森男の活動報告綴

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九七式軽装甲車(ファインモールド 1/35)のジオラマ 「His last place」(その2)

2019年06月30日 | AFVの模型
というわけで、前回の続きです。とりあえず、ベースの作り方から書いていきます。

木製のベースは、まずオイルステンで塗装します。乾燥後、マスキングテープでグルグル巻きにします。その上に、100均のスチレンボードのベースを接着して、地面の基礎にするわけです。
スチレンボードは、縁をカッターで削いで、球面状にします。ただの平面でもいいんですけど、円形のベースの場合、そうすると地面の縁が角ばってしまって円との相性がいまいちな印象になります。また、地球の球体の最上部をこそげ取ったようなイメージにしたい、という意図もあります。

図示するとこんな感じです。

こうすることで、地面の広がりを表現できる、、ん、、じゃない、、かな、、と(歯切れが悪い)

で、当然ながら、地球の球形を小さいベースの上で再現できるはずがありません。あくまでイメージ、ですね。そういえば、松本零士氏の漫画「紫電」で、服部中尉が「1万メートルの成層圏を飛ぶと地球の丸みを感じられるようになる」と言ってましたね。なのでまあ、かなりのディフォルメだと思ってもらえれば(笑)

余談ですが「紫電」は戦場漫画シリーズの中でもとても好きな話のひとつです。「男の誇りを賭けた空戦や。一番大事なもののために戦う空戦や」、、。泣けるなあ、、。

閑話休題。いま読み返してて泣きそうになっちゃいました。酒飲んで読んだらあかんですね、これ(笑)。で、えーと、スチレンボードの話ですね。スチレンボードは接着が難しいですね。木工ボンドだと付いてくれるのですが、きちんと圧着しないと乾燥するまえに浮いてしまいます。でも圧着が難しい、、。なので、私は両面テープを圧着用&固定用としてます。両面テープが密着の仮固定の役割を果たし、その間に木工ボンドが乾燥して本固定してくれるわけです。
こうやって見ると、なんか別の星のお好み焼きみたいにも見えますね(笑)。何味なんだろう、、。って、そうじゃなくて、えと、まあ、こうすると確実にベースに固定できるってことです。

スチレンボードにはまず紙粘土を盛り付けます。紙粘土は100均の安物でOKです。っていうか、私は100均の商品が基本ですね(笑)。100均の紙粘土は質が低くて毛羽立ちが凄く、例えば建物の壁などを作るのには向いてないのですが、こういう地面は後で土の表現をして完全に隠れてしまうので100均のでいいわけです。
この地面の製作のときに、車体の位置とか傾きを決めてしまいます。あらかじめ大体の大きさにスチレンボードを掘り下げておいて、紙粘土が半乾きのときに、車体を埋めてしまうわけです。土地の気候にもよりますが、破壊されてから時間が経っている車両の場合、地面に埋まったようになってるのが多いですからね。

で、セオリーとしては車両をある程度完成させてから地面に埋めて、そこからベースの作業に移るものなんですけど、前回に書きましたがこのミッションは2週間というタイムアタックとなっております。今回は時間的にそういうわけにもいきません。両方を同時並行して進めないとアカンわけです。

じゃあどうするか、というとこういう風にするのですね。
車体を先にベースに埋めて、車体を後からいじれるように切り取ってしまうわけです。こうすると、両方を同時に進めることができます。

地面の境界線は、もちろん最終的に処理してやらないといけないのですが、作業量としてはこのように境界線のみで済むわけです。今回は草で覆われてしまうのでほとんど見えにくくなってしまうので、こういうやり方としてはとてもやりやすいシチュエーションなんですね。
私はこれを勝手に「ユニット工法」と呼んでます(笑)

地面は、紙粘土の上に木の切り粉をまぶして表現。接着は水溶き木工ボンドで。タミヤアクリルのバフ的な色で塗装してから、麻紐を短く切ったものを植えつけて下草にします。千枚通し的なもので、地面にしっかり穴をあけて、穴に麻紐の株を瞬着できちんと固定していくのが大事です。
左側が植えつけただけの状態。そこから右側のようにピンセットなどでほぐしていきます。接着が甘いと、ほぐすときにバラバラと地面から外れて「キィーッ!!」となるんですね。とにかくしっかり接着するのがキモです。

