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大分単身赴任日誌

前期高齢者の考えたことを、単身赴任状況だからこそ言えるものとして言ってみます。

「筆界認定の在り方に関する検討会」について・・・連載2

2020-09-14 08:34:33 | 日記
(2)「筆界確認情報」提供要求の現状に関する現実認識
この事実認識をめぐる問題は、より基本的な事柄についてもあります。
そもそも、「筆界確認情報」は、どの程度求められているのか、どのような場合にどこまでの範囲で求められているのか、ということに関する事実認識です。
「法務局によっては、一定の場合に確認情報を求めないこともあり、統一がされていない」と言われる全国的な実態については、次のようになっていると言われます。
「筆界確認情報」の提供を求めるという規定あるのかどうか、ということに関する全国各局の実情は、「提供を求める」24局、「可能な限り求める」10局、「提供を求める規定なし」16局であり、印鑑証明書の添付については「提供を求める」9局、「可能な限り求める」11局、「提供を求める規定なし」30局となっている、とのことですが、この分類では実態を見切れない部分があるように私には思えます。
その点を見るために、私の知る大分(九州)の状況について見てみます。
大分(九州)の法務局には、「土地建物実地調査要領」(平成23年11月15日改訂)というものがあり、その第35条で「筆界の認定」に関することが規定されており、それは次のものです。
「第35条 登記官は、地積の更正又は分筆の登記等において,土地の筆界の認定を行う揚合は、申請人又は申請代理人、隣接する土地の所有者等の立会いを求めて行うものとする。ただし、以下のいずれかに該当する揚合については、立会いを省略することができる。
(1)附録第12号様式による立会証明書又はこれに準ずる証明書が印鑑証明書を添付して提出されている揚合であって、申請情報、添付情報及び登記官が登記所内外で収集した資料と現地とが整合しており、筆界が明確である揚合。ただし、印鑑証明書を添付することができない揚合は、証明者本人が署名したことを申請人又は申請代理人が当該証明書に添え書きし、これについて申請人又は申請代理人が署名・押印したものを添付することで差し支えないものとする。
(2)法第14条第1項地図が整備されている地域に所在する土地の筆界であって、当該地図の現地復元により指示される地点に地図作成当時に設置された筆界点と認められる規則第77条第1項第9号に規定され別表第4に掲げる境界標及び地図作成当時に測量の基礎となった規則第10条第3項に規定され別表第4に掲げる基本三角点等が現存しており、これら複数の境界標及び基本三角点等により当該筆界を現地において復元することができる場合
(3)現地復元性のある地積測量図が提出されており、当該地積測量図の現地復元により指示される地点に地積測量図作成当時に設置された筆界点と認められる境界標、地積測量図作成の測量の基礎となった基本三角点等又は別表第4に掲げる恒久的地物が現存しており、これら複数の境界標及び基本三角点等又は複数の境界標及び恒久的地物により筆界を現地において復元することができる場合
(4)当該筆界について、筆界特定がされている揚合」
筆界認定を行うに当たっては、登記官が実地調査で土地所有者の立会を得て行うことを本則とする、という建前(これ自身現実に即さないものでいかがかと思いますが)の上で、その適用除外として(1)~(4)が挙げられています。そのなかの(1)が「筆界確認情報」の作成・提供を求める規定であり、(2)は14条地図、(3)は既提出地積地積測量図によって復元可能な場合、(4)は筆界特定のなされた土地、というものです。
このような大分(九州)の規定を、私は合理的なものだと思いますが、これは上記の全国の実情に関する分類でいうと、どれにあたるのでしょうか?たしかに「筆界確認情報」の作成・提供に関する規定はありますし、印鑑証明書についての規定もあります。しかしそれは、例外規定のうちの一つとしてなのであり、「提供を求める」というのとは違いますし、「可能な限り求める」というのとも違うように思えます。
ここでは、問題は「筆界確認情報」を軸にして立てられているわけではないのです。それはあくまでも、「必要があるときは求める」ものに過ぎないのであり、「必要でないときは求めるまでもない」ということになるわけであり、「筆界確認情報」をどうするか?ということが主要議題として立てられているわけではないのです。
これは、きわめて当たり前のことで理論的な考え方として正しいものと思えますし、実務上の感覚、現実に登記審査の中で行われていると思われることと合致するものです。
そしてこの「必要な時に求める」ということであれば、次の問題は「どのような時に必要とするのか?」、逆に言うと「どのような時には不要なのか?」ということが問題になります。問題は、あくまでもここに立てるべきなのであり、「筆界確認情報を求める」取り扱いが広く行われている、ということを前提にしてしまったうえで、「確認情報を得ることが困難な場合」にはどうしようか(不要又は軽減できるか)、というようなところで立てるのは、「筆界確認情報」に引きずられすぎた問題の立て方なのであり、正しくないように思えます。

