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日本仕様のK70に出会う (4)エンジン編


【1973年式 フォルクスワーゲン K70 日本仕様 ヤナセ正規輸入物】
当時の西ドイツでは、本国には1.6リッター「K70(75ps)」「K70L(90ps)」
が製造されており、カンフル剤としてスポーティーグレードの1.8リッター
「K70S(100ps)」も少量製造されていました。
日本には実質的な上級グレードである「K70L(90ps)」のみが輸入販売
されていました。



K70の誕生には、カーオブザイヤーまで獲得したのに安定材料の無かった
ロータリーエンジンの上級セダン「RO80」のボトムレンジを補う役割として
登場しましたが、NSUが発表した直後に親会社のアウディがフォルクスワーゲン
に買収されてしまい、ボディー内外のデザインや金型が急遽交換され、
フォルクスワーゲンK70として登場することになります。
その為、外観からは分からない部分は、NSU社、そしてクラウス・ルータ氏の
思想がそのまま受け継がれ、通常のフォルクスワーゲンではコスト高な装備も
標準で装着されるようになっていました。



最近のフォルクスワーゲン史では、ゴルフの親玉的な扱いを受けていますが、
それはあくまで駆動方式の話であり、パサートとも関連が無いのが実情です。
バイク屋的思想のカムカバーや、走行安定性の高いインボードブレーキなど、
フォルクスワーゲン、メルセデス、BMWにも当てはまらない独特の技術を
持っているのがk70の特徴です。
その為、内装の一部を除き関連部品があまりにもない事から、21万台も生産
されたのに殆ど残っていないレア車種になります。

【エンジン】


整備性の悪さを覚悟で採用されたフロントヒンジ。当時は先進的なイメージ
がありフィアットなども採用していました。このデザインは20年後の
BMWの7シリーズ(E32)でもクラウス・ルータ氏が再び採用しています。



日本仕様は、1.6リッター(1,605㏄)90ps/5,200rpm、乾燥重量120kg
のエンジンを搭載。ドイツ本社が当時公表していた最高巡航速度は158km/h、
0-100km/hは13秒、燃費は9.8km/L(ドイツ計測を換算)でした。
ガソリンはハイオク指定です。



右側フェンダーから見たエンジン。
昔はDOHCと錯覚を起こす人も居ましたが、普通のOHCエンジンです。



エンジンルーム右奥にあるのはバッテリー。



右サスペンション上部にあるのが車体番号。
最初の「48」とは「Type48=K70」を指します。
製造は、ウォルフスブルグの南部にあるザルツギッター工場。
元NSUの本工場で、フォルクスワーゲンに買収された後は、
空冷ビートルやタイプ4の生産を行い、現在はVWグループの
エンジン専門工場になっています。



日本仕様では鬼門と言われるブレーキのマスターシリンダー。
初代ゴルフなどは右ハンドルでも左側に付いていたくらいですから、
それに比べたらK70は立派ですね。



赤いファンは、オーナーにより先端が加工され、
より多く冷えるようにしてあります。
この車の最大の欠点は、容量の小さいラジエーターの為
冷えない事です。その上に日本仕様の一部には、後付けの
エアコンも付いて居るのでオーバーヒートが当たり前になっています。



車体左側に付くのは、クーラントのリザーバータンク。



外気導入ボックスのセンターに付くのはウォッシャーの先端。
ボンネットの穴から顔を出します。



車両製造プレートもドイツの生産記録と一致。



純正サスペンション。



車体下部を右側から撮影。



中央から撮影。フィンが切ってあるオイルパンに注目。



左側から撮影。オレンジの矢印がインボードブレーキ部分。
重いローター部分がホイールより車体内側に入るので
ハンドリングは最高です。但し、エンジンのオイル漏れが激しいと
ディスクブレーキの効きが極端に悪くなるので、こまめな整備が必需です。
良くホイールを外すと「ブレーキが無い!」と叫ぶフォルクスワーゲン系
メカニックが居るのも特徴。
(つづく)


【関連記事】
日本仕様のK70に出会う (1)
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日本仕様のK70に出会う (5)トランク編
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