下草の段取りが大体終わったら、車体、草ともども塗装に入ります。草はクレオスの「ルマングリーン」です。いろいろ試しましたが、この色が一番いいですね。瓶生でOKなのもポイント高しです(笑)草って、ちょっと緑が濃いと途端にトーンが暗くなっちゃうんですよね。

車体は、とりあえずマホガニー的な色を吹きます。さっきから「的な色」を連発してますけど、手元の塗料ケースから適当な色を取って塗ってることが多いので、そういう説明になってしまうんですね。すいません。

あと、手持ちの未組み立てキットに手をつけるまい!と固く誓ってたのですが、履帯は再生不可能な状態だったので、とうとう未組立キットのを使ってしまいました、、。しかも、履帯が外れてるので各ランナーの1枚づつのばっかり、、、。うう、、。虫食いキットばかりが増えていく、、。

車体の基本色が塗れたら、パステル粉にアクリルシンナーを混ぜたもので錆の表現をします。写真のこの状態から、水を含ませた綿棒でそれっぽくなるまで拭き取っていくわけです。
もちろん転輪のゴム部は、きちんと塗り分けておきます。飛行機の場合、ジュラルミンやアルミ、鉄、ゴムなどいろんな素材が使われるのでどこがどう錆びるのか悩みまくりですが、戦車は基本全部鉄なので楽ちんですね(笑)

大体拭き取れたら、つや消しクリアーなどを吹いて、全体をなじませます。最後に、アクリルシンナーで溶いたピグメントで土ぼこりが角に溜まったような表現をしてやります。塗装は全体的にもうちょっと頑張りたいところですが、時間がないのでこの辺で終了です。

地面の方は、下草の上に雑草を植えて、花も加えていきます。

雑草は、近所の空き地で採取したものです。あれこれいいのを探してて、行き着いたのがこの草です。とても細かくて、草っぽくて気に入っています。何よりタダなのがいいです(笑)。でも、採取するときはただの不審者なのでなかなか勇気が要ります。40男がビニール袋片手に一心不乱に雑草を採ってるって、まあ通報案件ですからね(笑)

で、これはなんていう草なのかわかりません。「雑草という草はないんですよ」(by昭和天皇)なんですけど、調べたくても素人にはよくわからないんですよね。目とか種とか科とか、それすらもチンプンカンプン(死語)ですからね。お分かりの方、ご一報下さい。

花は、スポンジをピンセットでちみ切った(方言・つまんでちぎった、の意)もので表現。それをオランダドライフラワー(これは市販品)に木工ボンドで接着して、ちょっと薄めたクレオスのピンクを染みこませて塗装してます。
ピンセットはちなみに35年くらい使い続けてるタミヤのです。こうやってみると、実に安くあげてますね私(笑)。でも、ジオラマって身近なものでイイ感じに作れたらとても嬉しくなりますよね。そういうのがとても楽しいなあと思いながらやってます。

これが花のアップです。花に限らず、植物ってとにかく密度が凄いので「これでもかこれでもか」と足していくのが大事なような気がしてます。
散歩とかしてて、空き地とか山の植物の植生の複雑さを見てると、そのディテールのもの凄さに頭がクラクラします。「これを再現するのはまあ無理だなあ、、」と。でも、そういう印象を出来るだけ再現したいなあと思いながらやっているわけです。

自然と車体のつながりもできるだけ意識してやります。戦車に限らず、自動車でも建物でもなんでも、人の手を離れたモノには周囲の植物が生えたり絡みついたりします。そのことで、なんというかモノが自然と溶け込んだ風にみえます。
今回は時間がないので断念しましたが、砲塔やエンジンルームから木が生えてるようなのもやってみたいなあと思ってます。

車体後部のツタは、山の沢で採取したコケです。ツタの雰囲気としてはこのコケが一番いいように思います。これまた名前もわからんのですが、、。
先にも書きましたが、自然ってもの凄いディテールと密度で成り立ってます。なので、ジオラマを作るときも「これでもか!」的に頑張らないとリアルになってくれません。今回はベースが小さいこともあって、時間の制約がありながらもできる限り密度を高くするようにしてみました。

