里の家ファーム

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川崎殺傷事件「一人で死ね」論に警鐘

2019年05月30日 | 事件

川崎殺傷事件「一人で死ね」論に警鐘を鳴らす藤田孝典に、古舘伊知郎、ニッチェ江上も賛同!包摂こそが犯罪を阻止する

  リテラ 2019.05.30

    川崎市で小学生ら19人が殺傷された事件をめぐり、またぞろメディアがヒステリー起こしている。とくに今回、目立っているのが「自殺に他人を巻き込むな」「死にたいなら一人で死ね」という言葉だ。 

 感情をぶつけて悦にいるだけで、なんの解決にもつながらないどころか、精神的に追い詰められた人たちを刺激する乱暴極まりない発言だが、驚いたことに、ネットだけでなく、安藤優子や立川志らく、北村晴男弁護士など、ワイドショーのMCやコメンテーターまでがこのグロテスクなセリフを平気で口にしているのだ。

しかし、こうした愚劣な感情論の横行に対して、警鐘を鳴らす論考が発表され、注目を集めている。28日、Yahoo!に配信された、「川崎殺傷事件「死にたいなら一人で死ぬべき」という非難は控えてほしい」と題した記事だ。

 執筆したのは、生活困窮者支援のNPOほっとプラス代表理事の藤田孝典氏。藤田氏は〈ネット上では早速、犯人らしき人物への非難が殺到しており、なかには「死にたいなら人を巻き込まずに自分だけで死ぬべき」「死ぬなら迷惑かけずに死ね」などの強い表現も多く見受けられる。〉〈まず緊急で記事を配信している理由は、これらの言説をネット上で流布しないでいただきたいからだ。次の凶行を生まないためでもある。〉として、こう主張している。

〈「死にたいなら人を巻き込まずに自分だけで死ぬべき」「死ぬなら迷惑かけずに死ね」というメッセージを受け取った犯人と同様の想いを持つ人物は、これらの言葉から何を受け取るだろうか。

やはり社会は何もしてくれないし、自分を責め続けるだけなのだろう、という想いを募らせるかもしれない。

 その主張がいかに理不尽で一方的な理由であれ、そう思ってしまう人々の一部が凶行に及ぶことを阻止しなければならない。

 そのためにも、社会はあなたを大事にしているし、何かができるかもしれない。社会はあなたの命を軽視していないし、死んでほしいと思っている人間など1人もいない、という強いメッセージを発していくべき時だと思う〉

つまり、このような痛ましい事件を繰り返さないためには、社会から阻害された人々を突き放すのではなく、むしろ、彼らの尊厳を大切に思っていると社会がメッセージを出すことこそが重要だと指摘しているのだ。

 まさに正論だが、しかし、ネットではネトウヨを中心に藤田氏に対して、「きれいごというな!」「凶悪事件を肯定するのか」「遺族に言えるのか」「社会が悪いから何しても許されるという奴が出てくる」などと、的外れな攻撃や非難が殺到している。ワイドショーも前述したように、全く聞く耳をもたず、むしろ容疑者をモンスター扱いして、憎悪を煽りまくっている有様だ。

 だが、そんななか、29日放送の『ゴゴスマ〜GOGOSmile!〜』(TBS系)で、乱暴な感情論に与せずに、藤田氏の提言を受け、事件の本質的な問題を議論しようという動きがあった。

古舘に続きニッチェ江上も「優しさが犯行を阻止できることもあるんじゃないか」

 まず、画期的だったのは、レギュラーコメンテーターの古舘伊知郎だった。古館は容疑者をモンスター扱いする報道にこう異を唱えたのだ。

「こういう痛ましい、本当につらいことが起きますと、『考えられない』『あり得ない』と遠くに置いてしまうことによってね、『ひとりのモンスターがいる』と。『自分たちは違う』と、僕なんかも思いたくなっちゃうんですよ。そんなことやるわけないんですから、普通の人間が。だけど、命を絶たれた方、残された家族の方を思うときに、あんまり遠いことと思っちゃいけないわけですよ」

続いて、MCの石井亮次アナウンサーが、藤田氏の主張を紹介したのだが、その際、自分自身の発言を省みるかたちで、こうコメントした。

「(容疑者は)人を巻き込んでから自殺しています。これに関して私は昨日放送で、『死にたいんだったらひとりで死ねばいいじゃないか』ということを言いました。でも、そういうことを言っちゃいけないんだという声もあります。そういうことを言っちゃいけない理由を考えることが、今後こういう凶行を生まない社会はどうすればできるのかということを考えるきっかけになると思います」

 もっとも、その後、犯罪心理学を専門とする筑波大学教授の原田隆之氏が藤田氏の主張に対して「そういうメッセージも受け取れないような偏ったパーソナリティーの人たちがいる」と異を唱えると、番組は他のワイドショーと同じような、モンスター扱いの空気に流れそうになる。

 しかし、この流れを打ち破ったのも、古舘だった。古舘は「直接の解決策ではないんだけれども、とっても身近で大事なことを江上さんが」とレギュラーコメンテーターのニッチェ・江上敬子に話を振る。そして、江上が「自分がまわりの人に優しくして、その優しさが回り回って、巡り巡って、そういう犯行を阻止できるんじゃないか。それぐらいしか自分たちはできないかもしれないけれど、そういうのって大事なんじゃないかと思うんですよ」と言うと、古舘はそれを受けて、「一直線で解決する話ではないけれども、世の中は因果律で成り立っていると思うんで、回り回って、巡り巡ってってことを考えると、『そんなの面倒くさい』じゃなくて、人に対する無関心みたいなものをちょっと内省的になるのって大事じゃないかなと思う」と発言した。

 古舘伊知郎「遠くの国の戦争で子供が亡くなっていることも同じように危機感を」

 さらに、古舘は「人が殺される。こんなことが起きるって我々は考えるけれども、遠くの国で女性や子どもさんが誤爆によって戦争で亡くなっているということに対して鈍感じゃないかって考え方まで、ずーっと引き延ばしていかなくてはいけないのかな。人は人を殺すじゃないですか。こっちはあんまり気に止めないで、こっちは大変だって言っているのも、変だなって思う気持ち、立ち止まりも必要かな。絶対起きちゃいけないことが起きているから」とも語っていた。

 つまり、古舘はセンセーショナルな殺人事件にだけ騒ぎ立てるのではなく、戦争で女性や子供が犠牲になっていることにも、同じように危機感と違和感を抱くべきだと指摘したのだ。

『報道ステーション』降板後バラエティ出演の多かった古舘だが、久々に『報ステ』時代を彷彿とさせるジャーナリスティックな視点を見せてくれたといっていいだろう。

 そして、重要なのは、古舘の活躍によって容疑者をモンスター扱いし、憎悪を扇動するワイドショーで、凶悪な犯罪を防ぐためには「支援」や「支え合い」こそが必要だということが、議論されたことだ。

 実際、これは「きれいごと」などではない。29日に川崎市が行った会見のなかで、岩崎容疑者の親族が一昨年の秋から今年1月にかけ14回にわたって川崎市健康福祉局精神保健センターに相談していたことが明らかになった。社会による効果的なサポートがあればこの事件は防ぐことができたかもしれないのだ。

 マスコミやネットのなかで、今回の『ゴゴスマ』のような議論が少しでも増えることを願ってやまない。

(編集部)



 

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雨宮処凛がゆく!第480回:裁判官に人権教育と性教育を!〜無罪判決に、抗議の「#MeToo」〜

2019年04月27日 | 事件

雨宮処凛がゆく!第480回:

裁判官に人権教育と性教育を!〜無罪判決に、抗議の「#MeToo」〜

 

マガジン9 2019年4月24日

 https://maga9.jp/190424/

 

   「子どもの頃に強制わいせつの被害に遭いました。20歳になってから記憶が蘇って、PTSDの症状で学校に行けなくなりました。ご飯も食べられなくなりました。夜も眠れませんでした。もう10年以上経ちました。非正規で、バイトして、ギリギリで生活してて、それでやってるバイトでセクハラ。ふざけんじゃねぇよ! どうして、被害に遭う私たちが、社会を転々としないといけないんでしょうか?」

 トラメガを持った女性が声を震わせながら言うと、あちこちから嗚咽が上がった。4月11日夜。この日開催されたのは、性暴力と性暴力判決に抗議するスタンディング・デモ。東京駅近くの広場には、花を持った400人ほどが集まった。その多くが、女性。それぞれが持つプラカードには、「裁判官に人権教育と性教育を!」「おしえて! 性犯罪者と裁判長はどう拒否したらヤダって理解できるの?」「Yes Means Yes!」「#Me Too」などの言葉たち。

 この日のアクションを呼びかけたのは、作家の北原みのりさんなど。昨今相次ぐ性暴力への無罪判決に抗議しようと企画された。判決の多くに共通するのは、女性の意思に反した性交だったと認めながらも、「抵抗が著しく困難だったとは言えない」「抵抗できない状態だと男性が意識していなかった」などの理由で無罪が下されている点だ。午後7時。アクション開始と同時に、北原さんはトラメガでこのひと月ほどに相次いだ判決について触れた。

 3月12日、福岡地裁。テキーラなどを飲まされ、意識が朦朧としていた女性に性的暴行をした事件。女性が抵抗できない状況を認めつつも、男性は女性が合意していたと勘違いしていたとし、無罪。

 3月20日、静岡地裁。強制性交致傷に問われた男性が、「被告から見て明らかにそれとわかる形での抵抗はなかった」として、無罪。

 3月28日、静岡地裁。当時12歳の長女を2年間にわたり週3回の頻度で強姦した罪に問われていた父親に対し、「家が狭い」ことを理由に、長女の証言は信用できないとして、無罪。

 4月4日、名古屋地裁。中学二年生の時から娘に性虐待をしていた父親が、無罪。その理由は「心理的に著しく抵抗できなかった状態とは認められない」から。

 わずか一ヶ月の間にこれほど続いた司法判断を受け、この日のアクションが急遽、開催されたのだ。

 集まった女性たちからは、次々と怒りの声が発された。最初のうちは著名人によるとスピーチだったものの、後半は、参加者が飛び入りでマイクを握り、自身の思いを吐露した。

 父親から精神的な暴力を受けてきたという高校生は、父親からひどい扱いを受けてきたことから生まれた、男性への嫌悪感について語った。

 音楽フェスで痴漢に遭い、警察に届けた女性は、友人たちが「そこまでするんだ」と引き気味だったことに失望し、「これは、殴られた方が同情されたなって思いました」と話した。

 10代の頃通っていたある専門分野の「先生」から性的暴行を受け続けていたという女性は、当時加害者に「これはレイプです」「強姦です」と言ったものの、「じゃあ今までの授業料一千万持ってこい」と言われ、親にも誰にも言えずにそのまま被害を受け続けた日々のことを話した。

 また、アクション前日に「ちょっと好きかな」という男性と食事をしたという女性は、「明日、MeTooのデモに行く」と言ったところ、引いた姿を見て、「彼やめた」と思ったと語ってくれた。

 「『俺も一緒に行くよ』って、『俺も勉強したい』って言ってくれる彼を探したいと思います」

 その言葉には、大きな拍手と歓声が上がった。

 北原みのりさんは、無罪判決に声を上げると「感情的に批判するな」と司法の専門家からも諫められるような現状について、飲酒運転厳罰化の流れと比較して、語った。

 飲酒運転による痛ましい事故が続いた際には、遺族感情や世論が社会を動かしたからこそ厳罰化となったのに、性犯罪に対してはなぜか「感情的になるな」とやたらと言われる。飲酒運転で家族を亡くした人には誰もそんなことを言わなかったのに、だ。

また、「週刊SPA!」の「ヤレる女子大生ランキング」に抗議した学生も、「なぜ被害者ばかりが苦しむ社会なのか」と怒りをあらわにした。

 「人が殺されたら、殺された方が悪いなんて言われません。なのに、なんで『化粧が濃い』『スカートが短い』『長い髪』と言われるのか。そんなの関係ないじゃないですか」

 アフターピルについて運動をしている女性も、「性教育もノーを尊重する教育もされないのに、レイプされた時は抵抗することを求められる」「被害者を守る法律、なんでないの?」と訴えた。

 財務省のセクハラ問題をきっかけにして結成された「メディアで働く女性ネットワーク」の林美子さんは、多くの被害者が、時間が経っても苦しんでいる実態について触れた。それまでメディアでいい仕事をしていた女性たちの将来が、性暴力によって潰されてしまう。人生を断ち切られてしまう。一方で、加害者は何事もなかったかのように生活している。

 「我々を人間扱いしろ!」

 「ふざけるな!」

 そんな声があちこちから上がった。

 底冷えする寒さの中、アクションは、2時間に渡って続いた。なんだか、奇跡みたいな2時間だった。みんなが泣いていた。私も泣いた。気温は低かったけれど、あたりにはすごい熱気が漂っていて、多くの人がいつまでも広場で話し続けていた。一人で参加した女性が、同じように一人で参加した女性と話し込む姿があちこちで見られた。新幹線で遠方から駆けつけた人もいた。

 相次いだ無罪判決を受け、開催されたアクション。どの判決も納得いかないものだったけれど、特に私がショックを受けたのは、実の父親による娘への性暴力の件だった。

 私の知人には、父親に性虐待を受け続けた果てに、父親の子どもを出産した女性がいる。

 『一億総貧困時代』という本で書いているのだが、彼女と出会ったのは2016年のお正月。年末年始の越年中だった。ホームレス状態の人のために用意されたシェルターに入っていた30代の彼女は、幼い頃から父親に性的虐待を受け、17歳で堕胎したものの、27歳で再び父の子を身ごもり、出産したことを教えてくれた。母親は、彼女が小さい頃に家を出ていた。幼い頃からすぐに暴力を振るう父に怯えながら、祖母と三人で暮らしてきたという。父親は祖母にも暴力を振るうことから、祖母は性的虐待のことを知りつつも、孫を守ってはくれなかった。

 そんな彼女は、10代の頃から、何度も大人たちに助けを求めていた。警察にも訴えたし、役所にも行った。しかし、父親の性虐待から逃れるため家出を繰り返していた彼女には、「不良少女」というレッテルが貼られていた。17歳で父親の子を堕胎した時も警察に行ったものの、当然、父親は事実を否定。祖母も息子が逮捕されることを恐れて否定する。結局、彼女が「嘘をついている」ということにされてしまった。以来、彼女は実家と歌舞伎町の路上、様々な施設などを転々としながら生きてきた。

 実の娘を犯し続ける父親は、「お母さんが一人しか子ども産めなかったから、その代わりに自分の娘のお腹を借りて子どもが欲しかった」と言っているのだという。なんという陳腐な「正当化」だろうか。こんな言い分が通用すると思っているのだろうか。

 が、彼女の父親は、現在に至るまでなんの罪にも問われていない。堂々と、一般社会で暮らしているわけである。私はこの事実が信じられなかった。しかも法的にはなんの制約もないので、彼女に今後かかわらないような措置をとることもできない。その上、虐待は性的なものだけではなかった。父親は、「障害年金がもらえるから」という理由で、彼女を知的障害ということにし、小学校、中学校を特別支援学級に入れたのだという。よって一般の義務教育を受けていない彼女は、仕事につくことも難しい。父親は、娘の「教育を受ける権利」まで奪っていた。

 現在進行形で、被害は続いている。そして彼女は、深い心の傷を負っている。

 彼女の苦しみに触れていたからこそ、今回の無罪判決には心をえぐられる思いがした。被害に遭った女性たちは、どれほど深い闇に突き落とされただろう。そうして裁判の行方を見守っていた中には、今まさに性虐待の只中という人もいるはずだ。そんな人たちは、あの判決にどれほど傷ついただろう。そして加害者は、「無罪というお墨付きを与えられた」と思ったのではないだろうか。

 「正直、この国で子どもを産みたいかと言ったら、産みたくない。たぶん変わらないだろうと思ってしまう」

 この日、スピーチした一人の言葉がやけに残っている。

 だけどこの日、寒空の下で、今まで決して表に出ることのなかった何かがマグマのように噴出した。今まで言えなかった言葉。自分さえ我慢すればいいと歯を食いしばって飲み込んでいた言葉たちが、決壊するように溢れ出した。

 この夜のことを、私は決して忘れないと思う。

 そしてまた、集まりたい。みんなでいろんな話をしたい。


寒い、寒い!

