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「原爆投下は正当だった」アメリカ人学生の言葉に日本人精神科医が返した言葉

2024年03月31日 | 社会・経済

現代ビジネス2024.03.29

  内田 舞

当初、日本での公開は難しいと言われていた、映画『オッペンハイマー』がついに29日公開となった。原爆投下後の広島や長崎の惨状が描かれていないことに加え、アメリカ公開後に原爆を揶揄するファンアートの投稿がアメリカのSNSで過熱したことが、日本で大きな物議を醸したからだ。

本作を見て、「オッペンハイマーという人物の壮絶な人生、その背景にあるアメリカ史には引き込まれたものの、描かれる原子爆弾の被害の現実感のなさから、『遠くの日本という重要ではない国に起きたこと』として語られている印象をどうしても受けてしまいました」と語るのは、著書『ソーシャルジャスティス 小児精神科医、社会を診る』(文春新書)が話題のハーバード大学医学部准教授で小児精神科医の内田舞さん。

アメリカに住んでいると、原爆に対する意識が日本とは大きく異なると感じる場面が多々あるという。

実際、2015年の米国世論調査機関「ピュー・リサーチセンター」の調査では、広島と長崎への原爆投下について、18歳から29歳のアメリカの若者の47%が「正当だった」と解答している。

前編『原爆軽視が根付くアメリカ。『オッペンハイマー』に日本人精神科医が今思うこと』に引き続き、内田さんが同作を見て感じたことを、アメリカの学生たちと対話したエピソードと共に寄稿いただいた。

 

アメリカの学生との対話で感じた想い

10年以上前のことですが、アメリカ人の学生とこんな会話がありました。その学生は日本語を学び、日本を訪れたときに広島の原爆記念館を訪ねたそうです。そこで日本人が「こんなことをしたアメリカ人は絶対に許せない」と言っていたのを聞き、それに反感を覚えたというのです。

「アメリカがあのタイミングで原爆投下して、どれだけ破壊力があるかを世界中に知らしめられたことで、冷戦中の核兵器使用が防がれた。世界の滅亡を避けられたじゃないか。大体、日本は被害者なのか。ユダヤ人大虐殺をしたドイツと連盟を組んで、他のアジアの国にもひどいことをしたじゃないか。それでいて第二次世界大戦といったら原爆投下の被害ばかり語るのっておかしくない? そもそも戦争中っていろんな国がめちゃくちゃひどいことをしたわけだから、日本が、日本が、って核兵器についてばかり言うのはおかしいと思う」

その場にいた日本人は私ひとりだったので、とても孤独な状況でしたが、私は勇気を出してこう発言しました。

「日本が他国にした酷いことはもっと語られなければならない。戦時中、日本国政府が日本国民に発したメッセージの問題に対しても、もっと学ばなければいけないことはたくさんある。日本国政府が当時、国際政治の中でよくない判断を下したことも間違いない」

さらに続けてこう言いました。

「でも、それでも私は、日本から『Never Again(二度と繰り返さない)』というメッセージは発し続けなければならないと思う。

誰かの責任だということは簡単だけど、それだけが注目されるべき問題ではない。日本に原爆が投下されたのは『冷戦での使用を防ぐための投下』というような、核戦争や核兵器についての議論を『理論的には』と、実体験から隔離した机上の空論のように語るのは良くないことだと思う。実際、原爆投下後のヒロシマやナガサキでどれだけの人がどのように亡くなったのか……。 熱波で瞬間的に消えてしまった命、爆風にとばされた人、ガラスのかけらが体中に刺さった人、皮膚がとけ落ちてしまった人、ひどい火傷で川に飛び込んで亡くなった人、白血病で血を吐きながら亡くなった人、親を亡くした子どもたち……。もっともっと様々な生き様がそこにあり、その人々のストーリーなしには核兵器は語られるべきではない。それがNever Againに繋がると思う」

さらに、同じ会話の中で、アメリカ人の大学生から「9.11とカミカゼ特攻隊を比べるのを嫌がる日本人がいるのもおかしい」という発言もありました。

私は「航空機で突進する、という点で、9.11のテロリストとカミカゼ特攻隊の類似点はわかる。そして戦争中ではないときに、一般市民を無差別殺人した9.11のテロリストと特攻隊の加害は違う、という人がいるのもわかる。でも、何よりも『カミカゼ』という言葉でしか特攻隊のことを知らずにイメージするものと、実際の人のストーリーを通して抱くイメージは全く違うものだと思うよ」と話しました。

それぞれの立場で感じ方は違う

私は、両親が以前、鹿児島県にある「特攻の町」知覧を訪れたときに買ってきた本がとても印象的だったので、アメリカにも持って来ていました。私は彼らにその本を見せ、そこに掲載されている、出陣前に親や好きな子宛に書いた特攻隊員の手紙を訳して伝えました。

「今更だけど読みたい本」の題名を綴った手紙、特攻への恐怖を綴った手紙、好きな子への想いを綴った手紙……。写真を見るとまだあどけない10代の思春期の子どもの特攻隊員もいたことを伝えました。

私の発言を聞いていたアメリカ人の友人達は、「単なる敵国のクレイジーな戦略だとしか教わってこなかったが、こんなに若い子たちだったなんて知らなかった……。こんな子どもの兵士が、心の中では怖いと思いながら飛んでいたなんて考えたこともなかった」「舞が話してくれなかったら一生知らなかったと思う」とさまざまな感想を伝えてくれました。

このとき、日本人が私ひとりだったこともあり、日本の人のストーリーをここで語れるのは私しかいないという重圧と、だからこそ湧く使命感を感じ、「わかってもらえるだろうか」と不安を抱えながら、私なりの言葉で伝えたのですが、学生たちの優しい言葉を受けて、なんだかわからないような感情が溢れてきて、皆の前で泣いてしまいました。

このときの自分の言葉には何も後悔はありませんが、実はこの話には続きがあります。後日、とても仲が良いシリア人とスペイン人のハーフの友人に「学生たちとこんな対話があったんだよ」と話すと、彼は「僕は9.11のテロリストと日本の特攻隊の違いはわかるけど、どちらも不道徳で腐敗した国家や権力の下で犠牲になった若者だったという点は同じなのではないかと思う」と、ちょっと怪訝な顔で言ったのです。

この言葉を聞いて、私はシリア人である彼にとって、9.11にまつわる話題をアメリカで語ることがいかに居心地の悪いものであるか、そして同時多発テロだけでなく、実際内戦中のシリアで何が起きているのか、それが一般市民にとってはどのような経験なのか、そういった母国を持つ彼にとってこの話題はどんな思いなのか、といったことを考えずに話してしまったなと、ハッとしました。

私が謝ると、その場にいたもう一人の友だちが「同じことを話しても受け取り方が違うこと、またその背景にハッとすることや、『やっちゃった』という体験を通して、私たちの中で理解や共感が生まれるんじゃないかな」と語ってくれました。確かに、互いの理解を深めるためには、対話を重ね知ることがなければ、理解や共感は生まれません。とても大事な言葉をもらったと感じました。そう話してくれた友人はその後国境なき医師団に入り、シリアから亡命した難民の精神科医として活躍しました。未だに仲の良い、尊敬している友人です。

体験した人たちの声がいかに大事か

私は今年『ソーシャル ジャスティス小児精神科医、社会を診る 』という本を書きましたが、その中で第6章に「ベトナム帰還兵との対話 ThemとUsは簡単に分けられない」というタイトルで、私がイエール大学の研修医だったときに受け持った患者さんとの対話を綴りました。

ベトナム戦争から帰還したアメリカ兵である患者さんは、ベトナムでのトラウマからアジア人を心から嫌う人種差別主義者になってしまい、そしてPTSDの治療のために来た病院で割り当てられたのが日本人である私だったという実話です。この帰還兵さんと出会ったときは、彼の差別的な言葉に圧倒されて、私も彼に嫌悪感を抱きました。しかし、彼が「おまえは何人だ?」と質問したのに対して、私が「教えてあげるけど、まずはなんでそれを知りたいかを教えてほしい」と返したことで、彼の様々な体験と正直な思いを語ってくれることとなったのです。

それから2年間、彼は治療のため毎週通院しました。そして、私との対話を重ねることで、次第に彼の心が変化していく姿を目の当たりにしたのです。この体験は私に、戦争やトラウマという体験の複雑さも含め、分断の反対側にいるように見える人とも、心の交流を通して分断を乗り越えられるという希望を抱かせてくれました。また同時にこの体験は、人々の行動や感情の発露に注目して耳を傾け、一面的でなく多面的に向き合うことの大切さを改めて学ばせてくれました。「経験の共有が共感を作る」、そして「その共感が平和を守る」……私はそう信じています。

しかし、人生の中で出会える人の数は限られています。だからこそ、芸術やメディアを通して知ることのできる他の人のストーリー、経験には価値があるのです。

『ソーシャルジャスティス』の第5章では、「アメリカ社会の差別から学ぶ アジア人男性とハリウッド」という問題に触れ、メディアに映し出されるものが、いかに人々の考え方に影響を及ぼすものかを語りましたが、その中で「世界中の人々の多様な経験を反映させた物語を想像する」というディズニーの提言についても次のように綴りました。一部抜粋します。

 

以前、第二次世界大戦末期の硫黄島での日米の戦いを、日本兵の視点で描いたクリント・イーストウッド監督の映画『硫黄島からの手紙』を見たアメリカ人が、「敵国の日本人にも家族や彼女がいたりして、それぞれの思いで戦争を生き抜いたことを初めて知った」と答えている印象的なインタビューを見たことがあります。それまでアメリカで観た戦争映画では、敵国の軍人たちはただ敵として描かれるだけで、それぞれの暮らしぶりや顔が思い浮かぶことがなく、彼らの人生や物語について考えるきっかけがなかったのだと。しかし「世界の様々な人の経験を描く」ことは、自国中心の歴史観の裏に隠れていた、いくつもの生きた声に触れることを可能にしてくれる。そのなかで単純な敵・味方にとどまらない歴史観が育まれるのだと思います。

