里の家ファーム

無農薬・無化学肥料・不耕起の甘いミニトマトがメインです。
園地を開放しております。
自然の中に身を置いてみませんか?

身のまわり

2016年02月29日 | 日記・エッセイ・コラム

今日で2月も終わり明日から3月。でも、ひどい吹雪の状態です。今日、明日は外出を控えた方がいいようです。湿った重い雪が強い風に運ばれて吹き溜まりができている。注意が必要です。

 さて、この歳になるとそろそろ身の回りの整理をしなければならなくなる。子どもたちもみな都会へと出ていった。ここに住み続ける条件は、車を運転できること。1F部分の窓がすべてふさがる雪をよっこできる体力があること、である。昨日も屋根雪降ろしをしたのだが、梯子なしで屋根に登れるため油断してしまった。ほぼ終わり、最後の足元付近をやってたところ、雪と一緒に滑り落ちてしまった。もう終わりころで雪も少なかったので埋まりはしなかったが、眼鏡が壊れてしまったか?と思うくらい雪を浴びてしまった。


 手始めに本の整理から始めた。農業関係、山の本、コミックなどは江部乙に移した。他の一般書、文庫本などはどうしたらいいものか?札幌で古書店をしてる友人のところへ持っていくか。さらに厄介なのが経済関係の専門書。これは北大正門前の古書店でなければ無理だろう。

まだ時間はある(?)ゆっくりとやろう。


捨てる前に買って!

2016年02月28日 | 社会・経済

「捨てる前に買って」食品が登場 生ごみと混ぜて廃棄も

朝日新聞デジタル - 2016年2月28日

廃棄食品の横流し問題を受け、食品にかかわる企業が再発防止に動く。廃棄を委託する際に生ごみに混ぜたり、委託先の処理に立ち会ったり。廃棄量を減らすため、消費者に協力を求める取り組みも始まった。

 5枚一組みで透明な包装に「ビーフカツ」の文字。カレーチェーン壱番屋(愛知県一宮市)は、異物混入の恐れのある冷凍カツを、包装したまま廃棄にまわした。約4万枚が産廃処理業者ダイコー(同県稲沢市)によって横流しされ、一部はスーパー店頭に並んだ。

 壱番屋は問題発覚から1カ月余りたった22日、ダイコーに残っていた冷凍カツやパン粉を回収した。今後の廃棄委託の際には(1)包装から出し、生ごみと混ぜる(2)できない場合は最終処理まで社員が立ち会い目で確認する、といった再発防止策を取る。

 横流しは約60品目で確認され、冷凍食品のニチレイやみそのマルコメも壱番屋と似た対策を公表した。

 「食品メーカーは従来、処理費を抑えることに熱心でどう処理されるかに無関心過ぎた」。西日本の産廃処理業者はそう話す。この処理場には最近、取引先の担当者がひんぱんに訪れるようになった。

 環境省も再発防止策の検討に入った。処理の監視を強化したり、転売できない形で廃棄にまわすよう排出業者に要請したりする。

 ただ、大手コンビニ幹部は「廃棄にまわす商品すべてで形を変えたり処理を最後まで見届けたりするのは難しい」。製造を委ねる企業は、各地に散らばる。

 環境省は、より根本的な対策として廃棄量を減らすことも要請する構え。国内の事業者から出る食品廃棄物は、農水省によると13年度時点で1927万トン。08年より17%少ないが、さらに減らすことをめざす。

 賞味期限や消費期限が近い値引き商品に「フードレスキュー」のシールをはり「捨てられる前に買って」と勧める。そんな取り組みの第1弾が今月、大手スーパー、イオンの葛西店(東京都江戸川区)であった。

シールをつくり、東京都などと催しを呼びかけた博報堂の担当者は「お得なだけでなく社会貢献につながると訴えたい」と話す。

■食品廃棄、フランスでは罰則成立

 食品廃棄を減らそうと、海外ではより踏み込んだ動きも出てきた。

 大型スーパーに、まだ食べられる食品の廃棄を禁じ、所得の低い人らに食品を配る慈善団体への寄付を義務づける。そんな法律が今月上旬、フランスでできた。違反には罰金を科す。

 AFP通信などの報道によると、大量の食品が毎日捨てられる一方、低所得者らに食品を配る必要性が高まっているとして、パリ郊外のクールブボアの市議がSNSで賛同を呼びかけたのがきっかけという。

 成立の背景には、業界と慈善団体の信頼関係もありそうだ。スーパー大手カルフールは昨年末までに、プライベートブランド400点について賞味期限などを延長。「寄付先の慈善団体との連携を強化していく」という。(大隈悠、斎藤健一郎)


観光列車

2016年02月27日 | 日記・エッセイ・コラム

なぜ、山手線に観光列車が走らないのか

アイティメディア株式会社 - ITmedia ビジネスONLiNE - 2016年2月19日

●北海道版「ななつ星in九州」の要望も

今年3月の北海道新幹線の開業を控え、北海道の観光ビジネスに注目が集まっている。

北海道新幹線はとりあえず新函館北斗まで開通するが、ここは広大な北海道の入り口に過ぎない。ただし、JR北海道は函館〜新函館北斗〜札幌間の特急「北斗」「スーパー北斗」を増発する予定だし、札幌と函館を結ぶ高速バスも新函館北斗を経由する。

私の知人が新函館北斗発の一番列車を狙って北海道へ渡ろうとしたら、既に北海道新幹線の開業日前日のホテルに空きがなかった。しかし一番列車の出発は見届けたい。そこで彼が考えたルートは、前日に旅客機で新千歳空港へ飛び、札幌から函館行きの夜行バスのチケットを取った。このバスは翌朝5時ごろに新函館北斗駅前に着くから、東京行き「はやぶさ」の始発列車に十分間に合う。このバスは開業日ではなくても、今後、札幌〜本州間で使えるルートだ。本当はJR北海道に札幌〜函館間で夜行列車を運行してほしかったけれど、そこまで需要予測は立たないのか。もったいない。

JR北海道は新幹線と安全への投資に集中し、観光列車は削減する方向だ。しかし、北海道と自治体側は観光列車を望む声が高まっている。例えば、オホーツク海沿岸を走る「流氷ノロッコ号」について、JR北海道は「機関車の老朽化で来期の運行が難しい」と沿線自治体に伝えた。その発言を受けた自治体が「別の観光列車を走らせてほしい」と要望している。流氷ノロッコ号は今、日本国内の需要よりも、中国、台湾からのインバウンドの受け皿という意味合いが強くなっている。JR北海道も中国語通訳を乗務させて対応しているほどだ。

北海道版「ななつ星in九州」というべき豪華観光列車の要望もある。2月3日午前、道東地域の白糠町や本別町、道北の豊富町など5つの町の首長が北海道庁を訪れ、道東や道北を巡る豪華観光列車の提言書を高橋はるみ知事に提出した。知事は午後の記者会見で、長期的な課題として取り組み、今年度の補正予算案に調査費などを盛り込む考えを明らかにした。翌日4日の北海道新聞は「道が26日開会予定の定例道議会に提出する本年度補正予算案に調査費約800万円を計上する方向」と報じている。意思決定の速さに驚く。

JR北海道は全路線が赤字という厳しい経営状況だ。道内の453駅のうち、年間平均乗降客が1人以下が58駅。10人以下が101駅。これだけ乗客が少ない路線で、観光列車を走らせて集客できるか、という疑問もわくだろう。しかし、レジャー産業の視点で見れば、こうした閑散路線こそ好立地だ。東京・大阪などの人口が多い地域よりもビジネスチャンスがある。

●山手線という「一等地」に観光列車は不要

全国で観光列車が続々と誕生している。しかし、どれも三大都市圏から離れた路線を走っている。JR北海道の流氷ノロッコは札幌からも300キロメートル以上、JR九州の「指宿のたまて箱」は博多から280キロメートル以上も離れている。起点駅が空港のある中核都市であれば乗りやすいけれど、東北や中国地方には、かなり集客に苦労しそうな列車もある。しかし実際のところ、運行が続いている状況を見ると、成功しているとみて良さそうだ。

そんなに苦労しなくても、人口が多く乗客を見込める大都市で観光列車を運行すればいい。もっともうかるはずだ。その通りである。しかし、大都市で観光列車は走らない。例外があるとすれば、博多を発着する「ななつ星in九州」や、JR西日本が運行する「特別なトワイライトエクスプレス」の大阪・京都発着などだ。しかし、これらの列車のメインとなる運行地域は都市圏外であり、博多や大阪の発着は、乗客を送迎する意味しかない。

