里の家ファーム

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COP27はグリーンウォッシングに利用、グレタさんが批判

2022年10月31日 | 自然・農業・環境問題

Reuters 2022/10/31 

[ロンドン 30日 ロイター] - スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリさんは30日、エジプトのシャルムエルシェイクで来月開かれる国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)について、気候変動問題に配慮しているように見せかける「グリーンウォッシング」に利用されることになると痛烈に批判した。新著のプロモーションで訪れたロンドンの出版関連イベントで講演した。

    COP27は「基本的な人権の多くを侵害している国にある、観光客向けの天国で開かれる」と指摘。「権力を握る人々が(中略)グリーンウォッシングを行い、うそをつき、だますために(利用する)」と一蹴した。

    英グラスゴーで昨年COP26が開かれた際、トゥンベリさんは同市で抗議デモに参加した。しかし今年のCOP27は「活動家の声を聞いてもらうのは非常に難しいだろう」とし、出向かないことを明らかにした。エジプトは公共の場でのデモを事実上禁止している。

    一方、環境活動家が今月、ロンドンのナショナルギャラリーでゴッホの代表作「ひまわり」にめがけてトマトスープを投げつけた事件については、「私たちがこれまで行ってきた方法では目的を達成できないことが分かったため、人々は新たな方法を見つけようとしている。この種の異なる行動が出てくることは自然に予想できる」と語った。

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名画、相次ぎ標的に=活動家が気候対策訴え―過激行動に疑問の声も・欧州

時事通信 2022/10/31

 【ブリュッセル時事】気候変動対策を訴えるため、環境活動家が名画を攻撃する事件が欧州で相次いでいる。温暖化対策を協議する国際会議を来月に控える中、世界的な芸術作品を対象にすることで「より大きな関心を集める狙い」(米メディア)とみられるが、過激な行動には疑問の声も上がっている。

 オランダ・ハーグのマウリッツハイス美術館では27日、日本でも有名なフェルメールの代表作「真珠の耳飾りの少女」が狙われた。AFP通信によると、環境活動家3人が絵画や周辺の壁に頭部や手を接着させたなどとして警察に拘束された。ガラスに保護されていた絵画自体は無事だった。

 ドイツでも23日、印象派の画家モネの「積みわら」にマッシュポテトが投げ付けられ、14日にはロンドンで、世界的に有名なゴッホの「ひまわり」にトマトスープがかけられた。ゴッホ作品の攻撃に関わった英国の団体は、政府に化石燃料の新規開発停止を要求しており、世間に衝撃を与えて問題提起することが狙いだったとブログで説明した。

 近年、干ばつや洪水が各地で相次ぎ、温暖化の影響が指摘されている。国連は27日、各国が温室効果ガス削減目標を達成しても、世界の気温は今世紀中に2.8度上昇するとの試算を公表。来月6日からエジプトで開かれる国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)では、各国の排出削減の取り組み強化も議論される。

 英ノッティンガム大学のマシュー・ハンフリー教授は、仏放送局フランス24に対し「破壊的で地球規模の不可逆的変化に抗議している」と活動家に理解を示す一方、芸術作品への攻撃で「世論を遠ざける可能性がある」と懸念を表明した。米ニューヨーク大学のスティーブン・ダンコム教授も米紙に「活動家がおかしなことをしているというメッセージが伝わっているならば、それは大義のためになるだろうか」と疑問を投げ掛けた。 


  たしかに、理解できないわけではない。「待ったなし」の状態であまりにも「ノーテンキ」すぎやしないだろうか?世界各地で異常気象が起こり、人が死んでゆくさまを他人事としてしかみていない。洪水が起き、干ばつに見舞われ、氷河が崩れ、小さな島が消えていく中でジレンマを抱え込んでいる。

「私たちがこれまで行ってきた方法では目的を達成できないことが分かったため、人々は新たな方法を見つけようとしている。この種の異なる行動が出てくることは自然に予想できる」

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教員に残業代支払わない法律「抜本的見直し」求める署名6万筆、現職教員らが自民党に提出。「定額手当の増額を検討」と文科部会長

2022年10月30日 | 教育・学校

現職教員は「定額の手当を上げるだけだと『定額働かせ放題』のままだ」と指摘している

金春喜

ハフポスト2022年10月27日

 

 公立校の教員に残業代を支払わないことを定める法律(給特法)の抜本的な見直しや、教員の長時間労働の改善を求め、現職の教員らが10月27日、署名6万4000筆と要望書を自民党に提出した。

 署名活動の呼びかけ人で現職の公立高教員、西村祐二さんと日本若者協議会の室橋祐貴代表理事から、自民党文部科学部会で会長を務める衆院議員の中村裕之氏に署名の冊子と要望書を手渡した。

 受け取った中村氏は記者団の取材に「(現在、残業代の代わりに定額で支給している)教職調整額は、あまりにも(教員の)インセンティブとして足りない」とした上で、「今後、現場の教員の意見を踏まえ、教職調整額を大幅に引き上げる方向で検討する」と話した。

要望書、給特法の廃止を含めた見直し求める

1971年に制定された給特法。教員の給与について定める同法により、教員に対して月給の4%を教職調整額として一律に上乗せして支給する代わりに、残業代は支払われないことになった。

 残業時間に見合った残業代が支払われない実態は、「定額働かせ放題」などと揶揄されてきた。

 西村さんらが提出した要望書は、給特法について廃止を選択肢に含めて見直すことを求めたもの。必要な対応として、▽公立校に務める教員の労働体系に労働基準法を適用する▽残業代を支給する▽時間外労働に罰則付きの上限を設けるーーことなどを挙げた。

6万4000筆もの署名が集まった

 文部科学省は現状の勤務実態に応じて残業代を支払う場合、年間9000億円かかると試算している。このことから、要望書では「残業代の支出を減らすために、速やかに本気の残業削減に取り組む」よう訴えた。

 中村氏との懇談後、西村さんは記者団の取材に対し「教職調整額を上げるだけだと『定額働かせ放題』のままだ。教員が望んでいるのはお金ではなく、業務を減らすこと。今、示されているもの(中村氏の提案)以上に議論を進めてほしいと今後も訴えていく」と話した。

室橋さんは「子どもから見ても教員は明らかに長時間労働に見え、本当は相談したいことがあっても相談できないのが現状」と子どもへの影響を指摘。その上で、「学校現場は困っており、教員を志望する学生は減っている。なるべく早く状況を改善する必要がある」と話した。

西村さんらは今後、主要な政党に対して署名や要望書を提出していくという。

教員の残業、国の上限「月45時間」大幅に上回る

 西村さんや名古屋大学の内田良教授らの調査では、全国の公立小中学校で働く教員の平均残業時間が1カ月で100時間以上に上ることが明らかになっている。

 調査は2021年11月20〜28日、20〜50代の公立小中学校で働く教員924人にインターネット上で実施。管理職は含まず、小中学校でおよそ半々の割合で回答を得た。

 1カ月あたりの残業時間の平均は105時間だった。小学校で98時間、中学校で114時間に上り、160時間以上に及ぶ教員も1割以上含まれた。

 1日の休憩時間の平均は、小学校で9.4分、中学校で14.6分だった。「0分」と回答した教員は小中ともに約5割を占めた。所定の45分以上の休憩を取っている教員は小学校で5.6%、中学校で11.8%にとどまった。

 文部科学省は、公立校で勤める教員の勤務時間についてガイドラインを定め、時間外勤務の上限の目安を1カ月あたり45時間、1年間あたり360時間などと設定している。内田教授らの調査では、この基準を大幅に上回ると見込まれる長時間労働が目立つ結果となった。

私立校では適用の労基法、公立校には「なじまない」

教員の残業代をめぐっては、法廷でも争われている。

 埼玉県の公立小教員が、教員の時間外労働に残業代が支払われないのは違法だとして、約240万円の賃金の支払いを埼玉県に求めた裁判。東京高裁は8月、一審の埼玉地裁判決に続き、男性の請求を棄却した。

 東京高裁は残業代の請求を退けた理由として、公立校教員には残業代の代わりに教職調整額が支給されていることや、「厳密な時間管理を前提にできない」とする教員に労基法の賃金制度は「なじまない」ことを挙げた。

 一方、同じ教員でも私立校の場合には、労基法に基づく賃金制度が適用されている。

 茨城県の私立高は9月、30代の男性教員に違法な時間外労働をさせた上、残業代の多くを支払っていなかったとして、労基署から是正勧告を受けた。

 同校は残業代として、給特法を適用する公立校と似た手当として月に約3万円を支給していた。

 他方、男性教員が加入している労働組合が勤怠記録を元に算出した未払いの残業代は、2020年4月からの約2年間で200万円以上に上ったという。労組は、こうした実態が労基法に違反していることが労基署により認定されたとしている。

〈取材・文=金春喜 @chu_ni_kim / ハフポスト日本版〉

 


 不登校、いじめ、が増えている。何より教員を増やすこと、事務的労働を肩代わりすること、が求められている。少子化の折り、こども一人ひとりを大切に育てる環境づくりが必要であろう。声を上げれば変わる。

園のようす。

 

黄色の小菊も咲き出した。


「つまようじから木の匂いがする」というクレームから考える「バカと無知の壁」 なぜこれほど愚かになれるのか

2022年10月29日 | 生活

現代ビジネス  橘 玲,

   週刊現代 2022/10/29

「つまようじから木の匂いがする」というクレームが来た、というメーカーの話が話題になった。「木材なので木の匂いが若干するのは仕方ない」旨の回答をしたところ、どうやら顧客は納得したとのことだった。

この一連のやり取りに違和感を抱いた方もいることだろう。そんな向きには、このフレーズがピンと来るかもしれない。

「バカの問題は自分がバカであることに気づかないことだ」

――なかなか毒気が強い言葉だが、これはきちんとした実験から導かれた結果だと言う。

一体誰がどういう意図で行った研究なのか。筆者の新著『バカと無知―人間、この不都合な生きもの』(新潮新書)をもとに見てみよう(以下同書をもとに再構成する)。

顔にジュースを塗ったら透明になれる

1995年、アメリカのピッツバーグでのこと。

男が白昼堂々、変装もせずに銀行に押し入った。監視カメラの映像をもとに男はあっと言う間に逮捕される。警察でビデオテープを見せられた男は、こうつぶやいた

「だって俺はジュースをつけていたのに」

この男は、顔にレモン汁を塗ると監視カメラに映らなくなると思っていたのだ。心理学者のデビッド・ダニングはこのニュースを知って、「人間はなぜこれほど愚かになれるのか」と疑問に思った。

無知とは一般に、「正しい知識をもっていないこと」と定義される。

だがこれだけでは、その空白に「レモンジュースを顔に塗ると透明人間になる」というとんでもない勘違いが入り込んでくる理由を説明できない。

自己評価が高いのは点数が低い人だった

    そこでダニングは、博士課程のジャスティン・クルーガーとともに、コーネル大学の学生を使って一連の実験を行った。彼らの関心は「能力の低い者は、自分の能力が低いことを正しく認識できているのか」というものだった。

    2人は学生たち相手にいくつかのテストを実施した。そこからわかったのは、学生たちは自分の実力を3割以上も過大評価している、ということだ。つまり平均50のテストの場合、自分は66点だという自己評価を下していたのである。

    さらに個人の能力別に見た場合、下位の学生が上位の学生よりも自己評価が高いことがわかった。下位4分の1の学生は、実際の平均スコアが12点なのに、自分たちは68点だと思っていた。

    一方で上位4分の1の学生は、実際の平均スコアが86点なのに、自分たちの能力は74点しかないと思っていたのだ。これは論理的推論能力についての結果だが、他の分野でも同様だった。実験はさらに進められるのだが、ここでは省略する。

