肝臓病と共に生きる人たちを応援します

肝臓友の会との関わりで成長した肝臓専門医のブログです。2017.2.12より新規開始しました。

NAFLDは軽度でも死亡リスクを上昇って 確かにあり得る話しです メディカルトリビューンから

2020年10月28日 | 脂肪肝・脂肪肝炎
NAFLD(非アルコール性脂肪肝)って、アルコールを飲まない人の脂肪肝でも死亡リスクがあがるという報告。糖尿病の方の寿命が縮むのも同じようなことが背景にあるからなんでしょうね。肝臓以外のがんが含まれているところが、肝臓専門医にとっては悩ましい。。。全身のチェックが更に重要となってきます。認知症や他の病気も引き起こしやすいでしょうから、肝臓を元気にすることをテーマに頑張るのが一番と思うようにします。

ーーーーーー以下 メディカルトリビューンからコピペ Facebookでもシェアしていますーーーーー
NAFLDは軽度でも死亡リスクを上昇 2020年10月26日 11:45
 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は肥満者に多く、欧米では成人の約25%が罹患しており、慢性肝疾患の最多原因となっている。米・Massachusetts General HospitalのTracey G. Simon氏らは、スウェーデンの全国登録の肝組織学データを用いてNAFLDと死亡リスクとの関連を検討。死亡率は重症度に従い上昇するが、軽症の脂肪肝のみでも死亡リスク上昇と関連するとGut(2020年10月9日オンライン版)に報告した。
○病理学データに基づく初の人口レベル研究
 NAFLDの組織学的な死亡予測因子として、肝線維化の進行と肝硬変が重要であることは、以前の小規模臨床研究で示されていたが、人口レベルで肝臓の組織学的データを解析した研究はこれまで存在しなかった。
 今回の研究は、NAFLDによる疾患負荷が増大していることを受け、スウェーデン・Karolinska Institutetと共同でスウェーデン全国を網羅する包括的な組織病理学コホートESPRESSO※のデータを用いて実施された。同コホートは200万人超の組織病理学データを集積しており、患者、死因、処方薬、がんなど、同国のさまざまな全国登録との紐付けが可能である。
 Simon氏らは、1966~2017年にスウェーデンの全病理学研究室28施設に提出された肝生検標本から、組織学的にNAFLDが確認された患者1万568例のデータを抽出。NAFLDのステージにより①単純性脂肪肝②非アルコール性脂肪肝炎(NASH)のうち線維化を伴わないもの③非硬変性の線維化④肝硬変−の4つに分類して年齢、性、暦年、居住地をマッチさせた一般人口4万9,925人(対照群)と比較した。
○脂肪肝のみでも死亡リスクは1.7倍
 中央値で14.2年の期間中にNAFLD群では4,338例が死亡し、対照群に対するNAFLD群の全死亡率は有意に高かった〔1,000人・年当たりの死亡数:対照群16.9人、NAFLD群28.6人、群間差11.7人、調整済みハザード比(aHR)1.93、95%CI 1.86~2.00、図-A〕。
図. 対照群に対するNAFLD群の累積死亡率

(Gut 2020年10月9日オンライン版)
 対照群に対するNAFLD群における死亡率の超過は、単純性脂肪肝のサブグループから既に見られ(1,000人・年当たり8.3人、aHR 1.71、95%CI 1.64~1.79)、非線維化NASH(同13.4人、2.14、1.93~2.38)、非硬化性線維症(同18.4人、2.44、2.22~2.69)、肝硬変(同53.6人、3.79、3.34~4.30)とステージが進行するにつれて増大した(傾向性のP<0.01、図-B)。
 ステージ進行と死亡率増大の関連は、単純性脂肪肝を参照群とした場合でも同様であった(傾向性のP<0.01)。
○肝外がんと肝硬変が死亡率増大に寄与
 NAFLD患者群における死亡率超過の寄与因子は、主に肝外がん(1,000人・年当たり4.5人、aHR 2.16、95%CI 2.03~2.30)と肝硬変(同2.7人、18.15、14.78~22.30)で、心血管疾患(同1.4人、1.35、1.26~1.44)と肝細胞がん(HCC:同1.2人、11.12、8.65~14.30)の寄与度は比較的低かった。
 筆頭研究者のSimon氏は「今回の研究は、詳細な肝組織学的データを用いてNAFLDが全死亡リスク増大に寄与することを初めて全国コホートにおいて確認した研究である。これらの知見は、標的を絞り込んだ介入法の開発によりNAFLD患者の死亡率を低下させる方策に活用されるべきである。NAFLD患者は急増しており、NAFLDから肝硬変への進行および肝外がんを予防するための公衆衛生策が必要である」と述べている。
 研究責任者で同研究所のJonas F. Ludvigsson氏は「スウェーデンの全ての病理学部門にコンタクトを取ることにより、NAFLDを含むさまざまな消化器疾患の検討が可能な全国レベルの消化器組織病理コホートを構築できた。ESPRESSOコホートを活用して今年(2020年)に発表された研究は、今回のNAFLDと死亡リスクに関する研究で17件目である」と述べている。
※ Epidemiology Strengthened by histoPathology Reports in Sweden
(小路浩史)

