![]() | 富豪刑事 (新潮文庫) 価格:¥ 460(税込) 発売日:1984-01-12 |
困ったことといえば唯一、飛行機の気圧で使い捨てコンタクトの容器が開かなくなったことくらい。10年ぶりのパリは、本当にここがフランスかと思うほど劇的に変わって、道に迷えば歩いている人がGoogle Mapに聞くよりよほど親切に教えてくれる。お店は明るくて清潔になり、メニューは読みやすいように活字になり、カフェのギャルソンは代金を払う時に目があうと、何とニッコリ笑顔になる!(これには驚いた)
20代のとき、フロールやドゥ・マゴといったいつも混んでいる敷居の高いカフェは、ひとりで入りにくかったのに。ドラクロワ美術館を訪ねた帰り、サンジェルマン・デ・プレを歩いているうちに冷たい雨がふってきて飛び込むと、通る隙もないくらい満杯のお客さんにもかかわらず、支配人がニコニコしながらVoilà, とストーブのそばに席を作ってくれる。かなり信じがたい。若い世代への変化と、EUで様々なものが統一されてきたおかげか。
フランスのカフェやレストランは長居OKなので、遠慮なく夕食の時間まで熱くて濃いショコラをすすりながら読書。大富豪の御曹司がお金を湯水のように使って、常人では考えついても実行できない大がかりなトリックで事件を解決していく。読んでいると、隣に座ったおばあちゃんが何か話しかけたそうにちらちらページを覗き込んでくる。なぜだろう、世代に関係なくパリの住民は人懐っこくなった(と思う)。