里の家ファーム

無農薬・無化学肥料・不耕起の甘いミニトマトがメインです。
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自然の中に身を置いてみませんか?

トランプ関税 一方的措置 撤回求め雇用守れ

2025年04月06日 | 社会・経済

「しんぶん赤旗」主張 2025年4月6日

 海外からの輸入品に一方的に関税を課すトランプ米大統領のやり方が世界に衝撃と怒りを広げています。これまで米国自身が主導して世界に押しつけてきた貿易の国際ルールにも反し、他国民の犠牲をいとわない身勝手なやり方です。石破茂首相は毅然(きぜん)と撤回を求め、日本経済や暮らしへの悪影響を防ぐ万全の対策を取らなければなりません。

 トランプ政権は、すべての輸入品に一律10%の関税をかけた上で、各国が米国製品に課している関税や「非関税障壁」を言い立てて、国・地域ごとに異なる上乗せ関税をかけるとします。上乗せ関税の算定方法はでたらめで恣意(しい)的です。アジア諸国に、より重い税率を求めるものになっています。

■経済主権侵す暴挙

 日本には合計24%を適用するとします。トランプ氏は「日本が米国産のコメに700%の関税を課している」などと根拠不明な主張をしたうえに、日本の安全基準を「非関税障壁だ」と攻撃しています。各国の経済主権・食料主権を侵害する暴挙です。

 自動車については、すべての輸入自動車に、従来の税率(日本の場合、乗用車は2・5%、トラックは最大25%)に25%を上乗せする追加関税が3日に発動されました。

 日本共産党の田村智子委員長は、第1次トランプ政権下の2019年の日米貿易協定の概要文書は「追加関税は課さない」としており、今回の措置は協定違反だと指摘、違反を米国に明確に伝えるよう政府に迫りました。(3月14日、衆院財務金融委員会)

 石破首相は、日本は米国に多額の投資をしているなどとして個別の適用除外を求めてきましたが、成功しませんでした。米国の顔色をうかがうのでなく、世界経済全体に多大な悪影響をもたらす「トランプ関税」に毅然と抗議し、撤回を求めるべきです。

 日本国民の暮らし、雇用、営業を守り、地域経済や下請け企業への影響を食い止める対策が急務です。田村氏は4日の与野党党首会談で、「08年のリーマン・ショック時の非正規労働者の大量解雇のような国民への犠牲転嫁があってはならない」と石破首相に強く求めました。

 米国産農産物の関税引き下げや安全基準の規制緩和で米国に譲歩し、日本の産業や国民の安全をないがしろにすることは許されません。

■新たなルール必要

 米国は、多国籍企業が低賃金・低税率地域へ工場や資金を移し利益を上げるために「自由貿易」体制をすすめてきました。それが米国内の産業の空洞化と雇用の破壊、中間層の没落という形で米国自身を直撃しました。新自由主義的な貿易システムは多国籍企業に莫大(ばくだい)な利益をもたらす一方で、各国の国民に貧困と格差をもたらしました。

 極端な保護主義に走る今回の「トランプ関税」は、米国主導の「自由貿易」ルールの行き詰まりを示しています。

 米国の身勝手なやり方は各国の批判と反発を招き、米国の道義的な力、外交的威信は地に落ちています。

 各国の経済主権・食料主権を尊重する新たな貿易ルールの構築が求められています。


今こそアメリカからの「隷属」関係の見直しを図るべきです。
さよならアメリカ、さよならトランプ!

今日の最高気温-1度。
明日から+になります。
ながかった冬日もようやくおわりました。
そして初めて10℃に。
春は急ぎ足です。

クモノスバンダイソウ


クロッカス


ヤブカンゾウ(トラフ工事の後に出て)

ためになる「読者の広場」。
ナンバーディスプレイ70歳以上無料に。


農業によるPFAS汚染

2025年04月05日 | 自然・農業・環境問題

印鑰智哉ブログ 2025/04/03

農業によるPFAS汚染

 永遠の化学物質と言われるPFAS、その脅威は全世界的な問題に。汚染は世界の広範囲に広がっており、現在もなお、汚染が拡大し続けている。それも農業を通じて拡大している。

 さまざまな工業製品に使われるPFASだが、それらが製造禁止になったとしても、環境中にはPFASは残り続け、下水汚泥肥料の利用によって、広範囲の農地が汚染されつつある。そしてPFASを使う農薬は最近種類が増えているからだ。

 下水汚泥肥料やPFAS農薬によって農地が汚染されれば、作物によって割合は異なるが、生物濃縮によって土壌以上に作物に汚染が移行することがある。そして、それはがんや生殖機能へのダメージを含む、さまざまな病気の原因となることを米国環境保護庁(EPA)も認めている¹。

 この汚染の責任は汚染物質をつくり出した企業にある。その企業に汚染による損害や汚染回復事業の費用を負担させる必要がある。EUで汚染除去にかかる費用をForever Lobbying Projectが算出したが、その額、なんと年間1000億ユーロ(16兆円)にのぼるという²。あまりに莫大な金額だが、それだけこの汚染は重大な犯罪的行為であることになる。しかし、汚染企業はなんとかその責任を逃れて、事業を続けられるようにしようと世界各地の政府にロビーをかけている³。なかでも一番、ロビーが成功しているのは日本だろう。政府の動きはあまりに鈍い。

 どれほどの農地がPFAS汚染されているのか? 米国ではこれまで800万ヘクタール(日本の農地の約2倍)が汚染されているという数字が出ていたが、NGOのEWGによるとその範囲は2832万ヘクタールに及ぶ可能性があるという(日本の農地の7倍近い)⁴。

 米国では唖然とする規模の農地がすでに汚染されており、さらに下水汚泥肥料やPFAS農薬によってその汚染が進みかねないため、それらの使用を禁止を求める声は米国で高まっている。しかし、その動きに対して、農薬禁止を止めさせようと動いているのが農薬企業のロビー団体CropLife AmericaでありRISEである⁵。

 一方、日本では規制とは真逆で、下水汚泥肥料の利用促進を農水省が全国的に推進している。そして日本の下水汚泥肥料の多くがEPAが危険とするレベルを超えるPFASを含んでいる可能性がある(特殊な製法でPFASを含まない下水汚泥肥料も可能性はありうるのですべてではないにせよ、コンポスト系のものは危険だと考えられる。測定して安全が確認できたもの以外の下水汚泥肥料の使用は日本でも禁止すべきだろう)。米国では下水汚泥肥料の使用を認めた環境保護庁への訴訟が起こされている。農水省や国交省は訴訟されたいのだろうか?

 なぜ、日本は世界が向かう方向と逆方向に進もうとするのか、ということだが、その背景には日本の政策が汚染企業によって歪められているからに違いない。その実態を明らかにしていく必要がある。汚染企業に責任取らせることができなければ、すべてその負担は農家や消費者にかかってくる。

 永遠の化学物質というのだから、いったん汚染されたらもうお終いかというと、汚染を除去するためのプロジェクトが米国でも進行しつつある。有望性が高いと見られているのが産業用麻の活用だ⁶。麻の栽培は日本では規制があるので難しいだろうが、産業用麻には麻薬成分がほとんど含まれず、その活用は有望かもしれない。

 もっとも、汚染を取り除くことは時間も手間もかかることであり、肝心なことは汚染させないようにすることであるし、汚染源をまず止めることだ。


結局は「裏金」である。
人の健康や命より「金」なのだ。

咲き始めた君主蘭。

雪の下から出て来たチャイブとオレガノ。

エゾノリュウキンカ(ヤチブキ)

小川に咲いていたヤチブキはトラフに埋まってしまっただろう。
大事に育てたい。


雨宮処凛 生きづらい女子たちへ 「加害」と「被害」をめぐるあれこれ 〜「受動的攻撃」を描いたある漫画

2025年04月04日 | 社会・経済

Imidas連載コラム 2025/04/01

 少し前、たまに行くスーパーで店員に怒鳴り散らしている男性をよく見かけた。

 レジに並んでいる時は大人しいのに、自分の番が来て店員さんが商品をピッとし始めると舌打ちするなど苛立ちを隠さず、足を踏み鳴らすなどして「遅い」とアピール。店員さんが動揺して失敗(商品を落としたり)すると、「カーン!」とゴングが鳴ったかのように攻撃が始まる。

「使えねぇ!」

「こんなに仕事トロいなんて信じらんねぇ!」

「俺が上司だったら今すぐクビだクビ!」

 スーパー中に響き渡るような怒号。

 最初に見た時は震え上がるほどに恐ろしく、その場から逃げ出したくなった。

 しかし、何度も見ているうちに「またか」と思うようになってきた。そのうち、その人はわざわざ「キレるため」にこのスーパーに来ているような気がしてきた。やられる方はたまったものではないが、罵倒も「一連の儀式」のようで、周りの空気も「またやってる」という呆れた感じになってきた。

 印象に残っているのは、その男性は他の客には決して迷惑をかけなかったこと。時には「客を代表してみんなのために言ってやってるんだ」という使命感すら垣間見えた。また、男性がキレるのは女性店員に対してだけで、男性店員がいるレジには決して並ばなかったことも覚えている。

 そうしてある時期から、そのスーパーで男性の姿を見かけることはなくなった。

 もしかしたら、出禁になったのかも。

 そう思うと、ほっとした。「カスタマーハラスメント」(客からの暴言や不当な要求などの迷惑行為)という言葉が注目され、あらゆる店舗やバス・タクシー車内にも注意書きがなされる時代である。あんなやり方、令和に容認されるはずないのだ。

 もう怒鳴り声を聞かなくてもいい上、店員さんのメンタルを心配しなくてもいい……。

 解放された気分になりつつ、ふと「あの男性は、どこで買い物するのだろう?」という思いが頭に浮かんだ。

 そうして、カスハラは自分で自分の首を絞める行為なのだと改めて気がついた。やめたくてもやめられないのであれば、依存症と近いところがあるのだろう。思えば怒鳴っている男性は、何かに取り憑かれたかのような、そして独特の脳汁が出ている人特有の恍惚の表情すら浮かべていた。