なぜ、山手線や大阪環状線、東京メトロや各地の地下鉄で観光列車を走らせないか。「普段と同じ街の景色ではおもしろくない」「乗車時間が短い」という見方もできる。しかし、観光列車の主な要素は車窓の景色だけではない。熊本から天草方面へ向かう観光列車「A列車で行こう」のメインテーマは「音楽と酒」で、車内はBARである。その空間を楽しむ人の中には、景色を問わない人もいるだろう。車窓という「動く風景画」がある空間として列車を楽しむ。それで十分だ。

それなら、都会型観光列車も考えられる。山手線や大阪環状線の電車にBARラウンジカーや食堂車を連結して周回させてもいいし、地下鉄なら往復させてもいい。窓のないレストランやBARなんて都会では珍しくない。むしろ壁を使った装飾で勝負する店舗もある。

しかし、大都市圏の通勤路線は観光列車には向かない。理由は簡単だ。手間をかけたほど儲からないし、そもそも通勤路線に観光列車という付加価値を与える必要はないからだ。

乗車率の高い通勤路線の場合、レストランやバー車両のように定員の少ない車両を入れても儲からない。定期券の乗客をギュッと詰め込んだほうが利益率が高い。車両を追加するなら通勤車両だ。それで混雑が緩和されると、ほかの路線からの乗客流入を期待できる。都心の通勤路線は、いわば都心のビルの一等地だ。便利と言うだけで、テナントとして飲食店より手間のかからないオフィスが入居してくれる。

つまり、通勤路線として売り上げを増やす手段があり、集客のための観光的な付加価値は不要。増結しても通勤客で満たされる。テナントビルに例えると、増床しても飲食店である必要はなく、オフィスが入ってくれるというわけだ。

●レジャー産業は「裏通り」ビジネスである

大都市の通勤路線を一等地とするなら、地方の路線は三等地以下だ。線路も列車も余っている。しかし人は来ない。だから路線に付加価値を与えて集客し、単価を上げるというビジネスモデルが成り立つ。まさにレジャー産業の考え方である。

バブル景気のころに乱立した会員制ゴルフコースが「不動産付加価値ビジネス」の典型だ。駅から離れた二束三文の山林をデベロッパーが買い取り、造成して利益を乗せ、分割して会員権として売りさばく。例えば、土地を1億円で買い、3億円で整備する。そこに4億円の粗利を乗せると総額は8億円。これを100分割すると800万円になる。800万円の会員権が100人分できる。

ゴルフ会員権を買えば共同オーナーという気分になるわけだけど、会員権が売り出された時点で、既に800万円の不動産的価値はない。400万円分はデベロッパーの利益で消える。300万円分はいずれ償却される施設費。土地の所有価値は100万円にすぎず、会員権購入価格の8分の1である。バブル景気のころ、ゴルフ会員権はどこも値上がりして高値で取引されたけれど、それはすべて「共同オーナー気分」という付加価値でしかなかった。だからバブル崩壊とともに暴落したわけだ。

都会型レジャー産業の場合は、やはりバブル景気に流行した「ディスコ」や「デザイナーズカフェ・バー」などが当てはまる。遊食産業とも言われていた。当時、ビルのテナント料は3年契約だった。3年分の賃料と保証金が固定費。そこから店内装飾などの費用が積み増される。さらに3年間で見込む利益を乗せて、その金額を基に客単価を決定し、メニューが決まる。食材原価は少なく、味よりも雰囲気で勝負する店になる。こういう店は早く飽きられる。だから当時の流行型飲食店の多くは、ほぼ3年ごとに閉店して次の業態に転換していた。

店舗の付加価値などは3年間だけ維持できれば十分だ。客に飽きられる前に閉店し、新しい流行にチャレンジする。そうしたチャレンジができる賃貸物件は限られる。一等地ではなく裏通りだ。新業態は賃料の安い裏通りから発生する。古くは赤坂に対する銀座、バブルのころは渋谷に対する六本木が裏通りビジネスの発信地だった。だから六本木にはユニークな店が多かった。

しかし、裏通りも人気が出れば一等地になってしまう。その結果、バブル末期はどの街も一等地で、どこにでもあるようなチェーン店が並んだ。今や六本木は新業態がチャレンジできる街ではない。では、第2の六本木はどこか。当時はウォーターフロントが注目されていたことをご記憶だろうか。ディスコの「インクスティック芝浦ファクトリー」「ジュリアナ東京」に代表されるエリア。そのウォーターフロントもバブル景気が終息すると倉庫街に戻った。

バブル景気はレジャー産業にとって「安い土地・賃貸物件に対し、どれだけの付加価値を与えて客単価を上げていくか」というビジネスモデルを根付かせた。従って、集客が見込めるからといって、都心に18コースのゴルフクラブはできない。土地が高すぎて、付加価値を乗せると会員価格が高額になりすぎ買い手が付かない。オフィスビルや商業ビルのほうが付加価値の総額を高められるし、客の回転率も高く、利益を得やすい。

●閑散路線こそが付加価値ビジネスの本領

観光列車の話に戻す。前々回の連載で、観光列車を「風景や車内での特別な食事、特別なショッピングなど、一般的な観光需要を満たし、定められた区間を専用車両で運行する列車」と定義した。特別な食事、特別な物販、特別な専用車両(空間)、これはまさに、レジャー産業が追求してきた付加価値ビジネスである。

レジャー産業になぞらえれば、観光列車は立地にこだわらない。むしろ裏通りの路線が良い。乗客が少なく、運賃単価の低い路線に観光列車を走らせて、飲食や物販という付加価値を与えて客単価を上げていく。これが観光列車の本領であり、正しいビジネスモデルである。大都市の混雑路線は立地が良すぎて、付加価値を与えても見返りが少ない。しかし、閑散とした地方路線なら、付加価値の高い観光列車を運行して利益を上げられる。

そう考えると、現在の観光列車が都会ではなく地方に存在する理由も分かる。JR東日本が上越新幹線の美術館列車「現美新幹線」を新潟エリアに限定し、山形新幹線の足湯列車「とれいゆつばさ」を福島以北として東京駅に乗り入れない理由も、付加価値が生きる地域を選んでいるからだ。

の法則に反して、都心に観光列車を乗り入れるとしたら、一等地にふさわしい、かなり高い付加価値を持つ列車に限られる。それが博多駅発着のななつ星in九州であり、2017年に登場する豪華列車、上野駅発着の「トランスイート四季島」であり、京都駅・大阪駅発着の「トワイライトエクスプレス 瑞風」である。

冒頭で紹介した北海道の豪華観光列車構想が成立するか否か。レジャー産業の定石から考えれば間違いなく成功する。北海道の鉄道路線は札幌付近を除けばすべて閑散路線。北海道には失礼ながら、ほぼすべて裏通りである。付加価値を高めて客単価を上げる要素は十分にある。レジャービジネスにとってうまみの多い立地だ。

日本の富裕層市場は立ち上がったばかり。しかし中国などアジアの富裕層は今すぐにでも日本で遊びたがっている。流氷、雪原など、南方の富裕層が体験できない自然もある。そこは、ななつ星in九州に勝てる要素でもある。

せっかく北海道新幹線に乗って北海道に上陸しても、さらに列車の旅を楽しむ目的地がない。富裕層を楽しませる仕掛けもない。機会損失も甚だしい。本当にもったいない。JR北海道が尻込みするなら、いっそJR北海道を上下分離し、豪華観光列車運行会社を設立してはどうか。北海道や自治体が発起人となった第3セクターなら、参加する地元企業もあるかもしれない。(杉山淳一)


いや、目的地は無数にある。それを仕掛ける頭がない、仕掛けがないのだ。大小の温泉、1軒宿の温泉で雪景色を楽しむ露天風呂。みすぼらしい無人駅。ホテルの不足。ならば超スロー夜行寝台列車を走らせよう。来道者に意見、要望に、聴く耳を持つことだ。


“農薬ムラ”の利権構造

2016年02月26日 | 社会・経済

日本を農薬大国に育てた利権構造

HARBOR BUSINESS Online - 2016年2月23日

◆日本は世界3位の農薬大国

「国産農産物は、農薬が少なくて安全」というイメージが強い。TPP大筋合意を受けて政府も「日本の安心・安全な農産物の輸出を増やす」と意気込んでいる。

ところが、「実は日本は世界でも有数の“農薬大国”なんです」と語るのは、イチゴの無農薬・無肥料栽培に挑戦する農家の姿を描いた『希望のイチゴ』の著者、田中裕司氏。

「日本の耕地1ヘクタール当たりの農薬使用量は中国、韓国に次いで世界3位。米国の5倍、フランスの3.5倍を超えます」

⇒【資料】はコチラ http://hbol.jp/?attachment_id=83742

 そして、数ある農作物の中で「無農薬栽培が最も難しい」と言われているのがイチゴなのだという。

「イチゴは特に農薬の使用回数が多いことで知られています。生産量1位の栃木県の年間平均農薬使用回数が52回、2位の福岡県で63回、長崎県は65回。南の地域ほど農薬の使用回数が多くなる傾向があります。気温が高いと病害虫の活動が活発になるからです」(田中氏)

