里の家ファーム

すべて無農薬・無化学肥料、不耕起栽培の甘いミニトマトがメインです。完熟したミニトマトから作る無添加ジュースは逸品です。

望まれる「性教育」

2018年03月31日 | 教育

妊娠した高校生「知れたら退学」おなか隠して通学、出産

  朝日デジタル 2018年3月30日

根岸拓朗、山田佳奈、円山史

 

 

妊娠した生徒の高校の在籍状況

 全国の公立高校で2015年度と16年度に、32人の高校生が妊娠・出産を理由に学校側から勧められて退学していたことが、文部科学省の調査で明らかになった。女子生徒が退学に追い込まれる現状があるなか、学ぶ機会を奪わないよう生徒を支援する動きも広がりつつある。

 文科省の調査によると、2年間で高校が生徒の妊娠を確認した件数は全日制と定時制で計2098件。妊娠後の在籍状況は「本人または保護者の意思による自主退学」が3割にあたる642件に上り、高校の勧めによる「自主退学」は32件あった。

  このうち、生徒や保護者が「通学、休学や転学」を希望したのに、学校が退学を勧めたケースは18件だった。事実上、望まない退学に生徒が追い込まれていた可能性がある。学校側は「母体の状況や育児を行う上での家庭の状況から、学業継続が難しいと判断した」「学校の支援体制が十分ではなく、本人の安全が確保できないと判断した」といった理由から退学を勧めたという。

  今回の調査は子どもの貧困の問題に取り組む国会議員グループなどの求めを受け、文科省が初めて取り組んだ。同年代の男子高校生が妊娠させた事例がある可能性もあるが、調査は女子生徒のみを対象にした。

  同省は29日付で全国の教育委員会に対し、安易に退学勧告をしないよう求める通知を出した。生徒が退学を申し出ても、本人や保護者の意思を十分確認し、休学や転学などの方法を知らせるよう求めている。

 妊娠した生徒を支援する動きも

  学校の対応に対して疑問視する声もあがる。

〈以下有料〉残念・・・


 いやぁ、こんなにいるんですね。
やっぱり、ちゃんと性教育しなければ・・・
ですわ。

 今年は雪が多くて、家の軒が何か所も壊れてしまいました。
直すのはまだ雪の足場がある今のうち。
て、わけで融雪剤も一部しか撒かずに大工仕事優先。
庭の木々も倒れたり、枝が裂け落ちたりとひどい状況です。
これから雪解けが進み、さらに被害が出てきそうです。

 今日は、いろいろ気になる記事が多く、3発目です。

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窮鼠

2018年03月31日 | 社会・経済

安倍首相の放送法撤廃はやはり政権擁護フェイク番組の量産が目的! 官邸の推進会議委員に「ニュース女子」出演者が3人

  リテラ 2018.03.30.

   なんとわかりやすい“圧力”だろう──。政治的公平を義務づける放送法4条をはじめ、外資規制、番組審議会の設置などの規制撤廃を盛り込んだ放送制度改革の方針案を、安倍政権が打ち出そうとしている件だ。

 この放送制度改革では放送の規制を全廃する方針だといい、もし実施されれば、インターネットテレビなどによる放送事業への新規参入が促されることになる。そのため、すでに民放テレビ局のトップたちが相次いで批判の声をあげているが、いま、この改革案を安倍首相がもち出したのは、民放に対する恫喝であることはあきらかだ。

  これまでも安倍政権は電波の利用権を競争入札にかける電波オークションの導入をちらつかせてきたが、ここにきて放送改革の話が急に進んだのは、森友文書改ざん問題に対する報道を牽制するためだ。

  事実、朝日新聞が改ざんのスクープを報じた3月2日と同じ日の夜、安倍首相は『BSフジLIVE プライムニュース』(BSフジ)の放送10周年を祝う集いに出席し、「電波、通信の大改革を行いたい。大競争時代に入り、ネットや地上波が競合していく」と挨拶。祝辞のなかで、わざわざ電波改革に言及したのである。そのタイミングから考えて、暗にテレビ局に対し“改ざん問題の後追い報道をすればどうなるのか”と警告を与えたようなものだ。

  さらに、15日に共同通信が放送法4条の撤廃を政府が検討していることをスクープしたが、20日の参院総務委員会で放送を所管する総務省の大臣・野田聖子氏は「私自身はまだ何も承知していない」「(安倍首相からの指示は)「きょうまで何もない」と答弁。安倍官邸による独走で一気に動きはじめた疑いが濃厚なのだ。

  しかし、今回の放送法4条の撤廃の問題はそれだけではない。最大の問題は、安倍政権が露骨な政権擁護番組を地上波で放送できることを狙ってこの方針を打ち出したことだ。

  これまで安倍政権は、むしろ放送法4条を盾にして、テレビ報道に圧力をかけてきた。たとえば、2014年11月には、『NEWS23』(TBS)内で生出演していた安倍晋三首相がアベノミクスに懐疑的な声をあげる街頭インタビューについて「意見を意図的に選んでいる」と声を荒げて批判。その直後に自民党はテレビ局に公正・中立報道を求める文書を送りつけている。さらに、『報道ステーション』(テレビ朝日)でコメンテーターの古賀茂明氏が「(官邸に)バッシングを受けた」と述べた際も、菅義偉官房長官は「放送法がある以上、事実に反する放送をしちゃいけない」と発言。自民党の情報通信戦略調査会はテレビ朝日の経営幹部を呼びつけ、事情聴取までおこなった。

 それが一転、圧力の道具にしてきた放送法4条の撤廃を打ち出す。──これは「政治的公平」で番組内容にケチをつける方法ではなく、政治的に振り切って政権擁護をおこなう番組を増やそう、という方針に転換したからだ。つまり、安倍応援団が勢揃いして政権を擁護しまくるDHCテレビ制作の『ニュース女子』や『真相深入り!虎ノ門ニュース』などのような番組を地上波でガンガン放送させようというわけだ。

 長谷川幸洋、飯田泰之、原英史が放送法の「規制改革推進会議」メンバーに

 「まさか、そこまで露骨なことは考えないだろう」……そういう人もいるかもしれない。しかし、これが被害妄想でないことは、官邸で安倍首相のもと、この放送法撤廃を議論しているメンバーを見れば、わかってもらえるだろう。

  今回の放送制度改革案は「規制改革推進会議」が取りまとめをおこない、6月にも安倍首相に答申する予定なのだが、この「規制改革推進会議」のメンバーに、あの『ニュース女子』出演者が3人も含まれているのである。

  それは、『ニュース女子』司会である長谷川幸洋・東京新聞論説委員に、同番組の準レギュラーで、文書改ざん問題では朝日批判を展開していた経済学者の飯田泰之氏、同じく準レギュラーである、加計学園問題では国家戦略特区ワーキンググループ委員として「議事録はすべて公開されている」と虚偽の主張を繰り広げていた政策コンサルタントの原英史氏の3名だ。

  言わずもがな、『ニュース女子』といえば、昨年1月に沖縄ヘイトデマを垂れ流し、BPO(放送倫理・番組向上機構)の放送倫理委員会は「重大な放送倫理違反」と指摘。今月8日には放送人権委員会も、市民団体「のりこえねっと」共同代表である辛淑玉氏に対して「名誉毀損の人権侵害があった」とし、判断としてはもっとも重い「勧告」を出したばかり。批判の高まりもあり、TOKYO MXをはじめとして番組の放送中止を決定する地方局が相次いでいるが、DHCという巨大な資本をバックに、番組はいまなおデマやヘイトを流したことへの謝罪は一切ないまま継続されている。

   そして、司会の長谷川氏はもちろんのこと、飯田氏も原氏も、まったく事実に基づかないデマや人権を犯す放送がおこなわれた以降も、この番組に疑問を呈することなく、平気な顔で出演しつづけているのだ。──このような者たちが放送制度改革案を取りまとめるというのだから、それが安倍首相の意向を反映させたものになるのは必至だろう。

   しかも、同会議の委員は、現在、議長を含め計14名で構成されているが、そのなかにはこの3名のほかにも安倍首相シンパが勢揃いしている。議長は第一次安倍政権で民間閣僚として経済財政政策担当大臣に抜擢された大田弘子氏であり、議長代理の金丸恭文・フューチャー会長兼社長も〈菅義偉官房長官とのパイプが太く、安倍首相にも信頼されている〉(日経ビジネスオンライン2016年11月4日付)といわれる人物。さらに、安倍首相を応援する財界集団「さくら会」の中心メンバーである富士フイルムホールディングスの古森重隆会長や、安倍首相とはゴルフを興じる仲である森下竜一・大阪大学大学院教授など、安倍首相と昵懇のメンバーが顔を揃えているのだ。

   放送制度改革がこのまま実施されれば、地上波に『ニュース女子』のようなフェイク番組が溢れかえり、昨年、総選挙公示日直前に安倍首相が出演したAbemaTV『徹の部屋』でホスト役の見城徹・幻冬舎社長が「日本の国は安倍さんじゃなきゃダメだ」などと繰り返したような発言がただただ流される──。恐ろしい悪夢のような現実が、確実に待ち受けているのである。

 放送法4条にかんしては、政治権力が直接メディアに圧力をかけることを可能にしてしまっていることから「撤廃するべき」という声もあったが、このような安倍首相の思惑がある以上、いまは到底、看過できるものではない。だいたい、公文書を改ざんしてしまうような独裁政権に規制改革など任せられるか。放送を安倍首相のおもちゃにさせないためにも、一刻も早く内閣総辞職に追い込まなくてはならない。(編集部)

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NHK幹部が忖度――?

2018年03月31日 | 社会・経済

内部から通報者 NHK幹部が森友報道で“官邸に忖度”の衝撃

  日刊ゲンダイ 2018年3月31日

 森友報道をめぐってNHK幹部が官邸に忖度――?

  NHK関係者からとみられるタレコミが国会議員の事務所に届いた。29日の参院総務委員会で共産党の山下芳生議員が明らかにした。「ニュース7(N7)」「ニュースウオッチ9(N9)」「おはよう日本」の番組編集責任者に対し、NHKの幹部が森友問題の伝え方を連日、細かく指導しているという。タレコミの内容は実に生々しい。

 <トップニュースで伝えるな>

 <トップでもしかたないが、放送尺は3分半以内に>

 <昭恵さんの映像は使うな>

 <前川前文科事務次官の講演内容と連続して伝えるな>

  NHK内部の通報者は、この幹部が官邸や自民党の意向を忖度して、部下への指示を乱発しているとみている。

   山下事務所にタレコミの手紙が届いたのは、今週の月曜(26日)。通報者は、先週の後半に投函したとみられる。そこで、日刊ゲンダイは先週19日から29日までの3番組の放送内容を調べてみた。

 19日は、参院予算委の集中審議に加え、前川氏講演介入問題への自民議員の関与が明らかになった。「N7」はトップで森友問題(6分半)、「N9」はトップの森友(9分半)に続き、前川講演(5分)を報じた。翌20日朝の「おはよう日本」は、トップに前川講演(1分半)、2番目に森友(6分)だった。この日に佐川前理財局長の証人喚問が決まったが、このニュースを「N7」は7分、「N9」が10分半と、トップで大きく扱った。

■22日以降は森友報道が“トーンダウン”

  なるほど、この頃はタレコミで幹部が問題視したように、NHKは森友問題に大きく時間を割き、前川講演と連続させた報道もある。

ところが、佐川喚問が正式に決議され、野党議員の籠池被告との接見が決まった22日に変化が表れた。森友は、「N7」がトップを外れて4番目(2分半)、「N9」が2番目(3分)の扱いになった。籠池接見が行われた23日は、「N7」が2番目の4分半、「N9」が2番目の5分だった。他のニュースとの兼ね合いもあるが、何だか“トーンダウン”しているようにも見える。通報者が投函したのは恐らくこの頃だ。

  加えて、NHKの国際放送について海外での視聴を警戒し、官邸がしきりにNHKに注文をつけているという別のタレコミもあるという。デリケートな今の時期に、複数の「内部関係者」からの生々しい“告発”。NHKは、官邸の顔色を見て番組を作っているのだろうか。

  29日の参院総務委で、NHK上田良一会長はタレコミについて、具体的な見解を求められたが「番組内容は、現場が自主的に判断しているが、何人からの圧力や働きかけにも左右されることなく、視聴者の判断のよりどころとなる情報を多角的に伝えていくことが役割だと考えている」と一般論で逃げた。

   日刊ゲンダイが、国際報道の件も含めて、NHKに問い合わせると「そうした事実はありません」(広報局)と回答した。

  前会長の籾井勝人氏は、就任会見で「政府が右ということを左というわけにはいかない」と言ってのけた。上田会長だって、籾井体制で経営委員を務めていた。また、政治部の岩田明子解説委員の“安倍ベッタリ”は知る人ぞ知る話だ。

   忖度が疑われても仕方ないほど、NHKは官邸のスポークスマンと化しているが、会長の「左右されない」との国会答弁は、今後の森友報道で証明してもらうしかない。

 

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監視社会にならないために

2018年03月30日 | 社会・経済

なぜ「監視」が「威圧」の効果を生むのか?

 情報・知識&オピニオンimidas    2018/03/27

   香山リカ  (精神科医・立教大学現代心理学部教授)

   この1年あまり、トランプ大統領が就任してからのアメリカ政治の迷走に驚くばかりだったが、ここにきて日本でも政治の舞台で仰天するようなことが起きている。

 今、舞台の“メインテーマ”は財務省の公文書改ざん問題だが、文部科学省が、名古屋の市立中学校で開催された前川喜平・前文部科学事務次官の公開授業に関する問い合わせを行っていた、という問題も十分にメイン級のテーマだ。問い合わせは、18年2月に前川氏の授業があった後、文科省から名古屋市の教育委員会へのメールという形で2度にわたって行われたが、その後の報道で、発端は自民党の2議員による文科省への照会だったことが明らかになった。

 「問い合わせくらい問題ないだろう」と思う人がいるかもしれない。しかし、文科省からの質問は、授業の内容、目的から、講師を依頼した経緯や謝礼までを計26項目にもわたって細かく尋ねるものとなっている。さらに、当日の授業の録音など、具体的なデータの提供も求めたという。

 想像してみてほしい。例えばあなたが大企業の支店に勤務しているとしよう。各支店では毎年、新入社員向けのマナー講座が開かれるが、今年はあなたがその担当となり、外部講師への依頼や当日の準備を経て無事に講座は終了。ほっとしていると、まったく面識のない幹部からメールが届き、講座の内容や講師について細かく質問される。当日の資料なども全部提供せよ、とも書かれている。これまではそんなことは一度もなかったし、他の支店に聞いても同様の問い合わせはなかった、とのことだ。「何かマズいことがあっただろうか」「本社から目をつけられたらもう出世の道はない」と、あなたは真っ青になってしまうのではないだろうか……。

 このように、たとえ非難の言葉が含まれていなかったとしても、立場的に自分より上の人から「私はあなた(だけ)を監視していますよ」というメッセージが送られると、それ自体が威圧の効果を生む場合がある。

 かつて、イギリスの功利主義哲学者のジェレミー・ベンサムは、少ない看守が全ての独房を監視できるような刑務所を考案して「パノプティコン」と名づけた。このシステムのポイントは、実際に厳しい監視態勢が敷かれているかどうかよりも、収容者に「常に監視されていると思わせること」にある。それだけで収容者はわが身を正し、生産的な労働習慣を身につけるはず、とベンサムは考えたのだ。

 後にこのパノプティコンは、刑務所に限らず、監視(のほのめかし)によって権力が個人を支配する近代社会の象徴であると、フランスの哲学者ミシェル・フーコーから指摘された。

   パノプティコンを突き詰めれば、人間を心理的に萎縮させ制圧するためには、必ずしも実力行使は必要なく、「私はあなたを常にチェックしていますよ」というサインを送るだけで十分だ、ということになる。

 そうだとすれば、地方の一公立中学に教育委員会を経て文科省からメールが届いていたなら、単なる事実確認のための問い合わせで済むわけはなかっただろう。受け取った方は、そこに監視の目を感じ、ともすれば「今後はこういうことがないようにしたい」と考え、つまり外部の講師を招くのをやめるか、他の学校が招いても文科省からの問い合わせが来なかったと確認済みの人を講師に選ぼう、と思うのではないか。とすればどう考えても教育現場に対する介入が行われたことになるだろう。

  今回、文科省からのメールを受け取った教育委員会は、それをそのまま中学に送ることはせず、適切な人選であったこと、生徒や保護者など、参加者の反応はポジティブなものばかりであったことなど、毅然とした回答を文科省に送付したという。監視による威圧に屈しなかった態度は立派だ。

 それにしても、自民党議員の照会に応じてメールを送った文科省にはあきれるばかりだ。「現場にプレッシャーをかけた認識はない」などと弁明せずに、教育とは「不当な支配に服することなく」行われるべきであると定めた教育基本法に自ら反する行為であったと、重く受けとめてほしい。そして私たちもまた、現代のパノプティコンに閉じ込められている可能性を考え、知らないうちに萎縮したり、強いものに服従したりしているのではないか、と顧みてみたい。


  だんだんと委縮した社会へと傾き始めている。差別・ヘイト・パッシング。なんともおぞましいのは「被害者」への攻撃。

 桜の花のたよりが届いています。こちらの雪も半分くらいになったようです。今年の雪解け、急速に進みます(いまのところ)。

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またも自民議員による教育への介入

2018年03月29日 | 社会・経済

足立区立中学の「妊娠防ぐための性教育」に自民党の都議が圧力! 背景に安倍首相と一派の性教育否定思想

   リテラ  2018.03.29.

