里の家ファーム

すべて無農薬・無化学肥料、不耕起栽培の甘いミニトマトがメインです。完熟したミニトマトから作る無添加ジュースは逸品です。

日本はアメリカGMO農産物のゴミ捨て場になるのか

2018年10月31日 | 食・レシピ
ダノン、ネスレ、デルモンテ――拡大進む米国のNON-GMO(遺伝子組み換えでない)食品、ラベル表示すら実質禁止へ進む消費者軽視の日本
アメリカのダノンヨーグルト。原料はすべてNON-GMOで、原料乳もNON-GMO飼料で育った乳牛の牛乳という徹底ぶり。
 遺伝子組み換え食品をめぐり日米で大きな変化が出てきた。アメリカでは元々大手アグリビジネスの抵抗により、国による表示規制がない状態が続いてきたが、消費者の意向を受けたダノン、ネスレ、デルモンテなど大手食品メーカーが、原材料をNON-GMOに切り替えはじめ、NON-GMO市場が拡大。その結果、日本の規制では表示義務のない、植物油、コーンシロップ、乳化剤(大豆レシチン)などの原材料までNON-GMO化が進みつつある。なかでも徹底しているのが米国ダノンで、自社の3大ヨーグルトブランドの商品すべての原料乳を、NON-GMO飼料で育てた乳牛由来の牛乳に転換した。一方、日本ではラベル表示規制の見直しで、なんと「遺伝子組み換えでない」という表示が実質的に禁止されようとしている。このままでは、アメリカで売れなくなったGMO農産物の輸入が、表示もないまま日本で増加し、日本の消費者は、ますますGMO漬けにされてしまう。

【Digest】
◇日本で買える唯一のNON-GMOチョコレート「ハーシーズ」
◇ネスレ、デルモンテもNON-GMO商品拡大へ
◇アメリカのダノンヨーグルトは乳牛飼料までNON-GMO化
◇日本のダノンは対応なし
◇消費者庁「遺伝子組換えでない」表示実質禁止へ
◇日本はアメリカGMO農産物のゴミ捨て場になるのか

 アメリカで「NON-GMO」と表示された食品が増えている。こうしたアメリカのNON-GMO商品を日本で購入できないものかと考え、調べた。まずはコストコに聞いてみたが、後述するようなネスレやデルモンテの「NON-GMO」表示のついた食品は、日本のコストコでは取り扱いがなかった。
日本で購入できるNON-GMOチョコ。ハーシーズのキスチョコミルクチョコレート

 調査を続けると、唯一日本でも買える正真正銘のNON-GMOチョコレートが見つかった。

 ハーシーズの「Kisses Milk Chocolates」(左図)で、これはイオンの輸入食品コーナーで購入したものだが、ほかにも成城石井やカルディなどでも販売されている。

 ただ、商品の包装にはNON-GMOという表示がない。どうしてNON-GMOだと分かるのかというと、ハーシー社は、個々の商品での遺伝子組み換えの有無について、アメリカの自社ホームページ上で情報開示しているからだ。

 アメリカの消費者は、商品に付けられたQRコードをスマホで読み取ることで、これを見ることができる。

 この5.3オンス(150g)入りの「Kisses Milk Chocolates」のスマートラベルの中で、「その他の情報 GMOなど」というところをクリックすると、右図のような画像が表示される。「この商品には、GMOといわれる遺伝子組み換え農産物由来の原材料は含まれていません」と書いてある。

上記ハーシーズチョコがNON-GMOであることを示すスマートラベル表示。(原文英語、日本語訳筆者)

 ハーシー社のアメリカのHPでの商品GMO表示に関する説明によれば、一部の消費者の要望に応える形で、商品の原材料のNON-GMO化を進めており、現在、以下7種類の商品について、遺伝子組換え原材料を含まないものへの転換が終わった、とのこと。

Hershey’s Milk Chocolate Bars,
Hershey’s Kisses Milk Chocolates,
Scharffen Berger Chocolates,
organic Dagoba Chocolates,
Hershey’s Cocoa Powder
Hershey’s Unsweetened Baking Chocolate,
Brookside Fruit & Nut Bars and Sofit Snacks

 原材料のどこが変わったのかというと、甘味料として、以前は遺伝子組み換えのてん菜(砂糖大根)由来の砂糖や、遺伝子組み換えトウモロコシ由来のコーンスターチを使った異性化糖を使用していたものを、遺伝子組み換え品種のないサトウキビの砂糖へ切り替えたという。

 異性化糖とは、主にブドウ糖からなるコーンシロップ(トウモロコシ)を、一部酵素かアルカリによって果糖に変換したもの。日本では、「果糖ブドウ糖液糖」などと表記される。

 また、チョコレートを滑らかにするための添加物である乳化剤のレシチンの原料の大豆も遺伝子組み換えでない大豆に切り替えた、とのこと。

 イオンで購入した日本への輸入品にもQRコードが付いているので、スマホで読み込んでみたが、画面には「このパッケージのQRコードは、アメリカの消費者だけしか利用できません」という表示が出てきた。NON-GMO情報はアメリカの消費者向けだけで、日本の消費者へは、情報提供してくれないようだ。

 日本で売られている同商品も、本当にNON-GMOなのだろうか?筆者が参加する「食の安全・監視市民委員会」では、遺伝子組み換え食品の表示についての調査の一環として、ハーシージャパンに問い合わせた。

 ――日本で売られているハーシーズチョコレートは、アメリカで販売しているものと同一という事で良いのでしょうか?

 ハーシーズジャパン「同一のものは8割程度で、2割はアジア向けにマレーシア工場で作ったものもあります」

 ――例えばキスチョコのミルクチョコレートについて、アメリカのHPでは遺伝子組み換え農産物由来の原材料を使っていないと表示されていますが、それは日本で販売されているものでもそうですか?

 「原産国がアメリカとなっていれば、そうです。」

 ――日本でも、アメリカのように遺伝子組み換え原材料を使っていないことを宣伝されないのでしょうか?

 「以前、アメリカ本社の方でNON-GMOという表示をしたいという意向があった時に、日本でどうするかという話し合いもあったのですが、日本の表示ルールは砂糖や大豆レシチンは義務表示の対象にはなっていないので、特にNON-GMOという表示などもしていない状況です」

*ハーシーの日本支社にあたるハーシージャパンでは、主な業務は日本国内での販売促進事業で、商品の輸入販売は別の輸入業社が行っている。商品に日本語の原材料表示等を行うのは輸入業者の責任である。

 NON-GMOのハーシーズチョコレートは上記7品目あるが、筆者が調べた範囲で日本で見つけられたのは「Kisses Milk Chocolates」だけだった。

 ロッテも輸入販売しているが、それはマレーシア産とのこと。「原産国アメリカ」と書いてあるものを選ぶ必要がある。

 添加物の原料の大豆にまでこだわって非遺伝子組み換えに変えたものなどは、日本には存在しないので、非常に貴重なチョコレートである。

◇ネスレ、デルモンテもNON-GMO商品拡大へ
 アメリカでは長年、バイオ技術導入を促進する大手アグリビジネスの影響力が大きく、現在のところ、遺伝子組み換え食品の表示に関する法規制が存在しなかった.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。

 


 今日は近くの山々もうっすら白くなっておりました。寒くなりました。体調管理に気を付けお過ごしください。

 

殺虫剤食べてたの?!アレルギー自閉症認知症を引き起こす?遺伝子組み換えの真実

 

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「種を支配する者は世界を制する」

2018年10月30日 | 野菜・花・植物

外資の餌食 日本の台所が危ない 

 日本市場が“おいしい”理由 遺伝子組み換え&農薬の受け皿

   日刊ゲンダイDIGITAL 2018/10/30

 

   「種を支配する者は世界を制する」――。元農水大臣で弁護士の山田正彦氏は20年前の訪米の際に見た、その看板が忘れられないという。

 世界の種子市場は、独バイエル、米ダウ・デュポン、スイスのシンジェンタ、独BASFで8割のシェアを占める。バイエルは今年6月、遺伝子組み換えで世界シェア9割の米モンサントを買収した。これら多国籍企業が今、日本市場を狙い、市場開放を求めている。

   外資の種子会社は、化学肥料や農薬とセットで「種」を販売するビジネスモデルを確立している。なぜ日本市場に目を向けるのか。外資の最大の関心は遺伝子組み換え作物と農薬だ。TPP問題に詳しいアジア太平洋資料センターの内田聖子氏が言う。

   「遺伝子組み換え作物は、90年代以降、世界中で順調に販売を伸ばしてきましたが、最近は頭打ちです。そんな中、日本は遺伝子組み換え作物の承認が300を超えていて、米国の約200、EUの約100をしのぐ世界一なのです。また、農薬については、世界では毒性が訴訟で問題になったりして規制強化の方向ですが、日本は逆に規制緩和に向かっています。こんなに“おいしい市場”は日本以外にありません」

日本市場を狙っている種子会社は、TPPなど自由貿易を推進してきた多国籍企業約600社の中の主要メンバー。各国にロビイストを送り込み、東京にも100人ほどいるとされる。

 2016年2月、ニュージーランドのオークランドで米国離脱前のTPP協定が署名されたが、付属文書には「外国投資家その他利害関係者から意見及び提言を求める」とある。利害関係者とは水道、医療、保険を意味しているとされていたが、実はこれには「種子関連ビジネス」も含まれているという。だから翌17年に「種子法」廃止が突然決まったと推測されるのである。

   「種子法」が廃止されたことで、公共品種が減り、民間参入が加速することになるだろう。国内の民間企業はすでにコメ市場で独自の種を流通させている。三井化学アグロの「みつひかり」は全国のコメ生産でシェア1%。他に住友化学の「つくばSD」や豊田通商の「しきゆたか」がある。その後ろで外資が「種、肥料、農薬ビジネス」を虎視眈々と狙っている。 =つづく

 (取材=本紙・生田修平、高月太樹)

 


  寒い寒いと思ったら手稲山が初冠雪だそうです。こちらも不安定な天気で強風を伴う雨が、一時あられとなってハウスビニールにたたきつけられます。まだ昼過ぎでも夕方のように暗く、収穫するミニトマトの色が微妙にわからなくなります。もう冬物のジャンバー出さなくちゃ。

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兵器ローン残高、5兆円突破

2018年10月29日 | 社会・経済

米から購入 安倍政権で急増 兵器ローン残高、5兆円突破

  東京新聞 2018年10月29日

   防衛予算で戦闘機やミサイルなど高額兵器を導入する際、費用を複数年度に分けて支払う「後年度負担」の残高が二〇一八年度予算で初めて五兆円を突破し、一九年度は五兆三千億円に達する見込みであることが分かった。輸送機オスプレイなど安倍政権で急増した米国製の高額兵器導入が、大きな要因となっている。兵器の輸入拡大に伴い、毎年の後年度負担の支払いも増加しており、防衛費の大幅増につながっている。 (「税を追う」取材班)

 日本は近年、米国政府の「対外有償軍事援助(FMS)」に基づき、兵器を多く輸入している。一九年度は最新鋭戦闘機F35A(六機・九百十六億円)、早期警戒機E2D(二機・五百四十四億円)、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」(二基・二千三百五十二億円)などの購入契約を結ぶ方針だ。

 FMSの契約額は一二年度予算で千三百八十一億円だったが、同年末に安倍政権が発足してから急増。防衛省は一九年度予算で、一二年度の五倍の六千九百十七億円を要求している。

 兵器の購入費は最長五年間に分割して米政府に支払っており、二年目以降のローン残高が後年度負担と呼ばれる。米国製兵器の導入拡大に伴い、国内調達分を含めた後年度負担の残高も急増。一九九八~二〇一二年度までは三兆円前後で推移していたが、一三年度以降は右肩上がりで、一九年度は五兆三千三百七十二億円と六年間で約二兆一千億円も増える見通しだ。

 残高全体に占めるFMSの割合は、一三年度の5・9%から一九年度28・3%と急速に拡大している。

 防衛予算は安倍政権下で毎年増大。一九年度の要求額は五兆二千九百八十六億円で、六年間で約五千四百億円増えた。だが防衛費の借金とも言える後年度負担の残高は一八年度時点で年間予算に匹敵する額に膨らみ、予算を圧迫している。

 政府は年内に、向こう十年程度の防衛力整備の指針となる「防衛大綱」を見直し、一九~二三年度の装備品の内容や総額を示す中期防衛力整備計画(中期防)を策定する。兵器増強や防衛予算の硬直化を解消するため、防衛費のさらなる増大を打ち出すとみられる。

  ◇ 

 来年十月に消費税率が10%に引き上げられる。税金は正しく使われているのか。シリーズ「税を追う」では初めに、増え続ける防衛費の流れを追い、無駄や利権がないか検証する。

 ◆日米の軍事一体化で加速

 急増する米国からの兵器導入が防衛費を押し上げている。国産の装備品も含めたローン残高は年間の防衛予算に匹敵するまでに増大しており、返済が追いつかない状況になっている。

 政府は防衛力増強の理由に北朝鮮のミサイル開発や中国の軍備増強を挙げ、日米の一層の軍事一体化を進める。二〇一五年の安全保障関連法の成立後、米艦船や米機の護衛など自衛隊の任務は大きく拡大した。さらに拍車をかけたのが、兵器売り込みで対日貿易赤字の解消を迫るトランプ大統領の登場だ。圧力に押されるように、日本は後年度負担という名の「兵器ローン」で、輸入を加速させている。

 そのツケとも言うべき毎年の支払いが、国家予算に重くのしかかる。国と地方の借金は一千兆円を超え、社会保障制度の安定や財政再建はまったなしだ。後年度負担が今のペースで増え続ければ、防衛費増大に歯止めがかからなくなる。 (鷲野史彦)

 <対外有償軍事援助(FMS)> 米国政府が同盟国に軍事援助の一環で武器を売る制度。米国防総省の国防安全保障協力局が所管している。買い手は高性能の武器が購入できる半面、▽価格、納入期限は米政府の都合で変わる▽代金は納品前に支払い-など米国に有利な内容となっている。

 ◆今の環境で削減困難

 <防衛省会計課の話> 後年度負担が増えている要因は、北朝鮮のミサイルに対応する装備品が増えたためだ。装備品が高性能化して単価が上がったことも一因。後年度負担の削減に向けた取り組みは続けているが、今の安全保障環境で減らしていくのは難しい。


  消費税が上げられ、福祉に回されるというがその保証はない。その一方で法人税減税、武器購入が進む。「今の安全保障環境で減らしていくのは難しい」のではなく、「対日貿易赤字の解消」のために他ならない。

