里の家ファーム

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福島の子どもたちは今

2020年03月11日 | 社会・経済

福島県立高校養護教諭 森田奈津子
 「しんぶん赤旗」2020年3月10日

保健室から思う復興
 「『いかにも福島のことを考えています』みたいに言ってるけど、実際は違うよね」
 保健室でオリンピックのことが話題になった時の、生徒の言葉です。
 「震災と東京電力福島第1原発事故から間もなく9年」。この言葉を聞いて、子どもたちが少なからず傷つけられていたことや、いろいろと心に秘めていたことに改めて気づかされました。
 「聖火リレーは福島から」「復興オリンピックを」と盛り上がる中で、それを素直に受け入れられない子どもたちを、ただのひねくれ者とは思えません。
 9年間、少しずつ復興は進んでいますが、国全体で総力をあげて復興に取り組んでくれているとは受け取れない。それほど大変な経験や思いをそれぞれにしてきたのだと思います。
 原発事故による避難者であるA子は、保護者からの虐待が発覚して児童相談所に保護されました。最初は「家に帰りたくない」と言っていたA子ですが、いざ保護者から引き離されるときには泣いて抵抗しました。
 避難する前は、それなりに笑いに満ちた家庭だったようです。それが原発事故を境に環境が一変しました。保護者はアルコール依存症とパチンコ依存症もあり、まともな養育は望めないと判断されました。
 その後、A子は幸いなことに学校に復帰することができ、施設から毎日元気に登校しています。でも、その笑顔をみるたびに、どれだけのことを我慢しているのだろうと気になります。
 誰もが前向きになれるわけではない。マイナスの気持ちを持つこともある。どの子も安心して素直に自分の気持ちを話すことができる、そしてそれをしっかりと受け止められる、そんな保健室でありたいと思います。