自然栽培農家・木村秋則さんの著書、『奇跡のリンゴ』(幻冬舎)で無農薬栽培の難しさが広く知られたリンゴだが、イチゴの農薬使用回数はそれを上回る。

「例えば青森県では、リンゴの農薬使用回数は平均36回ですが、イチゴは40回。つまり長崎県のイチゴは、青森県のリンゴの倍近くの農薬使用回数ということになります」(同)

◆イチゴの旬を冬にずらしたことで農薬が増えた

 なぜイチゴは、これほどまでに農薬の使用回数が多いのだろうか。これには栽培環境と栽培時期が大きく関係する。

「イチゴはもともと屋根もハウスもない露地で栽培されていて、かつての旬は4~6月でした。ところが、ビニールハウス栽培の普及と品種改良によって旬を冬にずらすことが可能になったのです。

イチゴ農家はクリスマスに照準を合わせ、競ってこの時期に出荷するようになりました。旬をずらしたおかげで、苗づくりから収穫までの期間が約7か月から1年を超えるようになりました。栽培期間に比例して農薬の使用回数は増え、収穫直前までまかれます」(同)

この農薬たっぷりの構造を支えているのが、農薬利権に群がる“農薬ムラ”と日本の甘い農薬残留基準だ。

「農協(JA)が種と肥料、農薬をセットで売り、農薬を使うように指導しています。そして農水省や農水族議員、JA、農薬メーカーなど“農薬ムラ”の存在があります。農水官僚は関連団体に天下り、関連団体・企業は選挙や献金で自民党を支援する。その結果、甘い残留基準が温存されて、農薬漬けの状況から抜け出せなくなっているのです」(同) <文/HBO編集部>


家庭菜園は固定種がいい

2016年02月25日 | 野菜・花・植物

 そろそろ種の準備です。自家採取の種が増えましたので、今年はそんなに買わなくてもいいようです。先日、いつも行く深川の大谷種苗へ行ってきました。2月は毎年2割引きなので毎年、この時期に買います。

野口のタネ/野口種苗研究所 野口 勲

Hf(Horticulture & flower)』という園芸ビジネス専門誌に依頼されて書いた原稿です。
2011年3月号=掲載

●F1の量と固定種の質

  現在、種苗店や園芸店、ホームセンターなどで販売されている野菜のタネは、そのほとんどがF1です。F1とは、一代雑種(種苗業界用語では一代交配種)の略で、文字通り一代限りの雑種(英語ではハイブリッド=hybrid)です。遺伝的に遠縁の系統をかけあわせて作られた雑種は、もとの両親より生育が早くなったり、大柄になったり、収量が多くなったりすることがあり、この現象を「雑種強勢(ヘテロシス=heterosis)」と言います。「雑種強勢」が働くよう、雑種にされて販売されているタネがF1で、F1種の登場により、日本の野菜生産量は増加しました。雑種化する前の昔のタネ(これが固定種です。F1の両親が、遠縁の二系統なのに対し、両親とも同じ単一の系統なので、タネ屋の業界では「単種」と言うこともあります)からF1への変化は、生産性の向上という点で画期的な出来事でした。

  固定種時代の「日本法蓮草」は、九月彼岸頃にトゲのある三角形のタネを水に浸けてまいてからおよそ三ヶ月かかって育ち、お正月頃に食べる冬野菜でした。根が赤くて甘く、生食できるほどアクがなくておいしいのですが、葉は薄く切れ葉でボリュームがなく、寒くなると地面に張り付くように広がって、収穫に手間のかかる野菜でした。それに比べると東洋種と西洋種の雑種であるF1ホウレンソウは、春や夏も周年まけて、わずか一ヶ月で出荷できる大きさに育ち、丸い葉は厚くて大きく、立性で収穫しやすい上、丸粒に改良されたタネは機械でまくことができるなど、農業の効率化に貢献しました。このようなF1ホウレンソウの登場により、私たちは一年中ホウレンソウを食べられるようになったのです。

  ただ、成育期間が短くなった結果、細胞の密度が粗くなり、大味になって、「紙を食ってるようだ」と言われるほどまずくなったのも事実です。おまけに、葉緑体による光合成の期間も短いので、葉に含まれるビタミンCなどの栄養価も、固定種の五分の一から十分の一に減ってしまいました。

  周年栽培や収量の増加、そして省力化は、営利栽培にとって、何より大切な要素です。しかし、味の低下や栄養素の減少は、家庭菜園にとっては大きなマイナスです。自分や家族の健康のための家庭菜園なら、ホウレンソウは栽培容易な秋から冬に育て、旬の冬においしく食べる固定種の「日本」や「豊葉」や「次郎丸」のほうが向いています。ベト病が多発して、ホウレンソウを無農薬では作りにくい夏の家庭菜園向きの葉物なら、病気も虫もつかず、栄養豊富な「空心菜」や「ツルムラサキ」、「モロヘイヤ」、「ヒユナ」などがあるのですから。

  ●一斉収穫か長期収穫か

 また雑種の一代目は、メンデルの遺伝の法則で、両親の対立遺伝子の中の優性(顕性)形質だけが現れて、劣性(潜性)形質は隠れてしまいます。そのため、できた野菜は、ほとんど同じような形状に揃って、個体差がありません。工業製品のように均一に揃った野菜は、箱詰めして出荷する際、規格外として捨てられてしまう生産ロスを少なくします。     形や大きさや重さを規格通り揃えて箱詰めされた野菜は、買付けて販売する流通業者にとっても、いちいち計量する手間が省けて便利です。(固定種の時代の野菜は、大きさがまちまちだったため、重さを量って一kgいくらで販売していました)そのため、大手市場に出荷するために共選する野菜産地やJAが農家に指定するタネは、F1に席巻されてしまいました。LMSなどの規格優先で、市場に届いた野菜が、表示された規格通りちゃんと揃っていることが、産地の評価に直結する時代になったのです。またF1は、一週間ずつ時期をずらしてまけば、一週間おきにまいたタネがすべて一斉に出荷できます。収穫した野菜を規格毎に揃える必要がなくなったのは、農業の省力化にとってなによりの福音でした。「雑種強勢」で生育速度が早まった上、メンデルの法則で個体差なく成長するようになった野菜は、畑を早く空にして次のタネをまくという土地の効率利用も可能にしました。限られた土地を年に何回転できるか計算できるということは、経営計画が立てられるということですから、F1が日本農業を近代化したと言ってもいいでしょう。

  逆に、家庭菜園にとっては、まいたタネがすべて同時に収穫期を迎えるということは、大変困ったことです。野菜の成長速度はイコール老化速度でもありますから、収穫が遅れた野菜は硬くなったりスジばったりして、おいしく食べられません。そこで近所や親戚に配って回って、またタネからまき直しするはめになります。その点固定種は、同じ両親から生まれた兄弟でも、背高のっぽやおちびさんや太っちょがいるように、個体差がありますから、生育速度に幅があります。早く大きく育った野菜から収穫していくと、おくての子が空いた隙間で成長するので、畑に長く置けて、野菜本来の味を長期間楽しめます。流通している野菜が、F1という雑種ばかりになったいま、スーパーに並んでいる「小松菜」という名の野菜で、昔ながらの本当の「小松菜」は一つもありません。茎が太くて葉が厚いのは「小松菜」と「チンゲンサイ」との雑種で、葉の色が黒く濃いのは「タアサイ」との雑種。葉がちぢれている「ちぢみ小松菜」というのは「ちぢみ菜」との雑種です。どれももちろん「小松菜」の味ではありません。葉も茎も柔らかくて繊細な昔の「小松菜」の味は、江戸時代から続く固定種の「小松菜」でしか味わうことができないのです。

