消された伝統の復権

京都大学 名誉教授 本山美彦のブログ

野崎日記(88) 新しい金融秩序への期待(88) 平成恐慌の序幕(10)

2009-02-19 01:32:50 | 野崎日記(新しい金融秩序への期待)
(11) SUV(Sport Utility Vehicle)は、自動車の形態の一つで、「スポーツ多目的車」と訳される。一般の自動車に比べて車高が高く、視界が広く、運転しやすいことから、運転に自信のない人や初心運転者に人気が高い。しかし、重量が大きいことから、交通事故発生率も高い。車高が高いから、駐車場に駐車できないことが多く、SUVは路上駐車を助長する要因の一つにもなっている。

 米国では、この種の車のオーナーは、舗装されていない場所に山荘を所有していて、週末を過ごす人々というイメージがあり、都会においてこの種の車を所持することがある種のステータスとなっている。

 欧米諸国では、燃費が悪く地球温暖化を助長するとして、一部の環境保護団体が大型SUVの乗り入れ規制や増税を求め、ときには破壊活動すらしている。最近では相次ぐガソリン価格の高騰にともないSUVをもじってSuddenly Useless Vehicle(突然使い物にならなくなる乗物)とも呼ばれる(Wikipediaより)。詳しくは、ブラッドシャー[2004]。

(12) 一九二八年の選挙で「どの鍋にも鶏一羽を、どのガレージにも車二台を!」というスローガンを掲げて圧勝した共和党のフーバーは、一九二九年三月四日の就任式の大統領就任演説で「今日、われわれ米国人は、どの国の歴史にも見られなかったほど、貧困に対する最終的勝利日に近づいている……」と語った。しかし、就任直後に世界恐慌が起きてしまった。しかし、政府による経済介入を最小限に抑える政策を継続した。その一方で、対外的にはスムート・ホーレー法(Smoot-Hawley Tariff Act of 1930)の下で保護貿易政策をとった。このことが、世界恐慌を深刻にさせた一因とも指摘される。

 恐慌脱出にむけての道筋が見いだせない中、彼が発表した政策として有名なものが第一次世界大戦で英仏に融資した戦債の返済を一年間猶予する「フーヴァーモラトリアム」(Hoover Moratorium)である。次のフランクリン・ローズベルト(Franklin Delano Roosevelt, 1882~1945)大統領がニューディール(New Deal)政策で民間経済にも積極的に介入したのに対し、フーヴァーは政府や国家レベルでの対策しか講じなかった。これが、結果として景気をさらに悪化させたと一般には受けとられている。一九三三年の任期満了をもって大統領職を退き、政界から引退した。なお、在任期間中の一九三一年三月三日にフーヴァーは、「星条旗」(The Star-Spangled Banner)を米国の国歌として正式採用する法案に署名した。よく国歌と間違われる「星条旗よ永遠なれ」 (Stars and Stripes Forever)は、行進曲であり、全く別の曲である。こちらは、一九八七一二月に「国の行進曲」 (National March)に制定された(Wikioediaより)。

(13) 政策金利のことを指す。政策金利とは、中央銀行が、一般の銀行(市中銀行)に融資するさいの金利のこと。

 一九九四年九月まで民間銀行の金利は公定歩合と連動していて、日銀は公定歩合を操作することで金融政策をおこなうことができた。しかし、一九九四年一〇月に、民間銀行の金利は完全に自由化されたので、公定歩合を利用して民間銀行の金利を操作することはできなくなった。日本の景気は悪化し続けていたから、従来であれば公定歩合を下げて金利を下げるべきであったが、日銀は一九九五年九月から二〇〇一年二月まで公定歩合を下げず、〇・五%のままであった。

 民間銀行の金利が完全に自由化された後、公定歩合を操作する代わりに、短期金融市場の金利(無担保コール翌日物の金利)を操作することで金融政策を続けた。短期金融市場は、民間銀行が借り入れをするのに通常用いる市場である。具体的には公開市場操作により、日銀が民間銀行から国債や手形を買い取る買いオペレーション(買いオペ)をして、金利を下げる操作を続けた。これにより、従来もっとも低い金利は公定歩合であったが、現在では短期金融市場の金利がもっとも低い金利となった。

 現在の日本の政策金利は、無担保コール翌日物となっており、公定歩合は政策金利ではない。現在の公定歩合は、短期金融市場の金利の上限の役割を果たしている。日銀は二〇〇〇年八月にゼロ金利政策を解除したが、金融不安が高まるのを防ぐために、〇一年三月に、ロンバート型貸出制度を導入したのである。

 ロンバート型貸出制度とは、金融機関が、日本銀行から公定歩合(基準金利)で短期資金を借りられるという制度で、金融機関の資金調達を、低金利で安定的におこなわせる仕組みである。ロンバート型貸出制度では、日本銀行は、金融機関の申し出に応じて必要額を、金融機関が予め差し入れた担保の範囲内で機動的に貸し出す。ロンバート型貸出制度は、翌日返済を原則とし、連続五日まで公定歩合での借り換え(ロールオーバー)が認められている。ただし、六日以上借りる場合には、公定歩合に二%上乗せした金利が適用される(http://www.findai.com/yogo/0197.htm)。つまり、公定歩合は、いまでは、短期金利の上限になっている。

 経営が不振な民間銀行は信用が低いため、短期金融市場で借り入れできなくなったり、借り入れできたとしても非常に高い金利で借り入れることになる。このことで金融不安を招く恐れがあった。これを防ぐために、担保さえあれば、日銀は制限なく民間銀行に公定歩合で融資をすることにした。担保があれば、民間銀行はどんなに高くても公定歩合の金利で借り入れが保証されるので、金融不安を押さえることに成功した。日銀は、この後、少しずつ公定歩合を下げていった。二〇〇一年九月一一日の米国同時多発テロ事件で金融不安が高まったために、日銀は公定歩合を、史上もとも低い〇・一%まで下げた。〇六年七月一四日に、〇一年三月より再実施されていたゼロ金利政策が解除され、公定歩合は〇・四%となり、その後〇七年二月二一日には、公定歩合は〇・七五%まで引き上げられた。

 日本銀行は、〇六年八月一一日に「公定

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