実務家弁護士の法解釈のギモン

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会社分割の詐害性(2)

2012-10-19 09:31:02 | 会社法
 詐害行為取消の効力を認めた場合の問題は、今度は設立会社に対して債権を有している者の保護の問題に移るのである。
 例えば、会社分割により債務者が分割会社から設立会社に移転した債権者の場合、会社分割の内容からして、不利にならないと思ったからこそ、異議を述べずに会社分割を認めたが、当該不動産が詐害行為取消により分割会社名義に戻ってしまうのであれば、話は全く異なると思う債権者も存在しておかしくない。こういった債権者の保護はどうするのだろうか。この種の債権者を保護する意味でも、一応無効原因になるとしておいた方がよさそうな気がするのだが。
 もちろん、会社分割無効訴訟の提訴期間、提訴権者の問題はあり、無効原因になると解釈すればそれで済むという問題ではないのかもしれないが、何ら影響を及ぼさないというのは、いくら相対効といってみても、言い過ぎのような気がしてならない。

 この、債務者が分割会社kら新設会社に移転した債権者の保護の問題は、一般の詐害行為の場面では類似の問題として発生しようのない、会社分割の際の独特の問題点なので、忘れ去られているのかもしれない。