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冷や汗‥‥

2006-12-26 21:36:03 | ノンジャンル
 今日は先日紹介したスティーヴン・キングの「メイプル・ストリートの家」の中から特に気に入った2編の短編についての文章を書き、サイトの更新をしようとしたところ、捨ててはいけないフォルダをうっかり捨ててしまい、そのフォルダをもとに戻すため、本を調べたり、電話で聞いてみたり、悪戦苦闘していたところ、簡単に戻す方法が分かり、ホッとしたのもつかの間、アップロードするフォルダの中を見てみると、あるべきファイルがすっかりなくなって、すかすかになっていました。
頭が真っ白になり、最後にバックアップをしたのが8月31日なので、その後の4ヶ月間に更新した内容はすべて消えてしまったのか、としばらくそれが現実であることを認めるのに時間がかかりました。
 そして、しょうがないので、8月31日のファイルをアップロードしようとしたところ、これがうまくいかないのです。ああ、私のホームページがなくなってしまう。しばし呆然。気持ちはどん底に。
 しかし、神様は見守ってくださっていました。なくなったと思ったファイルが、誰がしたのか、別のフォルダの中から出てきたのです。そして無事復旧に成功しました。
 しかし、作業を始めたのが昼の12時過ぎ、復旧したのが夜の9時過ぎ。今日、ここに書こうと思っていた事も、書く時間がなくなってしまいました。
 教訓;パソコンの作業は、とにかく慎重に。皆さんも気をつけましょう。

西加奈子『通天閣』

2006-12-25 17:22:10 | ノンジャンル
 私が好きな「さくら」を書いてくれた西加奈子さんの最新刊「通天閣」を読みました。
 向かいの部屋に自分に気があるオカマのダマーが住んでいる、人との接触を避けながら生きている男。いきつけの塩やきそばがうまい店の女店員が好意を寄せているのも、うっとおしく思っています。
 一方、同棲していた相手マメが映像作家を目指すため、ニューヨークに出かけてしまった女性。昼間の花屋の仕事以外にも、夜一人だとどうしてもマメのことを思い出してしまうので、スナックのチーフの仕事をする事になります。
 この二人の生活が交互に描かれ、最期に二人はダマーが通天閣から飛び下り自殺をしようとしている現場に居合わせ、降ってきた雪に、過去を思い出し泣きそうになるのをこらえて、昔と同じように「雪やっ!」と叫ぶ女。一方、何もしてやれなかった自分の子供のことを思い出し、ダマーを絶対に死なせてはならない、と考えた男は、「お前のことがっ、好きやあああああああ!!!」「俺にはお前が、必要やっっ!!」「死なんといてくれえええええっ!」と叫びます。
 この事件があって、男は少し優しくなり、女は「愛してくれるだろうか」と考えるのではなく、あのホモ仲間のように「愛そう」と考えるのでした。
 以上は、ほんのさわりで、男と新入社員とのやりとりとか、女が働くスナックの個性あふれる同僚たちの話など、面白い挿話にあふれています。
 しかし、今一つ乗れないのは、どうしてでしょう? これは不幸な二人の物語りなのが、その原因かな、と思いました。西さんて、今まではもっと明るい題材を扱ってたような気がします。そして主人公たちは二人とも一人暮しで、家族と同居していません。これも、話から明るさを削いでいる原因の一つだと思います。
 皆さんはどう読まれますか? 特に「さくら」と「きいろいゾウ」を既に読まれた方、感想を聞きたいです。

スティーヴン・キング『メイプル・ストリートの家』

2006-12-24 20:02:34 | ノンジャンル
 今テレビで「M1グランプリ」がやってますが、マスカラがやたら濃い真鍋かをりがアシスタントをしているのが気になります。そんなことより、クリスマス・イヴの夜に一人パソコンに向かっている自分が情けない!

 さて、スティーヴン・キングの文庫本最新刊「メイプル・ストリートの家」を読みました。5つの短編からなる短編集です。
 第一話「かわいい子馬」は生前の祖父が最期に語った「かわいい子馬」という時間の話。第二話「電話はどこから‥‥?」は、かかってきた電話が、実は未来の自分がかけた電話だったという話。第三話「十時の人々」は、ある日突然、頭が怪物の人間を見えるようになった男が、同志に出会い、怪物たちを殲滅する戦いに参加するようになっていく話。第四話「クラウチ・エンド」は、ロンドンの一角がいきなり異次元の世界になり夫を怪物に奪われてしまう妻の話。第五話「メイプル・ストリートの家」は、冷酷な継父から母を助けるため、家の壁の中に自然に成長してできていった宇宙船とともに、継父を宇宙へ追放する4人兄弟の話です。
 第二話「電話はどこから‥‥?」はシナリオ形式でかかれていますが、兄弟同志のやりとりが楽しい家庭の雰囲気をよく出していて、下手な映画を見るより楽しく読めました。第三話「十時の人々」の題名は、全館禁煙のビルから休憩時間の十時になると、広場に出てきてタバコを吸っている、タバコが止められない人々のことを指しているのですが、彼らにだけ、怪物のコウモリ人間が見える、という話で、これも細部の描写が秀逸で、面白く読みました。
 スティーヴン・キングの短編集はいろいろ読んできましたが、出来はこの本が一番いいのではないでしょうか? 本国で出された単行本を三分冊して文庫本にしたようですが、この本が気に入ったので、「Favorite Novels」の「スティーヴン・キング」の欄に詳しく内容を載せようと思ってます。乞うご期待!

