消防士 兼 旅人の日記

消防署での出来事、ダラダラした日常生活を綴ります。

見てるだけ?

2009-04-10 22:04:31 | 救急隊の本音
休み明け最初の当番は6件。件数はそこそこでしたが夜中に病院が決まらない事案がありましたので睡眠時間が削られてしまい寝不足気味です。

今日はタイトルにもあるように、『見てるだけ?』と思った事案です。


朝方の通勤時間帯の救急要請。場所は駅近くにある駐輪場からのもの。

若い女性が突然倒れて苦しそうにしていると言う内容でした。


直近の我が救急隊が出場、覚知から5分もかからないで到着できました。

傷病者に接触、駐輪場入口の歩道に倒れている状況。

呼吸が荒く早い状態。手足がつっぱっている状態が確認できましたのでおそらく過換気状態(過呼吸)であると思われました。


現場に到着して通報者と接触するなり、開口一番に

『私は何も触ってませんから!』

の一言。


たぶん動かしたりして、あとあと問題になるのが嫌だったのでしょう。

だけど歩道のど真ん中で倒れていて、通勤時間帯で歩行者も多いし、ましてや駐輪場の入り口なのだから自転車を停めにに来る人も多いはず。実際に活動中に何人もの人が傷病者をのぞきこんだり、我々救急隊の活動している横を通り過ぎたりしていました。

そんな状況でも苦しそうにしているのをただ見てるだけ。私にはそれが理解できない。正直なところ、なんであなたはただ見てるだけということができるの?と思ってしまった。


駐輪場の職員も1人だけじゃなかったのだから、何人かで協力して安全な場所に動かすことができなかったの?

駐輪場に停めに来る人も声をかけることぐらいできなかった?倒れている人がいるのにただ見ていて通り過ぎるだけ?

そんなに人が通る場所で気づかずに自転車で轢いてしまったらどうするの?


どんだけ他人に対して無関心なんだよと思いました。


私がもし急病や交通事故等で倒れて自分の意思で動くことができないとき、誰も助けてくれないんだろうなと考えてしまいます。自分が倒れた時の行く末を見た気がします。


このブログを見てくださってる方にお願いです。

この記事に書いたように路上に倒れている場合、その場所が危険な場所であるならば安全な場所に移動させて下さい。これは二次災害防止のためです。

下手に体を動かしたことによって何かその人に後遺症が残ったとしても、その行動が罪に問われたことはありません。(アメリカで言う良きサマリア人法)

安全な場所に移動させる際、まず第一に移動先が安全な場所であることと、救助に行く人の安全確保が最優先されることを併せて申し添えます。


応急処置が何もできなくたって声ぐらいはかけれるはず。そばに付き添って励ましてやることぐらいはできるはず。

救急車呼ぶことなんて誰でもできるんです。だけどその先のステップが無いことも多いんです。

他人に関して無関心な現代の世の中を垣間見た事案でした。



明日はお休みです。