今朝のようす
 本当に積もってしまいました。日中の気温も上がらず、7℃止まり

それでも明日からは15℃位の日が続き氷点下となるのは明日朝だけのようだし、雪マークもこれでなくなりました。明日は部屋の苗を江部乙のハウスまで運びます。とは言え、ジムニでは、知れたもの。積み重ねることもできないのです。

こちらは、先に移動した雲南百薬(オカワカメ)を株分け等で鉢上げしたもの。

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平和行政を統括する人間が平和に反することを率先して行い、二次被害に加担

2019年04月26日 | 事件

自殺した長崎市幹部からの性暴力と市からのセカンドレイプを訴え、女性記者が提訴(コメント全文)

女性記者は「変わらない長崎市の姿勢に失望し、絶望し、今もなお苦しめられています」とコメントを発表した。

ハフポスト NEWS  2019年04月25日

   中村 かさね (Kasane Nakamura)

    2007年に長崎市の平和式典に関する取材中に同市幹部(当時)から性暴力を受けたとして、女性記者は長崎市(田上富久市長)を相手取り、約3500万円の損害賠償とホームページや市広報への謝罪広告の掲載を求めて長崎地裁に提訴した。

 4月25日、東京と長崎で女性記者の代理人が記者会見した。

訴状によると、女性記者は2007年7月、長崎平和式典に関する取材相手だった原爆被爆対策部長(当時)から呼び出されて性暴力を受けた。

元部長は地元紙の取材に「合意の上だった」と釈明していたが、同年11月1日に自殺。本部町(原文ママ)と親しい別の幹部が週刊誌報道に対して「部長は女性記者にはめられた。自殺の原因は女性記者にある」などと虚偽の噂話を流し、ネット上では女性記者に対する二次攻撃が始まったという。

 都内で会見した中野麻美弁護士は、「市には記者の名誉を回復し、防止策を講じてもらいたいと再三頼んできたが、ままならず、やむを得なかった。弁護士としては慚愧(ざんき)の念に堪えない思いですが、このような事態となった」と語った。

長崎市は2007年12月に「取材するあなた様と本市本部長との間でこのような事案が発生したということに関しては問題があったと考えているところであり、誠に遺憾に思っている」という報告書を記者側に提出したという。

中野弁護士は「男女の関係をうかがわせるような表現で、これで誤魔化そうというのかという怒りがある。被害者を愚弄している」と怒りを込めた。

会見に同席した角田由紀子弁護士も「”平和”と”男女平等”と”暴力根絶”は一体の問題。平和行政を統括する人間が平和に反することを率先して行い、二次被害に加担した。非常に皮肉な事件だ」と指摘した。

 女性記者は会見には出席しなかったが、A4用紙いっぱいのコメントを発表。

被害から12年が過ぎた今も「人と接する怖さが抜けず、記者失格だと思うこともあります」と明かした。

休職を経て復職した今も一線から退かざるを得ない状況が続いているといい、「変わらない長崎市の姿勢に失望し、絶望し、今もなお苦しめられています」と訴えた。

 

これまでの経緯は?

2007年

長崎市では4月に伊藤一長市長が銃撃されて亡くなる事件があり、この年の長崎平和式典(8月9日)は伊藤市長の追悼と合わせて平和宣言を行うこととなっていた。

式典直前の7月29日には参院選も控えていたため、国内外の要職が一堂に会する式典は大きな注目を集めていたという。

被害後、女性記者は体調不良のまま式典を取材。他者の記者や市の職員に被害を相談するなどしたが、PTSDなどでやがて出勤できなくなり、8月中に長崎を離れた。

10月と11月、女性記者が勤める報道機関は長崎市に抗議。

12月、市は「本部町の死亡により、すべての事実関係を明らかにすることが困難になった」と発表。女性記者らに対して「取材するあなた様と本市本部長との間でこのような事案が発生したということに関しては問題があったと考えているところであり、誠に遺憾に思っている」と報告した。

2008年

8月、女性記者は第三者委員会の設置を要求したが、長崎市は拒否。

10月、女性記者が日本弁護士連合会に人権救済申し立てを行った。

2014年

2月、日弁連が市役所や市議会での虚偽の噂が女性記者へのインターネット攻撃につながったと認定。長崎市に対して女性記者の名誉を回復するための謝罪と再発防止を行うよう勧告。

2017年

長崎市は日弁連の勧告について「調査が不十分」だとして受け入れを拒否。

2018年

3月、長崎市が「同意の上か否か、職務上の権利を利用したものか否かを容認することはできない」として、勧告の受け入れを再度拒否。

2019年

3月、「今後は金銭要求も含め一切の請求を行わない」ことを条件に女性記者へ謝罪すると「解決案」を提示。

4月、女性記者側から、市が本部町の性暴力と二次被害の責任を認め、謝罪することなどを盛り込んだ「解決案」を提示したが、これを断られたために提訴に踏み切った。

長崎市は「差し控える」

長崎市は「現時点では、訴状が届いていないため、コメントを差し控えさせていただきます。今後、訴状の内容を精査し、対応してまいります」とする田上市長のコメントを発表した。

 

記者本人のコメント

おぞましい事件から約12年が経ちます。あまりに唐突で、自分に何が起きたのか認識はできたものの、言葉にすれば自分が壊れてしまいそうでした。なぜ私なのか。私はただ必要な取材をしていただけなのに。今も分からないままです。取材相手を信頼した自分が間違っていたのか。自分を責めました。

長崎にとどまり何とか勤務を続けましたが、最後は逃げるように長崎を離れざるを得ませんでした。情けなくて悔しかった思いは今も鮮明です。

その後に待ち受けていたのは、誰の発言か分からない事実と異なる中傷でした。インター ネット上にも掲載、拡散され、今もネット上に残っています。今も見ると胸が張り裂ける思いです。人と接する怖さが抜けず、記者失格だと思うこともあります。

 

私は休職を経て復帰しましたが、以前のように一線から退かざるを得ない状況になりました。3・11東日本大震災当時は思うように仕事ができない自分にもどかしさを感じました。

 

日本弁護士連合会から人権侵害を認定する勧告が出たことで、私はこれまで2回、長崎市にこの問題の解決を求めてきました。

私は赴任中、平和都市ナガサキ、人権と核兵器廃絶をうたうナガサキを取材してきました。 しかし、その平和式典に関する取材中に、しかも平和式典を担当する幹部に性暴力を受けた のです。日弁連の勧告を受けても、日本新聞労働組合連合による今回の抗議と要請を受けてもなお変わらない長崎市の姿勢に失望し、絶望し、今もなお苦しめられています。

 

性暴力を受けた女性記者は私以外にもいると聞いています。身に起きたできごとに圧倒されて、どれほど多くの女性記者が無念の思いで仕事をあきらめたり、その後の人生を変えられたと思うと、やるせなさでいっぱいです。

私の身に起きた性暴力は私自身が知っています。記者として不正を知りつつ報道現場から去ることはできないとの思いが、支えの一つになり、私は今も報道機関にとどまり続けて います。

主治医や弁護士、支援者たちが、これまで私を支えてくれました。日本で性暴力被害者の支援がもっと身近に受けられるようになることを願っています。

 

ただ、私の身に起きたことは、私の家族の全員には打ち明けていません。すべて話せる日はもう来ないかもしれないという不安もつきまとっています。

唯一、母にはすべてを打ち明け、私の回復を辛抱強く待ってもらいました。今回の決断も 尊重してくれました。ずっと心配をかけてごめんなさい、そしてありがとう。(以上)


本当に雪降るの?

予報によると今夕から明日朝9時ころまで雪マーク。昨日までは比較的暖かく、「ひょっとすると今月中に桜咲くんじゃない?」などと思っていたのだ。明日も6度までしか上がらず、今日と同じだ。でも、その後がまた15℃超えが続く。ひょっとしたら?やっぱり!になる可能性はまだあるのだ。ちなみに、このあたりの桜開花日はゴールデンウイーク明けの10日ごろなのです。

春の小川とヤチブキ


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性犯罪の無罪判決

2019年04月24日 | 事件

法が裁けなくても、性犯罪の被害者はこの世にいます。無罪判決とともに知ってほしい、支援のこと

性犯罪の無罪判決が大きな議論を呼んでいる。3月から4月にかけて約1カ月に4件の無罪判決が報じられた。

ハフポストBLOG 2019年04月24日

  小川たまか    ライター 


 性犯罪の無罪判決が大きな議論を呼んでいる。3月から4月にかけて約1カ月に4件の無罪判決が報じられた。4件は下記の通り。2017年7月の性犯罪刑法改正前の事件が2件、改正後の事件が2件。1件は無罪が確定し、残りの3件は検察側が控訴している。この記事では主に名古屋地裁岡崎支部の無罪判決・判決文から感じたこととともに、性暴力被害者を支援する側から見た現状を訴えたい。

 

性犯罪で無罪判決が続いている

 

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(1)3月12日、準強姦事件の無罪判決(福岡地裁久留米支部)

  サークルの飲み会に初参加した女性が、テキーラを一気飲みさせられるなどして泥酔し、飲食店のソファで眠っていたところを男性(44)が性行為に及んだ。「女性が抵抗不能の状況にあったとは認められるが、男性がそのことを認識していたとは認めることができない」として無罪判決になった。

 同日に毎日新聞が報道。2017年2月(刑法改正前)の事件。3月26日に検察側が控訴。

 (2)3月19日、強制性交致傷の無罪判決(静岡地裁浜松支部)

  メキシコ国籍の男性(45)が女性に乱暴し、けがを負わせたとして強制性交致傷の罪に問われた。無罪判決を言い渡し、「故意はなかった」と判断した。

 →3月20日に各社が報道。2018年9月(刑法改正後)の事件。検察は控訴せず無罪確定。

→4月4日に共同通信が報じ、5日から各社が続く。2017年8月、9月(刑法改正後)の事件。4月8日に検察側が控訴。

 

(3)3月26日、19歳実子への準強制性交等罪の無罪判決(名古屋地裁岡崎支部)

 当時19歳の実の娘と性交したとして男性が準強制性交罪に問われた裁判で、長年の性的虐待と性交が意に反するものだったと認定。その一方で性交を拒めていた時期もあったなどとし、「被害者が抵抗不能な状態だったと認定することはできない」と無罪判決を言い渡した。

 →4月4日に共同通信が報じ、5日から各社が続く。2017年8月、9月(刑法改正後)の事件。4月8日に検察側が控訴。

 4)3月28日、12歳実子への強姦罪の無罪判決(静岡地裁)

 当時12歳だった娘に対し性的暴行をするなどしたとして、強姦と児童買春・児童ポルノ禁止法違反の罪に問われた男に対し、「唯一の直接証拠である被害者の証言は信用できない」「家族がひとりも被害者の声に気付かなかったというのはあまりに不自然、不合理」などとして強姦罪を無罪とした上で罰金10万円を言い渡した。

→同日に各社が報道。2017年6月(刑法改正前)の事件。4月10日までに検察側が控訴。

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 すでに、朝日新聞デジタル(娘と性交、無罪判決の衝撃 「著しく抵抗困難」の壁/4月15日)、東京新聞(レイプ裁判 なぜ無罪? 実娘と性交→「支配従属を認めず」/4月16日)、西日本新聞(なぜ?同意ない性行為に続く「無罪」判決 「故意立証」の高いハードル…刑事司法の限界、指摘も/4月22日)などに詳細記事が出ている。どれも複数の無罪判決に触れているが、そのタイトルでは、(3)の事件について言及。4件の中でも、この事件の衝撃が特に大きかったことを物語っている。「週刊新潮」や「女性自身」といった週刊誌もこの事件を詳報した。

 また、現時点で(3)事件の判決文の内容を最も詳しく伝えているのは、「19歳の娘に対する父親の性行為はなぜ無罪放免になったのか。判決文から見える刑法・性犯罪規定の問題」(伊藤和子/4月11日/ヤフーニュース個人)だ。

 これまでにも報じられている通り、性虐待は被害者(以下、Aさん)が中学2年の頃から頻繁に行われていた。裁判所は、長年にわたり性虐待が行われたこと、事件当日に性交が行われたこと、それらがAさんの意に反していたこと、さらには抵抗できない心理状況にあったことを認めている。

準強制性交等罪は心神喪失または抗拒不能に乗じた性交があった場合に成り立つ。判決文では、精神鑑定を行った精神科医の「被告人にたいして心理的に抵抗できない状況が作出された」という証言についても、「高い信用性が認められる」としている。

 そうであるならば、なぜ無罪なのか。判決文はこう続く。

「精神鑑定の結果は専門家である精神科医師としての立場から当時のAの精神状態等を明らかにする限度で尊重されるにとどまり、法律判断としてのAの抗拒不能にかんする裁判所の判断をなんら拘束するものではない」

 18歳以上の実子との性行為は違法ではない

 この判決について「抗拒不能」がかなりシビアに判定されていることは、すでに挙げた記事に詳しい。法の専門家ではない私が印象を語っても何もならないかもしれないが、判決文を読んだ感想は、東京新聞記事に登場する識者のコメント「女性が命をかけて貞操を守れと言われた時代のようで違和感はある」(安原浩弁護士)、「性虐待事例でこれだけ認定を難しくした理由がわからない」(後藤弘子千葉大教授)に近い。

 判決文では、Aさんが両親の反対を押し切って専門学校への入学を決めたことや、その入学金や授業料を父親に負担させたこと、事件当時はアルバイトで月に8万円ほどの収入を得て「被告人からの性的虐待から逃れるため」1人暮らしを検討していたことなどを理由に、「日常生活全般においてAが監護者である被告人の意向に逆らうことが全くできない状態であったとまでは認めがたい」と断ずる。

 また、事件以前にAさんの抵抗によって性交を拒むことができた事実があること、Aさんの判断で父親の車に乗ったことなど複数の理由から、事件当時に抗拒不能の状態だったと断定するには「合理的な疑いが残るというべき」とされた。

 判決については、「現在の刑法でこの判断となるのは仕方ない」という人も「高裁でひっくり返るのでは」という人もいるだろう。私がこの無罪判決について言いたいのは、現在の刑法とその運用において、親から実子への性虐待事案が罪に問われない場合があることを、私たちは強く認識しておきたいということだ。

 親と18歳以上の実子との性行為は、暴行脅迫などの要件を満たさない限り刑法で裁かれることがない。18歳以上の実子との性行為は、性的自由の観点から、刑法において実質「認められている」行為である。一方で、抵抗できない子どもの現実は必ずしも反映されていない。自由を認めるための代償として、立証の壁に阻まれる被害者がいる。

 虐待を受け続け、ときには抵抗し、ときには従順に従うことがあるというような、複雑な被害側の心理を法に反映するのは不可能に近いのかもしれない。しかしそうであるならば、現行法は弱者を必ずしも守るものではないと私たちは知っておかなければならない

「刑事事件の被害者になれない被害者」たち

そう、知っておかなければならない。法の救済を受けない被害者がいることを。今回は無罪判決が大きく報道され、私たちの知るところとなった。けれど、立証の壁に阻まれて不起訴になる事件があり、不起訴を見込んで捜査に至らない事件も無数にある。性暴力被害の支援者らは、その実態を現場で目撃している。

 私は刑法性犯罪のさらなる見直しを求める、性被害当事者を中心とした一般社団法人Springのメンバーであり、刑法やその運用に関して訴えたいことは種々ある。ただ、この記事でまず訴えたいのは、支援の現状についてである。

 今年1月に霞が関の弁護士会館で、シンポジウム「医療の現場からみた『性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの現状と課題』」が行われた。このとき、病院拠点型の性暴力ワンストップセンター(※)を運営する産婦人科医師は、「時間をかけて警察に話しても逮捕に至ったり、起訴されたりすることは少ない」と実感を語った。

(※ style="font-size: large;"> 警察で二次被害に遭うことも少なくないため、被害者が子どもの場合は特に、サポートを受けながら取り調べを行うことも必要だ。しかし、臨床心理士など支援者の早期介入が裁判で「証言の誘導」「記憶の上書き」と指摘されることもあり、「ケアが先か、取り調べが先か」の状況になることもある。

