WEBマスターの読書日記

「木戸さんがこんなマメだったなんて」と大方の予想を裏切って続いているブログ。本、映画、感じたことなどをメモしています。

『失われた時を求めて〈10〉 第五篇 Ⅱ』(著者:マルセル・プルースト 訳:鈴木 道彦)

2013-06-09 16:15:21 | 本と雑誌
失われた時を求めて 10 第五篇 囚われの女 2 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)失われた時を求めて 10 第五篇 囚われの女 2 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)
価格:¥ 950(税込)
発売日:2007-01-19



毎年梅雨入りの前に必ず食欲がなくなる、じっとりした季節をむかえて、少しやせた。春先にひたすら眠くなり、お肉ばっかり食べて食欲昂進する一時期は、これに備えて体が体力を落とさないためのベースをつくっているのか、毎日、冷酒または冷やした白ワインに、さっぱりしたお蕎麦やサラダが好もしくなる。体重が落ちたら髪の長いのが重たくなって、かかりつけの女性スタイリストさんに切ってもらったら、過去最高の出来なそう。すっきりしましたね、と言われたが、それはきっと、過労ダイエットも大きく影響してます(笑)。



私の読書は週に1冊のペースだから、こればっかり集中してひたすら読んでいれば3か月で読み終わるが、逆にそれでもたっぷり3か月はかかる、新訳で全13冊の長編。3年以上前から読んでいるのになかなか終わらない。しかし思いついたときに少しずつ読むせいか、それともプルーストの偉大さのせいか、不思議に途中で飽きるということがなく、読むたび、すてきに新鮮な舞台が立ち上がる。



とくにこの巻はプルースト最愛の恋人、アルフレッド・アゴスチネリとの思い出が濃縮された、全作通したクライマックスともいえる部分。土曜の午後、リビングのソファで半ばうとうとしながら最後のページまで読んでいたら、夢に出てきそうな・・・贅沢に美しいものであふれたパリの部屋に住まわせて、ひとりきりの外出もなかなか許さず、嫉妬していないときは退屈そのもの、嫉妬しているときは胸を裂かれるような苦痛そのものと描かれる、息苦しいほど濃い世界観。わたしこの巻がいちばん好きかも。