参考 
なお、改定前の平成19年制定の大分(九州)の法務局「調査実施要領」では、次のような規定になっていました。
(立会証明書等の添付)
第24条 地積の更正の登記の申請情報には、できる限り,当該±地に隣接する土地の所有者又は代理入において作成した「土地の筆界について異議なく確認されたものである。」旨の、附録第9号様式による立会証明書又はこれに準ずる情報の添付を求めるものとする。
2 前項の添付情報には、できる限り、関係人の印鑑証明書の添付を求めるものとする。
この改定前の規定であれば、「筆界確認情報の提供」「印鑑証明書の提供」のいずれについても「可能な限り求める」に分類するので妥当なのだと思われますが、それでも、分筆の場合には「添付された地積測量図が既提出の地積測量図と符合する場合には、添付を省略することができる」(4)、「立会証明書は、登記官において、添付された実地調査書の記載等によって、筆界が確認されたことの信ぴょう性が得られた時は、その実地調査書をもってこれに代えることができる」(5)とされていたのであり、何が何でも提出を求めるというものではなく、「必要に応じて」という面を持つものであった、と言えます。
それにしても、この平成19年要領では、「立会証明書」という「筆界確認情報」の提供ということで本則が立てられ、その適用除外をも考える、という形で構成されていたわけですが、平成23年改訂版は、そもそもそのような構成をとっていません。この違い(進化)を、10年後の今、改めて考えるべきだと思います。

「筆界認定の在り方に関する検討会」について・・・連載①

2020-09-11 12:42:06 | 日記
ずいぶんと長い間、ブログの更新をせずに来ました。特に事情があった、ということではないのですが、自分が書かなければいけないと思うようなことがなく、ズルズルと月日が過ぎました。
その状態に大きな変化はないのですが、そろそろ「最後」に向けて言うべきことは言っておきたいとも思い、最近の重大トピックだと私の思う「筆界認定の在り方検討会」について、何回かに分けて書いていきたいと思います。             


「筆界認定の在り方に関する検討会」が開催されている、ということです。この検討会は、一般社団法人金融財政事情研究会が主催して法務省、財務省、国土交通省等の関係省庁、弁護士、土地家屋調査士、司法書士、法務局の実務家、有識者などが参加して「筆界認定の在り方」等に関して検討を行うもの、だといいます。
具体的には、土地の表示に関する登記(表題登記、地積更正登記、分筆の登記)の審査、登記所備付地図作成作業における筆界を調査・確認する際に、筆界を接する各土地の所有者の当該各筆界に係る認識が合致していることを証するものとして、各土地の所有者の全員が立ち会い当該筆界を確認したことを証する情報(「筆界確認情報」)の提供を求め、登記官が筆界を認定する際の有力な証拠として取り扱っている、という現状があるわけですが、これが不動産取引の阻害要因となっているとの指摘がなされている(確認情報を得るための労力が過大となるケースや、隣地所有者が不明であるケースでは確認情報を得ることに実際困難を伴い、そうすると分筆等が進まない)とのことで、そのようなことを受けて
「本検討会は、一部の場合に、確認情報の作成・提供を不要又は軽減することを検討するものである。」(登記情報702号2020.5伊藤栄寿上智大学法学部教授)

とのことです。
私は、以前より登記実務における「筆界認定」のあり方、特に「筆界確認情報」をあまりにも偏重し、過度に頼り切っているあり方には大いに問題があると思っていました。特に最近の社会情勢の変化から、人びとの土地に対する意識や境界に対する認識が大きく変わってきている中にあって、このような状態を続けていくことは、社会経済活動への支障となっていくのではないか、特に国際化の進む中で一つの非関税障壁として国際問題にもなってしまうのではないか、と危惧していました。
ですので、この「筆界の在り方検討会」は、まことに時宜にかなったものであり、意義は非常に大きいと思います。特に私たち土地家屋調査士にとっては、最重要のものと言えるのだと思います。
「登記情報」誌の報告(706号)によると、検討会はすでに「1月29日の第1回会議及び同年6月19日の第2回会議に引き続いて、同年7月29日に第3回会議が開催された。」とのことであり、次回では「取りまとめ」がなされるそうです。どのような形で取りまとめられるのか期待するものですが、その期待感から、いくつか思うところを述べることとします。