 

 この国はどこまで逆走していくのだろうか──そう思わずにはいられないような事態が起きた。

 東京都足立区の区立中学で3年生の生徒を対象に行われていた性教育の授業に対し、都議会議員が「問題ではないのか」と指摘。それにより授業内容を調査した東京都教育委員会から区教委に対して指導が行われると報道されたのだ。

 この授業が問題とされたのは「性交」「避妊」「人工妊娠中絶」という言葉を使い、説明した点にあるという。これらの言葉は中学の学習指導要領にはないもので、都教委は「高校で教える内容だ。中学生の発達段階に応じておらず、不適切」(2018年3月23日付朝日新聞デジタル)としている。

 区教委側は、問題を指摘された授業は不適切ではないと主張したうえで、「10代の望まぬ妊娠や出産を防ぎ、貧困の連鎖を断ち切るためにも、授業は地域の実態に即して行われ、生徒と保護者のニーズに合ったものだ」(前掲・朝日新聞デジタル)と述べている。

 そもそも、中学生に「性交」「避妊」「人工妊娠中絶」という言葉を使わずに性教育を行って、そこに何の意味があるのか。都教委は「中学生の発達段階に応じておらず」などというが、中学生はほとんどが妊娠可能な年齢にある。そこできちんと「性交」「避妊」を教えないということは、セックスは同意があって初めて成り立つことという基本的な知識はもちろん、正しい避妊の仕方がわからず望まぬ妊娠を引き起こすことになる。むしろ中学から教えることも遅いくらいだ。

 しかし、前述の通り、この授業に対して、都議会議員の呼びかけにより「待った」がかかった。今月16日の都議会文教委員会で、自民党の古賀俊昭都議による「問題ではないのか」との指摘から状況が動き出したのだ。

 ここで古賀都議の名前が出てきたことで、多くの人から「またか……」との声が漏れた。というのも、古賀都議は、2003年に起きた「七生養護学校事件」でも登場した議員だからだ。

安倍首相は性教育を「カンボジアで大虐殺を行ったポル・ポト派」と

  この問題は、東京都日野市にある都立七生養護学校(現・東京都立七生特別支援学校)で、知的障がいをもつ児童に対して行われていた性教育の授業内容が問題視され、校長や教員らが処分を受けた事件。

  この七生養護学校では、生徒による性的な問題行為が発覚したことを受けて、性器がついた人形を用いるなど先進的な性教育を行っていた。この指導が都議会で問題とされ、石原慎太郎都知事(当時)も「異常な信念を持って、異常な指示をする先生というのは、どこかで大きな勘違いをしている」と答弁するなど大きな問題に発展した。

 そして、古賀都議を含む3人の都議会議員が七生養護学校を視察したうえで「こういう教材を使うのをおかしいと思わないのか」などと学校側を強く非難。結果として、前述したように学校関係者が処分を受ける結果となった。

 また、この動きは東京都だけにとどまらなかった。自民党は05年に「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム」を発足させ、〈「ジェンダーフリー」という名のもと、過激な性教育、家族の否定教育が行われている〉として教育現場への圧力を強めたのだが、そのときの座長は安倍首相だった。しかも、安倍首相は自民党本部で開かれた「過激な性教育・ジェンダーフリー教育を考えるシンポジウム」にてジェンダーフリー推進派について「私はカンボジアで大虐殺を行ったポル・ポト派を思い出す」と無茶苦茶な発言をしている。

 さらにとんでもないのが、安倍首相の側近、山谷えり子参院議員だ。山谷議員は、安倍首相が座長である「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム」の事務局長を務め、オープンな性教育を徹底批判。そして、教育現場は完全に萎縮して性教育を封印した。

その張本人である山谷議員に迷いはない。13年に放送された『ニッポンの性教育』(中京テレビ制作、第51回ギャラクシー賞優秀賞受賞作)の取材で、山谷議員は性教育のあり方について、このような持論を展開しているのだ。

「本当に子ども時代はですねえ、ちょうちょが飛んでいる姿、お花がキレイに咲く姿、昆虫が一生懸命歩いている姿、それで命の尊さというのは私達は十分学んできたんですよね」

 昆虫や植物を見て性を学べ。思わず呆然としてしまう回答だが、ディレクターが「具体的なことは教える必要はないということですか?」と質問。すると山谷は「本当は結婚してからだと思いますね、はい」と答えたのだ。この珍回答には「ちょうちょが飛んでるのは議員の頭の中」と、ネット上でも失笑を買う事態となった。

 前出の古賀都議だって似たようなものだ。彼は「家庭と社会の再生の為、今一度、純潔教育(自己抑制教育)の価値観に回帰すべき」と主張している。だが、インターネット普及以降の世界では子どもたちが日常的に大量の性的な情報に晒されていることや、それらの情報のなかには鵜呑みにしては危険なものも多数含まれているといった「現実」を無視し、正しい知識が得られないことによって不利益を被るのは、他ならぬ子どもたちだ。

 性教育バッシングによって何も教えられなくなった教育現場

  保守的な政治家たちがこのように性教育のバックラッシュを進める一方で、日本の性教育をめぐる状況はどんどん危機的なものになっていった。『こんなに違う! 世界の性教育』(メディアファクトリー)のなかで、教育学者の橋本紀子氏は日本における性教育についてこのように指摘している。

〈日本では02年以降、学校の性教育に対する保守派の「性教育バッシング」が起きており、性教育の内容に対する厳しい抑圧と規制が強まっています。ちなみに、性教育バッシング派は、性器の名称を小学校低学年で教えること、性交と避妊法を小・中学校で教えることなども「過激性教育」として攻撃しています。

 こうした「性教育バッシング」を反映してか、新しい文部科学省学習指導要領でも、小学校はもちろん、中学校でも性交や避妊法について取り上げていません。コンドームこそ登場するものの、それはあくまで性感染症予防の手段としてのみの紹介です〉

 現行の学習指導要領では〈中学生は性行動をしないという暗黙の前提〉(前掲書)が存在しているようで、〈性交、出産場面、避妊については検定教科書には掲載されていません。そのため、「避妊法」を教えているのは約3割でした〉(前掲書)という惨憺たる状況にある。

 今回やり玉に上がった足立区の中学校はそういった状況を鑑みて、それでもなんとか子どもたちのために必要な教育を施そうとしたのだろうが、結果としてこのような展開になってしまった。

 ちなみに、「七生養護学校事件」はその後、元教員や生徒の保護者らが都教委と古賀都議ら3名の都議を提訴。その結果、09年には東京地裁で「都議らの行為は政治的な信条に基づき、学校の性教育に介入・干渉するもので、教育の自主性をゆがめる危険がある」として七生養護学校側が勝訴している。13年には最高裁判所が上告を棄却し判決が確定している。

 このような判決がくだっているのにも関わらず、またもや起きた同じ都議からの教育現場への介入。この状況は看過していいものではない。
(編集部)

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佐川宣寿への証人喚問

2018年03月28日 | 社会・経済

佐川宣寿氏、鼻で笑う場面も… 共産・小池氏の質問に対して〈証人喚問〉

 余裕の笑みか、それとも…

ハフポスト 吉川慧    2018年03月27日

 

 学校法人「森友学園」との国有地取引をめぐる決裁文書改ざん問題で、佐川宣寿・前国税庁長官への証人喚問が3月27日午前、参院予算委員会で始まった。

 共産党の小池晃・書記局長は、2017年の2月〜3月にかけて佐川氏がおこなった国会答弁の根拠を追及。「改ざん前の決裁文書に基づく答弁か」と確認した。

これに対し佐川氏は「書き換えがいつあったのか、どう認識していたのかについては刑事訴追のおそれがあるので答弁を控える」と証言しなかった。

  途中、小池氏の発言を受けて、佐川氏が鼻で笑う場面があった。一方で、小池氏から厳しい質問が続き、淡々と答えてきた佐川氏が補佐人(弁護士)と相談する場面もあった。

 以下、小池氏と佐川氏のやりとり。

 ■小池氏、佐川氏に国会答弁の根拠を尋問するが...

 小池氏:証人にお伺いします。あなたの昨年2月から3月にかけての答弁。あなたが「現場における個別案件」と述べた意味での「現場」ですね。すなわち、近畿財務局と理財局の記録に基づいて答弁を行われたんですね。

 佐川氏:私の答弁の資料は、理財局と近畿財務局の間で連絡を行なってきたものと私は理解しておりました。

 小池氏:ということは、それは改ざん前の文書に基づくということですね。

 佐川:文書の書き換えがいつあったのか、私がそれをどう認識してるのかということについては刑事訴追の恐れがあるので、答弁を差し控えさせていただきたい。

 小池氏:それはおかしいですよ。改ざんについての質問をしているのではない。答弁の根拠は、その当時は改ざん前の文章でしょ。それしかないんでしょ。それをもとにしたんじゃないですか。なんでこんなことが認められないんですか。

 佐川氏:今のご質問ですと、要するに決裁文書がいつ書き換えられたのかという問題と結びつく話だと私は思うんです。そういう意味では、私自身が捜査の対象になってるということでございますので、その点につきましては刑事訴追の恐れがありますので答弁を差し控えさせていただきたい。

 小池氏:私が聞いてるのは、昨年2月から3月にかけての質問(答弁)の根拠は一体なんだったのかということを聞いているのであって、(昨年)4月4日に(決裁文書を)改ざんしたんだってことは、財務省は認めるわけなんですよ。理財局の文書は。だから2月から3月はまだ改ざんされてないんですよ。太田局長(太田充・理財局長)、その当時の決裁文書を前提に答弁書を作るのは基本だと答弁しているんですね。ということは、あなたの昨年2月から3月にかけての答弁は、まさにその当時の決裁文書を前提に行ったんですねと。私は当たり前のこと聞いているですよ。なんかそれ以外にあるんですか。

 佐川氏:太田理財局長の答弁、財務省の調査に基づいてお答えしてるんだと思いますが、それは本当に私自身が、今のご質問ですと、その書き変えられた決裁文書そのものが、いつ私が認識して、書き換えがおこなわれたのかとか、そういうことに直結する問題ですので、そういう意味では私が捜査の対象でございますので答弁を控えさせていただきたい。

 小池氏「決裁文書と正反対のことを答えた」と追及

 小池氏:罪に問われる、要するに自分か訴追おそれがあるから答えないんじゃなくて、都合の悪いことは答えないないっていうだけの話じゃないですか。こんなことをやっていたら、逆に偽証罪で、本人の身分に関わらない証言拒否として、告発しなくちゃいけなくなる。これを拒否するなら。
具体的に聞きますが、私は昨年3月1日〜2日、2日がかりでこの場で証人に質問しました。鴻池議員の事務所の資料を基に、平成27年1月9日に、「財務局が森友学園を訪問したという事実はあるか」と、都合6回聞いている。6回聞いて、証人はこれを否定したんですよ。
しかし、改ざん前の文章には「平成27年1月9日、近畿財務局が森友学園を訪問し、国の貸付額を伝える」とはっきり書いてある。丁寧さを欠いた(答弁)どころか、決裁文書に書いてあることと正反対のことをこの場で答えた。何でそんなことをされたんですか。

 佐川氏:補佐人に助言を求めます。

 (佐川氏、補佐人と相談)

 佐川氏:大変失礼をいたしました。やはりその件は、私自身がその書き換えの経緯、いつ書き換えたとか、そういうことの時期に関わる話でございますので、そこはお答えを差し控えさせていただきます。

 小池氏:委員長、これでは証人喚問の意味がありません。これはね拒否するんだったら、これ以上聞いたって意味ないじゃないですか。私は改ざんについて聞いてるんじゃないんですよ。実際に国会の答弁をどういう根拠でやったか聞いてるんです。これで進めるわけにはいきません。

金子委員長:速記を止めてください。

 (与野党の理事が協議)

 佐川氏:補佐人に助言を求めます。

 金子委員長:速記を止めてください。

 (佐川氏、補佐人と相談)

佐川氏:失礼いたしました。今の委員のご質問は、やはりその(昨年)1月9日の今の委員のご質問があった、その、訪問したとかしないとか、お話でございましたけれども、まさに委員は決裁文書の書き換え前の文書に書いてある話と違うじゃないかという話でございまして。
私自身はその決裁文書に書いてある事実を、決裁前ですね、書き換え前の決裁文書に書いてある事実を、いつ知ったかということそのものは、やはり私自身がその決裁文書にどういうふうに関わったか、いつ認識したのか、経緯はどうかという、まさにそういう問題そのものでございますので。
従いまして、私はいま告発をされている身でございまして、刑事訴追のおそれがあるので答弁を差し控えさせていただきます。

 小池氏:私は改ざんが誰の指示で行われたのか、何のために行われたのかという質問をしているのではありません。改ざん前の決裁文書をもとに答弁をしたのでしょと事実を確認している。
私が質問をした時点では、改ざん前の文書しかないわけじゃないですか。それをもとに答弁したんでしょと。なんで当たり前のことが答えられないんですか。

 佐川氏:お答えします。今の話は、財務省の(太田)理財局長がどういう答弁をしているというご指摘があって、その上でのご質問だろうと思いますが、私自身は理財局の調査について存知ませんし、私自身が(昨年)1月9日についてお答えするのは、決裁前の文書をいつみたかということにそのまま結びつく話でありますので、答弁を控えさせていただいております。

 ■首相官邸との答弁の調整はあったのか

 小池氏:(昨年)2月〜3月にかけて、あなたは何を根拠に答弁をしたんですか。

 佐川氏:先ほどから申しますように、質問通告があり、各原課(部署)が答弁書をつくり、答弁書をつくっていたというのが実態でございます。

 小池氏:各原課の答弁書は決裁文書を基本に作られているでしょ。

 佐川氏:その答弁が本当に決裁文書をもってつくったのか、どういう資料をもとにつくったのか、それは各原課がどういうファクトを確認しながら作ったのかというのは、私自身は答弁書を読んだ後、答弁を申し上げているのでございます。

 小池氏:こんな無責任な話がありますか。いったい何を根拠につくったのかわかりませんと。そこでも部下に責任を押し付けるという議論になっちゃいますよ。

さらに聞きますが、私は予算委員会でこの問題を質問した時は、総理に対する質問として通告をしております。ところが、局長が出てきてね、代わりの答弁をされることが度々あったわけです。

結局、この間の予算委員会での質問について私は全部、内閣官房にも質問通告をしております。当然、あなたの答弁内容は首相官邸とも調整してるということになるんじゃないですか。

佐川氏:先ほども申しましたが、理財局が書かなくてはいけないと答弁は理財局で書いて、それを大臣なり総理にお渡しするということでございますので、調整とかっていうことじゃなくて、そういう個別の案件については理財局が総理ように少し簡単にしたものをお届けするというのは実態だったと思います。

 ■佐川氏、鼻で笑う

 小池氏:実務的な中身じゃないんですよ。極めて政治的な中身の質問なんですよ。これをね、官邸と調整しないで答弁書を作るなんてありえない話じゃないですか。総理と食い違ったらどうするんですか。ぜんぶ理財局でやっちゃうわけですか。そんな無責任な説明が成り立つわけないじゃないですか。

 佐川氏:あのー、何月何日に、現場で、職員と業者とか、相手方と会ったとか会わないとか極めて実務的な話でございまして。そういうものを総理官邸と調整するっていうことは、通常は考えられないわけでございます。

 小池氏:実務的な問題以外にもたくさん質問してるんです。特に昭恵夫人との関わりですね。そして先ほど証人は「答弁にあたって経過は勉強した。一連の書類を読み込んだ。絶えず携行していた」と。ということは決裁文書の中身をよく把握していたはず。先ほど、そうおっしゃったんだから。「一生懸命勉強した」と。

そういう中で安倍昭恵さんの名前が、当時の決裁文書に出てきたわけですね。いつ知ったかは言えないっていうならいいですよ。見た時、いつですか?