アメリカやヨーロッパで核兵器に関して議論される際、私は日本人として、どうしても違和感を感じることが少なくありません。それは、核の抑止力のような核兵器にまつわる理論や核兵器保持の必要性を正当化する政治的な背景ばかりが議論され、実際核兵器が使用された後の人々の苦しみの悲惨さが語られないからです。こう感じるのは、私が日本で受けた教育や、『はだしのゲン』などの漫画や、井伏鱒二の『黒い雨』などの小説、そして広島出身の祖父や親戚の実体験から、実際に核に翻弄された人々の人生を知る機会に恵まれたからでしょう。日本から世界に伝えなければならないストーリーが広く語られることを祈っています。

『ソーシャル ジャスティス小児精神科医、社会を診る 』より

 

私はこうして海外在住の日本人である私の経験を共有する機会をいただけて、とても光栄です。そして、これからも日本の人間のストーリーを世界の中で語っていくつもりです。

こうしている今も、ロシアとウクライナ、イスラエルとパレスチナなど、世界では武力での衝突が続いています。核への脅威について、今改めて考えることはとても大事なことだと感じています。ヒロシマ・ナガサキから「Never Again(二度と繰り返さない)」のメッセージを世界に広めていくこと、世界唯一の被爆国の日本だからこそできる、とても重要な平和へのアクションだと思うのです。


「日本だからこそできる」
平和への志向です。
地球を守ることです。

武器をもってどうするの?
どこの国もやっていることを・・?
人類としての崇高な理想を持ちたいです。

今日はそれほど寒くはないが日中も雪がチラついた。
本州では夏日だとか。

始めて来たコアカゲラ。

庭石が出てきました。


パレスチナ自治区ガザでイスラム教のラマダン(断食月)期間中の即時停戦を求める決議案を採択した。

2024年03月30日 | 社会・経済

緊急な人道支援命令 イスラエルに国際司法裁

「ガザの飢饉始まっている」

「しんぶん赤旗」2024年3月30日

 国際司法裁判所(ICJ、オランダ・ハーグ)は28日、パレスチナ・ガザでの飢餓の深刻化を受けて、イスラエルに対し、「緊急に必要な基本的なサービスと人道支援」を行うための「すべての必要な実効ある措置」をとるよう命じました。1月26日に発した暫定措置を新たな事態に即して修正したもの。

 ICJに対しては、南アフリカが昨年末、イスラエルがガザでジェノサイド(集団殺害)条約違反を犯しているとして提訴。結審までには数年かかるとみられていますが、ICJは1月26日、南アの要請にこたえ、イスラエルに対してすべてのジェノサイド行為の防止、人道援助のための即時の措置などを命じる暫定措置を発出していました。

 ICJは今回の措置で、ガザでは「長期で広範な食料や基本的な必要の剥奪」で「破滅的な生活条件がさらに悪化」していると指摘。1月26日時点でICJが述べた「飢饉(ききん)の危険」の段階ではもはやなく、「飢饉は始まっている」と述べ、状況の変化に対応するために先の暫定措置を修正する必要があると述べています。

 具体的には、イスラエルに対し、食料、水、電気、燃料、シェルター、衣服、衛生用品、医薬品、医療ケアを含め必要な支援を、「遅滞なく、妨害なしに、緊急に必要な規模で」国連と協力して届けること、支援物資の地上からの搬入のため検問所の「能力と数を増やし」「できるだけ長期に開放する」こと、イスラエル軍が人道支援の搬入の妨害などによって、ジェノサイド条約に基づいてパレスチナ人が持つ権利を侵害しないよう直ちに措置をとることなどを命じました。

停戦 日本の役割期待

UNRWA事務局長 議員と懇談 本村氏が参加

 パレスチナ・ガザ地区で食料支援などの中核を担う、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のフィリップ・ラザリニ事務局長は29日、国会内で超党派の議員と意見交換を行いました。日本政府に対し、イスラエルによるガザ攻撃を止めるため「国際社会に積極的に停戦実施を呼び掛けてほしい」と求めました。

 ラザリニ氏は、この5カ月にガザで死亡した子どもの数は、2019~22年に起こった全世界の紛争の死者数を上回るなど、かつてない人道危機だと指摘。これまで貧困地域ではあっても飢餓を経験したことのなかったガザで、イスラエルの包囲による“人間がつくりだした飢餓”がまさに目の前で始まっているとし、市民は「爆撃に遭うか、飢えるかのどちらかで死ぬという状況にある」と非常事態を訴えました。

 日本はパレスチナ地域への70年にわたる人道支援を通じてUNRWAやガザ地区と良好関係を築き、「アラブ諸国だけでなくイスラエルにも耳を傾けるという利点を持っている」と指摘。その立場を生かし、同地域の平和のために不可欠な2国家共存を進める積極的な働きかけを行ってほしいと訴えました。

 意見交換に参加した日本共産党の本村伸子衆院議員は「殺りくが行われ、飢餓の危機があるガザでUNRWAは他の機関にとって代われない重要な役割を担っている」と強調しました。

 

UNRWAへの資金再開

参院委 山添氏「速やかに」

 日本共産党の山添拓議員は29日の参院外交防衛委員会で、パレスチナ・ガザで人道支援の中核を担っている国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への資金拠出をただちに再開するよう求めました。

 政府はUNRWAへの資金拠出を1月に停止していました。山添氏は、来日したUNRWAのラザリニ事務局長と上川陽子外相が前日に会談し、4月前半にも資金拠出再開を最終決定する見通しだと報じられていることにふれ、「すみやかに進めるべきだ」と求めました。

 上川外相は、ラザリニ事務局長からUNRWAのガバナンス(統制)強化や透明性確保などの取り組みが示されたと説明。「これらを踏まえ、日本の拠出再開のために必要な取り組みについて最終的な調整を行っていくことで一致した。今後、いっそうのスピード感をもって進めていきたい」と答えました。

 

ガザと世界 6カ月

変わる“イスラエル擁護”

 イスラエル軍が占領地パレスチナ・ガザ地区へ全面的な攻撃を始めて4月7日で6カ月です。この間の事態は何を示しているのか、世界はどう変わったのか、シリーズで見ていきます。

100市町村で停戦決議

米国

 米民間団体「アラブ系米国人研究所」(AAI)の集計によると、米国では3月下旬の時点で、20州以上の100を超える市町村でパレスチナ・ガザ地区での停戦を求める決議が上がっています。こうした地方自治体はさらに増える見込みです。AAIのジェームズ・ゾグビー議長は米メディアで国民からの「明確なメッセージだ」と指摘しました。

 決議を上げた地方自治体は、人口数千人の小都市から、シカゴ、シアトル、アトランタ、デトロイト、サンフランシスコ、ミネアポリスなどの大都市までさまざまです。

 バイデン政権は昨年10月に始まったイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘を巡って一貫してイスラエルのネタニヤフ政権を擁護し続けています。連邦議会内でも停戦を求めたりイスラエルを批判したりする議員は多くはありません。

 各地の都市の決議は、ガザ地区の人道状況を懸念し、停戦や戦闘の停止を求めています。また決議を地元選出の連邦議会議員に送ることで、停戦を求める立場に立たせることを目指しています。

 西部カリフォルニア州の州都サクラメントの市議会が3月下旬に採択した決議は▽ハマスとイスラエルの双方による即時かつ永続する停戦を要求▽この紛争は軍事では解決できないことを認識▽人道援助活動を容易にする措置をバイデン政権に要求―という内容です。

 南部ジョージア州アトランタの市議会は昨年11月に決議を採択しました。即時停戦のほか、人道回廊の設置、すべての人質の解放、国際法の順守を求めました。

 地方議会の決議は多くの場合、地元住民が停戦を求める運動を起こすなかで採択されています。シカゴでは、高校生たちが授業を休んで市庁舎ロビーで集会を開催。「私たちのような子どもを殺さないで」と訴えました。

 地方自治体の停戦決議を巡っては、イスラエル寄りの議員が抵抗したり、主要メディアが「ハマス支持の決議」と非難したりするなど、イスラエル支持勢力から反発も起きています。採択できても僅差だった地方自治体もあります。

 一方で連邦上下両院では3月下旬の時点で、約80人の議員が停戦や戦闘行為の停止を求める立場を表明しています。民主党のマクコラム下院議員は地元のミネソタ州セントポール市議会が3月上旬に上げた停戦決議について「思慮深いリーダーシップだ」と歓迎しました。(ワシントン=島田峰隆)

軍事行動 不支持大勢に

米世論調査

 【ワシントン=島田峰隆】米世論調査会社ギャラップが3月27日に発表した調査結果によると、イスラエルによるガザでの軍事行動について不支持と答えた米国民は55%に上りました。昨年11月発表の調査と比べると、半年近くで支持は14ポイント減り、支持と不支持が逆転しました。

 党派別で見ると、民主党支持者、共和党支持者、無党派のいずれでも、昨年11月時点と比べて不支持が7~12ポイント増えました。民主党支持者の間では3月時点での不支持は75%に達しています。

 調査は全米の1016人を対象に3月1日から20日にかけて行われました。

「ガザは地獄」と苦言

ドイツ

 イスラエル全面支持を誇示してきたドイツが揺れています。首相、外相が相次いでイスラエルなど中東を訪問し、「ガザは地獄だ」(ベーアボック外相)「(人的被害は)ひどい」(ショルツ首相)とパレスチナ・ガザの状況に苦言を呈しました。

 ショルツ首相は17日に訪問先のイスラエルでネタニヤフ首相と会談し、共同記者会見で「ラファへの地上攻撃で150万人超の人々はどう守られるのか。彼らはどこへいけばいいのか」と強い懸念を表明しました。

 ショルツ氏は、イスラエルが妨害している食料搬入についても「パレスチナ人が飢餓に陥るのを黙って見ているわけにはいかない」と発言しました。

 1週間後にイスラエルを訪問したベーアボック外相は26日、ガザの飢餓状況について「人道的状況は地獄だ」と強調。イスラエルの搬入規制を批判し、「国際組織が障害なく必要な援助を行うことができるようにすべきだ」と表明しました。

 同氏は「ドイツはイスラエルの安全保障に責任をもつ」としながら、「軍事行動は国際人道法の範囲でなければならない」と即時停戦を求めました。

 ドイツは第2次世界大戦後、ナチス政権によるホロコースト(ユダヤ人大虐殺)の罪をあがなうことを外交方針の基礎にし、これまでイスラエルを全面的に支持してきました。

 ここにきて、ドイツがイスラエルに停戦、人道援助拡大などを求めている背景には、紛争開始以来、ガザで3万2000人以上が死亡、飢餓状況がまん延し、ますますひどくなる人道状況と、国際社会の強い懸念があります。イスラエルがラファに地上侵攻すれば犠牲者はさらに万単位で増加する恐れがあるからです。国際社会は即時停戦を要求し、ドイツも人道上の一時的休戦の従来の主張から一歩踏み出しました。

 国内世論もイスラエルへの批判を強めています。ドイツの第2公共放送ZDFが22日に報じたポリトバロメーターの世論調査では、イスラエルの軍事行動について、「多くの民間人犠牲者が出ており正当化できない」との回答が69%と、約7割に達しました。7日発表の公共放送ARDの世論調査でも「イスラエルの攻撃はやりすぎだ」の回答が50%に達し、紛争が始まった4カ月前よりも9ポイント上昇しています。(片岡正明)


ジェノサイドをやめよ!
子どもを含む非戦闘員への殺戮をやめよ!
日本は「平和国家」として汗を流せ!