1.前提としての「筆界確認情報」をめぐる現状認識
(1)共有者全員の筆界確認情報?
率直に言って不安を覚えるのは、この「筆界確認情報」をめぐる検討がどれほど「現実(実態)」に即して行われているのか?ということです。
たとえば端的な例として、第3回検討会について、「登記情報」誌(706号)が次のように報告している事柄があります。
「第3回会議では、・・・『筆界確認情報の作成主体が複数であり得る場合において、そのうちの一部の者の作成した筆界確認情報で足りるとすることが考えられないか』という問題設定の下、以下のとおり、検討・議論が行われた。」
「第一に、「隣接土地に共有者又は未登記相続人の一部の者が占有しているケースではその者の筆界確認情報で足りるとすること」について検討された。
「第二に、「隣接土地に占有者が存せず合理的な探索をしてもなお共有者又は未登記相続人の一部の所在等が知れないケースでは所在等を把握することができた共有者又は未登記相続人の筆界確認情報で足りるとすること」(以下省略)
この問題設定では、「ある土地が複数の相続人によって共有されている場合には、原則として、共有者全員(相続人全員)の筆界確認情報の作成・提供が必要とされていることが多い」という現状認識がベースにあるようです。だから、「そのうちの一部の者の作成した筆界確認情報で足りるとすることが考えられないか」という問題設定がなされるわけです。
しかし、私はこの現状認識自体に疑問を持っています。私の知る「現実」は、このような場合には「そのうちの一部の者の作成した筆界確認情報で足りるとすること」が実際になされています。所有権界についての確定協議であれば全員でするものでなければならない、ということになるのでしょうが、「筆界確認」はそれとは異なり「客観的に固有」な筆界に関するものであり、筆界認定の一資料にすぎない、という建て付けの下で求められているものですから、「共有者又は未登記相続人(の共有)」の場合、その中の誰かが占有している(上記第一)とか、その中に所在不明の者がある(上記第二)場合にはもちろんのこと、たとえそのような事情がないとしても、一部の者の「筆界確認情報」をもって足りるとする取り扱いが現実にはなされているものと思います。
これは、私の知る範囲内のことであり、「法務局によっては、一定の場合に確認情報を求めないこともあり、統一がされていない」(前掲伊藤教授)ということですので、全国的な「現実」については確言できませんが、理論的に考えてもこのような取扱いが一般的であるべきだと思いますし、そうでないという話は聞いたことがありません。またもしも、このような場合に「共有者全員の筆界確認情報が必要」というような運用が実際になされているとすると、それこそ筆界認定がなしえないとして分筆登記等ができない事案が続出してしまい、不動産取引の大きな阻害要因になっていることでしょう。事態はそこまでは行っていないのだと思います
そして、そうだとすると、検討会の第三回会議において検討した議論というのは、ドン・キホーテが風車を巨人だと思って突撃したように虚構に対してなされたものであり、そこから新しい方向性が見えてくるわけではないように思えてしまいます。
もちろん、このような検討を行い、「一部の者の筆界確認情報で足りる」という現状に即した結論を出すとかか、さらに進んで「そのような場合には筆界確認情報を求めること自体を不要とする」というような結論を出す(ために議論する)ということには意義がある、と言えるでしょう。しかしそのためには、しっかりとした事実に関する確認とその事実認識の共有が必要なのであり、それがきっちりとなされているのか?ということについて疑問と不安を抱かざるを得ないのです。
・・・・以下、かなり長い「連載」として、3日おきくらいに書いていきたいと思います。


「ラストエンペラーの悲哀」・・・・?