(委員会室から笑い声)

(佐川氏、鼻で笑う。笑みを浮かべるも、左手で鼻をこすり我慢している様子)

小池氏:その時に...いや、いや、決裁文書を見た時に安倍昭恵さんの名前が出てると。これは特別なことだという感じを持ちませんでしたか。

佐川氏:質問の趣旨は、決裁文をいつ見たかとおっしゃってるのであって、先ほどから申し上げてますように、そういう決裁前の文書、書き換え前の文章、書き換えた後の文章を、どの時点で見たかということになりますので、その点は先ほどのご質問と一緒だと理解をしてございます。小池氏:いつ見たかって聞いたんじゃなくて。安倍昭恵さんの名前が何度も出てくると。それをいつかの時点ではご覧になったわけでしょ。いつ見たかは言えないっていうんですけど、どこかで見たわけでしょ。その時に、証人はどういう印象を、どう受け止めたんですか。お答えください。

 佐川氏:「いつ見たとは聞いてはいないが、いつか見たんでしょ」というのは、やっぱり「いつ見たのか」というご質問でございますので、それはもう見たのか見ないのかというご質問でございますから、私自身が書き換えられた文書をいつ認識したのかという問題そのものでございますので、その点については先ほどのご質問と一緒でございます。

(委員会室、ざわつく)

 金子委員長:静かに、静粛に願います。時間止めてください。

 (与野党の理事が協議)

 佐川氏:大変恐縮でございますが、まさに書き換えが行われた決裁文書に関わる問題ですので答弁を差し控えさせていただきたい。

 小池氏:これでは証人喚問の意味は全くありません。訴追の恐れがあるって事以外のことだって、全部答えないんですよ。私はこの証人喚問で終わりするわけには絶対行かないと思います。

佐川さんだけじゃなくて安倍昭恵さんを含めて野党が要求してる証人喚問をすべてやる以外に解決の道はないと申し上げて尋問を終わります。

*****

古賀茂明氏が見た佐川喚問 「証言が本当なら独裁の証し」

  日刊ゲンダイ 2018年3月28日

  森友学園への国有地貸与と払い下げに関する財務省の「決済文書」改ざん問題。「首相官邸の指示はなかった」と最後まで“忖度”した格好の当時理財局長だった佐川宣寿前国税庁長官(60)。27日に行われた“忖度”証人喚問に何を感じたか。元経産官僚の古賀茂明氏に聞いた。

     ◇  ◇  ◇

  予想されたことですが、自民党側はうまく佐川氏の証言を使って、安倍夫妻や官邸の関与はなかったという印象づくりに成功したと思います。自民党の丸川珠代参院議員が総理、官房長官、財務相の指示がなかったかと畳み掛け、否定答弁を引き出すという“あうんの呼吸”でうまくやりました。

  一方で追及する野党は質問時間が短すぎるのに、バラバラにやったのが印象的でした。

 今の政治状況は完全に事実上の独裁が成立しています。独裁の意味とは民意のチェックを受けない独裁者がやりたい放題をやる、悪いことでも平気でやってしまうという意味もあるのですが、もっと問題なのは独裁者が指示をしなくても周りが意をくんで、忖度し、勝手に現場が悪いことをしてしまうことです。独裁者は何も手を染めていない。だから真相が見えてこない。もし、佐川氏の証言がすべて本当なら、まさに今がそういう状況であるということの証しになるのではないでしょうか。

 安倍政権の倫理観はものすごくて、直接的な指示のような、決定的な有罪の証拠がない限り何をやってもいいという感覚になっている。だから、どんなに行政の信頼を損ねても悪びれもしないのです。これではいくら証人喚問をやっても値引きや文書改ざんの真相、責任の所在は明らかにならない。

 今の政治の仕組みは安倍首相が何を言おうが言うまいが、安倍一強で下の者は逃げ道がない。安倍首相の意向に沿って動くしかない。恐怖政治のような状況です。

 その仕組みを変えるためにはマスコミの力が大きいのですが、そのマスコミ、特にテレビ局が権力に抑えられています。

 私が2010年に現職の官僚として国会に呼ばれて当時の政権の政策について質問されました。その時、思いっきり政権を批判し、その後に、仙谷官房長官(当時)に“恫喝”されたのですが、官房長官が逆に陳謝に追い込まれました。この時はマスコミが特集を組んだりしてくれて徹底的に支援してくれたからです。

しかし今は、こんなことは起きません。官僚が自分が正しいことをすれば勝つ状況ではありません。それどころか、役人人生が終わり、さらに退職後も個人攻撃などで潰される。だから安倍首相に逆らえない。それなら、いっそのことすり寄った方が得だとなってしまう。官僚にはそれ以外に逃げ道がありません。

 安倍首相は官僚には「情報公開や文書の管理はしっかりやってください」と言いますが、要は「俺に迷惑かけるなよ」と言っているようなものです。

 今回、安倍政権が逃げ切ったとしたら、いくら綱紀粛正、官僚の襟を正すと言っても絶対にできません。安倍忖度が蔓延、加速化し、安倍すり寄り政策、行動が増えるでしょう。それを変えるためには一回リセットして、政権を変えるしかない。恐怖政治を葬り去らない限り、行政の崩壊は止まらないと思います。

 こが・しげあき 1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官。現在、フォーラム4代表。古賀茂明政策ラボ代表。主な著書に「日本中枢の崩壊」「日本中枢の狂謀」(ともに講談社)、「国家の共謀」(角川新書)、「THE 独裁者 国難を呼ぶ男! 安倍晋三」(ベストセラーズ・望月衣塑子との共著)など。

 

 

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「お花見」の経済波及効果

2018年03月27日 | 社会・経済

中国人観光客を締め出しても、「日本の花見文化」が守れない理由

   ITmedia ビジネスONLiNE  2018/03/27 [窪田順生ITmedia]

   桜が咲いたとか、いやまだ咲かない、なんてニュースが連日報じられているなかで、日本経済を左右するような驚愕(きょうがく)の調査結果が出たことをご存じだろうか。

 これまであまり真剣に論じられることがなかった「お花見」の経済波及効果、つまり「サクラノミクス」とでもいうべきものが、実は東京五輪開催に匹敵するほどの、6517億円というすさまじいポテンシャルを有していることが明らかになったのだ。

 これは関西大学・宮本勝浩名誉教授が初めて算出したもので、内訳としては、日本人約6000万人が出掛け、飲食や交通費などで1人当たり4000円を支出し、訪日外国人361万人も「花見観光」をして1日当たり1万6914円を支出すると想定した総額3017億3154万円に波及効果を加えたものらしい。

 よく「五輪を日本経済復活の起爆剤に!」みたいなことを主張するおじさんたちが引き合いに出す「2~3兆円」という経済効果は実は大半は建設バブル。そういう東京限定のハコモノ消費を差っ引いて考えれば、確かに全国津々浦々、老若男女が参加する春の最強イベント「お花見」の方に軍配があがる、というのは容易に想像できよう。

 「よし、そういうことなら日本経済のためにじゃんじゃん飲むぞ!」と張り切って、朝から場所取りをされる方もいらっしゃると思うのだが、実このサクラノミクスには1つ大きな不安材料がある。

 それは「中国人観光客」である。

●サクラノミクスにブレーキをかける「被害者意識」

 なんてことを聞くと、「分かるわ~、あいつら桜の枝を折るわ、ごみを捨てるわとやりたい放題だもんな。心置きなく花見を楽しめるようにマジで入国禁止にして欲しいわ」と大きくうなずいている方もかなり多いだろうが、筆者が言いたいのはそういう話ではない。

 むしろ、そのように花見に訪れる中国人観光客へ向けられる敵意というか、「文化を侵害された」という被害者意識が、サクラノミクスにブレーキをかけてしまう、ということを申し上げたいのだ。

 「ナンチャラ反対!」と声をあげてデモや抗議をしている方たちの主張に耳を傾ければよく分かるように、「被害者意識」は強い排他性・攻撃性に結び付く。(この人は誰をさしてこのようなことを言っているのか?せっかくの論文も台無しだ。ヘイトデモをさすなら理解できるが、一般的な抗議、デモを「被害者意識」と捉える思考もまた大いに問題だ。ーmooru
 
今のように、「中国人観光客から日本が誇るお花見文化を守れ!」という「被害者意識」が強まっていけば、その攻撃性が誰へ向けられるのかというのは自明の理である。

 そんなもん、人様の国にやってきて勝手なことをするあっちが悪いんだからしょうがないだろ、というのが大多数の日本人の感覚だが、外国人観光客側の目線に立てば、これほど理不尽な話はない。

 例えば、なぜ今の時期に中国人観光客が大挙して日本を訪れるのかというと、「日本の桜もわれわれ中国人民のものね」という侵略者のような感覚からではなく、ごくシンプルに日本側が「桜を見に来てね」と誘ったからだ。

 「桜の歴史から花見文化、桜を見ながらの露天風呂、桜餅など、『桜と日本人とのストーリー性を持たせた日本の桜』をテーマに、中国市場や台湾市場を始めとした海外主要国においてプロモーションを実施してきた結果、既に『日本への観桜ツアー』が各国で定着している」(国土交通省「平成25年度観光の動向」より)

 「来てください」と何年にもわたってしつこく誘われたから試しに来てあげたら、行く先々で憎しみの目を向けられ、「お前らはわれわれの文化を壊すためにやってきたのか!」と言いがかりをつけられる。もしご自分がどこかの国でそんな目にあったらどうだろう。帰国をしたら会う人、会う人に「外国人に冷たくて、ロクでもない国だったよ」と悪口を言いまくるのではないか。

 つまり、「悪事千里を走る」のことわざの通り、日本で味わった「お花見トラブル」がSNSなどで拡散され、サクラノミクスはおろか、日本のインバウンド自体もマイナス影響が出る恐れがあるのだ。

●中国人観光客という「新・消費者」

 「中国人なんかに来てもらわなくても日本の花見文化は安泰だ」「そっちの方が観光地が静かになってありがたい」という声が聞こえてきそうだが、残念ながらそれは「日本は神の国だから戦争に負けない」と同じで、ナショナリズムとしては十分理解できるが、現実から目を背けていると言わざるを得ない。

 今回、試算をした宮本氏が、「訪日外国人にも花見が評価されているので当分は増えるだろう」(夕刊フジ3月22日)と未来予測をたてたことからも分かるように、もはや日本経済はインバウンドなくしては成り立たない。「いや、そこは日本人の勤勉さと世界に誇る技術でカバーするさ」と口をとがらせる人もいるが、それは竹やりでB-29に挑むのと同じくらいむちゃなロジックだ。

 ロボットも人工知能(AI)もバイオテクノロジーもどんなに進歩したところで、レストランでメシを食い、店でモノを買って、ホテルに泊まるという「消費者」を生み出すことはできないからだ。人口がフリーフォールのように激減し、年を追うごとに消費者も姿を消していくこの国で、地域経済が生き残っていくにはどうすればいいかをということを冷静に考えれば、外の世界から「新・消費者」を引っ張ってくるしかないのは明らかだ。

 もうお分かりだろう。それこそがサクラノミクスにおける「中国人観光客」なのだ。

 納得できないという愛国心あふれる方も多いかもしれないが、実はそういう方たちが大好きな「古き良き日本人」も、「花見」のように観光名所に集う消費者相手の商売が「内向き」になるとロクなことにならない、ということをよく知っていた。

 それがよく分かるのが、「花見酒」という落語だ。

 2人の男がひともうけするため、向島で花見客に酒を売ろうとした。酒樽を運ぶ途中、休憩をしていたら、1人が相方に金を払って酒を1杯飲んだ。程なく、相方も酒が飲みたくなり金を払って1杯やった。休憩のたびにそんなことを繰り返しているうちに、向島に着いた頃には酒樽はすっかりカラになっていた。といっても、ただ単に互いに払い合っただけなのでもうけはゼロ――という笑い話である。

●「花見酒の経済」の負のスパイラル

 やはり先人の知恵は偉大というか、実はこの落語、「観光」や「伝統文化」にまつわる経済活動が抱えている問題点を、これ以上ないほど分かりやすく説いている。

 サービスの供給者も客も日本人だけなので、年を追うごとに減少してじわじわと疲弊していく。もうけも減るので、インフラや施設への投資も促進されず、サービスの質も落ちていく、という「花見酒の経済」にありがちな負のスパイラルに陥る。そして最悪、これまで守ってきた「観光資源」や「伝統文化」も維持できなくなってしまう。

 過疎化が進むムラに、どんなに素晴らしい伝統的な技術や文化があったとしても、そのムラに後継者がいなくなればその技術や文化が滅んでしまうのと同じ理屈だ。

 なんてことを言うと必ずといっていいほど、「いくら金のためとはいえ、自国民が苦しみ、その文化に敬意を払わないような連中をもてなすのは間違っている」とか言い出す人もいるが、もしわれわれがそういう主張をしていることを耳にしたら「よく言うよ」と失笑する人たちが実は世界中には大勢いる。

 日本国内のメディアの情報ばかりをみていると、「中国人観光客」のように傍若無人で、いく先々でトラブル続発の迷惑な人たちなど前代未聞のような印象を受けるだろうが、実はかつてもっとすさまじい人々がいた。

 「日本人観光客」である。

●迷惑を掛けていた日本人観光客

 詳しくは、過去記事を読んでいただきたいが、実はアジア圏における「元祖・迷惑外国人観光客」といえば、われわれ日本人だったのだ。

 ブランドショップで女子大生が「爆買い」し、遺跡や教会に平気で落書きした。ざんげをしている人にフラッシュを浴びせて神父さんに怒られる人や、交通機関に並ぶ地元民の列に横入りして、札束で「いい席にしてくれ」と交渉する農協のツアー客みたいな人もよくいた。

 今でこそ日本人がわがもの顔で英語を話さずとも遊べると人気のハワイでは、日本企業がワイキキあたりの不動産を「爆買い」した。そのすさまじい勢いに、当時の市長が本気で「このままではハワイは日本に乗っ取られる」と心配したほどだ。先住民からも「日本人はもう来るな」という怒りの声が上がった。先祖代々の聖地に日本のツアー客がズカズカと入りこんで好き勝手やったからだ。反対運動も起きて、日本人観光客をどうすべきか、という国際会議が開かれたこともある。

 ジャパンマネーの強さを武器に、まるで国内観光のようなノリで世界を駆け巡る。そんな日本人観光客のやりたい放題を『TIME』誌では、「世界の観光地を荒らすニュー・バーバリアンたち」と特集した。

 こういう耳の痛い話をされると、ほとんどの日本人は「まだ海外旅行に慣れてなかったんだ」と言い訳をするが、実はいま、日本のメディアが鬼の首をとったかのように大々的に取り上げる「迷惑な中国人観光客」という問題も、その一言で解決できる。

 かつて野蛮人扱いされながらも徐々に外国人観光客としての立ち振る舞いが身に付いたわれわれのように、中国人観光客も、海外旅行の機会が増えて、異国文化に対する理解が深まれば当然、立ち振る舞いも変わっていく。つまり、日本における中国人観光客のマナー問題というのは、その数が増えていけばいくほど解決されていくものなのだ。

●日本人の花見も「乱痴気」だった

 いや、日本人と中国人では「民度」が……とか言い出す人もいるが、「日本人は行儀が良くて、奥ゆかしい」みたいなセルフイメージはせいぜいこの20年くらいでつくられたものにすぎない。むしろ、ハメを外す時は周囲がドン引きするくらい暴走をする、というのが日本人の伝統なのだ。

その象徴が実は「花見」だ。1899年(明治32年)から1914年(大正3年)まで中国・長江に滞在していた帝国海軍・桂頼三の『長江十年:支那物語』のなかで、中国で「飲む、食ふ、歌ふ、三昧や太鼓の楽隊入りの大騒ぎ、果ては踊る、舞ふ、跳る」という「日本式花見」をおこなう日本人たちの「乱痴気」や「狂ひ廻はる有様」を、支那人や西洋人が珍しそうに眺めていたと記述してこのように述べている。

 「世界人種の展覧會場たる上海の地に於て、斯く迄に無遠慮なる誤發展には、流石に吾人も少々赤面の至りである。蔭ではあたりまえとすることでも、人の見る前でははづかしいこともあるからなあ」(P147)

 いまの日本人は「花見」を「世界に誇る」みたいにやたらと美化したがるが、この当時は、異文化の人たちから見ると明らかに「異常な乱痴気騒ぎ」だったのだ。


 夕方見に行くと出始めていました。白樺樹液です。

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「政治的公平」(放送法第4条第1項第2号)規制の撤廃案

2018年03月26日 | 社会・経済

テレビ報道が激変するかという緊急事態なのにニュースで伝えないテレビ各局

   YAHOO!ニュース 個人 水島宏明  2018.03.22

 水島宏明  | 上智大学教授・元日本テレビ「NNNドキュメント」ディレクター

1957年生まれ。東大卒。札幌テレビで生活保護の矛盾を突くドキュメンタリー『母さんが死んだ』や准看護婦制度の問題点を問う『天使の矛盾』を制作。ロンドン、ベルリン特派員を歴任。日本テレビで「NNNドキュメント」ディレクターと「ズームイン!」解説キャスターを兼務。『ネットカフェ難民』の名づけ親として貧困問題や環境・原子力のドキュメンタリーを制作。芸術選奨・文部科学大臣賞受賞。2012年から法政大学社会学部教授。2016年から上智大学文学部新聞学科教授(報道論)。放送批評誌「GALAC」編集長。近著に「内側から見たテレビーやらせ・捏造・情報操作の構造ー」(朝日新書)、「想像力欠如社会」(弘文堂)

 

   3月15日(木)、テレビやラジオの民放局やNHKなどの様々な職場はひとつの配信記事で騒然としていました。

  共同通信が報道した、安倍政権による放送法改正を骨子とした放送制度の改革をめぐる方針案についてのスクープ記事のコピーがあちこちの職場に飛び交っていました。

 その共同通信の記事は、放送法に定められている「政治的公平」(放送法第4条第1項第2号)の規制を撤廃するという政府の方針案が示されていたのです。

 現在日本ではこの条文があるために政治色が強い放送は禁止されています。それは放送法第4条に「政治的に公平であること」という文言があるからです。それぞれの放送局や番組によって、多少の濃淡はあるにしても、日本では選挙の際に放送局が特定の政党や候補を支持するような意見表明を行うことはありません。これに比べるとアメリカでは大統領選挙の前になるとテレビ局が「うちの局は大統領選挙でトランプ候補を支持」とか「クリントン候補を支持」などと主張します。これは日本と違って、「政治的公平」の条項がかつてはあったもののその後に廃止されたからです。

 トランプ大統領がCNNテレビを「フェイクニュース」だとこき下ろし、右派のテレビとされるフォックステレビがトランプ氏寄りの報道を繰り返していますが、共同通信がスクープした通りだとすると、アメリカのようにもっと「自民党寄り」「安倍政権寄り」という露骨な放送局が登場する可能性が出てきます。

