徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

ドイツ情報、ヨーロッパ旅行記、書評、その他「心にうつりゆくよしなし事」

ドイツの休暇

2019年06月29日 | 歴史・文化
休暇なしにドイツ人の仕事は語れません。同僚とのスモールトークも休暇の話題が実に多いです。特に今、6月下旬は夏季休暇シーズンが始まったばかりですので、ミーティングをすれば必ず一人か二人「あ、私来週から3週間休暇なんで(Ach übrigens, ich habe ab nächste Woche 3 Wochen Urlaub)」とか断りを入れる人がいます。このように申告してきた人には「ではよい休暇を(Na dann wünsche ich Ihnen (dir, euch) einen schönen Urlaub!)」などというのが普通です。「Schönen Urlaub!」だけでも別れの挨拶としてならOKです。
会社勤めの人が Urlaub と言えば、通常有給休暇(bezahlter Urlaub)のことを指しています。
休暇を取る権利は Urlaubsrecht で、その法的根拠は労働法(das Arbeitsrecht)の1つである連邦休暇法(das Bundesurlaubsgesetz、略語はBUrlG)に定められている法的休暇請求権(Gesetzlicher Urlaubsanspruch)です。
休暇法第1条の条文がそれです。
Jeder Arbeitnehmer hat in jedem Kalenderjahr Anspruch auf bezahlten Erholungsurlaub. (いかなる被雇用者も毎暦年有給休養休暇を請求する権利を有する)
そして第3条で年何日有休の権利があるのかが定められています。
  1. Der Urlaub beträgt jährlich mindestens 24 Werktage.(休暇は少なくとも年間24営業日とする)
  2. Als Werktage gelten alle Kalendertage, die nicht Sonn- oder gesetzliche Feiertage sind.(営業日とは日曜日または法定祭日を除くすべての暦日のことである)
法で定められた最低限の休暇は年24日ですが、役所や大企業、余裕のある中小企業などでは年30日と定められています。なのでドイツの法定休暇日数が年30日だと勘違いしている人も少なくありません。
ドイツの有休休暇の消化率は日本と違ってほぼ100%です。
そして祝祭日(病欠日も)が有給休暇とカウントされないため、実働日数は週休2日(5-Tage-Woche)のフルタイム(die Vollzeit)の人の場合だいたい年220日くらいになります。
Man arbeitet zwischen den Urlauben :-)
(休暇と休暇の合間に労働する)
また休暇中に事故(der Unfall)にあったり、病気になったり(krank werden、法律などでは erkranken)すると、担当医または治療病院が発行する就労不能証明書(die Arbeitsunfähigkeitsbescheinigung、略語はAU。das Attestとも言う)に記載された日数は病欠とカウントされるため、すでに許可され、消費されたことになっている有給休暇日数から差し引かなくてはなりません。
このため、3週間の予定で休暇を取った同僚が事故や病気などで4週間または5週間後に復帰するということもあまり珍しいことではありません。
休暇か病気かまたは研修などの理由にかかわらず労働していない日は Fehltage または Fehlzeiten として人事などの統計に使用されます。
全国の欠勤日数統計は法的健康保険組合が毎年発表しますが、この場合は Fehltage / Fehlzeiten とはいえ、病欠のみの統計です。なので記事の見出し以外では正確に krankheitsbedingte Fehlzeiten や Krankheitstage などと言います。