 警察での二次被害と書いたが、警察や検察がときとして被害者に酷と思われる聞き取りをするのは、ひとつにはそれだけ性犯罪の立証に難しさがあるからだ(性被害対応の知識に欠けた捜査員がいることは別として)。

 特に被害者が子どもの場合、証言の信憑性を裁判で問われることも多い(事件(4)のケースもそうだ)。否認事件の場合は特に、被害者に対する聞き取りや司法面接の不備が証言の信憑性に直結することがある。罪に問うためには犯行の日時がなるべく特定されなければいけないが、日常的に繰り返される虐待の場合、それが難しいことも多い。

現場の尽力があっても、「刑事事件の被害者になれない被害者」は多い。

 内閣府調査によれば、無理やり性交などをされた経験のある人のうち、警察に相談した人は男女合わせてわずか3.7%。病院拠点型ワンストップセンターの先駆けである大阪SACHICOでも、支援を受けた人の中で警察へ通報した人は開設からの8年間で約1割にとどまる(SACHICOへの相談者のうち、警察からSACHICOへ紹介のあった場合をのぞく)。

 この中から警察が被害届を受け取った人のみが「認知件数」となる。

 暗数を減らすには支援の充実が不可欠

  style="font-size: large;">「加害者が有罪になれば被害者が救われるのか」という声もあるだろう。もちろん、裁判や加害者の処罰を望まない被害者も中にはいるが、一方で危惧するのは被害者支援の層の薄さが、認知件数の少なさと直結しているのではないかということだ。

 前出の、病院拠点型ワンストップセンターの運営者は、性犯罪・性暴力被害者支援交付金の予算案が、平成31年度概算要求の3億4600万円から2億1000万円(※)となったことについて「財務省にばっさり切られて」と悔しそうに語った。

(※平成30年度の1億8700万円から増額されてはいる)

 2億1000万円を、全国にある性暴力ワンストップセンターの数である54か所中、交付金の出ている49か所で単純に割れば、1か所につき約430万円である。

 全国の都道府県に最低1か所のワンストップセンターをという目標は、昨年10月に前倒しで達成された。しかし逆に言えば、どの都道府県にも1~2か所しかない。女性の人口20万人につき1か所というWHOの指標と比すれば、約6分の1。

 早期の対応が求められるとともに、立証がそれなりに難しい性暴力について、日本の支援状況は貧弱と言わざるを得ない。理想的な状況は、被害者が産婦人科医、弁護士、カウンセラー、支援員などのサポートを受けて警察へ行くこと、それぞれの機関が連携を行うことだ。しかし、現在はまだその状況にほど遠い。ちなみに、被害者の体などに残った証拠の採取など急性期対応に有利なのは病院拠点型のワンストップセンターだが、病院拠点型は54か所中、12か所しかない(シンポジウム「医療の現場からみた「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの現状と課題」(日本弁護士連合会主催)で発表された「全国のワンストップ支援センターへのアンケート結果報告」より」/病院拠点型以外は相談センターとの連携型が多い)。

 強制性交等罪の認知件数は年間1000件程度だが、内閣府調査(※)では女性の約13人に1人、男性の約67人に1人が「無理やり性交等をされた経験がある」と回答している。暗数が多いことは明らかだ。(※ style="font-size: large;"> 支援現場で目に見えている数と、司法の場で目に見えている数に絶望的なまでの差がある。そして司法の場で目に見える数を少しでも増やさなければ、刑法が変わらないだけではなく、性暴力被害の支援現場もまた取り残されたままなのではないか。今回は無罪判決が大きく報道されたが、1件の無罪判決の背後には、刑事事件とならなかった多くの事件がある。

 繰り返しになるが、性犯罪の被害者、特に子どもの被害者が1人で警察へ行くのは難しいことだ。ワンストップセンターや児童相談所で適切な支援を受けてから、通報する気持ちを持てる場合も多い。

 支援を受けて警察へ行く人が増え、認知件数が上がる。認知件数の増加が、支援の必要性を証明し、層を厚くする。その循環が生まれなければならないと感じている。

 

<性暴力・性犯罪被害に遭った際の相談先>

性犯罪被害相談電話(全国統一)「#8103(ハートさん)」(警察庁) style="font-size: large;"> ・全国の性暴力ワンストップ支援センターリスト

 http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/avjk/pdf/one_stop.pdf

 ・被害者支援都民センターなど、全国にある犯罪被害者支援センターで性犯罪被害相談を受け付けている。

公益社団法人 style="font-size: large;"> http://www.shien.or.jp/

 ・望まない妊娠、意図しない妊娠に悩んだ際は、「にんしんSOS」で検索

 


 



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おばあちゃん、身に覚えのない「虐待」で逮捕

2019年03月27日 | 事件

孫への虐待容疑で突然逮捕...無実を訴える祖母の悲痛

 

  Yahoo!ニュース 3/27(水) 「現代ビジネス」

    痛ましい虐待事件が相次ぐ一方で、2018年から、「揺さぶられっこ症候群(SBS)を根拠に逮捕・起訴された事例で、いくつかの無罪判決が下されていることをご存じだろうか。

 赤ちゃんの頭部に出血などが見られた場合(SBS)、虐待の疑いが高いと判断され、事件として扱われるのが通例となってきたが、世界的に「SBSには医学的根拠が薄い」という声が高まっており、日本でも「それが本当に虐待によって生じたものかどうか」について、慎重な判断が求められるようになっている。

 ジャーナリストの柳原三佳氏は、近年、SBSを根拠として起訴されたが冤罪の疑いのある事件を集中的に取材。その問題点と、無実を訴える家族の悲痛な叫びをまとめた『私は虐待していない ~検証 揺さぶられっ子症候群』を発表したが、いまなお冤罪の疑いのあるケースが数多くみられるという。

  孫に対する虐待の罪に問われたひとりの女性(当時67歳)が、無罪を訴えながらも5年6カ月の実刑判決を受けたケースから、「揺さぶられっこ症候群」の問題を浮き彫りにする――。

突然「被疑者」になる

 我が子や孫を「強く揺さぶって虐待」したとして、ある日、保護者が突然逮捕される……、そんな報道を目にすることがたびたびあります。こうした報道に触れるたび、『生まれて間もない我が子に手を上げるなんて、なんてひどい親なんだろう! 』と怒りを覚えている人も多いのではないでしょうか。

  私も、そんな思いを抱いていた一人でした。

  しかし、その考えは、当事者、つまり、赤ちゃんが「揺さぶられっこ症候群」と診断され、虐待を疑われた保護者たちへの取材をきっかけに大きく変わりました。

  大切な我が子が、突然の事故や病気で脳に重い障害を負ってしまったら……。親としては身を切られるほど辛く、悲しく、先の見えない不安にさいなまれ、どん底に突き落とされた気持ちになることでしょう。そして、子どもを守ってやれなかった自分を責めることでしょう。にもかかわらず、ふと気づけば、親である自分自身が「被疑者」になっている、そんなことが実際に起こっているのです。

 恐ろしいことですが、今の日本では、日々の子育てのなかで、ほんのわずか目を離した瞬間にけがをしてしまった、また、お昼寝中に突然容体が急変したのだといくら説明しても、まず信じてはもらえません。

  医師、警察、児童相談所が、赤ちゃんの頭部に出血などの徴候を確認すると、その子のママやパパ、祖父母たちは、一方的に「虐待した」と決めつけられ、赤ちゃんと引き離されたり、罪に問われたりする――そういう現実があるのです。

 揺さぶられっ子症候群、英語では「Shaken Baby Syndrome(シェイクン・ベイビー・シンドローム)」と呼ばれているこの症状は、頭文字をとって、世界的には「SBS」と呼ばれています。

  赤ちゃんの頭部に、

  (1)硬膜下血腫/頭蓋骨の内側にある硬膜内で出血し、血の固まりが脳を圧迫している状態

(2)眼底出血(網膜出血)/網膜の血管が破れて出血している状態

(3)脳浮腫/頭部外傷や腫瘍によって、脳の組織内に水分が異常にたまった状態

 という3つの症状があれば、SBSの可能性が高いと診断されるようです。

  病院に搬送された赤ちゃんの頭部に上記の症状がみられ、「揺さぶられっ子症候群」の疑いがあると診断した医師は、念のため児童相談所と警察に通報します。

 それを受けた児童相談所は、まず、けがをしている子どもはもちろんのこと、場合によってはその兄弟姉妹にもさらなる虐待被害が及ばぬよう、「保護」という目的で子どもを親から隔離します(この処分を「親子分離」といいます)。

  そして警察は、傷害事件(被害児が死亡した場合は殺人事件)の疑いも視野に入れて、赤ちゃんと関わっていた保護者や関係者に対して、事情聴取や家宅捜索による物品の押収などを始めるのです。

  親子分離されてしまうと、自分の子どもと一緒に暮らすことはできず、看病することも許されません。ときには、その期間が一年以上に及ぶことも珍しくありません。それでも、子どもが児童相談所から無事に返されれば、まだましなほうです。

  なかには、事故や病気の可能性が高いと主張しているにもかかわらず、強引に逮捕・勾留され、検察庁に起訴され、刑事裁判が始まり、有罪判決を受けて刑務所に送られた親たちもいます。

 2017年10月、大阪地裁で孫に対する虐待の罪に問われたひとりの女性(当時67歳)が、一貫して無実を訴えながらも、5年6カ月の実刑判決を受けました。女性はすぐさま控訴し、この事件は、現在も大阪高裁で刑事裁判が続いています。

  赤ちゃんの脳に出血などの異常が見つかっているのは事実であるだけに、彼女が話すことを、単なる「言い訳」とか「自己保身」だと受け取る人もいるかもしれません。

  しかし、「虐待した」と疑われるその直前まで、この赤ちゃんの身体に傷らしいものは何もなく、両親をはじめ保護者から大切に育てられていたことも事実です。

いったい、彼女に何が起こったのでしょうか……。インタビューを行いました。

   (*高裁判決が下されるまでは、実名報道を控え、仮名で報じます)

「突然、孫が意識をなくしたのです」

 2016年4月6日、私、高山昌子(仮名)は、お昼過ぎから近所に住む、娘(次女)の自宅に来ていました。娘には2歳3ヵ月の長女・ゆきのちゃん(仮名)と、生後2ヵ月半の次女・あかりちゃん(仮名)、つまり私にとっては孫にあたる女の子が2人おり、それまでもよく面倒をみたり、遊んだりしていました。

 午後3時ごろ、娘が銀行や買い物のために出かけたいというので、「しばらくの間なら、私が面倒を見ているから大丈夫よと」言って、送り出しました。

  面倒をみると言っても、あかりちゃんはまだ生後2ヵ月半の赤ちゃんです。動き回ることもなく、ミルクを飲んで、リビングの隣の部屋にあるベビーベッドで寝ているだけです。

  私は、あかりちゃんが泣いたらすぐにわかるように、隣の部屋のドアを完全に閉めず、ドアにスリッパを挟んで少し開けておきました。そして、娘が帰ってくるまでお姉ちゃんのゆきのちゃんと遊んでいました。ゆきのちゃんはとにかく私によくなついていて、ママが出かけても後追いするようなことはありませんでした。

 あかりちゃんは、娘が出かけた後、大人しくすやすやと眠っていました。

  そして、夕方、午後5時前、娘が帰宅しました。

   「おとなしく寝ていたわよ」

   私はそう言ったことを覚えています。

 それから15分ほど、娘は買い物してきたものを整理しながらリビングで私としゃべり、そろそろミルクの時間だと言って、私と一緒に隣の部屋に行きました。

すると、娘が突然、悲鳴のような声を上げました。

  「えっ! お母さん、ちょっと見て! 顔色がおかしい。どうしよう!」

  私も驚いて、顔をのぞき込みました。顔面が蒼白で、息遣いもいつもと違うような気がします。

  娘はあわててあかりちゃんを抱き上げ、「目開けて、目開けて!」と声をかけました。そのとき、左目がパッと開きました。

「今、左目が開いたよ! 大丈夫、呼吸もしてるし、落ち着いて、とにかく病院へ連絡を」

 娘はすぐに、近所に住む姉の車に乗って、あかりちゃんを出産した産婦人科病院へと搬送しました。

  「体重をはかるから待っていて」

  病院に到着すると、まずそう言われました。

 しばらくすると、処置室から慌てた様子で呼び出しがあり、

「たぶん、心臓に異常があると思うので、これから国立循環器病センターへ搬送します」

と言われ、あかりちゃんは大きな病院へ転送されることになりました。

  夜が明けて、医師から説明がありました。あかりちゃんの脳の中には、くも膜下出血や網膜出血が見られるとのことで、ほぼ脳死状態になっているという話をされました。

 まさか、脳に異常があるなんて、誰も思っていませんでした。 2ヶ月半前、元気に生まれてきた子が、どうして突然このようなことになったのか……。まったく思い当たることがありません。私たち家族は、大きなショックを受けました。

  ところが、病院からはいきなり、

「虐待の可能性もあるので、一応、児童相談所に通報します。警察から何か事情を聞かれることがあるかもしれない」

 と告げられたのです。

 「虐待?」

 とにかく驚いたのは事実ですが、私たちは虐待などしていないので、調べてもらえばわかることです。ですから特に不安は感じませんでした。

 あかりちゃんはその後も、意識が戻らないまま、入院を続けることになりました。 

 ところがそれから1ヵ月後、さらに追い打ちをかけるように、信じられないことが起こりました。警察が何の前触れもなく、突然自宅に入って来て、家宅捜索を始めたのです。孫が脳に障害を負ったのは、母親か祖母である私による虐待の疑いがあるというのです。

 警察官は10人くらいいたと思います。家の中の状況を何枚も写真に収め、育児に関するいろいろなものを押収されました。

 どうしてこんなことをされなければならないの……。

  私たちは驚きと悔しさで泣いてしまいました。でも、娘も私も、虐待なんて絶対にしていないので、調べてもらえばわかることだと信じ、警察には「ちゃんと調べてください」と言って、できる限り協力しようと思いました。

 緊急入院から3ヵ月後の7月23日、あかりちゃんは一度も意識を回復することなく、亡くなりました。しかし、「事件性も視野に入れる」ということで、遺体はすぐに警察によって運ばれ、司法解剖が行われることになりました。

  私たちは本当に辛く、大きな悲しみの中にいました。

 詰め寄るマスコミと警察

 9月ころから警察の調べはさらに厳しくなっていきました。大阪府警の捜査一課が担当しており、最後に一人で子どもたちをみていた私が虐待の犯人だと疑われ、容疑者として絞られていたようです。

 私は何度も東淀川警察署に呼ばれ、たびたび、

 「ホンマのことを言いなさい!」

 「あんたしかいなかったやろう」

 と詰め寄られました。でも、私は虐待などいっさいしていないので、ただ、あの日に起こったことを全部話して、「なにもやっていません」と答えることしかできませんでした。

 思い返せばこの頃、新聞社やテレビ局の人たちも私の前に次々と現れました。私の家に突然訪ねてきたり、公園で娘の長女と遊んでいるときに、いろいろな質問をされたこともありました。

 「医療過誤の取材をしている」と言って近づいてきたテレビ局の人もいました。ところが、その人は医療過誤とは無関係の話題を出してくるのです。ふと彼のショルダーバッグを見ると、小さな穴が開いていて、ビデオカメラのレンズのようなものが見えます。私は隠し撮りをされていたのでした。

 おそらく、マスコミの人たちは私が近いうちに逮捕されることを知っていたのでしょう。

 それからしばらくして、私が突然逮捕された後、ニュースには私の写真や動画が、私の実名とともに大々的に報道されたようです。もちろん、私は見ることはできませんでしたが……。

「お母さんしかおらん!」突然の逮捕

 12月6日の早朝、昌子さんの自宅に突然、警察がやってきました。署に同行してほしいというのです。

  そのとき刑事はこう言ったと言います。

 「フード付きの服あるか? マスクもあったらつけたほうがいい。実は、マスコミがあんたの家の周りにいっぱいおんねん。映るでぇ、映されたらイヤやろ」

 昌子さんは今日も事情聴取なのかと思いながら、言われるがままマスクをつけ、フード付きのピンク色のパーカーで深々と顔を覆い、自宅マンションから出ていきました。するとその瞬間、報道陣のカメラがいっせいに昌子さんの姿を狙い始めたのです。