 もうひとつ、思ったことがある。

 それは、あのスラスラと繰り出される暴言は、男性が普段言われている言葉なのかもしれないということだ。使えない、遅い、クビだというお決まりの、だけど人を「無能」と断じ深く傷つけるフレーズ。

 もしかしたら、スーパーでカスハラ加害をしていたあの人は、職場では被害者なのかもしれない。その屈辱が、歪んだ形で爆発していたのかもしれない。それで自尊心のようなものを取り戻そうとしていたのかもしれない。

 だけどやっぱり、やっちゃいけないことだ。

 カスハラはもちろん、パワハラなどの言葉が定着することによって、以前と比べれば表向きの暴力は随分減った令和7年。

 私は昭和生まれの50歳だが、思えば私たちの世代くらいまでは幼少期から暴力にまみれて育ってきたと言える。

 多くの家庭では「しつけ」と称した体罰が当たり前。それだけでなく、見ず知らずの大人から「うるさい!」と怒鳴られる(場合によっては叩かれる)なんて光景も普通にあった。

 小学校に上がると教師からの体罰は日常的なものとなり、中学に入るとさらにエスカレート。ヤンキーがギリギリ元気だった時代ゆえ、とにかく「ヤンキーの芽は早くつめ」とばかりにほんの少しの校則違反でも教師は生徒をボコボコにした。暴力が蔓延する場所ではそれに対するハードルは下がる。結果、生徒間では「殺し合い?」と思うほどの殴り合いが日常化していた。多い時では週に一度は男子生徒の誰かが血まみれになっているのを目撃する日々。今思うとありえないが、それが昭和生まれの日常だった。

 学校の外に目をやれば、ヤクザ映画やヤンキー映画が大流行。「男らしさ」「モテ」と暴力はもはやセットで、DVは「痴話喧嘩」と誰も相手にしなかった時代だ。セクハラという概念も、子供に性的なものを見せることは問題という意識もなかったことからテレビでは性的なシーンが堂々と流され、子どもたちが当たり前にそれを目にするという環境にあった。そうして今であれば「性暴力」と呼ばれることも、「いたずら」と言われスルーされていた。

 しかし、野放しにされていた暴力は、私たちのどこかに今も傷を残している。

 例えば体罰や暴言は、子どもの脳に悪影響を及ぼすことは広く知られるようになった。特に体罰は前頭前野の萎縮につながるという。

 そんなことが知られるようになり、以前より厳しい目が向けられるようになった暴力。

 また、ハラスメントの概念が広まったり、「心理的安全性」という言葉が注目されるようになったことで人の「傷つき」に敏感になる人は昔よりずっと増えた。

 一方、職場での会話をICレコーダーで録音することなども「自衛」として普通のこととなり、またスマホとSNSの普及によって暴力は記録され可視化されるものになった。どうせ誰も見ていないだろうと思って好き勝手していたら、それが撮影されて拡散され、人生が終了するリスクを誰もが負うようになったのだ。

 よって表向きには「安全」になったように見える令和。

 が、果たしてそうだろうか? 暴力や攻撃は地下に潜り、より見えづらい、わかりづらい形となって私たちをじわじわと追い詰めているのではないだろうか?

 最近、そんなふうに思い至る漫画と出会った。

 それは『被害者姫 彼女は受動的攻撃をしている』(竹書房、2025年)。

 著者の水谷緑さんの漫画はこれまでも何冊か読んだことがある。特にヤングケアラーの実態を綿密な取材に基づいて描いた『私だけ年を取っているみたいだ。』(文藝春秋、2022年)は大きな話題となったので知っている人も多いだろう。

 そんな水谷さんが今作品で取り組んだのは、サブタイトルにもある「受動的攻撃」。

 帯には、以下のような言葉がある。

〈「自分の意見を主張せず、争いごとが嫌いでニコニコしている」そんな“いい人”のアヤ。しかし彼女は無言で相手の罪悪感を刺激する。攻撃的な言葉を発さずに、相手を追い詰めていく。ーーそんな人、あなたのまわりにもいませんか?〉

 主人公は夫と小学生の娘と暮らす会社員のアヤ。

 いつもニコニコしていて人によって態度を変えず、上司には決して口答えしない。それだけでなく、意見も言わず、選択もしない。

 しかし、彼女の周りにいる人は、モヤモヤした気分を植え付けられる。

 例えば一緒にランチに行く際も彼女は〈なんでも大丈夫です!〉と言う。しかし、店に入ると明らかに浮かない顔。相手は〈もしかしてイタリアンいやだったのかな…〉と不安になる。〈大丈夫だった?〉と聞くと笑顔で〈え? おいしかったです〜〉。

 そんなシーンのあとはこう続く。

〈怒りを直接的に表現せず 無言・無視 ため息・わざと返事を遅らせるなどして 遠回しに相手の罪悪感を刺激する〉

〈これを「受動的攻撃」という〉

〈そもそも“攻撃”には「能動的攻撃」と「受動的攻撃」がある 「能動的攻撃」は暴力・暴言などのわかりやすい攻撃 「受動的攻撃」は一見“攻撃”とわかりにくい 本人もおそらく“攻撃”だとは思っていない〉

 少し前、「フキハラ」という言葉が注目された。「不機嫌ハラスメント」の略で、わざと不機嫌を隠さず、大きなため息をついたり大きな音を立ててドアを閉めたり舌打ちしたりという態度だ。周りにいる人を、「何か私が悪いことしたかな?」と不安にさせるコミュニケーション。

 しかし、「受動的攻撃」は、それよりさらに巧妙でわかりづらい。アヤも不機嫌な態度などは決して見せず、口癖は〈私が悪いんです〉。

 読み始めてすぐ、心当たりがありすぎることにざわざわしてきた。

 ため息や不自然な沈黙、そしてこちらからの連絡に対する返信の遅さや無視など、自分がこれまでされたことに名前をつけると「これ」だったのでは? ということが次々と浮かんだからだ。

 いや、自分が「された」側だから覚えているわけで、私も無意識にこのような攻撃をしていないなんて言えない。というか、してない自信がそもそもない。

 漫画ではアヤの日常が描かれていくのだが、〈彼女は体調不良で怒りを表現する〉という言葉には「うわ」と声が出た。それだけではない。

〈彼女は被害者ポジションに自分を置き 相手を加害者に仕立て上げる〉〈そのためならどんな我慢も厭わない〉

 実際、アヤは職場で攻撃対象とした上司の仕事を肩代わりすることでキャパオーバーとなり、過労で倒れるほどに我慢を厭わない。

 倒れれば、周囲は「アヤさんにそこまで仕事を押し付ける○○が悪い」「アヤさんは本当にいい子」「断れなくてかわいそう」という評価になる。上司はと言えば「ひどい人間」「悪者」になる。

 そんな受動的攻撃をする人について、漫画に登場する医師は、〈子どもの頃 親に合わせてきた人が多い〉こと、〈「怒り」を持てない環境にいた〉ことにより〈大人になってもストレートに主張でき〉ず〈遠回しなやり方で攻撃してコントロールしようとする〉のだと解説する。

 思えば多くの人は、人をコントロールする手段など持っていない。それは力のある者の特権でもあるからだ。

 が、唯一、「被害者ポジション」になればそれは手に入る。

 医師はそんな受動的攻撃について、「一概に悪いものではない」とも付け加える。「親に勉強を強いられた子どもが成績を落としたり不登校になったりは子どもが唯一できる攻撃で、程度の差はあれ誰もがしたことはあるのでは」、と指摘する。

 また、「被害者ポジション」は必要な時期もある。なんらかの被害を受けた人が自分の身に起きたことを「被害」と認識し、自らを被害者と捉えることが回復には不可欠というのは広く知られていることだろう。よって、被害者になることは必要な過程であるということも忘れたくない。

 一方、アヤはターゲットとした上司を「加害者」に仕立て上げ、相手を追い詰めていく。

〈あの人は「加害者」 加害者は罰せられ 被害者の私は守られる それが正解 いい気味〉

 そう思い、満足げに笑うアヤ。

 そんな彼女がどうなっていくかはぜひ漫画を読んでほしいのだが、「受動的攻撃」という概念はアメリカで生まれたものだという。「Passive aggressive」といわれ、嫌われるコミュニケーションだそうだ。

 漫画では会社や家庭での問題として書かれているが、今やネットでも猛威を振るっている「受動的攻撃」。

 SNSを開けば、今日も誰かが誰かに「傷つきました」と書き込み、名指された方は「加害者」と認定されて時に集団リンチの対象となる。そうして「加害者なのだから罰せられて当然」とばかりにエスカレートしていく攻撃。

 これは何も日本に限った話ではない。ジェンダーや人種、肌の色などの属性を巡り、世界中で今日も多くの人が「傷つきました」とSNSに書き込んで議論が終了したり、加害と名指された側が集団リンチの対象になったりしている。これを読んでいるあなたが「加害者認定」されない保証なんてどこにもない。

 ちなみにこのような状況について分析された『「傷つきました」戦争 超過敏世代のデスロード』(カロリーヌ・フレスト著/堀茂樹訳、中央公論新社、2023年)は一読の価値がある。フランス人ジャーナリストによって書かれたものだが、確実に身に覚えがある今日的なモヤモヤの正体が鮮やかに示されているからだ。

 ということで、暴力が封じられた世界で新たに出てきた、見えづらい攻撃。

 今一度、加害と被害、そして自分や周りの人々を見直すために「受動的攻撃」という言葉を覚えておいて損はないだろう。

 