2020-06-03 19:00:03 | 日記
毎日寝る前に床の中で小説を読むことにしていて、今は浅田次郎の「蒼穹の昴」に始まる近現代中国史シリーズの第5弾「天子孟塵」を読んでいます。極めて独自な歴史評価、人物評価(それが正しいかどうかはともかくとして)で、なかなか面白いものです。
昨日読んだところに次のような話がありました。
大清帝国のラストエンペラー愛新覚羅溥儀が「満州国」の「執政」という立場にあったときの嘆きです。
「法律によれば、執政は満州国を統治し、三権を行使し、緊急教令を公布し、官吏を任免し、陸海空軍を統率するのである。その権限はまさしく全能」であるはずなのに、全然そのようになっていない。少し外出しようとしただけのことに対しても日本軍が出てきて、阻止されてしまい、まったく思うようにできない・・・と。
「満州国」というものは日本の傀儡国家にすぎないので、そこでの「法」がどう定められていようとその「上」にあるものがあり、宗主国である日本の意向には逆らうことができない、という「傀儡の悲哀」です。
なんということのない小さなエピソードで、普段なら軽く読み飛ばすところですが、前回書いたこととの関係で興味深く思いました。
日本土地家屋調査士会連合会の、今年の定時総会の開催方法に関することです。
前回の繰り返しになりますが、次のようなことです。・・・・日調連の会則においては、総会というのは、「総会の構成員」(これが178人)の「過半数」の出席がなければ成立しないもの、とされていて、「代理人」についての定めもあるもののその「代理人」は、「総会の構成員以外の者であって、当該調査士会の調査士会員である者に限る」とされているので、もともと「総会の構成員」であるものをもって代える、ということはできず、どうしても「178人の過半数の90人」が現実に出席しなければ、日調連の総会は成立しない、というのが、日調連の「会則」上の決まり、としてある・・・・・けれども、「令和21年度の定時総会に限り、総会の構成員は総会の他の構成員を代理人として定めて議決権を行使できることとする」ということを「理事会」で決議して、その上で10人程度の現実の出席で「総会」を開催しようとしている、・・・・・ということについて、明らかな会則違反だろう、ということを前回書きました。
これについて、いくつかの反応がありました。その中のひとつは、「あなたは会則違反で問題だと言うけれど、法務省民事2課のお墨付きをもらっているのだから問題ないんじゃないの」というものです。
なるほど、日調連國吉会長は、上記理事会決議の前の4月13日に、そのような形で総会を開催することについて「会則に照らして合わせ疑義がありますので照会します」としてお伺いを立て、翌14日に民事2課長から「貴見のとおり取り扱って差し支えありません」との回答をもらっている、とのことです。
「なるほど、じゃー問題ないじゃん」というのが、件の意見です。
なるほど、「傀儡国」「属領」としての従属意識というのは、ここまできているんだな、とある意味感心させられました。自分たちで定めた「法」があってもそれより「上」のものがある、というのが当たり前のことだと思われるわけですね。
しかし!たとえば、日本政府が、アメリカ・トランプ大統領に対して、「わが国の法律では強制的なロックダウンはできないこととなっておりますが、やはりロックダウンが必要であると考えるところであり、法律上の疑義がありますので照会します」というようにお伺いを立て、トランプ大統領から「貴見のとおり取り扱って差し支えありません」と回答を得れば「それでいいじゃん」・・・・・というようには、どうしたってなりません。いくら日本がアメリカに対して従属的だ、という問題があるにしても、そんな風には絶対ならないのです。それは、日本よりももっとずっと小さな国であっても同じです。「独立国」である以上、そのようなことはありえないのです。
大体、日調連にとって法務省が「所管官庁」「監督官庁」としてあるからと言って、日調連は法律に基づいて設立され、独自の規律を有して、自治的に運営されるべき組織としてある、ということに変わりはありません(・・・みんなそう思っているのかな?という疑問はありますが・・・)。「会則」というのは、その自治的運営を示す「最高法規」です。自分たちで定めた「会則」と、その下位の諸規則に基づいて自治的に組織運営を行っていく、というのが、日調連や各調査士会のような組織にとって、基本中の基本としてあるわけです。
そして、その「会則」は、自分たちで決めたもの(少なくとも形式的には)であるわけですから、その「解釈」を行うのは自分たちであることになります。その自治的な規則である「会則」については、たとえ「監督官庁」であるとしてもお伺いを立てなければいけない、というのは、おかしなことなのです。
もっとも、土地家屋調査士法上、会則の変更には「法務大臣の認可」が必要になりますので、自治的に変更することとした会則が「法務大臣の認可」を得られるかどうか、ということが問題になるわけですので、その点に関する伺いを立てる、ということはありうることです。しかし、すでに成文化された「会則」については、「認可」したものが誰であれ「定めた」のは自分であるわけですから、その「解釈」についてまで、他人任せにしてしまうべきではないのです。
そのようなことをするのは、「自治能力」のまったくない「属領」「植民地」「傀儡国家(組織)」であることを自白するようなものだと言うべきでしょう。そして、そのような姿勢でいる限り、「自立した、尊敬しうる人」には成り得ようがない、ということになってしまうのだと思います。情けないな、と思い、しつこくこだわるところです。