 そして、複数の記者から、

 「高山さん、いったい何をされたんですか?」

 「あなたがやったんですか!」

  といった怒声を浴びせられました。

 本人も知らないうちに、大事が起きているようでしたが、昌子さん自身は、いったい何が起きているのか、知る由もありません。

 警察車両で淀川警察署に到着すると間もなく、

「逮捕状持ってきました。高山昌子、はい、逮捕!」

 そう言われ、昌子さんの細い腕に手錠がかけられました。

 「待ってください! 私は何もやっていません!」

  昌子さんは恐怖と怒りを感じながら、抵抗しました。

  刑事は「母は絶対に虐待なんてしていません」と訴える昌子さんの娘たちにこう言ったそうです。

「お母さんしかおらん。医者に聞いたら虐待や言うてる。俺らも最初は二人をちゃんと調べたけど、娘さんは違うわ。虐待をやるような人ではない。お母さんしかおらへん。まあ、あとは検事が決めることやからな」

 この日から、留置場での取り調べが始まりました。そして、勾留期限が過ぎると、そのまま大阪拘置所に移送され、勾留されることになったのです。

判決、懲役5年6カ月

 高齢の昌子さんにとって、暖房もない部屋での生活は身体にこたえました。

「夜は9時に消灯、朝は7時半に起床。お風呂は3日に一度で、服を脱いで入浴し、着替え終わるまで15分、すべて監視されています。どうして何もしていない私が、こんな生活を強いられるのかと、本当につらかったですね。でも、1週間に1回、娘夫婦や孫たちが必ず面会に来てくれて……。『おばあちゃんがそんなことをするはずがない』と、みんなが信じて応援してくれたことが支えになりました」

 しかし、年の瀬も押し迫った12月27日、昌子さんは勾留されたまま大阪地方検察庁によって、傷害致死の罪で起訴されました。

起訴状には「公訴事実」として、次のように書かれていました。

<被告人は、平成28年4月6日午後2時●分頃から同日午後4時50分頃までの間に、*******において、***(当時生後2ヵ月)に対し、その頭部に強い衝撃を与える何らかの暴行を加え、よって、同人に急性硬膜下血腫、くも膜下出血、眼底出血等の傷害を負わせ、同年7月23日、大阪府高槻市内の病院において、同人を前記傷害に起因する脳機能不全により死亡させたものである。>

 そして、翌2017年10月2日、大阪地裁の飯島健太郎裁判長は、

「強く揺さぶらなければ起こりえない傷害で、それが可能だったのは高山被告だけだ」

と指摘して、懲役5年6月の実刑判決を言い渡したのです。

 判決文には、次のように書かれていました。

「抵抗できない乳児に強い衝撃を与えた非常に危険な行為だ」

「偶発的な犯行の可能性も考えられるが、被害児は首も据わっておらず、強い非難に値する」

検察側の求刑は、懲役6年でした。

 『孫はただベッドの上で寝ていただけ……』

  一貫してそう主張する昌子さんは、すぐに控訴し、2019年3月現在、大阪高裁で審理が続いています。

 弁護団は、「赤ちゃんに起きた症状は、暴力的な外からの力で起きたものではなく、静脈洞血栓症という病気が引き起こした可能性がある」として、脳の専門家である脳神経外科医らの協力を得て、無罪を立証するべく活動しています。

 昌子さんは悔しさをにじませながらこう語ります。

「今の私にとって、孫たちは生きがいです。娘が生んだかわいい赤ちゃんに、どうして虐待なんて……。そもそも、どうやったらそんなに強く揺さぶることができるんですか? まったく意味が分かりません。高裁の裁判官には、正しい判断をしてもらいたいと思います」

「強い揺さぶりによる虐待」と判断した医師たち

 私が本連載で、2017年から取り上げてきた「揺さぶられっこ症候群」事件の被告人・井川京子さん(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/53525)と、この事件で逮捕された高山昌子さんの判決は、ほとんど同じ時期に、大阪地裁で下されています。

 この二つの事件には、共通点があります。

 まず、起訴された時点でいずれも「強く揺さぶった」という疑いがかけられていたことです。。

 しかし、井川さんも高山さんも、「強く揺さぶるようなことは行っていない」と強く否定し、無罪を主張していました。にもかかわらず、大阪地裁の裁判官は、目撃者のいない家庭という密室の中で起きた出来事について、母である京子さん、祖母である昌子さんの言っていることは、すべて嘘だと断定したのです。

 乳幼児の身体に目立つような外傷がなく、脳だけがダメージを受けている場合、警察、検察、裁判官は必ず医師の意見を求めます。被害にあった子どもと最後に一緒にいた保護者に疑いの目を向け、罪に問うには、医学的な見解がどうしても必要だからです。

 京子さんの裁判に関わり、「揺さぶりによる虐待に違いない」という内容の意見を述べたのは、検察から意見を求められた虐待に詳しいと称する小児科医と法医学者でした。そして、昌子さんの刑事裁判において検察側の証人として登場したのも、同じくこの二人の医師でした。小児科医は法廷で、昌子さんが「孫に対して暴力的な揺さぶりを行った」と断定しています。

 しかし、京子さんも昌子さんも、この二人の医師が裁判所で述べた意見について、強い違和感を覚えたといいます。

 まず、彼らはただの一度も、被告人とされた彼女たちに話を聞きに来たこともなければ、入院している赤ちゃんを実際に診断したこともありませんでした。また、脳が損傷を負ったケースなのに、なぜ裁判所は、脳の専門家である脳神経外科の意見を聞かずに、彼らの意見だけで判断するのか? という疑問です。

 実際、揺さぶられっ子症候群の取材をする中で、私は脳神経外科医たちから、捜査機関や裁判所の判断の仕方について、厳しい批判の声を多数聞いてきました。そして彼らは、小児科医らの意見だけで保護者が有罪とされる現状について、「脳の専門家として看過できない」と立ち上がり、複数の裁判で意見を述べ始めました。

 その意見書や証言の効果が表れ始めたのでしょう、2018年~19年にかけて、大阪高裁では揺さぶられっこ症候群に関する事件の無罪判決が立て続けに下されています。

 しかし、日本の刑事裁判ではあいかわらず、有罪になる確率が99%を超えています。いったん虐待の疑いで起訴されれば、保護者がいくら子育ての中で起きた事故だと主張しても、本連載で取り上げた高山昌子さんや井川京子さんのように、有罪とされてしまうのです。

 捜査機関や裁判所は、「揺さぶられっこ症候群による虐待」とされるケースについて、「脳の専門家」に意見を求めて、慎重に判断すべきだと思います。なぜ、頑なに専門外の医師からの意見のみで結論を出そうとするのか? 

  高山昌子さん、そして井川京子さんの大阪高裁での裁判を注目していきたいと思います。

柳原 三佳


 決して「冤罪」を出さないという強い決意が全くない。このような状況下において「死刑制度」はもってのほかというしかない。

 今日も朝は真っ白、待ちどうしい春。

朝起きるとまだ左目が痛む。早めに受診したほうがよさそうだ。
「目にはもうゴミはないが、かなり傷ついている」ということで2種の目薬をもらってきた。

部屋の中は春なのだ。

「亜麻」の発芽。

今、また視界がきかないほどの吹雪に・・・

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ニュージーランドでの銃撃事件。

2019年03月26日 | 事件

“They are us”ーーテロ後のアーダーン首相の行動は、愛と思いやりに溢れている。

分断が深刻化する社会で、私たちが彼女から学ぶべきものは何だろうか。

ハフポス 2019年03月26日

 
 
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無罪判決の医師わいせつ事件

2019年03月21日 | 事件

性犯罪の法廷は、どれほど被害者を傷つけるのか 無罪判決の医師わいせつ事件を振り返る

被害を訴えた女性は「法廷を舞台とした『公開処刑』だと思った」と意見陳述した

 ハフポスNEWS 2019年03月20日

    By Shino Tanaka

 

    執刀後に病室で女性患者の胸を舐めたなどとして、準強制わいせつの罪で起訴された乳腺外科医の男性(43)が2月20日、東京地裁で無罪判決を言い渡された。

地裁判決後、無罪となった男性医師の主任弁護人である高野隆弁護士は「疑問の余地のない無罪判決だ」と記者会見で語った。

  一方で、無罪の理由がつづられた判決文では「いささか決定打には欠けるが、『疑わしきは被告人の利益に』の観点から」などとまとめられていた。

   3月5日には、検察が地裁判決を不服として控訴。その後、女性を支援するために12人の弁護団が結成された。

   また公判では、医師側が事件に全く関係ない女性のブログや職業を引き合いに出し「性的に過激」などと決めつける場面もあり、法廷での性暴力被害者に対する無配慮なやりとりが許されていた。

   今後は東京高裁で争われることになるこの事件について、改めて振り返る。

職業やピルの服用など引き合いに女性を「性的に過激」と指摘する弁護手法も

   この裁判では、女性の訴えが、麻酔などの影響による「術後せん妄」に伴う性的な幻覚か否かについて論争になった。

   判決では、せん妄状態であった可能性があると指摘されたが、その心証を与えるために女性を辱めるような弁護手法も行われた。

   弁護側は芸能活動をしている女性に対して「性的に過激な表現の多い作品に出ている女優」などと主張。

   女性のブログの内容について、事件とは全く無関係なことを無理やり性的なことと結びつけて質問をしようとしたところ、検察側の異議申し立てで差し止められた場面もあった。また、女性のピルの服用歴などについても言及された。

   女性は弁護側の主張を否定し「せん妄にしたいがために、私の職業を性的にいやらしいものにしてしまおうという魂胆でしょうか。あまりに低俗な発想で心から軽蔑する」と意見陳述した。

また、判決後には「病気療養のために服用していたピルが、なぜこの裁判に関係あるのでしょうか」と疑問を呈した。

一方で弁護側はハフポスト日本版の取材に対し「我々は性的な撮影をしたこと自体が、多分に性的なせん妄を引き起こす恐れがあると考えている。より正確に女性の状態を表すためには、裁判所に証拠として採用してほしかった。ブログについては、当日の本人の様子を示す目的だった」と答えた。

ピルについては「作用の仕方は詳しく覚えていないが、ピルが術後せん妄に影響する要因だという。そのために服用しているかを聞く必要があり、それ以外の理由は無い」と話している。

性暴力撲滅に向けた啓発活動をするNPO「しあわせなみだ」の中野宏美さんは「ピルを使っている女性に対する『ふしだらな関係を好む』といった誤解と偏見に基づく、勝手なイメージを悪用した例だ」と強く非難している。

傍聴人が見るモニターに女性の裸の写真を示そうとする

   弁護側の証拠提示の際には、法廷で傍聴者に見える大きなモニターに、「顔はマスキングしてある」として女性の上半身裸の手術前写真を映し出そうとすることもあった。

女性はこの場面についても「法廷を舞台とした『公開処刑』だと思った」と陳述していた。

そもそも手術前の写真撮影については、通常はあごから下の部分を衣服を脱いだ状態で3枚ほど撮影する。

しかし女性の場合は、自分で衣服をまくらされ、顔と胸があらわになったかたちで撮影されていた。

検察側は、こうした撮影手法は通常のものではないとし、また他の患者の写真はカメラの記録媒体に残っていたものの、15枚あった女性の写真のみを削除していたことについても追及した。

   弁護側の証人として出廷した埼玉医科大学総合医療センターブレストケア科の矢形寛教授は「撮影枚数・撮影体位・撮影部分等は適切である」としつつも、顔の撮影については自身では撮影しないことを踏まえ「できたら撮らないほうがいい」と指摘していた。

判決では、これらの証言などから「医学的に必要な行為としても説明がつかないわけではない」と問題視しなかった。

 被害者の情報の秘匿はなぜ守られなかったのか

   性犯罪では、被害者の特定につながる情報は公判の場で明らかにしないことになっている。

ただこの事件では、裁判所に提出する弁護側の主張が整理された内容について、公判が始まる前から、医師を支援する団体のシンポジウムなどで披露されていた。

その中には女性の特徴や仕事に触れたものや、事件の経緯なども入っている。

   女性は、地裁判決後にハフポスト日本版の取材に対し「被害者の秘匿はどこへ行ったのか。なぜ嫌がらせを受けた方がこのようになってしまうのか」と声を震わせた。

匿名で裁判に出ていたものの「名前やプライベートな情報はすぐにインターネットなどでさらされた。なぜ被害者の名前が出るのか。『せん妄の頭のおかしい女性』呼ばわりされ、レイプのようにひどかった」と語った。

判決については「これで無罪だったら、どうやって立証すればいいのか。何のために頑張ったんだろう。私はただ、手術を受けに行っただけなのに」と話した。

この事件では、手術に関わった同僚の医師らが「外科医師を守る会」とした組織をつくり、「公正かつ慎重な審理を求める署名」を集め、医師の無罪を訴えるために、定期的に集会を開いている。

 証言の信用性、地裁はどう見たか

   大川隆男裁判長は、女性の証言に対しても、男性医師の弁護側の説明についても「いずれも信用できる」とした。

一方で、女性は通常より多い量の麻酔などの影響により「幻覚を体験していた可能性も相応にある」と判断している。

公判で争われた事件の流れは次のようなものだった。

事件の経緯

 PM1:35 麻酔開始

 PM2:00~2:32 手術

 PM2:40 麻酔終了

女性の証言

PM2:42 4人部屋へ

(痛い、の訴えに鎮痛剤を追加)

 PM2:55~3:12ごろ

 医師が2度病室を訪れる

 PM3:12 女性が上司にLINE

「たすけあつ」「て」「いますぐきて」

 PM3:21 続けてLINEを送る

「先生にいたずらされた」

「麻酔切れた直後だったけどぜっいそう」

「こわい」「たすけて」など

PM3:30 110番通報

PM5:37 警察が付着物をガーゼで採取

PM7:29 担当看護師「術後覚醒良好」と記入

PM7:30 1泊入院の予定だったが日帰りで退院

 

 女性の証言について判決は「被害状況はかなり異常な状況というべきもの」としながらも「具体的で迫真性に富んでいる」「供述の一貫性がある」とした。

 だた「術後覚醒良好」などと書いた看護師は、「後に弁護士や病棟スタッフと話して、自分の認識が誤っていた」と証言を翻している。

 こうした証言や、麻酔の状況に対する専門家の分析から「せん妄の影響を受けていた可能性があることなどからすれば、その証言の信用性には疑問を差しはさむことができる」と結論付けている。

 科捜研の検査、裁判所の認定は「誠実さに疑念」もねつ造までは否定

   科捜研が、医師のDNA型を検出したことについて大川裁判長は「科学的証拠としての許容性はある」とし、「被告人のDNAが(女性の)左乳首付近に付着していたことも認められる」と判断した。

しかし、定量検査の過程を記したワークシートは、鉛筆で書き込みをしており、修正点は消しゴムで消して書き直していた。

   科学実験では、ワークシートを見た第三者が追跡できるものでなければならず、原則として流れを記録するためにボールペンなどで記入し、修正点もあとで分かるように線を引く程度で留める。

まれに、有機溶媒を使う実験では、インクがにじまないように鉛筆を使うことはあるが、修正点を消しゴムで消すことは考えにくい。

   大川裁判長はこのほか、研究員が体液をふき取ったガーゼのうち、鑑定に使用した分の抽出液を捨てたことなどと照らし合わせ「誠実さに疑念がある」と言及。

だが、検査に使わなかった半分はいまも科捜研に保存されており、検察側は再現可能性があると主張している。

大川裁判長は、消しゴムで修正した部分には結論に直結するものが含まれておらず「結果をねつ造したことまでもをうかがわせるものは見当たらない」として「信用できないとも断じがたい」と結論付けた。

被告側も再鑑定を依頼しなかった点について、弁護側はハフポスト日本版の取材に対し「ガーゼが半分残っていても、均一にしみ込んでいるかは分からない。標準試料の増幅曲線なども保存されていないので、再現することはできない」と話した。