融雪剤をまいたところの積雪は20cmてところか?
明日の気温は5度くらいだが風が強まりそうで融雪が進むか?


暮らし踏みつけ戦争する国へ 新年度予算成立

2024年03月29日 | 生活

 「しんぶん赤旗」主張 2024年3月29日

 このまま自民党政治を続けたら日本はどうなるのか。そう思わざるを得ない2024年度予算が、野党の反対を押し切り自民・公明両党の賛成で成立しました。戦争国家づくりに向け10年連続で過去最大となった軍事費や大企業への大盤振る舞いの一方で、国民の暮らしを切り捨てる中身です。

巨額借金国民に負わす

 自公政権は、▽日本が開発・輸出した戦闘機が将来的に戦闘に使われ、他国民にミサイルを撃ち込む道を開き▽国民の知る権利とプライバシーを侵害する経済秘密保護法案を今国会で通そうとするなど、「死の商人国家」「戦争する国」に向けて暴走しています。

 中国を抑え込むアメリカの軍事戦略の一翼を担うため米軍と自衛隊の一体化をすすめ、憲法違反の敵基地攻撃に使う長射程ミサイルの取得・開発・量産などに巨費を投じ、約8兆円の軍事費を盛り込みました。23年度当初予算と比べ1・1兆円の増額です。政府は、2兆円あれば大学無償化ができるとしています。なぜ、そちらに予算を向けないのでしょうか。

 日本共産党の論戦で、雇用を維持するための雇用調整助成金のコロナ対応時の残りを、能登半島地震の被災者に使わず軍拡財源に充てることや、軍拡財源確保のために子育て支援の財源を国民の負担で賄うことが明らかになりました。「安全保障」を言いつのりながら、国民の暮らしの安全・安心に背を向けています。

 巨額の軍事ローン(後年度負担)を国民に背負わせる、いびつな国家財政も深刻化させます。米国製武器の“爆買い”など安保3文書に基づく軍拡計画の下で、24年度予算で計画されている外国からの武器輸入契約額の約9割が新たな軍事ローンです。軍事ローンは過去2年間で倍増し、総額約13兆7500億円に膨らみ、後々まで国民にのしかかります。軍事費を特例扱いして侵略戦争に突き進んだ戦前の反省から、戦後、予算の単年度主義がとられてきました。それを形骸化させています。

 大企業への大盤振る舞いも際立ちます。半導体メーカーの台湾積体電路製造(TSMC)1社に計1・2兆円超の補助金を投入します。これは24年度の中小企業対策費1693億円の7倍以上です。特定分野に10年間減税する制度なども創設、大企業を中心に年間2500億円近い減税と見込まれます。

 一方、中小企業対策費は23年度当初予算から11億円減らされました。インボイス制度の導入で増税を強いられ、フリーランスや雇用の7割を占める中小企業は廃業の危機に立たされています。

 社会保障は高齢化などによる自然増を1400億円圧縮し、医療、介護、年金を切り詰めます。教育費は実質横ばいで、国立大学の運営費交付金は物価高の中、実質減額です。食料安定供給の予算も減らします。

打開の方向は明確だ

 アメリカと財界言いなりで暮らしを押しつぶす予算を続けていては、「少子化対策」を言っても国民には響かず、日本経済の30年の停滞からの脱却もできません。裏金問題で明らかになったように、財界からのカネの力で動く自民党政治はもはや現状を転換する方策を持たず行き詰まっています。国民の声を集めて自民党政治を終わらせる。打開の方向は明確です。


こちらもほぼ一日雨でした。
もっと強い☂を予想していたのですが、音もなくシトシトと・・・
風もあまりなく、期待したほど融雪は進まなかったようです。


防衛省のイスラエル製「攻撃用ドローン」購入検討、専門家が警告

2024年03月28日 | 事件

「虐殺に目をつぶるというメッセージ」

防衛省が打ち出している計画は、ガザへの攻撃を続けるイスラエルとの関係を見直す国内外の動きに逆行するものだ。

運用実証が決定した機体の製造元には、エルビット・システムズやイスラエル・エアロスペース・インダストリーズ(IAI)など、イスラエルの軍需産業の代表格である企業が名を連ねる。

イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ地区への攻撃で多くの民間人が殺害される中、イスラエルとの関係を見直す動きが国内外で相次いでいる。

国際司法裁判所(ICJ)は2月、イスラエルに対し、ジェノサイド行為を防ぐあらゆる手段を講じることなどを求める暫定措置命令を出した。ICJの決定などを踏まえ、伊藤忠商事が子会社を通じてエルビット社と結んでいた協力覚書を終了するなど、複数の日本企業がイスラエル企業との契約終了を発表している

さらにオランダの高等裁判所は2月、同国政府に対し、イスラエルへのF35戦闘機の部品輸出を停止するよう命じた。コロンビアでは同月末、ガザで支援物資を受け取ろうと集まった人々がイスラエル軍に殺害されたことへの抗議として、ペトロ大統領がイスラエルからの武器購入を停止すると表明している

カナダ政府も3月、イスラエルへの武器輸出を無期限で停止していることを明らかにした

防衛省が打ち出している計画は、こうした国内外の動向に逆行するものだ。

国際法の専門家は、「ガザでの虐殺行為が続くこのタイミングで、イスラエルの軍事産業の筆頭格である企業と手を組むことは、れっきとしたジェノサイドへの加担だ」と批判。計画を見直すよう訴えている。

落札価格「1円」も

Heron MKⅡ(上)とSkyStriker

Heron MKⅡ(上)とSkyStriker Israel Aerospace Industries、Elbit Systems

防衛省は、「無人アセット防衛能力」の強化を目的として、2023年度予算に「小型攻撃用UAV(無人航空機、ドローン)」30億円、「多用途/攻撃用UAV」69億円をそれぞれ計上している。

同省によると、攻撃型無人機の事業で実証が決定した機種と製造企業は以下の通り。( )内は製造企業名。

▽多用途/攻撃用UAV

Heron MKⅡ(Israel Aerospace Industries)※

VTOL機(SUBARU)

▽小型攻撃用UAV

ROTEM L(Israel Aerospace Industries)※

Point Blank(同)※

Drone81(DefendTex)

HERO-120(Uvision)※

SkyStriker(Elbit Systems)※

※印はイスラエル企業で、7機中5機に上ることがわかる。これらの無人機はミサイルを積めるドローンや自爆型ドローンであり、自然災害時での活用は想定されていない。

なぜイスラエル製が大半を占めるのか。

3月12日の参院外交防衛委員会で、共産党の山添拓議員の質問に対し、防衛装備庁の久澤洋・調達事業部長は「いずれも実証で求める機能・性能を満たす機体であり、一般競争入札を経て競争性を担保し、最低価格で入札した企業と契約を締結した」と説明した。防衛省によると、日本の商社「海外物産」(東京都港区)からの落札価格が1円の機体も含まれているという。

ICJの暫定措置命令などを踏まえ、山添議員が「日本政府はイスラエル製の攻撃型ドローンの購入をやめるべきではないか」と問うと、木原稔・防衛相は「要求性能や経費、維持整備など様々な要素を勘案した上で、我が国の今後の防衛に必要な装備品を総合的に検討する。現時点で特定の国の装備品を予断するものではない」として、計画を維持する姿勢を示した。

「日本の正当性を傷つける判断」

髙橋宗瑠さん著『パレスチナ人は苦しみ続ける なぜ国連は解決できないのか』(現代人文社)

髙橋宗瑠さん著『パレスチナ人は苦しみ続ける なぜ国連は解決できないのか』(現代人文社)HuffPost Japan

イスラエル軍のガザ地区への攻撃で、3万2000人以上の人々が殺害されたと報告されている。こうした中、イスラエル企業から武器を購入しようとする日本政府の動きを、専門家はどう見るのか。

2009年から5年間にわたって国連人権高等弁務官事務所・パレスチナ副代表を務め、国際法を専門とする髙橋宗瑠(そうる)・大阪女学院大学大学院教授は、イスラエル企業と取引することは「あまりにも国際社会の動きが見えておらず、あり得ない判断」だと批判する。

「伊藤忠が子会社を通じて(イスラエル軍事大手の)エルビット・システムズと契約を締結していたこと自体は問題ですが、少なくともICJの命令を受け、きちんとした判断がされたのは評価できます。

それなのに民間企業とは異なり、税金で全てが賄われている日本政府が、よりにもよって多くのパレスチナ人が殺害されている今、イスラエルの軍事企業と手を組み、莫大な資金を与えようとしている。武器を渡す行為ではなくても、これはジェノサイドへの露骨な加担に当たります」

髙橋さんは、攻撃型ドローンを巡る日本政府とイスラエル企業の取引が「商品を売買するだけで終わり、という単純なビジネスの話ではない」とみる。どういうことか。

「武器の取引というのは、使い方を訓練してもらったり、機体の動きが悪くなったら部品の提供を受けたりと、長期的な関係を築くことを意味します。その上、『ガザに対する虐殺行為には目をつぶります』というメッセージを、イスラエルだけではなく国際社会に対して送ることにもなる。

イスラエルの政府や企業と手を組んではいけないという機運が国際的に高まっている現状を無視しており、大きな問題です。今回の判断が、いかに日本という国のレジティマシー(正当性)を傷つけることかに気づいていません」

