悪口を言うだけなら、誰でもできます。私だって簡単にできます。だけど重要なのは、人を感動させる悪口を言えるかどうか、でしょう。これは難しいことですが、難しいからこそ、やる価値があるでしょうね。人の心を動かす文章が書けないからせめて悪口を言って満足をする、なんて面白くありませんもの。
【ただいま読書中】『ニセ科学を10倍楽しむ本』山本弘 著、 楽工社、2010年、1900円（税別）
目次「水は字が読める？」「ゲームをやりすぎるとゲーム脳になる？」「有害食品、買ってはいけない？」「血液型で性格がわかる？」「動物や雲が地震を予知する？」「2012年、地球は滅亡する？」「アポロは月に行っていない？」「こんなにあるぞ、ニセ科学」「疑う心を大切に」
目次を見るだけで大体中身の見当がついてしまうとは、私はこの本で「わ、意外！」なんて10倍驚くことができないのかな、なんて一瞬寂しい思いがします。
「有害物質が検出される野菜」に中国産が多いのは単に輸入量が多いからで、「検出率」を計算したら別の結論が出てくる、というのは目からウロコでした。こういう計算はしたことがなかったもので。きちんと調べずに印象だけで「中国産はコワイ」とは言わない方が良さそうです。言うのだったら調べてから。
著者はこの手の本を次々書いているから、本書だけ単独で見るとちょっと説明不足の所がありますが、それは読者が自分で調べるべきことでしょう。「疑うこと」「自分で調べること」「自分で決めること」の重要さは本書でも強調されていますから。少なくとも著者は読者を楽しませる工夫はしています。それがどんな工夫かは、読んでご自分で発見して（そして楽しんで）ください。
そうそう、「他人のことばを丸ごと信じないこと」を私も実行することにして、本書で著者が主張している「地震雲のサイトに載っている『これぞ地震雲』という写真は、飛行機雲や普通の雲ばかり」というのを実際に確認してみました。……著者の言うとおりでした。ちぇっ。