消された伝統の復権

京都大学 名誉教授 本山美彦のブログ

世界と日本の今を読み解く(2)

2006-04-24 23:29:12 | 世界と日本の今

 防衛庁の話をしましょう。公務員は55歳で定年、あとは天下りして銀行の頭取なんかになる。地方に行って知事になれるかというと、なれない。自治省出身でないと、知事にはなれません。自衛隊に入っても、40~50歳になれば邪魔です。30代で辞めてほしいんです。でも、人材を確保するにはポストを用意しておかないといけない。出世コースを外に用意しないといけません。これは、人間社会として当然のことです。それぞれの組織の立場に立てばそうなります。冷戦体制が終わってみんな喜びました。大変なことが起こると言っていたのは、わたくしくらいです。岩波の『世界』に「空想的資本主義論」という論文を書きました(1) 。資本主義ができるのに何百年もかかっているんだから、社会主義が80年でできるわけがないと言いました。

  (1) 本山「ソ連の〈空想的資本主義〉と非同盟諸国」 『世界』 1992年1月号。

 

 ソ連で巨大な軍隊が解体したあと、軍人はどうなるか。人殺しが職業だった人間が平和な職にはつけません。将校が部下を連れて会社を興す。安全ビジネスです。ダメな人が六本木ヒルズのようなところに集まり、優秀な人が第三世界で警備兵として銅山会社などに雇われていく。専門の訓練機関ができて人材を輩出する。元軍人が転職し、将校が傭兵になり、大企業と契約して警備にあたる。そうなると、平和はまずい。クビにならないためには戦争が必要です。これが政治家の役割になる。考えてみれば、ふつうの給料で政治家たちが住んでいるような大邸宅は建ちません。悪いことしてるんですよ。儲かるのは何か? 戦争です。これはビジネス・チャンスなんです。古今東西、アメリカの軍事費は突出してます。GDPの7%で、日本は1%です。GDPが3倍ですから、額では日本の21倍。そして、予算の60%がペンタゴンに行きます。カネがたくさん流れてくるから、人が群がります。政治家、軍隊、民間軍事企業(PMF:Private Military Firm)がつながってくる。こういうことについては『民営化される戦争』(ナカニシヤ出版)という本を出しましたので、そちらを見てください。

 マージンが1%でも、政治家は儲かります。恥も外聞もなくこうことをやったのが、ブッシュ親子です。9・11のとき、ビンラディンという名が出てきた。これはファミリー・ネーム(苗字)でして、いわゆるギブン・ネーム(下の名前)ではない。ビンラディン家は世界に散らばっています。サウジアラビア出身だけど、一番大勢住んでいるのはダラスです。テキサスの。ブッシュの近くです。9・11のとき、ビンラディン家の一人は投資相談をしてました。父ブッシュの会社の。カーライル社といいまして、武器会社です。東アジア総責任者が父ブッシュです。午前中会合をしていたそうです。これはアメリカ文化でして、重要なことは朝やる。で、あとは談笑するんでしょうね。そのとき9・11が起こった。捜査線上にオサマの名がすぐに出てきました。ボーイングの残骸もないのに、燃えやすいパスポートがすぐ出てきたという。これもおかしいですが、ふつうだったらこの時点で拘束します。ところが、このときチェイニー副大統領命令でビンラディン家の人間が民間機でサウジに出国しています。なぜ? おかしいでしょう。すべての飛行機が飛べません。国家非常事態宣言下ですから。一族は事情聴取を受けるはずですね。なぜわざわざ逃がしたんでしょう? 投資してもらってるお客さんを怒らせたらダメだからです。

 FBIにオニールという人がいた。彼は、オサマがきなくさいと思った。CIAと結託してるんじゃないかと。それを告白しまして、クビになりました。彼は世界貿易センター(WTC)警備員になり、一室を借りて極秘資料をおいていました。父ブッシュとオサマの関係を示す極秘ファイルです。これは燃えてしまいました。このことについては「9・11ボーイングを捜せ」という映像作品を見てください。


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3 コメント

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やっほ~ (NANA)
2006-04-24 23:36:26
初めまして、新着ブログを彷徨ってます

アシアト残しておきました。テヘっ
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きくちゆみさん (suzuki)
2006-04-26 02:28:34
高級官僚の定年はいまだに55歳なんですか?

そういえばここのサイトに旧日本軍と自衛隊の階級の比較表が載っていた。

http://www.military-powers.com/tanks/jsdf03.htm



 やはり階級が上になるに従って定年ものびるのかな?

いずれにしても、旧日本軍で言う将官、佐官クラスならいざ知らず、尉官クラス以下ならば、若者ではないと使い物になりませんね。

 昔の軍隊は予備役制度というものがあったのですが、自衛隊も予備役制度というものがあるらしいです。つまり今は自衛官ではないけれど、有事の時は招集される。



 そういえば、リンクされているサイトにある「きくちゆみ」さんは、先生が昨年9月に講演されたとき、同時に講演された方ですよね?確か?
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NANAさんって誰ですか? (A.M.)
2006-04-27 18:50:18
コメントをいただいている「NANA」さん、何でも自由に意見を書いてもらっていいですよ。
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