女性の胸から出た医師のDNA型「疑わしきは被告人の利益に」

DNA型などについては、舐めて付いた以外の可能性についても争われた。

医師の代理人弁護士らは、専門家とともこの量について独自に実証実験をした。

DNA量については、医師が3本の指で濡らしたガーゼを揉み、付着物を採る手法で調べた。

このほか、実際に数人の女性の協力のもと、乳首を医師が舐める実験や、胸の触診を再現した検証が行われた。

また、弁護側の主張では、医師は「ニキビを潰したり、ひげを触ったりする癖がある」として「手を洗わずに触診すればDNAが検出されることはある」としている。

その上で医師が事件当日、触診があるにもかかわらず「手術の直前まで一度も手洗いをしなかった」と供述。

また、DNA型が検出された左胸の触診をしたかどうかについては、医師側と女性側で食い違いがあった。

大川裁判長はこれに対し「医療従事者としてはにわかには信じがたい内容の供述」と言及。

判決文には左胸の触診の有無についても争いがあり「舐めたことによるとの仮説は有力」と書かれている。

   その上で「いささか決定打に欠けるが、『疑わしきは被告人の利益に』の観点から」として、つばが飛んだり触診によって付着した可能性も捨てきれないと結論付けた。

 


 昼から雨の予報だったが、結局降らず、暗くなってから雪が降りだした。明日は一日雪マークだ。これでは融雪も思ったほどには進まない。

沼の周りから溶け始めています。

ハウスの雪割作業。

家の裏山。白樺樹液採取準備に取り掛かります。

まだ積雪は150㎝ほど。

 8㎜のドリルで穴を開けたところ。(小枝が入ってる)

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「厳罰より治療を」

2019年03月16日 | 事件

ピエール瀧逮捕報道で炎上した深澤真紀は間違ってない! 違法薬物問題に「厳罰より治療を」は世界の潮流だ

   リテラ 2019.03.15

 ピエール瀧の逮捕報道が過熱の一途をたどっている。

 ワイドショーはいまだにピエール瀧のニュース一色となっているが、そんななか、なんとも「ヘル日本」「中世ジャップランド」を象徴するような出来事が起きた。番組のなかで、「厳罰よりも治療を」といった趣旨の発言をしたコラムニスト・編集者の深澤真紀氏が炎上しているのだ。

 3月13日放送の『とくダネ!』(フジテレビ)にコメンテーターとして出演した深澤氏は、まず、とかくスキャンダラスに扱われがちで、なおかつ「厳罰主義」な過剰バッシングに傾く傾向のある、芸能人の薬物報道のあり方に対して疑問を投げかけた。

「今回の逮捕も本人の治療につながると思うので、ただただ『仕事全部NG』とか、そういうのは変えていってもいいのかなと思うんですね。特にこういう報道があると、いままで止めていた人も絶望してまた再開してしまったり、あるいは、『どうしよう……』と思っている人がこんなに厳罰になってしまうのなら隠そうと思ってますます隠してしまったり(する)。むしろ明らかにしたほうが治療につながるんだよってことを、今日の報道では是非その流れで話せればいいなと思うんですけどね」

 その後、深澤氏は、清原和博がそうであるように、ピエール瀧にも復帰のロールモデルとなってほしいと期待を寄せるコメントをしつつ、もうひとつ大事な点を指摘した。

 世界的には薬物問題は厳罰を脱する方向を向いており、加罰よりもむしろ「治療」の問題を論じられるようになっているのにも関わらず、日本の法整備は明らかに遅れているのではないかと語ったのだ。

「本人が売っていたら問題ですけれども、薬物の場合難しいのは、本人が患者でもあるということなので。日本はどうしても薬物依存の方が少ないので、法律が変わっていないんですけれども、法律も50年以上変わっていないので、治療の現場がまったく変わっているなかで、この法律でいいのかというのは、世界的には論議されているところなんですね」

 現在、電気グルーヴの作品の出荷停止と回収が決まったり、ピエール瀧が出演した映画・ドラマの出演部分差し替えなどが頻発する事態にもなっている。

 これも厳罰主義ゆえに起きていることだが、そういった状況に対しても深澤氏は「ここで彼の仕事をすべて私たちが奪っていくと、ますます病気から立ち直ることはできませんから。他の国で、ここまで薬物をやった人の仕事をすべて消すという流れは減っていますからね」としつつ、このように語った。

「薬物はバレたら人生は終わりだというイメージをつけてしまうことが本当に良くないと思うんですね」

 深澤氏がここで語っていることは非常に真っ当なことだと思うが、しかし、そういった深澤氏の提言に対し、ツイッターでは炎上が起こったのだ。

〈薬物使用者がむしろ被害者。ってどういうこと? この深澤真紀って人は頭おかしいのか?〉

〈深澤真紀っていうの? この人。薬物使用した人は被害者、被害者連呼でめちゃくちゃ違和感〉

〈フジの「とくダネ!」コメンテーター、深澤真紀さんは違法薬物犯罪を病気みたいに言ってた。びっくりだよ。被害者? へぇー。それなら、私も一回くらいやってみてもいいかな、なんて思ったわ。ああいう博愛主義みたいなのが国を、人を滅ぼすんだと思う〉

〈#深澤真紀 さんが「薬物バレたら人生終わりというイメージつけるの良くない」と発言してたが其れは違う! 人生終わりなのだ! 賭博行為や若気の至りの種類とは訳が違う〉

〈何言ってんだ? 違法薬物使用者は終身刑、売人は死刑、製造や密輸関係した者は殺処分ぐらい言えよ、何が被害者だ〉

 こういった「違法薬物をやったらその時点で人生は終わり」という偏見を補強するような眼差しは『とくダネ!』のスタジオ内にもあった。

 

荻上チキらが提起した「薬物報道ガイドライン」

 先に引いた、「日本の法整備は遅れている」との深澤氏の言葉を受けたコーナー進行担当の伊藤利尋アナウンサーは凍り付いた表情で、このように切り捨てたのだ。

「とても大切な視点だとは思いますが、しかしまあ、現状法律で定められた社会のルールを犯してしまった、本人はその容疑を認めている」

伊藤アナにせよ、深澤氏に噛み付いたネットユーザーにせよ、彼らの主張は「我が村のルールを破った者は厳罰に処されなくてはならない。海外でどんな法律の運用がなされているかなど知ったことではないし、治療の現場にも興味はない。とにかく、ピエール瀧は恐ろしい犯罪者である。彼の行いの何が“罪”なのかはわからないし、考える気もない。とにかく、罰せられるべき犯罪者だ。理由はひとつ。“我が村のルールを破った”からだ!」ということに他ならない。

 一度、コミュニティの掟を破ったものは、彼らの言う道義的な「正義」の名のもとにどこまでも断罪され、その後、再び仲間に引き入れられることはない。

 彼らの言葉からは、現在日本にまん延する潔癖で閉塞した空気感が集約されている。

 おかしいのは、深澤氏ではなく、彼らのほうだ。

 2017年に、荻上チキ氏(評論家)、松本俊彦氏(国立精神・神経医療研究センター)、上岡陽江氏(ダルク女性ハウス代表)、田中紀子氏(ギャンブル依存症問題を考える会代表)といった専門家によって、「薬物報道ガイドライン」というものが発表されている。

 このガイドラインでは、薬物に関する報道を行ううえでメディアが「避けるべきこと」と「望ましいこと」が具体的に言及されている。

そこでは、「避けるべきこと」のなかに〈「人間やめますか」のように、依存症患者の人格を否定するような表現は用いないこと〉〈薬物依存症であることが発覚したからと言って、その者の雇用を奪うような行為をメディアが率先して行わないこと〉〈「がっかりした」「反省してほしい」といった街録・関係者談話などを使わないこと〉といったものがあり、逆に、「望ましいこと」のなかに〈依存症については、逮捕される犯罪という印象だけでなく、医療機関や相談機関を利用することで回復可能な病気であるという事実を伝えること〉〈「犯罪からの更生」という文脈だけでなく、「病気からの回復」という文脈で取り扱うこと〉〈依存症の背景には、貧困や虐待など、社会的な問題が根深く関わっていることを伝えること〉といった指摘がある。

 伊藤アナやネットユーザーが強化した「ルールを破った者は永遠に村八分」は「避けるべきこと」であり、深澤氏の意見の切り口は「望ましいこと」であった。

 欧米諸国において違法薬物の問題が「厳罰主義から治療へ」といった方向に変わっているのは、医療の進歩や様々なデータの研究の結果、厳罰主義が薬物事犯の抑制に効果がないということが明らかになったからだ。

違法薬物問題に「厳罰主義から治療へ」は世界の潮流

 そういった知見を受けて、単なる所持や使用の場合はむしろ、「治療」に舵を切るようになった。薬物を使用した者を過度に断罪することを避けるようにしているのも、依存からの回復と速やかな社会復帰を促すためである。

 薬物を使用したことで社会から追放されれば、精神的にも経済的にも以前の生活を取り戻すことは難しくなるし、今回ピエール瀧が見せしめとされているように、薬物使用ですべての仕事を奪われ人生が崩壊するさまを見れば、依存を脱するために医療機関のサポートを求めたいと思っている人も二の足を踏んで、さらに状況を悪化させてしまうだろう。

 深澤氏の指摘はそういった状況を説明するコメントであったわけだが、今回のピエール瀧の報道において、大半のワイドショーでこんな真っ当な意見は聞かれなかった。

 むしろ、「違法薬物をやったらその時点で人生は終わり」といったイメージを補強する役割を進んで受け入れたといえる。

「そんな人だとは思わなかった」という街の人の声をVTRで届け、スタジオではコカインに手を出せばどんな人生の末路が待っているかをおどろおどろしく解説し、注射器や白い粉が入った小分けのパケの画像を映し出すのはもちろんインターネットでの購入方法を説明する番組まであり、さらには今回の逮捕で飛んだ仕事の違約金がどれほどの高額に及ぶのかを面白おかしく煽り立てた。

 その一方で、薬物を使用した人の回復に関する取り組みや、違法薬物がまん延する社会状況そのものに対する批判的な眼差しはほとんど見られることはなかった。そんななか、深澤氏のコメントは貴重なものであったといえるのだが、それが逆に非難を浴びるという暗澹たる事態となってしまったわけだ。

 先に引いた通り、ネットユーザーのなかには〈違法薬物使用者は終身刑〉とまで強く怒りを表明する人がいた。

 しかし、もしもそこまで強く違法薬物の問題に怒りを示すのだとしたら、その憤りの矛先は違法薬物を使用した者に対してではなく、違法な薬物に逃げなくてはならないほど過酷な貧困や虐待などの社会状況がまん延していることに対してであり、そういった状況をつくりだしている政府のほうであるはずだ。

 ただ、伊藤アナや深澤氏を攻撃したようなネットユーザーがそういった方向に怒りを向けることはないだろう。

 彼らは「一度お上が決めたことは絶対に守らなければならない」「“なぜ守らなければならないのか”なんて考える必要はない。ただ命令されたから守らねばならないのだ」という考えが固着した奴隷だからだ。

 今回のピエール瀧報道は、メディアに違法薬物に関する建設的な議論が進むための基本的な知識すらないということを改めて示したと同時に、閉塞した現在の社会状況ではそもそも他国のケースと引き比べて現行の法整備に疑問をもつということすらないという絶望的な結果を浮き彫りにした。

 言うまでもなく、こういった状況は違法薬物に関する議論だけではなく、他の社会事象を議論する際にも共通する由々しき問題である。

(編集部)

 


 

 

「 厳罰主義」の一方で甘い「性犯罪」

今月12日、絶句するしかない判決が言い渡された。酒に酔って抵抗できない状態にあった女性を性的暴行した会社役員の男性に、福岡地裁久留米支部はなんと無罪判決を出したのだ。

 事件が起こったのは2017年2月。判決で西崎健児裁判長は「女性はテキーラなどを数回一気飲みさせられ、嘔吐して眠り込んでおり、抵抗できない状態だった」と認定しながらも、〈女性が目を開けたり、何度か声を出したりしたことなどから、「女性が許容していると被告が誤信してしまうような状況にあった」と判断〉(毎日新聞3月12日付)。西崎裁判長はこう述べたというのだ。

「女性が拒否できない状態にあったことは認められるが、被告がそのことを認識していたと認められない」

 え、どういうこと?と突っ込むしかない。テキーラを一気飲みさせられて嘔吐し眠り込んでいるというのは完全に抗拒不能状態で、それで性行為をおこなえば準強制性交等罪が成立する。そして、裁判長も「抵抗できない状態」だったことは認めている。にもかかわらず、目を開けたり声を出したことを理由に「女性が許容していると被告が誤信してしまうような状況」と認定するとは……。

リテラ

酩酊状態にさせ暴行して無罪! 甘い性犯罪判決の背景に司法界の男目線、刑法注釈書に「たやすく屈する貞操は保護に値しない」

2019.03.15冒頭部分より

 ****

 退職の意向が明らかになったNHKの青山祐子アナウンサー(46)がネット上で猛批判にさらされているのだ。彼女は12年3月の第1子を皮切りに、17年2月までに4人の子(2男2女)を出産。およそ6年間にわたり産前産後休暇と育児休業を取得し、現在も育休中。批判の多くは「育休中にもらった給与を返還しろ」「公務員ならまだしも民間ではありえない」といった内容。出産自体には賛同を示しつつ、育休制度を悪用しているという見方だ。

ここで多くの人が誤解しているが、NHKはもちろん、国家公務員や学校の先生に至るまで「育休中に給与は支給されていない」。

〈略)

 「育児休業は子が3歳に達するまで取得可能ですが、その間の俸給は支給されません。退職手当(退職金)も休業期間に応じて減算されます。ちなみに、介護休暇期間中も減額されます」(内閣府官房)

〈略〉
  日刊ゲンダイ



 おかしな国「ニッポン」
NHKは「公共放送」ではありません。
裁判官の「憲法」と「良心
はどこへ投げ捨てたのでしょう!
これでは到底「死刑制度」なんて恐ろしい「殺人機構」に過ぎない。

優しい「寛容」な国民は

「厳罰主義から治療へ」
親による子供への「虐待」についても、「DV・「いじめ」・「暴力」「ヘイト」加害者への更生教育プログラムが注目され始めれいる。彼らにはには「治療」が必要なのだ。心を病んでしまった病人だ。現代の「社会構造」の犠牲者たち。

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雨宮処凛がゆく!第476回:渋谷の児童養護施設・施設長刺殺事件。の巻

2019年03月06日 | 事件
 
 

 千葉県野田市で虐待を受けていた栗原心愛ちゃんが亡くなった事件を受け、このところ、児童相談所が注目を浴びている。

 そんな児童相談所と同じ児童福祉法に基づく施設・児童養護施設で2月25日、施設長が刺殺されるという事件が起きた。

 一報を耳にした時は、「子どもを施設に入れられた親が逆恨みして施設長を刺したのか?」という予想が頭をよぎった。心愛ちゃんの事件から、そんな連想をしたのだ。しかし、違った。容疑者として逮捕されたのがその児童養護施設で3年間を過ごした22歳の若者であること、施設に「恨みがあった」と語っていること、施設関係者なら「誰でもよかった」と話していることを聞いて、目の前がどんどん暗くなっていった。しかも容疑者はネットカフェを点々とする生活で、所持金はわずか数百円だったという。

 この連載でも何度も書いているが、ホームレス状態の若い世代を取材していて、もっともよく耳にするのが「児童養護施設にいた」ということだ。

 現在、非正規雇用率は4割に迫り、その平均年収は172万円。特に若年層ほど非正規雇用率が高いわけだが、その多くがホームレス化していないのは、大なり小なり「家族福祉」の恩恵にあずかっているからだ。例えば、家賃滞納をしてアパートを追い出された時に帰る実家がある、困った時に親に泣きついてお金を貸してもらえる、もともと実家に住んでいるなど。ちなみに、私と同世代の35〜44歳で親と同居している未婚者は約300万人。ひと昔前は、35〜44歳で未婚、実家暮らしという層はほとんどいなかったわけだが、今は低賃金ゆえ実家を出られない人が多くいる。が、裏を返せばその層は、「実家」というセーフティネットがまだ機能している人々という言い方もできる。

