新型コロナ 首相独断の一律休校
自治体に広がる自主判断 “学校混乱、余計な不安招く”
「しんぶん赤旗」2020年3月1日【1面】
安倍晋三首相が官房長官や与党幹部にも知らせず、文科省の抵抗も押し切って独断で表明した全国の小中高校、特別支援学校の一律休校。「余計な不安を招く」「共働き家庭などへの影響が大きい」「子どもの安全を確保できない」と政府対応への批判が続出しています。一律休校とせず、独自に対応する自治体が広がっています。(関連13面)
島根県出雲市では県内で感染者が確認されていないことなどを踏まえて、当面休校にせず通常通り授業を行うとしています。同市教育委員会の植田義久教育部長は「休校になっても子どもの受け皿が整っていない。学校現場が混乱し、余計な不安を招く」と授業継続の理由を説明しています。
島根県では県立高校と特別支援学校での授業を継続。同県松江市でも、感染者が確認されるまで休校措置は取らないとしています。
愛媛県の中村時広知事は、県内の県立学校などでの休校措置の対応を取るとしたものの、医療措置が必要な生徒への対応や、ひとり親家庭などの児童・生徒を預かることなどを検討しています。「今回のやり方は唐突すぎると疑問を感じており、意見を聞く場もない一方的な要請だ」と政府を批判しました。
岡山県井原市は公立の中高は休校措置を取るとしたものの、小学校は「子どもの居場所確保のため」通常通り授業を行うと発表。県内や隣接する広島県で感染者が確認された場合は休校にするとしています。
宮城県は県立の中学校や高校を休校としますが、特別支援学校は通常通り開校します。村井嘉浩知事は記者団に「休校にすると保護者の負担が大きい」と話しています。
茨城県つくば市では、3月24日まで臨時休校とするものの登校は可能に。授業はせず、自主学習に教員が対応します。学童保育や給食も希望者に実施するとしています。
群馬県太田市は、「休校により低学年の子どもがいる保護者が仕事を休まなければいけないなどの影響が大きい」と判断。小学校と特別支援学校は休校とせず通常通りに授業を行います。登校は保護者判断とし、登校しない場合も欠席扱いにはしません。
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一律休校撤回・現場支援こそ
BS番組 小池書記局長が主張
2020年3月1日【1面】
日本共産党の小池晃書記局長は28日夜、BS―TBSの番組「報道1930」で、安倍晋三首相が新型コロナウイルスの感染拡大防止策として全国の小中高校、特別支援学校の休校を一律要請した問題で、「安倍首相は国会で一律対応の根拠について聞かれても『政治の判断だ』としか答えない」と批判。「専門家会議にも諮っておらず、一律休校という措置は撤回して、改めて各自治体が判断するとすべきだ」と主張しました。(詳報4面)
小池氏は、25日に発表された政府の基本方針では学校での感染対応は都道府県レベルで判断するとされていたのに、27日には安倍首相が一転して全国一律の臨時休校を要請し、教育現場が大混乱し批判を受けると、28日にはさらに一転して「柔軟な対応を求める」と述べるなど政府方針が二転三転しているとし、「非常にちぐはぐな対応になっている」と批判しました。
小池氏は、休校を求めるならば休業補償などの環境整備の対策を政府の責任で同時に行うべきだと主張。給与補償は雇用調整助成金があるという政府の主張に対し「雇用調整助成金は、雇用保険に加入していない自営業者やフリーランスの人には出ない。これでは全く効果がない」と指摘しました。
また、政府が学校は休校とする一方で、保育所や学童保育は原則開所を求めていることに言及。「学童保育はそもそも人手不足で大変な状態。現場からは悲鳴の声が上がっている」と政府の対応のちぐはぐさを批判。「学校よりも狭い部屋で密着度が高いため感染のリスクも高いという矛盾もある」と強調しました。
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「一律休校」説明会見 首相、国民の批判に開き直り
自治体の判断 サポートを
2020年3月1日【2面】
新型コロナウイルス感染症対策として27日夜に唐突に安倍晋三首相の口から出てきた全国一律の臨時休校要請―。国民生活を混乱に陥れた発表から2日後の29日の記者会見で安倍首相は、一律休校の科学的根拠は一言も語らず、「暮らしに直結する決断には当然批判が伴う」と開き直り、無反省な態度に終始しました。
頭越し要請
混乱の最大の要因は、臨時休校の要請が学校の設置者(自治体や学校法人)の頭越しにされたことです。
学校保健安全法は、臨時休校は設置者の責任で行うと明確に規定。感染症の広がりや家庭の事情は地域ごとに異なるからです。感染者が一部の都道府県にとどまるもとでの全国一律の臨時休校には、専門家からも有効性を疑問視する声があがっています。
文部科学省も25日の通達では、感染者や濃厚接触者が児童・生徒に出たときの臨時休校の判断や、休校の期間や規模(学級閉鎖か学校閉鎖か)は、設置者が都道府県などと相談して決めることとしていました。この時も感染急拡大の危険を前提に、一律休校とはしていませんでした。
説明後回し
安倍首相は、社会に多大な影響を与える決定をしたのに、国民への説明や休校に向けた手だての発表は後回し。学習塾にまで自粛を要請しながら、保育園や学童保育には開所を求めるちぐはぐぶりにも批判が集まっています。