  共同通信の記事を見てみましょう。

 政治的公平の放送法条文撤廃(共同通信・3月15日)

 党派色強い局可能に

 安倍政権が検討している放送制度改革の方針案が15日、明らかになった。テレビ、ラジオ番組の政治的公平を求めた放送法の条文を撤廃するなど、規制を緩和し自由な放送を可能にすることで、新規参入を促す構え。放送局が増えて、より多様な番組が流通することが期待される一方、党派色の強い局が登場する恐れもあり、論議を呼ぶのは必至だ。

 共同通信が入手した政府の内部文書によると、規制の少ないインターネット通信と放送で異なる現行規制を一本化し、放送局に政治的公平などを義務付けた放送法4条を撤廃するとともに、放送に認められた簡便な著作権処理を通信にも適用する。 出典:共同通信社 公式ホームページ

   日本の放送局(テレビ・ラジオ)にとってはこれまでになかった大きな制度の転換が行われることになります。たとえば、テレビ報道でも記者たちは「政治的公平」をいつも念頭において取材をして、報道してきたわけですが、それが根本から崩れてしまうことになります。

 この共同通信のスクープが配信された時、私はたまたまある民放のテレビ局を訪れていました。旧知の幹部と雑談していた時にその幹部が記事のコピーを見せてくれて「大変な時代がやってくるなあ・・・」とつぶやきました。それはよく考えれば当然のことです。

 たとえば、2017年1月にTOKYO MXテレビが放送した「ニュース女子」という持ち込み番組で、沖縄の米軍基地反対派の人たちが「外国人の勢力にお金で雇われたような動員された活動家ばかりで救急車の通行も妨害している」というようなデマが放送されたことが大きな社会問題になりました。

   この番組は当時、CSチャンネルやインターネットでも配信されましたが、地上波放送のTOKYO MXで放送されたことで問題化しました。

 放送番組の倫理をチェックする放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は、は担当者にヒアリングをしたり、現地調査まで行った上に「重大な放送倫理違反」があったという判断を示しました。

  この意見書の中には、事実に基づかない論評や誹謗中傷もあるインターネットとは違って、放送はより吟味されたメディアだとして以下のような記述があります。

   これに対して、放送では、番組制作にあたり、取材による裏付けを欠かさないこと、節度ある表現を保つことなどが求められているうえ、放送倫理を守っているかどうかを放送局自身がチェックする仕組みもある。

  だからこそ、放送局の考査というセクションが“放送の自主・自律を守る砦”であり、多メディア社会における“放送の矜恃を守る砦”だと記しています。

 共同通信のスクープ記事は、そうしたものでこれまで守られてきた放送の「砦」が、政権の制度改革でネットと変わらないものになってしまい、大きく揺らぎかねないという危機的な状況にあることを伝えています。

 だからこそ、3月15日日中、私が訪れた民放局の幹部も青ざめた顔をしていたわけです。

 この共同通信の配信記事は、北海道新聞や徳島新聞、東京新聞などで一面トップなどで大きく扱われました。

 ところが、同日夕方のニュースや夜のニュースを見ると、驚くことにこのニュースを民放、NHKともまったく放送しませんでした。

 共同通信のスクープを後追いしても、同じような報道を裏づける取材ができなかったということでしょうか。

   全国紙では読売新聞だけが数日後にこの問題を一面トップで扱い、その後も比較的熱心に報道しています。

  3月18日の記事では以下のように解説しています。

 首相、批判的報道に不満か…放送事業の規制緩和

 安倍首相が目指す放送事業の見直しは、放送法4条などの規制の撤廃が目玉となる。背景には、首相に対する批判的な報道への不満があるようだ。

 今回の規制緩和は、AbemaTVに代表されるような「放送法の規制がかからないネットテレビ」(首相)などの放送事業への参入を狙ったものだ。首相は衆院選直前の昨年10月、AbemaTVで1時間にわたり自説を述べた経緯もある。政治的中立性の縛りを外せば、特定の党派色をむき出しにした番組が放送されかねない。

 ネット事業者などに放送事業の門戸を開放すれば、地上波キー局をはじめとする放送事業者の地盤沈下につながる。首相の動きに、放送業界は「民放解体を狙うだけでなく、首相を応援してくれる番組を期待しているのでは。政権のおごりだ」と警戒を強めている。 出典:ヨミウリ・オンライン(3月18日)

  続いて、3月21日の記事です。

    安倍首相が目指す放送事業見直しを巡り、政府内で賛否が割れている。

 規制改革を所管する内閣府が前向きなのに対し、放送事業を所管する総務省は慎重だ。

 放送事業見直しは、政府の規制改革推進会議(議長・大田弘子政策研究大学院大教授)のワーキンググループで議論が進んでいる。梶山規制改革相は20日の記者会見で「幅広く関係者からヒアリングしている。これからの議論を踏まえて、会議で改革の方針について検討される」と述べた。会議は月末にも開かれ、見直しの方向性が固まるとされる。

 首相は政治的公平性などを定めた放送法4条の規制撤廃で、インターネットなどの通信業務とテレビ・ラジオ局などの放送業務の垣根をなくそうとしている。  出典:ヨミウリ・オンライン(3月21日)

   しかし、その後もテレビ各社のニュース番組を見ても、この問題を報道している局や番組はありません。

 自分たちの報道が大きく変わるかもしれないという事態なのに、なんという危機感の欠如でしょうか。

  しつこいようですが、繰り返します。

 放送というメディアが大きく、変質しかねない事態です。

これはどの放送局にとっても重大な変質を迫られる問題です。

 私たち国民にとっても、見ているテレビ局が「安倍さん寄りチャンネル」「枝野さん寄りチャンネル」「志位さん寄りチャンネル」などになってしまうかもしれないという局面です。少なくとも私は、そんなふうにしてテレビは見たくありません。テレビはもっと取材者が自由に取材して報道していくもの。これが大事だと思う問題意識を深めた報道をしてほしいものです。政治色を意識してチャンネルを変えるなんて、自分はやりたくはありません。もっとテレビの報道者たちを信頼して視聴したいと思います。

 今、わかっていることだけでもきちんと経過を伝えてほしい。

 それをしようとしないテレビ各局の姿勢に不安を覚えてしまいます。

 今回の共同通信の記事を受けて、テレビ関係者の中には「政権の改革案をそのまま進めれば、まっとうなテレビ局が『ニュース女子』のように根拠が不確かな放送をするようになってしまう」と危惧する声が広がっています。ところがそうした危機的な状況だということがテレビの人たちから視聴者に知らされてはいません。

 自分たちの仕事のあり方にかかわる問題なのに、だんまりを決め込んだように伝えない現状では、もしも政治的な党派性を出すことが可能な制度になってしまったらどうなるのでしょう。みんな忖度チャンネルだらけになってしまうのではないか。そんな危機感を覚えます。

 放送法の「政治的公平」撤廃を検討 政府、新規参入促す

 放送番組の「政治的公平」などを定めた放送法4条の撤廃が、政府内で検討されていることがわかった。放送の自律を守るための倫理規範とされる4条は、戦後に同法ができて以降、番組作りの大原則となってきた。インターネットテレビ局などが放送に参入する際の壁を低くする狙いとみられるが、政治的公平性が損なわれ、番組の質も下がるといった懸念が出ている。

 政府内でまとめられた文書「放送事業の大胆な見直しに向けた改革方針」によると、「コンテンツ産業における新規参入・競争」を進めるとして、「放送にのみ課されている規制(放送法第4条等)の撤廃」などを明記。「放送業界の構造改革を進め、放送と通信の垣根のない新しいコンテンツ流通環境を実現」するとした。NHKについては「放送内容に関する規律は維持」するという。

 4条を撤廃した場合、民間放送は政治的公平性や事実関係に配慮せずに番組を放送することが、理屈の上では可能になる。

 このため、放送を所管する野田聖子総務相が22日の衆院総務委員会で撤廃などについて問われ「4条は非常に重要で、多くの国民が今こそ求めているのではないか。(4条が)なくなった場合、公序良俗を害する番組や事実に基づかない報道が増加する可能性が考えられる」と述べるなど、政府内にも異論がある。日本民間放送連盟内からは「極端に政治的に偏った局ができる可能性がある」といった懸念の声も出ている。

 (朝日新聞デジタル 2018年03月24日

       *****

ワンセグ受信料にNHK契約義務 埼玉・朝霞市議、逆転敗訴

   道新 03/26

   テレビを視聴できるワンセグ機能付きの携帯電話を持つと、NHKと受信料契約を結ばなければならないかどうかが争われた訴訟の控訴審で、東京高裁(深見敏正裁判長)は26日、契約義務はないとした一審さいたま地裁判決を取り消し、埼玉県朝霞市議の男性を逆転敗訴とする判決を言い渡した。

 ワンセグの受信料を巡る同種訴訟は5件あり、一審でNHKが敗訴したのは今回の訴訟だけだった。二審判決は東京高裁で2件出ており、いずれもNHK勝訴とした。

 放送法は、受信機を設置した者は契約を結ばなければならないと規定。2016年8月の一審判決は「設置に携帯の意味を含めるのは解釈上相当の無理がある」と述べ、携帯電話の携帯は「受信設備の設置」に当たらないと判断した。

 一審判決によると、男性は自宅にテレビを置いておらず、ワンセグ機能付きの携帯電話を所有しているものの視聴はしていないとして、契約を結ぶ義務がないことの確認を求め提訴した。


1日中天気は良いはずだったのだが午前中は曇り、ようやく昼すぎて太陽が顔を出した。
 白樺の樹にドリルで穴開け。
 

 

カバノアナタケ

 ホースを差し込んではみたがまだ出てこない。まだ雪解け水が大地まで届いていないようだ。雪解け水を吸い上げて出てくるのが樹液だ。

 

 

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銃規制デモに80万人 & 雪割り

2018年03月25日 | 社会・経済

2018.3.27追記

37日間で73人、10代の若者たちが銃の犠牲に。フロリダ乱射事件後も続く、アメリカの悲劇

それを変えようとしているのも、同じ十代の若者たちだ

  ハフポスト  Nick Wing  2018年03月26日

   アメリカ中西部のインディアナ州サウスベントに住む17歳、デークワン・トバーさんの人生は始まったばかりだった。アイコンタクトの仕方やしっかりした握手、自信のある話し方など、大人の世界で必要な流儀を学び始めていた。

「卒業したら溶接工の仕事に就きたいと考えていた」とデークワンさんの家族は話す。そのために、履歴書の書き方を教えてもらっていた。周りの人たちは、デークワンさんが自分らしく活躍することを願っていた。

しかし2月17日、デークワンさんは銃弾に倒れた。昼間、祖母と一緒に買い物をして自宅に戻る途中に、足と臀部と頭部を撃たれ、命を失った。

   2018年に入ってサウスベンドで銃の犠牲になった17歳は、デークワンさんで3人目だ。

  「多くの人が、ささいなことですぐにカッとなるように感じています。そんな時にたまたま、弾を入れた銃を持っていたら、使ってしまう」とデークワンさんの追悼会を開いたマイケル・エリオットさんは地元のテレビ番組WNDUで語っている。

 ■フロリダの銃乱射事件の後も、悲劇は続く

  フロリダ州パークランドのマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校で17人が犠牲になる銃乱射事件が起きたのは2月14日。その後、同高校の生徒を中心に、銃規制を求める大きなムーブメントが起きた。

   しかし、アメリカの銃撃事件を追跡するNPO「銃暴力アーカイブ」のデータベースによると、事件後の37日間で、少なくとも73人のティーンエイジャーが銃で命を失った。毎日2人のティーンエイジャーが殺されている計算になる。銃暴力アーカイブはメディアの報道を元に情報を集めているので、データに含まれていない犠牲者がいる可能性もある。

 16歳の誕生日に、ケイドン・ヴァーグさんは、銃を誤って撃ち亡くなった。

 15歳のジェイ・ダイアズさんは、銃を掃除していた家族が誤射して亡くなった。ジェイさんは幼児期にがんを経験したがんサバイバーだった。

 18歳のエイリーン・ヴィヴェロス-ヴァーガスさんは妊娠中だった。ボーイフレンドが殺したとみられている。

 17歳のコートリン・アリントンさんは、同じ高校に通う生徒から学校で撃たれた。

 14歳のクリストファー・ラックマンさんと12歳の弟は、父から撃たれた。警察は無理心中だったと考えている。

 名前のわかっていない17歳の生徒は、高校のトイレで自死した。

   全ケースの詳細を把握できているわけではないが、事件の多くが都市部に偏っている。また、73人という数字には、13歳未満の犠牲者や銃で負傷した人は含まれていない。

   ストーンマン・ダグラス高校の生徒たちは、3月24日に銃規制デモ「マーチ・フォー・アワ・ライブス(命のための行進)」を実行。アメリカだけでなく世界中で多くの人たちが、彼らに賛同してデモに参加した。彼らは今、根深い銃の問題にどう対処すべきかを探っている。

   ストーンマン・ダグラス高校のような郊外の裕福なコミュニティでは、銃にまつわる議論は、学校の安全性確保や、セミオートマチック・ライフルのような高度な銃の使用に注目が集まりがちだ。
しかし、有色人種のコミュニティ、特に黒人のコミュニティでは銃問題は日々の現実だ。

   事件の後、ストーンマン・ダグラス高校の生徒たちはシカゴの学校の生徒たちと、銃問題にどう対処すべきか話し合った。生徒たちは、メディアが取りあげる銃問題は「人種に偏りがある」として、貧しいコミュニティや有色人種のコミュニティの、声なき犠牲者を取りあげるよう求めた。

   「私たちは今こそ白人の特権を利用して、全ての銃による犠牲者、私たちのようには耳を傾けてはもらえない犠牲者たちの声が届けられるようにしなければいけない」とストーンマン・ダグラス高校の生徒、デヴィッド・ホグさんは言う。

   銃のせいで、短すぎる生涯を終えなかったデークワン・トバーさんのような犠牲者たち。今、彼らの声を社会に届けているのは、ホグさんのような若者たちだ。

 ハフポストUS版の記事を翻訳しました。

 

銃撃を生き延びた高校生は、スピーチ中の「長い沈黙」で世界の心をつかんだ。

   それは、どんな言葉よりパワフルだった。

  ハフポスト 2018年03月26日 南 麻理江

 全米で100万人以上の生徒・教師らが参加した、銃規制デモ「MarchForOurLives(命のための行進)」。

 フロリダ州・パークランドの高校の銃乱射事件を生き延びたエマ・ゴンザレスさんが3月24日、ワシントンD.C.に集まった人々の前でスピーチをした。銃規制に取り組まない政治家たちを一喝し、世界的な注目を集めた彼女。銃規制運動の中心的存在として「TIME誌」の表紙も飾った。

  この日、彼女は「6分と約20秒。この6分ちょっとの時間に、17人の友の命が奪われました」とスピーチを始めた。そして、事件で亡くなった17人、ひとりひとりの名前を読み上げた後、沈黙した。

あまりにも突然、まったく予期せぬ形で、被害を受けた17人の犠牲者たち。

彼らは、それまで当たり前のようにしていたことが「二度と」できない。

「友人のカーメンは、もう二度と、ピアノの練習をしたくないと愚痴ることはない」

「アレックスは、彼の兄弟のライアンと一緒に登校することはない」

「スコットはキャンプでキャメロンと冗談を言い合ってじゃれることはない」

二度とできない。もう二度と...。

ゴンザレスさんは17人の名前を全て読み上げた後、急に沈黙した。

語ることをやめ、前をしっかりと見つめる。

その頬を涙がつたった。

沈黙が長引くにつれ、聴衆に戸惑いが生じてきた。「一体何が起きてるのだろう」

にわかに「Never again(二度と起こしてはならない)」のコールと手拍子が巻き起こる。

しかし、彼女はそれでも口を開かない。

「何が起きてるんだろう...」。会場も再び静けさを取り戻す。

あまりにも長い沈黙。緊迫感が最高潮に達した時。

「ピピピ......」

タイマーのアラームが鳴り響いた。

「私がここに出てきてから、6分20秒が経ちました」

17人の命が奪われた時間。耐えがたいその重みを、ゴンザレスさんは「沈黙」で伝えた。

そして、彼女が次のようにスピーチを締めくくると、聴衆からは割れんばかりの歓声が上がった。

「どうか、自分の人生のために闘ってください。それが他人の手に委ねられる前に」

2018.3.26追記

銃で撃たれ、友達も殺された女子高生、おう吐しながら銃反対のスピーチをやり遂げる

「世界中に中継されてるテレビの前で吐いちゃった。これって、最高の気分よ」

 全米で3月24日にあった、100万人以上の生徒・教師らが参加した銃規制デモ「MarchForOurLives(命のための行進)」。17人が命を落とした、フロリダ州・パークランドの高校の銃乱射事件を生き延びた、サム・フエンテスさんの力強いスピーチに世界から賞賛が集まっている。

「ハリー・ポッター」の著者、J.K.ローリングさんは、次のようにツイートした。

「銃で撃たれ、友達の死を目の当たりにした。何百万の前に立ち、吐いてしまった。でもそれを笑い飛ばして、最後までスピーチした。サム・フエンテス、もう言葉が見つからない」

  この日、壇上にあがったフエンテスさんは「今日、私は自分のためではなく、あなた方のためにここにいます。あなた方が教室で銃に撃たれるかもしれない恐怖を味わわないように。隣にいる親友が亡くなるのを見るかもしれないって不安にならなくていいように」と話し始めた。