イスラエル企業から武器を購入する計画に向けられる批判の声を、どう受け止めているのか。

防衛省は「国民の生命と財産を守り抜くためには、防衛力の抜本的強化を図る必要があり、そのためには自衛隊の運用ニーズを満たす優れた装備品を導入していくことが重要です」とハフポスト日本版の取材に回答した。

こうした主張を、髙橋さんは「受け入れられない論理」だと一蹴する。

「日本を守るためなら、人権侵害を続ける相手とだって手を組むという、あたかも二者択一であるかのような言い分です。ですがこれでは、『防衛という大義名分が立てば、国際社会のルールなど無視して良い』と言っているようなもの。

政府の決定のつけは私たち自身に降りかかります。イスラエルの軍事産業と手を組むことは、日本政府のみならず市民の国際社会における評判を貶める行為なのです。決して『国民のため』にはなりません」

イスラエル製の攻撃用ドローンの実証事業に関わるのは、防衛省だけではない。輸入代理店として、海外物産、日本エヤークラフトサプライ、住商エアロシステム、川崎重工業の4社が契約先の企業に決定している。

髙橋さんは「企業が自ら判断して輸入の役割を引き受け、それによって利益を得ようとしているのです。『政府に頼まれたから』という言い逃れは通用せず、企業もジェノサイドに加担しない責任があります」と強調する。

防衛省は小型攻撃用UAVについて、3月末までに各製造企業から実証試験の成果報告書の提出を受け、2024年度以降に本格導入の機種などを決定する方針。多用途UAVも同様に、同年度中の実証試験を経て報告書を受け取るとしている。

主要ドナー国としての影響力を行使する時

オランダ・ハーグにある国際刑事裁判所(ICC)の外観(2022年)オランダ・ハーグにある国際刑事裁判所(ICC)の外観(2022年)via Associated Press

髙橋さんは、イスラエル企業との取引を見直すことに加え、日本政府がすべきこととして国際刑事裁判所(ICC)への働きかけも挙げる。

ICCは、集団虐殺や戦争犯罪などに関する捜査を行い、政治や軍部の指導者個人を国際法に基づき訴追・処罰する役割を担う。3月11日には、ICCの新たな所長に赤根智子氏が日本人として初めて選出された

「パレスチナに関してICCは極めて腰が重いと言わざるを得ません。パレスチナは2015年にICCに加盟したものの、本捜査が開始されるまで約7年かかりました。ロシアがウクライナに侵攻した際、本捜査が始まったのは4日後で、1年以内にプーチン大統領は起訴されています。

病院や民間人への意図的な攻撃、飢餓状態の利用といった、イスラエルの戦争犯罪は歴然としているのに、起訴状はまだ一つも出されず、嵐が通り過ぎるのを待っているかのようです。イスラエルへの対応で、国際システムの二重基準や偽善があらわになっている。それが端的に現れているのがICCです」

120を超える締約国・地域のうち、日本はICCに最大の分担金を拠出し、2023年には37億5000万円に上った。髙橋さんは、「日本は主要ドナー国としての影響力を行使し、イスラエルの戦争犯罪を一刻も早く裁くようICCに働きかけるべきです」と提言する。

【髙橋宗瑠(そうる)氏】

大阪女学院大学・大学院教授。アムネスティ・インターナショナル職員などを経て、2009年〜14年に国連人権高等弁務官事務所パレスチナ副代表を務める。同年に帰国後、ビジネス・人権資料センターの初代駐日代表に就任。2019年から現職。専門は国際法。単著に『パレスチナ人は苦しみ続ける なぜ国連は解決できないのか』(現代人文社)。『現代思想2024年2月号 特集=パレスチナから問う━100年の暴力を考える━』(青土社)にも寄稿。

<取材・執筆=國﨑万智(@machiruda0702)>


これはひどい。
まさかの「死の商人」そのものだ。
自公政権を早いとこボイコットしなければ大変なことになる。

久しぶりにエゾリスが遊びに来た。

近所の方がトラクターで駐車スペースの除雪してくれました。


北原みのり おんなの話はありがたい ありがとう、吉幾三

2024年03月27日 | 生活

 5年で50億の二階俊博に「ばかやろう」という怒りを私たちは諦めてはいけない 

 

AERAdot.オリジナル 2024/03/27/ 

 

吉幾三さんのYouTubeチャンネルから

 作家・北原みのりさんの連載「おんなの話はありがたい」。今回は吉幾三さんのYouTubeチャンネルで感じた、おかしいことをおかしいと言う自由について。

*    *  *

 いいなぁ、吉幾三。ありがとう、吉幾三。そんな気分だ。

 10カ月前に吉幾三さんのYouTubeチャンネルで「飛行機で見た横柄な国会議員」の話がバズった。吉幾三さんと同じ飛行機に乗った客がCAに対し横柄だったこと、その客が国会議員であることを匿名で話したのだ。その後、その国会議員が現役CAの告発によって明かされ、ちょっとしたニュースになった。

 突然YouTubeで名指しされた自民党の長谷川岳議員は、自身のブログで飛行機の遅延に関する持論を長文で記し、メディアには「大声は出していない」などと反論をしている。

「国会議員がCAに横柄な態度を取る現場を見た」という吉幾三さんの言い分はシンプルだ。

「大人だったらさ、ある程度年いったら、ちゃんと人と接しないと恥ずかしいよ」「機嫌の悪いときもあるだろうけど、機嫌の悪いときはしゃべらなきゃいいじゃん」「機嫌の悪いときもあるけどさ、そこは、我慢しなくちゃだめだよ」

 思わず深く頷いてしまう。機嫌の悪いときはしゃべらなきゃいいじゃん! その通りである。

 吉幾三さんは一人でカメラに向かい、打ち合わせも台本もないような自由な感じで、言いたいことを言いたい放題な感じでしゃべり続ける。コロナ禍中にはじめたチャンネルのようだが、最近は裏金問題に怒り、年金機構に怒り、国会議員の振る舞いに心から怒っている。この国に、怒ってる。

「政治に金かかるっていうけど、なんで金かかるんだよ、金かからない選挙しろよ」「働いても働いてもこんだけ税金高くてさ。あんたがた(←国会議員のこと)税金関係ねぇだろ。払ってんのかどうかわかんねぇけど」「どこにいった年金、この野郎(←年金機構のこと)、人の金、勝手に使ってんじゃねぇ、この野郎!」

 怒り顔は真顔だが、どこか楽しげで、時折自分の言ってることに吹き出したりもする。吉幾三さんには、飛行機や新幹線にただで乗れる国会議員特権はないが、自由があるのだ。右とか左とか、政治なども関係なく、思ったことを言う、おかしいことをおかしいと言う、吉幾三として言う、おかしいと思うから言う、ちゃんと言う、である。その自由は誰に与えられたものでもなく、自分で信じ、育ててきたものである。

 見ているうちに不思議に心が軽くなる。「人の前出たらな、歩いている犬猫にもアイサツして歩けって、オレは言ってんだよ」などと言っている吉幾三さんに癒やされている。え、なにこれ、どうしたの私。多分、そのくらいに今、言論空間が窮屈ということなのかも。SNSで自分と違う考えの人間を断罪し、レッテルを貼り、誰が誰に「いいね」したとかで責め、互いが互いを監視するような社会で、このくらいの気軽さ、このくらいのゆるさで、自分の言葉で言いたいことを言える社会だったら、もう少し風通しがよくなるのではないかと、ついつい「俺ら、東京さ行ぐだぁ〜」と口ずさんだりしてしまって。

 吉幾三さんのチャンネルを見ながら、2018年に東京医大で女性差別受験が発覚したときのことを思い出した。私はあのとき、「東京医大前に集まりましょう」と人生で初めてSNSでデモを呼びかけた。あまりに腹が立ったからだ。ところがデモを呼びかけたとたんに、「医大前でデモだなんて入院患者に迷惑だ」とか「警察に許可を取ったのか?」とか「東医大に通っている男子学生の気持ちを考えたのか?」などとブレーキをかける声がいくつもあった。2019年に性暴力の無罪判決に抗議するフラワーデモを呼びかけたときも、「判決文を読んでからデモしろ」などと言う声は少なくなかった。

 個から発する怒りをなだめる声は、あまりに大きい。それが女の声ならばなおのこと。でも、怯むことないのだ。自分の立場で、自分の声で、自分の言葉で、私たちは発していくしかない。右とか左とか、政治信条関係ない。「歩いている犬猫にもアイサツして歩け!」な、そんなシンプルさでの自分の怒りを守るべきなのだと思う。

 先日、二階俊博さんが「ばかやろう」と記者会見で呟いた。85歳という年齢のことを言われ「お前もいつか年を取る」と切れた。年齢のことは、よほど悔しかったのだろう。それでも高齢者に敬意を払えないような社会を、あなたたちがつくってきたのだと思う。政治に怒る人々の声を無視し続け、政治を諦めさせる空気を生み、権力にあぐらをかき続け、庶民には到底手の届かないレベルの額の金を「国のため」ではなく「自民党のため」に使い続けた。「ばかやろう」はどちらなのだろう。5年で50億円どう使ったんだよ、おかしいだろう? そんな怒りを、私たちは諦めてはいけない。

 今年は「俺ら東京さ行ぐだ」の発売からちょうど40年になる。もはや東京は憧れの街ではなくなり、日本は1980年代のようには明るくはない。それでも、私たちが明るく前向きに怒る自由を自ら失ってはいけないのだ。思わぬ変化球で世間を賑わした吉幾三さんに、なんだか、心からありがとう、です。


『「死の商人」の扉開く次期戦闘機輸出』
戦闘機を大量に輸出するためには“戦争で使われた実績”が必要です。
「平和」への努力は?
これが「積極的平和主義」なのでしょうか。

日本国憲法前文

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

声を挙げましょう!
戦争は嫌だと。
三菱製品ボイコットを進めましょう。
自公政権をボイコットしましょう。

今日もいい天気です。

融雪剤の効果。


PFAS汚染された農地をどうする?

2024年03月26日 | 自然・農業・環境問題

印鑰 智哉(いんやく ともや)のblogより

 by INYAKU.Net 2024/03/26

 誰もが生きるなら汚染のない世界で生きたい。でも、今の世界は汚染が進み、人のいない極地地域でも汚染は発見される。この汚染された世界でどう生きたらいいのか。世界の命をこの汚染からどう守ればいいのか、汚染を減らすにはどうすればいいのか?