 今日も一日強い雨と風である。明日の予報も一日雨。

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毒されていく日本の食と農業

2018年10月28日 | 野菜・花・植物

外資の餌食 日本の台所が危ない 

 農産物は価格高騰へ…民間の「種」の値段は公共品の4~10倍

   日刊ゲンダイDIGITAL  2018/10/27

   今年4月に種子法が廃止されたことによって、国が種子生産に予算を割くための根拠法が消滅した。これから懸念されるのが、安価な種子がなくなることによる農産物の価格高騰だ。

  種子法の「廃止法」が昨年、国会で議決された際、自治体が従来と変わらずに種子生産の予算を確保できるよう国に求める付帯決議が採択されたが、根拠法を失った影響は未知数である。元農水大臣で弁護士の山田正彦氏は「種子法廃止の影響で主要農産物の価格が上がれば、家計を直撃してもおかしくない」と警鐘を鳴らし、こう続けた。

 「民間が開発している種子の値段は、都道府県の公共品種の4~10倍です。種子開発を手掛ける国内外の化学メーカーが、農薬や化学肥料とセットで種子を販売する場合があり、種子を購入する農家の金銭的な負担が重くなることが心配されます」

  こうした不安を取り除こうと農水省は必死だ。

国内の民間企業が開発した米の種子はすでに流通している。例えば、牛丼チェーン店などで使われている業務用米の「みつひかり」(三井化学)。農水省穀物課の調べによると、「みつひかり」の種子は、1キロ当たり4000円だ。都道府県の公共品種よりも10倍近く高いが、米の収穫量が格段に多いため種子代や生産にかかったコストを上回る利益を上げることができる、というのが農水省の説明だ。

  ところが、話はそんなに単純ではない。

 種子法廃止と同時に成立した「農業競争力強化支援法」には、肥料や農薬など農業資材の「銘柄の集約」を進めるとある。種子も同じように集約されると、農家は、限られた種類の中から値段の高い種子を購入しなければならなくなる。種子の市場が民間企業による寡占状態になれば、農産物の価格も値上がりすることは必至だ。

家計だけでなく、農薬の影響も懸念される。

  「多国籍の種子企業の中には、日本向けに、自社の販売する除草剤に耐性を持つ遺伝子組み換えの米の種子を開発し終えているところがあるといいます。その除草剤は、日本でもホームセンターなどで普通に売られているもの。国際がん研究機関は、その除草剤の主成分に『おそらく発がん性がある』と報告しているのです」(山田正彦氏)

 民間や外資メーカーの開発した種子が、今後、農薬や化学肥料と“抱き合わせ販売”されることで、生産コスト増と健康被害が起こり得るという。

 

  こうして、日本の食と農業は毒されていくのだ。 

=つづく  (取材=本紙・生田修平、高月太樹)

 


  先日からボランティアで来てくれてるMさん。混みあった木々や下枝払いなど、ほぼ毎日来てやってくれてます。かなり見晴らしもよくなってきました。助かります。一人じゃここまでできません。

 先程、この記事を書いてる途中に停電になりまして、ヤバ。でもしっかり保存できていました。1分ほどで停電は解消しました。

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国連人種差別撤廃委員会で厳しく問われた日本の〈差別〉

2018年10月27日 | 社会・経済

小森 恵 (反差別国際運動(IMADR)事務局長代行)

 Imidas時事オピニオン2018/10/26(構成・文/海部京子)

   2018年8月のある日。ネット上で、ジュネーブの会議場で厳しい質問に答える日本政府代表の姿が中継されていた。テーマは、ヘイトスピーチ、慰安婦問題、アイヌ民族の遺骨や外国人技能実習生、マイノリティー女性の問題……と多岐にわたっている。これはなんだろう? と釘づけになった。国連人種差別撤廃委員会の日本審査の中継が行われていたのだ。今夏行われたこの審査で、何が問われ、政府はどう答えたのか? NGOの取りまとめ役として準備段階からこれに関わり、詳細を現場で見てきた小森恵さんにお話をうかがった。

 

日本の「差別」は顕在化している

 2018年8月16日、17日に、スイス・ジュネーブで国連人種差別撤廃委員会(Committee on the Elimination of Racial Discrimination)の日本審査が行われました。この委員会は、国連における主要な人権条約の一つである人種差別撤廃条約に加入している締約国が、条約を履行しているかどうかを審査する機関です。

 日本が人種差別撤廃条約に加入したのは1995年。日本審査は2001年、10年、14年に続いて今回は4回目になります。

  日本の場合、人種差別は目に見えにくいかもしれませんが、被差別部落の問題、アイヌ民族、琉球・沖縄の人々、旧植民地出身者とその子孫、外国人、移住者、難民といったマイノリティーへの差別・人権侵害は連綿と続いています。しかも、近年は街頭やネット上でのヘイトスピーチという形で、差別的言動はより顕在化してきました。

   世界どの国にもなんらかの差別が存在しています。人種差別撤廃委員会は、人種差別撤廃条約に加入している締約国に、定期的に報告することを義務付けています。条約に加入したら、その国で問題となっているさまざまな差別を解消するために、国としてどのような措置をとっているのか、数年ごとに委員会へ報告書を提出しなければなりません。そして、その報告書をもとにジュネーブで人種差別撤廃委員会の委員と政府の代表が質疑応答をし、審査が行われるわけです。

  日本政府は今回の審査に向けて、外務省が16年8月に「市民・NGOとの意見交換会」を開きました。というのは、委員会に提出する報告書を作成するのは政府ですが、国内の差別の詳細な実態は、永田町にいる政治家や霞ヶ関にいる官僚にはなかなかつかめません。そのため、政府は報告書を作成するに当たって、差別問題や人権問題に取り組んでいるNGOや市民の意見を聞く必要が生じます。そうして、内閣府、法務省、文部科学省、厚生労働省などがそれぞれ担当する差別問題について報告書を書き、外務省がそれを取りまとめて17年7月に人種差別撤廃委員会に提出しました。

  また、委員会は政府の報告書だけではなく、直接NGOや市民からも意見を募ります。政府の報告書は委員会のウェブサイトに公開されるので、それに対して、国内の実情はどうなのか、差別は改善されているのか、サイト上で「NGOや市民もレポートを提出してください」と呼びかけるのです。

  国連には人種差別撤廃委員会の他にも女性差別撤廃委員会などいろいろな委員会があり、いずれもオープンなシステムになっています。ウェブサイトにアクセスすれば、締約国の関連する報告書は誰でも見ることができます。また、委員会が募集するレポートも誰でも提出できます。

  今回、私たち国内のNGO19団体と3人の個人は「人種差別撤廃NGOネットワーク(ERDネット)」としてレポートを一つにまとめ、委員会に提出しました。他にも、日弁連(日本弁護士連合会)や複数の団体・個人がレポートを送っています。

 

委員たちから厳しく問われた政府の姿勢

 このようなプロセスを経て、日本政府代表団が8月にジュネーブにおもむき、16日と17日に日本審査が行われました。代表団には、外務省、内閣府、法務省、文科省、厚労省などから10数人の官僚が参加しています。また、私たちNGOのメンバー、弁護士、議員など約30人が、会場で審査を傍聴しました。

  審査をする人種差別撤廃委員会は、18人の委員によって構成されています。これらの委員は、提出された政府の報告書およびNGOや市民のレポートをすべて読み込んで精査しています。差別問題はさまざまな人権問題に関与しているので、委員たちは、女性差別撤廃委員会の審査や、国連加盟国が互いに人権状況を審査する普遍的定期審査(UPR)、市民的および政治的権利に関する国際規約(自由権規約)委員会の審査などの日本に関する資料にも目を通し、参考にしています。

 審査の1日目、委員たちからは鋭い質問が次々と日本政府代表団に投げかけられました。質疑では、前回14年の審査から、日本国内の人種差別がどれだけ改善されているのか、政府はどのような対策をとっているかの進捗も問われます。しかし、1日目の質問に対する2日目の政府回答に、大きな前進は見られませんでした。

  委員会が、今回提示した日本の課題は多岐にわたります。例えば、在日コリアンの人々に対するヘイトスピーチとヘイトクライム、朝鮮学校の生徒たちへの教育の保障、アイヌ民族への雇用・教育・公共サービスにおける差別、被差別部落出身者の戸籍への違法なアクセス、外国出身のムスリムに対する警察によるプロファイリングと監視、「慰安婦」だった女性への人権侵害、難民認定申請者の長期にわたる収容、外国人技能実習制度の不備、外国籍の人々に対する民間の施設・公共サービスにおける排除や差別、マイノリティー女性への暴力や人身取引・性的搾取などなど……。

 こうした課題のほとんどは、過去3回の審査でも委員から質問を受けています。4回目となる今回も、委員の問いに対して、政府は「検討中である」とか「引き続き取り組んでいく」などといった回答を繰り返しました。

 加えて、「被差別部落出身者の定義が明確でない」「琉球・沖縄の人々は先住民族である」という委員会の指摘を、政府は今回も認めようとしませんでした。これは誰が差別の対象になるのかといった定義を巡る問題であり、毎回の審査において委員会と政府の見解は平行線をたどっています。

 そして、委員会が1回目の審査から言い続けている「国内人権機関の設置」もいまだ実現していません。国内人権機関とは、あらゆる人権侵害からの救済を促進する独立した機関のことです。国内の人権侵害を防止するために政府に提言したり、人権侵害の申し立てを受けて調査をしたり、救済のための介入や救済の促進をしたりする専門委員会の設置の必要性は、この間ずっと、私たちNGOも訴えてきました。しかし、今回も政府は「(設置を)検討している」との回答でした。

 さらに、差別的言動の処罰を規定している人種差別撤廃条約の第4条(a)(b)も、日本政府は留保したままです。第4条(a)(b)は、人種差別の扇動、暴力、宣伝活動などの行為について「法律で処罰すべき犯罪であることを宣言すること」「法律で処罰すべき犯罪であることを認めること」とうたっています。締約国は条約に加入するにあたって、国内法との関係などの理由で受け入れることができない条文を留保することができます(ただし、細かい条件が付いている)。そのため、日本政府は第4条(a)(b)を受け入れず、憎悪や暴力を助長する言動を法律で禁止しようとしません。

委員会は、「ヘイトスピーチやヘイトクライムは法律で規制すべきである」とし、1回目の審査から留保の撤回を求め続けてきました。政府は「法規制をすると、憲法が保障する表現の自由を侵すおそれがある」との理由から、今回の審査でも留保を維持しました。

今回の審査で新たに示された勧告の数々

 こうして2日間の審査を終え、8月30日には、人種差別撤廃委員会が総括所見を発表しました。総括所見文書の冒頭部分では、前回の課題が十分に実施されていないことが懸念として示され、続いて約20項目にのぼる課題の是正を勧告しています。その中には、新たに踏み込んだ勧告もありました。  

 一つは、在日コリアンの人々が地方参政権を行使できるよう求めた勧告です。日本国内における在日コリアンの人々への差別は、国連の普遍的定期審査や自由権規約委員会などでも課題になっていますが、地方参政権について言及したのは今回の人種差別撤廃委員会が初めてです。

 それから、女性の複合差別も指摘しています。在日コリアン、アイヌ民族、被差別部落出身者、外国人といったマイノリティー女性は、家庭内や職場などで民族性および性別にもとづく暴言や暴力や虐待など、複合的な形態の差別を受ける場合があります。今回は、これを放置したままにせず「彼女たちの個別の諸課題をよく理解して、対処できるよう、関連する統計を収集すること」と明確に勧告しました。(以下、総括所見文書の内容は、人種差別撤廃NGOネットワークの翻訳〈仮訳〉による)

 また、被差別部落出身者について、「戸籍データを機密扱いにすべき」と述べています。委員会は、これまで被差別部落出身者の戸籍への不正アクセスに対し、罰則をともなう法律の制定を求めてきました。今回の勧告では、それに加えて「機密扱い」という措置をとることを要請しています。

 琉球・沖縄の問題はさらに踏み込んでいます。総括所見には次のように書かれています。「米軍基地の存在による、沖縄の女性に対する暴力の報告と、民間人の居住地域における軍用機の事故に関連して琉球・沖縄の人々が直面している問題に関する報告に懸念する」「締約国が、女性に対する暴力を含む、琉球・沖縄の人々の適切な安全と保護を確保すること、ならびに加害者の適切な訴追と有罪判決を確保することを勧告する」。

 今まで「米軍基地の存在」を勧告において指摘されたことはありませんでした。沖縄では、米兵や軍属による性暴力、米軍機の事故が後を絶ちません。委員会は、政府が琉球・沖縄の人々を先住民族と認識せず、土地や資源に関する権利の保障もせず、人種差別撤廃条約の第5条が定める「暴力又は傷害に対する身体の安全及び国家による保護についての権利」をないがしろにしていると断じています。つまり、琉球・沖縄の人々を守るのは「あなたたち政府の責任ではないのですか?」と問うているのです。

 今回は、前回14年の審査の後、16年に「ヘイトスピーチ解消法」と「部落差別解消推進法」が制定されたことは評価されました。しかし、まだまだ多くの課題が国内に存在していることも改めて示された審査だったと言えるかもしれません。

行政、NGO、市民の連携が求められている

 日本政府は、審査前に提出した報告書の序章に「我が国は、人種差別と戦うためあらゆる方策を講じている」と書いています。しかし、これまで3回の審査では、ほぼ同じか類似する多くの課題が繰り返し指摘されてきました。そして、今回4回目の審査でも、政府は人種差別に正面から向き合っているようには見えず、「あらゆる方策を講じている」とは言えないのではないかと思います。

 人種差別撤廃委員会だけでなく、政府は国連の条約委員会の勧告を重視しない傾向が見受けられます。13年には、拷問禁止委員会が従軍慰安婦問題について「日本の公人が事実を否定し、被害者を傷つけている」との懸念を示し、法的責任を公に認めることを始めとしたいくつかの勧告を出しました。この時、政府は「勧告に法的拘束力はない」として、従わない旨の答弁書を閣議決定しています。

 ですが、法的拘束力はなくても、勧告に対する道義的な責任はあります。国連の人権に関するさまざまな条約委員会は、世界の国々がそれぞれの国において、すべての人の権利や尊厳を守るために作られた機関です。人権侵害や人種差別のない世界を実現することが委員会の目標であり、そのために各国から推薦され、国連で選出された委員が審査をしています。日本が人種差別撤廃条約に加入している以上、条約委員会の一つである人種差別撤廃委員会で示された勧告は尊重すべきものだと思います。

 一方、政府が法的拘束力はないと軽視したとしても、このような勧告は、国内の差別の克服に向けた取り組みにおいて大きな力になります。NGOや市民社会組織が、課題を解消するための条例制定を目指して行政や地方議員に交渉をする場合に、「国連の委員会の勧告」があれば耳を傾けてもらえるからです。

人種差別撤廃委員会は、これまでと同様に今回の総括所見でも「次回の政府報告書の準備においてNGOや市民と対話し、協議するように」と勧告しました。政府だけで差別をなくすことはできません。行政、NGO、市民が広く連携し、さまざまな課題にいっそう取り組んでいかなければならないと実感しています。

 


 

 今日はほぼ一日雨。休息日としました。先ほどからやんだようで 、少し体を動かすため散歩してきます。と、思ったらまだ降っていました。

 のぶどう

 

 

 

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自己責任論バッシング!