雨宮処凛がゆく! 桐生市長が謝罪、そして高裁では怒涛の勝訴ラッシュ!! 〜今、生活保護を巡って起きていること〜

2025年04月03日 | 生活

マガジン9 2025年4月2日

  https://maga9.jp/250402-2/

 「生活保護制度の崇高な理念を身勝手な解釈で捻じ曲げ、組織風土の中に形成された悪しき慣行や極めてずさんな事務処理の数々について、福祉事務所という他部局にはない組織構造とはいえ、問題発覚まで一切気づけなかった私どもの責任は重く、心から恥じております。

 制度利用者並びに相談者の皆様に対して、堪え難い苦痛や不利益を与えてしまったこと、また、桐生市民の誇りを著しく傷つけてしまったことに対しまして、心よりお詫び申し上げます」

 この言葉は、3月28日、群馬県桐生市長のコメントとして発表されたものの一部である。

 群馬県桐生市で、生活保護を巡ってトンデモないことが起きていると発覚したのは一昨年11月。

 最初に報道されたのは、利用者が受け取る保護費が「1日1000円」などの形で「日割り支給」されているというあり得ない実態だった。

 以降、市の福祉事務所に生活保護利用者の印鑑1900本以上が保管され、本人の了解がないまま架空の受領印が押されていたことや、この10年で生活保護利用世帯が半減していること(全国的に見れば横ばいなのに)、10万人を超える人口がいるのに生活保護を利用する母子世帯はわずか2世帯だけなど、続々と「いったい何が起きてる?」的事態が発覚。

 それだけではない。

 福祉事務所の職員が、申請に来た人を怒鳴る、暴言を浴びせる、果ては帽子をかぶっている人に「態度が悪い」と申請させないなど、無法地帯のようになっているとの証言も次々と寄せられたのだ。

 そんな状況を受け、貧困問題に取り組む人々で「桐生市生活保護違法事件全国調査団」が結成されたのは昨年。

 そうして昨年4月には調査団が桐生市を訪れ、現地での相談会や集会を開催。県庁や市への要望書提出などをしている。もちろん私も調査団の一員として参加。詳しい顛末はこの連載の674回で書いたので読んでほしい。

 さて、そんな桐生市ではこの事態を受けて第三者委員会が作られ検証が続けられていたのだが、このたび、提言などを盛り込んだ報告書がまとめられたのである。

 3月28日、桐生市の荒木恵司市長に提出された報告書では、分割支給などについて組織的な不正が認定され、印鑑の保管や架空の受領印については「規範意識が崩壊していた」と指摘。

 また、この10年間で保護世帯が半減したこと、母子世帯が著しく少ないことについては「保護申請権の侵害が疑われる事情が存在したことが減少の一つの原因であったと指摘せざるを得ない」とされていた。

 一方、再発防止策として、職員の言動を記録できるよう、窓口相談の録音・録画や、外部からの監視体制などの導入などが盛り込まれた。

 市長は「利用者らに耐え難い苦痛や不利益を与えたことなどをおわびします」と謝罪。

 これを受け、市長は6ヶ月にわたって給与の30%を、副市長はやはり6ヶ月にわたり給与の20%を減額する方針を発表。関係職員を処分する方針も示したという。

 私も一昨年から追い続けてきた桐生市問題。マガジン9の執筆陣である小林美穂子さんも詳しく追い、つい最近、それをまとめた『桐生市事件』が出版されたところだが、ここに来て報告書がまとめられ、市長が謝罪したことに、まずはほっと胸を撫で下ろした。

 もちろん、まだまだこれで終わりではないが(何しろ10年間にわたって利用者が半減してきたのだから、そこへの対処も必要だ)、とにかく、不正が正される第一歩までこぎつけたことの意義は大きい。

 さて、そんな生活保護を巡っては、このところ嬉しいニュースが続いている。

 この連載でも、2013年からの生活保護引き下げを違法として全国で「いのちのとりで裁判」が行われていることを書いてきたが、それが現在、怒涛の快進撃を続けているのだ。

 桐生市の報告書が出た同日の3月28日には、東京高裁でさいたま訴訟が勝訴。その前日には東京高裁で東京の訴訟が勝訴と、2日連続の東京高裁での勝利となった。

 また、18日には札幌高裁で逆転勝訴。13日には大阪高裁で逆転勝訴。

 これまで地裁レベルでは19の勝訴を勝ち取っているが、高裁レベルでは6件の勝訴。

 まとめると、地裁19勝11敗、高裁6勝4敗だ。これは、これはイケるのではないか??

 ということで、舞台はとうとう最高裁へ。上告審の弁論期日が5月27日に指定されたのだ。

 これを前に、4月3日12時から参議院議員会館の講堂で集会が開催される。

 地裁・高裁で訴えが続々と認められる中、今こそ心をひとつにして最高裁に向かおうという「決起集会」だ。

 各地の弁護士さんや原告、支援者たちによる報告やスピーチが聞けるので、ぜひ、参加してほしい(私は司会をつとめる)。詳しくはこちらで。

 ということで、10年近くにわたって続いてきた裁判が、今、大きな山場を迎えている。

 しかも私は、舞台裏で地道に闘いを支えてきた人たちを多く知っている。それだけに、なんだか感無量だ。

 ああ、早くバキバキに勝訴して、みんなで大宴会とかやりたいものである。

 まだまだ安心はできないけれど、この動き、見守っていてほしい。


小沢一郎がブチ上げる石破内閣「総辞職」論 みたび、政権交代の大政局をつくれるか?

2025年03月30日 | 社会・経済
という記事を紹介したがなんとそのパートナーはどうやら「維新」だったようで幻滅・・・・

今日の天気予報では、一日雪だったが雨になった。
これから夜にかけて少し冷えて来たので雪になるかもしれない。
でも、明日からの2週間天気予報に⛄マークは消えた。
明日からGS値上げのline通知が来たので携行缶2個持って給油してきた。
これからチェンソーや刈払機でも使うので。
 

日米共同会見 台湾有事念頭に米国防長官表明 「日本は西太平洋で最前線に」

2025年04月02日 | 戦争と平和

「しんぶん赤旗」2025年4月1日

 就任後、初来日したヘグセス米国防長官は30日、防衛省で行われた日米防衛相会談後の共同記者会見で、いわゆる台湾有事を念頭に「日本は西太平洋で最前線に立つ」と表明しました。米国は中国が2027年までに台湾を武力併合できる戦力を整えると見積もっています。これを「抑止」するために日本の役割を飛躍的に高め、米中戦争の最前線に立たせる狙いを露骨に示した発言です。

 ヘグセス氏は「米国は台湾海峡を含むインド太平洋で、強固で準備が整った、信頼できる抑止を維持している」と述べ、「日本はわれわれが西太平洋において直面する、いかなる緊急事態でも最前線に立ち、相互に支援しながら、ともに立ち向かう」と発言。九州沖から沖縄、フィリピン沖、南シナ海にいたり、米中軍事衝突の最前線となる「第1列島線でアクセスを拡大する」と述べ、九州沖から沖縄にかけての南西諸島で日米共同訓練を強化する考えを示しました。

 日米指揮統制の強化を巡ってヘグセス氏は、在日米軍司令部の「統合軍司令部」への再編成の「第一段階が始まった」とした上で、「戦闘司令部にする」と表明。近く、東京に要員を増やすと明言しました。また、24日に創設された自衛隊の「統合作戦司令部」との関係強化を進める考えを示しました。

 自衛隊は既に、鹿児島・奄美大島や沖縄本島、宮古・石垣・与那国といった先島諸島で自衛隊基地を増強し、中国を念頭に置いた地対艦ミサイル部隊の配備を進めています。さらに、日米は「アイアン・フィスト」や「レゾリュート・ドラゴン」など、中国を想定した共同訓練を沖縄などで相次いで強行しています。

 日本が米中軍事衝突の最前線に立てば相手国からは参戦国とみなされ、日本全土が反撃の標的になり、国土の戦場化をもたらすことになります。そもそも、西太平洋の紛争で日本が米国と肩を並べて最前線に立つことは憲法違反の海外での武力行使に該当し、許されません。

⁂     ⁂     ⁂

米国防長官「戦争準備」発言 自衛隊の米軍指揮下は明白

日米指揮統制強化 田村委員長が会見

 田村氏は、ヘグセス氏が日本は中国の軍事戦略を抑止するうえで「不可欠なパートナー」と評し、「平和を欲するものは戦争の準備をしなければならない」とまで言い切ったとして、「東アジアの安全環境を著しく阻害する発言で看過できない」と強調。東・南シナ海での中国の覇権主義的行動、台湾への軍事的威嚇は許されないとし、「『戦争の準備』などといって軍事的緊張を高めることはまさに軍事対軍事のエスカレーションを引き起こすことになる」と警告し、日本政府として批判すべきだと強調しました。

 また、日中関係は前向きな打開こそ求められていると主張。日本共産党は「日中双方は互いに脅威とならない」ことで合意した日中首脳会談に基づき、良好な関係を外交で築くことが必要だと求めてきたと強調し、「憲法9条の立場に立ち、戦争の心配のない東アジアを構築する平和外交こそ必要だ」と述べました。


これは明らかな憲法違反であり、乱暴な内政干渉です。
「戦争」へと突き進む自公政権。
国民の苦しい生活を認知しながら膨大な軍拡を進める自公政権。
手を切りましょう!
新しい政権を樹立しましょう!