 言うまでもなく、まず汚染の進行を止めること。汚染物質を禁止し、汚染させた企業、軍などの組織に責任を取らせること。

 でも汚染されてしまった農地はどうするのか。放射性物質、カドミウムやヒ素などの重金属、ラウンドアップ(グリホサート)などの農薬、さらにはPFASなどによって汚染されている農地がある。まったく汚染されていない農地はないだろう。大なり小なり、この汚染された農地からどう安全な食を確保するのか、考えなければならない時代に入っている。

 汚染物質だけを抽出して隔離する技術があればいいのだが、これが難しい。でも、この分野でも有機農業は大きな力を発揮しそうだ。バイオ炭や土壌の微生物を生かし、必要なミネラルを確保することで重金属の吸収を防ぐことが可能であることは検証されている。有機堆肥の利用も有効¹。

 さらに汚染物質を吸収しにくい作物を選ぶことも有効。たとえばニンニクやアスパラガスなど果実をつける植物は移行率が低いため、汚染された土壌で栽培されたとしてもPFASの含有量は高くない²。

 一方、レタスなどの葉物野菜や、家畜の飼料として使われる干し草はPFASの移行率が高く、干し草は家畜の餌として使われ、その糞尿を通じて有害化学物質が拡散されてしまう³。

 だから、移行率の高い作物を移行率の低い作物に転換することで汚染を抑えられることになる。もっともその移行には負担がかかる。新たな倉庫やトラクターも必要になるかもしれない。米国メイン州はPFAS汚染に苦しむ農家のために6000万ドルの基金を作り、その移行を支援している。

 さらにその農地のPFAS汚染を引き下げるためにはPFASを食用作物とは逆にたくさん吸収してくれる作物を植えることでその土地を浄化させることが考えられる(ファイトレメディエーション)。

 メイン州では空軍基地として占有されていた土地が先住民族に返却されたが、その土地はPFAS汚染がひどく、農業にも人間の居住にも適さない状態だったという。そこで試みられているのが繊維用麻の栽培だ。麻はPFASを吸収する驚くべき能力を持っているという。収穫された麻はバイオ燃料で使うことも検討されている。

 麻の栽培は日本では難しいかもしれないが、このようなPFASを吸収しやすい植物を活用することでPFASに汚染されていた地域の汚染を安全なレベルに引き下げることが期待できる。

 米国の大学ではPFAS汚染地域での農業の方法について毎年シンポジウムが開かれ、最新の知見が共有されているようだ⁴。

 しかし、汚染を取り除くことは汚染する数桁上の手間と費用を必要とするだろう。だからまず汚染させない政策が必要になる。メイン州は農地のPFAS汚染の大きな原因となっている下水汚泥肥料の使用を禁止している。

 ところが日本の農水省はその逆で、下水汚泥肥料の使用を促進するセミナーを開き、その使用を全国的に推進している⁵。肥料中のPFAS濃度は測ってすらいない。それではダメではないかと指摘すると、農水省からは問題が出たら考えますとの答え。しかし、問題が出てからでは遅いのだ。

 PFAS汚染は軍事基地や工場、産業廃棄場や下水汚泥肥料、さらには農薬も原因となる。PFASを含む農薬は日本でも使われており、農薬経由でもPFAS汚染が進む。そうした汚染源をまず断つこと、そして被害農家に汚染責任組織が賠償し、その土地の浄化の責任を取らせること。これはその農家のためだけでなく、汚染のない未来を作るためにわたしたちすべてに必要な原則であり、行動であると思う。


農薬についても、どの農薬にPFASが使われているのかすら公表されていない。
下に3年前のビデをを載せた。
3年前である。
水素エネルギーやペロブスカイト太陽電池、汚染水からトリチウムを除去する技術などがすでに開発されている。
なぜ進まないのか・・・?
待ったなしの状況で。

紙・プラではない「夢の素材」【SDGs】


「三菱製品買わないで!」戦闘機輸出に反対する市民団体が不買運動を呼びかけ

2024年03月25日 | 生活

「東京新聞」2024年3月21日 

 国内メーカーで防衛産業を強化する動きが相次ぐ中、消費者団体の日本消費者連盟(日消連)と主婦連合会(主婦連)、市民団体の武器取引反対ネットワーク(NAJAT)は21日、東京都内で会見を開き、次期戦闘機の共同開発に参加している三菱重工業と三菱電機の製品の不買運動などを呼びかけた。
 両社が共同開発に参入している日本、英国、イタリアの3カ国による次期戦闘機は、第三国に輸出可能になる見込み。日消連の纐纈美千世事務局長は会見で「人の命を奪う武器をつくろうとする動きは、全力で止めなきゃいけない」と訴えた。
 3団体はこの日、次期戦闘機の共同開発や武器輸出の中止を求める要請書を両社に提出した。両社に「死の商人にならないで」と訴えるはがきを送る運動も始めている。はがきの印刷用データは日消連などのホームページからダウンロードできる。(望月衣塑子)

そもそも「武器」の製造、輸出は憲法違反だ。
そんな企業を野放しにすることはない。
自動車・家電など、生活に密着した商品も多数ある。
 
土の露出が広がり、氷も融けだした。
天気予報では☀なのだが⛅が多く風もやや北寄りの寒い風だった。

食料・農業・農村基本法改定案の問題

2024年03月24日 | 生活

農民運動全国連合会(農民連)会長 長谷川敏郎さん

「しんぶん赤旗」2024年3月24日

自給率向上放棄の一方 “非常時”には政府統制

 政府が今国会に提出した、農政の基本方針を定める食料・農業・農村基本法の改定案。今後の農業政策の大きな方向性を定める重要法案です。法案の問題点について、農民運動全国連合会(農民連)の長谷川敏郎会長に聞きました。(鈴木平人)

 ―日本の農政の現状と改定の背景をどう考えますか。

 今回の改定案は、ロシアのウクライナ侵略による小麦価格の高騰や円安による飼料高騰など、世界的に広がる食と農の危機に対して、新たに「食料安全保障」を基本理念の柱として打ち出しました。そうであれば、1961年に旧農業基本法が制定されて以来の総輸入自由化路線、新自由主義的政策の根本的な検証と反省が必要です。

 食料増産と自給率向上で国民の食を守るのか、食料自給率を低下させたままで国民を飢餓に追い込むのかが問われる非常に大事な局面です。「米国言いなり」「財界のもうけ優先」という日本の政治の二つのゆがみをただすことなしに、日本農業の再生はないと考えます。

 ―改定案の最大の問題点は何ですか。

 食料自給率の目標が「向上」を目指すものでも「指針」でもなくなったことです。「食料自給率」の言葉は残りますが、現行基本法にあったその向上を「図ることを旨と(する)」という部分が削除されました。

 改定案では「食料自給率その他の食料安全保障の確保に関する事項の目標」の一つに格下げされ「改善が図られるよう…関係者が取り組む」ものにして、政府の立場はあくまで傍観者的です。目標が達成されなくても何とでも言い逃れができてしまいます。自給率向上のために講じようとする施策の年次報告の文書提出と審議会への意見聴取義務も削除しました。

 そもそも現行法の食料自給率目標は、国民のたたかいで押し込んだものでした。94年のWTO(世界貿易機関)農業協定受け入れによるコメの輸入自由化に対する反対運動や、99年のコメの輸入数量制限の撤廃と関税化、ミニマムアクセス(MA)米77万トンの受け入れに対しては、全国農業協同組合中央会(JA全中)が1000万人署名運動を展開し、農民連も国会前座り込みなど全国行動を実施しました。

 この運動の広がりを受けて、99年の現行法審議の際に農林水産省原案に、食料自給率が基本計画の目標として書き込まれたのです。

 しかし、この目標は制定以来一度も達成されませんでした。この検証抜きに法改定の議論はできません。会計検査院からも、2022年度の決算検査報告の中で「目標を達成していなかった場合の要因分析をするなどの検証は行われていなかった」ときびしく指摘されています。

 農民連は、食料自給率の向上を政府の法的義務とすることを求め、署名も呼びかけています。併せて、自給率目標を定める基本計画を国会承認制とすることが必要です。

 ―「食料の安定供給」として、さらに輸入を促進しようとしています。

 「国内の農業生産の増大を図ることを基本」との規定は残しながら、現行法では「輸入及び備蓄とを適切に組み合わせ(る)」としていたものを、改定案では「安定的な輸入及び備蓄の確保を図る」と輸入の位置づけが強化され、組み合わせは消えました。

 輸入促進のために、輸入相手国への国と民間との連携で投資の促進を図る条項も新設されました。

 政府自身も「今後20年間で、農の担い手は現在の約4分の1(120万人→30万人)に減少し、農業の持続的な発展や食料の安定供給を確保できない」と認めています。しかし青年の新規就農支援には全く触れていません。「スマート農業促進法案」でロボットやドローン、ビッグデータ、AI(人工知能)を使って「生産性」を上げるとしても農民を増やさずに乗り切れるとは到底思えません。

 国内農業の担い手については「効率的かつ安定的な農業経営を営む者及びそれ以外の多様な農業者」とし、家族農業はあくまで付随的な扱いです。今年は国連が定めた「家族農業の10年」の折り返しの年でもあります。家族農業の再評価と重視こそ強調されるべきです。

 ―基本法改定案と併せて提出されている「食料供給困難事態対策法案」をどう見ていますか。

 食料自給率向上の目標を放棄しながら、いざ食料が大幅に不足する恐れがある場合には生産・流通統制や配給制度などを行う「食料供給困難事態対策法案」=“戦時食糧法”で乗り切るという無責任なやり方になっていることです。

 この法案は、輸入減少や凶作などにより食料の供給が不足する事態が発生しうる場合、政府に「対策本部」を設置し、特に深刻な場合は1人1日1900キロカロリーを確保するためにイモやコメへの生産転換を生産者に要請・指示できるものです。指示に従わなかった場合は20万円以下の罰金、つまり刑事罰です。

 いざというときには花農家にイモをつくれと強制し、すでに離農した農家も引っ張り出して「予備役」としてつくらせようとしています。必死に農産物をつくる農家には罰金で脅して、農政の失敗の尻ぬぐいをさせる計画です。

 自給率向上を放棄し、その政府の責任も見えなくするのが今回の改定案です。運動の力で撤回に追い込むしかありません。

 はせがわ・としろう 1957年京都府綾部市の農家に生まれる。大学卒業後、農民運動に参加。82年から島根県瑞穂町(現邑南町)で水稲1.2ヘクタール、繁殖和牛2頭の農業経営。89年の農民連結成に参加。2021年から農民連会長。


