~空からの贈りもの~

「森のこもれび」の山崎直のブログです。

いちばん大きなかなしみに

2014-10-02 21:42:29 | 日記

うっかり忘れなければ観たい番組に、宮崎美子の

「すずらん本屋堂」があります。

毎週、作家を呼んでその著書を紹介するのですが

先日は、ひとり出版社「夏葉社(なつはしゃ)」の発行人

島田潤一郎さんが、ゲストでした。

私は、今の世の中にこんな人がいたのだろうかと

驚きました。

大好きな従兄を突然亡くし、悲しみの中で出会った

一編の詩を本にしたくて、ひとり出版社をつくった

というのです。

何の経験もないのに〈編集も…)です。

42行の詩を一冊の本にしようなんて…

自分で出版社をつくり、その本をだそうなんて…

この詩を読んで、心響いた人は、或いは

そんなことを、思い描いたりするかもしれません

けれど、それは夢物語で終わる話です。

それを、この方は実行に移したのです。

悲しみに寄り添える本を届けたい!その思いが

ひとり出版社を生み、『さよならのあとで』を

送りだしてくれたのです。

本の帯には「いちばん 大きな かなしみに」

と、記されています。

かけがいのない人との死に向き合い

悲しみの果てに、見えて来た真実が

この42行の詩です。

 

      さよならのあとで

   死はなんでもないものです。

   私はただ

   となりの部屋にそっと移っただけ。

   私は今でも私のまま

   あなたは今でもあなたのまま。

   私とあなたは

   かつて私たちが

   そうであった関係のままで

   これからもありつづけます。

   私のことをこれまでどおりの

   親しい名前で呼んでください。

   あなたがいつもそうしたように

   気軽な調子で話しかけて。

   あなたの声音をかえないで。

   重々しく、悲しそうな

   不自然な素振りを見せないで。

   私たち二人が面白がって笑った

   冗談話に笑って。

   人生楽しんで。

   ほほえみを忘れないで。

   私のことを思ってください。

   私のために祈ってください。

   私の名前がこれまでどおり

   ありふれた言葉として呼ばれますように。

   私の名前が

   なんの努力もいらずに自然に

   あなたの口の端にのぼりますように。

   私の名前が

   少しの暗いかげもなく

   話されますように。

   人生の意味は

   これまでと変わってはいません。

   人生はこれまでと同じ形でつづいています。

   それはすこしも途切れることなく

   これからもつづいていきます。

   私が見えなくなったからといって

   どうして私が

   忘れられてしまうことがあるでしょう。

   私はしばしあなたを待っています。

   どこかとても近いところで。

   あの角を曲がったところで。

   すべてはよしです。

              詩: ヘンリー・スコット・ホランド 

              

    

 

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