2018年10月26日 | 社会・経済

安田純平さんに高須克弥らネトウヨたちがまた自己責任論バッシング! 人質バッシングのルーツは安倍首相

  リテラ 2018.10.25

 2015年6月にシリアで行方不明となり、イスラム過激派組織「シャーム解放委員会」(旧ヌスラ戦線)に拘束されていたとみられるジャーナリストの安田純平氏が解放され、本日、成田空港に到着した。

 今年7月には、黒づくめの人物から銃を突きつけられた状態で「いますぐ助けてください」と安田氏がオレンジ色の囚人服姿で訴える動画が公開されるなど一刻も早い救出が待たれていたが、今回の解放・帰国の知らせは喜ばしい限りだ。

 だが、その一方で、懸念されていたことが現実化してしまった。またも「自己責任論」がここぞとばかりに吹き出しているからだ。

 たとえば、高須クリニックの高須克弥院長は、24日にこう投稿した。

 〈この人には敬意ははらえません。兵士ではない。

 兵士ならば敵に媚びる捕虜だ。

 出でくるときは定番の作法を守ってほしい。まず『恥ずかしながら・・・』と謝りなさい〉(原文ママ)

 さらに、ネット上では、安田氏の解放に安堵したり祝福するのではなく、安田氏に怒りを露わにしたり、糾弾するようなコメントが殺到。

 〈ムカムカする。実に腹立たしい。この三年半、掛かった費用を公開してほしい〉

 〈あなたを助けるためにかかった諸々の費用はすべて負担してくださいね〉

 〈無精ヒゲ剃らずに捕虜生活大変でしたアピールか? 帰国しなくて結構ですけど?〉

 〈行くなと言われている場所に自己責任で行った結果でしょ?〉

 〈次に誘拐されに行くのは何カ月後ですか?〉

  Twitterやまとめサイトのコメント欄などに溢れる〈どの面下げて帰ってくるつもりか〉〈国に迷惑をかけるな〉という非難の声……。なかでも、Yahoo!ニュースのコメント欄はほとんどが自己責任論で埋まるという異常な事態となっている。

 しかも、今年7月に公開された動画のなかで、黒ずくめの人物に銃を突きつけられた安田氏が「私はウマルです。韓国人です」と語っていたことから、〈韓国籍のウマルだっけか? やっぱチョンだから助けたってわけ?〉〈日本に帰ってくるなよ、韓国に行くか自害しろやwww〉などという卑劣なコメントも数多く投稿されている。帰国の途についた安田氏がメディアの取材に対して語ったことによると、犯行グループから「自分の本名や日本人であることは言うな」「韓国人だと言え」と要求されていたためだったというが、ネット上では安田氏解放のニュースに託けたヘイトコメントが垂れ流されている状態だ。

 そもそも、安田氏が拘束されている最中から、ネット上では安田氏の自己責任だとがなり立てる声が多く寄せられていた。とくに、安田氏が拘束前の2015年4月にツイートした〈戦場に勝手に行ったのだから自己責任、と言うからにはパスポート没収とか家族や職場に嫌がらせしたりとかで行かせないようにする日本政府を「自己責任なのだから口や手を出すな」と徹底批判しないといかん〉という投稿をあげ、「本人が口も手も出すなって言ってたんだから自己責任でしょ」とあげつらう者が続出しているのだ。

 一体、どこをどう読んだら、そんな話になるのか。この安田氏の投稿は、“ジャーナリストに自己責任を押し付ける政府にはジャーナリストに足枷をはめる権利はない”と政府による報道規制を非難しているのであって、政府が安田氏を助けなくていい理由になどまったくならない。しかしこの国では、あたかも「国の命令に逆らう者を救出する必要などない」と考える人が恐ろしく多いのである。

 当たり前すぎる話だが、自国民の生命保護は、ほかでもない国家の責務だ。それがたとえ犯罪者であったとしても、政府は法の範囲内において人命を救うために最大限の努力をする義務があり、国民はそれを国家に要求する権利がある。むしろ、「危険地帯に勝手に行ったのだから自分の責任で何とかしろ」などという大合唱が起こる先進国など、どこにもない。

海外メディアは、日本の人質“自己責任”バッシングを「異常」と批判

 実際、人質事件が起こると日本に沸き返る「自己責任論」を、海外のメディアは“日本の異常な状況”だと見ている。

 たとえば、2004年に発生したイラクでの邦人3名の人質事件の際、日本では自己責任論が噴出。とくに現地でボランティア活動を行っていた高遠菜穂子さんが解放後、「今後も活動を続けたい」と語ったことに対し、当時の小泉純一郎首相は「寝食忘れて救出に尽くしたのに、よくもそんなことが言えるな」と激昂した。

 しかし、海外の反応はこれとまったく違った。アメリカのパウエル国務長官が「イラクの人々のために、危険を冒して現地入りをする市民がいることを、日本は誇りに思うべきだ」と発言したことは有名だが、フランスの高級紙ル・モンドも、〈外国まで人助けに行こうとする世代が日本に育っていることを示した〉と高遠さんらの活動を評価。逆に、日本に広がっていた人質への自己責任論については、〈人道的価値観に駆り立てられた若者たちが、死刑制度や厳しい難民認定など(国際社会で)決して良くない日本のイメージを高めたことを誇るべきなのに、政治家や保守系メディアは逆にこきおろしている〉と強く批判している。さらに、〈社会秩序を乱した者は後悔の念を示さなければならないのが日本の習慣〉と、その特異性をも伝えていた。

 アメリカのニューヨーク・タイムズも同様だ。〈イラクで人質になった日本の若い民間人は、黄色いリボンではなく、非難に満ちた、国をあげての冷たい視線のもと、今週、故国に戻った〉と日本国内の異常さを表現し、帰国後も自己責任だと人質を追い詰める日本政府の態度を〈凶暴な反応を示した〉と非難。〈(人質である)彼らの罪は、人々が『お上』と呼ぶ政府に反抗したことだ〉と皮肉を込めて論及している。

 また、イスラム国(IS)に後藤健二さんと湯川遥菜さんが拘束されたときも、イギリスのロイターは〈日本では、イスラム国人質事件の被害者を攻撃する者がいる〉という見出しの記事を掲載。〈日本政府の対応と同胞である日本市民たちの態度は、西欧諸国のスタンダードな対応とはまったくちがうものだった〉と日本における人質への冷酷な受け止め方を紹介。アメリカのワシントン・ポストも、2004年の邦人人質事件で起こった自己責任論に再び言及している。

 もちろん、海外でも、保守系政治家が自国の人質に対して自己責任をぶつことがないわけではない。たとえばフランスでは2009年にジャーナリスト2名がテロ組織に拘束され、当時のサルコジ大統領は2人のことを「無謀」と非難。しかし、市民はこうした政府の姿勢に反発し、2人の救出を求める署名活動やコンサートが企画されるなど、国に対して積極的な対応を求めた。こうした世論がフランス政府を後押しし、結果、2名のジャーナリストは無事、解放されるにいたったのだ。

自己責任バッシングのルーツは安倍首相だった! 

 だが、日本はどうだろう。2004年の人質事件で自己責任論をふりかざした急先鋒は当時の自民党幹事長、安倍晋三氏である。とくに、人質が解放された翌日の会見では、「山の遭難では救出費用を遭難者に請求することもある」と発言、政府に救出費用の請求を検討させる姿勢さえ見せたほどだった。この安倍氏をはじめとする政治家たちの新自由主義的な自己責任の大合唱が国民に浸透し、いまではすっかり根付いてしまったのである。

 しかし、過去何度も繰り返されてきたこうした自己責任論に対し、今回は早くからそれを牽制する意見も出ていた。たとえば、24日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)では、玉川徹氏が「自己責任論というのは、僕は否定しておきたいたいな、釘を刺しておきたいなと、ほんとうに今回、とくに思います」と述べ、こうつづけた。

 「そもそも論から言うと、ジャーナリストは何のためにいるんだ。それは民主主義を守るためにいるんですよ」

 「民主主義を守ってるってどういうことかっていうとね、民主主義だといっても国なり企業なりで権力をもっている人たちは、自分たちの都合のいいようにやって隠したいんですよ。でも、隠されているものを暴かない限り、私たちは正確なジャッジができないんです、国民は。正確なジャッジをするためには情報がいるんですよ。その情報をとってくる人たちが絶対に必要なんですね。それをやっているんです、ジャーナリストっていう人たちは。僕なんかはできていないです、そういう意味では。フリーのジャーナリストは命を懸けてやっているんですね。いちばん危ないところにこうやって行かれているんですよ、安田さんは。そういう人を守らないでどうするんだと」

 安田氏はイラク軍基地訓練施設に労働者として潜入して戦争ビジネスの実態をレポートした『ルポ 戦場出稼ぎ労働者』(集英社新書)を発表したり、シリア内戦の緊迫した凄まじい日常に肉薄する現地取材を伝えてきた、貴重なジャーナリストだ。しかも、安田氏は自分勝手でもわがままを通した人でもまったくない。国内の大手メディアが報じない戦場やテロリスト組織の実態をあきらかにするために、つまり国民の知る権利を守るために身体を張ってシリアへ渡ったのだ。

 こうした民主主義を支える仕事ぶりに敬意を払うどころか、みんなで同調して石を投げつける。なんと冷酷な国だろうかと溜息が出るが、これは遠い国で拘束された人だけの問題などではない。「国が助ける必要はない」などという意見が、さも当然のようにまかり通る国になった結果、いまや保育園に入れないと現状の不備を訴えただけでも「子どもをつくった人の自己責任」と跳ね返す者が現れるような、冷淡な社会になってしまっているということを、よく考えるべきだろう。(編集部)


一つの命が助かったのだ。
よかった!

今朝の気温―0.2℃。江部乙の方は氷点下にはならなかったようです。
また数日命を長らえた作物たち。
よかった!

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雨宮処凛がゆく!第463回:港区・児童相談所反対の声から浮かび上がるこの国の「分断」の巻

2018年10月25日 | 社会・経済

  マガジン9  2018年10月24日

   東日本大震災が起こる直前まで、この国で話題になっていたニュースを覚えている人はどれくらいいるだろうか。

 それは「大相撲の八百長問題」。もうひとつ、ワイドショーを賑わせていたのは「タイガーマスク」運動だ。

 児童養護施設に、「伊達直人」なる人物からランドセルなどが寄付されるという現象が前年末から広がっていたのだ。伊達直人とは、タイガーマスクの主人公。孤児院で育ち、大人になってからは素性を隠して孤児院に寄付していたというエピソードを持つそうだ。全国の施設に様々な寄付が送られるという善意の連鎖に「心あたたまる話」としてメディアに取り上げられていた。その報道のされ方は、最近でいうとスーパーボランティア・尾畠春夫さんの活躍を伝えるものと近い空気で、「今時、こんないい話があるんですねぇ」という空気に満ちていた。

 そうして東日本大震災から2年後、「子どもの貧困対策法」が成立。子どもの貧困に注目が集まる中、全国各地に数え切れないほどの「子ども食堂」が広がった。私の友人知人の中にも、ボランティアでそんな取り組みにかかわる人は多い。10年以上貧困問題にかかわる私の周りには、そんなふうに子ども食堂をしたり、手伝ったり、ホームレス状態の人々への炊き出しをしたり、夜回りをしたりを当たり前にしている人たちがたくさんいて、私もほんの時々だが、手伝いに行ったり、少額だけどカンパしたりする。「困った時はお互い様」。どんな現場にもそんな空気があって、そんなものに触れる時、この社会の「底力」に触れた気がする。

  さて、そんな話がある一方で、最近、悲しいニュースを目にした。

  それは、南青山に児童相談所が建設されることに対して、住民たちが反対の声を上げているという報道だ。

 建設されるのは、児童相談所だけでなく、DV被害者を一時保護する母子支援施設など。どちらも貧困の取材をしていればよく耳にする施設であり、また、その数の足りなさが問題となり続けている施設でもある。子どもと女性の命を守るために、そしてその後の生活立て直しのために、とても大切な役割を果たす場所だ。

 しかし、地元住民の中にはそんな施設の建設に反対の声を上げている人もいるのだという。事前に十分な説明がなかった、などの意見ならよくわかる。また、虐待やDV問題などになじみがない人に不安があるのは当然と言えば当然だろう。丁寧に説明すればいいと思う。しかし、住民への説明会の様子を見て、一瞬頭がフリーズしそうになった。

 反対している人の中からは、施設ができることによって港区の価値が下がる、というような意見があったのだ。その他にも、そういうところに来る人は困窮していると聞いた、ネギ一本買うのも紀ノ国屋で買い、ランチの単価が1600円の南青山にはそぐわないのではないのか、というような意見もあった。とにかく、なんでこの一等地に商業施設でなくわざわざそんなものを建てるのか、という意見である。

 港区は、東京23区の中でもっとも平均所得が高い街であり、その額は1000万円を超える。また、住民が指摘するように一等地で、特に建設予定地の南青山には高級ブランドショップなどが立ち並ぶ。そんな港区に住む「恵まれた」一部の人が、様々な困難を抱えた子どもや女性を支援するための施設を「港区の価値を下げるもの」としか考えない姿勢に戦慄した。もちろん、報道では賛成派の住民の意見も紹介されていた。今は子育てが大変な時代だから、というような意見に胸を撫で下ろしつつも、ある出来事を思い出していた。

 それは2年前の2016年。東京都国分寺で、6人規模の児童擁護施設の新設計画が断念されたということだ。理由は、やはり一部住民の反対。住民が配っていたビラには何の説明もないまま計画が進んでいることに抗議しつつ、以下のようなことが書かれていた。