    一連の結果として、彼らが導いた結論を簡潔に表現すると、以下のようになる。

「バカの問題は自分がバカであることに気づかないことだ。なぜならバカだから」

    これがいわゆるダニング=クルーガー効果だ。1999年にこの研究が発表され大きな評判を呼んだのは、誰もが漠然と感じていたことを実験によって証明したからだろう。

知と無知の関係とは

    その後もデビッドとダニングは研究を続け、知と無知には三つのパターンがあると主張した。

    一つめは、「知っていることを知っていること」。

足し算の規則を知っているなら、自分が「5+3=8」と計算できることを知っている。

    二つめは、「知らないことを知っていること」。

    パソコンがどのようなプログラムで動いているのか知らない人でも、自分が無知なことは知っている。パソコンが故障したら自分で修理しようなどとはせず、サポートセンターに電話するだろう。

    科学やテクノロジーが急速に発達したことで、わたしたちは「知らないこと」のなかで暮らすようになった。スマホでなぜメールが送れるかも、口座のお金がどうやって海外に送金できるのかも、正確に説明できるひとはほとんどいないだろうが、それでも日々を大過なく過ごしているのは、知らないことを他者(専門家)にアウトソースしているからだ。

    三つめは、「知らないことを知らないこと」。これがダニング=クルーガー効果で、「二重の無知」あるいは「二重の呪い」と呼ばれる。知らないことを知らなければ対処のしようがないからだ。

    ダニングは指摘していないが、「知っていることを知らない」という四つめのパターンもありそうだ。これは「直観」とか「暗黙知」と呼ばれている。

感動的な作品は暗黙知から生まれる

    近年の脳科学は、無意識はときに意識(理性)より高い知能をもっていることを明らかにした。

    テーブルの上に二つのカードの山があり、一方は賞金も大きいが損する額も大きい(ハイリスク・ハイリターンで長期的には損をする)、もう一方は賞金も損失も小さい(ローリスク・ローリターンで長期的には得をする)ようにすると、意識がどちらの山が有利か気づく前に、危険なカードに手を伸ばしたときに指先の発汗量が増える。

    この「嫌な予感(無意識の知能)」によって、なぜかわからないまま正しい選択ができるのだ。

    この四つめのパターンは、芸術家によくあてはまる。モーツァルトに「なぜこの旋律を思いついたのか」と訊いても、理路整然と説明することはできなかっただろう。

    音楽家だけでなく、画家や詩人、歌手や俳優、あるいはスポーツ選手も、なぜ自分が「できる」かを「知らない」のではないか。ひとびとが感動するような素晴らしいものは暗黙知から生まれるのだ。

    ダニング=クルーガー効果は、従来の教育に重大な疑問を突きつける。これまで学校では、子どもに知識を教えれば自然に学力は伸びていくとされていた。世界じゅうどこの教師も、授業を理解できたかテストして、その結果を生徒にフィードバックしている。だがダニングによれば、この方法で学力を高められるのは認知能力の高い子どもだけだ。こうした生徒は、自分がなにを知らないかを知っているので、間違ったところを修正して正しい知識に到達できる。

    ところが認知能力の低い子どもは、なにを知らないかを知らないので、フィードバックを受け取ってもどうしていいのかわからない。どこでなぜ間違えたのかを理解できない子どもが(たくさん)いることは、教育者ならみんな知っているだろう。

    「つまようじから木の匂いがする」というクレームをつけた人物は、説明を聞いて素直に納得したと伝えられている。とすれば、この場合は単に何らかの理由でつまようじは木でできていることを知らなかった、シンプルな無知ゆえの行動だったのかもしれない。あるいは「無知の無知(二重の呪い)」の典型と言えるかもしれない。いずれにせよ、そのことはメーカーにとっても幸いだったということだろう。

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「自民党に投票するからこうなる」がトレンド入り…消費税、退職金、雇用保険に国民年金まで負担増の “超重税国家” に

 SmartFLASH 2022/10/28

《#自民党に投票するからこうなる》

    ツイッター上で、こんなハッシュタグをつけた投稿が多数おこなわれ、10月に入ってから複数回トレンド入りしている。

「《#自民党に投票するからこうなる》は、10月27日にもトレンド入りしました。前日におこなわれた政府税制調査会で、『消費税の引き上げについて議論すべき』という意見が相次いいだため、不満が噴出したのです。ほかにも、さまざまな負担増について抗議の声が上がっています」(週刊誌記者)

〈以下省略〉


 30年にもなる。このまま40年を迎えるつもりだろうか?少子化問題、財政問題などすぐに成果を挙げられるような問題ではない。ヘタをすると50年に及ぶことになる。今、その蹶起を掴まなければ、一生を失われた時代に生きることになる。失われた人生にしないために。

 


不登校 最多24万人 競争的教育が背景に

2022年10月28日 | 教育・学校

埼玉大学教育学部教授 馬場久志さん どう安心できる場にするか

「しんぶん赤旗」2022年10月28日

 増えつづける不登校。その背景に何があるのか、埼玉大学教育学部の馬場久志教授(教育心理学)に聞きました。(小林圭子)

 最大の背景は競争的な教育です。学校が進学や就労のために子どもの「品質管理」をする役割を担い、子どもたちを競わせ追い込む構造が長年変わっていません。新自由主義のもと自己責任がはびこるなかで、失敗が許されないような状況が広がり、子どもの失敗が教師の指導の問題とされ、教師も失敗を許容できなくなっています。

 詰め込みの問題もあります。多くの自治体で国が定める標準授業時数を超える授業が行われています。一日の授業数が多いうえ、さらに足りない分は夏休みなどを削って補っているのが現実です。

 日本の教師は他国に比べ授業以外の労働時間が長すぎます。教師の多忙さを子どもや保護者も知っており、「先生に心配や迷惑をかけてはいけないと、相談できなかった」という不登校の親子の声を聞きます。

 SNSの影響も大きいと思います。子どもたちは家に帰っても友人とつながっているため、常時スイッチ“オン”の状態で気を張って疲れています。

 文部科学省は6月、不登校に関する調査研究の報告書を公表しました。同報告書では、不登校になった後の学校以外の行き先に重点が置かれ、肝心の学校を「どう子どもが安心できる場所にするか」という論点は手つかずのままです。これでは不登校が生じる構造的問題の解決への道筋が見えてきません。

 学校の改革は、何より教師を増やし少人数学級をすすめることです。少人数学級にすることで学習のすすみがスムーズになった現場を見てきました。学校は人と人との営みです。心が通い合う居心地のよい環境こそが、子どもと教師どちらにも大切です。

 不登校当事者を孤立させない支援も必要です。「親の会」など保護者同士がつながれる機会をつくる学校や行政も出てきています。「親が悲しむ顔を見るとつらい」と罪悪感を抱く子どもに、親が明るい顔を取り戻すことも大事なことです。


 しかし、自民党と統一教会=勝共連合との癒着、まさに底なしの状態です。まだまだ、どんどん関係した議員が明かされています。統一教会への解散命令は当然ですが自民党も解党やむなしでしょう。

園のようす。


日本人は「超過死亡増加」の深刻さをわかってない 科学的に合理的でないコロナ対策を続けていいのか

2022年10月27日 | 生活
長期の自粛で体を動かさずに持病を悪化させるケースが増えているようだ(写真:Ushico/PIXTA)© 東洋経済オンライン 長期の自粛で体を動かさずに持病を悪化させるケースが増えているようだ(写真:Ushico/PIXTA)

 日本の死亡者数が急増している。厚生労働省の人口動態統計(概数)によれば、今年1~3月には約42万人が亡くなり、死亡数は前年より約3万8000人(10%)増えていた。さらに、共同通信によれば、今年1~6月までに、約77万7000人が死亡し、例年の死者数と比べた「超過死亡」は1万7000~4万6000人と推計されるそうだ。

【図表】2020年1月から2021年12月までの超過死亡、各病院の2022年8月3日現在の患者受け入れ数など

 共同通信は、その理由について、「増加の要因として、新型コロナによる直接死のほか、医療逼迫の影響で医療機関にアクセスできず新型コロナ以外の疾患で亡くなったケース、外出抑制など生活習慣の変化に伴い持病が悪化したケース、経済的な困窮によって自殺したケースなど間接的な影響も考えられると専門家はみている」と報じている。

「超過死亡」が多いのは今に始まった話ではない

 私は、この報道をみて、あまりにも認識が甘いことに驚いた。わが国の「超過死亡」が多いのは、今に始まった話ではない。半年以上前に世界のメディアが指摘している。

 きっかけは、3月10日に、アメリカ・ワシントン大学の研究チームが、イギリス『ランセット』に74カ国と地域を対象に、2020年1月から2021年12月までの超過死亡を推定した論文を発表したことだ。この研究で、日本の超過死亡数は11万1000人と推定され、確認されたコロナによる死者1万8400人の6.0倍だった。この数字は、経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国中で最大だった(図1)。つまり、日本の超過死亡の多さは、2021年末の段階ですでに問題だったのだ。

図1© 東洋経済オンライン 図1

(外部配信先では図や表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

 この研究は世界中の研究者に衝撃を与えた。『ランセット』が論文を掲載した日にイギリス『ネイチャー』が「コロナの真の死者数:公式記録より遙かに高い」という記事で紹介し、イスラエルのヘブライ大学のアリエル・カーリンスキ氏の「(日本で)報告されたコロナ死亡の6倍以上にあたる10万人を超す超過死亡は馬鹿げている。研究チームが、どうやってこの数字を導いたのか理解できない」というコメントを紹介したほどだ。日本の超過死亡の多さは、世界の専門家の常識を超えていたのだ。

 わが国で、重症者・死亡者のコロナ感染の見落としは考えにくい。共同通信が超過死亡の原因として、真っ先に「医療逼迫の影響で医療機関にアクセスできず新型コロナ以外の疾患で亡くなった」ことを挙げているが、これも考えにくい。

医療ガバナンス研究所が、厚労省が発表しているデータを基に、各病院の今年8月3日現在の患者受け入れ数をまとめたものを表1に示す。

表1© 東洋経済オンライン 表1

 即応病床に占める入院患者数の割合は、慶應義塾大学126%、順天堂大学125%、日本大学123%のように100%を超えるところもあるが、我々が調査した26病院中19病院は、第7波真っただ中の8月3日でも空床を抱えていた。兵庫医科大学の稼動率は36%、国立国際医療研究センターの稼動率は42%にすぎない。病床が逼迫していた訳ではない。

 都立のコロナ基幹病院に勤務する内科医は、今夏の状況について、「入院しているコロナ感染者などはほとんど中等症止まりで軽症も多かった」という。これは、オミクロン株が重症化しにくいからだ。局所的に病床が逼迫した病院はあっただろうが、医療逼迫が死者を増やすレベルでなかったのは明らかだ。

高齢者の持病が悪化したか

 もっとも考えられる原因は、長期の自粛により持病を悪化させた高齢者が多かったことだろう。日本経済新聞は10月16日の記事「コロナ以外の死因大幅増 1~3月、高齢者の在宅死影響か」の中で、「死因別では、最も増加したのは心不全など『循環器系の疾患』で約1万人(10%)増えており、「老衰」も約8000人(21%)増えた」と論じているが、遅きに失したと言わざるを得ない。

 特記すべきは、3月10日の『ランセット』や『ネイチャー』の論文、記事での日本に関する情報を、国内のマスコミは、一紙も報じなかったことだ。今回のように、厚労省や国立感染症研究所が発表すれば、大々的に取り上げるが、世界的学術誌の記事は「無視」する。これでは国民は堪らない。コロナ対策での過剰な自粛が国民の命を奪っているのだから、新しい事実が判明すれば、早急に対応を変えねばならないが、マスコミが報じないのだから、国民は自粛を続けるしかない。