「日本の食」をも世界のグローバル企業に委ねようとする魂胆が見え見えです。
「土」を触らない「農業」が増えています。
ニッポンの豊かな「食生活」、世界遺産としての「和食」。
これらは「家族農業」が作り出した産物でしょう。
ニッポンの豊かな食生活と家族農業を守ってください。


水俣病の被害者 司法判断に翻弄されて

2024年03月23日 | 自然・農業・環境問題

「東京新聞」社説 2024年3月23日

 司法は今度は、水俣病被害者の救済への扉を開かなかった。健康被害に苦しみながら高齢化した被害者たちの人生は、異なる司法判断のはざまで翻弄(ほんろう)されている。

 水俣病特別措置法(特措法)の対象から漏れた原告144人が、国や熊本県、原因企業チッソに損害賠償を求めていた訴訟で、熊本地裁は原告の訴えを退けた。同趣旨の訴訟は全国4地裁で起こされ、原告は計1700人以上。初判決は昨年の大阪地裁で、原告128人全員を水俣病患者と認定、国などに賠償を命じており、同じ訴えに対する判断が分かれた。

 特措法では約3万8千人に一時金を支給したが、対象を不知火海周辺の特定地域に絞り、チッソが汚染水排出を止めた翌年の1969年11月までの出生も要件にし、約1万人が救済から漏れた。集団訴訟の原告はそうした人たちだ。

 昨年の大阪地裁は、対象地域外でも不知火海の魚を継続摂取していれば発症しうる▽排出停止後も発症した例がある-として、法の「線引き」を一蹴し、原告全員を患者と認めた。

 一方で、今回の熊本地裁は、水俣病は、不知火海の魚を継続的に多食してからおおむね10年以内に発症すると推認。原告のうち、この条件に合う25人を水俣病に罹患(りかん)していると認定したが、賠償請求権が消滅する除斥期間(20年)が経過していると判断した。残る119人の罹患は認めなかった。

 日本の公害の原点とされる水俣病の救済は、司法が、政治に重い腰を上げさせる歴史だった。

 国は「複数の症状がある」という厳しい条件に基づき、重症の約3千人を患者に認定した。しかし、中軽度の症状に苦しむ人の訴訟が相次ぎ、95年、未認定患者1万人余に一時金を支給して政治決着を図った。その後、最高裁が認定基準を国より緩やかに解釈する判断を示したことを受け、09年、第2の政治決着として成立したのが特措法だ。そこからも漏れた人々の救済の先行きは、大阪地裁判決と打って変わった今回の判決で一気に混迷化した。

 「あたう(できる)限りすべて救済する」と特措法はうたうが、司法判断は揺れ、同法で定める被害地域住民の健康調査すら未実施だ。患者救済に尽くした医師の故原田正純さんの著書名が言う通り、「水俣病は終(おわ)っていない」。公式認定から今年で68年になる。


「ノーモア被爆者」「ノーモア水俣」が危機にある。
ここでしっかりした基礎を築かないとPFASなど次々と現れる「公害」にも対処できなくなることは明らかだ。

良い天気に恵まれ、融雪が進んだ。
ネコヤナギが咲いていた。

今日の散歩道。

 


ほぼ全国(43都道府県)にPFAS関連企業

2024年03月22日 | 自然・農業・環境問題

政府 企業名公表を拒否

参院環境委 山下議員が告発

「しんぶん赤旗」2024年3月22日

EU全1万種超規制へ 日本3種のみ

 発がん性などが指摘され、国際的に規制強化が進む有機フッ素化合物(PFAS)を製造、販売、使用している企業が、少なくとも43都道府県、200超の自治体に所在することが分かりました。北は北海道から南は鹿児島県までほぼ全国に広がっています。

 日本共産党の山下芳生議員が21日の参院環境委員会で告発しました。政府はPFAS関連企業名を明らかにすることを拒んでいます。

 PFASは1万種類以上あり、自然に分解されずに人体や土壌などに長期間残留します。全国各地の米軍基地や工場周辺などで汚染が相次いでいます。

 山下氏は、PFASを扱う「日本フルオロケミカルプロダクト協議会」「日本フルオロカーボン協会」「日本化学工業協会」「日本弗素(ふっそ)樹脂工業会」の参加企業の資料を調査。PFASの製造拠点が、半導体関連企業も含め重複分を整理すると、少なくとも43都道府県、200超の自治体に上ると明らかにしました。

 山下氏は、欧州連合(EU)の欧州化学品庁が昨年2月に1万種類以上ある全てのPFASの製造や使用を禁止する規制案を示した一方で、日本では3種類しか禁止されていないと指摘。「PFAS汚染による不安が高まり、国際的にも規制が強化されようとしている中、PFASを製造、販売、使用している企業で適正に管理されているか国が調査すべきだ」と迫りました。

 伊藤信太郎環境相は「EU規制案を受けた特別な対応は考えていない」と消極的な姿勢を示しました。

 さらに山下氏は、EU規制案に対するパブリックコメント(意見公募)5642件のうち、規制に後ろ向きな日本企業・業界団体によるコメントが942件に上り、経済産業省も同じ趣旨のコメントをしていたと指摘。「世界の流れに逆行する圧力を、業界や経産省がかけていた」と批判しました。

 また、住友化学会長でもある十倉雅和経団連会長が22年に自民党の政治資金団体「国民政治協会」に5000万円を献金していたことに触れ、「政治とカネの問題が関係している疑いがある。PFASの政策をゆがめるような企業・団体献金は禁止すべきだ」と強調しました。

⁂     ⁂     ⁂

水俣訴訟、救済対象外の請求棄却 典型症状主張144人、熊本地裁

水俣病特別措置法に基づく救済策で対象外となった人たちが国などに損害賠償を求めた訴訟の熊本地裁判決で、「不当判決」を訴える原告側の弁護士ら=22日午前、熊本市

このようなことが毎度繰り返されている。
そのようにならないよう事前の対策が求められている。
しかるに、国民の健康や命より企業活動が優位に立つ。
すべては「金」だ。
「金」でしか動かない自公政権におさらばしよう!


教員長時間労働正せ 署名18万人

2024年03月21日 | 教育・学校

呼びかけ人・日本大学教授 広田照幸さん

「しんぶん赤旗」2024年3月21日

仕事増えても人員増えず

 深刻化する教員の長時間過密労働と「教員不足」。「このままでは学校がもたない」と教育研究者有志20人が呼びかけた「教員の長時間勤務に歯止めをかけ、豊かな教育の実現を求める」署名は18万2000人分を超えて集まりました。呼びかけ人の一人、日本大学の広田照幸教授(元日本教育学会会長)に聞きました。(高間史人)

 ―「学校がもたない」という状況がなぜ生まれたのでしょうか。

 文部科学省調査では小中学校の教員は平均1日3時間以上の時間外労働を強いられています。それだけ働かないと学校がまわらない状況なのです。

 教員の長時間労働はずっと問題になってきました。1960年代には人事院が労働基準法にもとづいて超勤手当を支給するべきだとし、文部省(当時)もいったんは残業代を予算につけました。ところが自民党から横やりが入って、71年の教員給与特別措置法(給特法)で公立学校の教員には残業代は支給せず、代わりに一律に給与の4%の「教職調整手当」を支給する仕組みになりました。

 4%というのは週2時間程度の残業があるという当時の調査を根拠にしたものでした。その後、学校の仕事はどんどん増えていきました。にもかかわらずこの50年、4%の固定した手当しか支給されず、残業に応じた支給がなされてこなかったわけです。

 教員の仕事が増えた理由は三つほどあると思います。

 80年代半ばぐらいから、「個性重視」がいわれ、個別の子どもにきちんと対応することや一人ひとりに考えさせたり、調べさせたりする指導など、生徒指導も学習指導もより高度化が求められました。一人ひとり丁寧に指導することは大切ですが、時間がかかります。それが教員の仕事の増加につながりました。

 二つ目に92年から段階的に学校5日制が導入され、2002年から完全に土曜日が休みになりました。そのため週6日間でやっていた仕事を5日間でやるようになった。忙しくなるのは当然です。

 三つ目は2000年代以降、プログラミング教育や小学校英語などが追加されたり、学校教育のICT化推進など、新しい指導内容が求められるようになり、学校がますます対応に追われることになりました。

 新しい指導法など子どもたちの学習を変えていくこと自体は、すべて悪いわけではありません。しかし、それをやるための条件整備、具体的には教員の数を増やすということが行われなかった。条件整備が進まない中で学校にたいする要求がふくらみ、教員が多忙になっていきました。

 その結果、個別の子どもに応じた指導が強調されてもできない。考えさせる授業をしたくてもできない。教育論は立派ですが、それに見合った余裕が教員にないから、改革も進まないのが現状です。

教員増 若い人が夢持てる目標を

 ―そうしたなかで教員のなり手がいないという事態も起こっていますね。

 学校は長時間勤務が慢性化している職場だということが知られるようになって、教育に夢を持って教員になりたいと思っていた若い人たちが避けるようになりました。これからの人生のことを考えると厳しいと思うようになりました。大学の教員養成課程や教育学部の学生が、学べば学ぶほど教員になる夢がしぼんでいく状況です。

 ―研究者有志で署名を呼びかけた思いは。

 学者がいくら教育論を語っても、よい教育を実現するためには学校の先生に余裕がなければなりません。この今一番の問題について研究者からものをいうべきだろうと考えました。これまであまり社会的な発信をしてこなかった研究者も含めて今回は呼びかけ人になりました。みなさん共通に強い危機感をもっていると思います。

 私たちの署名に大きな反響があったのは、それだけ現場が疲弊し、深刻になっているということだと思います。だから多くの人が協力してくれたのです。

 ―長時間労働や「教員不足」の解決策は。

 給特法の抜本的改正または廃止で教員に残業代を払うようにすることと、教員定数の基準を定めた義務標準法の改正で教員の数を増やすことです。

 教員を増やすことについては、研究者の間で議論する中で、1人当たりの授業の持ちコマ数を減らすことが論点として浮かんできました。筑波大学の浜田博文教授は、小学校の教員が平均週24コマ持っているのを17コマに減らす、中学校の教員は平均週18コマを15コマに減らすことで長時間勤務を解消する提案をしています。