 しかし、児童養護施設出身者の多くは、親には頼れない。虐待を受けていたり、貧困だったりという理由から施設に入ったのだ。そんな若者が施設を出る時にどのような困難が待っているかはあまり知られていない。私がこれまでの取材で聞いたのは、「未成年で親がいないと携帯の契約ができない」「仕事に就く際に保証人が必要でも頼める人がいない」「不動産屋でアパートを借りたくても保証人がいない」など、自立に向けた第一歩目でつまずいてしまうという現状だ。

 もう10年以上前に取材した、当時19歳のA君もそんな一人だった。携帯を買うにも、不動産屋に行っても、「身寄りが一人もいない」事実を伝えると店の人は戸惑い、「異例の事態なんでわかりません」と言われてしまう。どこに行っても「異例」「特例」で、何をするにも「親がいる人」がおそらく生涯気づかない高い壁に何度も未来を阻まれる。

 彼の場合は、児童養護施設出身ではなく、里親家庭で育っていた。本人はそのことをまったく知らなかったのだが、18歳のある日突然「実は養子だった」と告げられ、「すぐに施設に入れ」と言われて本当に4日後には「自立援助ホーム」に入れられてしまう。実の親だと思っていた相手が里親と知るだけでもショックなのに、突然追い出されて施設に入れられてしまうなんて、世界が反転するような衝撃だったろう。

 ちなみに自立援助ホームとは、児童養護施設を退所した若者の受け皿として設置された施設。働きながら、自立を目指す。そこは20歳までいられると聞いていたが、なぜか彼は半年で出されてしまい、しかし、バイトをしてお金を貯めていたのでアパート暮らしを始めることができた。が、一人暮らしを始めると地元の「危ない奴」に「目をつけられて」しまい、執拗に絡まれ、バイト先やアパートに押しかけられるなどが重なる。警察に相談するもどうにもならず、アパートを出るしかなくなる。

 そこで、それまでいた施設に助けを求めるが、「管轄が違う」のでもう受け入れることはできない、「住み込み就職しかない」と言われる。「危ない奴」から被害を受けた時に連絡した警察に相談しても「住み込み就職しかない」と言われる。路上で倒れ、運び込まれた病院の人に「行くところがない」と訴えても、「うちはそういうことでは入院させられないから住み込み就職しかない」と言われてしまう。

 しかし、家がなく、住民票も身分証明も何も持たない少年を、いきなり住み込みで雇ってくれるところなどあるだろうか。結局、彼は長い期間をホームレスとして過ごし、その間、教会で寝かせてもらったり、山奥の牧場でなんとか住み込み就職をしたりと各地を転々とした。「普通の仕事」を求めていたが、警備員なども身分証明が必要なのでできなかったという。

 その後、彼は支援団体に出会い、生活保護を受けるのだが、10代にして「家族福祉」を突然失い、その後、施設や警察や病院などに助けを求めても「誰も助けてくれなかった」という事実、そして路上で寝ている自分を気にかけてくれる人は誰ひとりいなかったという現実は、大きな大きな傷となって残っているようだった。突然自分を放り出した里親への複雑な思いも大きいようだった。

 社会に対する、怒りと不安。どうせ自分はどこに行っても「異例」「特例」扱いという思い。そして実際、「親がいない」ことから降りかかる数々の困難。生活保護を受けたものの、しばらくすると、彼は再び路上に戻っていた。それから何度も顔を合わせているが、どこに住んでいるのか、今は路上なのか生活保護なのか、なかなか聞くことができないままだ。ただ、少年期のあまりにも過酷な経験が、彼を今も苛んでいることは伝わってくる。

 今回、逮捕された容疑者がどんな人生を歩んできたのか、それはわからない。しかし、報道から断片的に伝わってくる様子からは、彼の苦悩が垣間見える。家賃を滞納して大家さんとトラブルになった際には、錯乱状態で壁にハンマーのようなもので穴を開けていたという。もうどうしていいのか、わからなかったのかもしれない。18歳で施設を出て自立を目指すしかなかった彼には、私たちには見えない壁がどれほどあったのだろう。

 なんで自分だけ。そんな思いがあったのかもしれない。

 もちろん、どんな背景があるにしても、彼のしたことは決して許されることではない。

 しかし、自らの18歳から22歳を振り返ると、そんな時期に「自立しろ」とせかされたら、生きられなかったかもしれないとも思う。いろんなことに躓いて、時に世間知らずゆえ騙されて、自分に何ができるかなんてまったくわからなくて、時に勝手に社会を恨んだ。だけど私の場合は、家賃を滞納すれば親に泣きついたし、最悪、実家に帰ればいいという逃げ場があった。だからこそ、いろんなことに挑戦できた。そして、それがどれほど恵まれていることかも知っていった。周りの友人の中には、実家や親には頼れないという人が多かったからだ。その理由は「実家が貧しい」ということで、そんな友人たちが風俗で働いたり援助交際したりすることを、私は何も言えずにただ傍観していた。傍観することしかできなかった。

 この国に、もう少し、「自立」に向けての躓きを見守る余裕があったら。

 「若い頃ってそうだよね、特に児童擁護施設にいたら、いろいろ特別なフォローが必要だよね」と、躓きや寄り道や小さな間違いが許される社会だったら。社会として、そんな制度や受け皿があったら。そうしたら、こんな事件は起きなかったかもしれないと思うのだ。実際、ヨーロッパでは、施設出身者はホームレス化しやすいということが広く認知されているので、そのための支援がちゃんとある。しかし、日本はあまりにも手薄い。

 「昔の施設出身者は、住み込み就職でもなんでもして頑張ったんだ」と言う人もいるかもしれない。実際、私のかなり年上の知人にもそんな経歴を持つ人はいる。しかし話を聞くと「昔の日本には、施設出身の若者を一人前に育てようという気概のある中小企業の社長がいたんだ」と驚くばかりで、参考にはならない。なぜなら、「若者を育てよう」などというような機運は今、社会からとっくに失われ、とにかく1円でも時給が安く、いつでも切れる労働者ばかりが求められているからだ。使い捨て労働が蔓延するということは、労働によって社会に包摂されてきた弱い立場の人々も見捨てられるということだ。社会がそうやって劣化することに、誰も歯止めをかけてこなかった。それよりも国際競争の方が大切だという社会が、何十年もかけて作られてきた。

 亡くなった施設長の大森信也さんは、報道を見ると、児童擁護の問題に熱心に取り組み、同僚や入所者からも信頼されていたという。熱意を持って現場で奮闘する人の命がよりによってこのような形で奪われたことに、改めて戦慄する。

 しかも、退所した容疑者に対する「支援」が事件の引き金になったのでは、とも報じられている。容疑者がアパートを出たあとも、施設職員は住まいや仕事の紹介をするなどの相談に乗っていたという。しかし、容疑者は「施設からの連絡が嫌になった」と供述している。また、アパートを出る前、容疑者が家賃滞納で大家さんとトラブルを起こした際にも職員は駆けつけている。大家さんの連絡を受けてということだから、おそらくアパートの保証人に施設がなっていたのではないか。その上、施設はアパートの修繕費など130万円も立て替えている。

 児童相談所も児童養護施設も、圧倒的に人手不足だ。そんな中、退所後もトラブルに駆けつけるなど「手厚い支援」を続けていたことが、逆に事件の引き金になっていたとしたら。

 一体、現場で動く人たちはどうしたらいいのか。どう対応すればいいのか。

 そう思うと、呆然と立ち尽くすことしかできないでいる。

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「アウティング(暴露)」あなたなら・・・・・・?

2019年02月28日 | 事件

「日本の司法はそんなものなのか」一橋大アウティング事件、踏み込まぬ司法判断に遺族ら落胆

  ハフポスNEWS 20190227

    泉谷由梨子

 

原告の訴えを全て棄却しますーー。

鈴木正紀裁判長が淡々と話すと、傍聴席にはため息が漏れた。

ゲイであることを同級生に暴露(アウティング)された一橋大の法科大学院生(当時25歳)が、20158月に校舎から転落死した事件。学校が適切な対応をしなかったと両親が訴えた東京地裁の裁判は、227日、原告側の敗訴で終わった。

学生に過去の自分を重ね「常に死が隣に控えている」と感じた松中権さん、オープンリーゲイとして活動しながらも、時にパートナーとの「関係を偽らなくてはならない」ことに疑問を感じると書いた松岡宗嗣さん。その他にも、亡くなった学生に思いを寄せる同性愛や性的マイノリティの当事者を含む人々が傍聴席を埋め、その時を待っていた。

しかし、判決では、ハラスメントなどの相談を受けながら転落死を止められなかった学校側の落ち度はなかったとされた。

それだけでなく、「アウティングが不法行為にあたるか」などの議論には一切踏み込まなかったことが、原告や支援者を落胆させた。

 

「日本の司法はそんなものなのか」

原告となった両親の代理人の南和行弁護士・吉田昌史弁護士も「夫夫(ふうふ)」だ。南弁護士は、弁護士を目指していた学生から、亡くなる直前、アウティングについての苦悩を相談されていた。

判決を受けて開かれた記者会見。吉田弁護士は判決について以下のように語った。

裁判では一貫して意図せずアウティングされることの危険性を訴えてきたつもりです。アウティングは人を死に追い込む危険がある加害行為。そうした不法行為が学内で行われたというのを前提に、大学にはどのぐらいの危険性があるのかを判断してほしかった。

若者がひとり、命をなくしている。そこに踏み込まなければ、「今現在同じことが起こった時に、大学は同じ判断をするんですか」ということになってしまう。

訴訟が始まってから他の大学でもいろいろな動きがあった。代理人としては不本意な裁判所の姿勢でした。

続いて南弁護士は、亡くなった学生の父親の「笑われるような判決ではないか」や、「日本の司法はそんなものか」と落胆する妹のコメントを読み上げた。

そして、さらに家族の様子や思いを代弁。涙をぬぐった。

彼のお母さんお父さんは、裁判のたびにこう話していました。「本人の気持ちも一緒に法廷に来ているから。弁護士にはなれなかったけど、あなたの裁判だよ」と。

この裁判が勝つか負けるかよりも、裁判所が「アウティング」をどう捉えるか、その本質を気にされていました。

「目指していた弁護士にはなれなかったけれど、本人の生きたことが日本の裁判の歴史の中で大きな基準になるような判決になれば、夢は果たせなくても意味はあったんじゃないかな」それがご両親の思いでした。

「アウティング」は集団の中で人間関係がガラッと変わってしまうこと。しかし裁判では表面的な判断しかされなかった。私達、原告代理人も残念でなりません。

 

「カミングアウト」「アウティング」に接したら

しかし、今回の訴訟では、亡くなった学生に「好き」と告白され、その後「おれもうおまえがゲイであることを隠しておくのムリだ」と、友人たちにLINEグループでアウティングをした同級生に、一定の理解を示す声が少なからずあったことも事実だ。

例えば、「異性愛者である自分がもし突然、同性の知人から『告白』をされたら、どう接すればいいのか?誰にも言わずに自分で全て受け止めなくてはいけないのか」といった声だ。

南弁護士は、そうした声を受けて、「知人が同性愛者であったという秘密を知ってしまうことが、『爆弾を預けられた』みたいに思われることも嫌だなと思った」と率直に語った。

その一方で、差別や偏見の多い世の中での意図せぬアウティングが、その人を孤立させ、死に追いやるほどの危険性を孕んだ行為だということについて、もっと考えてほしいとも訴えた。

南弁護士は、今回のアウティング行為について「相手が傷つくのをわかっててやったので正当性がない。秘密を抱えている人に敵意を向けたって解決はしない」と改めて厳しく指摘した。

さらに、一般的に「カミングアウトや告白などで秘密を知った人」「誰かのアウティングに接してしまった人」に対しては、こう考えてほしいと語った。

みんな、集団の中で人と人との人間関係を作っています。その中でアウティングされることは、「この人みんなの前でこういうこと言ってるけど、本当は違いますよ」ということをバーッと裸にされたような感覚です。その不安感が孤立に繋がります。

アウティングに「巻き込まれた」(周囲の)人も、知ってしまった事情をなかったことにするのではなく、「あなたの孤立感も分かるよ」としたうえで、新しく人間関係を作っていけたらいい。「聞かなかったことにするから大丈夫だよ」というのは違うと思います。それが、アウティングされた人を救う上で大事だと思います。


***    ***   ***


「彼は私」でした。一橋大アウティング事件で、電通を辞めて向き合ったひとつの感情。

私は、一橋大学出身のゲイのひとりです。この事件を機に、どんなことを感じ、考えてきたのかを、お伝えしたいと思います。

  ハフポス BLOG 2019年02月27日

 
photo anno筆者の松中権

ゲイであることを同級生に同意なく暴露(アウティング)され苦しんでいた一橋大学ロースクールの学生(当時25歳)が、2015年8月、大学敷地内で転落死する痛ましい事件がありました。

残されたご家族が、大学の相談対応の不備などを訴えた訴訟の判決公判が2月27日、東京地裁で開かれます。

私は、一橋大学出身のゲイのひとりです。この事件について知れば知るほど、考えれば考えるほど、胸がぎゅーっと締め付けられて、悲しさと怒りがグチャっと混ざったような感情が喉につかえて、吐き出すことができず、とても苦しくなってしまいます。

今となっては聞くことのできない、亡くなってしまったご本人の気持ち。

残されたご家族の方々、おひとり、おひとりの思い。

 

アウティングをした学生が当時そして現在、何を考えているのか。

国立市が「アウティング禁止」が盛り込まれた条例を施行するなど、多くの自治体や教育機関が動くなかで、今もなお姿勢を変えない一橋大学が守ろうとしているものとは何かーー。

判決を迎えた今日、認定NPO法人グッド・エイジング・エールズの代表としてではなく、他の誰でもない、私、松中権自身が、この事件を機に、どんなことを感じ、考えてきたのかを、お伝えしたいと思います。

 

あの日、大学生の頃に夢見た仕事が現実になろうとしていた。

Gon Matsunaka2016年夏。リオ・デ・ジャネイロの「ジャパンハウス」にて。

 2016年8月5日。第1回の口頭弁論にともない記者会見が開かれた時、私はブラジルのリオ・デ・ジャネイロにいました。

広告会社の電通に新卒で入社し、16年目の夏。日本一硬いクライアントのひとつといわれる、日本国政府の首相官邸担当営業となって5年が経っていました。

リオ五輪に合わせて世界中からやってくる人たちに向けて、日本の文化や技術を期間限定で現地にて発信する、「ジャパンハウス」というホスピタリティ施設プロジェクトの、まさに立ち上げのタイミングでした。

2010年にNPOを立ち上げて二足のわらじで働いていた私は、会社の仲間にも、ゲイであることをカミングアウトしていました。クライアント先の方々にひとりひとり説明したことはありませんでしたが、周知の事実でした。

聖火リレーの最中に、ランナーとして参加していたゲイカップルが、リオのゲイタウン・イパネマで立ち止まってキスをするニュースが流れると、「ゴン、もちろん、このニュース知ってるよね?」とチームのひとりが教えてくれたり、現地入りしていた組織委員会の方からは、「2020年の東京大会では、松中さんのLGBTネットワークの力もお借りしないとですね」と声をかけてくれたりしました。

私にとっては、大学生の頃に夢を見ていた仕事、働き方、それが、まさに目の前で現実になろうとしている瞬間でした。


大学4年の冬、逃げるように留学したオーストラリア

Gon Matsunaka1999年。留学先のオーストラリア・メルボルンにて、友人たちと。

一橋大学に通っていた4年生の冬、体育会の部活動の仲間も、ゼミの仲間も、みんなが卒業と就職に向けて準備する中、ひとり、逃げるように留学した先がオーストラリアでした。わらをも掴む思いでした。

ゲイカップルが手を繋いで街中を歩いているというニュースをネットで見つけ、自分らしく生きるにはここしかない、と信じて渡った国。初めて、ゲイであることをカミングアウトして、楽しく過ごした日々。

初めて、自分という存在を、自分自身が受け止め、向き合うことができた2年間。その留学の最後、2000年シドニー五輪のクロージング・セレモニーの会場に行く機会があり、オーストラリアが生んだ歌姫、カイリー・ミノーグが、ドラァグクイーン50人を引き連れてショーをする姿を目の当たりにしたことは今でも忘れられません。

「将来、そんな多様性を讃えるような仕事をしたい」。帰国後、内定が決まった電通で、人生において初めて思い描いた夢でした。


一橋大の「彼は私」でした。 

Gon Matsunaka大学時代。体育会フィールドホッケー部の仲間たちと。

本当に、自分はラッキーだな。周りの人や出会いにも恵まれて。まさかカミングアウトして働けるなんて、想像もしていませんでした。

このまま、いまの部署で働きながらNPOと二足のわらじを続けていけば、「多様性」がテーマの東京オリンピック・パラリンピックをレインボーにすることにも関われるかもしれない。いや、きっと関われるはずーー。

人生に一度あるかないかのオリンピックが日本で開催される機会に、LGBTのことをポジティブに発信できれば、多くの人たちに希望を届けられるかもしれない。このラッキーを最大限に生かしていきたい。

リオ五輪の現場で「ジャパンハウス」を立ち上げ、オープニングセレモニーの運営をしながら、そんな高揚感を全身で感じていました。

セレモニーの後、ホテルに帰った夜のことでした。時差ぼけもあり、うつらうつらしていた朝方だったかもしれません。何気なく開いたパソコンで見たFacebookのタイムラインが、事件のニュースや投稿で埋めつくされていたのです。

一橋大学、法科大学院、ゲイ、転落死、同性愛を暴露、アウティング、友人に恋愛感情・・・

オープンリーゲイで文化人類学者の砂川秀樹さんが、多くの同性愛者が自分と重ねて「彼は私だ」と感じていると、おっしゃっていました。

まさに、まさに、「彼は私」でした。

一橋大学法学部でゲイ。同じ、くにたち(国立)の校舎で学んでいたひとりのゲイというだけではなく、記事を通して知る、やりとりや状況のすべてが、私でした。

ホテルの部屋でひとり、過呼吸で吐きそうになりながら、パソコンに向かっていました。

 本当に、自分はラッキーだったのか

全身に電気ショックを受けたように、血液が体から音を立ててサーッと引いていく。記者会見の当初、ネット上に流れていた同級生たちとのLINEグループのやり取りの画面のスクショが、トドメをさしました。

6月24日水曜日

12時32分 おれもう おまえがゲイであることを 隠しておくのムリだ。ごめん

12時40分 たとえ そうだとして 何かある?笑 (既読8)

14時00分 これ 憲法同性愛者の人権 くるんじゃね笑(既読8)

たとえ、そうだとして 何かある? 