  ●固定種は自家採種で強くなる

 種苗会社の生存競争は、野菜産地のシェア争いです。産地を多く獲得した品種が売上を伸ばし、経常利益を確保して経営を安定させます。家庭菜園相手の売上など微々たるものにすぎません。ですから、産地の要求に合わせたF1品種の改良が日夜欠かせません。産地では、周年同じ野菜ばかり作っていますから、連作障害を防ぐため、まず畑やハウスの土を土壌消毒して更新します。産地での野菜作りは、毎年、クロールピクリンなどの土壌消毒剤の毒ガスで細菌や線虫、雑草のタネや虫の卵など、有用微生物も含めて生き物を皆殺しにする作業から始まります。ガス抜きしたら化学肥料を混和して、種子消毒されたF1のタネをまきます。芽が出たら予防のための農薬を定期的に噴霧し、それでも虫や病気が出たら、それぞれの特効薬で防除します。これが産地の慣行農法です。ただ病害を防ぐため常に農薬散布をしていると、病原菌がどんどん耐性を獲得して強くなったり、外国から新しい病害が侵入してくることもあります。こうなると既存の薬剤は効きません。また最近の低農薬化の風潮で、F1のタネそのものに新しい病気への耐病性を持たせる試みも始まっています。遺伝子組み換えなどの技術で細菌やウイルスが増殖できないようにしようという方向です。最近のF1新品種開発の目的は、産地で常に発生する新病害への抵抗性品種の育成であると言っても過言ではありません。その結果、「家庭菜園用」とわざわざ表示してあるF1のタネというのは、実は、産地で使われなくなってしまった、ちょっと昔の耐病性F1品種だったりしています。

  ところで、「F1は病気に強い」とよく言われますが、本当にそうでしょうか。

  F1の両親のそれぞれは、実は単純な遺伝子しか持っていません。多様性を持った多くのタネの中から、たった一個体ずつが増殖されたクローン間の雑種と思っていいでしょう。遠縁の、遺伝子が単純化されたクローン同士だから、雑種強勢が働いたり、生まれた雑種の子が均一に生育するのです。ある病気が産地に蔓延すると、その病気に耐病性もつ因子を片親に取り込み、雑種になった子どもにも発現するようにしたのが、耐病性F1種子で、耐病性を持っていない病気にあうと、固定種よりもろいものです。固定種は、日本に伝来する以前に、世界中を旅してきていますから、世界中のさまざまな病気の洗礼を受けており、その過程で、さまざまな病気に対する免疫を獲得した個体が含まれていることが多いのです。

  例えば、一九七九年に北海道農業試験場が発表した「フラヌイ」というF1タマネギは、固定種の「札幌黄」の中から乾腐病抵抗性を持つ一系統「F316」を選び、その花粉を、アメリカから導入した、ある程度乾腐病抵抗性を持つ雄性不稔タマネギ「W202」にかけたF1なので、普及当初は乾腐病の発生は抑えられていました。しかし、乾腐病病原菌も生き残るために変異を重ね、しだいに「フラヌイ」を冒すようになりました。そのため、七年後の一九八六年、「札幌黄」の別系統「OPP-1」を選んで、再度雄性不稔の「W202」にかけたところ、新しくなった乾腐病に抵抗性を示すF1「ツキヒカリ」が生まれました。このように、F1が病気に強いといっても、親に選ばれた固定種が持っていた耐病性以上に強くなるわけでなく、元の固定種は、自家採種が繰り返されたことにより、地域で変異を重ねた病害菌にも抵抗性を獲得していたのです。つまり固定種は、気候風土に合わせ、どんな病気にも対応できる可能性を秘めています。地域外から固定種のタネを取り寄せ、栽培開始した初年度はあまりうまく育たないものが多くても、栽培した中でいちばん良くできた野菜から自家採種して、そのタネを翌年まくと、どんどんその土地に適応して、無農薬でも、時には無肥料でも、病気にかからず大きく育つ野菜に変化していきます。固定種のタネは、選抜と自家採種によって、土地に合ったタネを産み、土地がそれをまた新たに育んでくれるのです。固定種のタネを販売するとき、お客様がタネ採りすることを嫌がらないようにしましょう。F1育種が隘路にはまったとき、そのタネが、日本の農業を救う日が来るかもしれないのですから。(2011.2.4)


コーヒー

2016年02月24日 | 健康・病気

コーヒーがアルコールで弱った肝臓の救世主になるかも

株式会社メディアジーン - ギズモード・ジャパン - 2016年2月23日

 コーヒーを飲むと、2型糖尿病、アルツハイマー、そしてパーキンソン病などのリスクが下がるなど体にイイことがあるようです。そしてアルコールでダメージを受けた肝臓のリスクも軽減してくれるかも…とのこと。

 この研究結果は、サウスサンプトン大学でこれまでの行われた肝硬変の発生とカフェイン消費を記録した9つの研究結果を統合して分析したもので、幅広い層の被験者43万2133人が貢献しました。

 肝硬変によって世界中で何百万という人たちが毎年命を落としています。そして肝硬変の一番の原因が長期間のアルコール摂取によるもの。また、肝炎感染、免疫障害、肥満や糖尿病も肝硬変を起こす原因とされています。

 今回の研究の結果は、コーヒーを飲むことでかなりの効果があると出ています。コーヒーを1日2杯飲むと、アルコール性肝硬変を含む肝硬変のリスクが半減するんだそうです。リスクが半減することで、死亡のリスクも半減します。コーヒーを飲めば飲むほどリスクは下がり、例えば1日に4杯で肝硬変のリスクは65%減るんです。

 コーヒーは何気に複雑な化学構造をしていますから、なぜカフェインが肝臓を守るのか正確にはわかりません。そしてこれは臨床試験ではなく研究結果を集めて分析したメタ研究ですが、いろんな人々のたくさんのサンプル量であり、分析はなかなかしっかりしたものなので、信頼はできるものかも。

Source: Alimentary Pharmacology and Therapeutics 、Reuters
Chris Mills - Gizmodo US[原文](リョウコ)


レンコン

2016年02月23日 | 健康・病気

風邪の特効薬! 実はレンコンの効果がスゴかった。

   ウーマンエキサイト 2016.2.21

 風邪をひいて喉が痛かったりせきが出たりするとき、みなさんはどんな対策をとりますか?薬を飲む? のどアメをなめる? 最近はネットで話題の「はちみつ大根」も人気です。

© ウーマンエキサイト 提供 れんこんのきんぴら

でも、ちょっと待って。実はそれ以上に効く食材があるんです。それがレンコン。レンコンには意外な効用があります。

 ■だから風邪に効く

・ビタミンC

 レンコンが風邪に効く理由は、そのビタミンCの含有量。100gあたりで換算すると、みかんの1.2倍も含まれているんです。
 ビタミンCが風邪予防に効果があることはよく知られています。風邪の他にも、疲労回復、アンチエイジング、美肌効果などにも期待できます。
 レンコンのビタミンCの優れている点は、他の野菜と違ってでんぷん質が多いこと。加熱調理しても栄養が失われないのです。だから、温かいものが食べたい冬にぴったりなんです。

 ・ムチン

ネバネバ成分のムチン。粘膜を強化してくれるので、鼻や喉の粘膜をバリアして風邪やインフルエンザを予防してくれます。また、胃壁を胃酸から守ってくれるほか、タンパク質の消化も手助けしてくれます。滋養強壮にもいいので、風邪をひいて胃が弱っているときなどおすすめ。
 ちなみにムチンにはヒアルロン酸の量を増やすという働きもあります。ビタミンCと合わせて、美肌への相乗効果も期待できます。

 ■だから喉やせきに効く

・タンニン

 レンコンが喉の痛みやせきに効く理由は、タンニンという成分のおかげ。タンニンには炎症を抑える消炎効果や抗酸化作用、細胞組織や血管を縮める収れん効果があります。レンコンは肺に潤いを与えてせきを静めることから、漢方や中医学でも器官や喉に効く素材として扱われてきました。また、タンニンにはアレルギーを引き起こす「ヒスタミン」を抑える効果もあります。そのため、花粉症やアトピー性皮膚炎をはじめとしたアレルギー症状を持つ方にもおすすめできます。

 ■その他の栄養素とおすすめの取り方

レンコンは風邪や喉・せきに効くだけではありません。キノコと同等ほど含まれている不溶性の食物繊維が便のかさを増して腸を刺激し、便秘を改善してくれます。加えて食物繊維は血糖値の上昇を抑えてくれる働きがあるので、空腹になりにくいという面もあります。
 ビタミンB12や鉄分も豊富なので、貧血防止にも効果的。むくみに困っている方にもレンコンはおすすめです。
 というのもカリウムが含まれているため、ついつい多く取ってしまいがちな塩分対策にもいいですね。

 そんな女性の味方といえるレンコンのおすすめの料理は、汁物。レンコンをすりおろし、みそ汁やだし汁に加えるだけです。
 一緒にショウガをすりおろして入れるとさらに体が温まり、風邪対策に抜群の効果を発揮します。

 煮物などにする場合は、汁も一緒に食べるようにしてください。というのは、レンコンのビタミンCは熱に強いのですが、ムチンはそれほどでもないために煮汁に溶けだしてしまうのです。
 そのため、風邪対策としてレンコンを取るならば、汁まで余さず食べるのが一番です。
 冬は風邪が多くなる季節、手洗い・うがいに加え、レンコンを食べて風邪知らずの体で、元気に過ごしましょう。


