話題:肝炎患者 歌で応援 札幌の専門医 17日に福岡市でつどい
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夢はきっとかなう--。全国300万人以上と推定されるウイルス性肝炎の患者を励ますため、ギターを担いで駆け回る肝臓医がいる。札幌緑愛病院(札幌市)の医師、川西輝明さん(45)。医療行為による感染の多くは訴訟などで救済への道筋がついたものの、偏見を恐れて治療に消極的な患者は少なくない。川西さんが参加する「歌と講演のつどい」が17日午前10時から、福岡市博多区博多駅前1の博多駅前センタービル4階である。
川西さんは診療の傍ら、集団予防接種の注射器使い回しで感染した患者らの「B型肝炎訴訟」(今年6月和解基本合意)を支援してきた。医師から麻薬の使用を疑われ、傷ついて無気力になった原告もいる。薬の副作用に加え、肝がんに進行する不安、社会の偏見など、患者は多くの困難と向きあっている。
3年前から、ふさぎ込む患者を励ましたいと講演会場で自作の歌を披露するようになった。レパートリーは5曲。「あきらめないで」は5年前、C型肝炎から肝がんを発症した女性とその夫に贈ったものだ。
女性はハワイ旅行を目標に闘病し、夢をかなえる前に亡くなったが、この歌を患者の集まりで披露すると、参加者が涙を流しながら聞いてくれた。「歌で患者同士をつなげたい」と願う川西さんの温かい歌声に、重苦しい会場の雰囲気がやわらぐ。「健康を回復することが患者さんの社会貢献。胸を張って治療に専念してほしい」と川西さんは話す。
17日のつどいでは、ウイルス性肝炎の最新治療、肝炎対策に関する講演に続いて歌の集い、患者と支援者の交流会を予定している。無料。問い合わせは「肝がん検診団」(011・350・1008)。【久野華代】
<あきらめないで>
あきらめないで君の夢を きっとかなう君の夢を
あきらめないで今この時を 精一杯生きる人がいる
だからぼくは君を見つめ 君をそっと支え続ける
だからぼくは君とともに 夢をきっとかなえてみせる
そんな君が素敵な夢をきっとかなえるその日まで
ぼくは決してあきらめない 夢を笑顔でかなえる日まで
だからぼくは君とともに きっとかなう夢をみる
だから君はいつまでも かなう夢を信じて下さい
2011年9月15日 毎日新聞のページはこちら