なお蛇足ながら、私としては、前回も書いたように、このような「緊急事態」的状況において、異例の開催方法がとられること自体については、最終的にはやむをえないものと考えることもできると思っていますが、そのような場合、あくまでも謙抑的に必要最低限の議題に絞るべきであり、議論の余地のあるような議題については「臨時総会」を開催して、そこできちんと議論して決する、というのが「正道」なのだと思います。・・・・が、もう一つ、どうしてもわからないところがります。
今年度の総会を「10人程度で開催」するの旨を通知する文書では、
「同定時総会の様子は電子会議システムや配信システムなどを活用し、視聴できるようにします。」
となっています。オンラインでの視聴が可能であるわけです。ということは、おそらくは、オンラインでの「参加」も可能であるはずです。だとすれば、WHOの総会だって、全国知事会議だってオンラインで開催されているわけですから、日調連の総会だってオンライン会議で開けばよさそうなものだと思います。総会構成員は、各調査士会に集まって(2~10人程度が50か所です)オンラインで参加すればいいのですから、不可能なこととは全く思えません。また「会則」上も、「オンラインではいけない」とは(そもそも想定していない、ということでしょうが)書いてないし、そう読み取る余地があるわけでもないように思えますので、そうすればいいのだと思います。(そもそも、件の「理事会決議」自体、オンライン会議の理事会でなされているものです。)
なぜそうしないのでしょう?考えられることとしては、4月10日の各土地家屋調査士会長あての「・・各土地家屋調査士会における定時総会の対応について(お知らせ)」という文書で、「現時点での法務省との協議においては、定時総会の開催の延期、書面による決議、電子会議による開催等を消極に考えております。」と言われているので、「法務省がいけないと言った」というのが理由か、ということぐらいしか考えられません。なぜ「法務省が消極」なのか、よくわかりませんが、それにしても、「明文規定に明確に反する」形での開催よりは、よっぽどマシであるように思えるのですが・・・。やはり「ラストエンペラーの悲哀」ということなのかな?と思って今います。もっとも、溥儀にとってはとっても不本意なことであったのに対して、國吉会長にあっては「自発的隷従」であるところが違うのかもしれません。
それにしても、このように、他の方法がいくらでも考えられるのに、あえて「明文規定に明確に反する」形がとられる、というのは、どういうことなのか?さっぱりわかりません。もしもこのようなことについて、民事訴訟や行政訴訟の形で裁判で争った場合、どうなるのだろう?という興味も湧いてくるところです。

これは「火事場泥棒」と言ってもいいだろう

2020-05-28 21:06:09 | 日記
前回、土地家屋調査士会の「定時総会」のことについて書きました。補足すべきことや、その後に知った事柄もありますので、補足的に書きます。