 方向転換のチャンスは、他にもあった。昨年12月、スポーツ庁は全国の小学5年生と中学2年生を対象とした2021年度の全国体力テストで、男女とも全8種目の合計点の平均が調査開始以来最低だったと発表した。小中学生の体力がこれだけ落ちるのだから、高齢者の健康が害されるのもむべなるかなだ。

さらに、今年7月29日、厚労省は「簡易生命表」を発表し、2021年の日本人の平均寿命は女性87.57歳、男性81.47歳で、いずれも過去最高だった前年を下回ったことを明かした。平均寿命が前年割れするのは、東日本大震災があった2011年以来だ。この事実も、ワシントン大学の研究結果と一致する。

図2© 東洋経済オンライン 図2

 図2は、医療ガバナンス研究所の山下えりかが、2015~2019年の死亡者数の平均と、コロナ流行後の死者数の差を比較したものだ。コロナ流行以降、ほぼ右肩上がりで増加していることがわかる。長期にわたる自粛が、高齢者の健康を蝕み続けているのだろう。コロナ対策での緊急事態宣言や蔓延防止措置は、高齢化した我が国では諸刃の剣になることを認識すべきだ。

避難した高齢者の死亡率は2.68倍に

 実は、このことを世界で最初に指摘したのは、わが国の医師・研究者たちだ。2013年4月、東京大学の研究チームはアメリカ『プロスワン』に、相双地区の介護施設の入居者を対象に避難と死亡の関係を調査した結果を発表した。この研究では、避難した高齢者の死亡率は、被災しなかった人と比較して2.68倍も高かった。

 このチームは、さらに研究を進め、原発事故後、南相馬市立総合病院を受診する脳卒中の患者が62%増加したことを、2015年11月にアメリカ『老年医学会誌』に報告している。さらに、2017年8月には、別の東京大学の研究チームが、相馬市と南相馬市の原発事故後の総死亡リスクが、それ以前と比べて男性で2.6倍、女性で2.5倍増加していたことを英『疫学・公共健康誌』で発表している。

 福島県で被曝が原因で亡くなった人はいないから、死亡者の増加は原発事故後のストレスと生活習慣の変化が原因と言っていい。これこそが、福島第一原発事故の教訓だ。

 このことは、原発事故直後に東京大学の大学院生として被災地に飛び込み、現在も活動を続けている坪倉正治氏(現福島県立医科大学教授)らが200報を超える英文論文として発表し、国際原子力機関(IAEA)などでも、坪倉教授を中心として被曝対策の見直しが進んでいる。

なぜ、この教訓が、わが国のコロナ対策で活かされなかったのか。百歩譲って、なぜ、3月の『ランセット』や『ネイチャー』の論文・記事が反映されなかったのか。

日本のコロナ対策は科学的に合理的でない

 これこそ、わが国のコロナ対策の宿痾を象徴している。科学的に合理的でないのだ。もし、3月の段階で、高齢者の自粛を方向転換していれば、その後の超過死亡は、ある程度予防できていたはずだ。コロナ対策見直しの好機を逸してしまった。

 なぜ、こうなるのか。厚労省や周囲の専門家が、国民の命より、コロナ感染者数に関心があるのかもしれないし、彼らが実力不足で、世界的な議論をフォローアップできないだけかもしれない。さらに、メディアも、彼らの主張をそのまま報じる。世界レベルの議論についていける記者が少ないのだろう。

 わが国のコロナ対策は、現状のまま、予算を増やし、司令塔を強化しても迷走をつづけるだろう。なぜ、世界の一流科学誌・医学誌に発表された研究成果を「無視」するのか、その原因を分析し、適切に体制を整備しなければならない。第8波は、すぐそこまできている。体制刷新は待ったなしだ。

上 昌広 :医療ガバナンス研究所理事長


 その昔、我が国で原発事故が起こりました。その時に今後10年の「死亡」がどうなるか?おそらく心疾患系でなくなる人が増えるだろうと予告されていた。たしかにワクチンも怪しいが、わたしにはこちらのほうが気になるのだ。「原発事故後のストレスと生活習慣の変化」というだけでは不十分に感じる。つまり「被爆」である。


『サンデー毎日』田原総一朗氏と対談 志位委員長 縦横に語る

2022年10月26日 | 社会・経済

統一協会・野党共闘の行方・安保外交

「しんぶん赤旗」2022年10月26日

 25日発売の『サンデー毎日』11月6日号が「倉重篤郎のニュース最前線」で、「どうなる!? 旧統一教会との最終戦争の結末」と題して、日本共産党の志位和夫委員長とジャーナリストの田原総一朗氏の対談を掲載しています。両氏は、統一協会(世界平和統一家庭連合)と自民党との癒着問題とともに、野党共闘の行方、日本の外交・安全保障など幅広いテーマについて語り合いました。

  1.  冒頭、倉重氏は日本共産党の創立100周年に関わって、「共産党は、戦前、戦中は弾圧に抗して反戦・平和を貫き、戦後は保守支配下で存在を示してきた。同じ政党名を冠した政治勢力が世界で撤退・消失していく中、なお、自主独立路線で生き抜いている」と指摘。「そして、戦後日本政治の根幹ともいえる日米安保体制に対して、それを相対化し、否定的立場を貫いてきた唯一の政党である。それなりの敬意を表すべきではないか」と評しました。

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 田原氏が、統一協会について「自民議員の接点なぜ多い」と問いかけると、志位氏は「出発点は1968年、笹川良一ら右翼と共に岸信介元首相が発起人になって『勝共連合』という統一教会と一体の反共組織を作った。それ以来半世紀にわたる歴史的癒着関係がある」と指摘。「両者の持ちつ持たれつが問題の本質だ」と強調しました。

 志位氏は、「問題をどう解決するか。解散命令か?」と述べた田原氏に対し、「自民党の責任において本気で調査しろと言いたい。特に、2015年の名称変更、安倍(晋三)氏関与の実態解明、半世紀に及ぶ癒着の実態調査は必須だ。ここをクリアしないと問題は解決しない」と指摘しました。その上で、解散命令請求は当然行うべきだと主張しました。

 「共産党からすれば統一教会との最終戦争だ」と田原氏。志位氏は、「長い闘いだった」と述べ、「彼らが反共の先兵として最初に牙を剥(む)いたのは、革新府政を7期28年務めた蜷川虎三京都府知事の後任を選ぶ1978年の知事選だった」と振り返り、2000年の衆院選では膨大な規模の反共・謀略ビラがまかれたことなど、反共攻撃とのたたかいの経過を語り、「今度は決着つけるまでとことんやりますよ」と述べました。

■ ■

 野党共闘の行方について尋ねられた志位氏は、「共産党も含めた野党共闘に対する攻撃をはね返していくことが課題だ」と指摘。「維新も国民民主も野党を名乗っているが実際は与党の補完勢力。正面から闘う姿勢が必要だ」と主張しました。

 「野党が政権交代できる態勢を作ってほしい」と述べる田原氏に対し、志位氏は「共産党が自分の力で『強く大きな党』を作り、まずは来年の統一地方選で地歩を広げる。そのことが野党共闘再構築の一番の力になると思い定めている」と応じました。

■ ■

 田原氏は「外交・安保も聞きたい。最大課題は米中戦争をいかに防ぐか」と質問。志位氏は、日米同盟の抑止力強化、クアッド(日米豪印4カ国の安保枠組み)など中国包囲・排除の枠組みを強化することでは、軍事対軍事の悪循環に陥ると指摘し、「中国を包摂する。中国も中に入れた枠組みを作ってあらゆることを平和的に解決していく構想を持つべきだ」と語りました。

 志位氏は、東南アジア諸国連合(ASEAN)が提唱しているインド太平洋構想(AOIP)をASEANと協力して実現すべきだとしたうえで、「中国を仮想敵に見立てて包囲網を作ろうとすれば新しい冷戦構造を作ることになる。そうではなく全体を包み込むような包摂的な平和の枠組みを作っていくのが解決法だ」と強調しました。

 さらに、ウクライナ戦争にいたった背景には「外交の失敗」があると指摘。欧州では、欧州安全保障協力機構(OSCE)というロシアも含む欧州の全ての国が加入する包摂的な地域平和機構があったものの、北大西洋条約機構(NATO)もロシアもこれを生かさず、「軍事対軍事」に走ったとして、「その結果が戦争だ。この機構を真剣に発展させれば戦争にならなかった。これこそ欧州から学ぶべき教訓だ」と語りました。

 志位氏は「東アジアで戦争という道に行かないようにするためには、AOIPを構想のベースにして包摂的な平和の枠組みを作る外交戦略が何よりも大事だ」と重ねて強調しました。


 朝起きて外へ出ると、昨日より寒いし、霜が強く感じられた。予報では昨日ほどではないような話だったのだが、1℃以上下がった。

園のようす。


もはや「政権交代」でしかこの国は救えない…政治の使命を怠った“自公政権”

2022年10月25日 | 社会・経済

日刊ゲンダイDIGITAL 2022/10/25

 9月25日の公明党大会に参席した岸田文雄首相は、「『国民の暮らしを守る』という23年前に自公政権が発足した際の思いをさらに強固にして、この国難をともに乗り越えていこう」と挨拶した。

 政治は結果責任である。だから、自公連立の結果を今、確認してみたい。

 政治の使命は主権者国民大衆の幸福を維持・増進することで、その幸福の条件は「自由」と「豊かさ」と「平和」である。

 まず、過去23年間で、国民の自由は明らかに減殺された。安倍・菅政権時代に報道の自由が急激に失われた。つまり、政権に批判的な言論人が主要メディアにほとんど登場しなくなった。その結果、民主主義の不可欠な前提である「多様な情報の自由」が失われたことは明白である。

 また、過去23年間で、国民も国庫も明らかに貧しくなった。これは隠しようもない。

 さらに、過去23年間で平和が確立されたか? については議論がある。ロシア、中国、北朝鮮の軍国主義がわが国の平和を脅かしている。だから、日本が自由と民主主義を国是とするアメリカ、オーストラリア、イギリス、EUと協力するのは自然である。しかし、アメリカの兵器を言い値で爆買いすることと自衛隊が米軍の二軍のようになることが平和を確保する最良の方法か?は甚だ疑問である。

 以上、自公政権は政治の使命を十分に果たしてきたとは言えない。

 それは、周知のように、政権党の政治家と特定業界忖度官僚が、権力を私物化して、自分たちの既得権益を墨守することに忙しく、真に必要な改革を怠った結果である。


 現行選挙制度の下で政権交代を果たすには、野党も「自公に倣って」共闘するしかない。「天皇を戴く神の国」を目指す政党と仏教政党の共闘に素直に学ぶべきである。

 権力を私物化して法治主義と法の支配を破壊した政権から権力を奪還して「憲法を誠実に順守する政治を確立すること」は、野党共闘の立派な旗印である。
 このような情勢のなか、泉健太代表の「迷走」がおさまらない。 おまけに野田佳彦氏の安倍氏「追悼演説」。「悪夢の民主党政権」と言われた当事者たちだ。
 
強い霜、初氷。

ハウス内で-2.5℃。
ズッキーニ

バジル
コスモス
 

中傷ツイートに「いいね」で名誉毀損判決の杉田水脈氏 総務政務官続投でも「いいね」なの?