膝関節の痛みにウコンが効くかもって ケアネットさんから

2020年10月28日 | 学会研究会報告新聞記事など
 
 写真は、厚沢部の前井食堂のカツカレー。
ウコンというと肝臓にいいと思ってとる方が多いですが、膝の痛みにも効果があるかもって報告がありました。
いろんな痛みの軽減の可能性もあるのか、その辺は分からないですが、食事療法によるいろんな体の反応は、その人にとって理想的な形になるならいいですよねえ。
くれぐれもそのために沢山とるのではなく、食生活の中の一つの材料としてとるようにしてみるところで実践していただければと思います。

膝関節の痛みにウコンが有効か
提供元:HealthDay News 公開日:2020/10/20
 カレーに使われるスパイスであるターメリック(ウコン)が、膝関節の痛みを和らげてくれるかもしれない。タスマニア大学メンジーズ医学研究所(オーストラリア)のBenny Antony氏らが実施した臨床試験で、ウコン抽出物に変形性膝関節症の痛みを軽減する効果のあることが示された。研究結果の詳細は、「Annals of Internal Medicine」9月15日オンライン版に掲載された。
 関節炎はごくありふれた疾患の一つで、米疾病対策センター(CDC)によると、米国には3250万人以上の患者が存在する。関節炎の中でも多いのが、変形性膝関節症である。変形性膝関節症では、膝関節でクッションとして働いている関節軟骨が加齢に伴いすり減ることで、痛みやこわばりが生じたり、関節可動域が狭まったりする。
 Antony氏らは今回の研究で、症状のある変形性膝関節症患者70人を、ウコン抽出物を12週間にわたり1日2カプセル摂取する群(ウコン投与群、36人)とプラセボを1日2カプセル摂取する群(プラセボ群、34人)にランダムに割り付けて、膝の疼痛軽減に対するウコン抽出物の有効性を検討した。
 その結果、試験開始12週間後に、ウコン投与群ではプラセボ群と比べて、視覚アナログスケール(VAS)で評価した膝の痛みが改善したことが明らかになった(−9.1mm、95%信頼区間−17.8〜−0.4、P=0.039)。また、変形性膝関節症に特異的なQOL尺度で、痛み、こわばり、身体機能の3つのサブスケールから成るWOMAC(Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index)を用いた評価でも、痛みの軽減が確認された(−47.2mm、95%信頼区間−81.2〜−13.2、P=0.006)。一方、MRIによる測定では、滑膜炎に伴う滲出液の量に変化は認められず、関節軟骨の構成成分にも変化は認められなかった。
 Antony氏は、「この研究結果は、ウコンが変形性膝関節症による痛みを緩和するための選択肢となり得ることを示唆するものだ」と述べている。そして、「今回の研究は、規模が小さく、試験期間も3カ月間と短かった。今後、さらに大規模な臨床試験を実施して、ウコンによる膝の痛みの緩和が長期間持続するのかを確認する必要がある」との展望を示している。
 この研究では、ウコン摂取により膝の痛みは軽減したものの、MRIによる所見には明確な改善が認められなかった。この点について、米マウント・サイナイ病院で統合的疼痛管理を指揮するHouman Danesh氏は、「そうした効果は期待していなかったため、驚きはなかった。一つのMRI所見は、ストーリーを構成する一文のようなものだ。画像診断だけでなく、痛みなどの症状とあわせて総合的に解釈する必要がある」と話す。そして、この研究結果については、「有望かつ励みになる」と評価している。
 Danesh氏は、「変形性膝関節症では、疼痛管理のために、市販薬以外の選択肢のあることが重要だ」と強調する。なぜなら、変形性膝関節症患者は市販の鎮痛薬(アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセンなど)を服用することが多いが、これらの薬剤は効果が控えめである上に、胃の不調などの副作用が生じることもあるからだ。また、こうした市販薬の長期使用は、心疾患の発症リスクや腎臓がダメージを受けるリスクの増加を招く可能性もある。
 Antony氏は、「スパイスは、大量に摂取すると胃腸障害を引き起こす可能性があるが、ほどほどの量の摂取であれば安全だと考えられていることから、ウコンを試してみる価値はある」としている。一方、Danesh氏は、ウコン抽出物ではなく、ウコンそのものを試してみることを勧めるとともに、臀筋(尻の筋肉)を動かして鍛えることに重きをおいた運動プログラムを行うことで、バランスの取れた歩行パターンを身につけることも、変形性膝関節症の痛みの軽減に有効だと助言している。

原著論文はこちら
Wang Z, et al. Ann Intern Med. 2020 Sep 15. [Epub ahead of print]