ヤギが来た

2016年02月22日 | 日記・エッセイ・コラム

ヤギが来ました。まだsさんの馬と一緒に預かってもらい、雪がなくなったら江部乙の方に連れてきます。お楽しみに。

こんな記事が目についてしまいました。やっぱり時代の要請でしょうか?
やるせない気持ちになってしまいます。

「植物工場」が高齢化する農業を救う

プレジデントオンライン - 2016年2月21日

富士経済の調査によると、植物工場の市場規模は2014年現在55億円だが、20年には約3倍の155億円になる予測だ。

「農業人口の平均年齢は66.5歳。半数近くは70歳以上のため、10年で3分の1ほどに減少する見込みです。それにより定時・定量・低品質・低価格が求められる業務用野菜の調達が難しくなります。そのため、気象環境に左右されずに、高品質な野菜を計画的・安定的に生産できる植物工場への期待が大きくなっています」と植物工場に詳しい千葉大学大学院の丸尾達教授は話す。

植物工場には、太陽光を利用する形式と、1985年頃に日本で開発された人工光型植物工場の2タイプがあるが、ここ数年で急拡大しているのは後者だ。近年、大手電機メーカーから食品会社まで様々な企業の参入が相次いでいるが、過度な急拡大の無理がたたり倒産する企業も出始めている。

それでも、植物工場の拡大は急務だと丸尾教授は話す。「攻めの農業、次世代農業には欠かせない即戦力の技術要素。現状の課題は、専用品種の開発などソフト的な開発や業界全体の標準化が遅れている点。しかし、最重要課題は、人材の不足です」。世界的な課題である農業人口減少への対策は始まったばかりだ。


オルタナティブスクール

2016年02月21日 | 社会・経済

 不登校児が12万人を超えているという。彼らは素晴らしい能力を持っているが、発揮できずにいる。このまま「不登校」として、置き去りにされてはならないだろう。「公教育」に合わない児童たちだ。多様な人間性のあり方の問題でもある。

「いきはぐブログ」より(一部抜粋)

征矢里沙です。

●一般の学校に合わなかったのが理由で通う子がいる

 フリースクールは「不登校が入学資格」ともいえるので、これが普通です。一方、オルタナティブスクールでも、やはり不登校や、不登校とまでいかなくても一般の学校(主に公立校)に、何らかの理由で通いたくないと感じて転校する子が多くいます。もちろん、オルタナティブスクールでは新一年生から入学することができるので、それが理想ともいえますが、私が実際に取材した感触では、校生徒の少なくとも20%以上はこうした転校生です。(学校や年度によってばらつきはあります)

 ●毎日スクールに通っていても、法的には不登校扱いになる

 これまでの連載で書いてきたように、フリースクールでも、オルタナティブスクールでも、法的に「無認可」の場合は、毎日通っていても(たとえ新一年生からでも)不登校扱いになります。(一部、私立学校として認可されている場合は、もちろん別です)地元の公立学校に籍だけ置いて、その学校を不登校している、という状態になります。

 現在文科省が検討している支援策が、この問題を解決することを期待されています。

 ●「子どもを中心とする」という方針・内容

  スクールの考え方自体は、とても似ている場合があります。親や社会や学校の都合ではなく、子ども自身の人生のために、という出発点は共通です。
 教育内容でいえば、フリースクールはカリキュラムを子どもに強制せず、必要に応じて個別指導の場合が多いですが、オルタナティブスクールの中でも、デモクラティックスクール・サドベリースクールと呼ばれる教育でも、ほぼやっていることは同じなので、混同されやすいことがあります。
次回は、【違っている点】を説明したいと思います!

征矢 里沙

  1983年、愛知県生まれ。高校2年生のとき、恩師との出会いがきっかけで、「日本の教育を変えたい」という志を抱く。慶應義塾大学総合政策学部に入学し、シュタイナー・サドベリー等のオルタナティブ教育を研究。2006年に大学卒業後、株式会社リクルートに就職。2012年、会社を卒業して「NPO法人いきはぐ」を起業、代表を務める。2013年5月に出産、1児の母。

オルタナティブ・スクールの自由な学園生活

「オルタナS.」2013年12月4日より

 NPO法人箕面こどもの森学園(大阪府箕面市)は小学生を対象にオルタナティブ・スクールを運営している。オルタナティブ・スクールとは学校教育法に基づいていない学校のこと。同学園の生徒は公立小学校に籍を置きながら、出席状況や学習の様子を定期的に学校側に報告し、認可を得た上で通っている。藤田美保校長(40)を取材すると、学園が目指す自由な教育の姿を垣間見ることができた。(オルタナS関西特派員特派員=富永祐生)

生徒自身の『やりたい』を大切にする学校

 阪急北千里駅から徒歩約15分。箕面こどもの森学園は閑静な住宅街の中にあった。校庭には木造の滑り台やつり橋がある。生徒が発案し、スタッフと共同でつくったという。校舎に入ると、廊下の壁に生徒一人ひとりの一週間分の時間割が貼られていた。

 通常の小学校と違い、生徒ごとに時間割が異なっている。「大学のように生徒自身が時間割を設定することができます。ほとんどの生徒がスタッフに相談することなく、時間割を決めてしまいます」と藤田校長が説明してくれた。

 同校の一日は「ハッピータイム」と呼ばれる朝の時間から始まる。家庭での出来事など、身近に起こったことを話し、みんなで共有する時間だ。午前中の「ことば・共同」という授業ではクラス内で作文を互いに発表し合ったり「生きるとは何か」といった哲学的な議論をしたりもする。対話することを大切にしているのが特徴だ。

 午後は主に「プロジェクト」という授業が行われ、生徒が自分の興味や関心のあるテーマを自由に学習する。目標や計画もそれぞれ違うため、三国志の文献を読んでいる子もいれば、その隣で手芸にいそしんでいる子もいる。

  多様な学びが教室に広がっていることを実感した。「目標を定めることで、自分の特性を理解できるはず」と藤田校長は言う。プロジェクトの時間にパソコンを学習していた男子生徒は中学校に進学後、教員に請われ、パソコン室のネットワーク構築を手伝っている。中学校という新たな環境で自分の特性を理解し、発揮できているという。

 同法人は2004年に「わくわくこども学校」を開校。2009年に「箕面こどもの森学園」に改称し、来年で10周年を迎える。現在は9人のスタッフと約40人の生徒が在籍しており、低学年と高学年の2クラスに分かれている。

 1クラスが3学年に跨るため、年下から年上へとクラス内で周期的に立場が入れ替わる。それぞれの立場を経験し、自主的な成長を促すことが目的だ。通常、オルタナティブ・スクールでは学校生活になじめず、不登校になってしまった子などを受け入れることが多いが、同校では「子どもの自主性を大切にする」という教育方針に賛同した保護者が子どもを入園させるケースが主だという。

 藤田校長は大学卒業後4年間、公立小学校で教壇に立っていたが「教師は一方的に知識を授ける存在だ」という同僚たちの感覚に違和感を覚えた。「人と人とが出会って、学んでいくことが教育の本質」だという自分の理想を突き詰めたいと退職を決意。

 授業とクラブ活動に生徒の時間の大半が費やされる日本の教育システムに疑問を感じたことも一因だ。藤田校長自身、中学時代はバドミントン部に所属していた。「部活動に取り組んだ経験は現在でも生きてはいるが、もう少し自分で考える時間が欲しかった」と当時を振り返る。

 藤田校長自身も子どもたちから学ぶことは多い。こつこつ努力することの苦手な高学年クラスの女の子が、小学5年生のころ、ある作品をつくったことをきっかけに、さまざまなことに熱心に取り組むようになった。

理由を聞いてみると「努力するのは面倒くさいけれど、できるようになったら気持ちがいいから」と答えた。目標の達成によって自尊心が芽生え、苦手なことにも挑戦する原動力になっていると分析しているという。

「小さいころから自分が何をしたいのか考えることが大切だ」と藤田校長は強調する。自分の思いを実現できる大人になってもらいたいという願いを込めて日々、子どもたちと向き合っているのだろう。


野菜ジュースを飲めば野菜は食べなくていい?

2016年02月20日 | 食・レシピ

株式会社オールアバウト2016.2.17

 ■「野菜」に期待される栄養って?

  最初に大まかに「野菜」に含まれる栄養素をおさらいしてみます。野菜には炭水化物やたんぱく質、脂質といったエネルギーを作り出すことのできる栄養素はそれほど含まれていません。そのかわり、エネルギーを作り出すときの潤滑油となる「ビタミン」と「食物繊維」が多く含まれています。
 食物繊維は、植物自体の茎や葉などを支える骨のようなものです。かさがあって食べ応えがあるにもかかわらず、エネルギー源となる栄養素の含有率が低くなっています。そのため、野菜は「低エネルギーで、たくさん食べても太りにくい」と言われているのです。

 ■身体には野菜ジュースの「搾りかす」も大事!

