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日本仕様のK70に出会う (5)トランク編


【1973年式 フォルクスワーゲン K70 日本仕様 ヤナセ正規輸入物】
車体の割に搭載量が多いのがドイツの車。K70も例外でなく、VDA方式で
600Lの大容量を誇ります。またリアシートの背もたれを外すと、更に多くの
荷物を搭載できるのです。



しかしながら、日本仕様でエアコンをオプションで装着した場合、
エアコン本体がトランクを占領して、容量が2/3程度になります。
これは本国でエアコンの設定が無く、日本でヤナセがデンソーと共同で
製造した「ヤナセクーラー」を無理に装着する為に生じる問題です。

【トランク内部、そしてクーラー】


通常は鍵で開閉しますが、この車にはヤナセオプションの
トランクオープナーが装着されていました。



トランクリッド裏には、モーターユニットが装着されており、
ダッシュボード右下にプッシュボタンが装着されています。
このボタンで開閉が可能です。
この装備はあくまで日本専用のヤナセオプションで、ドイツでは見られません。



トランクの奥に鎮座しているのが「ヤナセ・デンソー・エアコンディショニング」。
通称「ヤナセクーラー」と言われる物です。
ホイールハウス左右にストラットタワーバーのような棒をボルト止めして
設置してあります。当時ヤナセが輸入していたメルセデスやボルヴォ
などにも国内専用オプションとして設定されていました。
ヨーロッパが小型車向けにエアコンを考えるようになったのは
80年代からで、ヨーロッパ市場でエアコン標準化するのがここ10年。
亜熱帯の日本ならではの装備です。



当時の外国車セダンは、高級が売り物で、後席には通常重鎮が乗るので
後席から冷風が吹く方が理にかなっていたそうです。
しかし、この1年後にパサートやシロッコ、2年後にゴルフがデビュー
する頃には、アメリカ製の新しい小型クーラーユニットが装着される
ようになり、急激に、このトランクタイプは廃れます。



デンソーがヤナセの為に作った、今で言うOEM、
又はヤナセPB商品と言えるでしょう。当時はこうゆう商品が多く
ヤナセから誕生していました。



冷風の吹き出し口は、リアトレーのセンターになります。



右リアフェンダーの裏には従来型ジャッキが搭載されています。
今のようなビルシュタイン製の片持ち小型ジャッキが搭載されるのは
同時期登場の初代パサート以降からになります。



右テールライト裏側。2つの出っ張りは、エンブレムの留め金部。



左テールライトの裏側。



その奥には、この車の塗色を現す純正ステッカーが貼られています。
「マラソンブルーメタリック 色番号=L96」
この色は、1972年2月に空冷ビートルがT型フォードを抜いて、
世界生産第一位(1500万7033台)になった事を記念して生産された塗色と
同じであり、その後も累計生産が樹立されるたびに、同色や似たような
薄いブルーメタリックが採用されています。
(つづく)


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