前回書いたように、大分県の土地家屋調査士会では、今年度の「定時総会」について、出席者を限定して行うのが望ましいとして、できるかぎりの「欠席」を求めています。また、大分県の土地家屋調査士会においては、総会に「定足数」の定めはないので欠席者が多くても一般的な決議事項(特に「決算」「予算」)は決することができて、特に会の執行に支障が出るわけではない、ということになります。
「COVID-19」の感染拡大予防、という点から、この「多くの会員に欠席を求めて少人数で総会を開催する」という方針については、諸般の事情も勘案したところでは、やむをえない、妥当なものだと思います。
しかし、そのうえで、大分県土地家屋調査士会の執行部では、「今回の総会では会則改正案の提案もあり、会則改正については『特別決議』で過半数の出席が必要になるので委任状を出してほしい」と言っています。
これに会員が応じて多くの総会に出席する誰かに委任する委任状を提出した場合、それをも「出席者」にカウントしますので、特別決議の「過半数の出席」の要件を満たして、その過半数の賛成が得られた場合には、「会則改正案」も承認・成立する、ということになります。
このように事が進んだとすると、それは、まったく「会則」の定めるところに基づいてなされた適法なもの、ということになります。形式上の適法性は保たれる、ということです。
しかし、私はそれではいけない、と思います。
先に述べたように、「会の運営を保つ」というところまでは、やむをえないことであり、この「緊急事態」のもとにおいては許容しうるものだと思いはするものの、それを越えてしまう、というのはよくないことだと思うのです。
その理由は、大きく言って二つあります。
1つは、形式的なことです。先に、このような方法は「形式上の適法性は保たれている」と言いましたが、それは本当に最低限の「形式」の問題です。もう少し深いところでは、「総会というものはできるだけ多くの会員が出席して開催されるべきものだ」という「総会の開催形式」についての暗黙の共通認識があるわけで、「ほとんどの会員に欠席を要請するような開催形式は普通ではない」ということが「形式」の問題としてあるわけです。ですから、もしもそれを外れるような形で「総会」を開催するのであれば、きわめて謙抑的になるべきです。具体手には、そこで決定することは、会の運営にとって必要不可欠な事項、に限定するべきなのであり、それ以外のことをするべきではありません。ましてや、「特別決議」として、より多くの会員の賛成が必要とされているような事項についてまで、多くの会員が欠席するようにされている総会において決定するべきではないのです。これは「形式的正当性」に関する問題で、「形式的適法性」よりも厳しく見るべき問題です。
もう一つは、実質的なことです。「会則の改正案」というのは、会員にとって重要な問題としてあります。だからこそ「特別決議」にされているわけです。そして、これまであったものをあえて「改正」しようというのは、よほど前進的なことがあるから、ということなのだと思います(私は今回の「改正案」をそのようなものとは考えませんが)。そうであれば、やはり、「総会」という場において、多くの会員にその趣旨を説明し、それに対する疑問点に答えたり、反対論に反駁したりして、そのような前進的な措置への広く深い理解を得た(という手続きを踏んだ)上で決議することが望ましい、と言うか、そうあるべきなのです。「検察庁法改正案」を断念した時の安倍首相風に言えば「国民の理解なくして前に進むことはできない」(よく言うよ)のです。逆に言うと、そのような理解を得る機会のないような総会においては、会の運営に必要不可欠な事項以外を取り扱うべきではなく、ましてや「会則改正案」というような大事な事案を入れるべきではないのです。
さらに言うと、大分会を含む多くの会において、おそらく8-9月という、「COVID-19」の感染が比較的に抑えられているであろうと予測される時期に「全体研修会」が予定されているだろうと思われます。それに合わせて「臨時総会」を開催する、ということは可能なことだと思えます。そうするべきだと思うのです。

・・・以上、大分会(等の単会)のことについて書きましたが、これは言わば本題に入る前の前説です。
日調連の総会について、以上に書いたこと以上の、異常なことが起きているということで、それについて書きます。
まず、結論的にどのような形で日調連の「第77回定時総会」が開催されようとしているのか、ということを紹介します。日調連発出の文書(日調連総発第39号。令和2年5月26日)によると、
「本月22日に開催の第1回正副会長会議において協議した結果、少人数が参集する方式により開催することとし、当連合会役員の出席については、当職、鈴木副会長、内野・山本・原田常任理事及び監事とし、左記以外の役員におかれては議決権の行使を当職へ委任いただきたいと考えております。」
>「代議員の委任を受けた各土地家屋調査士会長は、当職又は東京の直近県である東京土地家屋調査士会、神奈川県土地家屋調査士会、埼玉土地家屋調査士会、千葉県土地家屋調査士会の会長を復代理人として選任いただき、議決権を行使することにより、土地家屋調査士会長が総会に参集することなく、開催する方法とします。」
とのことです。通常であれば200人弱が出席するべき総会を、10人程度の出席で「開催する方法とします」、ということなのです。
すごいことです。さらにすごいのは、この方法は、大分県土地家屋調査士会においてそうであるように、「形式的には適法」な開催方法ではないことです。ややくどくなりますが、日調連の「会則」における「総会」に関する規定を以下にあげます。
「第16条 総会は、役員と調査士会の会長及び代議員(以下これらの者を「総会の構成員」という。)をもって組織する。」
>「第19条の2 総会は、総会の構成員の過半数の出席により成立する。」