2022年10月24日 | 事件

「東京新聞」2022年10月22日 

 性暴力被害を公表した伊藤詩織さんが、杉田水脈(みお)総務政務官を訴えていた名誉毀損きそん訴訟の控訴審で、逆転勝訴した。争点はツイッターで伊藤さんを誹謗ひぼう中傷する投稿に、杉田氏が「いいね」ボタンを押したことの是非。東京高裁は、「いいね」までの経緯などに着目して「名誉感情を毀損する」と判断した。誹謗中傷が飛び交うツイッターに一石を投じる新判断だが、一方で、こんな判決を受けた杉田氏が総務政務官でいいのか、という点も改めて問われそうだ。(特別報道部・山田祐一郎、岸本拓也)

【関連記事】中傷ツイートに「いいね」 杉田水脈衆院議員に賠償命令 東京高裁 伊藤詩織さん側敗訴の地裁判決を変更【動画あり】

 

◆誹謗中傷の厳罰化の流れをくんだ判決

 「いま、誹謗中傷を問題視する声が上がってきている。その社会の変化がこの判決をもたらしてくれた」。20日の判決後原告の伊藤さんはこう語った。

 提訴は2020年8月。元TBS記者の男性から性暴力を受けたと訴える伊藤さんを中傷する複数のツイッター投稿に対し、「いいね」をした杉田氏を相手取り損害賠償を求めた。今年3月の1審・東京地裁判決は「『いいね』が押されたとしても、どの部分に好意的・肯定的な評価をしているかが明確ではない」「ブックマークなどの目的で使用することもある」などとして違法性を否定した。

 ツイッターの場合、別の利用者の投稿に「いいね」を押すと、自分のプロフィール欄に表示される。「リツイート」は、自分をフォローしている人に同じ投稿を拡散することができる。

 中央大の宮下紘教授(憲法)は「情報を拡散する『リツイート』が積極的な加害意図を認定しやすいのに対し、これまでは『いいね』は抽象的、多義的で意図までは見えないという判断が多かった」と話す。今回の高裁判決を「杉田氏の発言など前後の文脈で意図があったと認定した点が重要。その上で、回数の多さや国会議員としての影響力も評価した」と分析する。

 そして今回の判決をこう位置付ける。「『いいね』について賠償を認める判断は初とみられる。インターネット上の誹謗中傷の厳罰化が進んでおり、その流れをくんだ判決だ。社会的評価を下げたかという客観的要件ではなく、名誉感情を害したという主観的要件を認定したのも踏み込んだ判断だ。比較的高い賠償額からも裁判所のメッセージが読み取れる」

◆杉田氏の加害の意図を認定した「特殊なケース」との見方も

 SNSでの誹謗中傷が社会問題化する中、匿名の投稿者を特定しやすくするプロバイダー責任制限法が改正され、刑法の「侮辱罪」に懲役刑が導入された。「いいね」や「リツイート」行為について裁判で責任が争われるケースも相次ぐ。

 リツイートをめぐり元大阪府知事の橋下徹氏がフリージャーナリストの岩上安身氏を訴えた訴訟は、20年6月に2審の大阪高裁が岩上氏に賠償を命じた。松井一郎大阪市長は、現参院議員の水道橋博士氏を提訴。ツイッターで、経歴についての動画を紹介した水道橋氏の投稿に対し、松井氏は「リツイートされた方も同様に対応致します」と書き込んだ。19年に茨城県の常磐自動車道で起きたあおり運転殴打事件で、無関係の女性をあおり運転の車に同乗していたとするデマを引用し、SNSで拡散させたとして、賠償を命じたケースもある。

 SNSのトラブルに詳しい中沢佑一弁護士は「今回の判決は、過去の発言などを検討し、杉田氏の加害の意図を認定した特殊なケース。一般の匿名ユーザーの場合は難しい」と話す。ただ、フォロワーが多く影響力があるユーザーの場合は「いいね」が「リツイート」と同様の拡散効果もあるとし、こう指摘する。「SNSでの発信には責任が伴う。悪口や真偽不明の情報などに『いいね』『リツイート』をすることのリスクを認識する必要がある」

◆同性カップルは「生産性ない」、性暴力被害「女性はいくらでもうそつける」

 特殊なケースとして、「いいね」が誹謗中傷と認定されるほど、杉田氏による伊藤さんへの攻撃は執拗しつようだった。この異様さは杉田氏による数々の差別・中傷発言に通底する。

 2018年には、月刊誌「新潮45」8月号に寄稿し、同性カップルを念頭に「彼ら彼女らは子供をつくらない、つまり『生産性』がない。そこに税金を投入することが果たしていいのかどうか」などと持論を展開。猛烈な批判を浴びて、後に「不適切な表現」と認めたが、謝罪や撤回はしなかった。新潮45は、この問題を受けて休刊した。

 20年9月の自民党会合では、性暴力被害者の相談事業を巡って、「女性はいくらでもうそをつけますから」と発言。杉田氏の謝罪と議員辞職を求めるインターネット上の署名は13万筆余に上ったが、杉田氏はブログで「女性を蔑視する意図は全くない」と釈明したのみだった。

 選択的夫婦別姓導入を巡って、20年1月の衆院本会議で、国民民主党の玉木雄一郎代表が夫婦別姓を選べず悩みを抱える男女の例を紹介した際、議場で「だったら結婚しなくていい!」とやじが飛んだ。野党側は目撃証言などから、杉田氏のやじだとして自民党に事実確認と謝罪を求める騒動になったこともある。

 兵庫県出身の杉田氏は、住宅メーカーや西宮市役所勤務を経て政界入り。日本維新の会や次世代の党などを渡り歩き、17年の衆院選で自民党の比例中国ブロックから出馬し、現在3期目。今年8月の内閣改造では総務政務官に就いた。

◆総務省は誹謗中傷のない健全なSNS利用を呼びかける官庁なのに…

 数々の問題があったのになぜ岸田首相は、大臣、副大臣に次ぐ要職に杉田氏を起用したのか。背景には故安倍晋三元首相との関係の近さがあるという。

 「安倍さんが、保守的な考え方が近い杉田さんをかわいがっていたのは有名な話」と話すのは政治ジャーナリストの泉宏氏。「私が得た情報では、首相も側近も、杉田さんを総務政務官に起用するかどうかを含めて全部党任せにしていた。党内で安倍さんに近い人たちが、結果的に配慮する形で杉田さんを推したのではないか」とみる。

 性的少数者や選択的夫婦別姓などに否定的な杉田氏の言動は、現在解散命令請求に向けて動きが加速している世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の主張と重なる部分も少なくない。16年に米国の教団関連施設で講演したり、19年に行った熊本の講演会の主催者が教団の関連団体だったとの報道もあったが、杉田氏は8月の政務官就任会見で「関係団体を含め、旧統一教会から金銭的、人的支援を受けたことは一切ない」と関係を否定した。

 教団に詳しいジャーナリストの藤倉善郎氏は「現時点で、杉田氏は自民党の中では教団との関係が薄い方だ。しかし、根本的な人権感覚に問題がある人に、政務官がふさわしい役職とは思えない」と話す。

 総務省といえば、電波、情報通信行政をつかさどり、誹謗中傷のない健全なSNS利用を呼びかける側の官庁だ。その政務官がSNS上で中傷を行っていたと裁判所に認定されたのでは示しが付かない。職務の適格性も疑われる。

 ネット上の言説に詳しい評論家の古谷経衡氏は「杉田氏は今の地位以前に、国民の代弁者たる国会議員にふさわしくない」と切り捨てた上で続ける。「杉田氏にはもともと保守的な思想の核がみられない。後発で保守ムラに入り、ムラの男性に気に入られたいために過激なことを言う典型的な『過剰同化』の人。こうした女性は、地方議員を含めてまだまだいる。男性優位の保守ムラの構造がある限り、第2、第3の杉田氏が出てくる」

◆デスクメモ

 判決文には、杉田氏が「いいね」をつけた投稿が掲載されているが、とても新聞には載せられないほど下品な差別語・侮蔑語ばかりだ。こんなに汚い日本語で人を攻撃する品性は、健全な保守思想に合致するとは思えない。杉田氏と、それに同調する人々は本当に「保守」なのだろうか。(歩)


いよいよ明日の予想最低気温は氷点下だ。パブリカのまだ色づかないのも収穫してきた。まだ小さいのがたくさん残っている。

帰りに気づいた。
近くの山も白くなっていた。

 


生活保護費判決 「命のとりで」守らねば

2022年10月23日 | 生活

「東京新聞」社説2022年10月20日

 国が生活保護費を引き下げたのは「違法」と、横浜地裁は断じた。東京・大阪などに続く原告勝訴。デフレ調整の手続きに誤りがあったと明確に述べており、国は重く受け止めるべきである。

 デフレによる物価下落などを理由に、国は二〇一三年から一五年にかけて生活保護の支給額を引き下げた。このため「憲法で保障された最低限度の生活に満たない状況を強いられている」として、神奈川県内の保護受給者が国や自治体を訴えていた。

 焦点は、引き下げの根拠となる生活扶助に充当する消費者物価の指数が適正だったかどうかだ。厚生労働省は「マイナス4・78%」とはじき出していた。

 原告側によれば、指数を出すために選ばれた品目にテレビやパソコンなどが含まれ、その値崩れによって「マイナス3%程度分」が同指数に影響したという。

 さらに総務省統計局が出した消費者物価の総合指数は「マイナス2・35%」にすぎず、これと比べても生活扶助についての物価指数の下落率は大きい。不自然なのは明白だ。

 横浜地裁は「テレビやパソコンを含む教養娯楽の支出割合は、保護受給世帯で相当小さい」と述べたうえで、「統計の客観的な数値との合理的関連性を欠く」と指摘した。厚労省が独自に考案した特異な計算式だったのだ。

 指数の改定により生活保護受給世帯の96%が減額となり、影響も重大だった。それゆえ判決は「厚生労働相の裁量権を逸脱、乱用し、違法だ」と減額処分を取り消した。当然の判決といえる。

 生活保護を巡り全国十三地裁で判決が出ているが、近年は大阪や熊本、東京、横浜の各地裁で「原告勝訴」の判決が相次いでおり、この流れが定着することを願う。

 生活保護費は「命のとりで」といえ、あたかも「物価偽装」の方法で切り下げたのなら、言語道断である。弱者救済の観点から、国はこれ以上、訴訟で争わず、今回の判決結果に従う形で早期解決に進んでほしい。

 現在は急激な円安に伴う物価高で、生活苦の状況はより悪化していよう。今年七月の生活保護の申請件数は、昨年同月と比べ6・1%増だ。ことさら「自助」を強調し、生活保護受給者を批判対象とした風潮を改め、国には生存権を守る意識を高めてもらいたい。


「血も涙もない」とはこのようなことだ。税金の使い方が根本的に歪んでいる。

園のようす。
イチョウが黄色くなってきたがまだ青いのも。

今日はたくさんの鴨が来ていた。30はいただろう。まだ若いようだった。

ツタの葉っぱが落ちてしまった。

ラズベリーガいっぱい。

バラ・ラベンダー・コスモス


日本が目指すべきは「軍事費世界3位」よりも「子育てしやすい世界1位」じゃないのか?