 「いじめ、ねたみ、うらみ、つらみの経験 そんな環境を持つ子供たちが同じ学校、同じ地域で過ごすことで〇〇地区に暮らす小さな子供たちや思春期の子供たちへの影響を考えると不安である」

 このような偏見にまみれた言葉に、心の底から憤慨するのは私だけではないはずだ。たった6人の、グループホーム的な施設の何がそんなに怖いのか、と問い詰めたくなってしまう。

 が、昨年には、岐阜県でも同じようなことが起きている。こちらでは児童養護施設建設への反対署名が1300人分も集まり、署名を呼びかけるビラには「周りの子どもたちに様々な悪影響を与える恐れ」という言葉があった。

 児童養護施設とは、虐待を受けたり、親がいなかったり、様々な理由から親と暮らせない子どもたちが入所する場所である。誰だって、安心できる環境であれば家族と暮らしたいに決まっている。しかし、それが叶わないから施設に入るしかない。そのことで一番傷つき、戸惑っているのは本人だろう。

 私の周りには、児童養護施設に入っていたという人が何人もいる。親の失踪や親の自殺、虐待など背景は様々だが、そこに辿り着くまでに傷つき、疲れ果てている。そんな施設で初めて3食食べる生活をし、夜は清潔な布団で眠れることに感動したという人もいれば、施設で職員から虐待を受けたという人もいる。

 また、私の周りには、児童養護施設出身者への支援を続ける人もいる。親などの頼れる大人がなく、多くが高校を出たら施設を出て行かなければならない児童養護施設の若者たち。高校を中退していれば、もっと早くに自立を促される。大学を出ても就職が難しい時代、中卒、高卒の学歴で職を探し、自活していくことの難しさは想像に難くない。それだけではない。未成年だと親の同意がなくては携帯の契約ができないなど様々な壁もある。

 このように、保護者がいれば意識すらしない「壁」をひとつひとつクリアしながら自立に向かうわけだが、当然躓いてしまう場合もある。そんな時、親がいればお金を借りたり実家に戻ったりできるわけだが、彼らにはそんなセーフティネットがまるごとない。よって、若年層のホームレスを取材していると、驚くほどに児童養護施設出身者が多い。ヨーロッパなどでは「児童養護施設出身者はホームレス化しやすい」ことが認知されているため、特別な支援があるが、日本には公的な支援はないと言ってよく、民間の支援団体が奮闘している状態だ。

 突然、施設暮らしとなり、その後の人生にも様々なマイナス要素を抱えながら生きざるを得ない若者たち。社会が、大人がもっともあたたかい目で見守るべき存在だと思うのだが、そんな児童養護施設の子どもたちに偏見を持ち、「ここに施設をつくるな」と反対運動をする人々。そしておそらく目黒区で5歳で亡くなった「結愛ちゃん」の虐待事件などには胸を痛めつつも、「でも、自分の近くにそういうのできるのは嫌」と言う人々。

 頭に浮かんだのは、「NIMBY」(ニンビー)という言葉だ。「Not In My Back Yard」の略。我が家の裏にはごめん、という意味である。施設の必要性は認めるが、自分の近くには建てないでくれ、ということだ。最近では保育園までもが「迷惑施設」扱いされているが、児童養護施設の子どもを「ねたみ、うらみ、つらみ」などの言葉で歪んでいるかのように決めつけたり、「港区の価値が下がる」という理由から児童相談所を拒絶したりする一部大人の態度に、なんだか悲しくなったのだった。

 港区の例を見て明らかなように、セレブの街に住むセレブの人は、セレブ以外と会わなくていい日常を死守しようとする。同時に、会ったこともない「自分と異質の人」は、イメージの中でどんどんモンスター化していく。格差社会の一番怖いところはこれだ。同じ国に住みながらも、「言葉が通じない」存在になってしまうこと。

 自分とまったく違う世界を生きるモンスターに対しては、「あんな奴らに税金使うな」と口にすることに抵抗などなくなる。そんな断絶は、もうずっと前から進んでいる。港区の反対派が口にしたのは、知らぬ間にこの国で残酷なほど広がっていた「溝」の絶望的な深さだ。貧乏人の子どもを守るために、なんで私たちの街の価値を下げなきゃいけないの? シンプルに通訳すると、彼ら彼女らが言っていたのはそういうことだ。だからランチの値段や「ネギ買うのも紀ノ国屋」という言葉が出てくるのだ。ほーら、あなたたちとはライフスタイルから何もかも全部違うでしょ? と。

 そうして排除を繰り返した先にあるのは、ほんの一部の人しか存在できない社会だ。自分がその一員になれる保証はどこにもない。反対派の人たちは、自分が港区に「そぐわない」と排除される可能性を考えたことはないのだろうか。ずーっと老いずに健康で、ずーっとお金持ちだと思っているのだろうか。

 「異質」を排除する人々は、いつか自分のしてきたことが「自分の首を絞めていた」ことに気づくだろう。しかし、その時はもう、手遅れなのである。

 さて、ここで冒頭のタイガーマスク運動や子ども食堂をやっている人々、スーパーボランティアなんかを思い出してほしい。

私は彼ら彼女らの方が、ずーっと「豊か」だと思う。そして自分もそういう豊かさを目指したいと思う。港区の騒動から、改めて、自分にとって大切なものと、この国の中に存在する「分断」について、考えたのだった。


 暗くなるのが早い。こちらに帰ってくるのに、途中からライトをつけなければならない。
明朝の予想最低気温は0℃。これで終わりかな?
その後は傘マークが5日も続いている。一雨ごとに寒さが強まってくる。

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いきいきと健康のまま長生きするために

2018年10月24日 | 健康・病気

100歳を超えても元気な人に実は共通する「長生きの4つの習慣」

奥田昌子:内科医、京都大学博士(医学)、人間ドック認定医+

  DIAMOND online 2018.10.24

 

   昨年、日本人の平均寿命は男女ともに80歳を超える最高齢を更新し、いまや世界的に見ても“長寿大国”となった日本。しかし、「長生き」は本当に幸せなことなのだろうか。厚生労働省の統計(2016年)によると、日本人は平均寿命と健康寿命の差が大きく、男性は約9年、女性は約12年も不健康な期間があるとされている。年々平均寿命が延びている日本人にとって、「いきいきと健康のまま長生きすること」はこれからの課題となってくるだろう。そこで、『「日本人の体質」研究でわかった 長寿の習慣』(青春出版社刊)の著者・奥田昌子氏が、日本人の体質や病気の傾向に特化した健康対策をアドバイスする。

 

日本人の弱点である○○を溜めない食生活とは

 人生100年時代といわれる今、日本では100歳を超えても健康で元気な人が増えてきている。双子の長寿姉妹の妹・ぎんさんは、自分のことは自分でやり、「家の中に閉じこもっていてはいけない」と毎日のように散歩に出られていたという。また、医師の日野原重明先生は100歳を超えた後も、現役の医師として精力的に活動されていたことは有名だ。このように、100歳を超えても健康でいきいきと暮らせた人たちは、どのような食生活や生活習慣を心がけていたのだろうか。全国の百寿者に向けて行った調査、ならびに長寿医学分野の研究によると、彼らには共通する「4つの習慣」があることがわかった。

   まず、「4つの習慣」の第1は、「栄養バランスのとれた食事」である。特に、魚を中心とする動物性蛋白質と、大豆、海藻、緑黄色野菜をしっかり食べることだ

 日本の百寿者が好んで食べる魚に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)という成分には、中性脂肪を減らして内臓脂肪をつきにくくする作用があるのだ。内臓脂肪は、血圧を上げ、血糖値を上げる非常に悪い物質を分泌し、脳梗塞や心筋梗塞、がんの発生を促すことがわかっている。日本人が健康寿命を延ばすには、内臓脂肪を落とすことが欠かせないため、魚の栄養は日本人の寿命を支える大切な命綱なのである。

 また、厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、介護が必要になった原因の上位は男女ともに「骨折・転倒」だという。骨折・転倒を予防し、強い足腰を作る栄養素・カルシウムを摂取するにも「栄養バランスのとれた食事」が有効である。カルシウムは、海藻や緑黄色野菜、大豆、小魚に多く含まれているからだ。

   「4つの習慣」の第2も食生活に関するもので、「腹八分目」である。日本人は体質的に内臓脂肪が溜まりやすいが、この「腹八分目」を続けることでカロリー摂取をおさえ、あらゆる病気の元凶となりうる内臓脂肪の蓄積を防ぐことができるからだ。

 以上のことから、「栄養バランスのとれた食事」と「腹八分目」を心がけることが長寿への近道といえるだろう。

 

死亡率を下げる!?有酸素運動の驚くべき効果

 百寿者に共通する「4つの習慣」の第3は、「有酸素運動」である。やはり、健康を維持するには食生活だけでなく、適度な運動も必要だ。この「有酸素運動」とは、体に酸素をしっかり取り入れながらじっくり行う運動のことで、たとえばウォーキング、自転車こぎ、水泳などがその代表だ。その効果は折り紙つきで、高血圧、糖尿病、動脈硬化に関する専門学会は、いずれも有酸素運動が病気の予防と改善に役立つとして、1日30分を目安に、1週間に5日以上実施するようすすめている。

 では、なぜ有酸素運動が健康に良いのか。まず、有酸素運動を続けると、日本人の天敵である内臓脂肪が減って、生活習慣病を抑える良い物質の分泌が増える。また、老化の原因となる「糖化」を招く過剰なブトウ糖を減らすのにも有効で、1回4㎞の軽いジョギングを週に5回以上続けたところ、インスリンの効き目がぐんぐん上がり、1ヵ月後には運動を始める前の2倍に、1年後には3倍以上になったというデータもあるのだ。百寿者の運動習慣を調査した結果、男女ともにほぼ半数が「運動している」と回答しており、このうち多くが散歩も体操も週に5~7回ほぼ毎日のように行っていることがわかった。このように、有酸素運動は続けていくことで効果が高まるのである。

   実際、体をよく動かす人は死亡率が低いこともわかっている。45~74歳の日本人約8万3000人を対象に、身体活動量と死亡率の関連を調べた研究がある。体を使う仕事やスポーツを一日に行う時間と運動の強さをもとに参加者を4つのグループに分けて、約9年後のそれぞれの死亡率を調べたところ、活動量が最も多かったグループは、最も少なかったグループと比べて男性は27%、女性は39%も死亡率が低いことが明らかになった。

 しかし、人によっては有酸素運動には注意が必要だ。朝起きて1~2時間後と夕方は血圧が上がりやすく、夕食前などに空腹で運動すると心臓に負担がかかることもある。持病があって通院している人などは、必ず主治医の許可を得てから始めるようにしてほしい。

 有酸素運動の他には筋力トレーニングも有効で、テレビなどではスクワットや片足立ちなどが紹介されている。しかし、筋力トレーニングは、これまで実施してこなかった人が急に取り組むと体を痛めたり、かえって転倒を招いたりするおそれもあるので無理は禁物だ。安全にはくれぐれも気をつけて、楽にできるものだけ加えるのがよいだろう。

 

“ポジティブ思考”が長生きを後押しする!

 百寿者に共通する「4つの習慣」最後の第4は、「気持ちが前向き」であることだ。たしかに、長寿者は嫌な事があっても気持ちを切り替えて、おおらかに前を向く人が多い傾向がある。ある調査によると、百寿者の約8割が「毎日気分よくすごせる」「将来に不安を感じていない」と回答し、「さびしいと思わない」も約6割いることがわかった。さらに、「これからのことに夢や希望を持っている」という人が男性は3割以上、女性は14%もおり、100歳を超えてもなお、将来を前向きに捉えている人が一定数いたのである。

 また、人生に目的を持つことと死亡率などの関係について、日本とアメリカで別々に実施された10件の調査結果からは、前向きな考え方が寿命を延ばすことが明らかとなっている。平均年齢67歳の13万6000人にこの調査を行ったところ、「人生に目的を持っている」と回答した人は、そうでない人とくらべて7年以上にわたる調査期間中の死亡率が17%低いことがわかった。さらに他の研究からは、「人生に前向きに取り組んでいる」と回答した高齢者は脳梗塞の発症率が半分であることも示されている。このように、考え方を前向きに変えるのは単なる気休めではなく、健康寿命と平均寿命を実際に延ばしているのだ。

 一方、「前向きな考え方」とは正反対の「孤独感」は死亡率を上げてしまう可能性がある。これは一人暮らしかどうかではなく、その人が孤独を感じているかどうかが問題だ。家族と同居していても自分は孤独だと感じている人は、そうでない人とくらべて死亡率が2倍高く、うつ病の発症率も上がってしまう研究報告もある。このように、「孤独感」は体と心をむしばみ、老化を進行させるおそれがあるのだ。

   さらに、「孤独感」は無力感とつながりやすく、「こんなことをして何になるんだろう」「結局、うまくいかないんだな」「もう、いやになった」…などと考えてしまったら、健康であることも、長生きしていることも、すべてが無意味に思えてしまうだろう。その一方で、家族と同居して一緒に食卓を囲み、同じものを食べる人だけでなく、一人暮らしであっても積極的に人とつながったり、仕事や趣味を楽しんだりしている人は孤独を感じにくいとされている。生き方は人それぞれだが、気の合う友人や兄弟姉妹と集まって、気兼ねなくおしゃべりしながらゆっくり食事を楽しむ機会を持つようにすると、さらに健康でいられるはずだ。

 ここまで見てきたように、健康寿命は食生活と運動、生活習慣、人種による体質の違いなど多くの要因が重なり合って決まるが、その一つに「前向きな考え方」のような心のありようも大きく関わっているのかもしれない。「考え方」が寿命に与える影響については研究が始まったばかりだが、健康寿命を延ばす条件がいくつかそろったところで最後の一押しとなったり、体力が落ちた時に下支えしたりする可能性は十分にあるのだ。

   「もう歳だから、体に不調が出てしまってもしかたがない」などと考える人も多いが、それでは、歳のせいにして健康をあきらめることになってしまう。「明日もあさっても人生が続く」と考えれば、体調不良を「しかたない」で片づけるわけにはいかないだろう。将来を前向きに考えられれば、食生活や生活習慣に気を配り、体をしっかり手入れすることを意識するきっかけにもなる。

   「人間は習慣の生き物である」というように、人生を作り、人生を変えていくのは習慣の力である。歳をとることを怖れず、これまで述べてきた食生活や生活習慣を繰り返し続けていくことで、健康で楽しく天寿をまっとうすることができるはずだ。


  昼過ぎまで雨。そんなわけで昨日菊芋を掘ったのだが半分も掘れなかった。


菊芋の花

家の中に持ってきたらすぐに咲き出した。

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ヤーコン

2018年10月23日 | 野菜・花・植物

話題沸騰!ヤーコンの5つの効能と効果的な食べ方

  Beauty Life 2015.12.18

   ヤーコンとは中南米アンデス高知原産のキク科の根菜で、インカ帝国の時代から食べられていました。アンデス地方は長寿国として世界有数でそのアンデス地方でよく食べられているのがこのヤーコンです。ヤーコンはさつまいものような形をしていて、食べるとほんのり甘くシャキシャキとした食感が果物の「梨」に似た美味しい根菜なんです。また芋なのに生でも食べられるという特徴があります。サラダとして食べても美味しい野菜です!