「第21条 2 調査士会の会長及び代議員は、代理人によって、議決権を行使することができる。ただし、代理人は、代理権限を証する書面を総会に提出しなければならない。
3 前項の代理人は、総会の構成員以外の者であって、当該調査士会の調査士会員である者に限る。」
つまり、日調連の会則においては、総会というのは、「役員と調査士会の会長及び代議員」(これが200人弱)の「過半数」の出席がなければ成立しないもの、とされているわけです。その上で「代理人」についての定めもあるわけですが、その「代理人」は、「総会の構成員以外の者であって、当該調査士会の調査士会員である者に限る」とされているので、もともと「総会の構成員」であるものをもって代える、ということはできません。どうしても「200人弱の過半数の100人弱」が現実に出席しなければ、日調連の総会は成立しない、というのが、日調連の「会則」上の決まり、なのです。
しかし、これについて、上記文書によると、
「令和2年度第1回理事会において、『令和2年度の定時総会に限り、同会則第21条第2項及び第3項とは別に、総会の構成員は総会の他の構成員を代理人と定めて議決権を行使することができることとする。』旨及び〈令和3年度以降の定時総会においてその旨を報告し承認を頂くこと〉を決議したところであります。」
ということで、この文書において言うところの「10人程度での開催」も「適法」だということになるようにされています。
しかし、「総会の開催方法」というのは「会則」において定められることであり、それを下位機関である「理事会」において勝手に変えてしまう、というようなことが許されるはずもありません。もしも、何の留保もなく「令和2年度第1回理事会」が上記のことを「決議」したのであれば、その「決議」自体が無効、と言うべきでしょう。
・・・とすると、日調連の今年度の総会は、少なくとも100人程度(各会の会員数に基づく総会構成員数を計算する手間を省いているのでいい加減な数ですみません。おそらく90~100人程度だと思います)が現実に集まらないと、総会を開催することができない、ということになります。・・・これは、私としては可能なことだと思いはするのですが、「感染拡大防止」の観点からすると「無理」もしくは「望ましくない」ということになるのかと思います。
そうすると、結局は「超法規的措置」、「緊急事態下における緊急避難措置」ということになるしかありません。
繰り返して言いますが、私は、そこまでも措置をとることに必要性があるとは考えません(政府の緊急事態宣言も解除されています)。しかしその上で、「やはり必要がある」とする意見にも相応の合理性があるとは思いますので、その上で考えると、「緊急事態下における緊急避難措置」として、超法規的に、「令和2年度の定時総会に限り、同会則第21条第2項及び第3項とは別に、総会の構成員は総会の他の構成員を代理人と定めて議決権を行使することができることとする。」という「令和2年度第1回理事会決議」について、「違法とまでは言えない」程度の評価をすることはできるのか、と思います。
しかし、それはあくまでも「緊急避難的措置」ということにおいて、なのです。
つまり、「総会が開催できなくて、決算も予算も成立しないことになってしまっては組織の維持ができない」ということになってしまっては困る(「法は不可能までをも要求しない」)ので、会の運営のために必要最低限のことまではできるようにしよう」ということにすぎない、ということを自覚する必要があるのだと思います。
その限りにおいて、「令和2年度第1回理事会決議」によって「第77回定時総会」を開催し、必要最低限の決議をして、会の運営を確保する、ということが許される、と考えられるわけです。
しかし、現実には、日調連の執行部は、この総会において、「第2号議案 日本土地家屋調査士会連合会会則の一部改正(案)審議の件」「第3号議案 日本土地家屋調査士会連合会役員選任規則の一部改正(案)審議の件」「第4号議案 土地家屋調査士職務規程の制定審議の件」という、日調連会則第24条の「特別決議」(「第20条第2号及び第4号並びに役員の解任に関する事項の決議は、総会において、出席した総会の構成員の議決権の3分の2以上の決議による。」なお、第20条第2号は「会則並びに役員選任規則の制定及び変更に関する事項」)とされていることまでをも含んで、今回の「緊急避難的に10人程度で開催する第77回定時総会」において決議しようとしています。
このようなことは、どう考えても許されるべきことではない、と私は思います。
大分県土地家屋調査士会のような単会については、先に述べたように、「形式的にも実質的にも望ましくはないけれど形式的には適法」だと言えたものの、日調連については、「形式的には違法」なのであり、「実質的に適法」と言えるためには「緊急事態性」と「謙抑性」を備える必要があるのであり、そうでなければ「はっきりと違法」と言うべきなのだと思います。
もしも、今予定されているような形で「日調連第77回定時総会」が開催され、そこで「特別決議」とされる事項までもが決定されてしまうのであれば、「法の支配」というようなものは、土地家屋調査士の世界とは縁のないものになってしまう、と言わなければなりません。

なお、私は、今回上程されている「第2号議案 日本土地家屋調査士会連合会会則の一部改正(案)審議の件」「第3号議案 日本土地家屋調査士会連合会役員選任規則の一部改正(案)審議の件」「第4号議案 土地家屋調査士職務規程の制定審議の件」のすべてに反対の考えを持っているものですが、これらの議案が適法な手続きに基づいて決議されることにまで反対するものではありません。これらの「特別決議」については、なにもこの6月の「定時総会」で違法・脱法的に決議することなく、たとえば9-10月に予定されているであろう「全国会長会議」だとか「70周年記念式典」とかの機会に、何らかの形で「臨時総会」を開催することにして、「形式的な正統性」をも獲得して成立させることにすればいいのにな、と(繰り返しますが私は反対ですが)思うのですが、そういう余裕はないのですかね?

