音源偽装 - ミューズの日記
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<あれも聴きたい、これも聴きたい> 音源偽装

 これも最近あるブログで取り上げられておったので改めてここでも紹介しよう。
このところ日本中あちらこちらで食品の偽装ということが話題になっておるのはみなさんよくご存知のことと思う。大阪の高級料亭「吉兆」が販売しているお菓子が、原材料の産地を偽っておったことあたりから始まって、岐阜県の食肉卸業者が、これまたレベルの低い牛肉を高級な飛騨牛と偽っていたり、神戸の業者だったか、海外から輸入した鰻を「愛知一色産」とだまして販売していたり、はたまた北海道の有名なお土産用お菓子や伊勢の赤福からはじまって、あっちでもこっちでも賞味期限や消費期限を改ざんしたり、挙句の果てにゃあ一度お客さんに出したものを次のお客さんに使いまわしておったりと、食品業界じゃあなんでもかんでもやりたい放題のメチャクチャな状況になっておるらしい。「嘘」もこれくらい当たり前のように白日の下にさらされてくると、ずっと正直にやってきた業者やお店の経営者は、きっと「うちもやらなきゃ損をしちまう」というような気持ちになっちまうんじゃねえべが。おかげで今じゃレストランで料理が出てきても、この刻んだキャベツも使いまわしとるんじやなかろうかと疑心暗鬼になってしまうってもんだ。

 こんなことをいったら皆さんびっくりするかもしれないが、昔会社で部下の中にバイクが趣味の青年がいた。とても人のいい好青年だったのだが、彼が学生だった頃のアルバイトの話を聞いて驚いた。なんでも散々バイクを分解したりして清掃した後、アルバイトで通っていた回転寿司の店へ出勤し、言われるままに寿司を握っていたそうだが、帰るときには爪や指紋の中に残っていた黒いグリスや油が取れてきれいになっておったそうだ。(これ意味分かる?)彼曰く、手をきれいにしようと思ったら寿司を握るに限るといって笑っておりました。

 ところが偽装はどうも食品業界ばかりではなさそうで、音楽の世界でもあるようだ。現に今回の中国オリンピックでも、開会式に歌を歌っていたかわいい女の子が、実は別な女の子の声に合わせて口パクをしていたということが早速報道されていた。これなども立派な「音源の偽装」といえなくないだろうか。しかも全世界に向けて堂々とライブでやる偽装なので、大胆不敵とはこのことだ。そしてさらに悪いことは、2人の女の子に対し、これは「国のためになる正しいことなんだ」と教えているのではないかと思えることだ。民主主義の国に住んでいる我々にとって、こっちは少しばかり罪が重いように感じてしまうがどうだろう。共産主義国の教育とはこういうものなんだろうか。女の子本人にとっても、「そうだこれはお国のためになることなんだ」と考える方が、変に悔しい思いをしないで済むだけ気が楽なのかもしれない。

 さて今回の本題だけれども、大変な偽装があるもんだ。10年ほど前に発売になったルイゼ・ワルカーの業績を讃えるために出された4枚組のCD、“ルイゼ・ワルカー ギター大全集”「エッセンス」という中で、こともあろうにアランフェス協奏曲とテデスコのギター協奏曲が2曲ともジョン・ウィリアムスが24歳の時にアメリカで録音したものと入れ替わってしまっているのだ。オーケストラはご存知フィラデルフィア管弦楽団、指揮はユージン・オーマンディ。それがギターはルイゼ・ワルカー。オーケストラは東京交響楽団。指揮は堤俊作となってしまっている。とにかくこの録音を聴いたら結構なお年の女性の演奏とはとても思えないし、それどころか、多少ギターについて詳しい方なら、誰だってジョン・ウィリアムスのものだということは、たちどころに判ってしまうはずだ。しかも聴いてみると、確信があるわけではないが、どうもマスターテープからではなく、LPから引っ張ってきたもののように聴き取れるから性質が悪い。これはいったいどうしたことか。とにかくこのワルカーのCDは発売が日本クラウン株式会社となっているが、ジョンの録音はアメリカのCBSコロンビアのものだから、そう簡単には音源を流用するわけにはいかないはず。しかも念のいったことに解説者はその文章の中で、「演奏は全てライブ録音、特にアランフェスが圧巻!」とまで言い切っておる。そりゃそうだろう。世界ナンバーワンといわれるテクニックを誇るジョン・ウィリアムスの演奏だ。しかも24歳!バリバリだわね。