2022年10月22日 | 生活

三枝成彰の中高年革命

日刊ゲンダイDIGITAL 2022/10/22 06:00 

 東京五輪の協賛企業をめぐる贈収賄容疑や統一教会と政界との癒着など、安倍政権の負の遺産が次々と明るみに出ている。

 円安は止まらず、物価も上昇中だ。平均給与はこの30年間、ずっと400万円台でG7各国の最低レベル。国民年金は昨年の6万5075円から6万4816円に目減りし、75歳以上単身世帯で所得200万円以上の人の医療費が1割から2割負担になった。

 こんなときに防衛費の増額など論外だし、“全国旅行支援”も景気回復には焼け石に水だ。

 いま国の税収は67兆379億円、2年連続で過去最高だ。最も多いのは消費税で、全体の32%超。となれば政府が最優先すべきは消費税を減らして国民生活に還元することで、大切なのは子育てと教育に回すことだと思う。

 教育は国の未来への投資

なのに、日本で子どもを産んで育てようとすると、親の負担が大きく、生活が貧しくなるようなしくみになっている。

 今年の出生数は7年連続で過去最少の更新が確実。本気で人口を増やしたいなら、不妊治療も含め出産にかかる費用は無償にすべきだ。そして子どもがひとり生まれたら、全世帯に月額10万円を国が現金給付してはどうか。

 日本では3歳未満に月額1.5万円、3歳以上から小学校修了前は月額1万円(第3子以降1.5万円)、中学生は月額1万円の児童手当があるが、フランスはより手厚い。基本は第2子以降の20歳未満の児童を対象に支給される「家族手当」で、世帯年収によるが最大で月額約1.9万円、14歳以降は約1万円加算され、第3子、第4子はさらに金額がアップする。

 ドイツでは「育休」にあたる「両親時間」が最長で3年間取得でき、職場復帰も法的に保証。収入のある人は最高で平均賃金の65%の約23万円、無収入でも月額約4万円が支給されるという。

 日本でも、もっとやれるだろう。保育施設も含め、義務教育の費用はすべて無償化してほしい。公立学校が給食費や教科書代を取るのもおかしい。公立小学校では教育費や給食費に年間で約10万円(18年、文科省調べ)かかるが、国が持つべきだ。現役世代の親の時間が子育てにそがれないように企業内の保育施設を増やすべきだし、保育士の給与引き上げも必要だ。

 コロナや不景気で庶民の生活が圧迫され、日本が長年誇りにしてきた「先進国」の枠からも外れようとしているのに、このままでいいはずがない。

 消費税は5%以下に戻すこと。そしてコロナ以前から高収益で内部留保を抱えている企業は多いのだから、そこからもっと法人税を取ればいい。

 幕末から明治の日本を訪れた外国人が驚いたのは、日本の教育レベルの高さだった。そんな美点さえ、この国の指導者たちは捨てるつもりなのか。

 現在の日本の防衛費はGDP比1%で約5兆円、世界第9位だ。安倍さんの“遺言”によって、これが2%の10兆円となれば、アメリカ・中国に次ぐ第3位となる。防衛費増額に必死なのは、アメリカに乗せられて買った高額の兵器の支払いのためだ。

 日本が「戦争のできる国」として世界第3位になるより、「安心して子どもを産み、育てることができる国」として、世界第1位になるほうがよほど誇らしくはないか?

三枝成彰作曲家

1942年、兵庫県生まれ。東京芸大大学院修了。代表作にオペラ「忠臣蔵」「狂おしき真夏の一日」、NHK大河ドラマ「太平記」「花の乱」、映画「機動戦士ガンダム逆襲のシャア」「優駿ORACIÓN」など。2020年、文化功労者顕彰を受ける。


 全くそのとおりです。物価高がすすむ中で賃金上がらず、年金カット、生活保護までカット。国民の負担率は高まる一方である。高い介護保険負担もさらに利用しづらいものに変えようとしている。

ナシを1個、食べてみたが甘みはあるがまだ固い。もう少し待つか。


統一協会 自民議員と“政策協定” 幹部「推薦確認書」認める

2022年10月21日 | 生活

「しんぶん赤旗」2022年10月21日

同性婚反対 憲法改定 選挙応援の条件

 統一協会(世界平和統一家庭連合)のダミー団体が、国政選挙で自民党候補者らに推薦確認書への署名を求めていたことが20日、分かりました。同日、記者会見した同協会の勅使河原秀行・改革推進本部長が認めたもの。統一協会側は「考えが一致する先生に対して応援する」としています。同協会は同性婚などジェンダー平等に反対したり、軍事力増強を求めたりしており、これらの思想に共鳴する自民党候補者らと事実上の政策協定を交わしたとみられます。(統一協会取材班)

 推薦確認書を提示していたのは統一協会のダミー団体「世界平和連合」。会見で勅使河原氏は同連合が推薦確認書への署名を求めていたことについて、「そういう説明を聞いたことがある」と述べました。同連合の会長は、国際勝共連合の梶栗正義会長です。

 勅使河原氏によると2、3年前に同氏が世界平和連合側に「政治家を応援するときに私たちの思想や理念と一致しているのをどうやって確認しているか」と質問した際に、用紙を見せられたといいます。用紙は「こういう法律を制定するのに賛成するか」というような内容だったとしています。

 推薦確認書は(1)憲法を改正し、安全保障体制を強化(2)家庭教育支援法・青少年健全育成基本法を制定(3)LGBT問題、同性婚合法化の慎重な扱い(4)「日韓トンネル」実現を推進(5)国内外の共産主義勢力の攻勢阻止―など反共反動の政策を列挙しています。これらの政策と一致する自民党議員、候補者らが推薦確認書を交わす対象とみられます。

 統一協会と世界平和連合との意思疎通について勅使河原氏は「高いレベルで相談はある」とし、協会の田中富広会長と梶栗氏が話し合っていることを事実上認めました。

 自民党は所属議員に統一協会との関係を自主点検するように指示をしていましたが、推薦確認書への署名については点検項目に入っていません。

 本紙は昨年の総選挙で東京都内の各選挙区と比例東京ブロックから選出された自民党議員19人に、統一協会側と推薦確認書を結んだかどうか質問しました。井上信治議員、小倉將信議員、土田慎議員、萩生田光一政調会長は「結んでいない」と回答。そのほかの議員は締め切りまでに回答がありませんでした。


園のようす。
バラが沢山の蕾を付けています。

真っ赤に染まったブルーベリーの葉。

咲き出した小菊。

ラベンダーが頑張っています。


ドキュメンタリー映画「教育と愛国」 JCJ大賞受賞

2022年10月20日 | 映画

監督・毎日放送ディレクター 斉加尚代さん

「しんぶん赤旗」2022年10月20日

メディアを分断した安倍政治 踏ん張る記者生かすのは市民

 政治の力で変貌していく教育の問題に焦点を当てた、ドキュメンタリー映画「教育と愛国」がJCJ大賞を受賞しました。監督は、大阪の毎日放送(MBS)のディレクター・斉加尚代さん。メディアは何ができるのか、斉加さんに話を聞きました。(渡辺俊江)

 ―JCJ大賞を受賞されての感想や、映画「教育と愛国」が上映されての反響を聞かせてください。

 優れたジャーナリズム活動を表彰するJCJ大賞に映画「教育と愛国」が選ばれるとは、予想だにしていませんでした。報道記者として歩んできた私にとってこの賞は、とてつもなく重く、名誉なことです。これまで支えてくれた全てのスタッフと劇場関係者、そして観客の皆さんが押し上げてくださったゆえの受賞だと感じます。

 公開前は教育に対する政治介入をテーマに淡々と描く作品がどれほど受け入れられるだろうかと不安もあったのですが、結果はヒット作と言われるまでになっています。感想も幅広く、「背筋も凍る政治ホラーだ」と評する方や「よくぞ、作ってくれた」と感謝してくださる方、また「涙が止まらなくなった」とおっしゃる方まで、お客さんによって刺さるポイントがどうも違うようです。制作者の意図を超えて映画がどんどん育てられていると感じます。これは大きな喜びです。上映後の舞台挨拶で印象的なやりとりは数多くあるのですが、たとえば、教員を目指しているという女子学生さんが私の顔を見るなり「悔しいです」と述べて絶句し大粒の涙を流されたことや、現役の教員が「この映画の中に自分の苦しみの原因が描かれている。いまも苦しいけど、子どもたちのために頑張ります」と話されたことなどです。

 ―映画は「教育と政治」について問いました。それは「メディアと政治」にもつながります。権力を批判するのではなく、すり寄ることがメディアの内部で起きています。

 安倍晋三元首相による長期政権の功罪を振り返れば、メディア全体に大きな分断をもたらした罪は大きいのではないでしょうか。一国のトップは、どのメディアにも公平に接するというモラルを崩壊させました。自分の意に沿うメディアを優遇し、単独インタビューに応じたりテレビに出演する一方、自身にとって都合の悪いメディアを忌避するだけでなく名指しして攻撃するという愚挙に走りました。

 説明を尽くし社会の合意を取り付ける役割を果たすべき政治家が、言葉を用いて「敵」と「味方」を色分けし人びとに分断をもたらします。メディア自体も権力監視の機能を後退させて批判力を低下させたと思います。分断のせいでメディアが一丸となって権力に対峙(たいじ)できなくなったことに加え、「批判ばかりする」と読者や視聴者の一部がメディアの存在価値を理解せず、権威主義に染まっていることも一つの原因ではないかと思います。

 ―番組や取材が政治家から、またSNSで激しいバッシングを受けることがあります。斉加さんは「記者に息苦しい、殺されかけていると感じさせる」と言われています。

 いま記者たちの存在が殺されかけているのは、二つの側面からです。一つは特定の政治家からの激しい言葉による扇動やSNS上での発信によって個人攻撃されると、顔の見えないネットユーザーらが大群のように押し寄せて挟撃され窮地に陥ってしまう危険と隣りあわせであることです。ネット炎上をできれば避けたいと気にする記者やデスクが多くなりました。もう一つ、さらに深刻なのが、日本経済の衰退によって新聞・テレビ等の広告収入が減り、企業メディアの経済基盤が弱くなったために記者の数が減らされ、稼げる記事をもっと書けと圧力をかけられたり、視聴率主義に記者を追いやってジャーナリズムが二の次になっていることです。

 テレビ局の場合はとりわけ政治をエンタメ化してでも視聴率を取りさえすればよいとする傾向が強まっています。人気の高い政治家やコメンテーターに依存し、主体的に検証しようとしない情報番組をよしとする姿勢も問題です。世界が戦争に向かう恐れもあるなか、危険な言論空間が出現していると私は感じます。そしていま真面目に踏ん張る記者を殺すのも生かすのも、実は読者であったり、視聴者であるということを付言したいと思います。

 ―「取材とは、自分と違う立場とを行き来すること」というのが斉加さんの信念です。それを育てられたのは、MBSの報道DNAだとか。

 MBSドキュメンタリー「映像」シリーズは、作り手が独自の視点で自由に果敢に制作できるという気風で続いています。月1回の放送でもう42年目を迎え、テーマも多岐にわたります。私自身の「映像」第1作は、ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の西村隆さんが車椅子で生活し、時間をかけてパソコンに打ち出す文字で会話しながら4人の子どもたちの成長を支え人生を輝かせているという作品でした。明るさとユーモアを失わない西村さんは、「自分とは違う」大きな存在でした。

 取材とは、自分とはまったく違う人たちと出会うことだと思います。実際、「映像」はマイノリティーを多く取り上げてきましたし、政治的立場に関係なく相手と対話し、知ることこそが取材です。

 ―報道がジャーナリズムとして存在するためには何が必要でしょうか。仕事をする上での原動力は何ですか。

 出会いから生まれる問いに私は突き動かされます。映画「教育と愛国」の製作では、大阪維新の会による教育改革を知って「俺たちの学校をつぶすってことは、俺たちもいらんということやろ」と真顔で一人の生徒から聞かれ、こんなふうに思わせる政治主導の教育はおかしいではないかとの問いが出発です。

 全ての子どもたちが幸せを感じられるよう、貧困や差別、戦争を遠ざけて、平和を享受し自由に生きられる社会を実現させたい。そんな社会を理想に掲げて進んでゆくことが教育とジャーナリズムの使命です。どちらも未来に目を向ける仕事だと思います。目先だけの利益を追求する強欲ビジネスとは相いれない。そこが私の原動力だし、失いたくない軸なのです。

■映画「教育と愛国」

 政治介入で様変わりしていく教育の現場をつぶさに取材した作品。2017年に放送した「映像 ’17」(関西ローカル)の同名ドキュメンタリーに、日本学術会議任命拒否問題などを追加取材して完成しました。小学校の道徳教科書で「パン屋」が「和菓子屋」に、高校の歴史教科書では沖縄の集団自決について「軍の強制」が削除されたことを告発。大阪維新の会による「教育改革」にも鋭く迫ります。

 22日から埼玉・川越スカラ座で公開。今後、全国で自主上映会開催。

 さいか・ひさよ 1987年MBS入社。報道記者を経て、2015年からドキュメンタリー担当ディレクター。テレビ版「愛国と教育」でギャラクシー賞テレビ部門大賞など。


 この季節、テントウムシダマシやカメムシの大発生。天気の良い日には家の壁や窓にびっしりと。下手に玄関を開けられません。おまけに両者とも臭い。そろそろ窓の雪囲いをと始めたのですが、いやはやなんとも・・・

シコンノボタンが咲き始めた。


斎藤 幸平 資本主義が優れていて「社会主義は最悪」という考えの危険性とは――。

2022年10月19日 | 生活

日本人は「資本主義の怖さを知らなさすぎる」の訳 マルクス主義はソ連と中国とはまったく異なる

 斎藤 幸平

東洋経済オンライン2022/10/18 

 

資本主義が優れていて「社会主義は最悪」という考えの危険性とは――。

     日本人は「社会主義」や「マルクス」という言葉に嫌悪感を示しがちだ。しかし、東京大学准教授の斎藤幸平氏によると、私たちは「社会主義は最悪だ」と思い込むことで、資本主義が地球環境や社会を破壊し尽くしていることに気づけなくなっているという。斎藤氏の最新刊『天才たちの未来予測図』より、「日本と世界が直面している危機」について紹介する。

    私はマルクス主義者として、地球環境と社会を破壊し尽くそうとしている「資本主義」を乗り越え、もっと誰もが自由で、幸せに生きられるコミュニズムの可能性を考えようとしています。

本当に社会主義は最悪なのか?