 高校生が中心となって、全米に大きなムーブメントを起こしている銃規制の呼びかけだが、フエンテスさんは"大人"たちの力が不可欠だと訴えた。

「法律家や政治家は、銃が問題なんじゃないと言う。でも、私の目を見て...」

そう強い口調で語った直後、彼女は後ろを向き、嘔吐してしまった。

聴衆はざわつき、心配そうな顔をしながら、彼女を励ます声をあげた。

しかし数十秒後、マイクの前に戻ってきたフエンテスさんは、笑顔で一言。

 「全世界に中継されてるテレビの前で吐いちゃった。これって、最高の気分よ」

聴衆は大歓声を上げた。フエンテスさんはスピーチを続ける。

「禁止しろって頼んでるわけじゃない。歩み寄ろうって言っているんです。信条や肌の色を忘れて、お互いを救おう」

 「私たちの使命はシンプルです。私たちの野望は絶対に曲げられない。間違った人たちの手から銃を離そう。それらを安全で、分別のあるところでちゃんと管理しよう」

フエンテスさんは、今こそどうすべきか選ぶ時だと呼びかけた。

そして彼女は、本当ならこの日に誕生日を迎えるはずだった、亡くなった同級生のために「ハッピーバースデー」を歌った。

「私の目の前で亡くなったニックのために、一緒に歌ってほしい」。

聴衆たちは涙を流しながら、ハッピーバースデーを歌った。

 

「6分20秒で、17人の友人が奪われた」
銃規制デモに80万人、
高校生が惨状を訴えた。

 全米各地や海外でデモの動きが広がっています

朝日新聞 2018年03月25日

 「どうか撃たないで下さい」というプラカードを掲げ、「私たちの命のための行進」に参加した高校生たち=24日、ワシントン、ランハム裕子撮影

 

 「6分20秒間で...」若者ら演説 銃規制行進に80万人

  米フロリダ州の高校での銃乱射事件を受けて、高校生が呼びかけた「私たちの命のための行進」が24日、首都ワシントンで開かれた。NBCテレビによると約80万人が参加。全米で約800カ所、欧州やアジアなどでも集会が開かれ、銃規制と学校の安全を訴えた。

 ワシントンでは、連邦議会前の大通り約1キロがプラカードを掲げた群衆で埋まり、周辺の道路にあふれ出した。特設ステージでは、事件のあったマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校の生徒や、銃で家族を亡くした若者たちが次々と演説した。

 同校生徒のエマ・ゴンザレスさん(17)は「6分20秒間で17人の友人が奪われた」と話し、犠牲者の名前を読み上げた後、突然口をつぐんだ。約4分半、ゴンザレスさんが涙を流しながらまっすぐ前を見つめる間、会場からは「Never Again」(二度と起こさない)の合唱が起きた。アラームの音が鳴り、ゴンザレスさんが再び語り出したのは、登壇してからちょうど6分20秒後。「誰かに任せる前に、命のために闘おう」と訴えた。

  会場では11月の連邦議会の中間選挙や2020年の大統領選挙を見据えて、ボランティアが若者に有権者登録を促した。同校のキャメロン・キャスキーさん(17)はステージで「政治家は我々の声を代弁するか、さもなければ退場して。選挙が近づいていることを知って欲しい」と話した。

 ヘイディ・アルバレスさん(16)は2012年に乱射事件があったコネティカット州の街からバスで6時間かけて来た。

 「(12年の事件は)みんなのトラウマになっている。でも、悲劇は何度も起きている。やることは分かっている。銃の規制を厳しくすること。長い時間がかかるが、今行動しなければならない」と話した。

 この日、トランプ大統領はフロリダ州の別荘に滞在。ホワイトハウスは「勇気のある若い米国人が(表現の自由を定めた)憲法修正第1条を行使することをたたえる。子どもの安全を守ることが大統領の最優先事項だ」との声明を出した。(ワシントン=香取啓介)

■「次は私?」サンフランシスコでもデモ

 ワシントンから遠く離れた西海岸でも各地で「私たちの命のための行進」が行われた。サンフランシスコでは小さな子どもから大人までデモに加わり、市内中心部の大通りを行進した。

 「今日1日で何人が殺された、NRA?」。参加者たちは、銃規制を拒み、政治家に献金を続けるロビー団体NRA「全米ライフル協会」に怒りの声を張り上げながら歩いた。手には段ボール紙などに「次は私?」「もう遺書を書かないといけないの?」などと手書きしたプラカード。

 デモに参加した中学1年のミアさん(12)は「学校に銃を持った人が入ってきて、先生から体育館の壁に隠れるように言われたことがある。学校に行くのを怖がらないといけないなんておかしい」。手には「2024年の有権者」と書いたプラカードを掲げた。

 別の中学に通う1年のデージー・ペリスコットさん(12)も普段から学校で乱射事件に備えた訓練をしているという。「ワシントンの政治家は、もう一度学校を安全な場所にするべきだ。銃規制は一つのやり方だと思う」と話した。(サンフランシスコ=宮地ゆう)


自分の命は自分が守る。
  銃によってか!
  銃をなくしてか!

 きょうもいい天気でした。日中は今年初めてストーブを消しました(事故で何回も消えたが)。

電信柱に雪が一番多かった時の線をクレヨンで書きました。ずいぶん減ったのがわかります。

車より高く積もった雪でした。

雪の中からハーブ、オレガノが出てきました。

そして裏山へ。白樺樹液を採るために、根本の除雪をしてきました。
明日の朝、ドリルで穴を開けてみます。この天気ですから、もう出ているでしょう。

 

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弱者攻撃 & コーヒー粕

2018年03月24日 | 社会・経済

弱者敵視、あおる社会 
生活保護受給者、ホームレス、障害者標的に

    毎日新聞2018年3月22日 

   生活保護受給者やホームレスなど、社会で弱い立場にいる人への攻撃的な空気が広がってきたのはいつごろからだろう。格差社会のもと、経済成長を遮二無二追求する中で、「生産性が低い」ことなどを理由に、排除しようという心理が見え隠れする。【井田純】

   昨年7月の刊行以来、じわじわ売れ続けている翻訳本がある。英国の若手コラムニスト、オーウェン・ジョーンズ氏(33)の「チャヴ 弱者を敵視する社会」だ。今年に入っても版を重ね、すでに5刷。出版した「海と月社」の松井義弘社長は「硬い内容で400ページ近いボリュームにもかかわらず、多くの人に読んでもらえている」と手応えを語る。

  「チャヴ」とは貧困層に対する英国での蔑称で、「粗野」「怠惰」など否定的なイメージをまとった言葉という。同書は、サッチャー政権以後の英国の変化を分析、格差・不平等を正当化しようとする社会を告発する。

 「読者の反応で目立つのは、『とても英国の話とは思えない』『そのまま今の日本だ』という声です」と松井さん。「生活保護」たたき、社会問題を自己責任論で片付けようとする空気、同調するメディア、規制緩和の恩恵が為政者周辺に流れる仕組み--。なるほど他国の話に聞こえない。

 翻って日本。最近の東京都の調査で、アパートを借りられず、ネットカフェなどで寝泊まりする人たちが約4000人に及ぶことが明らかになった。今年2月、この調査を取り上げたテレビのバラエティー番組では、タレントが「(彼らも)ちゃんと働いてほしい」と「自己責任論」を展開した。しかし、都によると、9割近くが働き、中には正社員も含まれており、「自己責任論」に根拠はない。

 昨年末には生活保護受給者を尾行したり、自宅を張り込んだりするテレビ番組が放送されている。タイトルには「ずるい奴(やつ)ら」などの文字も。取り上げられたのは体調を崩して生活保護を受け、回復してまた働き始めた「不正受給者」らだった。

 貧困層を支援するNPO法人、自立生活サポートセンター・もやい(東京都新宿区)の大西連理事長の目には、この番組が「人権感覚上問題がある」と映った。行政側も詐欺罪で告訴しない悪質性の低いケースであるにもかかわらず、自治体担当者とともに、生活保護受給者を追いかけた。

 「弱者敵視」をあおるようなメディアの姿勢について、大西さんは「視聴者に受ける、という判断があるようです。ワーキングプアが社会問題化してきた十数年前は『報道』が扱うテーマだった貧困問題が、今は『バラエティー』のトピックになり、専門家ではなくタレントがコメントする話題になった」とみる。取材を受ける立場でもある大西さんの実感だ。

 大西さんは、こうした社会・メディアの変化と政策の方向性に共通するものを感じる。昨年12月には、政府が生活保護受給額のうち食費や光熱費などを今年10月から3年かけて年160億円(約1・8%)削減する方針を発表した。「安倍晋三政権の弱者へのまなざしには、根本的に冷たいものを感じます。雇用を伸ばし、経済成長を図る考えには賛成ですが、生活保護費の削減はこれに逆行する。弱い立場の権利を守るのではなく、強いものに投資するという考えで、『自己責任論』と親和性が高い」

 「強い国」目指し効率優先

 「これまで建前で抑えてきたものが、こういう空気の中で噴き出してきたのではないでしょうか」。そう話すのは、横浜市で障害者の作業所などを運営する渋谷治巳さん。渋谷さんも脳性まひ者で、介助を受けながら生活している。

 渋谷さんが思い出すのは、一昨年7月に相模原市で起きた「やまゆり園事件」だ。知的障害者福祉施設で元施設職員の男が入所者19人を殺害、26人に重軽傷を負わせた。捜査の過程で、被告は事件前に「障害者を安楽死させるための法制」を訴える手紙を安倍首相に渡そうとしていたことが明らかになっている。

 「新自由主義が目指す『強くなっていく国』では、弱い者は生きづらい。生産性の高い人間を育てたいという社会では、異質なものはいない方が効率がいいという考えが出てくるでしょう。戦時中、養護学校の生徒が学童疎開の対象外になったのは『戦力』にならないからでした。軍事、経済の違いはあっても、ある物差しで命の価値を分けるという点で共通している」

 事件から1年半以上が経過した今、渋谷さんはこんなことを考えている。「もちろん、彼の犯した罪は絶対に許せません。ですが、彼自身もこの社会での強者ではなかった。弱い者が自分で自分を追い込んでいるように映ります」

 2月末、政府の働き方改革関連法案に反対する東京・新宿でのデモでは、こんな話を聞いた。主催団体「AEQUITAS(エキタス)」のメンバーの一人は、街頭で最低賃金の引き上げを訴えていたとき、「給料を上げたら会社がもたなくなる、と言い返された」と振り返る。「給料をもらう側の人が、経営者を代弁するようなことを言うんです」。格差が広がるほど「助けを求めるな、甘えるな」という声が強まるように感じることもある、という。

 若者の労働環境や不登校、引きこもりなどの実態に詳しい関東学院大の中西新太郎教授(社会学)の分析はこうだ。

 「誰かが主張する権利を『特権』に読み替えて攻撃し、自分を正義だと感じる。ヘイトスピーチとも共通する心理です。同時に、弱者を敵視することで『自分は弱者ではない』と思える、という構造があります」。貧困問題に限らず、保育園が足りないと声を上げる人を「産んだ親の責任」と攻撃する人たちが出てくるのも、同様のメカニズムだとみる。

 そんな社会でいいのか。中西さんは「実際には、圧倒的大多数は、富裕層の仲間入りをするより貧困に陥る方がはるかに可能性が高い。正社員でも会社の業績悪化や病気・事故、震災のような自然災害、親の介護など、ちょっとしたきっかけで生活基盤が崩れかねない。弱者をたたくことで秩序を維持しようとする社会はきわめて脆弱(ぜいじゃく)です」。

 今月7日の国会前。森友学園問題の公文書改ざん発覚を受けた安倍内閣への抗議デモの場で、こんなスピーチに共感の声が上がった。「弱い者がさらに弱い者をたたく社会にしてしまったことが許せない」。ごく一部の特別な人たちを除けば、みな弱い立場にあるという事実に多くの人が気づき始めているのかもしれない。


 

   昨日は札幌まで行ってきました。天気も良く、道路はほとんど乾燥。ダウンも置いていきました。さすが、夕方になると外は寒かった。

   週間天気予報から雪マークが消え、真冬日(最高気温もマイナス)も消えました。最低気温はまだ氷点下になる日が4日ほどあります。

 皆さんのブログを見ていると桜のたより、さまざまな花のたよりなど、とてもうらやましい気持ちです。それに、北海道では見られない花々までご紹介いただいて。

 これから融雪剤(コーヒー粕)を撒きます。今年はいつもいただいているレストランが改装のため閉店していたので少ないのです。足りない分はモミガラ燻炭を使います。コーヒー粕には植物の生育阻害成分が入っているということで使わない人もいますが、融雪剤として散布するぐらいの量では何の影響もありません。何せ、タダというのが魅力です。乾かし、保存しておきます。そのとき茶殻なども一緒に乾燥させます。みかんの皮なども乾燥させて混ぜてもいいでしょう。その間に灰色の放線菌が蔓延します。吸い込まないようマスクをしてください。コーヒー粕は焙煎して、炭と同じ多孔性を持ち、微生物の棲家、有害物質の吸着と分解など優れた側面を持っています。カフェイン、タンニンが含まれ、防虫効果も期待できます。ヨトウムシ、根切り虫、センチュウ、コガネムシの幼虫など地中に入り込む虫、ナメクジに効果があるようです。猫の侵入予防にもいいようです。発生した放線菌は、フザリウム菌によるトマト萎凋病(連作障害)を抑制するといわれています。また、発芽阻害物質を含んでいるので、雑草予防にもなります。

   玄関先の小面積には、匂いもいいのでおすすめです。あまり濃く、均一に撒く必要はありません。濃淡をつけてうっすらと撒くとでこぼこになって表面積が増えて溶けやすくなります。

  融雪剤としてではなく、園芸用資材としても活用を考えてみてください。
土の上にばらまいておくだけでいいのです。

UCC珈琲のページ コーヒー粕と農業の関係調査。

https://www.ucc.co.jp/company/research/residue/03.html

ここでは1㎡当たり0㎏、1kg、10kgの調査ですが、実際融雪剤として撒くのは100gにも満たない程度でしょう。

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「生活保護打ち切り」―当事者にもたらす絶望の深さ

2018年03月23日 | 社会・経済

雨宮処凛がゆく!第441回:2018年3月21日

金沢市役所の刺傷事件と、生活保護打ち切り。の巻(雨宮処凛)

   森友文書の書き換え問題でいろいろと大変になっている中、とても気になるニュースを耳にした。

  それは3月14日、金沢市役所で職員4人が刺されたという事件だ。逮捕された33歳の男性は、大声を上げながら3階と5階のトイレなどで4人を次々と襲い、7階で取り押さえられたという。「市の職員だったら誰でもよかった」と話しているという容疑者について、「昨年生活保護を打ち切られ、再び受けられるよう市役所に相談していた」という報道を耳にし、「ああ…」としばし言葉を失った。

  まず思い出したのは、昨年1月、小田原市役所で起きた「保護なめんな」ジャンパー事件(コラム第402回、第403回)だ。生活保護を担当する市の職員が、「保護なめんな」「不正受給はカス」などと書かれたお揃いのジャンパーを着て業務をしていたことが発覚し、大きな批判を浴びた事件。このジャンパーが作られたきっかけは、2007年、生活保護を打ち切られた男性が市の職員を切りつけるという事件が起きたことだった。小田原市ではこの事件を受けて、「サスマタ」や「護身用スプレー」を購入。同時に職員の「士気を高める」ために作られたのがあのジャンパーだった。

   小田原でも金沢でも、刺された職員の恐怖心はいかばかりかと思う。どちらも幸い死者は出ていないが、肉体の傷のみならず、精神的な傷が癒えるには相当の時間がかかるだろう。どのような理由があろうとも、人を傷つける行為は決して許されることではない。そのようなことを前提にしつつも、一方で思うのは、「生活保護打ち切り」は、当人にとっては死の宣告に等しいということだ。

 実際、この連載でも何度か触れているように、15年12月には、東京・立川市で生活保護を打ち切られた40代の男性が、廃止の通知を受け取った翌日に自ら命を絶っている(第413回)。彼の自殺は、「知人」と名乗る人から立川市議のもとに「立川市職員に生活保護者が殺された!」という告発のFAXが届いたことによって明らかになった。が、その一枚のFAXがなければ、男性の自殺はおそらく身内にしか知られることなく、その背景に生活保護の打ち切りがあったことなど永遠に闇の中だったろう。告発をきっかけとして立川市議や弁護士、支援者によって立川市生活保護廃止自殺事件調査団が結成され(私も一員)、真相究明のために今も動いているのだが、調査を通して感じるのは、「生活保護打ち切り」が当事者にもたらす絶望の深さである

  打ち切りの理由として立川市が上げたのは、就労指導違反。「仕事をしろ」と言ってもしなかった、という理由だ。が、自殺した男性と接した支援者の証言などから浮かび上がる疑問は、彼は果たして働ける状態だったのかということだ。「死にたい」と口にすることもあり、うつ状態だった可能性もある。そのような場合、ただ「働け」と指導するのではなく治療に繋げるなどの必要性があるわけだが、そのような対応は一切とられていなかった。

 また、市の担当者は生活保護廃止の理由として、「路上生活の経験があるので、保護を廃止してもなんらかの形で生きていけるんじゃないか」と話したという。男性には、確かに派遣切りなどで路上生活の経験があった。が、あいつは路上で暮らしていたから、また路上に追い出しても生きていけるはず、なんて、人間に対して使われていい言葉では決してない。実際、保護を廃止された男性は路上ではなく死を選択しているのだ。