同級生のアウティングを、とっさにうまいこと誤魔化そうする。「笑」をつけて……。既読になっても、そこから80分間、何の反応もないLINEグループの仲間たち。

なんてコメントすればいいんだ。何が正解なんだ。

どう答えれば、一瞬の笑いで終わって、これまで通りの仲間たちに戻れるんだ。

ゲイってことが、なかったことになるんだ。

いや、もしかしたら、誰かが助け舟を出してくれるかも。

男が好きでも、女が好きでも、関係なくね。

さらっと、そんなこと言ってくれないか。

いや、まずは否定しないと。

いや、否定したら、逆に怪しい。

みんなとの関係が崩れる。

どうすればいい。どうすればいい。どうすればいい。 

亡くなった彼の、心の声が聞こえてくるようでした。大切にしたい仲間たちとの関係と、自分らしく生きたいけど生きられない葛藤との間で、なんとか辻褄を合わせ、帳尻を合わせ、ごまかし、嘘をつき、一緒に笑い、笑ったふりをし、楽しんでいるふりをする。

それは、私自身が一橋大学での4年間、毎日、経験していたこと。私自身の心の声でもありました。電通に就職した後も、NPOを作ってカミングアウトするまで心の声は続いていました。

続いていたはずなのに、この事件のニュースやLINEのやり取りを目にするまで、本当にすっかり忘れていました。記憶のどこかにしまい込んで鍵をかけてしまっていた、という方が合っているかもしれません。

本当に、自分はラッキーだな。周りの人にも恵まれて。このラッキーを最大限生して2020年まで、二足のわらじで頑張ろうなんて高揚感とともに感じていた自分。その愚かさや薄っぺらさ、自己中心的な発想に落胆しました。

自分はラッキーなんてものではなく、ただただ、たまたま生きることができているだけ。生かされているだけ。いまの日本社会では、同じようなことが誰にでも起きうる状況で、私自身も含めて、セクシュアル・マイノリティの人たちは、毎日、綱渡りのような生活をしているのです。

ちょっとしたことがきっかけで、身近にいる誰かの考え方や行動がちょっと違うだけで、常に「死」というものが隣に控えている。いまだに、それが必然であり、たまたま偶然、生きられているだけ、とも言えるかもしれません。


電通を辞めた私が向き合った、ひとつの感情

リオ五輪でのプロジェクトを終え、帰国した2016年秋。グッド・エイジング・エールズのメンバーひとりひとりに、電通を辞めて二足のわらじから一足にして、LGBTの活動に専念したいと相談しました。

「ゴンが決めたことだったら、応援するよ」

「しばらく休職してじゃ、ダメなの?」

「ワクワクするね」

「35年ローンで買ったばかりのマンション、どうするの?」

いろんな声があり、相当悩みましたが、最後はみんなで背中を押してくれました。この2月で独立して1年半と少しとなります。

グッド・エイジング・エールズは、2010年4月4日に立ち上げて以降、「LGBTと、いろんな人と、いっしょに」という掛け声のもと、当事者とアライ(理解者、支援者、応援者)が交われるような場づくりに関わる、様々なプロジェクトを展開してきました。

 

Gon Matsunakaグッド・エイジング・エールズが毎夏オープンする、一色海岸カラフルカフェ。

身近な経験や体験から、理解を広げたり、当事者が安心できる場を広げたりしていくものです。もちろん、引き続きこれらの活動は続けて行きたいと思っています。2020年というタイミングも最大限に活用していくつもりです。

ですが、私個人としては、今回の事件をきっかけに、自分の中にあるひとつの感情に向き合わなければならないと思うようになりました。

それは、「人権を主張すること、それを守る制度を求めること、そのために政治的に動くことは、どこかカッコ悪い」というものです。

 「そんなことをしたら、理解を広げるどころか、壁を作られてしまう」

「面倒くさい奴らだと思われて、良い関係を作れない」

「なんか、バランス感覚のない人に思われるのは嫌だ」

これまで、いろんな理由をつけて逃げてきた自分と対峙することとなりました。

「どこかカッコ悪い」なんて言っていられない。大切な、大切な、いろんな将来の可能性を抱えた、ひとりの若者の命が失われたのです。

彼は私、だったかもしれないし、彼は明日の私かもしれない。

彼は私の大切な誰かかもしれないし、彼は誰かにとっての大切な誰かかもしれない。

彼は、自分の人生を自分らしく生きたいと願う全ての人なのです。

 

理解をひろげて「安心」を、差別をなくして「安全」を

Gon Matsunaka2018年秋。東京2020大会に向けた企画「プライドハウス東京」の記者会見。

「同調圧力の強い日本社会では、声をあげるのは難しい」ではなく、そんな日本社会だからこそ、どんな人であろうと、その性的指向・性自認によって差別をしてはいけないという人権意識や法制度を整えていくべきだと考えています。

理解をひろげることで「安心」した場所をつくることと同時に、何かがあった時に頼れる、その何かを事前に食い止められる「安全」な場所であることも大切です。「安心」と「安全」の両輪が必要なのです。

どんな理由があったにせよ、アウティングをしてしまった学生や正しい知識をもとにした誠実な対応がなかった一橋大学には、どれだけ重大なことを起こしてしまったかを認識し、今後に向けて真摯に動いてほしいと願います。

そして、本当は、LINEグループでアウティングがあった後、既読8となった仲間のうち、残り7人こそ、彼を救うきっかけをつくることができたのではないかと強く思っています。

「そんなこと、言うなんて何を考えてるんだ」と静止したり、「これは、ひどいハラスメントだ」と客観的な立場から当局にレポートしたり、「大丈夫かい? なにかサポートできることない?」と個別に連絡したり。それぞれに、できることがあったのではないでしょうか。

7人だけでなく、くにたちの校舎がそんな仲間たちであふれていたら、歯車は違う未来に向かうことができたかもしれません。

母校に何も働きかけができていなかったことへの悔しさと反省、二度と同じことが日本全国の学びの場で起きて欲しくないという思いから、会社を辞めてからは、NPO活動とは別に、性的指向・性自認に関する差別をなくしていく法制度を求める活動にも関わるようになりました。

そして判決をむかえる今日、一橋大学の卒業生と在校生をつなぐ取り組みを、有志で立ち上げました。

PRIDE BRIDGE」と名付けたネットワークで、一橋大学のキャンパスを、LGBT学生・職員にとって安心・安全な場所に変えるための具体的なアクションをひろげていきたいと思っています。

もちろん、キャンパスの外にも色々な相談先はありますが、そこにアクセスできない状態の人が、たくさん存在しているのです。くにたちの校舎を、誰にとっても優しい場所に、根本から変えていくことが必要なのではないでしょうか。

一橋大学の卒業生や、身近に卒業生がいらっしゃる方に、ぜひ届いてほしいと思います。

 

「あなたが、この世界で見たいと思う変化があるなら…」

Soshi Matsuoka超党派のLGBT議連と連携し、「レインボー国会」を過去3回開催。

 日本社会は少しずつ変わり始めている。そう感じている人も多いかもしれません。「自分は、いま心地よく働いているから、わざわざ声をあげなくてもいいと思っている」そんな当事者の声もよく聞きます。

でも、そこには自分たちより先に生まれたみなさん、自分たちの同年代や後輩など、本当にたくさんの方々や団体による地道な取り組みが存在しています。

もし自分はラッキーだな、色々あるけど幸せに生きられている、と思っている人がいたら、それは、自分の周りの小さな社会にいる人たちのおかげで、偶然生きられているだけかもしれないと、考えてみる時間を持ってもらえると嬉しいです。

当事者だけではありません。たまたま自分の身近な大切な人たちは、偶然幸せに生きていられるだけ、幸せに生きているように見えているだけかもしれないないのです。

社会は勝手には変化しません。

変えたいと願う人の、小さな勇気と行動が集まって変わっていくものです。

ガンジーによる言葉、大好きな名言があります。

「あなたが、この世界で見たいと思う変化があるなら、あなた自身が変化となりなさい」

ひとつの大切な命が失われました。もう二度と、繰り返してはなりません。私たちの時代で、終わりにしましょう。

......

一橋大学卒業生・在校生ネットワーク「PRIDE BRIDGE」賛同者フォーム

 

※2018年7月16日、明治大学で開催された「一橋大学アウティング事件裁判:裁判経過報告と共に考える集い」に登壇し、お話した内容をもとに加筆・編集しています。 
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児童養護施設長殺害事件

2019年02月26日 | 事件

容疑者はネットカフェ難民!?ー児童養護施設出身者への支援とネットカフェ難民支援の強化へー

渋谷区児童養護施設長殺害事件

昨日、目を疑うような衝撃的な報道が入ってきた。

児童養護施設長が元利用者の容疑者に殺害されたという事件である。

改めて同じ福祉専門職として施設長に敬意を表し、ご冥福を祈念する。

彼の死を社会に活かすためにも事件の状況からできることを考えていきたい。

今日になって以下のような容疑者の生活環境などが少しずつ明らかになってきた。

その後の捜査関係者への取材で、田原容疑者は「ネットカフェを転々としていた。包丁は2、3週間前に埼玉の大宮の店で買った」と供述していることがわかりました。田原容疑者は去年9月まではアパートに暮らしていたということですが、家賃を滞納して退去したとみられています。

出典:児童養護施設長死亡、元入所者の男「ネットカフェを転々と」(TBS)

アパート家賃滞納から退去し、すでに定住する住居はなく、ネットカフェを転々としており、児童養護施設出身者であるということだ。

誤解しないでもらいたいが、ネットカフェ生活者、ネットカフェ難民、児童養護施設出身者というカテゴリーが危険なわけではない

生活困窮者の個別的な状況に対応できていない社会に原因を問わなければならない事件であろう。

児童養護施設退所者への支援強化を

児童養護施設出身者は大きなハンデを背負って社会に出ていくことがすでに知られている。

東京都「児童養護施設等退所者の実態調査結果」(2017)から少し実態を知ってほしい。

児童養護施設出身者等の現在の居住環境は「民間の賃貸住宅(民間アパート等)」が 36.7%と最も高い。

今回も家賃滞納ゆえに退去してネットカフェを転々としているが、家賃負担に耐えられなくなる事例には事欠かない。

そして「 同居の家族はいない」割合が58.6%と過半数であり、家族や親族の支援を受けることが難しいことも理解できる。

出身家庭に依存しながら暮らしている10代後半~20代前半の若者が多いなか、誰にも依存せずに生きていくことは大変である。

さらに医療機関や相談機関を利用している者のうち、心療内科が24.0%、精神神経科22.1%と割合が高く、メンタル面での課題を抱えている者も多い。もともと虐待経験もあれば、精神面に与える「負の影響」は生涯にわたって続くことも予想される。

そして、後述するように、将来に対する不安が日常的にあり、頼れる親族がいない状況では心身の疲労も激しい。

現在の仕事の業種は「商業・サービス業」の割合が最も高く46.0%、次いで「医療・福祉関係」が 12.7%である。

以下は回答があった業種・仕事の一例だ。

・足場の組み立て鉄骨建て ・アクセサリー卸し・プールの監視アシスタント・高齢者の世話・カラオケ店の接客・居酒屋ホール・ガスメーターの取り替え・ガラス瓶に焼き付け加工・携帯ショップ販売・食材の下ごしらえ・漫画アシスタント・児童デイサービス・医療法人の栄養管理・カフェ店員、パチンコ店員・自動車教習所教官

その雇用形態については、「正規雇用(正社員) 」の割合は 45.2%となっている。「派遣・契約社員」(12.1%)と「パート・アルバイト」(34.7%)の非正規雇用の割合は合わせて 46.8%となっている。

約半数は非正規雇用で働いている。そのうえ業種も一般的に見れば、業界全体が低賃金・長時間労働を強いて、離職率も高い、いわゆるブラック企業と指摘されるものも散見される。

「月収(手取り)はどのくらいですか」と聞いたところ、15万円未満が 52.5%、15万円~25万円が 39.1%、25万円以上が 8.4%となっている。大半は手取り収入が15万円未満であり、家賃を支払えば生活のゆとりはほとんどないことも理解できる。

今回のような児童養護施設出身者のホームレス化、ネットカフェ難民化は容易に起こりうるとみた方が自然であろう。

前述したとおり、非正規雇用の多さも深刻な問題である。そもそも賃金だけで暮らすことは無理難題だと言ってもいい。

9割近い児童養護施設等退所者が必死にフルタイムで働いたとしてもワーキングプアに陥っている姿が見えてくる。

彼らの最終学歴は「中学校」が 18.7% 、「大学」が 3.2%である。「高等学校」は 61.2%、「専門学校」は 13.3%となっている(※在学中除く)。

大学全入時代だと言われているが、相変わらず低所得世帯の子どもや彼らのような存在には広く大学進学の門戸は開かれていない

大学学費の高騰、在学中の生活費の工面、アルバイトと学業の両立など進学を阻む壁が立ちはだかるし、大学卒業まで持ちこたえられない中退者も多く存在している。

そして「現在困っていること」について、割合が最も高いのは「生活全般の不安や将来の不安について」で 51.5%、次いで「現在の仕事に関すること」が 37.4%となっている。

