年老いた夫婦には2つのタイプがあるようだ。昨夜の飲み会での話からの推測なので、一般論ではないかも知れない。カミさんがダンナにいろいろと世話をし、ダンナの方も受け入れている夫婦と、カミさんが何か言ってもダンナは聞き流し、無視しているのに仲の良い夫婦。仲が良いと見える夫婦でも、実際はほとんど口も利かない夫婦もいるし、会話がなくても互いを理解し合っているという場合もあるようだ。
まあ、夫婦のことは外からでは分からない。カミさんが口うるさく言うのもダンナの健康のことが心配だからだが、ダンナにしてみればそんな細かなことまで言って欲しくないと思っている。「あっちこっちに脱ぎ散らかさないで、洗濯機の隣のかごにきちんと入れて。本当にだらしないんだから」とカミさんは注意する。「自分が使った物は、元の場所に返しておいてくれよ。どこにあるのか分からないじゃーないか」とダンナも注意する。
3日の『中日春秋』に、詩人・吉野弘さんの「祝婚歌」が載っていた。「二人が睦ましくいるためには 愚かでいるほうがいい 立派過ぎないほうがいい (略) 完璧をめざさないほうがいい 完璧なんて不自然なことだと うそぶいているほうがいい (略) 互いに非難することがあっても 非難できる資格が自分にあったかどうか あとで疑わしくなるほうがいい 正しいことを言うときは 少しひかえめにするほうがいい 正しいことを言うときは 相手を傷つけやすいものだと 気づいているほうがいい (略)」。
飲み会の席でも先輩は、「男は黙って聞く。決して反論しない」と力説する。「腹が立つことがあっても口に出さない。相手を決して非難しない。お互い様だと諦める」とも言う。酒の席は人生訓を学ぶことが多い。女性たちからすれば、「男はなんて勝手なの」あるいは「男っていつまでも子どもね」ということなのだろう。