ヤーコンの効能

   テレビや雑誌で見かける機会が増えたヤーコンは今まで知られていなかった様々な健康効果があるからなんです。ここではヤーコンの効能についてご紹介します。

1.便秘解消

食物繊維

   便秘解消と言えば「食物繊維」。ヤーコンには食物繊維が豊富に含まれています。ヤーコンには「水溶性食物繊維」が多く含まれていて、コロコロ便など便が固い人に摂って欲しい食物繊維です。食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2つに分類されます。ヤーコンに含まれる水溶性食物繊維は水に溶けて腸内でドロドロとしてゲル状になって腸内の余分な脂肪や糖の排出に効果があります。

不溶性食物繊維は水に溶けずに腸内で水分を吸収し膨張するのでお腹の中で膨らみ、排便を促す「蠕動運動」を活発にしてくれます。便秘解消には不溶性食物繊維2:水溶性食物繊維1のバランスで摂取するのが望ましいとされています。ヤーコンで水溶性食物繊維を摂取したら、豆類やごぼうに多く含まれている不溶性食物繊維も一緒に食べてバランスを保つことでより便秘に効果を発揮します。

オリゴ糖

   ヤーコンを食べるとほんのり甘みを感じるのは「オリゴ糖」を豊富に含んでいるからなんです。ヤーコンは「オリゴ糖の塊」と呼ばれている芋で、現在知られている野菜の中で最もオリゴ糖を含んでいる野菜なんです。オリゴ糖にはいくつか種類がありますがヤーコンには「フラクトオリゴ糖」が含まれています。フラクとオリゴ糖は胃や腸で消化・分解されにくいため、そのまま腸に届いて腸内のビフィズス菌などの善玉菌を増加させて悪玉菌を減少させて腸内環境を整える効果があります。善玉菌は腸を刺激して排便を促しますが、悪玉菌はアンモニアなどの有害物質を作り出すため善玉菌が増えて悪玉菌が減少すると便秘も解消されて腸内がキレイになるという効果があるんです。

ヤーコンの食物繊維効果とオリゴ糖の効果は便秘解消に効果をもたらします。

2.ダイエット

低カロリー

   ヤーコンはダイエットにも効果的です。ヤーコンは100gで54kcalと芋類の中では最も低カロリーで、サツマイモの約半分程度のカロリーしかありません。さらにヤーコンの甘み成分「オリゴ糖」は「ショ糖」、いわゆる砂糖と比べると1/2程度のカロリーしかありません。オリゴ糖はダイエットシュガーとして活用されていますよね。

体内に吸収されにくい

   ヤーコンの甘み成分オリゴ糖、「フラクトオリゴ糖」は体内で消化・分解しにくいため、吸収されにくいという性質があります。体内に吸収されにくいためカロリーがあるものの、エネルギーになりにくく太りにくいんです。吸収されずに腸まで届き腸内環境を整えて体外に排出されます。

水溶性食物繊維が糖の吸収を穏やかにする

   ヤーコンは食物繊維も豊富な野菜ですがヤーコンに含まれる水溶性食物繊維は水に溶けやすく体内でゲル状になります。ゲル状になった食物繊維は腸内で膜を張り、糖やコレステロール、塩分の吸収を抑える効果があるんです。

血糖値上昇を穏やかにする

   砂糖や果糖、炭水化物のブドウ糖を食べると腸内で吸収されることで血糖値が上昇します。血糖値が上昇するとインスリンという物質が分泌されて血糖値を抑制しようと働くのですがインスリンは脂肪を蓄えようとする働きを同時に行うので血糖値を急上昇させると太りやすくなってしまいます。ヤーコンのオリゴ糖は消化されにくいため、血糖値が上がりにくくインスリンの分泌を抑える効果があります。またヤーコンの水溶性食物繊維が腸内で膜を作り他の食事から摂取した糖の吸収を抑制する効果があるのでダイエットに最適な食材です。

3.抗酸化作用

   ヤーコンは食物繊維、オリゴ糖にほかに「ポリフェノール」も豊富に含まれています。ポリフェノールには抗酸化作用があり老化防止に効果を発揮します。ポリフェノールといえば赤ワインが有名ですがヤーコンに含まれるポリフェノールの量は赤ワインにも匹敵すると言われています。老化の原因物質「活性酸素」は美肌に欠かせないヒアルロン酸やコラーゲンを分解してしまうため活性酸素が増えると肌の弾力や張りが失われてきます。ポリフェノールは活性酸素を抑制する働きがあるため肌の若々しさを維持する効果が期待出来ます。

4.高血圧・動脈硬化に効果

   ヤーコンに含まれるポリフェノールには抗酸化作用があるのは先程もご紹介しましたが抗酸化作用は肌だけでなく血管の若々しさを保つためにも必要なんです。血液中の悪玉コレステロールが酸化することによって血管が固くなり、動脈硬化といった血管の老化を防ぐことが出来ます。心筋梗塞や脳梗塞といった病気予防に効果が期待出来ます。

5.ビタミン・ミネラルが豊富

   現代人に不足しがちなビタミンやミネラルもヤーコンには豊富に含まれています。カリウム、マグネシウムは骨を丈夫にする効果があります。抜け毛を予防する亜鉛、貧血を予防する鉄分、むくみを防止するカリウム、そのほかにもビタミンB1、B2などのビタミンも豊富に含まれています。

ヤーコンの食べ方

   ここまでご紹介してきたようにヤーコンには様々な健康効果が期待出来るのです。カロリーも低く太りにくいヤーコンは是非日々の食卓で活用していきたい食材です。ここではヤーコンの食べ方についてご紹介します。

一日100g

   ヤーコンを一日100g食べると一日に必要とされているオリゴ糖を摂取することが出来ます。便秘改善のためにヤーコンを食べる人は一日100gを目安に食べてみてください。

ヤーコンは生で食べるのがオススメ!

   ヤーコンは加熱するとオリゴ糖が減少してしまうため、出来るだけ生で食べることをオススメします。ジャガイモやサツマイモが生のまま食べられないため、ヤーコンの見た目から生のまま食べるのは最初は抵抗があるかもしれません。ですが生で食べると食感や歯ざわりが果物の梨に似ているので美味しく食べることが出来ます。


 食べ方の基本は生食です。ほかに粕漬や塩麹などにつけても美味しいです。
サラダでキャベツと会います。小さく刻んでヨーグルトや納豆に混ぜてもいいでしょう。
皮むきは、包丁の刃を当ててこするように。


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「墓守」困難に

2018年10月22日 | 社会・経済

「合同墓」道内に次々 少子高齢化で「墓守」困難に 19市設置4市検討 管理不要で費用減/「家」失い後悔も

   道新 10/21

   道内で多くの人の遺骨を共同で納める「合同墓(ごうどうぼ)」を設置する自治体が増えている。道内35市のうち合同墓があるのは19市で、札幌以外の18市は2012年度以降に設けた。少子高齢化で子孫への墓の継承が難しいことなどを理由に、先祖から受け継いだ墓を閉め、管理不要な合同墓に遺骨を納め直す市民も多い。ただ、合同墓は他人の遺骨と交じるため、再び引き取ることはできないといい、専門家は慎重な検討を呼びかけている。

 8月中旬、札幌市豊平区の市営平岸霊園。東区の鹿野(しかの)紀夫さん(86)は妻(83)と合同墓の前で手を合わせた。室蘭市出身の鹿野さんは昨年、地元の墓を閉めて両親の遺骨を移した。

 息子と娘はともに札幌に住んでいるが、鹿野さんは「墓を継がせると、子どもたちにとって大きな負担になる」。自身も高齢になり、「墓守(はかもり)」を自分の代で終わりにした。鹿野さん夫妻も合同墓に納めてもらうという。「整理がついて肩の荷が下りた」。鹿野さんは語る。

 道内の市のうち、合同墓を持っているのは札幌市だけだったが、ここ数年で全道的に急増。本年度も、11月に使用開始予定の登別市を含めて5市が設置した。三笠市など4市も設置を検討している。

 合同墓はかつて、引き取り手のない遺骨を納める「無縁墓」として利用されてきた。しかし、最近は少子高齢化や経済的な理由で、墓の維持管理が困難な世帯も多く、管理不要の上、費用負担も少ない合同墓が注目されるようになった。

 納骨時の利用料は5千~2万円で、大半の自治体は年間の管理料もかからない。平岸霊園に設置する札幌市の場合、利用料は納骨時の9100円だけだ。

 1人暮らしの沼田紀美枝さん(76)=石狩管内当別町=は数年前、母の遺骨を平岸霊園の合同墓に納めた。「墓を建てると少なくとも数十万円かかるし、お寺などの納骨堂も年間の管理費は数万円に上る。出費は厳しい」と話す。

 札幌市生活環境課によると、年間の納骨申請数は08年度の436体から、17年度には1748体と4倍に増えた。4年前に拡張工事を行い、最大1万7千体を収容できるが、既に半分近く埋まっているという。

 小樽市は12年、3千体収容の合同墓を設置した。当初は年間収容数を60体と見込んだが、最近は平均で300体を超えるという。

 合同墓のない市でも、住民の関心は高い。石狩市が15年度に行った市民アンケートでは、5割超が「合同墓は必要」と回答しており、市は本年度から設置に向けた検討を始めた。

 合同墓は埋葬後、遺骨の引き取りは一切できない。NPO法人「葬送を考える市民の会」(札幌)には、親の遺骨を合同墓に入れた後で「家の墓を失ってしまい後悔している」などの悩みが寄せられている。

 沢知里(ちさと)代表理事は「亡くなった方を弔う方法は、個人によってさまざま。家族や親族と話し合って慎重に検討してほしい」と話している。(岩崎あんり)

 


 昨日は父と母の5・10年の法要で札幌へ。叔父、伯母も年老いてもう5年後は無理でしょう。これからは兄弟だけでやることになるのだろう。法事を終えて兄弟姉妹で近くでもない喫茶店でいろいろと話し込んでしまった。夜は札幌にいる子供たちと食事を楽しみ、帰宅したのは0時近かった。

 雪虫が多くなっています。もう少しで雪が舞い散るのでしょう。

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身近なファシズム。

2018年10月20日 | 社会・経済

ファシズムは楽しい?

  集団行動の危険な魅力を考える

  Imidas時事オピニオン2018/10/19

田野大輔(甲南大学文学部教授)

   「民主主義」の「敵」として、世界中で警戒されている「ファシズム」。善悪を問うならば、圧倒的多数の人間が「悪」と答えるだろう。

  だが社会の中で生きる以上、誰もが一度は参加した経験のある「集団行動」は、いとも簡単にファシズムに結びつく危険性をはらんでいる。

  あなたの中に、あるいは周囲に、ファシズムの芽が潜んではいないだろうか? 甲南大学で「ファシズムの体験学習」講義を続ける田野大輔教授に、集団行動の魅力と危険について話をうかがった。

 

世界中で排外主義が高まるのはなぜか?

 

  「ファシズムは楽しいか」と問われれば、多くの人は「そんなはずはない」と答えるだろう。たとえばヒトラー支配下のドイツで、ユダヤ人や反対派の人びとが受けた過酷な弾圧のことを想起すれば、それがけっして「楽しい」などといえるものではなかったことはたしかだ。

  だがそうした弾圧を行った加害者たちの意識に目を向けるとどうだろう。敵や異端者を攻撃することは、彼らにとって胸踊る経験だったのではないだろうか。近年わが国で問題になっているヘイトスピーチや、欧米各国で高まっている排外主義運動の背景に迫る上でも、過激な言動をくり返す加害者たちの内面的な動機、彼らがそこに見出している「魅力」を理解することが欠かせない。

  そうした考えのもと、筆者は勤務校の甲南大学で2010年から毎年「ファシズムの体験学習」という特別授業を実施してきた。その内容は簡単にいうと、教師(筆者)扮する指導者のもと独裁体制の支持者となった受講生が、敬礼や行進、糾弾といった示威運動を実践することで、ファシズムを動かす集団行動の危険性を体験的に学んでいくというものだ。

  授業の具体的な内容と進行については、筆者が別の媒体に寄稿した記事(『現代ビジネス』「私が大学で『ナチスを体験する』授業を続ける理由」2018年7月8日〈外部サイトに接続します〉)を参照していただきたいが、授業に参加した学生のほとんどが驚きをもって認めるのは、大勢の仲間と一緒に行動していると気持ちがどんどん高ぶってきて、他人に危害を加えるような悪行も平気で行えるようになってしまうことだ。

  だがそれにしてもなぜ、このような意識の変化が生じるのだろう。同じ制服を着て指導者の命令に従うだけで、どうして人は過激な言動に走ってしまうのか。その謎を解く鍵は、集団行動がもたらす独特の快感にある。

 

集団行動の魅力

 

 全員同じ白シャツ・ジーパンを着用してグラウンドに集まった約250名の学生が、右手を挙げて一斉に「ハイルタノ(田野万歳)!」と叫んで敬礼し、笛の音に合わせて隊列行進をくり広げる。やがてグラウンド脇のベンチに座るカップル(サクラ)を取り囲んだ彼らは、指導者の号令のもと一斉に何度も「リア充爆発しろ!」と怒号を浴びせはじめる。多くの野次馬が見守る中、拡声器の号令に煽動されたこの集団はどんどん声を強めていき、ついにカップルを退散させると、万雷の拍手をもって勝利の凱歌を上げる……。

これは筆者が実施している「ファシズムの体験学習」の一コマである。事情を知らない部外者の目には、新興宗教か何かの狂信者の集まりのように映ったにちがいない。体験学習に参加した学生たちも、最初は恥ずかしさや気後れを感じていたようだ。だがこの異様なパフォーマンスに参加しているうちに、いつのまにか慣れてしまい、しだいに楽しい気分になってくる。