 私がその提案にそって試算したところ、教員は約22万人増やさなければならず、年間約1兆5280億円かかります。かなりの額ですが、これからの日本の社会のためによい教育をするにはこれぐらいのお金の支出は必要ではないでしょうか。国民の中で財源も含めて議論して、合意を形成していく必要があると思います。

 自民党は教職調整手当を4%から10%に引き上げる提案をしていますが、それでは現場の忙しさは何も変わりません。教員に時間の余裕ができるようにすることが必要です。教員を増やさないとあらゆることが解決しません。

 文科省は、少しずつ積み上げて教員の数を増やそうとしていますが、それではいつまでたっても大幅な増加になりません。長時間勤務の問題を抜本的に解決するためにこれだけ必要だと目標を明確にして、段階的に増やしていく。いまはゴールが見えないから教員のなり手がいない。ゴールが見えれば若い人たちももう一度、教員になることに目を向けてくれるはずです。

 ひろた・てるゆき 1959年生まれ。専門は教育社会学。2015~21年、日本教育学会会長を務める。著書に『教育は何をなすべきか―能力・職業・市民』『教育改革のやめ方』など。


これからの国を創るのは子どもたち。
しっかりと予算をつけてほしいものだ。


「身辺調査」の結果は上司に筒抜け…

2024年03月20日 | 社会・経済

不利益はないのか 「経済安保」法案、岸田首相「今後検討する」連発

「東京新聞」2024年3月20日 

 経済安全保障上の機密情報を扱う民間事業者らに対する身辺調査の導入などを柱とする「重要経済安保情報保護法案」が、19日の衆院本会議で審議入りした。与野党からは、情報の指定範囲や身辺調査を断った場合に不利益な扱いがないかなど、懸念に関する質問が相次いだ。岸田文雄首相は「今後検討する」との答弁を繰り返した。

◆範囲の明確化は法が成立してから

 自民党や立憲民主党などからは、国が指定する重要インフラや重要物資の供給網などに関する重要経済安保情報が「あいまいだ」との指摘があった。首相は「恣意(しい)的指定とならないよう、今後(法成立後)、外部有識者の意見もふまえて作成する運用基準で範囲を明確化する」と答弁。ただ、具体例は示さず、指定情報の件数なども「今後の検討の中で精査する」と述べるにとどまった。

 特定秘密保護法と異なり、今回の法案では、企業などの法人が漏えいの罰則対象に新たに加わった。首相は、「重要経済安保情報の経済的価値にかんがみれば、情報の不正取得や漏えいが組織的に行われる恐れがないとは言えない」と理由を説明した。

◆「規定を守るよう事業者に求める」

 また政府の身辺調査による「セキュリティー・クリアランス(適性評価)」を断った場合に配置転換や給与査定などがあるのか、公明党や野党各党が質問。首相は「法案の規定で不利益な取り扱いは明確に禁止されている。規定の順守を事業者にも求めるなどの措置を講じたい」と答えた。

 廃案を求めている共産党の塩川鉄也氏は、特定秘密に指定される経済安保情報もあることから「秘密保護法の適用を拡大するものでは」などと質問したが、首相は「指摘は当たらない」と繰り返した。立民の森山浩行氏は「国民から政府への信頼がなければ、個人情報を託したり秘密指定を任せることはできない」と強調した。(大杉はるか)

  ◇  ◇

 19日の衆院本会議で審議入りした「重要経済安保情報保護法案」は、経済安保上の機密情報を国が指定し、管理を厳格化することが目的です。2013年に世論を二分する状況で成立させた特定秘密保護法を経済分野に拡大する内容で、国民の知る権利やプライバシーの侵害が懸念されます。どんな法案なのでしょうか。

◆「同盟国」「準同盟国」と協力強化のため

Q なぜ法案をつくったの。

A 政府は同盟国の米国や、インド太平洋地域で連携する英国、オーストラリアといった「準同盟国」と軍事だけでなく、サイバーや宇宙、人工知能(AI)など科学技術分野での協力強化を目指しています。各国と機密情報を共有し、管理を強化することで、中国や北朝鮮などへの流出を防ぐ狙いもあります。

Q どうやって情報を管理するの。

A 重要インフラや半導体など重要物資の供給網を守るために国が保有する情報のうち、流出すると安全保障に支障が出る恐れがあるものを「重要経済安保情報」に指定。情報を扱う公務員のほか、民間企業や研究所など政府が認定した「適合事業者」の従業員らの身辺調査を行い、情報を漏らす恐れがないか、セキュリティー・クリアランス(適性評価)をします。

◆適性評価は事実上の強制になる懸念

 Q 適性評価って。

A 政府から本人の犯罪・懲戒歴、借金の状況などを聞かれるほか、家族や同居人の名前、国籍も確認されます。上司への聞き取りや、官公署への照会も想定しています。特定秘密保護法で導入され、22年末時点では防衛や外交、テロ・スパイ防止分野の情報を扱う約13万人が対象で、97%が公務員です。今回は経済安保情報のため、対象が民間に拡大します。

Q 調査は断れないの。

A 本人の同意が前提ですが、会社から指示されれば断りづらく、事実上の強制になる懸念があります。適否の結果は上司に知られるほか、個人情報の漏えいの恐れもあります。

◆漏えいすれば拘禁刑などが科される

Q 他の懸念は。

A 漏えいすれば、5年以下の拘禁刑などが科され、企業も罰則対象になり得るにもかかわらず、重要経済安保情報の指定基準が曖昧な点です。経済界は法律の必要性を認めながらも「国家として厳格に保全すべき情報に限定すべきだ」(経団連)「指定範囲を明確にすることは重要」(経済同友会)とくぎを刺しています。(川田篤志)


「政府への信頼がなければ、個人情報を託したり秘密指定を任せることはできない」

まさにそうなのです。
今の政権、信用できますか?
ってんだ!
金をくれるとこにはしっぽを振ってついて行くのですから、一番監視しなければならないのは自公ですよ。

今日は良い天気になりました。
せっかくまいた融雪剤(木灰)も新雪に覆われてしまい、2回目の散布。
木灰に炭の粉を混ぜてです。

沼の端が出てきました。


厚労相「運用益36兆円」倉林氏、運用益の活用求める

2024年03月19日 | 生活

「しんぶん赤旗」2024年3月19日

 日本共産党の倉林明子議員は18日、参院予算委員会で、物価高で暮らしていけないとの切実な声や女性の著しい低年金の実態を示し、抜本的な年金の引き上げを迫りました。

 倉林氏は今年の年金改定率が2・7%で、昨年の物価上昇率3・2%を下回っており、「実質の所得は下がっている」と指摘。第2次安倍政権以降の12年間で公的年金の減額が年金約1カ月分に相当し、「消費税率は2倍、介護保険料や国保料の値上げも断続的に続き、実質可処分所得はさらに目減りしている」と強調しました。「月額7万円弱の年金では足りず、痛む膝を引きずりながら仕事を続けている」との高齢女性の声を紹介し、物価高を上回る速やかな再改定を求めました。

 再改定に言及しない岸田文雄首相に対し、倉林氏は「活用可能な財源はある」として、2001年以降で累積収益132兆円をあげている年金積立金の運用で、目標を超えた運用益総額を質問。武見敬三厚生労働相は「20~22年度で約36兆円だ」と答えました。倉林氏は「今後の人口減少を踏まえれば積立金の計画的な取り崩しは可能だ」として、目標を上回った収益を速やかに年金受給者に還元して年金を引き上げるよう主張しました。

 女性では月額9万~10万円の厚生年金受給者が最も多く(グラフ参照)、国民年金受給者も加えると10万円以下の受給者が全体の85%を占めるなど、「女性の低年金が著しい」と指摘し、世帯単位を前提とした制度の抜本的見直しが必要だと主張。無年金や暮らせない低年金の問題解決のために最低保障年金を導入するよう検討を求めました。岸田首相は多額の税財源などを理由に「難しい」と拒否しました。

 倉林氏は「今のままでは年金生活者も女性も置き去りになる」と強調しました。


黙っていたら「軍事費」にもっていかれるかも・・・

ところで、赤旗日曜版3/17号に「東京外環道工事 鹿島が地域住民を監視・盗撮」というショッキングなニュースが載っていた。自民党青年局の問題と重なってしまった。

今日もほぼ一日中雪でした。


「マイナス金利」解除秒読みで考える

2024年03月18日 | 社会・経済

 日銀が抱えるもう1つの「爆弾」、きれいに後始末できるのか?

「東京新聞」2024年3月17日 

 円安と物価高を助長してきた日銀の「マイナス金利」の解除が迫っている。日銀の異次元緩和政策が転換点を迎える中、日銀が抱えるもう一つの問題にも注目が集まる。10年以上にわたって日銀が爆買いした「株式」の処理だ。保有時価総額は71兆円超と、国内上場株式の約7%に上る。その「大株主」が売却に動けば株価暴落を誘発しかねない。専門家が「禁じ手」と口をそろえる日銀の株買い。その罪と後始末について考えた。(岸本拓也)

◆10年以上続く市場の「常識」が覆されたのは

 「今日は午前の株価が2.2%下がった。もし日銀が買ってなかったら、臆測を呼びそうだ。『いよいよ買い入れも撤廃か』と」

 かねて日銀の株買いを批判してきたシンクタンク「ニッセイ基礎研究所」の井出真吾さんの言葉に力がこもった。取材に訪れたのは3月11日昼過ぎ。この日は米株安や円高を背景に、日経平均株価の午前終値は、前週末比で1000円近く下げていた。

 午前中の取引で日本の株価が大きく下落したら、日銀が午後に買い支えに入るー。これが10年以上にわたって株式市場での「常識」になっている。井出さんによると、2021年春以降は、午前中に東証株価指数(TOPIX)が前日終値より「2%」ほど下がると日銀が買っていたという。

 日銀は買い入れの判断基準を明らかにしていないが、実施の有無は当日夕方に公表している。下落率が2%を超えた11日、「常識」は破られ、日銀は買い入れをしなかった。市場では、日銀が株買いをやめる予兆との受け止めが広がった。