    マルクスやコミュニズムに悪いイメージを持っている人も多いと思います。たとえば、私はTwitterのプロフィール欄に「マルキシスト」と書いていますが、それを見た人から「やばい人ですか?」と聞かれます。

    プロフィール欄に「起業家」とか「CEO」とか書いてあっても、別に誰もなんとも思わない。「あ、そうなんだ」で終わりですよね。けれどそれが「マルクス主義者」や「左翼」というと、「こいつはちょっと危ないやつなんじゃないか」と思われてしまう。

ただ、そう感じる人の気持ちもわからなくはありません。ソ連のスターリンや中国共産党には独裁のイメージがあるし、左翼の運動といえば、かつての学生運動の殺し合いみたいなこともたしかにありましたから。

    実際、ソ連がよかったかというと、私自身も最悪だと思っています。中国だって北朝鮮だってひどい。日本の社会のほうが断然いいです。

なので、もちろんソ連を現代に復活させたいわけではありません。

    それでも、私が社会主義やコミュニズムの必要性をあえて訴えているのには、2つの理由があります。

第一に、ソ連や中国は社会主義というよりも、国家・官僚主導型の資本主義だったという点です。あれを社会主義だと見なすこと自体が間違いだとわかってもらいたいからです。実は、マルクスが描いていたコミュニズムは、ソ連と中国とはまったく違う社会です。

もう1つの理由は、前述のイメージとも関連しますが、ソ連や中国を唯一の資本主義への代替案と見なすことで、「資本主義ではない社会」への想像力を私たちが失っているからです。

    つまり、みなさんに考えてみてほしいのは、「社会主義は最悪」という固定観念のせいで、「だから資本主義しかない」と思わされている可能性です。「マルクス主義や社会主義はやばい」と信じることで、「日本最高じゃん」「アメリカみたいになろうぜ」というマインドになってしまっているわけです。

    けれども、本当に日本は最高ですか? こんなに格差や不平等があるのに?

今、民主主義も脅かされています。せっかく、これだけ技術も発展したのだから、もっと平等で自由な社会の可能性を考えてみてもいいと思います。そして、そのヒントを与えてくれるのがマルクスなのです。

資本主義のもとで生じている問題

    資本主義のもとで現在生じている問題は、ざっくり大きく2つあります。

1つは格差が圧倒的に広がってしまっていること。

特にアメリカで顕著ですが、ジェフ・ベゾスやマーク・ザッカーバーグ、イーロン・マスクといった一部の成功者がものすごい資産を持っている。プライベートジェットを乗り回し、いくつもの豪邸を世界中に持っているわけです。宇宙にも行こうとしていますよね。しかも彼らは、コロナ禍にますます資産を増やしている。

一方で、コロナ禍で職を失い、一気にホームレスに転落したりなど、苦しい生活を強いられている人が、日本やアメリカにもたくさんいます。

そこまでではないにしても、仕事があり、衣食住が保証されている私たちもとても豊かだとはいえません。月々の家賃を払って、携帯電話の料金を払って、何回か飲み会をしたら、財布はすっからかん。そんなカツカツの生活しか送っていないじゃないですか。ものすごい長時間労働を強いられ、いつクビになるかわからないという不安を抱えて必死に働いているにもかかわらず。そんなクソみたいな社会でいいのかという話です。

    もう1つの危機は、気候変動が深刻な問題となっていることです。

このままのペースで気候変動が進めば、今世界中で起きている異常気象は、山火事や洪水のような自然災害のみならず、水不足や食糧危機をもたらしますし、難民問題も引き起こします。若い世代や途上国に住む人たちにとっては、文字通り死活問題になるような大きな環境変化が起きるでしょう。もう気候変動問題は、本当に一刻の猶予もないところにまできています。  

    そしてここにも、経済格差の問題が隠れています。

富裕層が便利で贅沢な暮らしをするために、大量のエネルギーや資源を使っている。たとえば、プライベートジェットに1人で乗るのに、わざわざ膨大な燃料を消費して、鉄の塊を飛ばしています。「持てる者」たちの、「快適さ」を追求するために、とんでもないエネルギーの浪費が行われているわけです。けれども、彼らは気候変動の影響をほとんど受けません。犠牲になるのは、いつも貧しい人たちなのです。

    だから、もっと平等で、持続可能な社会をつくっていかないと、金持ちのせいで、私たちの生活は脅かされてしまう。地球を犠牲にしながら、富める者たちが、より富むようになっていくという資本主義の仕組みは「限界」を迎えつつあるのです。

    たぶん、環境危機の問題と不平等の問題が、密接に関係していること、そしてそれが資本主義の欠陥と関係していることは、うすうすみなさんも気づいていると思います。新しい社会に移行したいという気持ちが、日本でも高まっているのだと思います。

ソ連は「社会主義」ではない

    繰り返しますが、ソ連のほうがよかったなんていいたいわけではもちろんありません。そもそもソ連や中国の問題点とはなんなのでしょうか。彼らのマルクス理解は、大雑把にいうと次のようなものでした。

    まずみんなでどんどん経済成長するために、技術革新を起こし、生産力を上げていく。しかし、資本主義だとせっかく生み出した富がすべて資本家たちによって独占されてしまい、労働者たちは貧しいまま。そこで、革命により資本家たちを排除すれば、社会の富を全員でシェアでき、誰もが豊かな生活ができる。

……なので、ソ連や中国は技術の発展と生産力の向上を徹底的に志向したわけです。しかし、それで社会主義になるというのは、幻想です。

    飢餓や病気を抑えて生存するために、ある程度まで経済成長や技術発展が必要なのは当然です。しかし、経済成長だけを求めると、労働者たちは酷使され、ものすごい環境破壊が引き起こされます。「資本家打倒」という反米のお題目を唱えて、人間も自然も犠牲になる。実際、ソ連ではアメリカや日本よりもひどい人権問題や環境破壊が起きていました。

    では、なぜこのようなことが起きたのか。それはソ連が「社会主義」ではなかったからです。

「とにかく生産力を上げて、経済成長しよう」という幻想に陥った結果、やっていることは資本主義とあまり変わりませんでした。ただ、資本家支配が官僚支配に置き換えられただけだったのです。これは私が目指す社会とはまったく違うものです。ソ連が崩壊し、資本主義が地球環境を破壊している今だからこそ、私たちは改めて、資本主義の問題点を解決するために、マルクスに立ち返るべきなのです。

    資本主義によって生じている問題の解決法は、マルクスの「研究ノート」を読み込むと見えてきます。

    マルクスの最も有名な著作は『資本論』ですが、この本は完成していません。マルクスは最後の最後まで研究を続けたけれど、未完に終わった。だから、マルクスの最晩年の思想を知ろうとすると、彼の研究ノートを読まないといけないのですが、そこには、自然科学についての記述がたくさんあったのです。

    私の最初の本『大洪水の前に マルクスと惑星の物質代謝』(堀之内出版)は、そのノートを読み解いていった本ですが、晩年のマルクスは、かなり環境問題に目を向けていることがわかります。「資本主義的な発展」の中で、とにかく利潤を上げるために技術開発ばかりに目を向けると、労働者がますます服従させられ、自然環境も劣化させていくと、はっきりと批判しているのです。

「格差」と「環境問題」を同時解決

    その批判を今日に置き換えてみましょう。現代は「人新世」の時代だといわれています。人新世とは地質学の概念で、人類の経済活動が地球の気候や生態系に影響を及ぼすようになった時代のことを指します。

    資本主義がひたすら経済成長を目指した結果として、人類は地球のあり方を根底から変えるようになり、それが今、気候変動やパンデミックという形でしっぺ返しを食らうようになっている。この危機を、無限の経済成長を有限な地球上で求める資本主義は解決できない、というのが晩年のマルクスが考えていたことでした。

その際、マルクスが直面した課題は次のようなものです。つまり、「格差」と「環境問題」を、「同時に」解決する道を探さなければならないということです。

1つだけを解決することならできるかもしれません。たとえば、格差の問題を解消しようとして、さらなる大量生産、大量消費による経済成長を目指すことは可能でしょう。けれども、そうすればどうなるか。生産・消費の加速に、自然が耐えられず、環境が破壊されてしまいます。

したがって、「格差」と「環境」を「同時に」解決していかなければ、文明崩壊の危機は乗り越えられないのです。


 発達した資本主義国では、資本主義を乗り越えたならさらなる「大量生産、大量消費」を目指す必要はありません。偏った富を再分配すればいいことでしょう。社会主義とは、資本家が独占した富を社会が共有する社会です。すべての働く人々が、すべての労働が、平等に認識される「多様性」の上に立った社会なのです。

園のようす。


統一協会の解散命令を

2022年10月18日 | 社会・経済

元2世信者らネット署名開始 計40団体・個人 呼びかけ人に

「しんぶん赤旗」2022年10月18日

 統一協会(世界平和統一家庭連合)の解散命令(宗教法人格取り消し)を求めるネット署名が17日、始まりました。小川さゆりさん(仮名)、作家の冠木結心さんといった統一協会の元2世信者たちや識者、「全国統一協会被害者家族の会」など計40の団体・個人が呼びかけ人になっています。

 署名期間は1カ月を予定し、永岡桂子文部科学相、葉梨康弘法務相、甲斐行夫検事総長に提出します。署名では、解散命令を速やかに裁判所へ請求するよう求めています。

 署名と同時に提出予定の申し入れ書では、解散を求める理由として、▽統一協会による被害は重大で今なお継続している▽刑事裁判を含め複数の裁判で同協会の組織的違法性が認定されている▽国がこの問題に対処してこなかったことが間違い―などと指摘しています。そのうえで、統一協会は「全国民に被害をもたらす宗教法人」だと強調しています。

 また申し入れ書は、同協会が先祖の因縁で不幸になるなどの教義によって恐怖を与え精神的に追い込み、不幸を避ける方法として高額な献金をさせると指摘。これらが信者らの経済的困窮を生み出し、脅迫観念にかられた親が子どもに信仰を強要する根本的な原因だとしています。

 解散命令が出れば、税制優遇を失います。他方で、過去の被害は直ちに回復されません。このことから解散命令とは別に、被害の予防・救済や2世への社会的支援のための制度の整備が求められるとしています。

 署名は17日午後6時半時点で、2万3千人の賛同が寄せられています。

*   *   *

旧統一教会に対する岸田首相の本気度はどの程度なのか 「調査」でシロならお墨付き与える恐れも

「東京新聞」2022年10月18日 

◆「調査」で何ができる?限界は?