新年度予算成立 石破政権“延命戦略”の破綻

2025年04月01日 | 社会・経済

「しんぶん赤旗」主張 2025年4月1日

 衆院で与党過半数割れに追い込まれた石破茂政権は部分的修正と引き換えに一部野党を取り込んで辛うじて予算を成立させました。衆院での修正に続き、参院で再び高額療養費制度の負担増を先送りする修正がされました。参院で修正された予算が衆院に差し戻された上で成立するのは現憲法下で初めてです。

 予算は成立させても、小手先の取り繕いで国民の反発をかわして自民党政治を続ける“延命戦略”では、多くの矛盾や軋轢(あつれき)が避けられません。石破政権の“延命戦略”は破綻しています。

■命をもないがしろ

 新年度予算に求められることは、自民党政治の下での経済の停滞と衰退、物価高騰による暮らしの困難の打開です。しかし、社会保障関係費、文教費、中小企業対策費など、暮らしの予算はどれも物価上昇に追いつかない実質マイナスです。

 一方、軍事費は前年度比9・4%増の8・7兆円と突出しています。さらに法人税率の引き下げや大企業への優遇税制による減税額は11・1兆円まで膨れ上がるなど大企業へは大盤振る舞いです。

 暮らし優先の予算にするためには、「日米軍事同盟絶対」「財界・大企業中心」の二つのゆがみにメスを入れることが必要です。

 ところが、石破政権は「103万円の壁」「高校授業料無償化」など、ごく一部の課題で国民民主党や日本維新の会と個別に密室協議を重ね、抱き込むことで予算の成立をはかろうとしてきました。

 維新の賛成をとりつけ、予算を衆院通過させたものの、密室での修正では国民の支持はえられません。予算に盛り込まれていた高額療養費の負担上限の引き上げが国民の大きな怒りをよび、参院で負担増「凍結」という予算の再修正をせざるをえなくなりました。命にかかわる制度改悪で治療断念を迫られるという患者の悲痛な声と改悪中止を求める運動が政治を動かしました。

 国民生活をないがしろにする自民党政治への怒りは、石破首相の商品券配布問題でさらに広がっています。

 石破首相は予算の衆院通過後、首相公邸に自民党の1期生議員を集めて会食を行い、“お土産”として1人10万円の商品券を配っていました。商品券配布は自民党政権の慣例で、原資は官房機密費だった疑いが濃厚です。物価高に苦しむ国民生活とかけ離れた自民党の金権体質に強い批判があがっています。

■政治前に進める力

 石破内閣の支持率は急落しています。石破首相はあわてて、予算成立後に「強力な物価高対策」を打ち出す考えを示しました。

 しかし、国会で審議中の予算にまともな対策がないと自ら告白したとの批判をあびるなど迷走を重ねています。大軍拡と大企業へのばらまきを見直さなければ、暮らし優先の政治は実現できません。

 政治を前に進める力は、密室協議ではなく、国民の要求と運動にこそあります。国民の声を突きつけ、議論を起こすことこそが、石破政権を追い詰め、政策を変えさせる“真の力”となります。


今朝も真っ白です。
それでも陽射しに恵まれました。
畑の積雪は約45㎝。
本当に4月中に桜が咲くのか?
普段ならGW明けですから。


沼の脇の早く雪がなくなったところからスイセンが出てきました。


法人税減税 首相「深い反省」 小池氏の追及に“効果上がらず”

2025年03月31日 | 社会・経済

「しんぶん赤旗」2025年3月29日

 日本共産党の小池晃書記局長は27日の参院財政金融委員会で、「物価高対策というなら消費税減税だ」と石破茂首相に迫りました。

 「消費税は社会保障の財源として極めて重要だ」とした石破首相に小池氏は、消費税導入以来の消費税の累計が539兆円であるのに対し、法人税減税と所得税、住民税の減税の累計も613兆円にのぼるとして、「結局、所得税や法人税が支えていた社会保障財源が消費税に移っただけだ」と反論しました。

 そのうえで、「法人税減税は、賃上げや設備投資、下請け支援にも回っていない」として、その効果がないことを政府税調も認めていると強調しました。

 石破首相は、「法人税を下げたことが思ったような効果を上げなかったという深い反省の上に、法人税改革に取り組んでいきたい」と述べました。

 小池氏は6日の参院予算委員会でも法人税減税の問題について追及していましたが、石破氏が「深い反省」を口にすることはありませんでした。


これからも諸物価の値上がりが予定されています。
その分、また消費税が多く取られる仕組みです。
富むものが貧しいものにその富を再分配するのが「税」でしょう。
「消費税反対・消費税減税」を旗頭に「政権交代」を!
「防衛費」によって国民の生活を破壊するな!

朝起きたら7㎝ほどの雪が積もっていました。
今日も雪です。
最低氣温(ー)がまだ続きます。


小沢一郎がブチ上げる石破内閣「総辞職」論 みたび、政権交代の大政局をつくれるか?

2025年03月30日 | 社会・経済

日刊ゲンダイデジタル 2025/03/30

「不信任案が出れば石破は総辞職するだろう」

 このところの石破内閣の支持率急落を受けて、立憲民主党の小沢一郎(元民主党代表)が、記者団を前にこんな見立てを披露したそうだ。

 かつて細川護熙(日本新党)、さらに鳩山由紀夫(民主党)を神輿に担ぎ、自民党を下野に追い込んだ小沢の言葉には、常人には測りがたい確信めいた響きがある。

 確かにこのところの石破内閣の支持率急落は、野党にとって自公政権を追い込む絶好のチャンスだが、不信任案の提出に向けた野党第1党、立憲民主党の動きは鈍い。その足かせになっているのが、早々、内閣不信任案の提出に待ったをかけた立憲民主党の野田佳彦代表にあることは衆目の一致するところだ。

「不信任を出したところですぐに連立って話があるかどうか。不信任っていうのは、伝家の宝刀だと思っているので、うかつに言わないようにしているんですよ」

 野田は25日のテレビ番組でこう言って、内閣不信任案の提出にためらいを見せている。小沢の見立てどおりに総辞職するかどうか、つまるところ野田に出す気がなければ何事も始まらない。だからか、同じ日、国会内で記者団に囲まれた小沢は「不思議だ。万年野党が好きなのか。石破退陣なら首相指名は野田代表にこだわらず野党候補一本化を目指すべき。野党政権をつくることができるならだれを担いでもいい」と、野田へのイライラを募らせている。

■石破よりも立憲・野田の交代が先?

 そもそも野田と小沢は犬猿の仲だ。旧民主党政権下の2012年、小沢は野田内閣の消費税率10%引き上げに反対して離党した。その小沢をはじめ多くの所属議員や支持者が昨年秋、立憲民主党代表選で野田支持に回ったのは政権交代を期待してのことだ。

 自公連立与党が過半数割れした先の衆院選後の首相指名選挙の際には、みすみす石破政権誕生を許した野田に対して小沢は「84票の無効票が野田氏に入れば内閣を取れた。よく考えるべきだ」と苦言を呈してもいた。

「野田には野党第1党の代表として、野党をひとつにまとめて自公政権と対決する姿勢が見えない。立憲の支持率が上がらないことへの危機感も乏しい。小沢さんじゃなくても、見ていてイライラしますよ」とは、同党所属議員の声。

 もっとも、野田が内閣不信任案の提出に舵を切ったとしても、これを迎え撃つ石破首相は小沢の意に反し、総辞職なんか考えていないかもしれない。

 官邸スタッフは「自民党や内閣の支持率が急落しても、石破は辞める必要がないと国民世論は言ってますし、本人もやる気満々。不信任案を出されたら解散に打って出るつもりです。解散の2文字をチラつかせれば、自民党内の石破降ろしを牽制できますし、立憲も本音では今の支持率では解散されたら困りますからね」とうそぶく。

 要は、立憲など野党がどこまで本気で政権を取る気があるのかが問われている。あるのなら、仮に解散されても怖くはないはず。

 ビビる野田に代わる“野党統一の首相候補”を小沢が早急に用意できるかどうか。それが次の焦点だろう。

(特命記者X)


そうなのですよ。
まずは野田降ろし、これがなければ何の進展もない。
こんなにも国民生活が苦しい時に・・・

今日も雪でした。
強い風が吹き、一時は吹雪状態。

昨日、白樺樹液の採取始めました。

室内では君主蘭の蕾が。


ガザから目そらさないで

2025年03月29日 | 戦争と平和

殺された記者 ホッサン・シャバトさん 本紙に遺言

「しんぶん赤旗」2025年3月29日

 イスラエル軍によるジャーナリストを標的とした殺害が相次いでいます。24日にガザ北部ベイトラヒヤで空爆によって殺された中東テレビ局アルジャーラ所属のホッサン・シャバトさん(23)の遺言が、地元のジャーナリスト仲間を通じて、「しんぶん赤旗」カイロ支局に届けられました。これは、彼自身が万が一、殺害された場合に備えて書き残し、死後、メディアで公表されることを望んでいたものです。以下、遺言の全文を紹介します。(米沢博史)

 あなたがこの文章を読んでいるということは、私がイスラエル占領軍に、おそらくは狙われて、命を奪われたということです。

 始まりは、私がまだ21歳の頃、他の人と同じように夢を抱く大学生の時でした。ここ18カ月間、私は人生のあらゆる瞬間を同胞のためにささげてきました。ガザ北部の惨状を記録し、占領軍が葬り去ろうとする真実を世界に伝えることを決意したのです。歩道でも、学校でも、テントでも、眠れる場所があればどこででも寝ました。毎日が生き延びるための戦いでした。何カ月も飢えに耐えながらも、私は決して仲間のもとを離れませんでした。

 神に誓って、私はジャーナリストとしての義務を果たしました。真実を報道するために、この身を危険にさらし、そして今、ようやく安らぎを得ています。私はパレスチナの大義を信じ、この土地を守るために生き、そして死ぬことを誇りに思います。

 今、私はあなたにお願いします。どうか、ガザについて語ることをやめないでください。世界がガザから目をそらすのを許してはなりません。パレスチナが自由を手にするその日までがんばり続けて、私たちの物語を語り続けてください。

ホッサン・シャバト、ガザ北部より

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年金 イスラエル軍需に出資

大門議員「政治判断で引き揚げを」

 2025年3月29日

参院予算委

 日本共産党の大門実紀史議員は28日の参院予算委員会で、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、公的年金の積立金をパレスチナ自治区ガザで虐殺を行うイスラエルなどの軍事企業に出資している実態を告発し、政府の決断で投資を引き揚げるよう求めました。