  生活保護の打ち切りは、自殺だけでなく餓死事件も引き起こしている。小田原で生活保護を打ち切られた男性が職員を刺した事件が起きたのと同じ07年、北九州では生活保護を打ち切られた52歳の男性が「おにぎり食べたい」というメモを残して餓死している。また、その前年、06年には、秋田市で生活保護の申請を2度も却下された30代の男性が福祉事務所の駐車場で抗議の練炭自殺をしている。「おれが犠牲になって福祉をよくしたい」。男性はそんな言葉を残していたという。

  これらの事件は、悲しいけれど氷山の一角だと思う。私たちが知る方法もないままに、申請を受けつけないという水際作戦で、そして一方的な打ち切りによって、奪われている命はきっともっとある。生活保護受給者の自殺率は、そうでない人の二倍と言われている。

 金沢で職員を刺した男性に、何があったのか、詳しいことはわからない。もちろん、どのような理由があったとしても、彼のしたことは許されることではない。しかし、生活保護とは「そこで追い返されたら、それを打ち切られたら生きていく術がない」、まさに最後のセーフティネットである。

 私の知人の中にも、生活保護の申請を受け付けてもらえず、職員と言い合いになってパニック状態となり、手を上げてしまった人もいる。生活保護がダメならもう死ぬしかない。彼はそのままビルの屋上に登り、飛び降りようとしている。そんな状態の人から「今から死ぬ」という電話を受けたことは一度や二度ではない。号泣しているし、叫んでいる。場合によっては一家揃って、高齢の親も「死ぬしかないね」と妙に冷静になっている状況もある。そんな悲鳴を耳にしてきた身からすると、金沢の事件の背景に一体なにがあったのか、気になって仕方ないのだ。

 そんな生活保護がまたしても引き下げられようとしていることは、報道されているのでご存知の人も多いだろう。

 森友問題では「首相夫人」の一声があれば魔法のように巨額のお金が動くらしいのに対し、この国でもっとも「利権」から遠い生活保護受給者の暮らしがまた脅かされる。安倍政権になって以降、生活保護費はずっと引き下げられ、「これ以上何を削ればいいかわからない」という悲鳴が上がり続けているのに、またしてももっとも弱い立場に置かれた人々の生活を切り崩す。納得いかないのは、その引き下げに対して、国は一度たりとも当事者の声に耳を傾けていないということだ。

 3月19日、厚生労働省に、生活保護基準の引き下げなどに関して申し入れをした。全国からの署名も持参した。当事者も4人、参加した。しかし、ずっと要求し続けている政務三役の出席はなかった。こうして小さな声は無視され、踏みにじられていく。ここにもこの国の政治のあり方が、はっきりと現れている。

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冤罪を正さない裁判所

2018年03月22日 | 社会・経済

雨宮処凛がゆく!第440回 2018年3月7日

獄中半世紀の袴田巌さんに会った!! 〜冤罪青春グラフィティ「獄友」も観た〜の巻(雨宮処凛)

 無実の罪で殺人犯にされ、何十年も獄中にブチ込まれる――。

  人生において、もっとも起きてほしくないことのひとつではないだろうか。そんな経験をした人たちに昨年以来、たくさん会っている。

  1963年、女子高生が殺害された「狭山事件」の犯人として逮捕された石川一雄さん。94年に釈放されるものの、獄中生活は31年7ヶ月。

  67年、茨城で起きた「布川事件」の強盗殺人とされ、29年間も刑務所にブチ込まれた桜井昌司さん。

 90年、栃木で起きた「足利事件」で女児殺しの犯人にでっち上げられて17年6ヶ月を獄中で過ごした菅家利和さん。

  そうして2月24日、この3人の獄中期間を遥かに上回る年月、死刑囚として囚われ続けた人に会った。

  それは袴田巌さん。66年に起きた、一家4人が犠牲となったいわゆる「袴田事件」の犯人とされ囚われた元プロボクサーだ。袴田さんが獄中で過ごした期間は、なんと約半世紀。80年に死刑が確定したものの、その後もずっと無実を訴え続けてきた。が、48年間、獄中にブチ込まれ続け、うち33年間を死刑執行に怯える日々を過ごす。

  2014年、約半世紀ぶりに釈放。静岡地裁の裁判長は釈放の理由について、「拘置をこれ以上継続することは、堪え難いほど正義に反する状況にあると言わざるを得ない」と述べた。釈放されて、今年で4年。30歳で逮捕された袴田さんは、既に80代だ。

 「冤罪」と一言で言うけれど、その実態は、これほどに取り返しがつかないものである。

  しかも、足利事件と布川事件については無罪が確定しているが、石川さんと袴田さんはいまだ無罪が確定していない身。そんな袴田さんの再審を求め、無罪を勝ち取るための集会が都内で開催されたのが2月24日。そこで初めて袴田さんと会ったのである。

  袴田さんに会うことに、私は緊張していた。テレビなどで、重い拘禁症を患っている姿を目にしていたからだ。「今日、死刑執行されるかもしれない」。そんな恐怖に30年以上晒されると、人は自分の世界を強固に作り、その中で生きるようになるのだろう。テレビで見る袴田さんは、時に「尊敬、天才天才」「全世界の支配者・袴田巌」といった言葉を繰り返していた。釈放されてからも自分の作り出した世界を守るように生きる姿は、「冤罪」という取り返しのつかない事態の残酷さを、見る者たちにこれ以上ないほどに突きつけるものだった。

  そうしてこの日、緊張しながら会った袴田さんは、耳は遠くなっているものの、釈放された直後よりずっとずっと穏やかな表情で、私に挨拶してくれた。スピーチする際にははっきりと「私が、袴田巌です」と口にし、その後、話が脱線したり内容がわからなくなったりすることはあったものの、釈放直後よりは、ずっと落ち着いた雰囲気だった。

  この日の集会には、「仲間」たちも駆けつけて応援スピーチをした。それは狭山事件の石川一雄さんと、足利事件の菅家利和さん。

  そんな彼らを私は勝手に「冤罪オールスターズ」と呼んでいるのだが、袴田さんの集会の数日後、彼らを描いたドキュメンタリー映画の試写会に行った。

  映画のタイトルは、『獄友』(監督・金聖雄)。10年から7年間に渡って彼らを追ったドキュメンタリーだ。映画には、5人の獄友たちの交流が描かれる。石川さん、菅家さん、袴田さん、そして布川事件の桜井さんと、桜井さんの「共犯」として逮捕され、やはり29年間を獄中で過ごした杉山卓男さんだ。杉山さんも無罪が確定しているものの、15年、病気で亡くなっている。彼らの獄中生活は、合わせてなんと155年!

 映画のチラシには、こんな言葉が踊っている。

  「やってないのに、殺人犯。人生のほとんどを獄中で過ごした男たち。彼らは言う 『不運だったけど、不幸ではない』」

  『獄友』の試写会場は、笑いに満ちていた。何しろ彼らのキャラクターがブッ飛んでいるのだ。

  「刑務所入ってよかった」と語る「元不良」の桜井さんは、20歳で逮捕されるものの、「とにかく明るく楽しく面白いこと見つけて生きてやろうと思ってた」と語り、釈放後は得意の歌でなぜかCDまで出し、歌手としてワンマンショーも開催。逮捕前は「ひきこもり」で友人もいなかったと語る菅家さんは、獄友たちとの交流を心から楽しんでいるのが伝わってくる。そうして今も無罪を勝ち取るために闘う70代の石川さんは、身体を鍛えまくる日々だ。

  彼らが集まって盛り上がるのは「獄中あるある」。その場はたちまち「千葉刑務所同窓会」となり、刑務所の食事や刑務作業の話なんかで盛り上がる。袴田さんがその輪で共に盛り上がることはないが、獄友たちと将棋をさす姿からは、心を許しているのが伝わってくる。刑務所での数少ない娯楽である将棋。それを通して静かに心が通じ合う。

  「刑務所入ってよかった」と笑い、終始明るい桜井さんだが、もちろん、深い喪失を抱えている。「よかった」と思わないと、おそらく29年間の獄中生活を生き延びることなどできなかったのだろう。釈放後に桜井さんと結婚した女性は、ともに生活する中で冤罪被害者の深い深い苦しみを知る。決して取り返せない、若かりし日々。だからこそ、彼らは今この瞬間を精一杯楽しんでいる。

  そんな「獄友」たちの姿を見て、思い出した人がいる。

  それは「飯塚事件」の久間三千年さん。

  昨年9月、私はこの連載で「もし、冤罪で捕まったら〜『死刑執行は正しかったのか』から考える〜」という原稿を書いた。

  92年、二人の女児が殺害された飯塚事件で逮捕された久間氏についての番組を見て書いた原稿だ。久間氏は一貫して無罪を訴えていたものの、06年、死刑が確定。そして08年、死刑が執行される。

 が、死刑が執行されてから、重要な証拠に疑惑が浮上する。当時のDNA鑑定の信憑性が大いに揺らぐのだ。ちなみに同じ鑑定方法を用いて有罪とされた足利事件の菅家氏は、再鑑定によってDNAが一致しないことが判明し、無罪が証明されている。それなのに、同じくずさんな方法での鑑定の結果、有罪とされ死刑が確定した久間氏は、既に死刑が執行されてしまっているのだ。

  弁護団は再審開始を求めていたものの、今年2月、福岡高裁は再審請求を棄却した。

  冤罪。私が知る「冤罪オールスターズ」の人々は、数十年という年月を奪われながらも、現在、シャバに出てきてそれぞれの人生を生きている。奪われた時間は取り戻せないものの、彼らの命は続いている。しかし、久間さんの命は既にない。もし、彼が、本人がずっと訴えていたようにシロだったとしたら――。既に死刑は執行されてしまっているのだ。これほどに取り返しのつかないことがこの世に存在するだろうか。

  冤罪問題について腹立たしいことはあまりにもありすぎるが、もっとも疑問なのは、その責任を「誰一人としてとっていない」ということだ。

  無罪が確定したとしても、当時彼らを自白に追い込むほどに暴力的な取り調べをした警察、そして検察や裁判官などは、誰一人として罪に問われてなどいない。もちろん、DNA鑑定をした人も、それを証拠として有罪とした人もだ。その中には、上司に「無能と思われたくない」がために厳しい取り調べをした者や、自己保身や組織のメンツばかりを優先させた者が多くいる。拘置期間が何十年に及ぼうとも、弁護団や支援者が声を上げ続けなれば放置されていただろう

  誰も責任をとらないシステム。原発問題をはじめとして、日本の構造はこの一言で言い表わせるわけだが、ここでも組織防衛のために、「国」という真空地帯に責任は丸投げされた。権力と言われるものの中心はいつも空洞で、「ただいま、担当者は席を外しております」というアナウンスがずーっと流れているだけ。それが私の思う、この国の中枢のあり方だ。

   集会の日、菅家さんは、権力サイドにいる誰一人として「一言も謝っていない」ことを怒りを込めて語った。無罪が確定した人にだって、謝罪の言葉は何ひとつないのだ。

 冤罪について、死刑について、司法システムについて、そしてこの国の権力のあり方について。「冤罪青春グラフィティ」である『獄友』は、多くのことを問うてくる。

  『獄友』は3月24日以降、全国ロードショーが始まる。予告編はこちら。

 ぜひ、多くの人に観て、そして考えてほしい。

    *****

恵庭OL殺人事件に冤罪疑惑 有罪ありきのずさんな捜査と裁判に、元裁判官も唖然

BJジャーナル  2014.05.27
 
文=瀬木比呂志/明治大学法科大学院専任教授、元裁判官

 2000年3月に北海道恵庭市で起きた殺人事件を覚えておられるだろうか?

   女性会社員(OL)が、三角関係のもつれから同僚女性を絞殺し、死体に火を放って損壊したとされる事件は、「恵庭OL殺人事件」として、新聞、テレビ、週刊誌を大いににぎわせた。しかし、実は、この事件の容疑者となった女性は、一貫して、無実、冤罪を主張していたのである。

   だが、事件から約14年がたった2014年4月21日、札幌地裁は、大方の予想に反して、容疑者からの再審請求を棄却する決定をした。

   元裁判官で、ベストセラー『絶望の裁判所』(講談社現代新書)の著者である瀬木比呂志・明治大学法科大学院専任教授は、札幌テレビからこの事件に関連して取材を受けたことがきっかけで、詳細を調べたところ、「本当にこの証拠で有罪にしたのか」と言葉を失うほどの、検察寄りの偏った証拠評価が行われていたという。「日本の刑事司法においては、いったん警察、検察に目を付けられたら、裁判官がむしろ例外的な良識派でない限り、どうがんばっても、有罪を免れることはできない。再審も開始されない」と、暗澹(あんたん)たる気持ちになったという。

   冤罪は決して他人事ではない。そこで今回は、瀬木教授に「恵庭OL殺人事件」の再審請求棄却決定を批判的に考察してもらった。

 【以下、瀬木教授の文章】

  2014年4月21日にされた恵庭OL殺人事件の再審請求棄却決定(札幌地裁、加藤学裁判長)は、同年3月27日にされた、袴田事件の第二次再審請求に対する再審開始決定(静岡地裁、村山浩昭裁判長)との明暗のコントラストが激しい判断である。

   恵庭OL殺人事件とは、2000年3月16日夜、容疑者(以下、実名を使用せず、単に「容疑者」として記述する)が、容疑者の交際していた男性の気持ちが同僚である被害者に移り、その男性が被害者と交際することになったという三角関係のもつれから、被害者を絞殺し、午後11時ころ死体に火を放って損壊した、として起訴された事件である(なお、逮捕状では、上記の時刻は「11時15分ころ」とされていたが、その時刻だと後記のとおり容疑者のアリバイが成立してしまうため、15分早められたものと考えられる)。

   以下の記述は、できる限りわかりやすく整理したものであるが、なお、かなりわかりにくい部分があるかもしれない。しかし、それは、「検察、警察の言い分がありえないような強引なものであり、にもかかわらず、裁判所もそれを無理に正当化しようとする」ので、わかりにくくなるのだということを理解していただきたい。

   第一審判決は、容疑者が、午後11時5分ころまでに、容疑者の車の中で、後部座席からタオル様のものを用いて被害者の首を絞めて殺し、11時5分ころ、10リットルの灯油を用いて死体に火を放ち、11時10分ころに現場を出て11時36分(なお、控訴審判決は「30分」とする)にはガソリンスタンドに立ち寄って給油を行い、その後、翌日午前3時ころまでの間に、被害者の生存を偽装するために、被害者の携帯電話から7回の発信を行った(電話をかけた)としてる。

 ●唖然とする裁判所の証拠認定

 再審請求棄却決定の後、報道をみると、種々不審な点があり、学者の同僚たちからも同様の意見を聴いたので、決定を取り寄せ、関連の書物や記事等についても読んでみた。その結果は、唖然とするようなものだった。

   民事系の裁判官であった私の民事訴訟における感覚からしても、検察が証明責任を果たしているとは思えない。まして、これは、民事よりも証明度のハードルが高い刑事訴訟なのである。しかし、この事件に携わってきたすべての裁判官たちは、そのような不十分な立証を容認してきたのだ。

   「本当にこの証拠で有罪にしたのか。また、再審開始もできないというのか。刑事裁判というのは、一体どういうことになっているのか」というのが、私の正直な感想であった。

 ●自白や物的証拠はなし、あるのは情況証拠のみ

   この事件については、中心となった弁護士で、家裁調査官、衆議院議員の職歴もある伊東秀子氏による『恵庭OL殺人事件――こうして「犯人」は作られた』(日本評論社)がある。再審請求に携わっている弁護士が、その過程でこうした書物を発表するのは、よほどの事情があることを示している。もっとも、私も、元裁判官であり、前記の棄却決定も出ているので、この書物については、まずは徹底して批判的に読んでみた。しかし、過度に容疑者に寄り添った記述はほとんどなかった。あえていえば、容疑者が被害者に対してその生前にかけていた無言電話の動機につき、困惑の結果であり、いやがらせの意図まではなかったとしている点くらいであろうか。しかし、ここは内心の微妙な問題であり、全体の中でみれば、小さな事柄にすぎない。

   以下の記述は、主として伊東書により、また、私の考えを付加する場合にはそのことがわかるようにしている。

   この事件については、容疑者は、やはり最初の時点では神経科に入院しなければならないほどの恫喝的な自白の強要を受けたにもかかわらず、一貫して否認している。そして、犯罪と容疑者を結び付ける直接証拠は一切存在せず、存在するのは情況証拠だけである。

   まず、私が裁判官としての経験からそれらの中で唯一重要なものと考えたところの、被害者の携帯電話からの発信記録について検討してみよう。この被害者の携帯電話は、事件後に、何者かによって、容疑者と被害者の勤務していた会社(以下「本件会社」という)の被害者のロッカーに戻されていた。

   検察の主張は、この携帯電話からの7回の発信(3月17日0時5分31秒から3時2分38秒まで)の宛先が、容疑者が交際していた男性の当時紛失中の携帯電話など本件会社の従業員しか知りえないものであることと、その発信記録が容疑者の足取りにおおむね一致することとを根拠としている。

   しかし、そもそも、「被害者の生存偽装目的」での発信という検察の主張は「発信履歴が消されていた」という事実と矛盾していて疑問であると弁護側は主張する。そのとおりであろう。また、私は、容疑者にとってそのような偽装を行うことにどのようなメリットがあったのか自体定かではないと思う。見晴らしのよい雪原(北海道なので3月には雪がある)の農道脇に死体を放置した以上、それがその場所で早晩発見されることは明らかであり、現に翌朝発見されているからである。

