WEBマスターの読書日記

「木戸さんがこんなマメだったなんて」と大方の予想を裏切って続いているブログ。本、映画、感じたことなどをメモしています。

『ダンス・ダンス・ダンス(上下)』(著者:村上 春樹)

2011-09-11 17:12:41 | 本と雑誌
ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫) ダンス・ダンス・ダンス (講談社文庫)
価格:¥ 680(税込)
発売日:2004-10-15

また村上春樹を読んでしまった。この人の本は、高校2、3年の頃に集中して読んだ。いったん読み始めると中毒性があって、「1Q84」で再開して今や昔手にとった本を文庫で買いなおしてリバイバル。一番好きな「国境の南、太陽の西」は再読する時期を大事にとっている。


「僕」という一人称、市営のスイミングプールで規則的にみっちり泳ぐこと、丁寧に作られたサンドイッチへの愛情、濃くて美味しいコーヒー、冷たいグラスに注がれるビール。静かで充足した一人暮らしの生活と、たしかに存在する、この世の暗いひずみみたいなものにつるり足を踏み入れてしまう怖さ。こういったものの素晴らしく洗練された構成に、一冊読み終わるとまた続けて読みたくなってしまうのだ。


高校生のころはほんとにハマっていて、たまに授業をさぼって午後、自宅から何駅か離れたプールに泳ぎに行き、帰りにジャズのかかる古い喫茶店で濃いコーヒーを飲み、羊男のいる世界に思いをめぐらせながら充ち足りた気分で電車に乗る。多感な思春期、私はそうして精神のバランスをとっていたのだろう。今思えば、渋谷や池袋に行っていた同級生と比べるとかなり地味だけど・・・(笑)