2008年4月22日のブログ記事一覧-ミューズの日記
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先週はいろんな楽器との出会いがありました。いい楽器に出会うと嬉しいですね。幸せですね。
先週の木曜日にJGA(Japan Guitar Association)の総会があり東京に行ったのですが、その時にお邪魔した問屋さんで素晴らしい楽器に出会いました。

先ずは1930年代(年代詳細忘れました)のハウザーI世。これは珍しく裏側にメープルを使用したものです。音はローズやハカランダのものに比べるとやや軽めですが、年数が経過している良さを充分味わえるハウザーらしい魅力のあるものでした。
そして、1940年代のワイスガーバー。10フレット辺りからは象牙のフレットが使われているもので、軽く、ふくよかになる銘器です。昨年福田進一さんが名古屋ギターコンクールでワイスガーバーを弾がれましたが、その時に聴かれた方はその音色を覚えていらっしゃるのではないでしょうか。
そして極め付けが1884年のトーレス(写真)。ヘッドにLa Emperatrizと書いたプレートが誇らしげにイブシ銀の光を放っていました。これはあるコレクターの所有物で非売品なのですが、それはもう完璧な状態で美しくもあり、威厳もあり、風格もありと言う代物です。私が今まで見たトーレスで最高の状態、最高の音をしていました。2000万円で買いたいという話もあるそうですが、所有者は絶対に売らないと言っているそうです。

次にこれらは手の届くお値段の楽器ですが、
先ずはコダイラAST150。なんだ、コダイラかと思われるかも知れませんが、これは30年前に小平社長が入手したラミレスの杉材を使用した限定商品で、コダイラとは思えない音がしています。カチっと絞まった杉の音、ラミレス的な音がしています。これが15万円なら文句なしにお薦めできるので買ってきました。

そして、アストリアスの辻渡さんのギターですが、これも貴重な表板を使っています。ドイツの製作家Gernot Wagner氏のサンドイッチ構造(杉-Conex-杉)のハニカム構造のサウンドボードを使用しています。彼のこのハニカム構造の表板はマティアス・ダマンに供給している事で有名ですが、兎に角音量が凄いです。アメリカのケネス・ヒルも彼のオリジナルモデルにはこのハニカム構造の表板を使っています。
そしてこのワグナーさんは凄い神経質な人で、絶対に郵送はしてくれないそうです。ドイツまで取りに行かないとダメだとの事で、今年は3枚だけ分けてもらえたとの事。つまり今年はこの表板を使った辻渡ギターは3本しか製作出来ないと言う事です。その1本を買ってきました。これは音量が大きいのでコンクールや他楽器とのアンサンブルには威力を発揮するでしょう。

最後に今までは関西でしか見かけることが出来なかったベルギーの製作家・ワルター・ヴェレット。私も今回初めて見ました。バランス、音色、音量と3拍子揃ってるじゃありませんか。そして稲垣稔さんに見せたら、「これは今までに2-3本私の生徒さんにお薦めして買ってますよ」との事。あの稲垣さんもお薦めの楽器だったんだと得心しました。
そして、最後がその稲垣稔さんの1959年のフレタ。これは60年代以降のフレタとは違った、フレタらしくない素晴らしいフレタです。なんだか分からない表現で申しわけありませんが、絞まっていて、音色に艶があり、クリアで、しかもとても良く鳴っています。少し弾かせて頂きましたが、なかなかこれだけの銘器はそうはありませんね。稲垣さんは今までに50本以上の楽器を変遷しているそうですが、今でも何か良い楽器はないかと探しているそうです。現在もブーシェ2本、フレタ、ハウザーと銘器をお持ちですが、やはりいい楽器との出会いをいつも求めていらっしゃるそうです。飽くなき音の追求をしている稲垣さんらしいお話だなと思いました。私もそうですが、いい楽器に出会うと嬉しくなり、ハッピーな気持ちになります。いつまでもこの出会いを求める気持ちは持ち続けたいと思いますね。その稲垣さんのコンサートとマスタークラスのお話はまた明日にでもアップさせていただきます。

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