熟年新米弁理士のひとり言

平成18年に59歳で弁理士試験に合格した企業内弁理士です。弁理士試験、企業での知的財産業務について、気軽にお話します。

特許の無償開放

2019-07-22 23:09:37 | 知的生産
トヨタが数多くの特許を無償開放するというニュースが入ってきました。

特許の無償開放の目的を理解することは難しいのですが、考えられる理由の一つが市場のポジションを確保することですね。

トヨタの過去の特許の無償開放は、FCVという新しい市場を確立するための戦略だった、と考えられます。

FCVを普及させるには、燃料供給のためのインフラを置き換える必要があるなど、大掛かりな仕掛けが必要です。

社会をその方向に動かすには、より多くの自動車関連企業にFCV市場への参入を促す必要がありました。

特許を無償開放しても、もしFCVという新たな市場がトヨタの特許をベースに標準化されるなら、トヨタの技術覇権が確立するので、メリットは計り知れないほど大きいでしょう。

そして、ある特定の技術に慣れ親しむと、その技術を手放せなくなる「過剰慣性」(ロックイン)と呼ばれる現象が起こります。

標準化によってマーケットで勝ち上がった企業は急激な伸びを見せ、さらに過剰慣性が働けば、その後は努力しなくても地位を維持できるのです。

このような戦略を取れる企業は少ないでしょうが、今後の動きを注目していきたいですね。




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