◆中央銀行の株価操作、そもそも不健全

 日銀の金融政策に詳しい東短リサーチ社長の加藤出(いずる)さんも、日銀が近くマイナス金利の解除とともに、株の買い入れもやめるだろうとみる。「そもそも中央銀行が株価を操作するのは不健全だった。もともと株の買い入れをする理由は、インフレ目標達成のためと言ってきたのだから、マイナス金利と一緒にやめるのがこれまでの説明と整合的だ」

 終わりを迎えそうな日銀の株買い。10年10月、当時の白川方明(まさあき)総裁が、株価指数などに連動して、幅広い株式に投資する上場投資信託(ETF)の買い入れを決めたことが、その始まりだ。当初の買い入れ額の上限は4500億円。加藤さんは「当時は今より株価がずっと低迷していた。買い入れ額も少なく、日銀がリスク資産を買うから、投資家も株を買いましょうね、という呼び水程度にすぎなかった。それが膨張し、株価操作の意図が明確になったのは、黒田緩和になってからだ」と指摘する。

 黒田東彦総裁が就任直後の13年4月に、アベノミクスの象徴である「異次元緩和」を始め、ETFの買い入れ枠を年間1兆円に拡大した。その後も3兆円、6兆円と増え、新型コロナウイルスの感染が拡大した20年には最大12兆円に増やし、この年の買い入れは過去最大の約7兆1000億円に達した。

◆日銀が投資家から奪い取った「巨万の富」

 買い入れ枠は今も変わっていないものの、21年3月に買い入れ方針をそれまでの「積極的」から「必要に応じて」に修正し、その後の買い入れは急減した。23年4月に植田和男総裁が就任して以降は、株価が好調だったこともあり、買い入れたのは10月4日の701億円分だけだ。

 ただ、それまでの蓄積で日銀が保有するETFは膨れ上がった。ニッセイの井出さんの試算では、日経平均株価が約34年ぶりにバブル期を超えた2月末時点の保有額は時価で約71兆3000億円、含み益は約34兆2000億円に上る。井出さんはこの巨万の富について、日銀が投資家から奪い取って懐にためた、と断罪する。

◆「まっとうな投資家の投資機会を奪った」

 そもそも政策目的で株を買っている中央銀行は、日銀だけ。まねをする国がないのは、問題が多すぎるためだ。

 井出さんは「まっとうな投資家の投資機会を奪ったことが一番の問題だ」と強調する。

 株価は本来、企業の業績や景気予測などに基づいた投資家の売買で決まる。将来の株価が上がると思ったら買い、下がると思えば売る。需要と供給によって適正な株価が決まっていくのが市場メカニズムだ。この原理を近代経済学の父アダム・スミスは「見えざる手」と呼んだ。

 しかし、市場原理と無関係に、日銀は株安になると、ほぼ自動的に買い入れてきた。井出さんは「もう少し下がったら買おうと思っていた投資家は、目の前で機会を日銀にかっさらわれてきた。34兆円の含み益は、投資家からかすめ取ったものだ」と批判する。

◆もし日銀が債務超過になれば、国民負担も生じかねない

 影響は投資家にとどまらない。「年金資産を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も株価が下がった時に買い足している。日銀が余計なことをしなかったら、もっと利益が出て、年金財政は今より良くなっていたかもしれない」と井出さんは言う。

 ETFを通じて、日銀が実質的な「大株主」となった企業も多い。井出さんの試算では、2月末時点で株式の10%以上を保有する企業は70社に上る。東短リサーチの加藤さんは「政策当局が多くの民間企業の大株主という社会主義的な状況は望ましくない」と話す。

 状況次第では国民負担も生じかねない。野村総研の木内登英さんは「含み益があるうちはいいが、株価が大きく下がったら、含み損が出て日銀の財務を悪化させる可能性がある。政府への納付金が減ったり、もし日銀が債務超過になって公的資金が注入されれば、国民負担になる」と話す。

 木内さんは12〜17年に、日銀の最高意思決定機関のメンバーである審議委員を務め、黒田総裁が進めたETFの買い入れ拡大に反対してきた。「そもそも政策的に効果があったか疑わしい。国民にリスクを負わせて日銀が投資する必要があるのか」と疑問を呈する。

 木内さんによると、日経平均株価が2万円を下回ると、日銀は含み損に転じるといい、「日銀としては爆弾を抱えている状況だ。焦る必要はないが、異次元緩和の正常化を進める中で、ETFも出口に着手しなくてはならない」と話す。

◆出口考えずに突っ走ってきた異次元緩和のツケ

 償還期限が訪れる国債と違い、ETFは売らない限り日銀が持ち続ける。急に売却すれば株価急落を招きかねない。日銀は過去に買った株を市場に影響しないよう、約3000億円ずつ売却している。ただ、これと同じペースで時価71兆3000億円のETFを売っていっても、237年かかる計算になり、現実的ではない。

 日銀の利益は、必要経費を除いて最終的に国に納められるため、ETFの含み益や、年間1兆円を超えるETFの分配金収入も「国民の財産」と言える。ニッセイの井出さんは「政府系金融機関などに、日銀のEFTを簿価(買い入れ価格)で引き取ってもらい、分配金収入は少子化や子育て、人材育成といった日本の将来のための政策財源に充ててはどうか」と提案する。市場関係者の間では、国民に割安で売却する案なども出ている。

 ただ、植田総裁は2月の国会で「考える時間的余裕はある」と述べ、時間をかけて対応策を探る構えだ。東短リサーチの加藤さんは言う。「中央銀行が株価に介入すること自体がナンセンスなのに、多くの懸念に対して『指摘は当たらない』と出口も考えずに突っ走ってきたことが大問題だ。マイナス金利を含めて異次元緩和の後始末は相当な難路になる」

◆デスクメモ

 中央銀行が恒常的に株価を下支えし、いくつかの企業の大株主になる構図。尋常とは思えない。「禁じ手」が常態化した背景は何か。一つには長期の安倍政権下で、株価上昇を成果として強調したい政府の後押しがあっただろう。異次元緩和の功罪はしっかりと検証されるべきだ。(北)


今日はしっかりと除雪車が入った。
週間天気予報を見ると「真冬日」がなくなっている。


キリン、成田悠輔氏の広告削除

2024年03月17日 | 社会・経済

 3年前の「高齢者の集団自決」発言が不買運動に発展 問われる企業の人権感覚

「東京新聞」2024年3月17日 

 キリンビールは缶酎ハイ「氷結無糖」のウェブ広告から、経済学者の成田悠輔氏の広告を削除したと明らかにした。成田氏はかつて日本の少子高齢化を巡り「解決策は高齢者の集団自決しかない」と発言。人権感覚が疑問視されるとして、今回の広告起用について交流サイト(SNS)では批判が飛び交っていた。人選の意図は何だったのか。(森本智之)

◆少子高齢化の解決策!? 海外でも問題視

 キリンは4日、成田氏が氷結無糖を手に「時代を作るものは、いつだってシンプル」とアピールするウェブ広告を開始。すると、X(旧ツイッター)では「#キリン不買運動」というハッシュタグ(検索目印)を付けた批判や嘆きの投稿が相次いだ。キリンは8日後の12日、広告を削除した。

 テレビ番組でコメンテーターを務めるなどして知名度を上げた成田氏。「歯に衣(きぬ)着せぬ」と評される物言いだが、2021年のインターネット配信番組で、「(少子高齢化の)唯一の解決策は、はっきりしていると思っていて、高齢者の集団自決、集団切腹みたいなのしかないんじゃないか」と発言。海外メディアでも問題視された。

◆過去の発言「確認しきれていなかった」は本当か

 広告削除の理由についてキリンの広報は「こちら特報部」の取材に「さまざまなご意見を頂戴したため、総合的に判断した」と説明。「さまざまなご意見」には、集団自決発言を巡る批判も含まれると認めた。人選の理由は「ご自身の言葉で氷結無糖の良さを幅広い立場の方に語っていただくことを目的に企画し起用した」という。過去の発言については「一人一人の発言、影響について過去にさかのぼって個別に把握、確認しきれていなかった。今回のことも教訓に今後は確認していきたい」などと回答した。

 広告業界関係者は「広告代理店は企業側にCMについて提案する際、起用を検討している人の身体検査を必ず行う。『(発言を)知らなかった』というのは考えにくい」と驚く。

 その上で「成田氏はアンチもいるが一定のファンもいる。不特定多数が目にするテレビCMなら起用は難しいと思うが、ウェブ広告は特定の層をターゲットとすることが多く、その層に届けばいいと発想しがち。そのために判断が甘くなったのでは」と推測した。

◆ミャンマー国軍への寄付問題で懲りたはずでは…

 人権の観点でキリングループは過去にも批判されている。キリンはミャンマーで国軍系企業と合弁を組み、ビール会社を運営していた。国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルは18年、イスラム教徒少数民族ロヒンギャを迫害する国軍に、合弁会社が寄付をしていたと発表。キリンは調査と釈明に追われた。

ロヒンギャ迫害が問題化していた2017年9月、ミャンマー国軍がネピドーで開いた寄付集めの式典(ミンアウンフライン総司令官のウェブサイトから)

 キリンは21年、国軍がクーデターを起こした後に合弁解消の方針を表明。23年に保有株式の売却を終え、ミャンマーから撤退した。

 アムネスティの発表後にキリンを取材したジャーナリスト木村元彦氏は「合弁解消まで時間はかかったが、当時キリンも調査を進めそれなりの動きはしていた。ミャンマーの件で懲りたと思っていたので、今回の広告起用に驚いている。人権に対する知見が甘かったのではないか」と述べた。

◆グローバル企業は特に厳しく問われる時代

 一方で「学者のように公正に発言を求められる人が一企業の広告に出ること自体が、そもそも問題ではないか。線引きがあいまいになってきているのではないか」と疑義を呈した。

 元博報堂社員で作家の本間龍氏は「集団自決発言はかなり物議を醸したので、なぜ成田氏を起用したのか人選は疑問」としつつ、ウェブ広告を削除したキリンの事後対応は「非常に素早かった」と評価した。

 「人権や差別に関する問題への社会の関心は高まり、なかでも海外の人は敏感だ。キリンのようなグローバル企業は特に活動内容が厳しく問われるようになっている」とくぎを刺した。


まったく甘い判断だった。
日本でも若い世代を中心に人権や差別・ヘイトなどに関心を持つ人が増えている。
早い抗議が功を奏した。
若者たちはもう黙ってはいない。

声を挙げよう!

道路脇に出てきたフキノトウ。