラジオアンテナ。
本国は手動式が多いが、日本はヤナセのPDIによって電動化されていた。



鍵穴のあるフロントドア。明らかにフォルクスワーゲン系ではない
NSUを彷彿とさせるデザインだ。



鍵穴が無いリアドア。既にチャイルドプルーフが装着されている。



クロームモールは驚きの輝きを保っている。
オーナーの努力もあるが、当時のドイツ製品がいかに本物を
使っていたか分かる部分だ。
ウインドーフィルムはオーナーの後付け。しかし当時既に
純正のブルーティンテッドガラスが使われています。



エッジの立ったデザインは、NSU社の設計者だったクラウス・ルータ氏の物。
彼がNSUプリンツやRo80のデザイナーであり、発表直後にお蔵入りした
初代K70(NSU K70=試作のみで終了)のデザインも行っていた。
その後フォルクスワーゲンとアウディの合併で衝突が多くなりアウディ50(初代ポロ)
のデザイン途中でBMWへ移籍している。初代750(E32)や850は彼の最後の作品と言われている。



右リアドア後方にあるフューエルリッド。開閉には鍵を使用する。



日本仕様の多くがトランクに後付けクーラーが付いていたので、
リアのスプリングが経たっている車が多い中、この車は当時のままを
保っている。



この角度でも分かる通り、リアサイドにも窪みがある。
これも当初は北米用サイドマーカーの装着を考えて付けられたそうだ。
前途の通りフォルクスワーゲン名義になってからボディーパネルの全てが
設計変更になっているので、窪みは薄められ単なるデザイン化されている。



左テールライト。製造元はヘラーではなくボッシュ。
リアフォグは一体されておらず、法規的に必要な国へは、
バンパー下部への装着としていた。



右テールライト。こちらもボッシュ製VW純正品。



リアナンバープレート右側と右テールライトの間には
この車のエンブレム「K70L」が装着されている。
本国には「K70(75ps)」「K70L(90ps)」「K70S(100ps)」があったが、
日本には中間グレードの「K70L(90ps)」のみが輸入されている。
1984年以前のフォルクスワーゲンにおいてリアへの円形型VWエンブレム
を装着する定義は無かったのでVW製品を明確に示す物はありません。



トランク上部にあるのは鍵穴。



左リアのマットガード。当時の純正オプション品。

右リアのマットガード。当時の純正オプション品。
トムスのステッカーは錆隠しだそうです。





リア右から撮影。
バンパー上のアンテナベースは、オーナーが付けた物。

随分昔(70年代)に再塗装されているようですが、
とにかく大変綺麗な事に心底驚きました。
この後、内装、機関を特集します。
(つづく)


【関連記事】
日本仕様のK70に出会う (1)
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日本仕様のK70に出会う (3)内装編
日本仕様のK70に出会う (4)エンジン編
日本仕様のK70に出会う (5)トランク編
日本仕様のK70に出会う (6)オーナー編
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