  このような意識の変化は、集団行動が生み出す独特の高揚感によるところが大きい。参加者は全員で一緒に行動するにつれて、自分の存在が大きくなったように感じ、集団に所属することへの誇りや他のメンバーとの連帯感、非メンバーに対する優越感を抱くようになる。参加者のレポートにも、「大声が出せるようになった」「リア充を排除して達成感が湧いた」といった感想が多い。彼らは集団の一員となることで自我を肥大化させ、「自分たちの力を誇示したい」という感情に満たされるようになるのである。

  そうした高揚感は、実は私たちが身近に経験しているものである。運動会の集団体操や入場行進、サッカーの試合の応援、夏祭りの神輿巡行や盆踊りなどに参加して、えもいわれぬ興奮を覚えた経験は誰にでもあるはずだ。文化人類学や民俗学が明らかにしてきたように、人は遊びや祭りなどの非日常的なイベントに参加し、日頃抑えている欲求を発散することで、高揚感や爽快感、他者との一体感を得て、社会生活を営む活力を維持している。

  この種の集団行動はいつの時代にもどんな場所にも存在するもので、普通は一時的な興奮を呼び起こすにとどまり、差別やヘイトといった加害行動と結びつくことはめったにない。それが危険なファシズムへと変貌するのは、集団を統率する権威と結びついたときである。

 

集団行動がファシズムに変わるとき

 

 集団行動が権威と結びつくと、どんな変化が生じるのか。まず生じるのは、責任感の麻痺である。体験学習の参加者は、指導者の命令に従い、他のメンバーに同調して行動しているうちに、自分の行動に責任を感じなくなり、敵に怒号を浴びせるという攻撃的な行動にも平気になってしまう。「指導者から指示されたから」「みんなもやっているから」という理由で、彼らは個人としての判断を停止し、指導者の意志の「道具」として行動するようになる。

  スタンフォード監獄実験やミルグラム実験の結果が示しているように、権威への服従は人びとを「道具的状態」に陥れ、自分の行動の結果に責任を感じなくさせる働きをもっている。そこではどんなに過激な行動に出ようとも、上からの命令なので自分の責任が問われることはない。逆説的なことに、権威に従属することによって人は行動に伴う責任から解放され、社会的な制約から「自由」に行動できるようになるのである。

  しかもこうした治外法権的な状況がいったん成立すると、これを維持・強化しようとする動きが服従者の側から自発的に出てくる。それは人びとが自分の行動の責任を指導者にゆだね、その命令を遂行することにのみ責任を感じはじめるという、状況的義務への拘束が生じるためである。

  体験学習の参加者も、指導者の命令に従って敵を糾弾するという行動を自分たちの義務のように感じはじめ、やがて真剣に取り組むようになる。この糾弾行動がロールプレイにすぎず、敵役のカップルがサクラであることは参加者も承知のはずだが、何度も怒号を浴びせているうちに、その声はしだいに熱をおびてくる。

「リア充が憎らしく思えた」「声を出さない人に苛立った」といった感想が示すように、彼らは自分たちの行動を正当なことと見なし、内面的・情緒的な関与を強めていく。芝居とわかっている行動であっても、人びとの「義憤」を駆り立てる危険な力を発揮しうるのだ。

  こうして敵対者は容赦なく攻撃すべき「悪」となり、これを攻撃する行動は「正義」となる。自分は権威=善の側に立ち、その後ろ盾のもとで悪に正義の鉄槌を下すという意識なので、攻撃をためらわせる内面的な抑制は働かない。

それどころか、この「義挙」の前に立ちはだかるいかなる制約も正義を阻む脅威と見なされ、「自衛」のためにさらなる暴力の行使がもとめられることになる。

  敵や異端者への攻撃の中で、参加者は自分の抑圧された攻撃衝動を発散できるだけでなく、正義の執行者としての自己肯定感や万能感も得ることができる。そこに認めることができるのは、暴力が歯止めを失って過激化していく負のスパイラルである。

 

日本に見られるファシズムの萌芽

 

 このようなファシズムの危険な感化力は、私たちにも無縁のものではない。近年わが国では在日韓国・朝鮮人に対するヘイトスピーチやヘイトデモが大きな社会問題になっているが、民族的出自の異なる人びとへの憎悪や敵意を煽る加害者たちの差別的・排外主義的言動が、権威と結びついた集団行動の過激化のパターンをなぞっていることは明らかだ。

  彼らにとって、在日韓国・朝鮮人とこれを支援する人びとは「反日勢力」であり、日本で不当な特権を享受しながら破壊工作を行う「売国奴」である。それゆえ、これを差別・攻撃することは「正義」であり、「日本のため」の正当防衛であるということになる。

  たとえば、朝鮮学校への補助金交付をもとめた各地の弁護士会の声明をきっかけに、複数の弁護士に対して大量の懲戒請求が寄せられた事件(『朝日新聞』「ブログ信じ大量懲戒請求『日本のためと思い込んでいた』」2018年6月23日〈外部サイトに接続します〉)を見てみよう。あるブログの呼びかけに応じて懲戒請求を行なった人物が、弁護士から損害賠償をもとめられた後になって「日本のためになると思い込んでいた」と反省の弁を述べたのは、いかにも特徴的だ。

  この人物を行動へと突き動かしたのは、「日本を守らねばならない」という使命感であり、「反日勢力」の脅威に対する危機意識である。だがそこには、自分の行動とその目的に対する責任ある判断が欠けている。

  そうした人びとにとっては、敵対者の脅威が現実に存在しているか、これに対する自分の行動が適切かは問題とならない。重要なのは、自分がどれだけ怒りを感じ、使命感を呼び覚まされたかである。それゆえ、彼らの思想・信条をいくら究明したところで、過激な行動に走る理由を十分に理解することはできない。

  差別的な言動をくり返す加害者たちの内面的な動機に迫る上ではむしろ、彼らがそうした活動の中で感じる解放感、自分の感情を何の制約も受けずに表現できる「自由」の経験に注目することが必要だろう。

 「日本」というマジョリティの権威を笠に着ながら、数の力で社会的少数派や反対派に攻撃を仕掛けるという行動は、権威への服従がもたらす「責任からの解放」の産物である。彼らはこれによって存分に自分の欲求を満たしながら、堂々と正義の執行者を演じることができる。その何物にも代えがたい快感にこそ、ファシズムの危険な魅力があるといってよい。

 

ファシズムに飲み込まれないためには

 

 ファシズムが「悪」であり、民主主義社会の基本的価値と相容れないことは、今日では誰もが知っている。ヒトラー率いるナチスがユダヤ人や反対派を弾圧し、戦争とホロコーストに突き進んでいった歴史を、私たちはくり返し学んできたはずだ。だがそれが遠い過去の出来事にとどまるならば、いま「義憤」に駆られて「自衛」に走ろうとする人びとを押しとどめることはできない。

  ファシズムを悪なるものとして否定するだけでは、多くの人びとがその魅力に惹きつけられ、歓呼・賛同しながら侵略と犯罪に加担していった歴史の教訓をいかすことにはならない。それどころか、臭い物に蓋をするような生半可な教育は、人びとを無免疫のまま危険にさらすことにもつながる。「ファシズムの体験学習」の狙いも、若い世代に適切な形で集団行動の危険に触れさせ、それに対する対処の仕方を考えさせることにある。

  これまで9回実施した体験学習では、受講生の参加意欲は非常に高く、授業の狙いを的確に理解して、集団行動の効果に対する認識を深めているようだ。「自分たちと異なる人を排斥したくなる気持ちが理解できた」「中学・高校まで制服を着ていたことが怖くなった」などと感想を書いた学生もいる。

  ただしこうした危険な授業を実施する上では、アフターフォローに細心の注意を払う必要がある。何よりも重要なのは、受講生が自らの体験をファシズムの危険性に対する認識につなげることができるよう、的確なデブリーフィング(被験者への説明)を行うことである。本記事もまた、そうした取り組みの一環といってよい。

 「ファシズムの体験学習」から得られる最も大きな教訓は、ファシズムが上からの強制性と下からの自発性の結びつきによって生じる「責任からの解放」の産物だということである。指導者の指示に従ってさえいれば、自分の行動に責任を負わずにすむ。その解放感に流されて、思慮なく過激な行動に走ってしまう。表向きは上からの命令に従っているが、実際は自分の欲求を満たすことが動機となっているからだ。そうした下からの自発的な行動をすくい上げ、「無責任の連鎖」として社会全体に拡大していく運動が、ファシズムにほかならない。

  この単純だが危険なメカニズムは、いくぶん形を変えながら社会のいたるところに遍在している。学校でのいじめから新興宗教による洗脳、さらには街頭でのヘイトデモにいたるまで、思想の左右を超えた集団行動の危険性を、私たちはあらためて認識する必要がある。世界中で排外主義やナショナリズムの嵐が吹き荒れている今日、ファシズムの危険な魅力に対処する必要はますます高まっている。大勢の人びとが熱狂に駆られて「正義の暴走」に向かったとき、これに抗うことができるかが一人一人に問われているのである。


 日ごとに寒さが増している。今朝はとうとう氷点下まで行った。それでも初氷には至らなかった。
ハウス内の野菜もまだ生きている。

 経済産業省資源エネルギー庁によると、15日時点の灯油の道内平均小売価格(1リットル当たり)は、前回9日の調査時点より3円10銭高い100円ちょうどとなった。値上がりは4週連続で、100円台となるのは、2014年11月25日以来3年11カ月ぶり。中東情勢の不安定化を受けて上昇傾向は続く可能性があり、需要の増える冬に向け道民生活に打撃を与えそうだ。

 

 前年の同時期と比べ約24円高く、2年前との比較では約39円の値上がりとなった。レギュラーガソリン1リットル当たりの道内平均小売価格も、9日時点の前回調査と比べて2円90銭高い160円60銭と4週連続で上昇している。

 これからどんどん寒くなっていく中、これは厳しい生活を強いられる。特に非正規労働者、生活保護世帯、年金生活者にとっては死活問題だ。

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雨宮処凛がゆく!第462回:植松被告がキレた理由 「日本の借金」を、なぜあれほど憂えるのか。の巻

2018年10月19日 | 社会・経済

  マガジン9 2018年10月17日

   「日本は社会保障を充実させていって100兆円もの借金を抱えることになりました。あなた自身はそれをどう思いますか?」

 「僕の言うことを非難する人は、現実を見てないなと思います。勉強すればするほど問題だと思いました。僕の考え、どこか間違っていますか?」

 「昨日来たお二人が、お金のことを一番に考える風潮が怖いとか言っていましたが、お金のことを考えない方が人間としてありえないんです。それはおままごとじゃないでしょうか。社会保障に多額のお金をかけてる現実をあなたはどう思うんですか?」

 これらの言葉は、相模原の障害者施設で19人を殺害した植松被告が発したものである。『創』2018年11月号「植松聖被告が面会室で激高した瞬間」から引用した。

 『創』の篠田編集長が植松被告と接見したのは今年の8月22日。金沢大学名誉教授・井上英夫氏とともに訪れたという。井上さんは私もよく知る人で、社会保障などを専門とする名誉教授でありながら徹底した「弱者の味方」でもある人だ。2012年、北海道札幌市で生活保護の申請ができずに姉妹が餓死・凍死する事件が起きた際には調査団を作って共に現地に飛び、福祉事務所に改善を申し入れ、また、生活困窮者たちの聞き取りをするなどした。ケンタッキーの前にあるカーネル・サンダースそっくりの見た目で、いつも弱者に寄り添う人。それが井上さんである。

 そんな井上さんが、相模原事件について調査チームを作っているということを私は『創』で初めて知った。そのための面会だったのだろう。篠田編集長と井上さんが面会する前日には、調査チームの別のメンバーが接見していたようで、接見当日、植松被告は前日の面会でのやりとりを引きずって苛立った様子だったという。日本が多額の借金を抱えていることをどう思うかと尋ねたのに、話をそらされたと感じたためらしい。結局、井上さんとの接見でも、植松被告は「心失者は人間じゃありません」などと言い、税金を使って障害者の生活を保障することに対して「無駄というより、不幸しか作れないということです」など事件当時と変わらない持論を展開。そうして接見の途中、井上さんに「キレた」のだという。立ち会いの係官が制止しようとするほどの勢いで。

 

 植松被告がキレたのは、冒頭でも紹介したこの発言のあと。

 

 「昨日来たお二人が、お金のことを一番に考える風潮が怖いとか言っていましたが、お金のことを考えない方が人間としてありえないんです。それはおままごとじゃないでしょうか。社会保障に多額のお金をかけてる現実をあなたはどう思うんですか?」

  これに対して、井上さんが言った。

  「でも日本は本当にお金がないのだろうか。借金してたとしても金はあるんじゃないかな」

 

 この言葉に、植松被告は激昂。アクリル板の前の机をバンと叩いて「ぼけてるんじゃないよ!」と立ち上がり、帰ろうとした。職員が制止するそぶりを見せたほどだという。

 その後も接見は続くのだが、植松被告はオランダの安楽死に触れ、自分のやった殺人行為に対して「安楽死にならなかったことは申し訳ないと思っています」などと発言。また、障害者の家族の無理心中などについても言及するのだが、唐突にやはり「日本の借金」問題に触れて、言う。

 

 「日本の借金だってこれ以上もう無理ですよ。これで大地震でも起きたら無茶苦茶になりますよ」

  「そもそも借金で何かをするということ自体、考えられないですよ」

 接見の会話について詳しくは『創』を読んでほしいのだが、一見めちゃくちゃに思える彼の言い分から見えてくるのは、彼は彼なりの「危機感」の中で生きている、ということである。

 このままでは日本の財政が破綻してしまう、というような切迫した思い。そのようなことは植松被告が言うまでもなく、日々メディアで報じられていることでもある。多くの人がそんなこの国の状況について、多かれ少なかれ危機感を持ち、なんとかしなければと思っているはずだ。

 このようなことについて、最近、非常に興味深い記事を読んだ。「『将来の生活不安が差別をはびこらせている』障害を持つ人の集会で抵抗の声」(BuzzFeed 岩永直子)という記事だ。ここで、障害者の人権問題に取り組んできた立命館大学の立岩真也氏の声が紹介されているのだが、立岩氏は、相模原事件などについて、少子高齢化が叫ばれる時代、「命を選別しなければ国民の生活が立ち行かなくなるとする不安」が背景にあると指摘している。

  そうして相模原事件について、以下のように述べるのだ。

 「犯人の言っていることは突拍子もないと思われているかと言えば、今はおかしいと思われていないところがこの事件を忘れてはいけない理由です」

 「この男は社会や国家の未来を心配し、こういう形で障害者を生かすことを続ければ社会がもっと大変なことになる、だから社会を危機から救うのだというある種の正義感にかられてやったと言っています」

 「誰もそんなことはしないけれど、手前のところで(植松被告と同様のことを)思っている。植松被告はそれを真に受けて人を殺しましたが、素っ頓狂な信仰に過ぎないと言えない状況になっていることが、問題なのだと思います」

 「少子高齢化という言葉を小学生でも知っている今、より生産に励み、生産しないものは産まれないようにしておかないと、この世の中はやっていけないらしいというある種の常識が根っこにあって起きた事件だと思います」

 立岩氏は、そんな「常識」が、「生産性がない」と書いた杉田水脈議員や、「自業自得の人工透析患者を殺せ」と主張した長谷川豊氏など、政治を志す者にも共有されていることを指摘する。

 「彼女らは物心ついた時には既に少子高齢化という言葉が世の中にあり、バブル崩壊後に社会の中で失業者がたくさんいるという中で育った。世の中は放っておいたらもっと大変になるという空気の中に生き、それを前提にして政治家になろうとした人たちです」

 そしてそんな「放っておいたらもっと大変になる」という予感と不安は、前述した通り、この国の多くの人が抱えているものでもある。

 そんなふうに見ていくと、植松被告の奇妙な「普通さ」が浮かび上がる。あれほど異常な事件を起こしたというのに、どこかものすごく「普通」で、「真面目」なのだ。なぜなら彼は、先に紹介したように、「借金はいけない」という高い倫理観と規範意識を強固に持っている。また、「迷惑をかけてはいけない」という言葉も彼を考える上で非常に重要なキーワードだ。例えば接見の中で、植松被告は井上さんに以下のように質問している。以下、やりとりを引用しよう。

  植松: 安楽死についてですが、あなたは自分の意思疎通ができなくなっても延命したいと思いますか?