  野菜の栄養としては「ビタミン」と「食物繊維」が非常に大切であることは、上記で説明したとおり。次は、野菜ジュースの作り方を考えてみましょう。
 ただ野菜をミキサーで粉砕しただけでは、食物繊維が歯に当たってしまい、口当たりが悪い野菜ジュースになってしまいます。そのため、濾したり絞ったりして口当たりのなめらかなジュースをつくり、砂糖や果汁などで味を整えて商品としています。
 この工程で「ビタミン」と「食物繊維」がどうなるのかがポイントです。ビタミンは「水溶性ビタミン」と「脂溶性ビタミン」があり、前者はジュースの中に溶け出すので、かんたんに摂取できそうです。
 しかし、これなら一安心!と思うことなかれ。水溶性ビタミンは酸素・光・熱によって分解されやすいのです。野菜をカットした段階から分解が始まるのに、ジュースにするためにミキサーで粉砕して、絞って味を整えて……という工程を経る間に、かなりのビタミンが分解されていると考えられます。
 また、ビタミンだけでなく、食物繊維に関しても「水溶性食物繊維」と「水不溶性食物繊維」があります。後者は搾りかすとして廃棄されてしまうため、製品の中には含まれていません。

 これらの2点が野菜と野菜ジュースを分ける最大のポイントとなります。

 ■農林水産省の「食事バランスガイド」から考えてみよう

  実は、農林水産省から出されている「食事バランスガイド」では「野菜ジュース」と「果実100%のジュース」は、200ml=1SV(1つ)を副菜(野菜・きのこ・いも・海藻料理)として計算してよいこととなっています。
 その理由として、会社員などの場合は忙しさから野菜不足になりやすいため、手軽に持ち運びができるパック入りの野菜ジュースでもよいので飲んでほしい、という意図があります。どうしても野菜代わりとして選ぶ必要があるときは、食塩や果物、砂糖などを添加していない商品を選びましょう。

 ■健康のためにはどうするのがよいのか?

  特にメタボやダイエット希望の人、また糖尿病の患者の方には、野菜代わりに野菜ジュースを飲んでも問題ないとは言えません。というのも、野菜ジュースでは捨てられてしまう水不溶性食物繊維のおかげで、食事量を変えずにエネルギーカットをすることが可能だからです。
 食物繊維は固さがあるのでよく噛む必要があり、そのおかげで脳が「食べ物を食べた」ということを認識し、満腹感が生まれます。さらに血糖値の上昇を緩やかにするため、糖尿病のリスクが下がり、将来的に健康維持・増進することができます。野菜ジュースは噛む必要がないので、なかなか満足感を得ることができませんし、血糖値などへの効果もあまり見込めません。
 また、「のどが渇いたときに野菜ジュースを飲めば健康的ですよね?」という質問をよくいただくので、答えを書き添えます。コーラや果汁の少ないジュース類よりはいいと思いますが、お茶や砂糖・ミルクを入れないコーヒー、紅茶のほうがオススメです。野菜ジュースと言っても、やはりジュースはジュース。「食事バランスガイド」で副菜として数えていいということは、エネルギーはあります。
 このように「野菜」と「野菜ジュース」は似て非なるもの。可能な限り「野菜」を選ぶようにし、「野菜ジュース」はどうしても野菜不足になってしまうときの奥の手として考えるのがよいと思います。【肥満・メタボリックシンドロームガイド:平井 千里】

水耕栽培と野菜ジュース
2013年10月18日 | 健康・病気  こちらも参考にお読みください。


「豆・ハーブ・スパイス」時代の到来

2016年02月19日 | 野菜・花・植物

パクチー(コリアンダー)人気爆発!「豆・ハーブ・スパイス」時代の到来が指し示すもの

  子安 大輔 - プレジデントオンライン - 2016年2月18日

 好き嫌い真っ二つ「パクチー」の隆盛

 皆さんは「パクチー」は好きですか? パクチーは数ある食材の中でも、好き嫌いが顕著にわかれるものの筆頭格でしょう。嫌いな人にはとことん嫌われるので、2007年に東京・世田谷にパクチー料理専門店の「パクチーハウス東京」がオープンしたと聞いたときには、非常に驚いたことを覚えています。同店はすべての料理にパクチーを使うという、当時とすれば法外とも思える手を打ち出しましたが、結果的にはコアなファンから強く愛される人気店となっています。
 そして時は流れて、和洋中などジャンルを問わず、街の飲食店においてパクチーを使った料理を見かけるようになりました。個人店レベルではもちろんですが、大手立ち食いそばチェーンの富士そばは「冷やしパクチーそば」を発売したり、あるいは紅虎餃子房などで有名な際コーポレーションは経営する飲食店で「パクチー餃子」や「パクチー鍋」などを提供したりしているのです。
 さらに、コンビニのナチュラルローソンから発売された「タイ風シュリンプまん」という商品には、具にも生地にもパクチーが使われており、通称「パクチーまん」とも呼ばれています。つい数日前には、エスビー食品から「きざみパクチー」や「パクチーペースト」が一般家庭向けに発売されました。パクチーを愛する人たちは俗に「パクチ二スト」などとも称され、彼らに向けた商品が大手企業からも続々と発売されているのです。

「ニッチコア」の時代が来た!

 私はこのパクチーの人気ぶりから2つのことを考えさせられました。1つは、「ニッチで偏愛されるものがウケる時代になった」ということです。マーケティング的にはすでによく言われていることではありますが、「マス」というものがなくなり、あらゆるジャンルで誰からも愛されるということが極めて難しくなりました。
 こうした環境においては、「メジャーな顔をしたメッセージ性の弱いもの」よりも、「ニッチだけれどコアなもの」のほうが強い影響力を持つようになっています。往々にして、そんなニッチな存在に対してはアンチも多いものですが、それを偏愛する層が強力に支援したり、周囲に薦めたりすることで、ニッチだったはずのものが結果的にメジャーになるということが起こります。パクチーはそうしたケースの代表例と言えるでしょう。

 しかし、パクチーブームに対しては、あくまで「食」という観点で取り上げたい切り口がもう1つあります。かつてある飲食店経営者が、「2010年代の日本における食のテーマは『豆とハーブとスパイス』だ」と言っていて、私は深く納得したことがあります。この「豆とハーブとスパイス」は世界に目を向けると非常に一般的な食材です。東南アジア、南アジア、中東、北アフリカ、南欧、中南米など各地の料理では、ごく日常的に用いられています。
 ところが、日本においては状況がまったく異なります。大豆製品こそ日本食には欠かせませんが、豆料理となると途端にメジャーではなくなります。スパイスについては、カレー以外にイメージがわかないという人も多いことでしょう。ハーブも同様です。フランスやイタリアの料理で使ったり、あるいはハーブティとして味わったりするくらいでしか、用途が見えにくいものです。

ブームではなく、ベースとしての「健康」

 ではなぜ「豆とハーブとスパイス」がこれからの時代のキーワードになりうるのでしょうか。そこにはまだ日本に浸透していないということ以外に大きな理由があります。それはこの3つの食材ジャンルは「おいしさと健康」の両立に大きく貢献する可能性があるからです(ちなみに、食品・飲料メーカーや外食関連企業のヴィジョンには、大抵この「おいしさと健康」に類似するフレーズがつきものです)。

 健康は「一時的なブーム」や一部の高感度層の「志向」というレベルではなく、多くの人の食生活にとって「ベースとして求めるべき価値」となっています。とはいえ、いくら体に良くてもおいしくないものはイヤというのが人情です。そんな中、「おいしさと健康」を両立できる食材や料理には今後ますます関心が高まっていくことでしょう。であるならば、日本人がまだ使いこなせていない「豆とハーブとスパイス」には、大きな成長の伸びしろがあるはずなのです。

 私はこの数年のパクチーブームには、こうした潮目の変化を感じるのです。つまり、「いよいよ『豆とハーブとスパイスの時代』が到来したか」という実感です。都市部ではパクチーはすっかり定着したように感じられます。となると、当然「次なる食材や料理」を探す動きが強まるでしょう。

 それが世界的にもメジャーな「ひよこ豆」なのか(ひよこ豆のコロッケ「ファラフェル」は中近東や地中海沿岸の定番料理)、スパイスをたっぷり効かせた紅茶の「チャイ」なのか、あるいはまだ日本人にはまったく未知なものなのかはわかりません。けれども、「おいしさと健康の両立」、そしてそのポテンシャルを感じさせる「豆とハーブとスパイス」を、次なる食のトレンドのヒントとしてぜひ頭の片隅に置いてみてください

