【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

クラス会

2011-11-02 19:07:23 | Weblog

 来年開催するぞ、と中学校のクラス会の報せが少し前にありました。ひさしぶりだな、と懐かしく思います。前回参加したのは7年前だったかな。同窓会のメーリング・リストがあるので、ずっとつながっているような感覚ですが。
 朝日新聞に連載中の小説「沈黙の町で」(奥田英朗)では、中学校でのイジメが扱われています。これを読んでいて思い出すのは、昔「体育館倉庫で、丸められたマットに頭から突っこまれた状態で死体で見つかった中学生(山形マット死事件)」です。というか、この小説はあの事件をモデルにしたものでしょう。事件後の民事裁判の一審では「少年は自分で勝手に丸めたマットに潜り込んで死んだ」と裁判長が認定する判決が出た、という記憶が私にはありますが、裁判官もいろいろなんでしょうね。
 で、クラス会。
 山形マット死事件での中学生たち、今はもう30歳を越えているはずですが、クラス会で集まったらどんな話で盛り上がっているんでしょうねえ(あの事件は“なかったこと”になっているのか、それとも面白おかしく“酒の肴”になっているのか……)。そして、自分たちの子供にはどんな躾をしているんでしょう。自分の子供がいじめられたら「いじめる方が悪い」と言っているのか、それとも「いじめられる方にも悪い点があるからだ」と言っているのか……
 機会があれば一度“取材”をしたいなあ。

【ただいま読書中】『QD弾頭を回収せよ』クライブ・カッスラー 著、 中山善之 訳、 新潮文庫、1980年、520円

 タイタニックを引き揚げてから数箇月後、ひょんなことで数十年前の航空機の部品を見つけたダーク・ピットは、自身の勘に従い、頑固に部品の由来を追求します。それは、1954年に極秘任務で貨物輸送をしていたストラトクルーザーのものでした。機はロッキー山中に人知れず墜落していたのです。(なぜ発見されずにすんでいたか、はネタバレになるので内緒) 機の任務は不明。運んでいたステンレス容器の中身も不明。そしてなぜか貨物室には、墜落後に入ったと思われる外部の人間の死体が。
 そして舞台は南アフリカへ。アパルトヘイトを死守しようとする白人政府を転覆しようとする解放戦線と、その活動を阻止しようとする政府軍との戦いの中、とてもまともな発想とは思えない「野薔薇作戦」が浮上してきます。
 ピットは34年前の謎の中に潜航中です。そこから浮上してきたのは「QD(Quick Death)」と呼ばれる究極の細菌兵器でした。そして、世界のどこかにその恐るべき弾頭が8本、散らばっているのです。
 いくつかの話が同時進行で語られ、それがやがて一点に収束していきます。「ことの真相」がある程度推測できる話もあれば「これは一体どうなるんだ」と読者が五里霧中のままという話もあり、「目が話せない展開」となっています。ただ、話が複雑になり、登場人物がやたらと増えたため、我らがヒーロー、ダーク・ピットの登場シーンが少なくなっています。これはちょっと残念。そして、「話が収束していく過程」がとてもスリリングです。読者はあちこちを見ていますから、ダーク・ピットよりも少しだけ早く全体像がつかめます。その「少しだけ早く」が絶妙の塩梅なのです。
 ヒッチコックだったと記憶していますが「映画で、突然時限爆弾が爆発するのは、ただのショック。隠されたところに時限爆弾があって観客はそれを知っているが、主人公はそれを知らない。残り時間が刻々と短くなっていく時限爆弾に、知らずに主人公が近づいていく。観客はそれをはらはらしながら見守るしかない。それこそが、サスペンスだ」という意味のことを言っています。本書もそれです。いやもう、はらはらどきどきすることは、請け合いです。