約半数は現在も何らかの生活不安を抱えながら暮らしているし、仕事や収入に関しても悩みを抱えていることが理解できる。

困った際の相談先は「施設の職員」の割合が最も高く 32.7%、 次いで「その他の友人」が 28.7%、「学校の友人・先輩」が 24.4%となっている。

今回は容疑者が出身の児童養護施設での事件である。

継続して児童養護施設退所者への相談支援をどの施設でも献身的に行っているが、施設職員の人員配置や労働環境も十分ではなく、支援現場には限界があることも確かだ。

おおむね児童養護施設などを退所した若者たちは支援が十分ではなく、生活困窮に至りやすい。

欧州などのように、住宅手当を支給したり、学費無償化にするなど公的支援も弱い。

この社会構造を変えなければ苦しむ者たちはこれからも後を絶たない

ネットカフェ難民を防犯対象から支援対象へ

先日、最近ホームレスを見かけることが少ない理由ー見えにくい住居不安定者の実態ーを配信して、生活困窮者がネットカフェに定住している状況をお伝えした。

生活に不安を抱え、ネットカフェを転々としている生活困窮者は東京都内だけで1日あたり約4,000人いるといわれている。

しかし、その実態はブラックボックスであり、政府や各自治体とも十分な調査がされていない

これまでネットカフェ利用者に対しては、防犯の観点から身元確認ができる書類の提示や利用者登録、個人情報の管理などを進めてきている。

しかし、本来おこなうべきことは彼らを防犯対象ではなく、支援対象者として定め、必要に応じて対応していくことではないだろうか。

僕が所属しているNPO法人ほっとプラスでも、いわゆるネットカフェ難民への相談支援活動を続けている。

もしネットカフェでこの情報を見ていて困っている方は気軽に連絡してほしい。できることがあるはずだ。

特定非営利活動法人ほっとプラス

〒337-0017 埼玉県さいたま市見沼区風渡野359-3タウンコート七里1階

tel:048-687-0920 fax:048-792-0159

相談フォーム http://www.hotplus.or.jp/consult

さらにネットカフェ事業者は、ぜひNPOや公的機関と連携して、ネットカフェで暮らすことを余儀なくされている利用者への相談支援活動に歩みを進めてほしい。

近年では性風俗店での相談支援活動など、従来は連携できなかった産業での取り組みが注目されている。

本事件を契機に児童養護施設出身者への支援強化、ネットカフェ難民の調査・支援に向けた一歩が進むことを期待しているし、引き続き率先して取り組んでいきたい。


藤田孝典 NPOほっとプラス代表理事 聖学院大学人間福祉学部客員准教授

1982年生まれ。埼玉県越谷市在住。社会福祉士。首都圏で生活困窮者支援を行うソーシャルワーカー。生活保護や生活困窮者支援の在り方に関する活動と提言を行う。NPO法人ほっとプラス代表理事。聖学院大学客員准教授(公的扶助論など)。反貧困ネットワーク埼玉代表。ブラック企業対策プロジェクト共同代表。元・厚生労働省社会保障審議会特別部会委員(生活困窮者自立支援法)。著書に『貧困クライシス』(毎日新聞出版 2017)『貧困世代』(講談社 2016)『下流老人』(朝日新聞出版 2015)『ひとりも殺させない』(堀之内出版 2013)共著に『知りたい!ソーシャルワーカーの仕事』(岩波書店 2015)など多数。

 隣との境界に植えられた栗の木。栗の木の右側がわたしの借りている土地。太い枝が越境してしまい、隣からクレームが来たので、木登りして手鋸で切ったもの。切り落とした枝の後始末がまた大変。

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JAL123便墜落事故から33年

2018年08月12日 | 事件

JAL123便墜落事故から32年

2017年08月12日 | 事件

(新)日本の黒い霧 http://blog.goo.ne.jp/adoi より

JAL123便墜落事故-真相を追う-31年目の真実(昨年の記事です)


 

 だんだん報道も少なくなってきました。単に「事故」を忘れるなということではなく、真実は何だったのか、真実を求める声が小さくなってきてるように思います。 
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フロリダ銃乱射から1カ月

2018年03月15日 | 事件

銃規制で方針撤回、米大統領に批判

AFPBB News - 2018年3月13日

  【AFP=時事】米フロリダ州の高校で先月起きた銃乱射事件を受けてホワイトハウス(White House)が発表した一連の対策で、ライフル銃規制の一部が見送られたことから、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が銃ロビー団体「全米ライフル協会(NRA)」の圧力に屈したとの批判が上がっている。 

 先月14日にフロリダ州パークランド(Parkland)の高校で起きた同事件では、19歳の男が半自動式ライフルを乱射し、17人が死亡した。事件を受け対策を求める圧力を受けたトランプ氏は、殺傷能力の高いライフルについては購入可能年齢を18歳から21歳へ引き上げる措置への支持を示していた。 

 だがトランプ政権が11日に発表した対策にはこうした措置への言及がなかった上、ホワイトハウスが先に提案していた、インターネット上や展示会で販売される銃器の購入者に対する経歴調査強化も盛り込まれることはなかった。 

 ベッツィー・デボス(Betsy DeVos)教育長官はその代わり、トランプ氏が提唱し議論を呼んでいる教職員武装化の方針を重視する意向を表明。教育関連団体が反対する中、NRAが支持する同措置の実現に「迅速に取り組む」と宣言した。 

 トランプ氏はツイッター(Twitter)への投稿で、銃購入年齢の引き上げについては各州の判断に任されると説明。「(控えめに言っても)政治的支持があまりない」と書き込んだ。 米国では、トランプ政権発足後の1年間で史上最悪規模の銃乱射事件が3件も発生しており、トランプ氏に対しては、発表された対策では全く十分ではないとする批判が高まっている。 

 民主党のチャック・シューマー(Chuck Schumer)上院院内総務はツイッター投稿で、政府の対応を非難。「この国では銃による暴力がまん延しており、大きな一歩を踏み出すことが求められているのに、ホワイトハウスはNRAを怒らせまいと、小さな一歩しか踏み出さなかった」と書き込んだ。【翻訳編集】AFPBB News

 

 

全米の高校生が銃規制強化訴え、フロリダ銃乱射から1カ月
  
CNN 2018.03.15

 

  米フロリダ州の高校で1カ月前に起きた銃乱射事件を受け、全米の高校生が14日、授業を抜け出して犠牲者を追悼し、銃規制強化を求める抗議運動に参加した。

 抗議運動は東部のメーン州から西部のカリフォルニア州まで米国各地で現地時間の午前10時ごろから始まり、フロリダ州の高校で死亡した17人をしのんで、17分間、授業を抜け出した。

アフリカや欧州など世界各国の学生も同日、米国の学生に連帯して抗議運動を展開した。

 全米の抗議デモはこの日1日を通して続いた。参加者はオレンジ色のシャツを着たりプラカードを掲げたりしてデモ行進し、学校での銃乱射事件再発を防止するため、議員に行動を呼びかけた。

 ロサンゼルスの高校では、犠牲者をしのんで生徒たちが地面に横たわるダイインを展開。首都ワシントンのホワイトハウス前にもデモ参加者が詰めかけた。

 フロリダ州パークランドでは、事件現場となったマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校の生徒たちが夜明け前から起き出して、何百本もの風車でキャンパスを彩った。

 24日には同校の生徒が首都ワシントンで大規模なデモを計画している。このため14日の抗議運動は当初、それほどの盛り上がりは期待されていなかった。しかし全米で参加者が増え続ける中、その場で参加を決めた生徒もいた。

 全米の学生が授業を抜け出して犠牲者を追悼し、銃規制強化を求める抗議運動に参加した。


 CNNのニュースビデオなどみると、高校生だけでなく、小中学校にも及び、多くの学生たちが抗議の声を上げ始めている。

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「ガキ使」特番でベッキー・・・

2018年01月10日 | 事件

「ガキ使」特番でベッキーが受けた“タイキック“に批判殺到。本人は「ありがたかった」と感謝するも…

   「痛い、ヤバいこれ」という声とともに崩れ落ちた。

 

ハフポス 南 麻理江   2018年01月07日

    タレントのベッキーが、2017年12月31日に放送された「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』のドッキリ企画で、不倫騒動を起こした「禊ぎ(みそぎ)」として、タイ式キックボクサーに蹴られる内容が放送され、Twitter上で賛否を呼んでいる。

 ■どんな内容だった?

  ベッキーが登場したのは、年末恒例の特番「絶対に笑ってはいけない アメリカンポリス24時(日テレ系)」の1コーナー。

  ココリコの田中直樹に、タイ式キックボクシングの「タイキック」を仕向けるという役目を終えて安心していたベッキーに「逆ドッキリ」が仕掛けられた。

  2016年、人気バンド「ゲスの極み乙女」の川谷絵音さんとの「不倫」が報じられたことを受けて、テロップには「ベッキー 禊(みそぎ)のタイキック」と表示された。

  「私はもうスッキリしてるんです」と叫びながらキックボクサーから逃げようとしたベッキーだが、ダウンタウンの浜田雅功らが「あんまり動けへん方がええで」とベッキーを捕まえ、遂に女性ボクサーの強烈な蹴りを腰に受けた。

  「痛い、ヤバいこれ」という声とともに崩れ落ちたベッキーの姿が、出演者の爆笑とともに放送された。

 ■ベッキー「タレントとしてありがたい」

  放送後、Twitterでは暴力を通じて笑いをとる様子に対し、「いじめ、集団リンチ、暴行の域にあたる犯罪」「弱い者いじめで笑いを取る日本のバラエティー番組なんて滅べ」「子どもが産めなくなったら、どうするんですか?」といった批判の声が相次いだ。

  一方ベッキー自身は、1月6日放送のラジオ番組「ミッドナイト・ダイバーシティー~正気のSaturday Night(FMラジオ)」に出演した際に、「年末のバラエティー番組の代表格なので、そこに出演させてもらってうれしかったです。逆ドッキリされるっていうのもね、タレントとして本当にありがたかったなと思います」と感謝の気持ちを述べた。

 ■議論は更に加熱「番組の問題性を感じる」

  ベッキーの「ありがたかった」という発言を受けて、ネット上では更に議論が加熱。

  「タイキック」は、これまでも同番組の人気コンテンツの1つであったことを引き合いに出し、「今回だけ騒ぐのはおかしい」といった声や「他のメンバーも全員ケツバットを食らっている」と投稿するユーザーもいたが、「許されない」と怒りを露わにするユーザーも相次いだ。

  ネット上での番組批判を打ち消そうとしたかのようなベッキーの発言に「(番組への)忖度」ではないかと指摘するユーザーもいた。

 “「ベッキーは番組出演に感謝してるじゃん」って言って蹴りを入れられた事を全く問題視しない人達、本人が告発すると仕事に支障が出るとか想像しないのか。

 “(ベッキーが)こう言わざるをえない力関係を利用しての暴力に、よけい番組の問題性を感じます。

 “ベッキーが嬉しかろうが嫌かろうが暴力・差別肯定番組でしかない。それ観て笑える人しかり。

  同番組は、ダウンタウンの浜田雅功が米俳優エディー・マーフィに扮して、肌を黒くメイクしたことを受けても非難を浴びている。英メディアのBBCや米メディアのニューヨークタイムズなど、海外メディアから「人種差別的」と批判的な報道もされた。

 


 

 

 おそらく悔しくて部屋で泣いていたのではないだろうか。

ちなみに倉本氏の「不倫」に対する見解が納得できる。

過熱する不倫報道に倉本聰氏が苦言「品がない世界に…」

日刊ゲンダイ 2017年12月30日

  16年1月に発覚したベッキーと「ゲスの極み乙女。」の川谷絵音の不倫騒動以降、17年も有名人の不倫報道が次から次へと報じられ、この年の瀬には女優・藤吉久美子が“餌食”となった。春から半年間にわたってテレビ朝日系で放送され、大ヒットとなった帯ドラマ「やすらぎの郷」の生みの親である脚本家の倉本聰氏(82)は過熱するマスコミの不倫報道についてこう疑問を呈する。

    ◇  ◇  ◇

  僕らの世代は、人のうわさはするもんじゃない、人の悪口は言うもんじゃないと幼い頃にたたき込まれて育ちました。それなのにいまでは週刊文春や週刊新潮をはじめ、各紙誌が堂々とやるわけでしょう? 男女がくっつくのは当たり前の話。お互いに健康なら、そうなるときにはなっちゃうんです。まして役者ならそういう生き物なんです。

  でも、それはあくまで当人同士の問題。周りは見て見ぬふりをすればいいだけ。なんらかの影響があるのは当事者の家族や配偶者だけです。それなのに部外者が偉そうに他人の不倫をなじるなんてのは恥ずべきことですね。ただののぞき見なのに、シレッとして正義を振りかざして商売にする、部数を伸ばすっていう世の中がとっても嫌ですね。そんな倫理に反する報道こそが“不倫”。下衆の極みだと思います。

 上品も下品も品のうちですが、いまは下品以下の品がない世界になっている気がします。不倫報道は善か悪かではない。スターを引きずり降ろし、天使をヌードにする時代ですが、暴く方の倫理は問われないのか。世の中全体がもう少し大人になって、粋になってほしいですね。そんな不倫報道の記事を面白がって読んでしまう自戒も込めてなのですが

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日本のお笑い界

2018年01月09日 | 事件

ハフポストBLOG 黒岩揺光 2018年01月08日

 

日本のお笑い界に「人権感覚」を求めることは、八百屋に魚を売れと言っているようなものです。

 一つの番組だけ見て「人権意識」うんぬん言っても、何も変わらない気がする。

  私の大好きなダウンタウンの年末番組で、浜田雅功が黒人俳優を真似て顔を黒く塗ったことで「人権感覚がない」と批判が起こっている。米国に5年滞在したことのある私も、あのシーンを見て、これはまずいなと思ったが、普段あまりお笑いを見ない人が、あのシーンだけを取り上げて「人権感覚に欠ける」と批判しても、建設的な議論にはならないだろう。長年、日本のお笑い界を見ている人からすれば、「いやいや。もっとひどい人権侵害がこれまで放置されてきているのに、何を今さら」という感覚しかないからだ。

  日本のお笑い界は、とても閉鎖的に映る。女性芸人は全体の1パーセント以下とも言われる男性社会。先輩を「兄さん」と呼ぶなど、厳しい上下関係。関西など特定の地域の人が大多数を占め、出身地域の多様性に乏しく、私が住む新潟出身者なんて、1000人に1人以下じゃないだろうか。そして、ほとんどが10代の頃からこの世界に入っており、他の世界を知らない人が多い。要するに、日本の笑いはとても閉鎖的な空間から消費されてきた歴史があり、それ自体に改革が起きない限り、一つの番組だけ見て「人権意識」うんぬん言っても、何も変わらない気がする。

  私は芸人さんの人を引き込む話術が大好きで、よく動画を見るが、結構な頻度で、人権意識の低さに背筋が凍りつく場面がある。同番組での、黒人差別はこれが初めてじゃない。

  2003年版では、出演者が旅館で夕食を食べた後、「板長が挨拶に参ります」と告げられ、出てきた板長が背の高い黒人で、それに出演者が大笑いした。おそらく、芸人の人たちは、十数年前からアフリカでも日本料理がブームで、日本料理店の板前になるために必死に努力する多くのアフリカ人の若者の姿を知らないのだろう。

  こんなのはまだいい方だ。過去には同番組で浜田が女性芸人の胸を鷲掴みにするシーンがあった。タイガーウッズの不倫が世界を騒がせていた時、「人志松本のゆるせない話」という番組で相方の松本が「男は誰でも浮気します!」と言い、その考えを定着させるため「男は一致団結すべき」とまで言っている。

  人を叩いたり蹴ったりする暴力が容認されるという面でも、日本のお笑い界は世界でもとても珍しい空間だ。私は15歳で渡米し、浜田が松本を叩くように、向こうの同級生の頭を親しみを込めて叩いたら、激怒された。が、友人に突っ込むことがすでに習慣付いていたため、この癖を完全に治すまでに数年かかった。

  人権意識に欠いた「笑い」を消費してきたのは私たち視聴者であり、それがなければ、ダウンタウンがこんなに長くお笑い界のトップに君臨し続けることなんてありえなかった。彼らだって、「これまでずっと野菜だけ買い続けてきたのに、突然、魚が欲しいと言われても困ります」って感じだろう。人権感覚溢れた笑いを私たちが求めるのなら、今回に限らず、継続して、彼らの人権感覚に欠いた言動に対し、声を上げていくしかないだろう。


 わたしは、この手の「芸人」が大嫌いである。だからTVで見ることもない。日本のいじめの構造には、この「芸人」たちの「芸」を楽しむ視聴者にもあると思うのだが・・・。
 下ネタ芸よりまだひどい。
以前にも”おわらい””と”いじめ”についての記事を載せた。

 要は、人権無視、暴力肯定、弱い者いじめで笑いをとる最低の【芸】だ。

矛先を権力者には向かわない点においても・・・

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