また昨日の続きです。
「僕が？」「最初ここに座って、いろいろ話し始める。幽霊に向かって」「そこで？」「そう」「一人で立てる？」「大丈夫」。ジャン、椅子に座る。「コリーヌは幽霊だ。いいですか？ 退場はここから？ 外に出る。怯えながら、僕が入って扉が閉まったら、立ち上がって外へ。いいですか？」「あそこからだよ」「分かった」「じゃ始めようか。準備は？」「スタート」「シーン６、テイク１。アクション」。ジャンと幽霊の女、向かい合って座ってる。「開けてくれ」「ダメだ。台詞を忘れた。乗らない」「カット」「感じなくて」「もう一度？」「やり直そう」「もう一度？」「すまない」「大丈夫」「撮り直しだ」「もっときちんと指示を出してくれ。僕の顔を見るんだ。そうでないと…」「このシーンは…」「説明してくれ。もっと分かりやすく」「ええ」「休憩します？」「いや、必要ない。続けよう」「位置について」「カチンコは？」「やるよ。扉を閉めて」「いいよ」「静かに。スタート」「待って」「シーン６のテイク１つだっけ？ 構図を変えた。静かに。スタート」「シーン６、テイク２、アクション！」。扉を開けて入ってくる少年。幽霊に気づき、「開けてくれ」「大丈夫か？」。幽霊、立ち、「もう一度」「カット」「どうしたの？」「僕が部屋に入ってきたら、あなたは…」「立ち上がって外へ。それから閉めろ」「少しだけ急ぎ足で、怯えた感じで」「僕が入ってからだよ」「合図を出してくれ」「だから…」「入って来てから合図を」「でも僕も演技してるから」「どんな指示でもいい。打合せ通りにやるには、幽霊がいる気分を…」「シーンに必要なんだ。彼が入ってきた時、襲われるかもと思う。扉が閉まって…」「立ち上がって急ぎ足で外へ」「幽霊に怯えながら」「アドリアンはコリーヌが見えたように感じて、怖くなって扉を閉める」「一人手に閉まるのよ」「そうだった。それであなたは外へ。こんな感じ」「僕が入ってきたら、立ち上がって外へ。いい？ 分かった？」「ああ」「部屋に入ってきたら、外へ出るんだ。いいね。もう一度」「やるわよ」「始めるぞ」「待って。ビデオをセットしてくる。オーケーだ」「シーン６、テイク３、アクション」。ベッドから起き上がるジャン。「まだよ」。コリーヌ、椅子に座り、ジェスチャーでジャンに示す。「“よいか、海は無知を押しつけられ、知ることなど何もなく、この先何も知らぬ。だがな、泳げぬお前が沖へ出れば、やはり泳げぬ私はお前への愛があろうと、お前を見つけ出せぬ”」。ジャン、立ち上がり、女性の手にキス。ベッドに横たわる。「いいの？」「全然違うんですけど」。
バスの中。「村ではすべてが穏やかだ♪ライオンが今夜死んだから♪襲われて憎むこともない♪」。ジャン「ジャングルに♪恐ろしいジャングルに♪ もっと大きな声で！」。
湖に膝まで浸かる少女。「三脚は使えないから手持ちで行く。大丈夫さ」「一番下にしてくれ」少女「石ころが痛い」。ジャン「なぜ僕を変身させる？ 以前に戻りたい」「ダメ、私が一人になるから」「カット」「よかったよ。本当に」「ただ君の腕が…コリーヌは動かなくていい。もう一度」「撮り直し？ 私、写ってるの？」「入ってない」「マジで？」。
「“裏切り者め”」「あんた誰？」「マントをこうやって、体の前にもってくる。もっと下で狙え。端を持て。それでいい」「ウソだ」。
「やめて」「よだれがすごい」「サンドイッチは？」「食べるわよね」。
「泳ぎたかったのに。残念」。
「少し上げれば離れるわ」「お父さんみたい。（笑）ここでジュリエットに恋したの？」「時々二人で散歩に出てた。思い出の地だ。ここで彼女は死んだ」「ごめんなさい」「いいんだよ」。
ジャンの顔のアップ。「サンドイッチは？」。
ジャン、とぼとぼと帰る。湖に腰まで入ったジュリエット。「ジュリエット！ ジュリエット」「またね、ジャン」「また会おうってことだね」「あなたは？」「君が望むなら会いたい」「じゃ会えるはず」。ジュリエット、湖に入っていく。「海は知ることなど何もない。無知を押しつけた後、この先知ることもない。だが君も僕も泳げないので沖へは出ていけない。溺れるだけ？ 当然だろ？ 君は流されたら、もう僕は助けられない。でも君への愛があるとも」。
石に座り、湖を見るジャン。「ジャン、大丈夫？ ここで何してるの？」「行こうか」「ロマンも帰るぞ」。ジュールの目の前にライオンが寝ている。
（また明日へ続きます……）
→サイト「Nature Life」（http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto）
