クラシック千夜一曲 ―音楽という真実 著者:宮城谷昌光 価格:¥ 714(税込) 発売日:1999-12-01 |
連休最後の日は、初夏の陽射しがまぶしい。洗いあがった洗濯もののひやっとする冷たさが、手に気持ちいい季節になった。明日は出社で、10連休を楽しんだあとの社会復帰。
これは頂いた本、連休前のコンサートを楽しみに少しずつ読んでいて、あらためて音楽の素晴らしさを思う。この人は本当に誠実な書き方をする作家、頭に浮かぶままに書き流していくやり方と、一語一句選びつつ書いていくタイプがあるとすれば、間違いなく後者。中に出てくる、素人にこそ適切な表現を選んで説明しなければならない、という司馬遼太郎さんの言葉を実践しているのだろう。氏にとって魂の震えるような、人に推薦できる音楽を厳選して10曲。メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第二番、フォーレのエレジーを買ってみる。
ものごとには何でも、良い面と悪い面があって、でも、そういうこともあるよね、というのが重なってくると、錘のように気持ちの中に沈んでいく。言ってもしようのないことを心にためていると結局どこかで曲がり角が来てしまう。良い音楽を聴くと、そういうのがうまく溶けていくような気がする。CDで一人の世界に浸るのも好きだけれど、コンサートは演奏家の気迫が伝わってくるのがとても素敵なのだ。