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斎藤美奈子さんのコラム・その29&山口二郎さんのコラム・その14

2018-12-07 01:33:00 | ノンジャンル
 恒例となった、東京新聞の水曜日に掲載されている斎藤美奈子さんのコラムと、同じく日曜日に掲載されている山口二郎さんのコラム。

 まず11月28日に掲載された「イベント依存症」と題された斎藤さんのコラム。全文を転載させていただくと、
「そりゃね、誰だって、子どもの頃からイベントは好きですよ。
 運動会の前の晩には明日は晴れてくれと願ったし、遠足は何日も前から楽しみでソワソワし、文化祭の準備も一生懸命にやった。日本の学校教育はよくできていて、季節の行事を糧に日常を乗り切った感さえある。
 そうして私たちは大人になった。大人になってもイベント体質は抜けなかった。春は花見、秋は紅葉、ハロウィーンが終わればクリスマス。年末年始がすぎればバレンタインデー。一年中、何か楽しみがなければ生きられない。
 地域活性化といえば、思いつくのもまたイベントだ。近年は観光誘致をねらう自治体の参入も著しい。世界遺産への登録を目指すとか、大河ドラマを誘致するとか、ゆるキャラグランプリに組織票を投入するとか、みな人集めに余念がない。
 でもって、ついにクニまでこの病に感染した。東京で二度目の運動会を開くだけでは飽き足らず、大阪で二度目の文化祭をやるんだってさ。
 イベントは目の前の辛い現実を忘れさせる効用がある。ギャンブルやアルコールといっしょである。加えて経済効果というマジックワード、大阪の後は札幌冬季五輪の声も出ているらしい。大丈夫なのか。首相は国会審議をなおざりにして海外にばかり行ってるし。」

 また、12月5日に掲載された「人畜有害法案」と題された斎藤さんのコラム。
「『審議が長引くと法案のアラが目立つから、ここはさっさと通してしまおうぜ』『そだねー』。以上がおそらく政府与党の本音だろう。今にはじまったことではない。
 彼らの下で働く官僚諸氏の本音はどうか。
 部下『こんな適当なデータの取り方でいいんですか』。上司『いいんだよ。法案に不利な数字でも出してみろ。上に怒鳴られるのがオチだぞ』。部下『そだねー』。
 ってなやりとりをしているとしか思えない。
 失踪した外国人技能実習生で失踪理由が『最低賃金以下』だった人は0.8%(二十二人)と法務省は公表していた。しかし野党が調べた結果は67.6%(1939人)が最低賃金割れだった。当初は87%が『より高い賃金を求めて』失踪したとも発表していた法務省。そうまでして入管法改正案を通したい? そだねー。
 水道法改正案も同様である。海外では民営化の失敗例が相次ぎ、再公営化した事例は35カ国180件ともいう。が、公営に戻した海外の事例を厚労省は3例しか調べていなかった。調査はアリバイ? そだねー。
 『忖度(そんたく)』が流行語大賞に選ばれたのは昨年だった。文書改ざんも虚偽答弁もOKの政治風土では、そりゃあやる気もなくすわね。かくて『そだねー』なる人畜無害な流行語を後目(しりめ)に人畜無害な法案が可決される。笑えないよ。」

 そして、12月2日に「財政民主主義」と題された、山口二郎さんのコラム。
「憲法86条は、予算は毎年度国会が審議し、『議決を経なければならない』と規定している。
 この条文が毎年度と明記していることには意味がある。多年度にわたる予算を許せば、それだけ国会の吟味がおろそかになり、国民にとって長期にわたる負担や拘束が押し付けられる危険があるからである。
 しかし、今の日本ではこの財政民主主義が危うくなっている。本紙の『税を追う』という特集が明らかにしている通り、防衛費において値の張る装備品が分割払いで発注され、将来にわたって防衛費を押し上げる構造を作っている。しかも、その装備品が本当に日本の防衛に必要かどうかの吟味は不十分で、米国の言うままに、トランプ政権のご機嫌を取るために高価な買い物をしているのが実態である。
 社会保障費の増加、災害の多発など、国の予算を必要としている問題は広がり続けている。歳出の優先順位を考えることは国民的課題である。第二次世界大戦の英雄で後に米国大統領を務めたアイゼンハワーは、退任に当たって軍産複合体が民主主義の脅威になることを警告した。そして、『警戒心を持ち見識ある市民のみが、巨大な軍産マシンを平和的な手段と目的に適合するように強いることができる』と述べた。今こそこの言葉をかみしめなければならない。

 3つの文章のうち2つが国の財政に関するものでした。支出の優先順位と、翌年以降の予算にも影響を及ばせる防衛費(軍事費?)の多年度予算など、喫緊の問題が多く含まれていました。来年の参院選は絶対に自民・公明の与党を惨敗させなければ、財政の軽減化どころか悪化がますます進んでいくような気がします。だらけきった安倍政権の退陣は是非なるべく早く実現させなければならない強く思いました。

 →サイト「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto

P.S. 今から約30年前、東京都江東区で最寄りの駅が東陽町だった「早友」東陽町教室の教室長、および木場駅が最寄りの駅だった「清新塾」のやはり教室長だった伊藤達夫先生、また、当時の生徒の皆さん、これを見たら是非下記までお知らせください。黒山先生、福長先生と私が、首を長くして待っています。(また伊藤先生の情報をお持ちの方も是非お知らせください。連絡先は「m-goto@ceres.dti.ne.jp」です。よろしくお願いいたします。)