 イスラエルは18日、停戦合意を破りガザ全域への空爆を再開。26日までに殺害された830人のうち4割が子どもとされています。

 大門氏は、イスラエル軍に兵器を供給してもうけているイスラエルのエルビット・システムズ社や米国のキャタピラー社などに年金積立金を出資しており、24日には「私たちの年金をガザへの虐殺に使うな」と国会内で市民集会が開催されたことも突きつけ、「(出資を)引き揚げられないのか」とただしました。

 福岡資磨厚労相は、GPIFが委託した会社が投資先を決める仕組みだとして「被保険者の利益のためという(積立金運用の)目的と離れた投資の判断をさせることは適切ではない」などと述べました。

 大門氏は、米国が軍事企業と認定し、取引を制限した中国の企業への投資からはGPIFが出資を引き揚げた実績に言及。政府が人道的問題があると判断し、虐殺に加担する企業との取引をしないと決定すれば出資の引き揚げも可能になるとして、「大事なのは政府の姿勢だ」と迫りました。

 さらに、かつて年金積立金からロシアに2300億円出資していたが、ウクライナ侵略発生で資産価値がゼロになったと指摘。現在、年金積立金から大量虐殺を行うイスラエルの国債に約2270億円も出資しており、今後資産価値がゼロになる可能性をもあると強調し「GPIFはリスクの観点から引き揚げの決断も可能だ」とただしました。石破首相は「リスクが小さくなるように適切にウオッチしていかねばならない」などと述べながら、引き揚げの決断への言及を避け、事実上拒否しました。

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年金積立金 イスラエルに投資

政府は虐殺許さぬ姿勢を 参院予算委 大門氏迫る

2025年3月29日

 日本共産党の大門実紀史議員は28日の参院予算委員会で、日米の軍事企業だけがもうけ、国民の暮らしも経済も破壊される事態を招く際限なき軍事費拡大を追及し、パレスチナ・ガザ地区で虐殺を行うイスラエルや同国軍事企業に、日本の公的年金の積立金が投資されている実態を告発し、虐殺を許さない姿勢で投資をやめるよう迫りました。

 大門氏は、5年間で43兆円の軍事費は歳出ベースの金額で、契約ベースでは、この3年間ですでに35兆円になり、このペースだと5年間で50兆円以上にもなると指摘。米トランプ政権の「国内総生産(GDP)比3%以上」との要求通りにすれば軍事費は年間18兆円にもなり、暮らしの予算は削られ、社会保障の負担増と給付削減、増税などで国民の可処分所得は減少し、家計消費が抑え込まれ「日本経済は停滞する」と追及しました。

経済の足かせに

 「指摘は当たらない」と強弁した赤沢亮正経済再生担当相に対し大門氏は、GDP比で軍事費が決まるなら、仮に経済が回復して税収が上がったとしても軍事費に取られてしまい、経済の足かせになると反論。物価高などで国民の暮らしが脅かされる一方、米国の武器輸出制度「有償軍事援助(FMS)」が23年度に前年度比1兆円以上増と急増したあと高止まりし、国内軍事企業が政府からの中央調達(武器や燃料の購入)額を増やしていると述べ、大軍拡中止を迫りました。

 イスラエルが停戦を破って大規模な攻撃を再開したガザ地区では、延べ5万人超(子どもは1万5613人)が犠牲になる虐殺が行われていると指摘。イスラエル国債や同国軍事企業に、国民が納めた年金保険料を金融市場で運用する公的機関GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が投資していると告発しました。

 「私たちの年金をガザの虐殺に使うな」と市民らが24日に国会内で集会を開き、イスラエル最大手軍需企業のエルビット・システムズ社と同国に装甲ブルドーザーを納入する米国のキャタピラー社や、イスラエル国債への出資の引き揚げを要求したことを紹介しました。

 GPIFでは運用を委託した会社が出資先を決めています。

引き揚げできる

 大門氏は、GPIFが、米国が取引を制限した中国の「軍事企業」への出資を全部引き揚げた実例を示し、引き揚げができたのは、米国が取引を制限した企業を金融商品に組み込めば、その商品が売れなくなることを委託会社が避けたからだと指摘。「大事なのは政府の姿勢だ。日本政府が虐殺を許さない、加担企業とは取引しないと言明すればGPIFは資金を引き揚げることができる」と迫りました。

 石破茂首相は「イスラエルがやっていることを黙認していない」と答弁しましたが、取引しないとは明言しませんでした。

 大門氏は、かつてGPIFがロシアの株式、社債・国債に計2300億円出資したものの、ロシアのウクライナ侵略による経済制裁・凍結で資産価値がなくなり、国民の年金積立金が失われたと告発。虐殺を行っているイスラエル国債へのGPIFの投資額計2270億円も経済制裁などでゼロになる危険があり、「リスクの観点からも引き揚げる決断を」と迫りました。


われわれの金をジェノサイド、虐殺につかうな!
子どもを殺すな!
ジャーナリストを殺すな!


農学系学部の新設・再編が全国で相次いでいる。

2025年03月28日 | 自然・農業・環境問題

求められる農学部学生 農業関係から食品メーカーに金融など幅広い就職先 一方“本流”「新卒で新規就農」も

AERAdot 2025/03/27

井上有紀子

龍谷大学農学部4年の岸本司さんは水問題に興味を持ち、浄水場などの運転、補修を行う「クボタ環境エンジニアリング」に就職する

 農学系学部の新設・再編が全国で相次いでいる。経済成長が停滞するいま、堅調な産業として注目されているという。

 全国の農学系学部でも、生命科学、環境、食、情報、地域などさまざまなテーマを打ち出している。

 山梨大学生命環境学部は、地域と食品産業と連携して、特産品のワイン研究をしているのが特徴的だ。福島大学農学群食農学類は、福島第一原発事故からの農業の再生・復興への貢献を目指している。農業ジャーナリストの山田優さんはその背景を語る。

「他分野との融合により、農学の領域が拡大しています」

 かつてはバイオテクノロジーと言えば優良な種子作り、品種改良が中心だった。

 だが、いまは最先端の他の学問と結びつくことで成果を出しているという。

 例えば、「農学×医学」の分野では、農学部が研究してきた微生物から、医薬品が生まれている。話題の腸内環境も、農学部が研究してきた腸内細菌、乳酸菌が鍵となっている。乳酸菌の研究も市場も広がっている。「農学×地域課題」が学べる大学も多い。

「過疎化する地域をどう再生するかは、いま重要な課題の一つです。農業と地域おこしに焦点を当てた研究では、明治大学農学部の小田切徳美教授がトップを走っています」(山田さん)

 こうした実学的な学びが功を奏して、農学部の就職先は幅広い。

 2015年、国内で35年ぶりに「農学部」を開いた龍谷大学では、23年度の農学部の実就職率97.5%は学内でトップ。種苗会社、JAといった農業関係はもちろん、伊藤園、伊藤ハム、山崎製パンなどの食品メーカーへの就職者が多かった。

 また、金融、情報通信業への就職も多かった。

新卒で新規就農も

 農学科の玉井鉄宗准教授は言う。

「これから農業や環境に関わらない企業はないなかで、農学部の学生が求められているのではないでしょうか」

 もちろん“本流”を極めていく学生もいるという。新卒で新規就農し、比較的収益率が高いトマトとイチゴを作り、しっかり稼いでいるという。とはいえ、いま話題なのは「令和の米騒動」。米が安すぎるという課題が浮き彫りになる中、玉井准教授は稼ぐ仕組みの研究にも視野を広げている。

「マンゴーは2万円するものもありますが、いい米でも価値に見合った値段が付いていません。米は量でその価値を測られることがほとんどで、米のおいしさを正しく評価できないからです。新しい指標を見つければ、採算の取れる米作りができるんじゃないかと、老舗の米屋『八代目儀兵衛』さんと共同研究で、おいしさを評価する新技法を確立して、昨年に特許を出願しました。この指標を全国に広げようとしています」

 前出の農業ジャーナリスト山田さんは言う。

「工業で経済成長していた時代は、農業は衰退する産業で、農学を学ぶのは時代遅れだと捉えられてきました。ですが、工業による経済成長が停滞するいま、農業、食分野は、未来のある産業であり、堅調だと思われるようになりました。それが学生に支持されている理由でしょう」

(編集部・井上有紀子)

※AERA 2025年3月31日号より抜粋

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農学系学部の新設相次ぐ 持続可能な農業・食料研究、最近の学生にヒットしている理由

AERAdot 2025/03/27

井上有紀子

龍谷大学農学部には、生産から流通・消費・再生まで学ぶ「食の循環実習」がある。学生は農場で、米や野菜を作る。農場のデータ分析もする

 少子化などの影響で全国的に大学が淘汰される時代に、農学系学部の新設が相次いでいる。農学部にはどのような魅力があるのか。2015年に農学部を設けた龍谷大学を取材した。

 いま、農学系学部の新設・再編が全国で相次いでいる。今後は中央大学などでも、農学系学部の新設が予定されるなど、全国的に学生数を減らす学部が目立つ中、ここ20年間で農学系学部は2割近く入学者数を増やしている。

 農学部新設ラッシュの先駆けが龍谷大学だ。2015年、国内で35年ぶりに「農学部」を開いた。

 学びは幅広く、サステナブルな食品の研究、先端バイオサイエンスであるゲノム編集から、ドローン、GPSを搭載した耕運機と連動したアグリDXまである。農業経済、農業社会学といった文系的な学びも網羅し、一部の学科は、文系でも受験できる。