 子安大輔(こやす・だいすけ)●カゲン取締役、飲食コンサルタント。1976年生まれ、神奈川県出身。99年東京大学経済学部を卒業後、博報堂入社。食品や飲料、金融などのマーケティング戦略立案に携わる。2003年に飲食業界に転身し、中村悌二氏と共同でカゲンを設立。飲食店や商業施設のプロデュースやコンサルティングを中心に、食に関する企画業務を広く手がけている。著書に、『「お通し」はなぜ必ず出るのか』『ラー油とハイボール』。


大根

2016年02月19日 | 野菜・花・植物

東洋経済オンライン / 2016年2月16日

なぜ大根は「医師が奨める冬野菜No.1」なのか
      生で食べるか加熱するかで健康効果が変わる。

 

  冬を代表する根菜といえば「大根」。 おでんやぶり大根など、味がしみ込んだホクホクの大根が大好物!という方も少なくないでしょう。大根はインフルエンザや風邪、胃痛など、冬のお悩みを解消するための成分がたくさん入っており、医師が奨める冬野菜No.1でもあります(医師専用コミュニティサイトMed Peer調べ)。

  ところで皆さん、大根は「生の状態」と「火が通った状態」で、健康効果が変わってくることをご存じでしょうか? 今日はそのあたりを詳しく解説し、オススメメニューを紹介したいと思います。

  大根おろしや大根サラダなど、大根を生の状態でいただくと、ピリッとした辛さが味わえますね。この辛味成分は「イソチオシアネート」というイオウ化合物の一種で、アブラナ科の植物には多く含まれるものです。
 このイソチオシアネートには血液をさらさらにする作用、解毒作用などが期待でき、しかも生の状態でいただくほうが効力が強く発揮されます。がん細胞を始め、インフルエンザウイルスや風邪の菌を除去してくれる効果も望めます。
 また生の状態の大根には「ジアスターゼ」や「グルコシノレート」など、胃炎やアレルギー疾患の予防・改善にもなる成分が含まれますので、今の時期であれば花粉症でお悩みの方にもオススメです。

  生の大根は、焼き魚についた大根おろしやおろしハンバーグ、刺身のツマなどで摂取できます。あの独特の辛みが苦手という方は、同じ生でも漬物など発酵食品にすると食べやすくなるはずです。

  このように、生の状態で強い効力を発揮する大根の殺菌作用。実は加熱するとパワーが弱まってしまうのですが、今度は別の健康効果が高まります。

  大根を加熱すると、甘味が増して食べやすくなりますね。これは加熱によってイソチオシアネートの辛味が低下し、逆に抗酸化作用が強くなっている証拠。食物繊維も加熱後の方が多く含まれ、腸内環境の改善やデトックス効果が期待できます。これらの効果をしっかり得たいのであれば、冒頭に紹介したおでんやぶり大根が最適でしょう。

  また、大根には「切り干し大根」という昔ながらの保存食形態もあります。文字通り、大根を切って干して水分を抜いたものですが、水分が蒸発していく過程でカリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄分、亜鉛、マンガンと言った冷え予防にいい栄養価がぐんとアップ。加えて、イライラやうつ予防にいいと言われるナイアシンの含有量も増えます。      これらの健康効果は、切り干し大根のお惣菜やフリーズドライの味噌汁などから摂取できるので、こちらも要チェックです。

  冬は空気が乾燥し、ウイルスや風邪菌、花粉、黄砂などが空気中を飛び交っています。状況に応じて大根の健康パワーを使い分け、身体の中からケアしておきましょう。


川崎老人ホーム連続殺人から金融資本主義の末路が見える

2016年02月18日 | 社会・経済

長い文章ですが面白いことが書いてあります。是非お読みください。

山田厚史 - ダイヤモンド・オンライン - 2016年2月18日

  値動きの荒い株式市場、安定しない外国為替、マイナス金利に嵌った金融。騒然とする市場の陰で、有料介護施設「Sアミーユ川崎幸町」の捜査が進んでいた。転落死は一転して連続殺人事件になった。「清原逮捕」を上回る衝撃は16日から始まった「日銀のマイナス金利」など霞ませるに十分だった。

 ジャニーズのSMAP解散騒動、ベッキーの不倫、甘利大臣の斡旋収賄容疑が浮上し、イクメン議員の不倫まで発覚。社会面を賑わすスキャンダルが立て続けに起きたが、「Sアミーユ」を舞台にする連続殺人は現代の深い闇を投影している。老人の終末、格差社会、若者の閉塞感、社会保障の崩壊。事件は深いところで「市場の混乱」とつながっていないか。有料老人ホームで起きた事件から地球規模に広がるマネー資本主義の病理を考える。

入居費は高額、職員は薄給高級老人ホームは「格差の館」

 殺人の疑いで逮捕された今井隼人容疑者は、高校を卒業し医療系専門学校で救命救急士の資格を取って2014年4月からSアミーユ川崎幸町で働いていた。この施設は認知症など要支援1以上の利用者を対象にする介護施設だが、介護士の資格がない人も雇っていた。

 高齢化の進展で老人施設は2015年に全国で1万2400ヵ所に増えたが、介護人材の確保が追い付かない。人が足りなければ給与が上がるのが経済原則だが、介護職場は低賃金労働で知られている。

「男性職員に寿退職が目立つのが特徴です。結婚して家庭を持てば、介護職では共働きでも家族を養うのは無理というのが実情です」

 職場経験のある人は言う。介護には体力も必要だ。一人身でいる若いうちはできても、長く続けられるか。気持ちだけでは続かない仕事でもある。

 似た構造が幼児を預かる保育所でも指摘され、一部の施設で暴力やネグレクトが問題になっている。だが未来のある幼児には特有の愛らしさがあるが、日々衰えていく老人向けの施設には未来への明るさがない。

  認知症や寝たきり老人を支える仕事は精神的にも辛い。暴言を浴びたり、認知症患者への対応は心が折れる時がある、という。

 「介護は気持ちが表れる仕事なので入居者との人間関係が大事です。経験が足りないと面食らい、相手の人格を尊重できなくなり問題行動が起きる」と前出の関係者はいう。入浴の世話や、オムツ換え、苦情の対応、と忙しく立ち働いているうちに、老人の人格が見えなくなり、自分を追い詰める「厄介者」と映ることもある。肉体的にもつらい環境の中で精神のバランスを崩す職員は少なくない。

 介護は「きつい、つらい、安い仕事」とさえ言われているが、政府は昨年、介護保険から支払われる介護報酬を減額した。税と社会保障の一体改革の一環。緊縮財政が職員給与を押し下げる力となっている。

 逮捕された今井容疑者は、介護士の資格がない。仕事に就いたばかりで、手取り給与は20万円足らず。「辛かった」と供述している夜勤は月に5回はある。深夜にコールが鳴り、オムツ換えやトイレの付き添いに走り回っても、あちこちから苦情が出る。そんな夜勤の日に事件は起きた。

  Sアミューズ川崎幸町のホームページによると、入居資格は要支援1以上の障がいがある人。「入居頭金ゼロ」で7畳ほどの個室に入れるのが売りだが、月の費用は22万1700円(賃料・管理費・食費)。この上にさまざまな経費が上乗せされる。等級ごとに介護保険の1割負担があり、被害者の丑沢さんの場合、月額2万2726円。医療費・薬代、おむつ代、行事参加費などが加算され、おおむね月に30万円程度の費用が必要だ。これだけの費用を年金で賄える人は稀だろう。サラリーマンなら年収1500万円は必要だ。十分な貯蓄や首都圏に持ち家があったり、経済力ある親族がいるなど恵まれた条件がなければ個室の介護施設に入所できない。

 Sアミーユ川崎幸町は、豊かな老人を薄給の若者が介護する「格差の館」でもあった。

 

親から子へ「格差の固定化」で日本は次第に階級社会へ?