「火事場泥棒」・・・とまでは言わないけれど

2020-05-18 19:37:44 | 日記
「検察庁法改正案」の今国会での成立が見送られた、とのことで、何はともあれよかった、と思います。黒川東京高検検事長の「定年延長」と、それをめぐる「解釈変更」というのは、たぶんあまりにも杜撰な「法の無視」(「法の支配」ならぬ)によるものだったのだと思いますが、そのことを指摘されてからなお強行突破しようとして「法律」自体をも変えてしまおうというのは、「法の支配」から「法を支配」へ進もうという姿勢だったと思いますので、それが止められた、というのは、本当に、返す返すもよかった、と思います。
しかし、「検察庁法改正案」が見送られるとともに、それとの「束ね法案」とされていた「国家公務員法改正案」等までも含めて、すべて先送りされてしまう、というのはどういうことなのでしょう?
この法案については、「不要不急」だ、「火事場泥棒」だ、という批判があったわけですが、それに対する政府・与党の説明(反論)は、「国家公務員法の改正はそれに伴う地方公務員の制度改正とも関連するので『必要・緊急』だ」というようなものだったように思います。もしも本当にそうなのであれば、野党が、検察庁法の問題部分だけを除いた改正案を出しているということもあるわけですから、検察庁法(の問題部分)だけを外して、「必要・緊急」な部分だけは今国会で成立させればよかったのではないか?と思えてしまいます。
そうしないのは、やっぱりそもそも全体として「不要不急」なもので、「火事場泥棒」的に成立させようとしていたということなのか、と思えてしまうようなことです。

・・・ということのうえで、卑近な話。
土地家屋調査士会の総会の案内が来ました。今年の総会については「COVID-19」の影響で、「できるかぎり欠席を」ということでしたので、私も欠席することにして、その旨を返信しました。
その上で、「委任状の提出を」ということも言われていたのですが、それはちょっと違うんじゃないか、と思って、委任状は出さずにおきました。
何が違うのか、と言うと、調査士会の総会自体は定足数の定めがないので、欠席者がいくらいても成立します。それによって、今年度の事業計画、予算などは成立して、当面の現実の事業執行は滞りなく進めることができるようになります。「必要・緊急」なところです。
多くの会員に「欠席要請」をしたうえで成立させる「総会」としては、やるべきことはここまで、なのだと思います。それが「民主主義」というものだと思うのです。
ところが、今回の調査士会の総会では、「会則改正」もが議案となっています。そして、この「会則改正」は、「過半数の出席」を要件とする「特別決議」とされています。
したがって、今回の総会では、会員に「出席しないように」とお願いをしながら、「出席」(過半数の)を必要とする「特別決議」をも決議しようとしているのです。そこから、「委任状の提出」を要請する、ということになります。
しかし、これはおかしい。
このような情勢下での、異例の開催方式をとるのであれば、そこでの決議内容については「最小限」の、それこそ「不要不急」なものは外したものにするべきだと思います。
それ以外のものについては、全員の出席も可能になった時期に、あらためて行えばいいのであって(「定時総会」がこのような形になる以上、当然に「臨時総会」を考えるべきだと思います)、なにも今回急いでやらなければいけない、という必要性は何もないと思うのです。
むしろ、たとえば今回の「会則改正案」での最大の論点である、「会員が守るべき規律として定めるものの中から『会の定める要領』(調査測量実施要領)を除く」ということについては、それを除いた後に守るべき「要領」がまだ定められておらず、いわば「空白期間」をつくってしまうことになる、というものであるわけですから、まったくの「不要不急」なものだと言うべきなのだと思います。
私自身としては、この「会則改正案」自体に反対であり、通常の形での総会が開かれるのであれば、その場で反対の意思表示をしようと思っていたのですが、まぁそれはともかくとして、反対・賛成は問わず、とにかく今回のような異例・異常な総会において、「会則改正」というような「特別決議」とされるような重要な案件を取り扱うべきではないな、と思うのです。そうしないと、それこそ「火事場泥棒」的に成立させたものとして、「正統性」を欠くものになってしまうのではないか、とも思います。