 どう考えても故意とは考え難いが、その割には音量の変化など、わざと別な演奏と思わせようとした痕跡も見られる。上等な原材料であることをいいことに「そんなもん、わかりゃしねえ」とばかりに強引に利用してしまったのか、まことにもって奇奇怪怪。特にジョンのオーマンディとやったテデスコは、以前ここでも書いたようにまだCD化されたことがないはずなので、こんなところで「ワルカーさんのテデスコ」として登場しておったとは・・・。まことにもって魑魅魍魎の世界でおじゃるなあ。
それともこれは主催者の一種の謎かけであったのか。だとしたらこりゃあ結構面白れえ冗談だ。
(この件について、既に解決済みであったなら、私の不勉強としてご勘弁をお願いする)
内生蔵 幹(うちうぞう みき)


コメント ( 8 ) | Trackback ( 0 )



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コメント
 
 
 
Unknown (ベンハー)
2008-08-21 14:02:44
私も不勉強で、こんな面白い話を知りませんでした。

ルイゼワルカー演奏のSPは持っておりますが、ジョン・ウィリアムズの様には、スラスラ弾けるとは思われません。

なんで、こういうことになったのか、是非調べて公表してください。
私が買ったものであれば、レコード会社にクレームを入れますが......。

当人たちも知らないのではないですかね?

ジョンのLPといえば、テデスコのボッケリーニ讃歌の4楽章の、マーチに入ったところで、回転ムラによる演奏の乱れがあったので、レコード店にクレームを入れた事がありました。
ところが、すべてのレコードが同様だということで、仕方がないとの返事でした。

FM放送でそのLPが流れたときも注意して聞いていたら、同じでした。

普通の神経なら、こんな録音に金は払えないはずなんですがね....。

これも、ジョンご本人は知らないことなんでしょうね..........。


 
 
 
Unknown (HSPT)
2008-08-21 22:42:32
ありがとうございました。

楽しかったです。
 
 
 
Unknown (HSPT)
2008-08-21 22:45:20
書き込みの日記をまちがえました。

すいません!!

ワンコインコンサート楽しかったです

有難うございました。
 
 
 
不思議 (dolce)
2008-08-21 23:25:07
ワルカーさんご本人はご自身のこの記念のCDを聴いていなかったのでしょうかね? 解説には選曲にも関わったと書いてありましたが...
 
 
 
Unknown (ギター習いたい)
2008-08-21 23:49:38
修正など、偽装は当たりまえの音楽の世界で
不思議ではないと思います。

生演奏で、いろいろな理屈をつけて、スピーカなど
つかうのも偽装でしょう。生の音ではないでしょ。

偽装でもなんでもいいので、ミューズにいる先生方
で、1曲ずつ弾いたCDを出してほしいです。
そうすれば、教室に入るときの参考になるので
検討お願いします。
 
 
 
Unknown (Unknown)
2008-08-22 10:39:22
あしたのレッスンがんばってNE☆
 
 
 
スピーカー結構 (DRAGON)
2008-08-22 22:38:04
スピーカーから出た音を別な人の音源を偽ったのと同じだと思っている人がおられるとは。レコードやCDも偽装とおっしゃるか。
 
 
 
えっ!そうなの (生が好き)
2008-08-24 23:55:34
生演奏って、聴衆の前で実際に演奏することだと思っていたんだけど、最近は違うの?
それじゃ、屋外の大きなロックフェスティバルなんて生演奏じゃないわけね。なるほど。

それに偽装したCD聴いても参考にならないと思うけど、ギター習いたいさんはそうじゃないのね?
 
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