消防士 兼 旅人の日記

消防署での出来事、ダラダラした日常生活を綴ります。

逆じゃない?

2009-11-01 23:46:08 | 救急隊の本音
前回の当番は6件。実に1週間ぶりの当直勤務でしたが、件数的には平均値。

夜中の出場もなく、比較的身体には優しかった1当番でした。


このテーマで記事を書くのは久しぶりのような気もしますが、『今のタイミングで?逆じゃない?』と思った事案を書きたいと思います。


出場先は一般のお宅。

庭木の剪定作業中に脚立から転落し、背中の痛み。尚、転落したのは朝との内容。

この事案の覚知はお昼過ぎ。つまり、発生から数時間経っていました。


救急隊現着時には自宅前で立って待っており、到着するなり介添え無しで自力で救急車に乗り込みました。

聞けば転落した直後は痛みで動けず、その場にしばらくうずくまっていたとのこと。

少し痛みが治まり自宅で横になったが、まだ動くと辛いとのことでしばらく様子見。

午後になって家族が病院に連れて行こうとしたが、家族の運転だと車が揺れて痛いから救急車を呼んだとのこと。119番したのはケガをした本人でした。


転落して動けなかった午前中に呼ぶのなら分かりますが、動けるようになってから救急車?

家族が運転する車だと揺れるから、救急車?


逆じゃないですか?


そもそも救急車の存在意義は、生命に危機の迫っている人を一刻も早く運ぶための車。生命に危機が迫ってないとしても痛くて苦しくて自力で、またはその場にいた家族や関係者がどうにもできない時に呼ぶべき車であると考えます。

平日でまだ診察も行っている時間帯であり、病院まで乗せていこうとした家族もいた。

それを振り切ってまで救急車?

そういうのをタクシー代わりって言うんです。


救急車は基本的に緊急走行、赤信号も通過するし、追い越しのために反対車線に出ることもある。

基本的に止まることの少ない車ですので、どうしてもその分揺れることもあるし決して乗り心地の良い車ではないです。普通の車で普通に走ってる方がまず揺れません。

色んな視点から考えて見ましたが、やはりどうしても適正利用とは言い難い様な事案でした。


いつも思うのは、これで今近くでCPAや重症事案があったら…と思うこと。

数少ない救急車。救える命を救うため、救急車の適正利用にご理解とご協力をお願い致します。


明日は仕事です。