  また、当時の携帯電話には所在位置を特定させるGPS機能は付いておらず、所在方向を示すだけ(基地局からみた携帯電話の所在地が60度以内の方角で判明するだけ)であり、したがってその「所在方向」自体にどれだけの意味があるのかもいささか疑問であり、のみならず、その発信履歴を子細にみれば、大まかにいえば容疑者の足取りと一致しているともいえるものの、そうはいえない部分も存在する

   さらに、被害者殺害後、その携帯電話の発見時(3月17日午後3時5分)までの着信履歴17回のほうには、容疑者がずっとその携帯電話を持っていたとすればその足取りからしてありえない「電源断あるいはエリア外」の時間帯があることも大いに疑問である。容疑者が携帯電話を持っていたのなら一時的に電源を切る理由はなく、また、詳細な説明は省略するが、彼女の足取りからすれば「エリア外」はありえないからだ。

 伊東弁護士は、以上のような発信履歴、着信履歴について、「本件会社で働いていた男性を含む複数男性による強姦、殺人、死体損壊」の可能性を視野に入れるなら、犯人の一人が携帯電話を持って移動した場合の移動に見合った発信履歴、着信履歴とみるほうがより自然であると主張するが、これも、そのとおりであろう。

   また、電話の宛先については、携帯電話の着信履歴とメモリーダイヤルを見てかけられた可能性が高く、したがって、宛先についても、容疑者でなければかけられないようなものではないという(以上につき、伊東書32頁、133頁以下)。

 不審人物の存在

 なお、伊東書によれば、実際、本件会社には、かなり不審な人物が存在し、怪しい内容の供述調書が取られ、次のように述べられている。

 この人物の事件当夜のアリバイは妻しか証明できず、この人物は、問われもしないのに、女子更衣室のロッカーから自分の指紋が出てくるはずであるとして、その理由(素手でそのロッカーを運んだことがある)について語っており、容疑者の交際していた男性に対しては徹底的な敵対感情を持っていると供述している。さらに、事件から23日後の4月8日に、マスコミ関係者がいるかどうか確かめに容疑者方に行こうとし、そのアパートの前で彼女に会ったが、なぜか、「会ったことを内緒にしてくれ」と言って別れたと供述し、また、4月14日の容疑者の任意同行時に、彼女は小柄で犯人とは思えず意外だという気持ちと、彼女一人ではできないのではないかという思いから、「うちの職場からこうやって連れて行かれる人はまだまだ出る」と同僚に話した、とも供述している。なお、この人物が容疑者と会った4月8日の夜に、彼の歩いていたあたりの草むらから、事件の後に紛失していた「容疑者の携帯電話」が出てきたという事実もある。

  それ以外の情況証拠の主なものは、容疑者が事件の前日の夜に10リットルの灯油を買っていること、被害者の携帯電話がそのロッカーに戻されていたこと、警察の捜査によれば被害者のロッカーキーが容疑者の車のグローブボックスから出てきたとされていること、容疑者の車の左前輪タイヤの傷(検察は炎の熱によるものと主張)、4月15日に容疑者の家から3.6km離れた森から被害者の焼かれた遺品が出てきたことである。これらについて、簡単に触れていこう。

 まず、容疑者が事件前夜に10リットルの灯油を買っていることは事実である。彼女は、自分が疑われていると聞いて動転し、車のトランクに入れたままだった灯油を容器ごと捨ててしまい、自分にとって有利な決定的な証拠を、みずから消滅させてしまった。この事実と、彼女が被害者に無言電話をかけていた事実を隠していたこととが、裁判で彼女に不利に作用することになる。しかし、考えていただきたいが、これらの事実だけでは彼女と犯行を結び付けるにはとても足りない。冤罪事件では、容疑者に、何らかの不利な事情、あるいは、軽微な余罪等がある場合が多い。だからこそ、警察の見込み捜査のターゲットにされることにもなるのである。

   次に、被害者の携帯電話がそのロッカーに戻されていたことは、それだけでは容疑者と結び付く事柄ではない。また、被害者のロッカーキーについては、伊東書は、6月10日の容疑者宅家宅捜索後に容疑者のバッグのふたが開いており、そこから押収品目録交付書が出てきたことなどから、警察による捏造の可能性が高いという(つまり、警察は、被害者のロッカーから持ち帰っていたキーをその後に容疑者の車のグローブボックスに入れるという偽装工作をしたが、その際、当然容疑者に交付すべき押収品目録交付書を容疑者に交付することを忘れてしまった、これが明らかになれば偽装工作がばれてしまう、そこで、やむなく、後の家宅捜索時に容疑者のバッグにしのばせた、という推理である。袴田事件で警察がズボンの端布を袴田氏の自宅から発見したようにみせかけた手口に似ている

 タイヤの傷については、容疑者が現場にいたとされるわずか5分間で死体の発見された位置と45cm離れた道路上の車のタイヤに炎の熱により傷が付くことはおよそ考えにくく、被害者の遺品については、昼夜を問わず警察の尾行、張り込みを受けていた容疑者が自宅からかなり離れた森まで遺品を焼きに行くことはやはり考えにくいという。

  要するに、以上の情況証拠は、いずれも、それ自体としては薄弱なものである。

 ●どんぶりを片手で持てない非力な女性が絞殺?

  また、この事件では、死体が燃やされ遺棄されたという現場からも、被害者の携帯電話からも、容疑者の指紋、足跡等が一切検出されていない。現場には死体を引きずった跡もない。車内でタオル様のものを用いて後ろから首を絞めたとされている犯行態様にもかかわらず、タオル等は発見されていないし、容疑者の車には、被害者の失禁を示す痕跡や血痕がなく、その指紋、毛髪等も検出されていない

  加えて、容疑者は体格、体力において被害者にかなり劣っており、ことに、生まれつき右手の薬指と小指の発達が遅れた短指症の障害があるため手の力が弱くてバランスも悪く、右手の握力も19kgと著しく弱い(ラーメンのどんぶりを片手で持てないほど弱い)ため、検察主張のような方法による殺害が可能であるかは、きわめて疑問である。

 第一審判決は、容疑者が「被害者を車両助手席に乗せて何らかの方便で油断させながら後部座席に移動して」としているが、狭い車両内でどのような移動を行ったのか不明であり、また、「殺害方法や被害者の抵抗方法の如何によっては、非力な犯人が体力差を克服して自分に無傷で被害者を殺害することは十分に可能である」としているが、民事系裁判官の感覚からしても、無理やりの強引な物言いであるように感じられる。小柄な女性(絞殺だけで精根尽きているはずであろう)が、一人で、自分よりも重い死体を、間髪を入れずに抱えて車両外に下ろした(したがって、車内にも車外にも痕跡が残らなかった)との認定も、同様にきわめて強引である。

 さらに、この事件では、検察は、容疑者がガソリンスタンドに立ち寄った時刻について、実際には、レシートに印字されていた午後11時36分よりも早い11時30分43秒であったことを示すビデオテープが存在したにもかかわらずそれを隠しており(この6分の相違は、本件では非常に重要である)、事件現場の近くに停車している2台の車を見たという主婦のAさんの供述調書も隠していた。Aさんは、11時6分過ぎころと11時20分過ぎころに2台の車を見、2回目のときにはうちの1台の屋根越しに赤い光(炎)を見たと、第一審における審理の終盤に、公判廷で供述した。この2台の車は、死体が燃える状況を見届けていた真犯人たちのものである可能性がある。第一審判決は、これについて、「<無関係な第三者が>ゴミ焼き等による炎上として<そのように誤解して>単に傍観していた」と推認する。しかし、そんな時刻に人気のない雪原でゴミを焼く人物がいるはずはないし、不審な炎を、「ゴミ焼きによる炎と誤解しつつも手をこまねいて傍観し続ける」酔狂な「第三者」がいるのかもきわめて疑問であろう。

 また、被害者の焼死体は内臓まで炭化し、体重が約9kgも減少しており、検察主張のように容疑者の購入した10リットルの灯油で、また、「容疑者は5分間だけ現場にいた」という第一審判決認定の事実関係の下に、焼かれたものとは考えにくく、そのことは、豚を用いて行われた警察、弁護側双方の焼毀(しょうき)実験によっても裏付けられており(いずれの実験でも、豚の内部組織は生のままであり、また、炎の強さは着火後1分以内に最大になった)、被害者の遺体を扱った納棺業者は、「灯油を何回もかけ時間をかけてじっくり焼いたか、ガソリンかジェット燃料で焼いたように思われる」旨を弁護士に供述している。さらに、被害者の遺体の取っていた姿勢は、一般的焼死体とは異なり足を大きく開いた強姦死体に似た姿勢であり、ブラジャーのワイヤーも大きくずれており、また、陰部と頸部の炭化が特にひどく、強姦殺人の証拠隠滅をうかがわせる状況であった。にもかかわらず、司法解剖の際に、強姦の有無については調べられていない。

 ●捜査陣にも迷いが……

 なお、この事件では、捜査担当の主任検察官が、起訴の際に、一人で容疑者を訪ねてきて「とうとう起訴することになった。頑張って欲しい」と伝言していったという。捜査主任検察官の心中に秘められた「迷い、疑念」を示す事実である。現場の刑事たちの中にも、「彼女は犯人ではない」と言う者がいたという。こうしたことも、冤罪事件では時折みられることである。検察、警察の中にも存在する「良心」が、ちらりと顔を覗かせるのだ。

 再審請求が棄却されているという事件の性質上、かなり詳しく記してきたが、検察の主張や第一審、控訴審各判決の認定には、ほかにも多々疑問が存在する。

 さらに控訴審の裁判長は、公判前の三者協議の席上で、「被告人はどうも嘘をついているようだから、被告人質問の回数も制限的に考えています」と発言した(口をすべらせた)ということである(伊東書219頁)。これもまた、常識では到底考えられない、信じられない事柄である。

 再審請求においては、以上に加えて、現場付近で炎を見たという別の女性Bさん(炎を見た3人の目撃証人のうちの1人。なお、本件における各目撃者は、それぞれ、現場から数百メートル離れた異なった場所から、炎や2台の車を目撃していたものであり、相互に連絡も面識もない)の、「午後11時15分ころ、22分ころ、42分ころ、午前0時5分ころの合計4回にわたって炎を見た。うち1回目と3回目は大きなオレンジ色の炎だった」という内容の供述調書等(そのうち再審請求棄却決定が信用性に欠けるとする検察官調書を除いたものを素直に読めばこう読める)が開示されており、真犯人たちが、現場で、容疑者がガソリンスタンドに立ち寄った時刻以降まで、死体を燃やし続けていた可能性が示唆されていた(11時42分ころにも炎が大きかったことは、そのころ燃料が追加されたことをうかがわせる。10リットルの灯油だけでは、炎はすぐに小さくなってしまうはずだからである〔伊東書166頁〕)。

 再審請求棄却決定は、例えば、死体の燃焼の程度については「皮下脂肪が溶け出せば不可能とはいえない」、現場付近で炎を見たBさんは「炎だけでなくその上部の微粒子による反射部分をも含めて大きな炎を見たと言っている可能性もある」、Bさんが最初に炎を見た11時15分から容疑者がガソリンスタンドに着いた11時30分までには15分しかなく、走行実験によれば現場からガソリンスタンドまで(約15kmの距離がある)は速度超過をしても20分程度はかかる(なお、検察も認めるところによれば、15分だと、街路灯もない凍結した道路を時速100kmで走ったことになるという)から、「容疑者にはアリバイが成立する可能性が一応はある」が、しかし、「やはりそうでない可能性もある」とし、また、炎の目撃者の各供述をきわめて恣意的に評価して、以上のような認定判断とつじつまを合わせている。

 また、被害者の携帯電話の発信記録を作成したという北海道セルラー電話株式会社(現KDDI株式会社)の職員の証言した方法ではそのような記録は再現できない、という弁護側の主張についても、「必ずしもそうでもない」と答えているのだが、この部分も、正直にいってその論理の流れがよく理解できず、説得力に乏しい(もっとも、私は、前記のとおり、いずれにせよ、この証拠に大した価値、証明力はないと考えているが)。

 全体として、この裁判の証拠評価は本当にほしいままで、呆然とせざるをえない。裁判官たちは、有罪推定どころか、可能性に可能性を重ね、無理に無理を重ね、何としてでも「有罪」という結論に到達しようと、なりふり構わず突き進んでいる印象がある。袴田事件、足利事件、東電OL殺人事件のように再審請求にDNAに関する鑑定等の強力な裏付けがある場合はよいが、そうでない限りこのような強引な事実認定が通ってしまうことがありうるのかと思うと、暗澹たる気持ちにならざるをえない。

 日本の刑事司法は中世並み?

 民事訴訟は、多くの場合、双方のストーリーのせめぎ合いであるが、原告のストーリーに相当のほころび、あるいは、一貫した説明を困難にするような事情があり、一方、被告主張のストーリーにそれなりの一貫性があれば、請求を棄却するのが普通である。それは、刑事訴訟でも同じことであろう。その原則をこの事件に当てはめれば、民事訴訟の感覚でも、検察の請求を認めることは難しい。まして、これは「疑わしきは罰せず」の刑事訴訟なのであるから、無罪は当然ではないかという気がする。アメリカの法廷でも、これで有罪はありえないと思う。

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  私は、はっきりいって、これは「暗黒裁判」ではないかと思う。あなたも、本当に気を付けたほうがいい。日本の刑事司法においては、いったん警察、検察に目を付けられたら、裁判官がむしろ例外的な良識派でない限り、どうがんばっても、有罪を免れることはできない。再審も開始されない。国策捜査の標的とされた者の立場から書かれた『国家の罠』(佐藤優、新潮文庫)の中にある「『あがり』は全て地獄の双六(すごろく)」という言葉は、決して誇張ではないのだ。

 弁護団(無罪判決の多い元刑事系裁判官として知られ、後に法政大学法科大学院教授も務めた木谷明弁護士も、メンバーに入っている)を含む関係者は、弁護側に好意的と感じられた審理中の裁判長の言動をも考慮し、当然再審開始決定がされるものと予期しており、そのため、先の再審請求棄却決定については、裁判官に何らかの圧力がかかったのではないかとの推測まで出たという。また、木谷弁護士は、決定のあまりのずさんさに失望と怒りを隠さなかったともいう。

 考えにくいことではあるが、私は、若いころに、ある刑事系の有力裁判官が「刑事裁判は、導き出した結論によっては、辞めなきゃならんようなこともあるからなあ……」と問わず語りに語るのを聴き、「ああ、刑事は民事とは違うんだ……」と思ったことがあるのを、はっきりと記憶している。刑事の重大事件の背後には、民事系の裁判官であった私にさえ想像もつかないような深い闇が広がっている可能性が、もしかしたらあるのだろうか。

 ※本稿は、5月16日付「現代ビジネス」(講談社)記事に加筆・修正したものです。

 ※瀬木氏は、現在、日本の裁判の問題点と裁判官の判断構造を、数々の事例を通じて、体系的に、またリアリスティックに明らかにする『絶望の裁判所第2部』(仮称)を準備中であり、その中でこの事件についても取り上げる予定です。

 瀬木 比呂志(せぎ・ひろし) 1954年名古屋市生まれ。東京大学法学部在学中に司法試験に合格。1979年以降裁判官として東京地裁、最高裁等に勤務、アメリカ留学。並行して研究、執筆や学会報告を行う。2012年明治大学法科大学院専任教授に転身。民事訴訟法等の講義と関連の演習を担当。著書に、『絶望の裁判所』(講談社現代新書)、『民事訴訟の本質と諸相』『民事保全法〔新訂版〕』(ともに日本評論社、後者は近刊)等多数の専門書・一般書のほか、関根牧彦の筆名による『内的転向論』(思想の科学社)、『心を求めて』『映画館の妖精』(ともに騒人社)、『対話としての読書』(判例タイムズ社)があり、文学、音楽(ロック、クラシック、ジャズ等)、映画、漫画については、専門分野に準じて詳しい。

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コメント

そもそも、F自体が偏見に満ちた組織である。

2018年03月21日 | 社会・経済

国連がフェイスブックを批判する「ロヒンギャへのヘイト拡散の舞台」

 ハフポスト 2018年03月19日 平 和博   

   68万人を超えるミャンマーのイスラム教徒ロヒンギャが迫害され、難民になっている問題で、国連調査団代表、マルズキ・ダルスマン氏は12日、国連人権理事会で報告を行い、ヘイトスピーチの氾濫について、フェイクブック(原文まま)を名指しで批判した。

  ヘイトスピーチと暴力扇動がソーシャルメディアに蔓延している。特にフェイクブックだ。その大半は何のチェックも受けていない。

さらにミャンマーの人権問題に関する国連特別報告者のイ・ヤンヒ氏は、「怪物」という表現も使い、制御不能となっているフェイクブック上のヘイトスピーチの現状について、危機感を表明した。

 ロヒンギャへの迫害は「民族浄化の典型例」とされてきた。

  現地オフィスもない国で、フェイスブックは少数民族迫害における情報戦の主舞台として、責任と対応が問われている。

 この批判に、フェイスブックは「世界をつなぐことが、いいこととは限らない」と、かつてのミッション・ステートメントの負の側面にも言及している。

 ●「フェイスブックは怪物」

  ロイター通信によると、国連調査団代表のダルスマン氏は12日、国連人権理事会での報告の後、報道陣に対し、フェイスブックはヘイトスピーチの氾濫に「決定的な役割を果たしている」とし、こう述べている。