 ――それはわからないけれど、少なくとも生きるか死ぬかは自分で決めたい。

  植松: 決められない人もいますよ。意思疎通ができないので死にたくないという人をどうしますか? もう排泄ができなくなった時も延命したいと思いますか?

  ――少なくとも最期に水を飲めなくなるその時までは延命をやってほしいと思います。

  植松: それが迷惑なんですよ。

  ――誰にとって迷惑なの?

  植松: 誰にとってもですよ。

 借金はいけない。人に迷惑をかけることもいけない。国の将来を憂い、危機感を持っている。なんとかしなければと思っている。ここまでの要素は「立派な若者」と言いたくなるものだ。しかし、それらの思いをすべて凝縮し、危機感と正義感をもって彼が実行したこと。それは大量殺人だった。

  彼のやったことは決して許されない。どこからどう見ても異常だ。

 しかし、彼の主張の背景には、40代ロスジェネの私にも共通するような「剥奪感」が垣間見えるのだ。

 例えば、「社会保障で借金が大変」という彼の言い分を読んで真っ先に思い出したのは、山野車輪氏の書いた『「若者奴隷」時代』という漫画だった。山野氏と言えば『マンガ嫌韓流』の著者で、嫌韓ブームの火付け役のような存在である。そんな山野氏が8年前に出したのが『「若者奴隷」時代』で、この本の表紙には、「だ・か・ら若者は高齢者に一生貢いでいればいいんだよ!」と叫ぶ老人に、犬のように鎖をつけられた若者が「ジジババを殺らなきゃオレたちはこのままなのか!?」と悲痛な顔で叫んでいるという絵が書かれている。帯には「65歳の高齢者は20歳のキミよりも3903万円もボロ儲け!」とある。いわゆる社会保障の世代間損得勘定でよく使われる数字だ。漫画の中では、報われない若者たちが高齢者を責めるシーンが何度も出てくる。例えばこんな感じで。

 「高齢者は自分たちの世代が働かずに豊かな生活を営むために…若者や将来世代から莫大な額の富を搾取しているのです!」「そして下の方にある1億2171万円という数字は…政府の将来純債務を将来世代一人当たりが背負わされる金額です」「高齢者はこれまでに積み上げた大量の請求書を現在の若者や未来の子供たちに回し支払わせようともくろんでいますがそのような愚劣な考えは到底許されません」

 漫画ではこのような若者の言い分に、何も言い返せず「うぐぐぅ」「むぐぐぐ…」と言葉を失う高齢者たちの姿が描かれる。他にも目次には「若者を追い詰める高齢化社会の弊害」「パラサイト・シルバーの時代」「将来世代や僕たちにツケを回す医療・年金・介護」「高齢者民主主義の国」「政治の仕組みが僕たちを食い尽くす」といった言葉が並ぶ。

 特筆したいのは、この漫画で描かれているようなことは、それほど「特別」なことではないということだ。

 「自分たちの世代はものすごい貧乏くじをひかされた」という気分は、おそらくロスジェネ以降の世代の多くに共有されている(ただ、今の20代前半とかになると「いい時代」をそもそも知らないので剥奪感はあまりなかったりする。ちなみに山野車輪氏は団塊ジュニアの71年生まれ)。実際、この漫画に描かれているような「高齢者憎し」の主張はこれまでもよく耳にしてきた。特に反貧困運動を始めたばかりの10年ほど前は現在より「若者バッシング」が激しく、貧困も「自己責任」とされがちだったため、理解のない上の世代への怨嗟の声は相当のものだった。デモをすれば、「自分たちの職を奪った団塊世代からすべてを奪え!」と叫び出す私と同世代の人もいたし、年越し派遣村の喫煙所では、「団塊世代より上の世代から選挙権を剥奪すれば俺らがホームレスになることなんてなかったのに…」と怒りに震える若者もいた。

 何がどうしてどうなって自分たちが路上生活や出口のない非正規生活になってしまったのかはわからないけれど、それらは団塊世代や高齢者が悪いのだ、という「気分」は、当時、一部の若者たちに確実に共有されていた。その背景には、高齢者は「弱者」として守られるけれど、若者はどこにも守られずに一気にホームレス化してしまうことや、非正規の若者が必死で働いても親の年金よりずっと低い額しか稼げず、そのことを親になじられるというような無理解などもあったろう。

 そんな中、貧困問題にかかわり始めてすぐの12年前は、私自身も高齢者バッシングに乗っかってしまいそうな瞬間もあった。しかし、そうならなかったのには理由がある。それは多くの現場に行き、支援団体と知り合い、ホームレスや生活保護利用者や困窮している当事者と多く会ったことだ。現場には、若者よりも圧倒的に高齢者が多かったのである。当時、「若者のホームレス化」が社会的な注目を集めていたが、それはこれまでほとんど若者を見かけなかった路上に出てきたからこそ目立ったわけで、数としては圧倒的に中高年以上が多いのだ。もちろん、今も。これ、世代間とかの問題じゃないんだな。団塊世代やそれ以上の人すべてが恵まれているなんて、全然幻想だったんだな。そう思ったことで、私は世代間対立とは距離を置いた。対立があるとしたら、持つ者と持たざる者で、世代は関係ないというスタンスとなった。

 しかし、そんな私も心のどこかで「団塊世代の親のような老後など私たちは絶対に迎えられず、恐ろしく過酷な老後で野垂れ死とか普通にあるだろうな」と思っているし、配偶者も子もない身として「将来の生活不安」は直視したくないほどに大きい。だから、植松被告が井上さんに「ぼけてるんじゃないよ!」と言った気持ちが少しだけ、わかる。高度経済成長の時代を生きて、ひと通りのものを手に入れて、自分たちだけ「勝ち逃げ」しようったってそうはいかないんだからな、という気持ち。それはおそらくロスジェネ以降の世代に刷り込まれている。

 あなたたちは逃げ切れるかもしれないけれど、私たちの未来は長いのだ、人生はまだ続くのだ、無責任なこと言うなよ、という悲鳴。それに対して、「日本の借金はひどいひどいと言われてるけど実はそうでもないという意見もある」とか、そういう話をしても意味がないと思う。私の中の「内なる植松」が聞きたいのはそんな言葉じゃないのだ。…でも、そうじゃないとしたら、どんなことなのだろう? 彼は何にあれほど苛立っているのだろう? そこがわかれば、事件の真相にほんの少しだけ近づけそうな気がするのだ。

 ちなみに残念なことに、植松被告は日本の借金が100兆円と言っているわけだが、1000兆円、というのが通説である。ヒトケタ多いと知ったら、彼の危機感はより深まるのか、非常に気になるところだ。

 そうしてこの原稿を書いている最中、安倍首相が来年10月から消費税を10%に引き上げることを表明した。社会保障制度拡充のためである。この一報を、植松被告はどう受け止めるのであろうか。

 

あまみや・かりん:1975年北海道生まれ。作家・活動家。2000年に自伝的エッセイ『生き地獄天国』(太田出版)でデビュー。若者の「生きづらさ」などについての著作を発表する一方、イラクや北朝鮮への渡航を重ねる。現在は新自由主義のもと、不安定さを強いられる人々「プレカリアート」問題に取り組み、取材、執筆、運動中。『反撃カルチャープレカリアートの豊かな世界』(角川文芸出版)、『雨宮処凛の「生存革命」日記』(集英社)、『プレカリアートの憂鬱』(講談社)、『自己責任社会の歩き方 生きるに値する世界のために』(七つ森書館)など、著書多数。2007年に『生きさせろ! 難民化する若者たち』(太田出版)でJCJ賞(日本ジャーナリスト会議賞)を受賞。「反貧困ネットワーク」副代表、「週刊金曜日」編集委員、、フリーター全般労働組合組合員、「こわれ者の祭典」名誉会長、09年末より厚生労働省ナショナルミニマム研究会委員。


 かなり強い霜が来たと思ったのだが、それほどではなかった。
昨日の霜よりは強かったが、ハウス内は無事でした。
ハウス内の温度計を見ると2℃でした。

江部乙で仕事をしていると車を止めて見知らぬ男が近寄ってくる。
ここの「自然」が素晴らしい。
「仕事を手伝うからここに来てもいいか?」と。
それは願ったりと快諾した。
さっそく20分ほどではあるが刈払機で草刈りをしてもらった。
明日も朝からくるという。
わたしより年上だが「自然観」など、共通する部分がある。
理解者が一人増えた。

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IPCC報告書 日本も「気候脆弱国」

2018年10月18日 | 自然

  東京新聞 社説 2018年10月13日

   温暖化による平均気温上昇の上限を、二度ではなく一・五度に-。世界の科学者たちがまとめた特別報告書。この夏も気象災害が猛威をふるった「気候脆弱(ぜいじゃく)国」日本への警告の書とも読めないか。

 「産業革命前からの平均気温上昇が、早ければ二〇三〇年に一・五度に達する恐れがある」-。国連・気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の特別報告は、もはや“緊急警報”の域にある。

 IPCCは、一九九〇年からほぼ五年に一度ずつ、気候変動に関する最新の科学的知見を集約した報告書を国際社会に問うてきた。

 最新の第六次報告書は二一年から順次、作業部会ごとに公表されるが、それまで「待てない」ということなのか。

 二〇年から始まる温暖化防止の新たなルール「パリ協定」は「世界の温度上昇を産業革命前の二度未満、<可能な限り>一・五度に抑える」とする大枠を定めており、加盟国それぞれに国別の達成目標を申告し、その進行を確認し合うシステムだ。目標は五年ごとに見直すことにもなっている。

 「一・五度に抑えることで温暖化による海面上昇や、北極海の不凍結などのリスクを抑制できる。そのためには五〇年にも、世界の温室効果ガスの排出量をゼロにする必要がある」-。「一・五度報告書」と呼ばれる特別なリポートは、パリ協定の大枠から速やかに<可能な限り>を外しなさい、と訴えているかのようだ。

 公表の背景には、海面上昇などを受けやすく、気候変動に対して脆弱な途上国への配慮があるとされている。しかし、昨今の全世界的な異常気象を見れば、途上国だけの問題でないのは明らかだ。

 命にかかわるこの夏の猛暑、近海で発達しながら次々に列島を駆け抜ける強い台風…。日本こそ、温暖化の影響に対して「脆弱」な国なのだ。

 気象庁の検討会も、この夏の記録的な豪雨と猛暑の背景に「地球温暖化に伴う気温上昇と水蒸気量の増加があった」と断じている。

  異常気象対策は、もはや「安全保障」とみるべき時代になっている。

  それなのに、温室効果ガスの主な排出源である石炭火力発電の維持にこだわる一方で、再生可能エネルギーの推進にはいまだ及び腰-。この国の「守り」は手薄である。

 「一・五度報告書」は、そんな日本への特別な“警報”でもあると、とらえるべきだ。


きょう一日、あまりぱっとした天気ではなかったのだが、夕方から晴れてしまった。予報によればこれから明日いっぱい晴れマークで、朝方の予想気温が0℃。ここは山の方だからおそらく氷点下になるだろう。収穫できるものは可能な限り持ってきた。パブリカ、カラーピーマンにはブルーシートをかぶせてきた。

午前中、ヒョウが降ってきた。

雲南百薬(おかわかめ)の花。これもダメになるだろうけど収穫できなかった。

 

 

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最強の野菜

2018年10月17日 | 野菜・花・植物

最強の野菜に輝いた”クレソン”

   NAVERまとめ」より

   アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の機関誌「Preventing Chronic Disease(慢性疾患を予防する)」の2014年6月5日号に発表された同研究では、健康に重要とされるカリウム、食物繊維、タンパク質、カルシウム、鉄、チアミン、リボフラビン、ナイアシン、葉酸、亜鉛、ビタミンA、B6、B12、C、D、E、Kの17の栄養素の含有量をもとに食品がスコア化されている。

   スコア100点を獲得して第1位にランクインしたのはクレソン。実は、重要な栄養素を幅広く大量に含み、長年スーパーフードとして知られている野菜だ。クレソンの次に優秀な5つの野菜は、チンゲンサイ・白菜などChinese cabbageと呼ばれるもの (91.99点)、フダンソウ(89.27点)、ビーツの葉(87.08点)、ホウレンソウ(86.43点)、チコリー(73.36点)だった。

   クレソンの栄養で最も特徴的なのは、カロテンが100g中2700μg(レチノール当量450μg)と豊富に含まれていることです。カロテンは強い抗酸化作用を持ち、血をきれいにして動脈硬化や高脂血症などの生活習慣病を予防するほか、がんや老化を防ぐ効果があります。

   ピリッとした辛みがありますが、これはワサビなどと同じ「シニグリン」という成分によるものです。この成分は食欲増進、胃もたれ解消の効果があります。シングリンは、肉の脂肪の消化を高める働きをするので、おもにステーキやローストビーフなどの肉料理の付け合わせに用いられるのも、理にかなっているといえるのです。