朝倉かすみ『ほかに誰がいる』

2006-12-23 17:21:06 | ノンジャンル
 昨日の引き続き、青山ブックセンターHMV渋谷店の店員さんが推薦の朝倉かすみさん「ほかに誰がいる」の紹介です。最初に見た時は「ほかに誰かいる」と読み違え、ホラー小説かな、と思いました。
 主人公の女子高3年生の本城は、同じ学年の賀集(がしゅう)玲子に一目惚れし、やがて親友になります。本城は賀集のことを自分の中では天鵞絨(ビロード)と呼び、毎晩100回彼女の名前をノートに書きます。彼女は夜になると自転車で賀集の家の前の公園に行き、そこから彼女の部屋の明かりを見て、恋心を燃やしますが、ある日その場を賀集に見つかってしまい、公園で犬を散歩させてる青年に会いに来ているのだ、とその場限りの嘘をつきます。しかし、賀集は本当に主人公が嘘で言った青年に会い、彼と恋仲になります。
 受けた大学をすべて落ちた本城は、賀集の幸福を祈ってそれを祝福しなければならない、と自分に言い聞かせますが、何かが自分の中で壊れ、裁ちバサミで髪の毛と耳を少し切り落とし、二度と公園へ行けなくなるように自転車をハンマーで叩き潰し、自分の右足まで叩き潰してしまいます。精神病院に入院し、退院すると自宅で療養し、その間に海外に留学した賀集から手紙が何通も届きますが、本城は開封しません。高校時代の男友達タマイと遊べるまで回復しましたが、ある日冗談で本城が彼の頭をぶったことがきっかけで、タマイは死んでしまいます。
 ある日レントゲン技師の名前が賀集だと知り、玲子の父だと思った本城は彼の誘いに乗り、愛人となり、妊娠します。これで玲子と切っても切れないつながりができた、と思ったところ、愛人は玲子とは何のゆかりもない人であることが分かり、死んだタマイと話をしながら、寝ている愛人にオイルを撒いて火をつけ、静かな狂気の中へ進んで行くのでした。
 ストーカーの話です。完全に狂ってます。が、これはトリュフォー監督の「アデルの恋の物語」を想起させる狂気であり、情熱であり、誠実さなのだと思います。題名の「ほかに誰がいる」は、賀集にふさわしい人間は私の「ほかに誰がいる」?、という意味だった訳です。推薦者の言われるように、「繊細な心理描写」はあるかもしれませんが、「思春期のあやうい部分」というのは、明らかに違うでしょう。これは思春期だろうが、老年期だろうが、こういう人は存在すると思います。
 ある種の女性が持つ狂おしい恋心に触れたい方には、オススメです。

宮崎誉子「少女@ロボット」

2006-12-22 17:06:03 | ノンジャンル
 今日も朝日新聞の特集記事「2006年 この一冊」の中で、青山ブックセンターHMV渋谷店の店員さんが推薦していた宮崎誉子さんの「少女@ロボット」を紹介します。9つの短編からなる短編集です。
 第一話「クローバー」は、ろくでもない職場ばかりを渡りあるく主人公の女性が、変な少女に出会う話。第二話「秋彼岸」は、おはぎ屋で働く主人公と先輩のやりとりと、その合間に語られる母と弟との交流。第三話「マウスピース」は、昼は歯科助手、夜はスナックで働き、人のためになる仕事がしたいと看護師をめざす女性の暮らし。第四話「少女ロボット(A面)」は、様々なキャラクターが登場するも、だるい女子高生の日常。第五話「カメレオン(B面)」は、写真屋で働く女性の日常と、最後には優柔不断な店長にキレ、ボコボコに殴られるところを、彼女をモデルにして写真をとる少女に撮られる話。第六話「子供だよ!全員集合」は、小学校の女性の先生が、イジメられっ子の妹を持つませた男子、イジメられる女子、世間知らずの子らとの交流の中で、自分の未熟さを思い知らされる話。第七話「ロッカールーム」は、お嬢さん育ちで使い物にならない新入社員の話。第八話「魚眼レンズ」は、会社が倒産してマンガを描いて生計を立てる事になった男が、フリーカメラマンの彼女と出会い、最後には弟が目の前で車で人を轢く、という話。第九話「プライドドリル」は、父が痴漢の冤罪を苦に12才の時に自殺し、翌年には母が男と家を出て行き、残された14才の少年が、年をごまかし、デジタルフォトショップで働く日常と、父の冤罪の原因を作った女との再会。
 久々に大好きな小説と出会えた気がします。推薦してくれた店員の方は、「リズミカルな文体は、好き嫌いが分かれるかもしれない」と書いてらっしゃいましたが、私はノリノリで読みました。特に第八話の主人公とフリーカメラマンの彼女のやりとりは、みごとなノリツッコミで、読んでいるだけで楽しかったです。話としては、「子供だよ!全員集合」が好きでした。「マウスピース」は最後のオチが最高でした。宮崎誉子(「たかこ」と読むのだそうです。)さんの作品はこれからも読んでいこうと思います。「少女@ロボット」の詳しい話は、「Favorite Novels」の「宮崎誉子」の欄をご覧ください。まだ読まれてない方には、力を入れてオススメします。