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「僕が？」「最初ここに座って、いろいろ話し始める。幽霊に向かって」「そこで？」「そう」「一人で立てる？」「大丈夫」。ジャン、椅子に座る。「コリーヌは幽霊だ。いいですか？ 退場はここから？ 外に出る。怯えながら、僕が入って扉が閉まったら、立ち上がって外へ。いいですか？」「あそこからだよ」「分かった」「じゃ始めようか。準備は？」「スタート」「シーン６、テイク１。アクション」。ジャンと幽霊の女、向かい合って座ってる。「開けてくれ」「ダメだ。台詞を忘れた。乗らない」「カット」「感じなくて」「もう一度？」「やり直そう」「もう一度？」「すまない」「大丈夫」「撮り直しだ」「もっときちんと指示を出してくれ。僕の顔を見るんだ。そうでないと…」「このシーンは…」「説明してくれ。もっと分かりやすく」「ええ」「休憩します？」「いや、必要ない。続けよう」「位置について」「カチンコは？」「やるよ。扉を閉めて」「いいよ」「静かに。スタート」「待って」「シーン６のテイク１つだっけ？ 構図を変えた。静かに。スタート」「シーン６、テイク２、アクション！」。扉を開けて入ってくる少年。幽霊に気づき、「開けてくれ」「大丈夫か？」。幽霊、立ち、「もう一度」「カット」「どうしたの？」「僕が部屋に入ってきたら、あなたは…」「立ち上がって外へ。それから閉めろ」「少しだけ急ぎ足で、怯えた感じで」「僕が入ってからだよ」「合図を出してくれ」「だから…」「入って来てから合図を」「でも僕も演技してるから」「どんな指示でもいい。打合せ通りにやるには、幽霊がいる気分を…」「シーンに必要なんだ。彼が入ってきた時、襲われるかもと思う。扉が閉まって…」「立ち上がって急ぎ足で外へ」「幽霊に怯えながら」「アドリアンはコリーヌが見えたように感じて、怖くなって扉を閉める」「一人手に閉まるのよ」「そうだった。それであなたは外へ。こんな感じ」「僕が入ってきたら、立ち上がって外へ。いい？ 分かった？」「ああ」「部屋に入ってきたら、外へ出るんだ。いいね。もう一度」「やるわよ」「始めるぞ」「待って。ビデオをセットしてくる。オーケーだ」「シーン６、テイク３、アクション」。ベッドから起き上がるジャン。「まだよ」。コリーヌ、椅子に座り、ジェスチャーでジャンに示す。「“よいか、海は無知を押しつけられ、知ることなど何もなく、この先何も知らぬ。だがな、泳げぬお前が沖へ出れば、やはり泳げぬ私はお前への愛があろうと、お前を見つけ出せぬ”」。ジャン、立ち上がり、女性の手にキス。ベッドに横たわる。「いいの？」「全然違うんですけど」。
バスの中。「村ではすべてが穏やかだ♪ライオンが今夜死んだから♪襲われて憎むこともない♪」。ジャン「ジャングルに♪恐ろしいジャングルに♪ もっと大きな声で！」。
湖に膝まで浸かる少女。「三脚は使えないから手持ちで行く。大丈夫さ」「一番下にしてくれ」少女「石ころが痛い」。ジャン「なぜ僕を変身させる？ 以前に戻りたい」「ダメ、私が一人になるから」「カット」「よかったよ。本当に」「ただ君の腕が…コリーヌは動かなくていい。もう一度」「撮り直し？ 私、写ってるの？」「入ってない」「マジで？」。
「“裏切り者め”」「あんた誰？」「マントをこうやって、体の前にもってくる。もっと下で狙え。端を持て。それでいい」「ウソだ」。
「やめて」「よだれがすごい」「サンドイッチは？」「食べるわよね」。
「泳ぎたかったのに。残念」。
「少し上げれば離れるわ」「お父さんみたい。（笑）ここでジュリエットに恋したの？」「時々二人で散歩に出てた。思い出の地だ。ここで彼女は死んだ」「ごめんなさい」「いいんだよ」。
ジャンの顔のアップ。「サンドイッチは？」。
ジャン、とぼとぼと帰る。湖に腰まで入ったジュリエット。「ジュリエット！ ジュリエット」「またね、ジャン」「また会おうってことだね」「あなたは？」「君が望むなら会いたい」「じゃ会えるはず」。ジュリエット、湖に入っていく。「海は知ることなど何もない。無知を押しつけた後、この先知ることもない。だが君も僕も泳げないので沖へは出ていけない。溺れるだけ？ 当然だろ？ 君は流されたら、もう僕は助けられない。でも君への愛があるとも」。
石に座り、湖を見るジャン。「ジャン、大丈夫？ ここで何してるの？」「行こうか」「ロマンも帰るぞ」。ジュールの目の前にライオンが寝ている。
（また明日へ続きます……）
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