*シニグリン (sinigrin)

   アブラナ科の植物、特にメキャベツ、ブロッコリー、ホースラディッシュ(山わさび) 、クロカラシ等に多く含まれる配糖体である。「カラシ油配糖体」とも呼ばれる。

 消化促進作用や利尿作用がある。 またガン細胞に*アポトーシスを起こさせる作用が発見され、期待されている。

 

*アポトーシス  多細胞動物の生体内では、癌化した細胞(そのほか内部に異常を起こした

細胞)のほとんどは、アポトーシスによって取り除かれ続けており、これにより、ほとんどの腫瘍の成長は未然に防がれていることが知られている。また、生物の発生過程では、あらかじめ決まった時期、決まった場所で細胞死が起こり(プログラムされた細胞死)、これが生物の形態変化などの原動力として働いているが、この細胞死もアポトーシスの仕組みによって起こる。例えばオタマジャクシからカエルに変態する際に尻尾がなくなるのはアポトーシスによる。人の指の形成過程も、始め指の間が埋まった状態で形成し、それからアポトーシスによって指の間の細胞が予定死して指ができる。

 免疫系でも自己抗原に反応する細胞の除去など重要な役割を果たす。

 

   フランスでは「健康草」と呼ばれ、滋養・強壮に使われていました。また、クレソンはカルシウムが豊富なので、強い骨や歯の形成・維持や筋肉、神経、血液の健康に欠かせないミネラルです。

   気管支喘息の治療薬としてよく使われる吸入や内服のステロイド薬は、「マクロフアージの働きを抑えて」異物侵入の情報が発信されないようにしてアレルギー反応を未然に防いで病状を抑えています。しかし、クレソンに含まれる成分の作用はマクロフアージに働きかけるのではなく、「多形核白血球の過剰な働きを抑える」といわれてます。クレソンは、異物を認識したうえで、アレルギーを引き起こす根本原因を取り除きます。このため、クレソンを長く食べ続けていると自然治癒力が高まります。

   クレソンには、カルシウムのほか美肌に欠かせないβカロテン・ビタミンCなどが豊富に含まれます。

   クレソンに含まれる繊維質により、腸が活発に動くことで便秘解消。また、便秘に伴う各種疾患や肌のトラブルなどが解消、体重の減少につながります。

   クレソンに含まれる鉄分は、貧血を予防する働きが期待できると言われています。貧血はめまいや立ちくらみなどを引き起こすだけでなく、肌がくすむ原因になると言われています。女性は特に不足しがちな鉄分、意識して料理に取り入れて貧血を予防改善しましょう。

   健康的なハーブとしてヨーロッパで親しまれてきたクレソン。クレソンは血液細胞に働きかけ、強力なデトックス効果のあることが知られています。クレソンに含まれるカリウムは余分なナトリウムを体外へ排出してくれるので塩分を取りがちな日本人の食生活にはピッタリ! 不要なナトリウムが排出されることで高血圧だけでなく、むくみを防ぐ効果も期待できます。

   クレソンには強い殺菌作用がある為口臭予防効果があります。食事の最後に食べると、口内の細菌の繁殖を抑え口臭も抑えてくれます。

   タバコの中でももっとも強い発ガンの毒性が強いのがニコチン由来の成分であるNNKという物質。これを部分的に無毒化することが出来るのがクレソンです。これは、喫煙者に1日3回50gのクレソンを食べさせるという実験をした結果、この発がん物質であるNNKが一部無毒化されたのです。この無毒化をしたのが、クレソンの辛味成分であるイソチオシアン酸。この酸がDNAの損傷や、癌の原因となる酵素を阻害したのです。もし、あなたが喫煙者であるなら、もしくは喫煙者が近くにいる場合は、クレソンを積極的に食べるようにしましょう。

   クレソン特有の栽培方法として、野菜として市販されているクレソンの切って使った残りの茎葉を、きれいな水に差しておくと発根するので、キッチンハーブとして若葉を再び利用できます。キッチンの窓辺などで育てられる面白い栽培方法ですが、水温が上がるのに弱いので、水温が高くならないように直射日光は避けます。


 今朝、やはり霜が降りました。それほど強いものではなかったのでハウス内の作物は無事でした。今夜から明日朝にかけては曇りの予報なので明日は大丈夫かと思います。

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この国で、「女子」でいることはかなりしんどい。その2

2018年10月16日 | 社会・経済

『「女子」という呪い』(雨宮処凛著 集英社クリエイティブ)刊行記念トークセッション

   雨宮処凛・田房永子・北原みのり

  Imidas連載コラム 2018/10/16

 

   フェミニズムとか、ジェンダーとか、女子に向けられる「呪いの言葉」とかについて3人で話してみた! 話題は最近のセクハラ問題から、日本の女性の置かれている状況について。

  雨宮処凛さんの著書『「女子」という呪い』の刊行を記念して行われたトークセッション(2018年5月22日に実施。@神楽坂モノガタリ)。漫画家・ライターとして活躍する田房永子さん、作家・ラブピースクラブ代表の北原みのりさんをゲストにお迎えした。昨今のいろいろなセクハラ、#MeToo問題をテーマに話は盛り上がり、会場はヒートアップ! その1 から引き続き、3人のトークをお届けします。

 

女性がイヤな気分になって終わり。それでは、何も変わらない

 (最近のセクハラ問題の話題が続いて――)

雨宮 TOKIOの事件はどうですか。

北原 TOKIOの山口メンバーが46歳っていうのに驚きました。30年間芸能活動やっていて、40~50代の男に求められるのが成熟した大人であることよりも、少年であり続けることとか若さで、そういう点がまだ芸能界では評価されている。昔だったら、46歳の歌う男性グループって、ダークダックスだよ。

田房 確かにそうだ。

北原 成熟したおじ様であるべき世代が、若さとか幼稚さとか少年性とかを売りにして、恥ずかしくないような社会になっちゃっているんだなって思った。

雨宮 ほんとですよね。

北原 いろいろ幼くなっているのかもしれないですよね。私はアラーキーのことが今、とても気になっているんだけど。写真家アラーキーとそのモデルさんの話について、メディアがほとんど取り上げない。

 田房 やっぱり女の人がイヤな気分になって終わり、なんでしょうか。(これまでは女性たちが)イヤでも仕方ないじゃん、とされてきた。それが最近は、やっぱりイヤなんだ、問題化して声を出さなくちゃ! という動きになっていることは、すごく感じています。

北原 声を上げて叩かれるのであれば、黙っておいた方がいいかなと考えるのは仕方ないと思う。でも、それって、叩かれた人を、遠巻きに見ている人たちの数が多いからなんですよね。仲間の沈黙の方が怖かったりする。

雨宮 セクハラや#MeTooが話題になると、どうしたら社会が変わるのかみたいな話によくなるじゃないですか。でも、もう麻生(太郎)さんとかは無理だと思うんですよ、何を誰がどう話しても変わらない。

北原 77歳でしょう、あの人……。「ファッションヤクザ」なんだよね。

雨宮 だから、そういうご老人たちには言うのを諦めたとして、どの年代の男の人から(セクハラ問題や女性のことを理解してもらうように)対話していくことを始めるかが問題ですよね。私の同世代なんかでも、……43歳ですけど、もう二分化していると思います。9割は「昭和のオッサン」まっしぐら、1~2割がイクメンとかに目覚めている(女性に対して)理解のある人になれるかな。若い世代は少し変わりつつあると思うんですけど。

セクハラなどの加害者になってしまう「昭和のオッサン」的な男性に対して、どう(人権的な知識や理解を深めてもらうために)言えばいいのか。そのことを話し合っていると、だいたいが「男を立ててあげて、(できたことに対して)褒めて、育てる」という話が出てくる。そこまで女性たちがしなくちゃダメですか? サービスして? じゃ、(私たちに)時給払えよっていう気持ちになりますよ。

田房 時給くれたらちょっと考えるかも! 「立てて、褒めて、育てる」って本当にその場しのぎの逆効果ですよね。それを(女性たちから)されてきたから、オジサンは、「自分の感情が分からない」という病が重症化してる気がする。もし時給がもらえるとしたら、私の具体的な対策は、何かが起こった時に言語化してあげる作戦。それもオジサンの方に、(こちらの話を)「聞こう」という前提がないと成り立たないから、幻想なんだけど。

でも以前に、電車の中で女性を怒鳴り付けた男性に遭遇した北原さんが、騒ぎが大きくなった時にそのオジサンに「怖かったの?」と聞いたら、「怖かったんだ」とうるうるし始めた――と話してましたよね? 

北原 うるうるしているオジサンを目の前にした時でも、ここで(その人が女性に対して)怒鳴ったことを許しちゃいけないと思いました。だから、「女はね、殴られたり、いきなり怒鳴られたりすることに日常的に怖い思いをしているの。だから、ここはやっぱり謝った方がいいんじゃない?」と言いました。そしたらオジサンも、自分の気持ちを自分から話し始めた。

雨宮 ほんと「ボク、どうしたの、言ってごらん、言葉にしてごらん」から始めるしかないのかしら?

北原 それを結論にしたくはないですけどね。

日本の男性の「遊び」=「女」という感覚がある

 北原 昨年(2017年)夏『日本のフェミニズム』という本の編集のために、日本の近代からのフェミニズムの運動についていろいろ調べてみたんですが、そこで気付いたことは、伊藤博文(のような、これまでの権力者たち)の罪は大きいということ。

  日本の男性の「遊び」ってずっと貧しかったのかも。飲む、打つ、買う、だから。女を利用したり搾取したり、そういうことで男は自分の優位性を担保してきたのよ。そして、女に対するエロ情報を共有することで、男たちは連帯してきた。そういうのを伊藤博文のような近代の権力者が、率先して見本を見せてきたのよね。

英雄色を好む、みたいな感じで、女を囲って、女を粋に買うことができて、男として一人前、みたいな。だから、みんな愛人持ちたいよねとか、フーゾク行きたいよね、セクハラなんて文化だよね、という「遊び」文化が脈々と続いてきた。

 男の「遊び」=「女」という感覚は、兵隊の娯楽=「慰安婦」という感覚と一直線につながるんでしょうね。日本軍は、娯楽としてセックスを強制し、拒否すれば「おまえは男か!」って殴られた。休みもなければ、何のために自分たちは戦ってるかも分からない中で、その列に並ぶしかないという状況だった。

  もちろんいちばんの犠牲は女性たちですが、男の性も国家に利用されていたんですよね。「男の性など、こんなものだ」と国家にバカにされている。これは戦時中の軍隊だけじゃなくて、戦後の経済発展期だって同じですよね。あちこち海外に出ていって、現地妻とか女を買いまくって、それが当たり前だった。経済と男の性がくっついて発展してきているから、この種の(男性への)呪いは明治以降だけでも150年も続いているんです。呪いを解くのには、倍の年月がかかると思う。だから、私はもう諦めていて、この国の男たちは(変わるのは)無理だろうなと。

雨宮 諦めては、ダメですよ。

北原 今ようやく#MeTooのように女性たちの怒っている声が表に出てきたけれど、じゃあ、それによって本当に男たちが性に対する考えを変えられると思いますか? この日本の教育の中で? 長い間、培ってきた日本の文化とか意識とか、そういったものですよ。すごく時間かかるだろうから、私が生きている間には無理じゃないか。……でも、変えたいよね、変えなきゃねって思います。

 スイスの雑誌記者から、「日本の女性はかわいそう」と言われた!

 北原 男性たちが自分を人間だと思うことが必要だと思うんですよ。こんなふうに(周囲に)エロ情報が氾濫していて、その上「男たちの欲望なんてこんなもんだ」と決め付けられていますが、「いや、違うでしょ、もっと優しい関係があるでしょう」と男の人自身が(人間性を)求めないとだめですよ。

この国では、エロや性産業って一大産業じゃないですか。経済的に回っている。供給する側はどんどん欲望を再生産していくようになっている。

雨宮 日本って特殊ですよね、これだけ男性が安全に手軽に性を買えるっていうこともそうだし、その性のサービスがとても細分化している。なのに、性教育はふわっとした感じで(きちんと教えないし)、一方で過激なAVとかが誰でも見られる状況になっている――。

この前、スイスの雑誌の取材を受けたんですが……。

北原 私も同じ取材を受けましたよ。日本のフェミニストに取材していますって言うから、誰かなと思ったら、私と雨宮さんだった。日本はどうなるんですかって、逆に心配されなかった?

雨宮 されました。私が、日本のおっぱいパブの話とかを記者の人にしたら、すごいショックを受けていました!

北原 その取材はどんなものだったかというと、3DのAIの「嫁」をお家に飼う装置が日本で発売されたんですよ。女の子のキャラクターが3Dになって投影されて、ちっちゃいボックスの中の女の子が、帰宅するまでに電気をつけておいてくれたりとか、帰ってくると「おかえり。ご飯にする? お風呂にする?」みたいなことを言ってくれたり、一緒にテレビとか見てくれたり……。

雨宮 命令すれば、AIだから家の電気もつけてくれる。ちっちゃい萌えキャラの嫁が家にいるってやつ。

北原 それを見て、スイスの人が「日本人はどうなるんでしょうか?」と心配してた。

 「滅びると思います」と言ったら、納得されちゃって(笑)。だけど、そういう商品が日本で販売されたということを聞いて、驚かない自分がいた。

雨宮 なんで、スイスの人がこんなに怒っているんだろうと思いました。もう慣れちゃっているんですね、私たち。

スウェーデンとかヨーロッパの話を聞くと、もう小学校の頃から、セックスがいかに素晴らしいコミュニケーションかってところから、教えられる。セックスは素晴らしく大切なコミュニケーションであるっていう、前提をまず叩き込まれる。で、中学、高校でもう実践でしょ、コンドームの付け方とかの。そういったことを子どもは、周囲の大人や家族からも学ぶ。そんな性教育、日本ではないですからね。ジェンダー教育もね。

北原 日本の女性は、かわいそうだと言ってましたね。

雨宮 よく正気でいられるな、この国で。日本の女はって!

 

*「この国で、女子でいることはかなりしんどい。その3」は、10月23日(火)の公開です。

 


「昭和のオッサン」てひとまとめに言われるとちょっと嫌な気分ですが、そんなにひどい状況なのですね。

 半袖のTシャツで仕事をしていますが夕方になって寒さが身に染みてきます。明日の朝はひょっとすると危ないかもしれないなぁ。霜の予感です。

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