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小林節・竹田恒泰『憲法の真髄』その1

2020-02-08 07:50:00 | ノンジャンル
 2018年に刊行された、小林節さんと竹田恒泰さんの対談集『憲法の真髄』を
読みました。その中からいくつかの文章を引用させていただくと、

・かつて、日本社会は「護憲的護憲」でした。そんな中、小林先生は「護憲的改憲」という異端の主張をなさったのです。ところが、近年は自民党や保守論壇が「護憲的改憲」を飛び越えて「改憲的改憲」の論調をとり、これが一般的な改憲論になってしまったのです。
 GHQによる「押し付け憲法」を毛嫌いする心持ちはわかりますが、かといって現行憲法がすべて無価値ではありません。当時の政府や帝国議会において、官僚や議員たちが白熱した議論を交わし、GHQを騙して言葉をすり替えた条文もあります。明け渡したところもありましたが、守り抜いた領域もあったのです。(竹田)

・現在の改憲議論には「憲法のどの部分を守るか」という議論が抜け落ちてしまっています。「どこを守り、どこを変えるか」という視点を持ってこそ、はじめて冷静で理性的な改憲議論ができるのではないでしょうか。(竹田)

・そして「憲法典」とは、「憲法」という名を冠して文書として書かれた憲法、つまり「成文憲法」のことです。(中略)他方、成文憲法に対して、法律、条令、慣習、判例を束ねて憲法を認識する「不文憲法」もあります。代表的なのは、イギリスのケースです。(小林)

・「アメリカ独立戦争」(1775~83年)の影響を受けて革命が飛び火したのがフランス。そしてフランスでもまた、同じ流れで成文憲法がつくられたということになりますね。(竹田)

・そのように、ノルマン人がイギリスを支配することになりました。支配する方法としては2つありました。「お前たち下々の者は新しく俺たちの法律に従え」という方法と、「俺が王様であることを認める限り、お前たちの生活を認め、お前たちの旧来の法律を認める」というものです。イギリスを支配したノルマン人の王様は後者をとりました。(小林)

・イギリスの民衆は、伝統、慣習、権益を壊してしまうイギリスの王様に比べれば、この外来の王はなかなかよい王様ではではないかと思い始めた。「では一度、統治されてみるか」と。そういう雰囲気が醸し出されたような気がするのです。(竹田)

・こうして外来の王が国を治めていても、国内では、日常的に「お金を貸した、返さない」といった民事、「人を殺した、殺さない」といった刑事などのトラブルは起き、下々の者は当然、「裁いてください」と王様のところにやって来ます。しかし、王様は忙しい。そこで、杖か何かをもって 威厳をつけた王の代理人の巡回裁判官がイングランド全土を巡り、滞在する宿ごとで裁判をすることにしました。(中略)裁判官がやって来ます。まず、地元の長老「elders」を集めて、「facts finding」で「何が起きたの?」と事実を認識する。次に「この土地ではこういう問題はどうやって裁いてきたの?」と確認(law finding)をするわけです。(小林)

・そのうちに、巡回裁判官は職業裁判官になり、ある時、気づいたわけです。「あれ!? 同じ類の事件なのに、ヨークシャーで裁いた時とバークシャーとでは判例が違う。これはまずいな。同じ王様の下のイングランドというひとつの国で判例が違うのはよろしくない。法律はひとつにしなければ!」━━。こうして、王様の代理人としての裁判官が、判例を積み重ねながら判例、即ち法を調整、統一していきました。(小林)

・(前略)西洋の王様は、天皇のように神々しい存在ではなく、いわば戦国時代の大名の中のいちばんでっかい奴だから、「いざとなったら、おまえなんかいつでも取っ替えてやるぞ!」という関係です。(中略)貴族は「我々貴族の代表で構成されたビッグ・ベン(議会)をあなた(王様)の近くに置いておくから、事前に、議会つまり私たちの代理人の了解を得た場合、法律に基づく限り年貢を払うよ」ということにしました。これが「名誉革命」(1688~89年)の世界です。(小林)

・イギリスは、何か悪いことがあると、かつてのことを思い出して、よいものをしっかりと復元させていこうとします。「伝統文化を重んじる」━━、保守の原点と言えるものもイギリスからですね。(竹田)

・そして今度は、王様に規制をかけるために「議会」というものが貴族の中から生まれてきた。すると、判例と制定法が矛盾する場合が出てきます。「どうするの?」と思うかもしれませんが、答えは簡単。新しいほうを優先する。(小林)

・(前略)初めて憲法という国家権力を拘束するものをみんなで明文としてつくった。それを、最高権力者のワシントンが受け入れたのです。ワシントンは、この最高権力者の地位には、いかなる者も長居すべきではないとしました。(小林)

(明日へ続きます……)

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