  フェイスブックは、言うなれば、民衆の間に、とげとげしさ、あつれき、対立を広げる実質的な要因となっている。ヘイトスピーチは、まず間違いなくその一つだ。ミャンマーにおいては、ソーシャルメディアといえばフェイスブック、フェイスブックこそソーシャルメディアだ。

 さらに、特別報告者のイ氏は、その実情について、こう報告している。

 特にソーシャルメディアにおけるヘイトスピーチは、センシティブな意見、少数派の意見を抑圧する状況にある。今年1月、イスラム教徒の学生が、深夜にヤンゴンの繁華街にいたというだけで、警官に追われ、殴打され、拘束されるという事件があった。この件はソーシャルメディア上で、反イスラム感情による攻撃の発火点となり、その集中砲火がこの学生に向けられた。私自身もミャンマーにおけるイスラム教徒や少数派の宗教の立場を代弁しているため、ソーシャルメディアで、下品で、ヘイトに満ちた、暴力的な攻撃の的になっている。私が繰り返し述べているように、ミャンマーには、国際標準に沿った、差別や対立、暴力の扇動に対処する法律の制定が必要です。

 さらに、イ氏も「ミャンマーではあらゆることがフェイスブックを通じて行われる」と、「ソーシャルメディア=フェイスブック」であることを指摘する。そして、報道陣にこう述べている。

  フェイスブックは公的な情報発信にも使われてきた。だが、極右の仏教僧が自身のフェイスブックページを持ち、ロヒンギャや他の少数派宗教に対し、数多くの暴力やヘイトスピーチを扇動していることも、知られている。

 らに、こう付け加える。

 フェイスブックは今や、当初目指したものとは違い、怪物に成り果ててしまったのではないか、と懸念している。

 ●急増するユーザー

  ミャンマーにおける「ソーシャルメディア=フェイスブック」は、そのユーザー数増加にも現れているようだ。

  ニューヨーク・タイムズによると、ミャンマーにおけるフェイスブックユーザーは、2014年の200万人から、2017年には3000万人を超えたという。人口5400万人足らずの国で、その存在感は圧倒的だ。

 フェイスブックはミャンマー国営電気通信事業体(MPT)と提携、データ量制限のない使い放題のフリープランに含まれていることが、その急増を後押ししているようだ。

 そして、特別報告者のイ氏が指摘した「極右の仏教僧」とは、反イスラム教徒を掲げる「969運動」を主導する仏教僧アシン・ウィラス氏だ。


 FBの危険性を感じ、わたしは退会した。2015年3月だった。そもそもFB自体が偏見に満ちた組織である。

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”孤独”リスク

2018年03月20日 | 健康・病気

がんや心臓病より怖い

孤独<1>10~44歳で死因1位の自殺は孤独とも密接に関連

日刊ゲンダイヘルスケア 2018.03.20  by 永田宏

   今年の1月、イギリスで「孤独担当大臣」なるポストが新設されました。日本でも独居老人や孤独死などが問題視され始めています。しかし“大臣ポストまでつくるなんて、大げさではないか”と思われている人も多いことでしょう。国を挙げて、孤独死を減らそうとでもいうのでしょうか。

  もちろん違います。実は孤独問題は、公衆衛生上の大問題であり、ひいては深刻な経済問題でもあるからです。イギリスの場合、孤独による経済損失は、年間4.9兆円と見積もられています。

  まったく実感がわかないかもしれません。日本の場合をお話ししましょう。

  日本では、とりわけ現役世代の自殺が深刻な問題です。男性の10歳から44歳までは、自殺が死因の1位ですし、その後も上位に食い込んでいます。しかも自殺と孤独が密接に関連し合っているのです。

 

〈表〉は男性の自殺死亡率を、配偶者関係で分類したものです。50代で見ると、全自殺死亡率は36.6(50代男性10万人当たり36.6人)ですが、離別に限れば123.2(離婚歴のある50代男性10万人当たり123.2人)と、極端に高くなっています。これは同年齢のがんの死亡率(150.9)に匹敵し、心臓病の死亡率(62.3)を大きく上回っています。また死別や未婚でも、高い数字が出ています。有配偶者と比べて、単身者は著しく自殺率が高いのです。これが孤独の怖さです。

■脳梗塞や糖尿病リスクも上昇

  自殺だけではありません。いま世界中で、孤独と病気や死に関する研究が進んでいます。分かっているだけでも、孤独は心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクを1.2倍から1.5倍も高めることが確認されています。2型糖尿病(肥満など生活習慣による糖尿病)のリスクは3割から5割も上がり、しかも食事管理などがうまくできないため、悪化しやすくなります。高血圧が増えますし、免疫力が下がります。また高齢者の孤独は、認知症のリスクを6割以上も高めてしまうことも分かってきました。

  つまり孤独を放置すると、現役世代の労働力の低下につながり、医療費や介護費が増えるというわけです。日本の人口はイギリスの2倍。しかも自殺者が多いため、孤独がもたらす経済損失は毎年10兆円を大きく超えているはず。孤独はいまや、国家的な大問題というわけです。

 永田宏  長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

   筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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 なぜ日本のおじさんは「世界一孤独」なのか?

   文春オンライン 2018/03/08  岡本 純子

   最新版・世界各国の「繁栄指数」を見てみると、社会や地域における人々の信頼関係や結びつきを表す「ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)」のランキングで、日本は全世界149カ国中、101位。先進国の中では最低だといいます。なかでも深刻な状態にあるのが中高年の男性。コミュニケーション戦略の専門家で、 『世界一孤独な日本のオジサン』 (角川新書)の著者である岡本純子氏が衝撃的なデータとともに、日本のおじさんたちが「孤独」に陥っている理由と健康へのリスクを解説します。

 孤独な人は、早死リスクが50%高くなる

 「中高年の男性にとって最大の脅威は喫煙でも肥満でもない。それは孤独だ」(ボストン・グローブ紙)、「慢性的な孤独は現代の伝染病」(フォーチュン誌)――。海外では、「孤独」は健康に甚大な影響を与える最大のリスクである、という認識が急速に広がっている。

 その根拠となっているのが、近年、欧米で明らかになった数多くの学術的研究だ。約30万人以上のデータを対象としたアメリカの調査では、「孤独な人は、人的つながりを持つ人に比べて早死リスクが50%高くなる」という結果が出た。また、「孤独」の死亡リスクに対する影響は(1)一日にタバコ15本を吸うことに匹敵、(2) アルコール依存症であることに匹敵、(3) 運動をしないことよりも大きい、(4) 肥満の2倍大きい、と結論づけられた。孤独は心臓病や認知症など多くの疾患のリスクを高めることもわかっている。

 昨年10月には、アメリカ連邦政府の前公衆衛生局長官、ビベック・マーシー氏が「孤独は深刻化する伝染病」であり「病気になる人々の共通した病理(病気の原因)は心臓病でも、糖尿病でもない。孤独だった」という論文を発表し、話題を集めた。2018年1月17日には、イギリス政府が、「孤独担当相」を新たに任命すると発表して、世間を驚かせたが、これは、この切実な問題に国を挙げて取り組むべき、という危機意識の表れだった。

 日本は世界に冠たる孤独大国になりつつある

  こうした流れと逆行するように、日本では、「孤独のすすめ」「おひとりさま」「ぼっち」などと、「孤独」を美化し、奨励する考え方が人気を集めているが、実はその裏で、日本は世界に冠たる孤独大国になりつつある。国際機関OECD(経済協力開発機構)の調査(2005年)によれば、友人、同僚、その他コミュニティの人と「ほとんど付き合わない人」の比率は15.3%と平均(6.7%)の2倍以上、加盟国中トップだった。オランダの2.0%、アメリカの3.1%、ドイツの3.5%などに比べると差は歴然だ。未婚率や一人暮らしの家庭も増加している。

 「孤独に耐えろ」は「水を飲まずに我慢しろ」と同じくらい残酷

  「孤独」とはそもそも、「頼りになる人や心の通じ合う人がなく、ひとりぼっちで、さびしいこと(さま)」を指す。「孤」は「みなしご」を意味し、誰にも頼れず、精神的に「孤立」し、苦痛を覚えるというネガティブな主観だ。一方で、日本では、「独りで独自」の時間を過ごし、楽しむことをも「孤独」ととらえられている。英語では、ポジティブな意味合いの「Solitude」(個人が能動的・自発的に一人を楽しむこと)と、ネガティブな「Loneliness」(自らの意思に反して、疎外感や孤立感を味わうこと)とに分かれているが、日本語では、「個独」という「良いこどく」と、「孤独」という「悪いこどく」がひとくくりになり、結果として、「孤独」が美化されているきらいがあるように感じる。

 人間は本来、自らの生存のために、何より、他者との結びつきを必要とする「社会的動物」だ。敵を倒すために共に戦う。食べ物を共に確保し、分け合う。孤立はすなわち「死」を意味していた。「孤独」は、のどの渇きや空腹、身体的な痛みと同じ脳の回路によって処理され、同等、もしくはそれ以上の苦痛をもたらす。そのつらさを避けようと、水を飲んだり、食べ物を口にするように、孤独な人も「苦痛」から逃れるために、自らつながりを求める。これが人を孤独から遠ざける、本能的なディフェンスメカニズム(防御機能)の基本的な仕組みだ。つまり、孤独な人に「孤独に耐えろ」というのは、水を求める人に「水を飲まずに我慢しろ」というぐらいに残酷なことでもある。しかし、我慢強さが美徳の日本では「孤独」という気持ちにフタをして、それに耐えるべきだという精神論がまかり通っている。

 日本は「ソーシャル・キャピタル」が先進国最低の101位

  孤独には「コミュニティ」と「コミュニケーション」の欠如という二大要因がある。前者の観点で見ると、「地縁」「血縁」という昔からのセーフティーネットが都市化や核家族化などで消滅しつつある中、それに代わる「コミュニティ」が欠落しているのが日本社会の大きな問題だ。家族以外のネットワークやコミュニティ、ボランティアや地域活動への参加などといった社会や地域における人々の信頼関係や結びつきを表す「ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)」が極端に低いのだ。イギリスのレガタム研究所の2017年版のランキングによると、日本は全世界149カ国中、101位。先進国中では最低で、ルワンダ、イラン、ニカラグア、ザンビア、ガーナなどを下回った。日本はほかの指標、例えば「健康」や「安全性」などでは高い数値を獲得しているが、この「ソーシャル・キャピタル」だけが突出して低い。

 「仕事が、生きがいなわけではない」。そう思っていても

  全国民の問題となりつつある孤独だが、特に事態が深刻なのが、中高年の男性だ。

 前述のOECDの調査では、「友人や同僚もしくはほかの人々と時間を過ごすことのない人」の割合は日本の男性が16.7%と21カ国の男性中、最も高かった。平均値の3倍に近く、スウェーデン人男性の約1%、アメリカ人男性の約4%などと比べても突出した水準だ。

 その背景には、日本の特殊な労働文化がある。長時間労働の中で、友人や趣味などを作る暇もなく、汗水たらして働き、気がつくと退職の日を迎えるという人も少なくない。今や就業人口の約9割が「サラリーマン」。散々、「やりがい」を搾取された挙句に、定年で会社システムから「強制退去」という憂き目にあう。転職することもなく、一生、同じ会社に働き続けることの多い日本のオジサン。40年近くも引っ越しもせず、住み慣れた「家」を追い出される恐怖感・絶望感は、例えようのないものだろう。

 「仕事が、生きがいなわけではない」。そう思っていても、やりがいや仲間、居場所を提供してくれていた職場を失い、「認められない」「必要とされていない」といった思いにとらわれる。まるで、自分が「透明人間」になってしまったような寂しさと満たされぬ承認欲求を抱えた「不機嫌なオジサン」が増えていく。都内の精神科医は「サラリーマン男性の場合、退職して、肩書きを失うと、何者でもなくなってしまう。家庭内でも外のコミュニティでも居場所が見出せず、気がつけば趣味もなく、被害者的になり、何でも他人のせいにするような歪んだ精神構造になる」と指摘する。

 もう一つ、「男性の孤独」の裏にあるのが、「男のプライド」という厄介な代物だ。特に、終身雇用、年功序列制度という「タテ社会」の中で、上意下達の「ポジショントーク」を40年間続けると、フラットな立ち位置で胸襟を開いたコミュニケーションがなかなかできなくなってくる。話すこと自体を目的とし、地球が滅びるまで面と向かって営々と話し続けることができる女性と、コミュニケーションは目的を達成するための手段であり、スポーツやゲーム、お酒など、何らかの介在がないと話しづらい男性とでは、「コミュ力偏差値」に差が出やすい。

 


 

 今朝も新雪で真っ白になっていたが、日中は風が強く冷たいが春の陽射しが注いだ。

180㎝ある暴風網の支柱。先日まではすっぽり雪に埋まっていたがだいぶん出てきた。融けたというより締まったという感じだ。

窓を塞いでいる雪をどける。

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安倍内閣支持率30%割れ寸前

2018年03月19日 | 社会・経済

 

安倍内閣支持率30%割れ寸前…昭恵夫人「国会招致」必要6割

 

   日刊ゲンダイ 2018年3月19日

  安倍内閣の支持率が大暴落だ。この週末(16~18日)に実施された各種世論調査で、支持率が30%割れ寸前まで急落。逆に、不支持率は過半数に達する勢いだ。
 朝日新聞の調査では、支持率は前回2月調査から13ポイント減の31%に急落、不支持は11ポイント増の48%に上った。毎日新聞でも、支持率は前回2月調査から12ポイント下落して33%に、不支持は15ポイント増の47%となった。日本テレビの調査では支持率30・3%に対して、不支持は何と53・0%と過半数に達した。

 また、財務省による文書改ざんについて「首相に責任がある」との回答が朝日82%、毎日68%、共同通信66%となった。朝日調査では、安倍首相が国会で「書き換え前の文書を見ても、私や妻が関わっていないということは明らか」と答弁したことに、72%が「納得できない」と答えた。

 安倍首相の昭恵夫人の国会招致について「必要だ」が、共同65・3%、日テレ65・2%、朝日65%、毎日63%。国民の3人に2人が、佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問だけでなく、昭恵夫人の国会招致を求めている。

 国民の大多数が、安倍夫妻が森友学園への国有地の大幅値引き売却に関わっていたと見抜いているのだ。

 これら調査の1週間前の9~11日に行われた世論調査の内閣支持率は、NHK44%、読売新聞48%、産経新聞45%と、下落しながらも40%台を維持していた。わずか1週間でそれが30%割れ寸前で、今週中に30%を割るのは必至。

 安倍首相にとって“最大の後ろ盾”である内閣支持率がこの惨状だから、退陣も時間の問題だ。

 

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こんな中、気になるニュースが

審議は1回 小池都知事が密かに急ぐ“デモ封じ条例”の中身

  日刊ゲンダイ 2018年3月18日

 「ホントのこと言え」「サガワじゃなくて、アベーがヤメロ」――。16日夜も、そぼ降る雨の中、抗議の叫び声が鳴り響いた。官邸前には連日、公文書改ざんの真相究明と政権退陣を求めるデモに、数千人規模の国民が押しかけているが、数カ月後にはこの光景も見られなくなるかも知れない。

 理由は小池都知事が急ぎ足でこっそり成立をもくろむ東京都迷惑防止条例の「改悪」だ。

「盗聴防止強化の改正と言われていましたが、2月に公開された案は、トンでもない代物で驚きました」(都議会関係者)

 不意打ちの改悪は“デモ封じ”の仕掛けが満載だ。まず、条例案では、つきまといの規制強化が、現行のストーカー規制とは次元が異なる。今月、条例案への反対声明を出した「自由法曹団」の船尾遼弁護士が言う。

 「ストーカー規制法は『恋愛感情』でのつきまといが対象で、交際や復縁を迫るなど行為の態様からその感情を推認できます。ところが、条例案の要件の『ねたみ、恨みその他悪意の感情』はあいまいで、『安倍ヤメロ』というデモの掛け声だって“悪意”とみなされる恐れもある。他にも、拡大解釈可能で恣意的運用につながる規定が多い“ザル法”です」

 名誉毀損の成立もハードルが大きく下がる。現行刑法の名誉毀損罪は「公然と人の社会的評価を低下させること」が要件な上、被害者の告訴が必要だが、今度の条例案は、告訴が不要で「公然と」は抜け落ち、単に「名誉を害する」だけで成立。国会前や路上での抗議行動もSNSの発信も、捜査機関が「名誉を害した」と判断すれば即、逮捕だ。

 ■3月29日にスピード採決

 さらに「監視していることを告げること」も処罰の対象となり、張り込み取材やオンブズマンの監視活動も制約される。

  こんな危険な条例案を19日の都議会「警察・消防委」で、たった1回だけ審議し、29日の定例会最終日には採決する段取り。施行は7月の予定だ。

 「現状、規制強化が必要な事態は生じていないのに、なぜ条例を改めるのか。立法事実が明らかではない。それでも成立を急ぐのは、今後の改憲に向け、『反対』世論の盛り上がりへの警戒ではないでしょうか。例えば、デモ参加者に『条例違反になりますよ』と注意するだけで、萎縮しますからね」(船尾遼弁護士)

 落ち目の小池知事が失地回復に向け、連日のデモに戦々恐々の安倍首相をアシスト。「デモ封じ」で政権に恩を押し売りしているようにも見える。こんな“希代の悪法”を本当に成立させるのか。都議全員の良識が問われる。

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