 NHKで放送中の英国ドラマ「ダウントン・アービー」は第一次大戦前後の貴族の暮らしを描いたものだ。人に序列があり立ち居振る舞いまで異なる英国では、階級による差別は社会秩序に組み込まれている。
 戦後民主主義で高度成長を駆け上がった日本は、いま「一億総中流」の崩壊があちこちにひずみを生じている。所得や教育の差が、子世代に受け継がれる「格差の固定化」である。階級社会では下層の市民が裕福な貴族に仕えるが、Sアミーユのような現象は、日本も次第に階級社会へと進んでいることの現れかもしれない。少子化・高齢化が進めば、次は外国人労働者を受け入れて介護や家事労働を担ってもらうことになる。

 農業や漁業の現場で便利に使われている外国人研修生のように、「外国人だから(口実は研修生だから)安く使える」という人の差別化が始まろうとしている。

 介護職は安い労働と位置付けられ、就くのは低所得層か外国人という階層化が進むかもしれない。

  企業経営者なら「今更の話ではない」と思うだろう。日本の製造業は安い労働力を求めてアジアや中国に進出した。国際競争を勝ち抜くため、人件費の安い国に生産を移転させた。その結果、国内の労働者が外国の安い労働力と競争させられた。高い賃上げを要求すると、外国に職場を奪われる。自動車・家電などが次々と日本から離れる産業の国際化は国内賃金を抑え込み、GDPの6割あまりを占める個人消費を湿らせた。
 それが不況の主因ということに、安倍首相は今になって気づいた。企業が儲けても賃金として支払われなければ国内消費は盛り上がらない。生産が増えなければカネは国内に回らない。首相は「賃上げと設備投資を」と財界に要請している。だが、経営者には企業の論理がある。一時、収益が好転したからといって賃金水準を上げると、将来の重荷になる。景気の変化に対応できる柔軟性を確保するには、賃上げは避けたい。好況の時は非正規社員を増やし、不況になったら雇い止めできるようにするのが合理的だ、と考えている。
 経営者の立場ならそうだろう。政権はその言い分を聞いて「改正労働者派遣法」など、財界が望む政策を行ってきた。その結果、非正規労働者が全従業員の40%に広がり、正社員になれない若者が増えた。正社員と非正規社員の生涯給与は倍以上の開きがあり、若者世代に将来不安を広げた。

 経済政策は大企業の後押しばかり社会構造の変化には手当てなし

労働者の立場が悪い現実は、介護職場でも待遇改善まで妨げている。

  長引く不況の主因は国内消費が振るわず、カネが国内に回らないことにある。「お願い」ではなく、若者が将来に希望を描けるような安定した雇用をたくさん作ることが政治の目標であるはずだ。
 強い企業は世界展開することで儲ける。グローバル化に伴い国内はリストラされた。その被害を受けたのは一部の高齢者と若者である。退職に応じても条件のいい再就職先はない。健康な時はいいが、体調を崩したりすると暮らしはたちまち変調する。企業に長く勤めることを前提に制度ができている日本の社会福祉は、企業から離れると支えを失う。「下流老人」という層が長期停滞の中で形成された。この間、企業経営はひたすら人減らしで経営の好転を目指した。手っ取り早い方法が新規採用の絞り込みである。穴が開いた職場は非正規で埋める。高齢化社会を支える重要な役割を担うべき若者世代は、粗略な扱いを受けたのである。
 15日の朝日新聞が報じていたが、法人減税の恩恵を受けているのは海外展開に力を入れる大企業ばかり。国内で雇用を維持しているのは中小企業やサービス業である。にもかかわらず政府の産業政策は、高度成長の名残を引きずる大企業の後押しだ。

 貯蓄を持つ老人は消費者として活躍してもらわなければならない。高齢者市場が大きくなれば若者の雇用も広がる。社会構造の変化に対応する政策はなく、安倍首相が採用したのは日銀が国債を買い上げ銀行に資金を注入する「異次元の金融緩和」だった。
 お手本はまたアメリカだ。2008年に住宅バブルが弾けたアメリカの、窮余の一策が「金融の量的緩和」だった。資金繰りが危うくなった銀行や企業を救済するため、中央銀行であるFRBが3度にわたり計3兆ドルを超える資金を放出した。
 この資金は米国の銀行を通じ中南米やアジア、中国などに流れ込み、新興国への投資ブームを起こした。経済が落ち込んだら金融を緩和すれば景気はよくなる、という古典的な経済原理に沿った政策だが、先進国への効果は鈍くなっている。

 金融緩和はカネが不足している経済には効くが、カネ余りが常態化する地域には効き目が薄い。典型が日本だ。前回にも書いたが2013年に始まった黒田緩和で200兆円を超える日銀マネーが放出されが、ほとんどが日銀の中に溜まっている。銀行が資金決済する当座預金に預けたままになっているのだ。だから当座預金の金利をマイナスにして追い出しにかかったのが今回の措置だ。

 金融資本主義は早晩行き詰まる日本がとるべき道は一つ

  まともな資金需要がないからカネがあっても貸せない。そんな現象が日本で起きているのは二つの理由がある。ドルのように世界で流通する基軸通貨ではない「円の限界」。もう一つが「バブルの教訓」である。
 1980年代に起きた金融バブルを体験した人たちが経営トップに居る。日銀マネーが注入されようが危ない融資はできない、という節度がまだある。
 アメリカはそうではない。リーマンショックで懲りてはいない。危ない貸し先こそおいしい。バブルが弾けるギリギリまで儲け話に食らいつき、弾けそうになったらいち早く逃げる。それが金融の醍醐味と考えるマネーハンターが少なくない。

 発展の余地のある途上国で有効需要を創り出せば世界経済は活性化する、という作戦は当たったが、一方で危ない事業や投機にカネが流れた。ハイリスク投資は経済が回っているうちは高いリターンが得られる。リーマンショックの引き金を引いたサブプライムローンのような、金融工学を駆使した怪しげな金融商品が隠れているのだろう。

 金融緩和が長く続くと必ず不良債権が増える。それは過去の実績が物語っている。緩和マネーは使い道を選ばない。ハイリスク投資はカネが付いてくる限り損害は表に出ない。金融が締まり、資金が逆流すると一気に表面化する。
 FRBは金融緩和が危険水域に入ったから量的緩和を止め、金利引き締めに転じた。だが、まだ本格的な引き締めには踏み込めない。緩和の副作用が噴き出せば、今でさえ不安定な世界経済の屋台骨が揺らぐことを心配している。
 リーマンショックの余波は終わっていない。米国の金融緩和と中国の財政出動で世界の需要を支えたが、その無理がいま反動となって世界を揺さぶっている。市場の値動きが大きいのは投資家がおろおろしていることの表れだ。

 金融は痛みを和らげることはできても、経済を変えることはできない。黒田緩和の失敗が物語っている。アメリカ発のマネーが新興国で焦げ付くのは時間の問題だろう。中国での調整も始まった。

 問題はマネーで解決できる、という拝金的な経済政策が世界規模で行き詰まっているのだ。日本が取るべき道は一つ。国内にカネを回すこと。そのためには労働者の賃金を上げ、若者が暮らしの安定と将来の希望を見出せる社会をつくることだ。

 Sアミーユが見せつけた悲惨な現実は、格差を広げる成長戦略より分配構造の見直しが大事だ、という警鐘と受け止めたい。

 金融頼みで失敗したアベノミクスは終わった。次の政権の課題が見えてきたように思う。


フランス:売れ残り食料、廃棄禁止…大型スーパー

2016年02月18日 | 社会・経済

フランス:売れ残り食料、廃棄禁止…大型スーパー

毎日新聞 - 2016年2月17日

 ◇慈善団体へ寄付、法で義務化

 【パリ賀有勇】世界の食料生産量の約3分の1が毎年廃棄されている。その現状を変えようとしたパリ近郊クルーブボア市のアラシュ・デランバーシュ市議(36)の努力が結実し、フランス全土にある大型スーパーに売れ残りの食料の廃棄を禁じ、慈善団体への寄付を義務付ける法律が成立した。

 イラン革命(1979年)でフランスに逃れた両親の間に生まれたデランバーシュさんは、大学時代に食費の工面に苦労した経験から食料廃棄に目を向けるようになった。

 市議になった2014年、訪ね歩いたスーパーでは、廃棄食品が持ち去られるのを防ぐためにゴミ箱に鍵をかけたり、食べることができないように化学薬品で処理した上で廃棄されたりしていた。デランバーシュさんが生活困窮者への無償提供を打診すると、「法規制されたらやるよ」と皮肉交じりに言われた。

 SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で法規制を呼びかけ、インターネットの署名サイトで約20万人の署名を集めた。下院議員に協力を呼びかけ、2月3日、法が成立した。

 食料廃棄禁止法は、延べ床面積400平方メートル以上の大型スーパーを対象に、売れ残りの食料の廃棄を禁止し、生活困窮者に配給する活動を行う団体への寄付を義務付ける。違反するたびに3750ユーロ(約48万円)の罰金が科せられる。

国連食糧農業機関(FAO)などによると、毎年世界で13億トンもの食料が、収穫されてから消費者の口に入るまでの間に廃棄され、食べられるのに家庭やレストランで廃棄される「食品ロス」は、フランスは約700万トン、日本は約640万トンとされている。

 デランバーシュさんは、「日本は第二次世界大戦で飢えを経験し、食べ物の貴さを理解している。きっと現状を変えることはできるはずだ」と呼びかけた。