 2月、滋賀県にある龍谷大学瀬田キャンパスを訪れた。JR瀬田駅からバスで8分。校舎の1階はオープンキッチンがあり、清潔感がある。

スーパーフードを研究

 農学科の玉井鉄宗准教授が共同研究しているのは、駐車場の隅などに生えているイシクラゲだ。

「皆さん見たことがあると思います。見た目が気持ち悪いと言われることもある、嫌われ者です」

 クラゲというがクラゲではない。シアノバクテリアという細菌の一種だ。

 そんなイシクラゲだが、実は可能性を秘めたスーパーフードなのだという。まず、注目すべきは生命力の強さだ。玉井准教授は言う。

「肥料はいらず、水があれば育ちます。乾燥させると、半永久的に保存できるのです。こんな生物はほとんどいません」

 乾燥したイシクラゲの標本に、87年ぶりに水分を与えたところ、再び増殖したという研究もある。その強さから、国際宇宙ステーションに持ち込まれた。

 さらに、抗がん作用があり、血中コレステロールの上昇を抑えることが動物実験で確認されているという。また、紫外線を吸収し、傷の治りを早める成分を含む。化粧品やサプリメントに応用できるかもしれない。そして無味無臭。半世紀前までは、滋賀県の姉川流域では「姉川クラゲ」と呼ばれ、日常的に食べられていたという。

必ず社会の役に立つ

 手間や環境負荷がかからず、健康効果が期待されるイシクラゲ。

 玉井准教授はこう話す。

「でも、生育条件ははっきりわかっていません。私たちは安定的で衛生的な栽培方法の確立を目指しています。人間社会に役立つ動植物は、知られていないだけで数多くあるはずです」

 こうした持続可能な農業、食料の研究が、最近の学生にヒットしているという。

 同大農学部を今春卒業する岸本司さんは、もともと食料自給率の低さなどの社会課題に関心があり、農学部を選んだ一人だ。卒業研究では精米の過程で発生する大量の「もみ殻」の処理の問題を知り、有効活用をテーマに選んだ。もみ殻を炭化させたバイオ炭を活用して、化学肥料の使用量を減らせないかを研究した。

 岸本さんは「想定した数値が出なくて心が折れそうになったこともあります。でも、この研究を続けたら、必ず社会の役に立つと思えたことがやりがいになりました」と話す。
(編集部・井上有紀子)

※AERA 2025年3月31日号より抜粋


わたしのblog「自己紹介」より。
サラリーマンから転身。「農」の多面的な要素を紹介しながら「農」を必要とする人たちと「経済価値」を超えた労働、つながり、里山文化。

国はしっかりと最近の若者の動向を見極め、農業の多面的要素を発展させ、「農業の再構築」を図るべき時だろう。

「仕送り」激減時代の学生生活の問題 ~アルバイトで潰れる若者続出か?

2025年03月27日 | 教育・学校

Imidas連載コラム 2025/03/25

  大内裕和(武蔵大学教授)

 2025年2月28日、全国大学生活協同組合連合会(全国大学生協連)が24年秋に実施した第60回「学生生活実態調査」の結果が発表されました。この調査は全国大学生協連に加盟する多数の高等教育機関の学生を対象に1963年からほぼ毎年実施され、収入と支出、奨学金やアルバイトの状況、登校日数、学生生活充実度、勉強時間など、学生たちの経済や意識、行動を幅広くリサーチ。学生生活の長期的なトレンドを知るうえで有益な内容も数多く含まれています。

 今回の調査結果で最も私の目を引いたのは、保護者(主に親)から下宿生への仕送り額の推移です。今から約30年前の95年調査では下宿生への仕送り月額は「10万円以上」が全体の62.4%を占め、「5~10万円未満」や「5万円未満(0円を含む)」の比率を大きく上回っていました。しかし2010年には、仕送り月額「10万円以上」の割合が31.7%まで低下。以後もゆるやかに下降傾向は続き、24年の最新調査では27.2%でした。

 一方で毎月の仕送り額が「5万円未満(0円を含む)」の割合は、1995年には全体の7.3%でしたが、2024年には23.0%まで大きく上昇しました。このことは学生への仕送り額の減少が一時的なものではなく、長期的かつ構造的であることを示しています。

◆◆

 学生にとって経済的支援ともいえる仕送り額の減少は、学生生活のあり方を根本から変化させました。1995年の時点では、学費や下宿先での生活費の多くを親などに出してもらって通学する学生が多数派を占めていました。それに対して現在の学生生活は全く違います。地域による差はあるものの、月に5万円未満の仕送りだけで家賃や食費、光熱費をまかなうのは容易ではないでしょう。

 このことは、今の学生の多くは親などからの経済的支援のみでは、学生生活を送るのがほぼ不可能になったことを意味します。足りないぶんの生活費は、奨学金やアルバイトによって自力で補う必要性が生じました。

 この変化は大学などに通う若者にとって、アルバイトと奨学金の意味を大きく変えることにつながりました。学費と生活費の大部分が経済的支援によってまかなわれていた時代の学生アルバイトは、彼ら自身が「自由に使えるお金」を稼ぐ目的で行われることが多かったといえます。アルバイトは趣味や旅行、サークル活動にかかる費用の捻出など、学生自身の行動範囲を拡大し、好きなことを実現するための手段として積極的な意味をもっていました。

◆◆

 しかし、そんな時代もつかの間。毎月の仕送りにすがれなくなった現代の学生たちにとって、アルバイトは「学生生活に必要なお金」を稼ぐものへと変貌しました。自分の好きなことを実現するためというよりも、学生生活を続けるうえで必要不可欠な手段です。雇用主の側もその変化を巧みにキャッチし、安価に使える労働力として、バイト代で社員並みの「責任の重い」仕事をやらせるようになりました。こうした「学生を尊重しないアルバイト」を2013年に私は「ブラックバイト」と名づけ、社会問題として提起する要因の一つとなりました。

 奨学金についても同様です。日本学生支援機構(JASSO)の前身である日本育英会では1983年までは有利子貸与型奨学金が存在せず、すべて無利子貸与の奨学金でした。有利子貸与が導入されてからも、90年代後半までは無利子貸与が大きな割合を占めていました。とはいえ就職が全体として好調だった70~80年代の学生は、奨学金を借りるにあたって現在ほど返済のプレッシャーを感じることは少なかったと予想されます。98年までは大学卒業後に小・中・高校などの教員になれば奨学金返済を免除する制度も存在し、それを見越して貸与型奨学金を利用できた学生が一定数存在していました。

 90年代末以降、有利子貸与型奨学金の急増によって、貸与型奨学金の中心は無利子から有利子へと移行しました。借りた額以上の金を返済しなければならない奨学金の広がりは、社会人となった後の若者に大きな負担となりました。このことが2010年代に入り、奨学金返済の困難が大きな社会問題となる状況を生み出しました。

◆◆

 かくして経済的支援を失った学生にとっては、アルバイトと奨学金こそが学生生活を支える「2本柱」として重要性を増しました。そして10年代以降、両者とも大きな社会問題となったのです。

 冒頭でご紹介した24年の「学生生活実態調査」を見ると、アルバイトと奨学金のあり方が10年代とは明確に変化していることが分かります。例えば12年の同調査の結果では、奨学金利用率は自宅生が29.5%、下宿生が43.6%、全体で37.2%に達していました。それが24年になると、自宅生が24.8%(↓4.7)、下宿生が31.2%(↓12.4)、全体で28.6%(↓8.6)と低下しています。特に下宿生の利用率低下が顕著です。

 この奨学金利用率の低下は、どうして起きたのでしょうか? 10年代から24年にかけて、奨学金が不要になるぐらい学生の生活が楽になったというデータはありません。すでに述べたように、親などからの仕送り額の減少傾向は続いていますし、「学生生活実態調査」のデータを見ると、自宅生は親などからもらう小遣い額も同様に減少しています。経済的支援が減っているにもかかわらず奨学金利用率も低下したのは、「卒業後の借金になるから」との理由で貸与型奨学金を忌避する傾向が強まったからだと思います。

◆◆

 17年に日本学生支援機構の給付型奨学金が導入された後、その利用率は19年に3.4%、24年には7.3%へと順調に上昇しています(「学生生活実態調査」による)。減少しているのは、卒業後に返済が必要な貸与型奨学金の利用です。

 10年代以降、奨学金制度の改善を訴える運動は、制度が抱える問題点を洗い出す方向へと広がりました。そしてそのことは、奨学金返済による若者の貧困化という社会問題を世の中に広く知らしめることにつながりました。卒業後に返済に苦しむ事例が数多く紹介されたことも、多くの学生と保護者に警戒心を抱かせたのでしょう。

 また、奨学金の返済が卒業後の生活に与える影響が、より大きくなったという点にも注目する必要があります。労働者福祉中央協議会(中央労福協)では15年以降、奨学金返済が若者の「結婚」「出産」「子育て」などにどのような影響を与えているか(=妨げになっているか)、継続的なアンケート調査を行っています。

 その調査結果によれば、奨学金返済が「結婚」に影響を与えているとの回答は15年の34.2%から24年は44.3%へ、同じく「出産」に影響を与えているとの回答は22.9%から38.2%へ、「子育て」に影響を与えているとの回答は26.4%から37.0%へと、それぞれ10ポイント以上増加しています(24年6月調査「高等教育費や奨学金負担に関するアンケート」)。この間、奨学金の平均借り入れ総額は300万~350万円の範囲で、それほど大きな変化はありません。このことからも多くの若者にとって貸与型奨学金はライフコースを制約する力を増しており、より重く意識されるようになったことを意味します。

◆◆

 奨学金の利用が減少するかたわら、10年代から24年にかけて学生のアルバイトは増加しています。1カ月の生活費に占めるアルバイトの額を見ると12年は自宅生が3万30円、下宿生が2万3100円でした。これが24年には自宅生が4万6060円、下宿生が3万7540円まで増えています。特に注目すべきはアルバイトで「月7万円以上」の収入がある学生で、その割合は自宅生は15年の11.9%から24年の19.8%、下宿生は15年の6.9%から24年の14.6%へと、それぞれ大幅に増加しています(「学生生活実態調査」による)。

