著 塩野七生
2006年12月15日
新潮社
15巻に渡るローマ人の物語の最終巻。
読み始めてみたら、これも以前に読んでいました。
今回も最後まで再読。
以前に比べて、(少なくともフランスの)地理感覚はつかみやすくなっていた。
それにしても、興隆期、安定期の話は本当に面白かったけど、衰退期に入ってからは魅力が少なくなり、ⅩⅢ巻やⅩⅣ巻辺りは、一気に最後まで読み通せなくなり、何度も読み返していました。
それは、著者の力量のせいでなく、題材に魅力が乏しくなったせいだと思います。
魅力ある人物はいるんだけど、かれらが充分に力を発揮できる舞台ではなくなったというか。
ⅩⅤ巻で「最後のローマ人」と評されるスティリコ、東ローマ帝国最大の武将ベリサリウスなど、力量は充分にあるのにその力を充分に発揮できず、無念だったろうなと思います。
それにしても、最後の方の餓死していくローマ人の記述や、東ローマ帝国が西の復興のために送った兵力がわずか5千などという記述を見ると、以前の繁栄を知っているだけに、情けなく、惨めな気持ちになります。
ローマがかつてのローマのように機能しなくなったのは、キリスト教が広まってからのような気がします。
キリスト教は崩壊していくローマ帝国を一時的に維持するのには役にたったけど、それによって本来のローマ人の精神が失われていってしまったような。
著者が日本人で、一神教の考えから距離があるからこその記述だと思いますが。
「キリスト教徒」である西洋人の書くローマの歴史は、アプローチの仕方は違うと思います。
いずれにせよ、現在のヨーロッパの基礎を築いたのはやはりローマ人で、キリスト教がこれだけ広まったのもローマ帝国があったからこそでしょう。
最終巻ではすでに、定住した蛮族たちが現在のヨーロッパ各国の基礎を築き始めて、古代から中世へ時代は移り変わろうとしています。
それにしても、やはり1千年に渡り続き、地中海沿岸一帯を領地にもった国家の影響ははかりしれないものだと思いました。
その国家の一生を15年に渡り書き続けた著者の情熱と力量にはやはり、感心しました。
ローマ帝国以後の地中海世界の歴史も本になっているようなので、そちらも楽しみにしています。
2006年12月15日
新潮社
15巻に渡るローマ人の物語の最終巻。
読み始めてみたら、これも以前に読んでいました。
今回も最後まで再読。
以前に比べて、(少なくともフランスの)地理感覚はつかみやすくなっていた。
それにしても、興隆期、安定期の話は本当に面白かったけど、衰退期に入ってからは魅力が少なくなり、ⅩⅢ巻やⅩⅣ巻辺りは、一気に最後まで読み通せなくなり、何度も読み返していました。
それは、著者の力量のせいでなく、題材に魅力が乏しくなったせいだと思います。
魅力ある人物はいるんだけど、かれらが充分に力を発揮できる舞台ではなくなったというか。
ⅩⅤ巻で「最後のローマ人」と評されるスティリコ、東ローマ帝国最大の武将ベリサリウスなど、力量は充分にあるのにその力を充分に発揮できず、無念だったろうなと思います。
それにしても、最後の方の餓死していくローマ人の記述や、東ローマ帝国が西の復興のために送った兵力がわずか5千などという記述を見ると、以前の繁栄を知っているだけに、情けなく、惨めな気持ちになります。
ローマがかつてのローマのように機能しなくなったのは、キリスト教が広まってからのような気がします。
キリスト教は崩壊していくローマ帝国を一時的に維持するのには役にたったけど、それによって本来のローマ人の精神が失われていってしまったような。
著者が日本人で、一神教の考えから距離があるからこその記述だと思いますが。
「キリスト教徒」である西洋人の書くローマの歴史は、アプローチの仕方は違うと思います。
いずれにせよ、現在のヨーロッパの基礎を築いたのはやはりローマ人で、キリスト教がこれだけ広まったのもローマ帝国があったからこそでしょう。
最終巻ではすでに、定住した蛮族たちが現在のヨーロッパ各国の基礎を築き始めて、古代から中世へ時代は移り変わろうとしています。
それにしても、やはり1千年に渡り続き、地中海沿岸一帯を領地にもった国家の影響ははかりしれないものだと思いました。
その国家の一生を15年に渡り書き続けた著者の情熱と力量にはやはり、感心しました。
ローマ帝国以後の地中海世界の歴史も本になっているようなので、そちらも楽しみにしています。