消防士 兼 旅人の日記

消防署での出来事、ダラダラした日常生活を綴ります。

産まれた

2009-12-10 22:19:58 | 消防・救急
前回の当番は8件。相変わらず忙しさは続いています。

この日眠れたのはAM3:30過ぎ。夕方から立て続けに出場し、消防署にいない状態。夕食も遅くにとりましたし、シャワーも入る余裕がありませんでした。

布団敷く暇もありませんでしたね。しかも呼吸苦を訴えてる事案が続き、我々救急隊も緊迫した事案もありました。

頭痛、胸痛、呼吸苦は重症化することもありますし、緊急性を要することも多い事案です。


さて話は変わりまして、タイトルにある『産まれた』なこと。

嫁の事ではなく、救急事案。

指令が入って救急車に乗り込み出場報告。

『○×歳女性、出産ですどうぞ』との指令員からの内容に、


『はい?』


って思わず耳を疑いました。

その後指令室から救急車積載の携帯電話に電話がかかってきまして、

状況聴取中に産まれそうとの内容だったが、既に産まれてしまった様子との情報を得ました。


隣の署の管轄区域でしたが、5分ちょっとで現場到着。

指令室からの情報どおり、既に産まれており旦那さんが抱きかかえている状況でした。

産気づいてすぐにかかりつけの病院に連絡し、すぐに連れてくるように指示されたのですが、間に合わずに自宅で出産し救急要請に至ったものでした。


隊長が状況聴取とかかりつけ病院への収容依頼の電話。隊員が母子の観察と臍帯クリップを使って処置とアプガースコアの評価を行い、私は保温と搬送準備。

救急車内収容して即かかりつけへの搬送となりました。


幸いかかりつけの病院も市内の救急告示病院でしたし、現場から10分程で到着できる距離。

母親もショックバイタルになることは無かったし、児(赤ちゃん)も元気に泣いていました。アプガースコアも最初9点、5分後は10点。

ドクターに無事、引き継ぎました。


出産事案に出場したのは今回が初めて。

内心ヒヤヒヤ、ドキドキした事案でした。

経産婦さんだったから、やっぱり早かったのかな


いつもは生きるか死ぬかの事案だったり、ガッカリするような事案だったりですが、新しい命が産まれた事案と言うのもたまには良いのかな?と思いました。

既に産まれてしまったと言う場合、早く臍帯(へその緒)切ったり吸引したり、母親の後産のことも考えないといけませんので、私の中では救急車の適応であると思っています。

今回は母子ともに異常は見当たりませんでしたが、これが新生児仮死だったり母体に何かしらの異常が見受けられたりすると早い治療や処置が必要になりますしね。


これが陣痛(大量出血等無しのごく自然なもの)で救急車呼ばれると、違うんじゃない?とも思いますが。


数多くある救急出場の中の、こんな事案もあるんだよと言うお話でした。


明日は仕事です。





※アプガースコア

出生した赤ちゃんの状態を評価するもの。皮膚色、心拍数、刺激への反応、筋緊張、呼吸を各項目2点満点で評価、最高10点満点。