 月7万円の収入は、年間では84万円となります。近年では最低賃金の上昇もあって、年間100万円以上をアルバイトで稼ぐ学生も増えてきました。とうとう私のところにも、「自分のアルバイト収入が年103万円を超えると、親が扶養控除を受けられず増税となって困る」という学生からの相談が寄せられるようになりました。

 この問題は24年の衆議院議員選挙にも大きな影響を与えました。同選挙では国民民主党が「年収103万円の壁引き上げ」を公約に掲げ、議席が4倍増と躍進しています。朝日新聞社が24年10月の投開票日に実施した出口調査によると、年代別の比例区投票先では国民民主党は若年層の支持率が高く、20代では26%と単独トップです。「年収103万円の壁引き上げ」の公約が、多くの大学生の支持を得ることとなりました。ここには近年の学生アルバイトの増加が強く影響しています。

◆◆

 確かにアルバイト代で学費を支払っていたり、生活費の大半を稼がなければならなかったりなど「年収103万円の壁引き上げ」を切望する学生が一定数いるのは事実でしょう。しかし私は、「年収103万円の壁引き上げ」によって、これまで以上にアルバイトで学生生活を奪われることになる学生が増えるのではないかと心配です。今までだって、「アルバイトのために睡眠時間が取れず、授業中に寝てしまいます」「アルバイトがあるので授業の課題を終えることができません」「アルバイトがきつくて体調を崩しました」「アルバイト先の人間関係が過酷で、精神的不安定が続いています」など、過酷なアルバイトによって大学で学ぶことができなかったり、心身の不調を訴えたりする相談が多数ありました。

 私は「年収103万円の壁引き上げ」が実現すれば、学生たちからのこうした相談が一層増えるのではないかと危惧します。すでに、「これまでは『103万円を超えると親の扶養を外れるから』と言ってバイトのシフトを断れたが、これからは断りにくくなるのではないか」と心配する学生が私の周囲に出てきています。

 保護者からの経済的支援が減少する中、高い学費と貸与中心の奨学金制度が続き、そこに物価高が加わったことで、多くの学生が長時間のアルバイトを強いられています。若者にとってこれだけ厳しい状況を、根本的には改善することができなかった年長世代には、アルバイトを増やすために「年収103万円の壁引き上げ」を歓迎する学生を「最近の学生は勉強せずにアルバイトばかりしている」などと批判する資格はないでしょう。

 かといって「年収103万円の壁引き上げ」は、アルバイトの過酷化と学生生活の破壊をもたらす危険性が大です。奨学金制度の改善と学費引き下げを目指す私は、「学生がアルバイトで年間103万円以上稼ぐことを、この社会はよしとするのですか?」と日本社会に問い続けていきたいと思います。


若者を育てない現政権の交代を切に望みます。
入学試験に合格したら、入学金を払わなければ不合格にされます。
「本命」ではないところも入学金を払っておかなければ不合格にされてしまいます。
しかも入学しなかったときでも返金はされません。
大きな額です。
こんなことがわたしの受験時代から繰り広げられるているのです。
変えましょう❕


トランプ高関税 連帯で危機乗り越えよ

2025年03月26日 | 社会・経済

「東京新聞」社説 2025年3月25日

 トランプ米政権が鉄鋼・アルミニウム製品の輸入にすべて25%の税率を課し、日本も対象国に含まれた。異常な高関税が自動車など日本の基幹産業に広がれば、経済への打撃は計り知れない。

 危機を乗り越えるために、日本は欧州連合(EU)諸国などと連帯して、理不尽な要求に対抗しなければならない。

 鉄鋼の場合、米国市場における日本からの輸入は全体の4%程度と小規模で、高関税が直ちに景気の足かせになるとは言い難い。

 ただ、トランプ政権は関税の対象を、対米輸出額が年6兆円規模に達する日本の自動車産業に拡大する構えを見せている。取引企業を含めて裾野が広がる自動車にも高関税が課されれば、その痛手が雇用に及ぶ恐れさえある。

 トランプ政権は貿易交渉で一国が相手の相対取引を優先する。大国である米国が圧倒的優位に立てるためだ。相手に無理難題を押しつけて、交渉の主導権を握る戦略でもある。

 日本にも「鉄鋼を不当に安く売りつけ米国の雇用を奪った」(ラトニック商務長官)などと、的外れな批判で威嚇している。

 政府は、事実に基づかない発言には毅然(きぜん)と反論せねばならない。SNSを含む米メディアにも積極的に情報発信し、高関税が物価の高騰につながり、そのツケは米国民自身が払うことになる、という動かしがたい事実を、米世論に粘り強く訴えるべきである。

 トランプ政権下の対米交渉でカギを握るのは自由貿易という価値観を共有する国々との連帯だ。

 日本とEUは経済連携協定(EPA)を結ぶ。英国は日本が主導する環太平洋連携協定(TPP)の参加国で、G7(先進7カ国)のカナダ、G20のオーストラリアも立場を共有する。

 これらの国との多国間交渉を、トランプ政権への対抗、けん制の場として活用すべきだ。

 中国やインドとの対話を続けることも忘れてはならない。

 日銀の植田和男総裁は19日、金融政策決定会合後の記者会見で、米国を「不確定なところが非常に大きい」と不安視した。

 利上げを模索する中で政策金利を据え置いたのも、トランプ政権の動向を見極めようと判断したのだろうが、物価高騰を放置せず、あくまで家計を優先した金融政策を貫くよう求めたい。

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 サンダース米上院議員 遊説大盛況

トランプ政治に対決

「しんぶん赤旗」2025年3月25日

 米民主党から大統領選挙に2回挑戦した進歩派のサンダース上院議員が全米各地でトランプ政権への対抗を呼び掛ける集会を開き、場所によっては数万人が集まる大盛況となっています。背景には、民主党主流派がトランプ政権に妥協する動きを見せる一方で、サンダース氏が「1%の富裕層・大企業のための寡頭政治は許さない」と対決姿勢を鮮明に打ち出していることがあります。(島田峰隆)

「米国民は寡頭政治許さない」

 サンダース氏は20~22日にかけて、西部のネバダ、アリゾナ、コロラドの3州で五つの集会を開きました。民主党進歩派のオカシオコルテス下院議員も同行し演説しました。

 現地からの報道によると、コロラド州デンバーの集会には3万4000人が参加。サンダース氏によると、トランプ氏がこれまでデンバーで開いたどの集会よりも参加者数は多くなりました。

 アリゾナ州トゥーソンでは、2万3000人以上が集まりました。ネバダ州でも過去最大規模の集会が開かれました。

 デンバーでの集会でサンダース氏は、実業家イーロン・マスク氏が進める政府職員の解雇や支出削減を批判。「1%の富裕層に減税するために、世界で最も裕福な人間が政治を牛耳り、社会保障を削減し、メディケイド(低所得者向け医療扶助)をなくし、教育省を事実上解体しようとしている。そんなことは許さない」「米国民は寡頭政治を受け入れないとはっきりと声を上げている」と訴えました。

従来の支持超え

 サンダース氏は、トランプ政権の発足を受けて、2月から「寡頭政治と闘うツアー」と銘打った遊説を始めています。「億万長者や大企業による政府の乗っ取りと独裁政治への動き」に注意を喚起し、国民的な闘いを呼び掛けることが目的です。

 労働組合幹部なども招き、▽大企業・富裕層の公正な税負担▽人権としての医療▽大企業や富裕層による政治の買収ストップ―などを訴えています。

 米メディアによると、集会にはサンダース氏の従来の支持層の枠を超えた市民が多く参加しています。同氏が民主党予備選で大善戦した2016年の大統領選の時以上に人が集まる集会もあるといいます。

深く根付く抵抗

 サンダース氏は「民主党の多くがトランプ政権との闘いを避けている」と繰り返し批判しています。

 民主党のシューマー上院院内総務ら一部の上院議員は3月上旬、政府閉鎖を回避するとして共和党が出した予算の可決を容認しました。同予算は、トランプ政権が進める政府機関の閉鎖なども一定の範囲で可能にする内容です。シューマー氏らの行為には、民主党内でも「裏切りだ」と批判が広がりました。

 労働関係が専門の米ラトガース大学のエリック・ブラン准教授はSNSで、民主党の指導部の間にトランプ政権に屈する動きがあると指摘。一方でそのこと自身が労働組合やサンダース氏らの抵抗を強めていると強調しました。

 ブラン氏は「今日の反トランプ運動は、労働組合運動や、富裕層に対する抵抗に根付いている。それは労働者の間に今後さらに深く根付き、そうすることでトランプ主義を最終的には克服する可能性を秘めている」と指摘しています。


そうです、我々は99%なのです。
「連帯」でトランプを包囲しましょう。


給食 物価高が直撃 量減らすか値上げか…

2025年03月25日 | 教育・学校

ハンバーグ80グラム→40グラムに 交付金で食材費補助も

「しんぶん赤旗」2025年3月25日

 「値上げをしない場合 主菜(ハンバーグ)を小さくする。80グラム→40グラム」。千葉県南房総市の小中学校で配られたチラシにはハンバーグが半分になる献立例の写真が載っています。コメや野菜の価格の急激な高騰を受け、4月に値上げする自治体も相次いでいます。(染矢ゆう子)

 同市に住む山口智惠子さん(69)は、地域の中学校保護者の男性から情報を得ました。見せられたチラシは、1月に同市教育長が出した「学校給食費の改定について」と題した「おたより」。給食費を値上げしないと、「学校給食摂取基準で定められている基準を満たせないため体位、体力、学力に影響」と書かれていました。

撤回の自治体も

 「国が昨年12月に出した臨時交付金や市の財源を使って保護者の値上げは中止させるべき」だと考えた山口さんらは新日本婦人の会の会員を中心に今年1月、「学校給食費の値上げ中止を求める市民の会」を立ち上げました。値上げ中止を求める緊急署名を全戸訪問するなどして1851人分集め、3月10日に市長と教育長に提出しました。