タイトルの札は、ザラ紙に文字をプリントアウトして、縁をちぎるようにして破き、もみくちゃにして油絵具などを染みこませてます。手抜き、といえば手抜きなんですけど(笑)、なんか気に入っててよく使います。
というわけで、なんとか完成しました。2週間ギリギリでした(汗)。うーん、やればできるもんですねえ、、。

さて先日、屋外に撮影に行きました。自然光で撮ると、やっぱとてもイイ感じになってくれますね。
この写真のときは、撮影直前までは陽が照ってたんですけど、いきなり曇天となってしまいました。まあでも、これはこれで気に入っています。

これはその翌日、リベンジで撮ったもの。うーん、やっぱり太陽が出てるほうがいいですね。
兵器って生きているときは非常にケンケンした「モノ」です。でも、死んでしまったら、その刺々しさが抜けて、草花とかの自然に違和感なく溶け込んでいるように見えます。死ぬことではじめて「義務」から解放されて、リラックスしているような。でも主人がいなくなって、寂しがっているようにもみえます。

兵器に限らず「モノ」って、なにか心があるように感じることがあります。もちろん人が作った無機物なので心があるわけがないんですけどね。でも、そう感じてしまいます。

自転車でも車でも、長年乗ってたりあれこれ整備したりすると親近感のようなものが沸きますよね。でも、例えば旅先でちょっとだけ乗るタクシーにはそういう感じを抱くことはありません。しかし、そのタクシーの運転手さんは、自分の車にかなりの愛着を抱いているはずです。こういう感覚って面白いですよね。

兵器だとそういう感覚がかなり強くなるような気がします。例えば戦車ならそれを設計したり作ったり整備したり乗ったり戦ったり殺されたりした、たくさんの人たちの「念」みたいなものが「モノ」に伝わって染みこんでて、それに私たちが感応してるんじゃないかなあ、と。関わった人の「運命の重さ」がそういう力を強めているのかもしれません。松本零士氏の戦場まんがシリーズが素晴らしいのは、「人間と兵器との絆」が、キッチリと、かつ切なく描かれてるからなんだろうなと。

ちょっと話がずれますが、絵でも音楽でも小説でも映画でもなんでもそうですけど、私たちがそういう芸術に触れたときに心が動かされるのは、その作った人の「念」に感応しているからなんじゃないかなあと思います。ある人はそれに感動しても、別の人はまったく心が動かない、ということは多々ありますけど、それは作り手と受け手の波長(みたいなもの)が違ってて、シンクロしないということなんじゃないかなあ、と。また、作品がよくできてるとか、できてないとかはその次のことなんじゃないかなあ、とも。

例えば壁の落書きに「ドカーン!」と来て、自分の中にかなりの影響を与えられちゃうこともあれば、国宝級の絵画を見ても「なんじゃこれ。アホらし」と感じて、それきり忘れちゃうこともあるわけです。要するに、客観的な評価や位置付けは個人にとってはあくまで参考程度なんじゃないかな、ということです。あ、でも、この辺の話って、とても奥が深いと思うので軽く聞き流してくださいね(なら書くな)。

あ、話がずれちゃいましたね。えーと、まあ、要するに、兵器には人の「念」みたいなものが強くこもってて、私はそれに惹かれてる部分もあるんじゃないか、と考えているわけです。死んでしまった兵器は、その念がさらに強くなってるんじゃないかなあ、とも。乗ってた人の「死」も乗っかってるわけですから(もちろん生還している場合もあるでしょうけど、それも込みで)。

なので、タイトルの「His last place」の「His」は、車両のそれでもありますし、乗員のそれでもあるわけです。なら「Their」が正しいんですけど、なんか語呂が悪いので「His」にしました(笑)

今回は限られた時間でしたが、上であれこれ書いたような感じをできるだけ出したいなあと思いながら取り組みました。自分なりには気に入った作品にできたように思ってて、満足してます。壊れたキットもこれで成仏してくれたかな?

こういう残骸をテーマにした作品はまた作りたいと思ってます。実は、そのつもりで取ってある過去の壊れた模型、何点かあるんですよね(ほんと、安く上げようとしてるなあ、、)。

それでは。



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