 では、宗教法人法に基づく「調査」では一体何ができるのか。

 同法は1996年の改正で、宗教法人が法律に違反するなど、解散命令等に該当する疑いが出た場合、法人幹部や関係者に業務や管理運営について報告を求めたり、質問したりできる規定ができた。

 しかし、これまでに一度もこの権限が行使されたことはない。旧統一教会に詳しいジャーナリストの鈴木エイト氏は「政府は信教の自由などを理由に解散命令請求や質問権の行使に慎重な姿勢に終始していたが、踏み込んだ対応だ」と話す。

 ただ、質問権行使は初となるだけに、文化庁の進め方は慎重だ。まずは25日に専門家を集めた会議を開き、どういう場合に質問権を行使できるのか、基準づくりを始める。基準案が固まったら、法律家や宗教団体関係者らでつくる国の宗教法人審議会で、基準案や、教団側への質問項目について意見を聞いて、ようやく具体的な調査に入る。

◆いつまで?「断定的に申し上げられない」

 調査はいつ終わるのか。岸田首相は17日の国会で「少なくとも年内には(質問の)権限の行使はしたいが、いつまでに、とは断定的に申し上げられない」と明言しなかった。

 調査には限界が多い。施設の立ち入り調査をするには宗教法人側の同意が必要となり、強制力が働かない仕組みとなっている。宗教法人側が質問を拒否したり、うそをついたりしても、科されるのは10万円以下の過料にすぎない。

 文化庁の調査能力という点でも懸念が残る。実務を担う宗務課の本年度の定員は8人、予算はわずか4700万円だ。体制としては心もとない。

 しかも宗務課の調査・判断能力についてはすでに裁判所から疑問符が付けられている。2014年に鳥取地裁米子支部は、教団を巡る訴訟の和解調書に「従前の宗務行政の適法性・妥当性に疑問の余地がないわけではない」と国の対応を批判する文言を記した。その後、国が猛反発してこの部分は削除されたが、宗務課自身がこの訴訟の中で「宗教法人法上、宗務課は統一教会の行う伝道活動、霊感商法、献金献身の強要の実態について調査を行うことは困難」と自らの限界を吐露している。

◆調査している間に被害は拡大

 全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)などは、調査能力に乏しい文化庁の判断を待つのではなく、すでに積み上がった数多くの判例などを基に実態把握をすれば、すぐに解散命令請求を出せるはず、という立場で、再三にわたって文化庁に申し入れてきた。

 いまさら調査を一から始めるとかえって手続きに時間がかかる。全国弁連は17日、「その間に被害が拡大する懸念も否定できない」との声明を出した。

 消費者庁に設けられた霊感商法などの対策検討会の委員で弁護士の菅野志桜里氏は「すでに弁護団やジャーナリストらが積み上げた教団の組織的な法令違反行為を裏付ける裁判資料や内部証言はあまたある。これを活用すれば、解散命令請求まで1年も2年もかかる事案ではない。宗務課の体制を強化し、民間の資料を生かして事実の分析をきちんと進めるのかどうかが、岸田政権の本気度を測る試金石となる」と指摘する。

 一方、上越教育大の塚田穂高准教授(宗教社会学)は質問権の行使が、必ずしも解散命令請求に結び付かない点に懸念を示しつつ、こう語る。

 「質問権の行使は解散命令請求に進む唯一の道ではない。民事・刑事の違法事案の蓄積などから解散命令請求の要件が整うならば、遠回りせずスピード感をもって請求すべきだ。初の質問権行使の手続きや準備にもたつき、質問や調査が不首尾に終われば、かえって教団にお墨付きを与えることになりかねない。この点を非常に危惧している」

◆デスクメモ

 衆院「解散」といえば首相の伝家の宝刀だが、今や旧統一教会の「解散」も、それに匹敵する重大な政治決断を伴う。初の質問権行使はその前段かと思ったら、自民党議員の声を聞くとどうにも心もとない。もし、単なる時間稼ぎなら、世論に岸田内閣の「解散」を求められるだろう。(歩)

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署名はこちらからお願いします。キャンペーン · 統一教会の宗教法人解散(法人格取消)を求めます · Change.org


今日は降ったり止んだり、写真も取り忘れていたので昨日アップしなかった1枚を。色がきれいなのですよ。


大学生に「生活保護」は必要か? 論争必至も、「必要」といえる理由とは

2022年10月17日 | 生活

今野晴貴NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。

 今月5日に厚労省が発表したところによると、生活保護の申請件数が前年同月比で6.1%増加した。前年の水準を上回るのは3ヶ月連続で、コロナ禍やウクライナ情勢に伴うインフレの影響が出てきているのではないかと思われる。

 生活に困窮した際に、憲法に基づく生存権を保障するのが生活保護制度である。しかし、対象を国民に限定しているために、一部を除く外国人には適用されないほか、実は大学生も適用対象外となっている。

 コロナ禍で家計が厳しくなったり、自身がアルバイトに従事できなくなるなどの要因により、学生の貧困が深刻化していることを踏まえ、昨年の経済対策では大学生などへの10万円給付が実施されている。

 そして現在、厚生労働省の「社会保障審議会(生活困窮者自立支援及び生活保護部会)」では、5年に一度の生活保護についての検討が行われており、大学生への生活保護適用も議論されている。ただし、否定的な議論が大勢を占めているようだ。

 こうした状況を踏まえ、大学生の当事者と支援する弁護士により、大学生への生活保護適用を求めるオンライン署名が行われている。

参考:緊急-5年に1回の審議会-魂の叫びを無視しないで-虐待から逃れた大学生-頼みの綱は生活保護です?

 だが、一般的な目線から言っても、「大学生への生活保護適用」は大きな反発が予想される。そこで今回は、なぜ大学生には生活保護が適用されないのか、そしてなぜ今大学生が生活保護を必要としているのか、について実情に即して考えていきたい。

大学生に生活保護が適用されない理由

 まず、大学生に生活保護が適用されない理由を確認しておこう。実は、この点について法律(生活保護法)に明文化されているわけではない。厚労省による通達にで定められているだけだ。生活保護運用の「ルールブック」の一つである『生活保護手帳 別冊問答集』には次のような記述がある。

「ただし、大学等に就学するものについては、すでに高等学校への就学によって得られた技能や知識によって、当該被保護者がその能力(稼働能力)の活用を図るべきであることから、生活保護上は世帯分離措置によって取り扱うこととしている」

 この一文だけでは分かりにくいので、解説しよう。まず、生活保護の対象となるのは個人ではなく、「世帯」である。これは住民票や健康保険などの世帯とは直接関係のない、生活保護独特の概念規定がなされている。大まかに言うと、「居住」と「生計」が同一であることをもって同一の世帯と見なしているのである。

 「居住」については、例えば、友人同士で同居している場合にも同一世帯と見なされる(一時的に居候しているだけの場合は異なる)。また、居住が一緒でなくても、出稼ぎしている場合や入院している場合などは「生計」が同一であるとして、同一世帯と見なされる。

 このように判断される「世帯」において、収入や資産などの要件を満たした場合に生活保護の受給が可能となる。大学生の場合には、実家暮らしであれば当然に同一世帯であるし、一人暮らしの場合にも生計が同一であるとして、同一世帯と見なされる。

 その上で、大学生は「稼働能力活用」という要件を満たしていないから、世帯分離をして生活保護の対象外とする、と言っているわけである。

 稼働能力の活用については、①稼働能力の有無②稼働能力を活用する意思の有無③稼働能力を活用できる場の有無、の3要素で判断するとされる。病気や障害があり働けない場合には①を満たしているし、就職活動をしても仕事が見つからないという場合には②③の観点から要件を満たしているとみなされる。つまり、大学生の場合には、働ける能力はあるのに働こうとしていないから要件を満たさない、という扱いになっているわけだ。

 なお、夜間大学に通っている場合には、日中に稼働能力を活用しているということであれば保護の適用が認められている。また、出身世帯がなく病気で働けないという大学生は、休学の手続きをした上で保護を適用することが認められている。ただし、出身世帯がある場合には、世帯全体として保護基準を満たしていなければならない。

 以上は、高校生に生活保護を認める場合にも共通する論点であった。生活保護法が制定された当時には中学校を卒業すれば働くべきだ、ということになっていた。しかし、高校進学が一般化し、進学率が8割を超えた1970年に保護の適用が認められたという経緯がある。

 『学校基本調査』によれば、大学を含む高等教育機関進学率は2021年に83.8%となっており、この点からも大学生に対する保護の適用を認めるべきタイミングにきているように思われる。

前提として知っておくべき、「大学生がおかれた現状」

 次に、大学生に生活保護が必要かを考える前提として、まず押さえておきたいのは、学生の経済状況は親の経済状況に依存しているということだ。

 これは当たり前のことのように思われるかもしれないが、世界的にはそうとは言えない。日本が高等教育費負担において、親への依存度が世界有数の高さだからこそ、起こりうる現象なのである。

 

図1 高等教育費の支出割合 OECD「Education at a Glance 2021」より作成
図1 高等教育費の支出割合 OECD「Education at a Glance 2021」より作成

 図1を見てわかるように、日本は主要先進国の中でも高等教育費の親依存が最も高い部類に入ってくる。家計支出が52.7%と、上に挙げた国の中で最も高い数値だ。アングロサクソン諸国は親依存度が高く、北欧・大陸ヨーロッパは親依存度が低い傾向にあるが、OECDの平均では公的支出69.9%、家計支出21.6%と、教育が公的に保障されている国が多いことがわかる。北欧のスウェーデンに至っては公的支出88.4%、家計支出1.1%と、日本と全く真逆の状況になっている。

 このように教育費負担が親に依存している状況だと、子どもが教育を受けられるかどうかが親の経済状況に左右されざるを得ない。では、親の経済状況はどうなっているのかというと、年々世帯収入は減少の一途をたどっている(ただし、子供をもつ親世帯の年収に限れば増加傾向にあり、そもそも低所得世帯は子育てが不可能になっているという事情もうかがえる)。

 図2 世帯収入の推移 国民生活基礎調査より作成
図2 世帯収入の推移 国民生活基礎調査より作成

 ピーク時の1994年の664.2万円から減少傾向を続け、最新2018年には552.3万円と、100万円以上も下がってしまっている。

 しかも、世帯年収が減少傾向にあるにもかかわらず、教育費は高騰を続けている。特に学費については、国立大学において、1975年には授業料が36000円、入学料が50000円だったが、2005年以降現在に至るまでに授業料は53万5800円、入学料は28万2000円(現在は国立大学法人、いずれも標準額)と、授業料は14.8倍、入学料は5.6倍も高騰しているのである。私立大学においては、これ以上の負担を強いられていることは言うまでもない。

 図3 国立大学及び私立大学授業料と入学料の推移 出典:文部科学省「国立大学と私立大学の授業料推移」
図3 国立大学及び私立大学授業料と入学料の推移 出典:文部科学省「国立大学と私立大学の授業料推移」

 文科省は授業料の標準額から2割増の64万2960円までの増額を認めており、実際に、2019年度からは東京工業大と東京芸術大が、2020年度からは千葉大、一橋大、東京医科歯科大が授業料の増額を行っている。東京工業大を除く4大学で上限いっぱいの2割増の金額となっている。増額の理由としては、外国人教員の招聘、語学教育の充実など教育と研究における国際化の推進が多く挙げられている。