国の検査体制が貧弱で、自治体などは情報のないもとで休校の判断を迫られ、子どもや保護者に対応しなければならない状況に置かれています。
安倍首相は会見で、社会に混乱をもたらした反省も語らず、保育園や学童に開所を求める理由も一切説明しませんでした。
要請を受け多くの自治体は走りだしています。主要都市が対象の「読売」調査(29日付)によれば6割の自治体が2日から休校に入るといいます。対策を自治体任せにせず、国として自治体の判断をサポートする体制の構築が急務です。
なかでも急がれるのがひとり親家庭をはじめ、経済的に苦しい家庭の子どもたちへの支援です。夏休みなど給食のない長期休暇明けに、痩せて学校に戻ってくる子どもが、全国的に社会問題になっています。今回の臨時休校で登校しない期間が1カ月を超える自治体も出てきています。全国の「子ども食堂」でも自粛の動きが広がっています。臨時休校で子どもの健康が損なわれるなど、あまりに本末転倒です。
資格はなし
安倍首相は会見で「株価下落のインパクトに見合うだけの経済・財政政策をとる」と表明する一方、休校で影響を受ける子どもへの言及はごくわずか。「子どもたちの健康・安全が第一」といいながら、視線の先をどこに向けているのか。首相の資格がないことが改めて浮き彫りになっています。
(佐久間亮)
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新型コロナ 感染者未確認県も休校
泣く子どもら
2020年3月1日【社会】
安倍晋三首相が新型コロナウイルスの感染拡大で小中高校・特別支援学校に一律休校を要請した問題で、感染者が出ていない県でも休校が決まり、関係者から悲鳴が上がっています。
(井上拓大、丹田智之)
秋田・青森 受験・卒業式前なのに…
厚生労働省によるとクルーズ船を除き国内で新型コロナウイルスに感染した人は2月28日正午現在で180人、30県では感染者が確認されていません。
秋田県は感染者が確認されていない2月28日の段階で、2日から春休みまで小中高校、特別支援学校の休校を決めました。
小学6年生の息子と中学3年生の娘がいる秋田市の母親はいいます。
「娘はもうすぐ高校受験が始まる。授業もやり残しがあるのに突然、学校が休校になる。来週には中学で高校入試の説明会もあったが全部キャンセルになった」
息子は学校の校内放送で休校を伝えられました。卒業前の在校生との交流イベントが中止になり、子どもたちは泣いていた、といいます。
「突然でした。(県内では)感染者は出ていないのに」―。同県五城目(ごじょうめ)町教育委員会の関係者は、安倍首相が要請した一律休校の衝撃をそう振り返ります。
町内ではまだ授業が残っている学校があります。2日以降に学童保育に何人の子どもたちが来るかは未知数だともいいます。「学童保育で正規の人員が足りない場合は、補助人員が加わる予定だ」と語ります。
「突然の話だった。町民には、漠然とした不安が広がっていると思う」。そう語るのは青森県横浜町の健康福祉課の担当者。同町の学童保育では、原則として家で過ごしてもらうことにしました。ただ、仕事を休めない保護者のために、町内すべての小学校で学童保育を午前8時~午後5時半まで開設するといいます。
鳥取・島根 政府要請「あまりにも急だ」
感染者が出ていない鳥取・島根の山陰両県では対応が割れました。島根県では県立学校と県庁所在地の松江市を含む8市町村の小中学校を休校にしない一方、鳥取県では全19市町村の学校を休校にします。
本州から約80キロの島根県隠岐の島町では、2日から町内の全小中学校(小学校7、中学校4)を休校すると発表しました。教育委員会の担当者は「人口が多い松江市などと比べると感染のリスクは低いと思われますが、政府の要請なので従わざるを得ないと判断した」と明かします。
ひとり親家庭や両親が共働きの児童の対応についても「急だったので、学童保育で受け入れができる状況ではない」といいます。
同県浜田市では、3日から修了式の前日までの休校を判断しました。教育委員会の担当者は「今後の状況によっては学校を再開することもあり得る」と慎重です。「保護者からは『国の方針なので仕方がない』との声がある一方で『休校中の学習をどうするのか』など不安の声もある」といいます。
2日から全小学校を休校すると決めた鳥取県智頭町では、2月29日を臨時の登校日としました。「あまりにも急だったので、休校中の学習プリントの用意が間に合わなかった」(教育委員会)と説明します。
同じく2日から休校に入る鳥取市では「休校中は放課後児童クラブを開設しますが、長期の運営や人員確保が難しい地域もあります。学校内で教職員が対応するなどの措置も考えている」(担当者)といいます。
同県三朝(みささ)町は、児童・生徒の“心の準備”を重視し、小中学校の休校を「9日から」としました。
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新型コロナウイルスの感染拡大を受け安倍晋三首相が打ち出した全国の小中学校の一律休校要請が、学校現場、保護者の仕事、営業など多大な影響をあたえています。お困りのことや周辺で起こっている情報をファクスかメールでお寄せください。
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私が総理だ、わたしが「国家」だ、わたしがすべての責任を負う。わたしが「法律なのだ」。わたしはもう少しで「憲法」になれるのだ・・・・・