WEBマスターの読書日記

「木戸さんがこんなマメだったなんて」と大方の予想を裏切って続いているブログ。本、映画、感じたことなどをメモしています。

『リュパン、最後の恋』(著者:モーリス・ルブラン 訳:高野 優)

2013-11-04 17:51:10 | 本と雑誌
リュパン、最後の恋 (創元推理文庫)リュパン、最後の恋 (創元推理文庫)
価格:¥ 735(税込)
発売日:2013-07-27


休暇の後半は毎日ずいぶん長く眠っている。まったく進んでいないプルーストを持って夕方ソファに丸くなったら、本のせいか居心地がいいせいか、ページを開いたとたんにとろとろ眠気に引き込まれ、雨が激しく降ってきた音で目覚める。ああ、1時間ほどまた寝てしまった。



私の通っていた小学校は図書館が充実していて、ルブランやドイル、クリスティ、モンゴメリなどが子供むけのシリーズでそろっており、何度も借りて読んでいた。犯罪をアバンチュールとして楽しんでいるキザなフランス人の泥棒紳士よりも、霧のロンドンでパイプをくゆらしスパッと事件を解決するシャーロック・ホームズのほうが断然好きだったが、ルブランが脳血栓で倒れる直前に書いたこの遺作を読んで、180度印象が変わる。なんていい男。



もっとも、貧民街の子供たちを熱心に教育し、フランス国家と科学のために財産を使い、意中の美女を王妃にするために自分から身を引こうとするアルセーヌ・ルパンは、隙がなさすぎ、理想的すぎるかも。世界で有名になりすぎたイコンを書く大変さは、きっとこういうことなんだろう。もう少しルーズで人間的、ちょっとダメなところがあると、フランスの誇る大泥棒っぽくて完璧なのになぁ。