 さらに、文科省は国立大学法人の授業料「自由化」を検討しており、大学の裁量でさらなる授業料の値上げが可能になるかもしれない。

 世帯年収の減少に対して教育費が高騰していれば、当然子どもへの仕送りや小遣いの額も減少していく。図4の全国大学生協連の「学生生活実態調査」によれば、仕送り10万円以上の層が激減し、仕送り5万円未満と0円の層が増加傾向にあることがわかる。

 図4 下宿生の仕送り額分布 出典:全国大学生協連「第56回学生生活実態調査」
図4 下宿生の仕送り額分布 出典:全国大学生協連「第56回学生生活実態調査」

 以上見てきたように、日本の教育費負担は親に依存しているものの、親が負担しきれなくなっている。そのため、奨学金やアルバイトによって埋め合わせているのが現状だ。

奨学金利用数の減少とその背景

 ところが、その奨学金の利用も近年減少している。その原因は、奨学金制度の「借金」としての過酷さが世間に広がり、借り控えが起きているとみられる。実際に、学生の74.4%が返済に不安を感じているという。

 奨学金利用者数の推移を見ると、奨学金の貸与人員は2013年度をピークに低下傾向にある。1998年の50万人から、2013年の144万人に至るまで急速に拡大してきたが、2018年には127万人まで減少している。

 労働者福祉中央協議会の「奨学金や教育費負担に関するアンケート調査」(2019年3月)によると、日本学生支援機構の奨学金利用者の平均借入総額は324万3,000円にもなり、借入総額500万円以上の割合も12.4%に上っている。社会への入り口で、これだけの借金を抱えてのスタートとなるわけだ。

 実際に、奨学金を返済できず自己破産する若者が相次ぎ、保証人も返済できずに破産する「破産連鎖」も生じて社会問題化した。そうした中で、2020年度からは修学支援制度が創設され、授業料無償化と給付型奨学金が実現したが、対象となる世帯は年収270~380万円とかなり限定的だ。

 給付月額も、住民税非課税世帯の場合、国立大学で自宅生29200円、自宅外66700円、私立大学で自宅生38300円、自宅外75800円となっており、少なくとも単身者は生活保護の生活扶助(生活費)分よりも少ない水準であるため、これだけでは生活できない可能性が高い。

 さらに、親権者の同意やマイナンバーの提出が求められるため、虐待を受けている学生が申請するのは困難であろう。さらに、給付型・貸与をとわず、奨学金の口座を親が管理し、自らの生活費・遊興費などに充ててしまうことも珍しくはない。

参考:「死んでチャラにしようと思った」 奨学金3000件調査から見えた「生の声」

 結局、奨学金を借りることをあきらめて、学生はますますアルバイトを増やす方向に傾いている。

コロナ禍でアルバイト収入も減少

 この10年間で学生のアルバイトへの依存度は高まってきた。学生のアルバイト収入額は、2010年には自宅生29690円、下宿生21900円だったのに対し、2019年にはそれぞれ41230円、33600円と1万円以上増加している。

 図5 学生のアルバイト収入の推移 出典:全国大学生協連「第56回学生生活実態調査」
図5 学生のアルバイト収入の推移 出典:全国大学生協連「第56回学生生活実態調査」

 学生のアルバイト依存の結果、学費を支払うことはできても、肝心の学業がおろそかになる問題が2014年ころから指摘されている。この問題は「ブラックバイト」と呼ばれ、就労先で過剰なシフトを組まれることで、ゼミや実験に参加できない、あるいは就職活動ができなかったという被害が多数報告されている。

 また、2020年からはコロナの影響により減収も余儀なくされている。自宅生37680円、下宿生26360円といずれも大きく減少している。コロナ禍を理由にしたアルバイト先の休業や解雇、シフトの減少などが原因とみられる。

 本来、会社に責任のある理由で労働者を休業させた場合、会社は、労働者の最低限の生活の保障を図るため、少なくとも平均賃金の6割以上の休業手当を支払わなければならない(労働基準法26条)。新型コロナによる営業自粛は、原則的にこの規定の範囲内だと考えられる。また、政府は雇用調整助成金の特例措置を拡充しており、大企業の場合、労働者に支払った休業手当の最大で100%が助成されていた。だが、こうした特例措置が取られているにもかかわらず、休業手当不払いが横行していたのだ。

 実際に、筆者が代表を務めるNPO法人POSSEや、学生たちが作る労働組合「ブラックバイトユニオン」には、多数の学生からの相談が寄せられた。例えば、都内の私立大学に通っていた学生は、昨年4月初めからシフトがなくなり、補償も全くなされなかった。7月に会社から電話があり、8月以降の仕事はないので解雇だと言われた。

 4月から8月の休業手当については日々雇用だから支払義務はないと会社に言われたという。この学生は実家暮らしで家賃などはかからなかったが、バイト代を自分の生活費に充てており、バイト代なしには大学生活を送れないと訴えていた。

 今後の新型コロナの再流行や、その他の災害等でアルバイトが困難になるたびに、学生の収入に直結してしまうことになるだろう。

 以上のように、大学生が親に頼れない場合、数百万円の借金を負うか、アルバイト漬けになるしかない。しかもコロナ禍でアルバイトの継続が困難になっており、生活が破綻するリスクが高まっている。だからこそ、大学生への生活保障として生活保護の適用が求められているのだ。

 もちろん、大学生に生活保護を適用するよりも、親から世帯を分離したうえで給付型奨学金を独立して受け取られるようにしたり、学費の減免と住居支援などを組み合わせるという方向もあり得る。

 いずれにしても、生活保護の学生への適用が議論される背景には、学業を続けたい若者に残された道が極めて少なくあまりにも過酷であることに加え、わずかな制度の利用さえも、「親」に規定されてしまう実情がある。

生活保護を必要とする大学生の実例

 さらに、具体的な実例に即して大学生への生活保護適用を検討してみよう。以下の実例は大学生への生活保護適用を求めている当事者である。

ケース①

「…中村さんも虐待を経験している。幼い頃から親に暴力を振るわれ、十分な食事も与えられなかった。マヨネーズを付けたティッシュをかんで空腹をしのいだこともある。過酷な成育環境から抜け出そうと、自力で進学費用をためて22歳で看護系の大学に進学した。

看護師の夢に向かって日々、勉強を重ねていたが、過去の虐待経験による心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症。アルバイトもできなくなり学費と生活費に窮したため、地元の役所を訪れて生活保護に頼ろうとした。

「大学はぜいたく品。退学か休学してから相談に来てください」。役所の職員からこう言われ、門前払いされた。受けていた奨学金だけでは生活できず、休学すれば奨学金が支給されない。学生生活を続ける手だてがなくなり、やむなく退学した。」

出典:「「大学生にも生活保護を認めてほしい」ネット署名、既に2万人超」河北新報10月9日付

ケース②

「子どもの頃、絵をかくことが私の楽しみだった。ペンと紙があれば絵は描けた。学校のプリント、教科書、極端にいえば壁だっていい。私にとって絵は、「自信」だった。絵で大学に行きたい。私には国公立しか選択肢がなかった。受かってほっとした。やっと自分の人生が始められると思った。

4歳で親は離婚。父のDVから逃れた母は生活保護を受けながら今度は私を殴るようになった。入学金と授業料は借金。必死にアルバイトしたが、ある日残高を確認したら35円・・・。母親が、口座から抜いていた。食費を削った。摂食障害になって、病院に入院した。学業と両立するために、点滴を打ちながら授業を受けて、また入院して。繰り返した。奨学金をもらうために授業に行くのに、体が壊れていった。休学するしかなかった。休学して、地元に戻って、やっと落ち着いた。…」

出典:「【緊急】5年に1回の審議会 魂の叫びを無視しないで 虐待から逃れた大学生 頼みの綱は生活保護です」

 もっとも重要な点は、どちらのケースも親からの虐待を受けているなどの事情により、家族からの支援が望めないということだ。そのため、自力で進学資金を貯めてから入学したり、奨学金という借金漬けかアルバイト漬けになることなしには学生生活を送ることができない。

 そして、病気によりアルバイトの継続が不可能となり、収入が途絶えてしまっている。上述の通り、コロナ禍で学生アルバイトが減収していることで普遍的な問題として露見したが、学生のアルバイト依存度が高まっているのである。そのため病気やコロナなどの災害によってアルバイトが継続できなくなると、学生生活自体が破綻してしまうのだ。

生活保護制度をどう変えるべきか?

 以上の通り、大学生への生活保護適用が必要となってきている状況を見てきた。論点を整理すると以下の通りだ。

  1. すでに大学進学は一般化しており、生活保護受給者にも認められるべき段階に入っていること。
  2. 学費の高騰に加え世帯収入の減少と仕送り額の減少によって、親依存の進学が困難になっていること。
  3. 奨学金のほとんどが貸与であり、卒業後の生活を厳しくしていること。また、給付型を含め、親に介入・管理されてしまう場合があること。
  4. アルバイトづけで学業そのものがおろそかになり、本末転倒になるうえ、その収入も不安定であること。

 それでは、生活保護制度を適用する場合には、どのような制度改革が求められるだろうか。

 まず考えられるのは、生活保護における世帯内の大学就学を認めるということだ。つまり、家族も含めて要件を満たせば、大学生を除外せずに家族全体として生活保護を認めるという方向だ。もともと生活保護を受けている世帯から大学進学した場合が想定されているケースとなる。これは法改正をすることなく、厚労省による通達を出せば可能であろう。

 しかし、さらに踏み込むべきなのは、出身世帯が生活保護水準の困窮状態でもなく、仮に高収入だったとしても、個人として大学生に保護を適用できるようにすべきだということだ。虐待を受けて実家から逃げているのに、実家は収入があるから保護を受けられないというのでは、虐待サバイバーの生存が守られない

 この点は生活保護にとどまらず、奨学金制度も含む日本の社会保障に通底する問題である。つまり、いくら虐待をあったとしても家族で支え合うべきだ、という家族主義が制度の前提にあるのだ。家族で支え合っても、どうしても困窮する場合に制度が利用できるという設計になっている。「家族主義」的に編成されている社会保障制度を改革し、個人に対する給付を行うべきである。ヨーロッパ諸国では個人単位の給付が進んでいる。

 すでに横須賀市では、親などから虐待を受けて自立援助ホームに入所した18歳・19歳の学生で、児童相談所が関与したケースについては生活保護に相当する生活費や通学費を最長1年半まで支給する独自の制度を作っている。こうした制度改革を国として推進し、より広範なものとすべきだろう。

おわりに

 大学生への生活保護と聞いて、いまだに「贅沢だ」と考える読者も多いことと思う。しかし、たまたま親の収入に恵まれなかった若者に学業のチャンスが与えられず、努力をしても退学や無理なアルバイトを余儀なくされるような社会に発展の可能性はあるのだろうか?

 世界ではますます若者や学生への「投資」が盛んになっている。生活や学業が保障された環境でこそ、社会は発展する。実際に、理科系の学生・研究者たちにさえ、借金漬けの大学進学と、任期付きのポストしかあてがわない日本では、科学技術の水準が低下する一方である(もちろん、学業の意義は理科系に限られないが)。

 「もっと苦労をしている人がいる」「上の世代では働きながら学んだ苦学生がたくさんいた」と若者を追い込むばかりでは、この社会はますます活力を失っていくのではないだろうか。

 それどころか、近年問題となっている「毒親」のように、子供を支配する家族関係を強化し、若者の自立と成長をさまたげてしまうのではないか。大学生への生活保護の適用の是非は、単なる分配の問題ではなく、この日本社会が内向きに「もっと苦労しろ」という言葉をお互いに投げかけ合う閉塞状況から、個々人の創造性が発揮される社会へ変われるのかを問うているように思えてならない。


  長い記事になってしまいました。でも重要なことです。若者を大事に育てたいですよね。

園のようす。
すすむ秋。