 多くの自治体は国の交付金を活用して品数を元に戻したり給食費の値上げを回避したりしています。値上げ計画を撤回した川崎市によると、食材費は5年前に比べて1食あたり19%増加しています。

 国も交付金の活用を推奨していますが、南房総市では「恒常的な予算ではない」として値上げを強行する姿勢です。「“子どもの栄養が不足する”と値上げを受け入れるしかないと思わせて保護者の負担増を強いるようなやり方は問題だ」と山口さんは言います。

ししゃもが1匹

 昨年6月に新日本婦人の会が行った全国調査では、「給食の内容に変化があった」と回答があったのは14%。そのうち32%が「給食の品目が減った」、27%は「量が減った」と答えました。「ししゃもが1匹大皿にのっているだけや冷凍しゅうまい小さいのが二つだけなど高学年や中学生には全く足りない」(奈良)などの意見がありました。

 東京都多摩地域の小学校で栄養教諭をしている女性は「赤字にしないために昨年11、12月は食材費をいつもより15%切り詰めた」と話します。

 切り詰め方は、▽果物の回数を週1から月1に変えたり、切り方や個数を変える▽魚の切り身を小さくしたり、魚から肉や厚揚げなどに替える▽キャベツや白菜を安価なモヤシなどに替える―などです。「栄養価は同じでも旬の果物や野菜、魚を出せなかった。食文化としては後退です」と悔しそうに話します。

 勤務校が所在する市は国の交付金で食材費を補助したため、「1月から献立を元に戻せた」と女性。同市は都の補助拡充により1月から給食費を無償にしました。あわせて4月から給食(食材)費を交付金の補助と同程度値上げすることも決めました。

 女性が所属する東京都教職員組合栄養職員部では無償化拡大を歓迎し、「物価に合わせて食材費を上げること」を都教育委員会に要請しています。「給食は教育活動の一環です。教材として扱う給食の質が物価高騰で下がらないよう国や自治体に求めていきたい」


これ以上「親」の負担増は避けてほしいものです。
「給食の無償化」急いでほしいです。

いろいろなニュースがありました。
氣になるところをピックアップ。

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への「解散命令」

国家公務員法違反や名誉毀損の疑いで刑事告訴されていた副検事について、大阪高検は3月19日、不起訴処分にした。

・女性検事の代理人コメント全文

「被害者は今回の検察庁の副検事に対する処分に対し、大変ショックを受けていてコメントができませんので、代理人としてのコメントを申し上げます。

副検事の行為は、被害者の性被害の捜査妨害をしたり、被害者を酷く傷付ける二次被害をも与えるものと代理人としては認識しています。

しかし、検察庁は、起訴相当である副検事の行為を不起訴処分とし、懲戒免職相当の非違行為であると思われるのに最も軽い戒告で済ませました。

また、いずれの処分も、告訴、告発をしている被害者に対する事前の説明はなく、捜査を一方的に打ち切って突然処分を下されたものです。

被害者代理人としてその処分内容が納得できないものであることはもちろん、事前の説明を求めていたにもかかわらずその事前説明もしないまま一方的に処分結果を伝え、かつ、報道機関に発表するという処理の仕方も全く承服し難いものです。

検察庁は、このような対応により、副検事に検察官としての職務を継続させることを容認しましたが、検察庁に対する国民の信頼を損ねるもので、身内びいきの不適切な処分と思っております。

被害者の安全な職場環境の整備は遠ざかるばかりで、検察庁は被害者を復職させる気がないのではないかとさえ思わざるを得ず、代理人としては非常に残念でなりません」


私大学費 高すぎる 学生たち国会へ 議員に実態訴え

2025年03月24日 | 教育・学校

「しんぶん赤旗」2025年3月24日

 国公立大学よりもさらに高い学費を負担させられている私立大学の学生たち。「アルバイト漬けで何のために大学に入ったのかわからない」「高校3年になる妹がいる。シングルの母にこれ以上負担をかけたくない」「自分だけでなく友人の多くも苦しんでいる」と、学費負担の軽減のために声をあげています。(都光子)

 日本私立大学教職員組合連合(私大教連)が主催した学費負担軽減と私大助成の増額を求める院内集会と議員要請行動(13日)に、関東や関西の私立大学に通う学生が10人以上参加しました。

 龍谷大学(京都市)4年の貴兄(きあに)アニタさんは「アルバイト漬けで大学での授業が受けられなくなっている友人がいる。20代後半の友人は、学費負担に耐えられないかもと結婚や出産をためらっている」と話し、「実は私自身も大学院進学をあきらめた当事者」だと経済的負担の苦しい現状を発言しました。

 貴兄さんは政策学部の研究で世界の教育事情などを学ぶために行ったフィンランドで驚いたと言います。「高等教育も無料で、いつでもだれでも学べる環境がある。日本と大違い」。これがきっかけで、日本の高い学費に疑問を感じ始めました。

 1月初め、同大学教授の奥野恒久さんら教職員が呼びかけ、学生と共同して「限界を超えている日本の学費」と題した講演会を開催しました。

 東京大学教授の本田由紀さんが日本の高等教育における私費負担が67%で、OECD平均(31%)と比べて極めて高く、高等教育への国の支出が少なすぎる構造を明らかにしました。

 貴兄さんは「家庭環境の違いで学べないことはおかしいことなんだ」と分かり、苦しい現状を伝えたいと、東京での院内集会と議員要請行動への参加を決めました。

 院内集会に参加した京都橘大学学生自治会委員長の西野佑太朗さんは「私学助成を求める署名を集めているときに、保護者に話を直接聞きました。とくに私大は学費が高すぎるという声をたくさん聞いた」と発言。西野さん自身、下宿するより安いからと自宅から2時間かけて大学に通っていて、学ぶ時間が奪われていると言います。

 院内集会後、貴兄さんと西野さんは私大教連の教職員とともに国会議員の部屋をまわり、「(高い学費に)入ることさえできない人がいる」など教育の機会が奪われている実態を伝えました。

 西野さんは「この1年、東大など国立大学の学費が値上げされている。本当に高等教育の無償化を国会で議論されているのか疑問。負担軽減のために策を講じてほしい」と語りました。貴兄さんは「私たちの声を聞いてくれる議員もいるんだということがわかってよかった。今度は私たちの声をどう生かしていくのか、動向をしっかり見ていきたい」と話していました。

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米ハーバード大 多様性確保へ

授業料免除対象を拡大 年収3000万円まで

「しんぶん赤旗」2025年3月19日

 【ニューヨーク=時事】米ハーバード大は17日、世帯年収が20万ドル(約3000万円)以下の家庭の学生について、今秋から授業料を全額免除すると発表しました。対象者を拡大することで中所得層からの入学を増やし、多様性を確保したい考えです。

 世帯年収が10万ドル(約1500万円)以下の場合は、食費や住宅費、交通費など学生生活に必要な全費用を同大が負担します。これまでは世帯年収8万5000ドル(約1270万円)以下に限られていました。今回の変更で、全米の約86%の家庭が対象になります。

 同大のガーバー学長は「学生たちが遭遇する背景や経験、視点の幅が広がり、知的成長と人格形成を促すことになる」と意義を強調しました。

 米国の大学はこれまで、人種的少数派を選考で優遇する「アファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)」を採用し、学生の多様性を保ってきました。ですが、連邦最高裁は2023年、同措置が法の下の平等に反し「違憲」だと判断。ハーバード大などは対策の見直しを迫られていました。

 米紙ニューヨーク・タイムズによると、同様の動きは既に他の大学で広がっており、ペンシルベニア大やマサチューセッツ工科大(MIT)なども20万ドル以下に対象を拡大しています。


「アッ、一桁違う!」いや、それ以上だ。
兵器を買うより人を育てよ・・・・・❕


農家育成・確保支援を

2025年03月23日 | 自然・農業・環境問題

参院委 紙氏「国が総合的に」

「しんぶん赤旗」2025年3月23日

 農林水産省は、2040年の基幹的農業従事者を30万人程度と想定しています。日本共産党の紙智子議員は13日の参院農水委員会で、農家の育成・確保を国家プロジェクトに位置づけ総合的に支援するよう求めました。

 紙氏は、1年間に8万人が離農する一方、新規就農者は3万人にとどまっており、生産者が30万人に落ち込めば、生産者1人で約350人分の食料を生産することになり、国産での食料供給が困難となり、食料自給率が低下すると指摘。江藤拓農水相は「恐れは持っておかなければならない。生産性を上げて食料自給率を維持するよう頑張りたい」と表明しました。

 紙氏は、農水省が新規就農者を増やす目標を持たず、新規就農者が増えない要因の分析も不十分だと指摘。福島県はワンストップサービスで新規の就農と定着を支援し、福井県若狭町は地域と協力して農業法人「かみなか農楽舎」を設立し、新規就農者が町内の農地の15%程度を担っていると紹介し、経験を把握して共有するよう求めました。江藤農水相は「(経験を)どう発信するか考えたい」と答えました。

 紙氏は、総務省の「地域おこし協力隊」の隊員目標は1万人で、年間350万円の活動経費を支援しているのに、農水省には目標もなければ、経営開始資金の支援は制度発足以来150万円にとどまっていると指摘。有機農業の希望者を支援している涌井義郎氏が「新農家100万戸育成計画」(初年度予算5200億円)を提案していると紹介すると、江藤農水相は「検討材料の一つとして有効だ」と応じました。


2015年の175万7千人、2020年は136万3千人と5年で22%も減少しています。
2005年の224万1千人と比べると10年で39%減少しています。
「生産性を上げて対応」できる水準ではありません。
それが「令和のコメ騒動」として現れました。
これからさらに30万人にまで激減させるとどのような結果になるか、想像がつくというものです。
米騒動ではなく、食糧騒動になること必至です。


積雪10㎝減って60㎝。